JP4508455B2 - 空調システム - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オープンショーケースが設置された店舗内の空調を行う空調システムに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来よりスーパーマーケットなどの店舗内にはオープンショーケースが複数台設置されており、各オープンショーケース内において冷凍食品や冷蔵食品を冷却しながら陳列販売している。また、店舗の天井部には空気調和機（エアコン）が設置され、店舗の室温調節を行っていた。
【０００３】
一方で、近年では回転型除湿装置を用いて室内の湿度制御を行う方法が開発されている。この回転型除湿装置は水分吸着領域と水分放出領域とが定位置に構成され、水分吸着領域から水分放出領域へと移行するよう所定速度で回転される水分吸着素子を備えており、水分吸着素子の水分吸着領域にて吸着した室内の水分を、水分放出領域に流通される加熱された外気に吸収させ、外気中に排出して室内の除湿を連続的に行うものである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来では係る除湿装置を店舗内の湿度制御のみに使用していたため、除湿装置と店舗の空気調和機とは何ら連携しておらず、除湿装置は店舗内の室温調節と全く関係無いところで運転されていた。そのため、温度と湿度を含む総合的な店舗内空調を行うことが困難な状況となっており、改善が望まれていた。
【０００５】
また、オープンショーケースからは庫内の冷却に使用される冷気が漏出するため、周囲の床部の温度は低下する傾向となるが、通常空気調和機は天井部に設置されるため、どうしてもこの床部の温度を補完することが難しく、顧客の足下が冷やされてしまう状況となっていた。
【０００６】
本発明は係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、オープンショーケースが設置された店舗内の温度と湿度を含めた総合的な空調を円滑に行うことができる空調システムを提供するものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明の空調システムは、オープンショーケースが設置された店舗において、水分吸着領域と水分放出領域とが定位置に構成され、前記水分吸着領域から水分放出領域へと移行するよう所定速度で回転される水分吸着素子を備えた回転型除湿装置と、内気吸引装置と、外気吸引装置とを備え、前記内気吸引装置にて吸引された前記店舗内の空気を、前記水分吸着素子の前記水分吸着領域に通した後、前記店舗内に帰還させ、且つ、前記外気吸引装置にて吸引された外気を加熱して前記水分放出領域に通した後、外部に排出する除湿空調装置と、該除湿空調装置と前記オープンショーケース近傍の床部を連通するショーケース側ダクトと、前記除湿空調装置と前記店舗内の天井部を連通する天井側ダクトと、該天井側ダクト内を流通する空気の温度調節を行う冷暖房装置と、前記天井側ダクトへの空気の流通を阻止する開閉自在のダンパとを備え、前記冷暖房装置による冷房運転時と暖房運転時のみ前記ダンパを開き、冷暖房運転が停止しているときは該ダンパを閉じることを特徴とする。
【０００８】
本発明の空調システムによれば、オープンショーケースが設置された店舗において、水分吸着領域と水分放出領域とが定位置に構成され、前記水分吸着領域から水分放出領域へと移行するよう所定速度で回転される水分吸着素子を備えた回転型除湿装置と、内気吸引装置と、外気吸引装置とを備え、前記内気吸引装置にて吸引された前記店舗内の空気を、前記水分吸着素子の前記水分吸着領域に通した後、前記店舗内に帰還させ、且つ、前記外気吸引装置にて吸引された外気を加熱して前記水分放出領域に通した後、外部に排出する除湿空調装置と、該除湿空調装置と前記オープンショーケース近傍の床部を連通するショーケース側ダクトと、前記除湿空調装置と前記店舗内の天井部を連通する天井側ダクトと、該天井側ダクト内を流通する空気の温度調節を行う冷暖房装置とを備えているので、除湿空調装置の回転型除湿装置の水分吸着素子において連続的に除湿される店舗内の空気は、ショーケース側ダクトを介してオープンショーケース近傍の床部に供給されると共に、天井側ダクトを介して店舗内の天井部に供給されるようになる。
【０００９】
これにより、店舗内の空気の湿度調節を行うことができるようになる。特に、除湿空調装置においては水分吸着素子の温度が上昇するため、除湿される店舗内の空気も暖められることになるが、本発明ではこの暖められた除湿空気が、低温となり易いオープンショーケース近傍の床部に供給されるため、係る床部の温度低下を解消若しくは抑制し、顧客の足下のみが冷やされる不都合を改善できる。
【００１０】
また、天井部に供給される除湿空気は、冷暖房装置にて温度調節されるため、この天井部に供給される除湿空気によって店舗内の温度制御も行えるようになる。これらにより、別途空気調和機を設置すること無く、温度の湿度を含む総合的な店舗内空調を円滑に達成することが可能となるものである。
【００１１】
また、前記天井側ダクトへの空気の流通を阻止する開閉自在のダンパを備えるので、ダンパにより天井側ダクトへの空気流通を阻止すれば、ショーケース側ダクトに集中的に除湿空気を供給することができる。これにより、ショーケース近傍の床部の温度が著しく低くなる店舗においては、ショーケース側ダクトに集中的に除湿空気を供給して足下が低温となる不都合を改善することが可能となる。
【００１２】
この場合、前記冷暖房装置による冷房運転時と暖房運転時のみ前記ダンパを開き、冷暖房運転が停止しているときは該ダンパを閉じるので、冷暖房を行わない場合の天井側ダクトへの無駄な除湿空気の供給を停止して、ショーケース近傍の床部へ除湿空気を集中的に供給することができるようになるものである。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図１は本発明の空調システム１の構成図である。実施例の空調システム１は店舗の売り場２内に複数台のオープンショーケース３（図では連続して示すが、実際には複数台が連結されて設置されている）が設置されたスーパーマーケットに適用されるものであり、除湿空調装置としての除湿空調機６と、冷暖房装置としての冷暖房用空調機７と、供給空気ダクト８と戻り空気ダクト９などから構築される。
【００１４】
供給空気ダクト８は除湿空調機６の内気吐出部１１と売り場２内とを連通するように店舗に配管されており、途中においてショーケース側ダクト１２と天井側ダクト１３とに分岐している。このショーケース側ダクト１２はオープンショーケース３の近傍の売り場２内の床部に複数箇所形成されたケース下吹出口１４・・・にて売り場２内に開口しており、これにより、除湿空調機６とオープンショーケース３近傍の床部とを連通している。また、天井側ダクト１３は店舗の売り場２の天井に複数箇所形成された天井吹出口１６、１６にて売り場２内に開口しており、これにより、除湿空調機６と売り場２の天井部とを連通している。
【００１５】
この天井側ダクト１３の入口部（ショーケース側ダクト１２との分岐後の位置）には天井供給モーターダンパ１７が取り付けられており、この天井供給モーターダンパ１７を閉じることにより、天井側ダクト１３への空気の流通を阻止できるように構成されている。また、この天井側ダクト１３内には前記冷暖房用空調機７の室内熱交換器１８が配設され、天井側ダクト１３内を流通する空気の熱交換できるように構成されている。
【００１６】
戻り空気ダクト９は前記除湿空調機６の内気吸込部２１と店舗の売り場２の天井部とを連通するように店舗に配管されており、天井部に形成された複数の天井吸込口２２・・・にて売り場２内に開口している。
【００１７】
前記冷暖房用空調機７は、図示しないコンプレッサと室外熱交換器と減圧装置と前記室内熱交換器１８が四方弁を介して配管接続された可逆式の冷媒回路を備えたものであり、冷媒の循環方向を切り替えることによって、室内熱交換器１８において冷房作用を発揮する冷房運転を実行し、或いは、暖房作用を発揮する暖房運転を実行する。この冷暖房用空調機７の図示しない制御装置は前記売り場２内の温度に基づいて所定の設定温度（例えば＋１５℃〜＋２８℃の範囲で任意に設定可能）となるように室内熱交換器１８における冷暖房作用（冷暖房運転）を制御すると共に、前記天井供給モーターダンパ１７の開閉も制御するものである。
【００１８】
次に、図２は前記除湿空調機６の内部構成図を示している。除湿空調機６はデシカント空調機と称されるものであり、水分吸着素子３１を備える回転型除湿装置３２と、内気吸引装置としての送風ファン３３と、外気吸引装置としての再生ファン３４と、再生ヒーター（電気ヒーター）３６などから構成されている。内気ファン３３は運転されて前記内気吸込部２１から戻り空気ダクト９内の空気を吸引し、水分吸着素子３１の後述する水分吸着領域を通過させた後、前記内気吐出部１１より供給空気ダクト８に吐出する。３７は外気取込装置であり、送風ファン３３の吸込側に連通している。外気取込装置３７は常には閉じているが、開放することにより、送風ファン３３によって外気を取り込むことができるように構成されている。また、３８、３９は内気吸込部２１に設けられた戻り空気温度センサー、戻り空気湿度センサーであり、それぞれ戻り空気ダクト９から吸引される空気の温度と湿度を検出するものである。
【００１９】
一方、前記再生ファン３４は運転されて再生空気取入部４１から外気を吸引し、再生ヒーター３６、水分吸着素子３１の後述する水分放出領域とに順次通過させた後、再生空気排気部４２から外部に排出する。４３、４４は外気温センサー、外気湿度センサーであり、それぞれ外気の温度と湿度を検出するものである。４６は除湿空調機６の制御装置であり、前記戻り空気温度センサー３８、戻り空気湿度センサー３９、外気温センサー４３、外気湿度センサー４４などの出力に基づき、送風ファン３３、再生ファン３４、再生ヒーター３６、後述する電動機などの制御を行うものである。
【００２０】
ここで、前記水分吸着素子３１は所定厚さの円板形状を呈しており、図示しない前記電動機によって例えば１分間に約半回転するように駆動される。この水分吸着素子３１は、その中を空気が通過すると空気中に含まれている水分を吸着すると共に、吸着した水分は加熱された空気が水分吸着素子３１を通り抜けることにより、加熱された空気に水分を吸収させる受け渡し機能を備えている。
【００２１】
電動機により回転される水分吸着素子３１の周囲に設けられた空気通路は、図示しない領域仕切板にて仕切られて前記第１の空気通路と第２の空気通路とが構成され、第１の空気通路内に位置する水分吸着素子３１の部分を前記水分吸着領域、第２の空気通路に位置する水分吸着素子３１の部分を前記水分放出領域とされる。
【００２２】
そして、水分吸着素子３１のある部分に着目すると、電動機により回転されることにより、上記部分は水分吸着領域から水分放出領域に移行し、再び水分吸着領域に戻るサイクルが繰り返されるものである。尚、再生ファン３４で再生空気取入部４１から吸引された外気（再生空気）は再生ヒーター３６にて加熱された後、第２の空気通路から水分吸着素子３１の水分放出領域を通り抜けた後、再生空気排気部４２から外部に排出されるように構成されている。
【００２３】
以上の構成で次ぎに本発明の空調システム１の動作を説明する。除湿空調機６の制御装置４６は送風ファン３３、再生ファン３４、及び、水分吸着素子３１を駆動させる。そして、再生ヒーター３６を発熱させる。送風ファン３３の運転によって店舗の売り場２の天井部の空気は天井部吸込口２２・・・から戻り空気ダクト９に入り、内気吸込部２１から除湿空調機６内に吸引される。吸引された空気は送風ファン３３、第１の空気通路、水分吸着素子３１の水分吸着領域を経て内気吐出部１１から供給空気ダクト８内に吐出される。
【００２４】
このとき、空気中に含まれた水分は水分吸着領域となっている部分の水分吸着素子３１に吸着され、電動機による回転によって水分放出領域に搬送されることになる。また、供給空気ダクト８内に吐出された除湿後の乾燥空気は、天井供給モーターダンパ１７が開放している状態でショーケース側ダクト１２と天井側ダクト１３とに分流（５０％、５０％）され、ショーケース側ダクト１２に流入した空気はケース下吹出口１４・・・からオープンショーケース３近傍の売り場２の床部に吹き出される（帰還）と共に、天井側ダクト１３に流入した空気は、冷暖房用空調機７の室内熱交換器１８と熱交換した後、天井吹出口１６、１６から売り場２の天井部に吹き出される（帰還）。
【００２５】
一方、再生ファン３４の運転によって再生空気取入部４１から吸引された外気（再生空気）は、再生ヒーター３６にて約＋１４０℃に加熱された後、更に、水分吸着素子３１の水分放出領域を通り抜け、再生ファン３４を経て再生空気排気部４２から外部に排出される。このとき、外気は水分吸着領域で水分吸着素子３１に吸着された水分を、水分吸着素子３１の水分放出領域にて受け取った後、外部に排出される。
【００２６】
即ち、水分吸着領域で水分吸着素子３１に吸着された水分は、水分吸着素子３１の回転によって水分放出領域に搬送され、そこで、再生ヒータ−３６により加熱された外気に吸収され、最終的に外部に排出される。これによって、供給空気ダクト８経て前述の如く売り場２内に吹き出される空気は除湿されるので、売り場２内は除湿され、湿度は低下若しくは湿度上昇が抑制されることになる。この場合、制御装置４６は各センサー３８、３９、４３、４４の出力に基づき、各ファン３３、３４や再生ヒーター３６、水分吸着素子３１の電動機を制御し、売り場２内を設定湿度に維持するものであるが、更に詳しく説明すると、制御装置４６は戻り空気湿度センサー３９の出力に基づき、売り場２内の湿度が設定より高い場合には再生ヒーター３６に通電し、低くなったら通電を停止する。また、外気取込装置３７については顧客が多くなる時間帯に開放して換気を行い、外気温が高い場合や逆に低い場合には閉じる制御を実行する。また、温度上昇した外気による加熱と水の凝縮熱によって水分吸着素子３１が温度上昇し、それによって水分吸着領域を通過した空気の温度は約＋４０℃程に昇温される。
【００２７】
このような水分吸着と放出作用は水分吸着素子３１の回転によって連続的に達成されるものである。また、送風ファン３３にて取り入れられた売り場２内の空気中の水分を水分吸着素子３１の水分吸着領域で受け取り、再生ファン３４にて流通される外気を水分放出領域にて加湿することで放出し、結果的に室内を除湿するので、通常のコンプレッサを用いた除湿器のように凝縮した水を廃棄する必要がない。
【００２８】
また、ケース下吹出口１４・・からオープンショーケース３近傍の売り場２の床部に吹き出される除湿後の空気は前述の如く除湿空調機６を通過する過程で暖められる。一方、オープンショーケース３からは庫内を冷却するための冷気がどうしても漏洩するため、その付近の床部は低温となり易いが、本発明ではケース下吹出口１４・・・から吹き出される暖められた除湿空気によって係る床部付近の温度低下を阻止若しくは緩和できる。これにより、顧客の足下が冷える不都合が解消若しくは抑制されるようになる。
【００２９】
他方、冷暖房用空調機７の制御装置は前述の如く売り場２内の温度に基づき、設定温度となるように室内熱交換器１８にて冷房作用と暖房作用とを発揮させる。これにより、天井部吹出口１６、１６から吹き出される除湿後の空気は、室内熱交換器１８にて温度調節されるので、売り場２内は温度と湿度を含めた総合的な空調が行われることになる。
【００３０】
ここで、冷暖房用空調機７の制御装置は売り場２内の温度が設定温度付近にある場合には冷房運転と暖房運転は停止される。この様子を図３上側のタイミングチャートに示している。更に、制御装置はこれに加えて図３下側のタイミングチャートに示す如く、冷房運転時と暖房運転時のみ前記天井供給モーターダンパ１７を開き、冷暖房運転が停止（ＯＦＦ）しているときはこのダンパ１７を閉じる。
【００３１】
これにより、冷暖房用空調機７による売り場２内空気の温度調節を停止する際には、天井供給モーターダンパ１７を閉鎖することにより、冷暖房を行わない場合の天井側ダクト１３への無駄な除湿空気の供給を停止して、ショーケース側ダクト１２へ空気を全て流すようにし、オープンショーケース３近傍の床部へ除湿空気を集中的に供給することができるようになる。
【００３２】
尚、実施例では天井供給モーターダンパ１７を冷暖房用空調機７の制御装置によって制御したが、それに限らず、手動によって任意に開閉できるようにしてもよい。係る構成によれば、オープンショーケース３近傍の床部の温度が著しく低くなる店舗においては、ショーケース側ダクト１２に集中的に除湿空気を供給して足下が低温となる不都合を改善することが可能となる。また、実施例では再生ヒーター３６によって結果的に温度が上がる水分吸着素子３１により売り場２内から吸引された空気を暖めたが、除湿空調機６の内気吐出部１１の前段に別途ヒーターを設けて供給空気ダクト８に吐出される空気を更に暖房してもよい。また、実施例では再生ヒーター３６を電気ヒーターにて構成したが、それに限らず、燃焼バーナーや温水を流す温水式加熱器などを使用してもよい。
【００３３】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明の空調システムによれば、オープンショーケースが設置された店舗において、水分吸着領域と水分放出領域とが定位置に構成され、前記水分吸着領域から水分放出領域へと移行するよう所定速度で回転される水分吸着素子を備えた回転型除湿装置と、内気吸引装置と、外気吸引装置とを備え、前記内気吸引装置にて吸引された前記店舗内の空気を、前記水分吸着素子の前記水分吸着領域に通した後、前記店舗内に帰還させ、且つ、前記外気吸引装置にて吸引された外気を加熱して前記水分放出領域に通した後、外部に排出する除湿空調装置と、該除湿空調装置と前記オープンショーケース近傍の床部を連通するショーケース側ダクトと、前記除湿空調装置と前記店舗内の天井部を連通する天井側ダクトと、該天井側ダクト内を流通する空気の温度調節を行う冷暖房装置とを備えているので、除湿空調装置の回転型除湿装置の水分吸着素子において連続的に除湿される店舗内の空気は、ショーケース側ダクトを介してオープンショーケース近傍の床部に供給されると共に、天井側ダクトを介して店舗内の天井部に供給されるようになる。
【００３４】
これにより、店舗内の空気の湿度調節を行うことができるようになる。特に、除湿空調装置においては水分吸着素子の温度が上昇するため、除湿される店舗内の空気も暖められることになるが、本発明ではこの暖められた除湿空気が、低温となり易いオープンショーケース近傍の床部に供給されるため、係る床部の温度低下を解消若しくは抑制し、顧客の足下のみが冷やされる不都合を改善できる。
【００３５】
また、天井部に供給される除湿空気は、冷暖房装置にて温度調節されるため、この天井部に供給される除湿空気によって店舗内の温度制御も行えるようになる。これらにより、別途空気調和機を設置すること無く、温度の湿度を含む総合的な店舗内空調を円滑に達成することが可能となるものである。
【００３６】
また、前記天井側ダクトへの空気の流通を阻止する開閉自在のダンパを備えるので、ダンパにより天井側ダクトへの空気流通を阻止すれば、ショーケース側ダクトに集中的に除湿空気を供給することができる。これにより、ショーケース近傍の床部の温度が著しく低くなる店舗においては、ショーケース側ダクトに集中的に除湿空気を供給して足下が低温となる不都合を改善することが可能となる。
【００３７】
この場合、前記冷暖房装置による冷房運転時と暖房運転時のみ前記ダンパを開き、冷暖房運転が停止しているときは該ダンパを閉じるので、冷暖房を行わない場合の天井側ダクトへの無駄な除湿空気の供給を停止して、ショーケース近傍の床部へ除湿空気を集中的に供給することができるようになるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の空調システムの構成図である。
【図２】 本発明の空調システムを構成する除湿空調機の内部構成図である。
【図３】 本発明の空調システムを構成する冷暖房用空調機の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
１ 空調システム
２ 売り場（店舗）
３ オープンショーケース（ショーケース）
６ 除湿空調機（除湿空調装置）
７ 冷暖房用空調機（冷暖房装置）
８ 供給空気ダクト
９ 戻り空気ダクト
１２ ショーケース側ダクト
１３ 天井側ダクト
１４ ショーケース下吹出口
１６ 天井吹出口
１７ 天井供給モーターダンパ（ダンパ）
１８ 室内熱交換器
２２ 天井吸込口
３１ 水分吸着素子
３２ 回転型除湿装置
３３ 送風ファン（内気吸引装置）
３４ 再生ファン（外気吸引装置）
３６ 再生ヒーター
【発明の属する技術分野】
本発明は、オープンショーケースが設置された店舗内の空調を行う空調システムに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来よりスーパーマーケットなどの店舗内にはオープンショーケースが複数台設置されており、各オープンショーケース内において冷凍食品や冷蔵食品を冷却しながら陳列販売している。また、店舗の天井部には空気調和機（エアコン）が設置され、店舗の室温調節を行っていた。
【０００３】
一方で、近年では回転型除湿装置を用いて室内の湿度制御を行う方法が開発されている。この回転型除湿装置は水分吸着領域と水分放出領域とが定位置に構成され、水分吸着領域から水分放出領域へと移行するよう所定速度で回転される水分吸着素子を備えており、水分吸着素子の水分吸着領域にて吸着した室内の水分を、水分放出領域に流通される加熱された外気に吸収させ、外気中に排出して室内の除湿を連続的に行うものである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来では係る除湿装置を店舗内の湿度制御のみに使用していたため、除湿装置と店舗の空気調和機とは何ら連携しておらず、除湿装置は店舗内の室温調節と全く関係無いところで運転されていた。そのため、温度と湿度を含む総合的な店舗内空調を行うことが困難な状況となっており、改善が望まれていた。
【０００５】
また、オープンショーケースからは庫内の冷却に使用される冷気が漏出するため、周囲の床部の温度は低下する傾向となるが、通常空気調和機は天井部に設置されるため、どうしてもこの床部の温度を補完することが難しく、顧客の足下が冷やされてしまう状況となっていた。
【０００６】
本発明は係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、オープンショーケースが設置された店舗内の温度と湿度を含めた総合的な空調を円滑に行うことができる空調システムを提供するものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明の空調システムは、オープンショーケースが設置された店舗において、水分吸着領域と水分放出領域とが定位置に構成され、前記水分吸着領域から水分放出領域へと移行するよう所定速度で回転される水分吸着素子を備えた回転型除湿装置と、内気吸引装置と、外気吸引装置とを備え、前記内気吸引装置にて吸引された前記店舗内の空気を、前記水分吸着素子の前記水分吸着領域に通した後、前記店舗内に帰還させ、且つ、前記外気吸引装置にて吸引された外気を加熱して前記水分放出領域に通した後、外部に排出する除湿空調装置と、該除湿空調装置と前記オープンショーケース近傍の床部を連通するショーケース側ダクトと、前記除湿空調装置と前記店舗内の天井部を連通する天井側ダクトと、該天井側ダクト内を流通する空気の温度調節を行う冷暖房装置と、前記天井側ダクトへの空気の流通を阻止する開閉自在のダンパとを備え、前記冷暖房装置による冷房運転時と暖房運転時のみ前記ダンパを開き、冷暖房運転が停止しているときは該ダンパを閉じることを特徴とする。
【０００８】
本発明の空調システムによれば、オープンショーケースが設置された店舗において、水分吸着領域と水分放出領域とが定位置に構成され、前記水分吸着領域から水分放出領域へと移行するよう所定速度で回転される水分吸着素子を備えた回転型除湿装置と、内気吸引装置と、外気吸引装置とを備え、前記内気吸引装置にて吸引された前記店舗内の空気を、前記水分吸着素子の前記水分吸着領域に通した後、前記店舗内に帰還させ、且つ、前記外気吸引装置にて吸引された外気を加熱して前記水分放出領域に通した後、外部に排出する除湿空調装置と、該除湿空調装置と前記オープンショーケース近傍の床部を連通するショーケース側ダクトと、前記除湿空調装置と前記店舗内の天井部を連通する天井側ダクトと、該天井側ダクト内を流通する空気の温度調節を行う冷暖房装置とを備えているので、除湿空調装置の回転型除湿装置の水分吸着素子において連続的に除湿される店舗内の空気は、ショーケース側ダクトを介してオープンショーケース近傍の床部に供給されると共に、天井側ダクトを介して店舗内の天井部に供給されるようになる。
【０００９】
これにより、店舗内の空気の湿度調節を行うことができるようになる。特に、除湿空調装置においては水分吸着素子の温度が上昇するため、除湿される店舗内の空気も暖められることになるが、本発明ではこの暖められた除湿空気が、低温となり易いオープンショーケース近傍の床部に供給されるため、係る床部の温度低下を解消若しくは抑制し、顧客の足下のみが冷やされる不都合を改善できる。
【００１０】
また、天井部に供給される除湿空気は、冷暖房装置にて温度調節されるため、この天井部に供給される除湿空気によって店舗内の温度制御も行えるようになる。これらにより、別途空気調和機を設置すること無く、温度の湿度を含む総合的な店舗内空調を円滑に達成することが可能となるものである。
【００１１】
また、前記天井側ダクトへの空気の流通を阻止する開閉自在のダンパを備えるので、ダンパにより天井側ダクトへの空気流通を阻止すれば、ショーケース側ダクトに集中的に除湿空気を供給することができる。これにより、ショーケース近傍の床部の温度が著しく低くなる店舗においては、ショーケース側ダクトに集中的に除湿空気を供給して足下が低温となる不都合を改善することが可能となる。
【００１２】
この場合、前記冷暖房装置による冷房運転時と暖房運転時のみ前記ダンパを開き、冷暖房運転が停止しているときは該ダンパを閉じるので、冷暖房を行わない場合の天井側ダクトへの無駄な除湿空気の供給を停止して、ショーケース近傍の床部へ除湿空気を集中的に供給することができるようになるものである。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。図１は本発明の空調システム１の構成図である。実施例の空調システム１は店舗の売り場２内に複数台のオープンショーケース３（図では連続して示すが、実際には複数台が連結されて設置されている）が設置されたスーパーマーケットに適用されるものであり、除湿空調装置としての除湿空調機６と、冷暖房装置としての冷暖房用空調機７と、供給空気ダクト８と戻り空気ダクト９などから構築される。
【００１４】
供給空気ダクト８は除湿空調機６の内気吐出部１１と売り場２内とを連通するように店舗に配管されており、途中においてショーケース側ダクト１２と天井側ダクト１３とに分岐している。このショーケース側ダクト１２はオープンショーケース３の近傍の売り場２内の床部に複数箇所形成されたケース下吹出口１４・・・にて売り場２内に開口しており、これにより、除湿空調機６とオープンショーケース３近傍の床部とを連通している。また、天井側ダクト１３は店舗の売り場２の天井に複数箇所形成された天井吹出口１６、１６にて売り場２内に開口しており、これにより、除湿空調機６と売り場２の天井部とを連通している。
【００１５】
この天井側ダクト１３の入口部（ショーケース側ダクト１２との分岐後の位置）には天井供給モーターダンパ１７が取り付けられており、この天井供給モーターダンパ１７を閉じることにより、天井側ダクト１３への空気の流通を阻止できるように構成されている。また、この天井側ダクト１３内には前記冷暖房用空調機７の室内熱交換器１８が配設され、天井側ダクト１３内を流通する空気の熱交換できるように構成されている。
【００１６】
戻り空気ダクト９は前記除湿空調機６の内気吸込部２１と店舗の売り場２の天井部とを連通するように店舗に配管されており、天井部に形成された複数の天井吸込口２２・・・にて売り場２内に開口している。
【００１７】
前記冷暖房用空調機７は、図示しないコンプレッサと室外熱交換器と減圧装置と前記室内熱交換器１８が四方弁を介して配管接続された可逆式の冷媒回路を備えたものであり、冷媒の循環方向を切り替えることによって、室内熱交換器１８において冷房作用を発揮する冷房運転を実行し、或いは、暖房作用を発揮する暖房運転を実行する。この冷暖房用空調機７の図示しない制御装置は前記売り場２内の温度に基づいて所定の設定温度（例えば＋１５℃〜＋２８℃の範囲で任意に設定可能）となるように室内熱交換器１８における冷暖房作用（冷暖房運転）を制御すると共に、前記天井供給モーターダンパ１７の開閉も制御するものである。
【００１８】
次に、図２は前記除湿空調機６の内部構成図を示している。除湿空調機６はデシカント空調機と称されるものであり、水分吸着素子３１を備える回転型除湿装置３２と、内気吸引装置としての送風ファン３３と、外気吸引装置としての再生ファン３４と、再生ヒーター（電気ヒーター）３６などから構成されている。内気ファン３３は運転されて前記内気吸込部２１から戻り空気ダクト９内の空気を吸引し、水分吸着素子３１の後述する水分吸着領域を通過させた後、前記内気吐出部１１より供給空気ダクト８に吐出する。３７は外気取込装置であり、送風ファン３３の吸込側に連通している。外気取込装置３７は常には閉じているが、開放することにより、送風ファン３３によって外気を取り込むことができるように構成されている。また、３８、３９は内気吸込部２１に設けられた戻り空気温度センサー、戻り空気湿度センサーであり、それぞれ戻り空気ダクト９から吸引される空気の温度と湿度を検出するものである。
【００１９】
一方、前記再生ファン３４は運転されて再生空気取入部４１から外気を吸引し、再生ヒーター３６、水分吸着素子３１の後述する水分放出領域とに順次通過させた後、再生空気排気部４２から外部に排出する。４３、４４は外気温センサー、外気湿度センサーであり、それぞれ外気の温度と湿度を検出するものである。４６は除湿空調機６の制御装置であり、前記戻り空気温度センサー３８、戻り空気湿度センサー３９、外気温センサー４３、外気湿度センサー４４などの出力に基づき、送風ファン３３、再生ファン３４、再生ヒーター３６、後述する電動機などの制御を行うものである。
【００２０】
ここで、前記水分吸着素子３１は所定厚さの円板形状を呈しており、図示しない前記電動機によって例えば１分間に約半回転するように駆動される。この水分吸着素子３１は、その中を空気が通過すると空気中に含まれている水分を吸着すると共に、吸着した水分は加熱された空気が水分吸着素子３１を通り抜けることにより、加熱された空気に水分を吸収させる受け渡し機能を備えている。
【００２１】
電動機により回転される水分吸着素子３１の周囲に設けられた空気通路は、図示しない領域仕切板にて仕切られて前記第１の空気通路と第２の空気通路とが構成され、第１の空気通路内に位置する水分吸着素子３１の部分を前記水分吸着領域、第２の空気通路に位置する水分吸着素子３１の部分を前記水分放出領域とされる。
【００２２】
そして、水分吸着素子３１のある部分に着目すると、電動機により回転されることにより、上記部分は水分吸着領域から水分放出領域に移行し、再び水分吸着領域に戻るサイクルが繰り返されるものである。尚、再生ファン３４で再生空気取入部４１から吸引された外気（再生空気）は再生ヒーター３６にて加熱された後、第２の空気通路から水分吸着素子３１の水分放出領域を通り抜けた後、再生空気排気部４２から外部に排出されるように構成されている。
【００２３】
以上の構成で次ぎに本発明の空調システム１の動作を説明する。除湿空調機６の制御装置４６は送風ファン３３、再生ファン３４、及び、水分吸着素子３１を駆動させる。そして、再生ヒーター３６を発熱させる。送風ファン３３の運転によって店舗の売り場２の天井部の空気は天井部吸込口２２・・・から戻り空気ダクト９に入り、内気吸込部２１から除湿空調機６内に吸引される。吸引された空気は送風ファン３３、第１の空気通路、水分吸着素子３１の水分吸着領域を経て内気吐出部１１から供給空気ダクト８内に吐出される。
【００２４】
このとき、空気中に含まれた水分は水分吸着領域となっている部分の水分吸着素子３１に吸着され、電動機による回転によって水分放出領域に搬送されることになる。また、供給空気ダクト８内に吐出された除湿後の乾燥空気は、天井供給モーターダンパ１７が開放している状態でショーケース側ダクト１２と天井側ダクト１３とに分流（５０％、５０％）され、ショーケース側ダクト１２に流入した空気はケース下吹出口１４・・・からオープンショーケース３近傍の売り場２の床部に吹き出される（帰還）と共に、天井側ダクト１３に流入した空気は、冷暖房用空調機７の室内熱交換器１８と熱交換した後、天井吹出口１６、１６から売り場２の天井部に吹き出される（帰還）。
【００２５】
一方、再生ファン３４の運転によって再生空気取入部４１から吸引された外気（再生空気）は、再生ヒーター３６にて約＋１４０℃に加熱された後、更に、水分吸着素子３１の水分放出領域を通り抜け、再生ファン３４を経て再生空気排気部４２から外部に排出される。このとき、外気は水分吸着領域で水分吸着素子３１に吸着された水分を、水分吸着素子３１の水分放出領域にて受け取った後、外部に排出される。
【００２６】
即ち、水分吸着領域で水分吸着素子３１に吸着された水分は、水分吸着素子３１の回転によって水分放出領域に搬送され、そこで、再生ヒータ−３６により加熱された外気に吸収され、最終的に外部に排出される。これによって、供給空気ダクト８経て前述の如く売り場２内に吹き出される空気は除湿されるので、売り場２内は除湿され、湿度は低下若しくは湿度上昇が抑制されることになる。この場合、制御装置４６は各センサー３８、３９、４３、４４の出力に基づき、各ファン３３、３４や再生ヒーター３６、水分吸着素子３１の電動機を制御し、売り場２内を設定湿度に維持するものであるが、更に詳しく説明すると、制御装置４６は戻り空気湿度センサー３９の出力に基づき、売り場２内の湿度が設定より高い場合には再生ヒーター３６に通電し、低くなったら通電を停止する。また、外気取込装置３７については顧客が多くなる時間帯に開放して換気を行い、外気温が高い場合や逆に低い場合には閉じる制御を実行する。また、温度上昇した外気による加熱と水の凝縮熱によって水分吸着素子３１が温度上昇し、それによって水分吸着領域を通過した空気の温度は約＋４０℃程に昇温される。
【００２７】
このような水分吸着と放出作用は水分吸着素子３１の回転によって連続的に達成されるものである。また、送風ファン３３にて取り入れられた売り場２内の空気中の水分を水分吸着素子３１の水分吸着領域で受け取り、再生ファン３４にて流通される外気を水分放出領域にて加湿することで放出し、結果的に室内を除湿するので、通常のコンプレッサを用いた除湿器のように凝縮した水を廃棄する必要がない。
【００２８】
また、ケース下吹出口１４・・からオープンショーケース３近傍の売り場２の床部に吹き出される除湿後の空気は前述の如く除湿空調機６を通過する過程で暖められる。一方、オープンショーケース３からは庫内を冷却するための冷気がどうしても漏洩するため、その付近の床部は低温となり易いが、本発明ではケース下吹出口１４・・・から吹き出される暖められた除湿空気によって係る床部付近の温度低下を阻止若しくは緩和できる。これにより、顧客の足下が冷える不都合が解消若しくは抑制されるようになる。
【００２９】
他方、冷暖房用空調機７の制御装置は前述の如く売り場２内の温度に基づき、設定温度となるように室内熱交換器１８にて冷房作用と暖房作用とを発揮させる。これにより、天井部吹出口１６、１６から吹き出される除湿後の空気は、室内熱交換器１８にて温度調節されるので、売り場２内は温度と湿度を含めた総合的な空調が行われることになる。
【００３０】
ここで、冷暖房用空調機７の制御装置は売り場２内の温度が設定温度付近にある場合には冷房運転と暖房運転は停止される。この様子を図３上側のタイミングチャートに示している。更に、制御装置はこれに加えて図３下側のタイミングチャートに示す如く、冷房運転時と暖房運転時のみ前記天井供給モーターダンパ１７を開き、冷暖房運転が停止（ＯＦＦ）しているときはこのダンパ１７を閉じる。
【００３１】
これにより、冷暖房用空調機７による売り場２内空気の温度調節を停止する際には、天井供給モーターダンパ１７を閉鎖することにより、冷暖房を行わない場合の天井側ダクト１３への無駄な除湿空気の供給を停止して、ショーケース側ダクト１２へ空気を全て流すようにし、オープンショーケース３近傍の床部へ除湿空気を集中的に供給することができるようになる。
【００３２】
尚、実施例では天井供給モーターダンパ１７を冷暖房用空調機７の制御装置によって制御したが、それに限らず、手動によって任意に開閉できるようにしてもよい。係る構成によれば、オープンショーケース３近傍の床部の温度が著しく低くなる店舗においては、ショーケース側ダクト１２に集中的に除湿空気を供給して足下が低温となる不都合を改善することが可能となる。また、実施例では再生ヒーター３６によって結果的に温度が上がる水分吸着素子３１により売り場２内から吸引された空気を暖めたが、除湿空調機６の内気吐出部１１の前段に別途ヒーターを設けて供給空気ダクト８に吐出される空気を更に暖房してもよい。また、実施例では再生ヒーター３６を電気ヒーターにて構成したが、それに限らず、燃焼バーナーや温水を流す温水式加熱器などを使用してもよい。
【００３３】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明の空調システムによれば、オープンショーケースが設置された店舗において、水分吸着領域と水分放出領域とが定位置に構成され、前記水分吸着領域から水分放出領域へと移行するよう所定速度で回転される水分吸着素子を備えた回転型除湿装置と、内気吸引装置と、外気吸引装置とを備え、前記内気吸引装置にて吸引された前記店舗内の空気を、前記水分吸着素子の前記水分吸着領域に通した後、前記店舗内に帰還させ、且つ、前記外気吸引装置にて吸引された外気を加熱して前記水分放出領域に通した後、外部に排出する除湿空調装置と、該除湿空調装置と前記オープンショーケース近傍の床部を連通するショーケース側ダクトと、前記除湿空調装置と前記店舗内の天井部を連通する天井側ダクトと、該天井側ダクト内を流通する空気の温度調節を行う冷暖房装置とを備えているので、除湿空調装置の回転型除湿装置の水分吸着素子において連続的に除湿される店舗内の空気は、ショーケース側ダクトを介してオープンショーケース近傍の床部に供給されると共に、天井側ダクトを介して店舗内の天井部に供給されるようになる。
【００３４】
これにより、店舗内の空気の湿度調節を行うことができるようになる。特に、除湿空調装置においては水分吸着素子の温度が上昇するため、除湿される店舗内の空気も暖められることになるが、本発明ではこの暖められた除湿空気が、低温となり易いオープンショーケース近傍の床部に供給されるため、係る床部の温度低下を解消若しくは抑制し、顧客の足下のみが冷やされる不都合を改善できる。
【００３５】
また、天井部に供給される除湿空気は、冷暖房装置にて温度調節されるため、この天井部に供給される除湿空気によって店舗内の温度制御も行えるようになる。これらにより、別途空気調和機を設置すること無く、温度の湿度を含む総合的な店舗内空調を円滑に達成することが可能となるものである。
【００３６】
また、前記天井側ダクトへの空気の流通を阻止する開閉自在のダンパを備えるので、ダンパにより天井側ダクトへの空気流通を阻止すれば、ショーケース側ダクトに集中的に除湿空気を供給することができる。これにより、ショーケース近傍の床部の温度が著しく低くなる店舗においては、ショーケース側ダクトに集中的に除湿空気を供給して足下が低温となる不都合を改善することが可能となる。
【００３７】
この場合、前記冷暖房装置による冷房運転時と暖房運転時のみ前記ダンパを開き、冷暖房運転が停止しているときは該ダンパを閉じるので、冷暖房を行わない場合の天井側ダクトへの無駄な除湿空気の供給を停止して、ショーケース近傍の床部へ除湿空気を集中的に供給することができるようになるものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の空調システムの構成図である。
【図２】 本発明の空調システムを構成する除湿空調機の内部構成図である。
【図３】 本発明の空調システムを構成する冷暖房用空調機の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
１ 空調システム
２ 売り場（店舗）
３ オープンショーケース（ショーケース）
６ 除湿空調機（除湿空調装置）
７ 冷暖房用空調機（冷暖房装置）
８ 供給空気ダクト
９ 戻り空気ダクト
１２ ショーケース側ダクト
１３ 天井側ダクト
１４ ショーケース下吹出口
１６ 天井吹出口
１７ 天井供給モーターダンパ（ダンパ）
１８ 室内熱交換器
２２ 天井吸込口
３１ 水分吸着素子
３２ 回転型除湿装置
３３ 送風ファン（内気吸引装置）
３４ 再生ファン（外気吸引装置）
３６ 再生ヒーター
Claims (1)
- オープンショーケースが設置された店舗において、
水分吸着領域と水分放出領域とが定位置に構成され、前記水分吸着領域から水分放出領域へと移行するよう所定速度で回転される水分吸着素子を備えた回転型除湿装置と、内気吸引装置と、外気吸引装置とを備え、前記内気吸引装置にて吸引された前記店舗内の空気を、前記水分吸着素子の前記水分吸着領域に通した後、前記店舗内に帰還させ、且つ、前記外気吸引装置にて吸引された外気を加熱して前記水分放出領域に通した後、外部に排出する除湿空調装置と、
該除湿空調装置と前記オープンショーケース近傍の床部を連通するショーケース側ダクトと、
前記除湿空調装置と前記店舗内の天井部を連通する天井側ダクトと、
該天井側ダクト内を流通する空気の温度調節を行う冷暖房装置と、
前記天井側ダクトへの空気の流通を阻止する開閉自在のダンパとを備え、
前記冷暖房装置による冷房運転時と暖房運転時のみ前記ダンパを開き、冷暖房運転が停止しているときは該ダンパを閉じることを特徴とする空調システム。
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