JP4507145B2 - 超音波加湿器の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ショーケース内の精肉、魚の切身、洋菓子、サラダバー、惣菜などを、長時間に亘って新鮮度を維持しながら保存できる、超音波加湿器の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波加湿器は、水を数ミクロン程度の微細な霧状にして噴霧することができる野菜や果物などの保冷庫用加湿器としてよく利用されている。この超音波加湿器では、霧が蒸発するときに蒸発潜熱を奪うため、室温を下げる効果があり、冷凍機の負荷とならず、さらに青果物の表面から水分が蒸散するのを防止する効果があり、この結果、保存中の青果物の目減りを防止しながら、新鮮度を長く保つことができる。
【0003】
野菜や果物の冷蔵保存には、一般に、水道水をそのまま超音波加湿器に給水して、前記のような加湿を行う。ところが、水道水は蒸発すると、水の中に含有されているカルシウムやマグネシウム、その他のミラネル物質が析出し、室内に散布されると、調度品の表面等に白い粉末状の物質が付着して、堆積することがある。もし、室内に高価な絵画等の美術品があったり、高級毛皮や衣類があると、それらを汚す原因となる。
【0004】
また、コンピュータ等の部品を製造する工場の、塵埃を嫌うようなクリーンルームでの加湿には、水道水を用いた超音波加湿器は不向きとされている。そのような場合には、一般的に、水は純水器を通して処理されたものが使用される。純度の高い水を使用することにより、塵埃を嫌う場所の加湿が行えるようになる。しかし、純水器を通すと水道水に含有されていた塩素までも除去されるため、大腸菌などの雑菌に対する殺菌効力が消失してしまう。もし、長時間運転を停止した場合には、水槽内の水に雑菌が繁殖することとなり、衛生上好ましくない。
【0005】
これに対し、運転停止後は水を抜くことにより残留水に雑菌が繁殖しないように処置することができる。また、最近では、電源を切れば自動的に加湿器内の水を排水する排水弁付きのものがある。また、24時間連続運転を必要とする室内で、運転−停止制御を湿度調節手段を用いて行っているものがある。これによれば停止時間の長さが不規則になるために雑菌が繁殖しやすくなる。これの予防として、UVランプを加湿器の水槽の中に水没させて、運転停止中も殺菌するなどの対策が施されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような超音波加湿器にUVランプを用いた雑菌の殺菌方法は、水槽内の水の殺菌には効果があるものの、直接紫外線の当たらない部分については、殺菌効果が得られないという不具合があった。
【0007】
例えば、近年、レストランのサラダバーで、生野菜等に加湿器からの霧を噴霧したり、肉や魚の切身などの生ものを陳列しているショーケースの内部に、超音波加湿器で発生した霧を噴霧ノズルなどを用いて、適所に噴霧させるケースがある。この場合においては水に含まれる鉱物質の析出を嫌うため、純水を使用する場合があるが、このような場合に前記UVランプを組込んでも、噴霧ノズルやこれに接続されるフレキシブルホースの内部に繁殖した雑菌を殺菌することができないという問題があった。
【0008】
すなわち、フレキシブルホースや噴霧ノズルの内側は、超音波加湿器の運転により発生した霧が通過するため、常時内部は湿潤状態となり、そこへ霧を圧送するための送風機により外部からの空気を送り込むと、その空気に含まれる埃、かびやバクテリアなどの微生物がそのフレキシブルホース等の内部に付着して繁殖することとなり、ショーケース内の生ものへの加湿に対する衛生上の問題が指摘されている。このように、超音波加湿による生ものへの噴霧の品質保持に対する効果は大きいものの、前記の理由から、さらに衛生上安心して使用するためには完全さが求められている。
【0009】
本発明は前記のような問題を解決するものであり、ヒータにより水槽中の水を加熱沸騰させ、発生した高温の蒸気をフレキシブルホースや噴霧ノズルを通過させることにより、加湿器本体内部の細部の殺菌処理を確実に行うことができる超音波加湿器の制御方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的達成のために、本発明にかかる超音波加湿器の制御方法は、超音波振動子が設置された密閉型の水槽内に水が第1の水位まで給水されると超音波振動子を作動して、噴霧ノズル管の噴霧ノズルから霧を発生させて超音波加湿を開始する超音波加湿工程と、該超音波加湿工程において、前記水位がさらに第2の水位に上昇すると前記給水を停止し、前記霧の発生によって第3の水位に低下すると給水を再開する給水制御工程と、前記超音波加湿工程の停止時に、前記水槽内のヒータにより水を加熱沸騰させて、水槽内に発生した蒸気を前記噴霧ノズルから噴出させる蒸気の噴出工程と、前記蒸気の温度が設定値に上昇すると、一定時間遅れて前記ヒータの電源をオフにし、水槽内の水を排出した後、前記水槽内への給水を再開して前記超音波加湿を再開する超音波加湿再開工程とを実施するようにしたものである。
【0014】
また、本発明の他の実施の形態における超音波加湿器の制御方法は、前記超音波加湿工程の停止後設定時間になると、水槽への給水を行い、設定水位に達すると同時にヒータにより水を加熱沸騰させ、水槽内に発生した蒸気を前記噴霧ノズルから噴出させるようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図について説明する。図1は本発明の超音波加湿器の構成を概念的に示す断面図であり、同図において、1は水Wを貯溜する密閉型の水槽で、この水槽1の底部には超音波を発生する超音波振動子2が取り付けられている。また、この水槽1内の底部であって、超音波振動子2による霧化動作の邪魔にならない位置には、水中ヒータなどのヒータ3が配置されている。
【0016】
このヒータ3は抵抗式のシーズヒータを絶縁処理して使用することもできるがパンクや火災の心配がない水中ヒータを使用することが、望ましい。この水中ヒータは低温度ヒータであるため、空焚状態においても超音波加湿器に発熱によるダメージを与えることがなく、安全である。このヒータ3は水を加熱沸騰させることで、この水の殺菌を行う。
【0017】
また、4は水槽1付近に設置された送風機であり、この送風機4の風を導く送風ダクト5端が水槽1の上部板1aを貫通して、下方に向けて開口している。なお、この送風ダクト5端である空気吹出口5aは、後述の水位L4より下方位置に開口している。この送風機4は霧化作用により発生した霧を後述のフレキシブルホース14へ送出する。
【0018】
さらに、水槽1の底部には排水弁6を持った排水管7が連結され、また、その付近の側板には給水弁8aを持った給水管8が設けられ、さらにその側板の略中位部付近にはトラップ10を持ったオーバフロー管9が連結されている。また、水槽1の内部には、水位L1、L2、L3、L4(L1<L2<L3<L4)をそれぞれ検出して信号を出力するフロートタイプの水位センサ11、12、13が配置されている。
【0019】
14は水槽1に連通し、これの上部板1aに連結されたフレキシブルホース、15はこのフレキシブルホース14端に連結された噴霧ノズル管、15aは噴霧ノズル管15に設けられた複数の噴霧ノズルである。噴霧ノズル管15は、精肉陳列用などのショーケース16の底部に取り付けられて、噴霧ノズル15a部分がショーケース16の内部に露出している。
【0020】
すなわち、ショーケース16は冷凍サイクルを構成する冷却コイル16aを収容する図2に示すような冷却気ダクト16bを有し、前記噴霧ノズル管15の先端部がその冷却気ダクト16b内に露出して、冷却気内に霧を導入可能にしている。
【0021】
また、17は電源スイッチ18および自動運転スイッチ19を備えた制御盤、20は噴霧ノズル管15内に取り付けられた温度センサ、21はオゾンを発生するオゾン発生器で、このオゾンはパイプ22を通して送風ダクト5内に先端部を臨ませたオゾン散布ノズル23から、送風ダクト5内を通過する空気中に散布,混合可能とされている。
【0022】
次に動作について説明する。まず、制御盤17上の電源スイッチ18を投入する。これにより、排水管7に接続されて、これまで開いていた排水弁6が閉じられる。このとき、後から実施される加熱殺菌する時刻を決めて、タイマ(図示しない)にセットしておく。なお、このタイマは前記制御盤17の前記電源スイッチ18のON、OFFとは関係を有せず、独立した電源によって作動させられ、前記電源スイッチ18をOFFにしても一度設定した加熱殺菌時間を変更しないかぎりON状態が継続される。
【0023】
次に、制御盤17上の自動運転スイッチ19を投入する。これにより、給水弁8aが開かれて給水管8から水槽1内に給水が行われ、水位が水位L1に達すると、水位センサ11がこれを検出して信号を出力し、この信号を受けた制御盤17は超音波振動子2に駆動電流を供給し、超音波加湿を開始させる。
【0024】
さらに、前記給水が継続され、水位が水位L2を超えてL3に達すると、水位センサ12はこれを検出して信号を出力し、この信号にもとづいて制御盤17は前記給水弁8aを閉じさせ、給水を停止する。
【0025】
このときの超音波加湿動作では、超音波振動子が水槽1内の水に超音波振動を与えて、水面から霧を発生させるため、低下していき、水位がL2まで低下すると、水位センサ12からの信号を受けて制御盤17は再び給水弁8aを開かせて給水を再開する。そして、再び水位L3に達すると、この給水を停止する。つまり、超音波加湿運転中は、常時、水位が水位L2と水位L3の間に保たれる。
【0026】
このような超音波加湿動作中においては、制御盤17は送風機4に駆動信号を出力する。この送風機4の駆動によって、送風ダクト5を通じ水槽1には空気が圧送されるため、超音波振動子2の振動によりフレキシブルホース14付近にて水面が立ち上がり、霧化した霧が、強制的にフレキシブルホース14および噴霧ノズル管15を通って噴霧ノズル15aから噴射される。
【0027】
こうして、噴霧ノズル15aから噴出された霧は、図2に示す冷却気ダクト16b内の冷却気に混合されて、ショーケース16内に送出され、内部に陳列された精肉などの食品に噴射される。このため、この精肉などは、常に適正な湿潤状態に保たれる。
【0028】
次に、前記タイマ設定した時刻になると、制御盤17は前記のような超音波加湿運転を停止する。これにより、水位L2、水位L3間の保持モードも解除されて、前記給水によって水位が水位L4に達する。このとき、水位センサ13はこれを検出して、この検出信号にもとづいて制御盤17はヒータ3に電流を供給する。
【0029】
前記水位が水位L4に達した場合には、送風機4に接続された送風ダクト5端の空気吹出口5aは水没状態となり、この空気吹出口5aを通じての水槽1内への外気の侵入が阻止される。つまり、水槽1が噴霧ノズル管15側を除いて密閉状態が維持される。
【0030】
一方、前記のようにヒータ3に電流が供給されると、ヒータ3は加熱され、水槽1内の水が沸騰を始め蒸気を発生する。この蒸気は自身の蒸気圧により、一つしかない出口であるフレキシブルホース14を通って噴霧ノズル管15の噴霧ノズル15aから外へ噴き出す。これにより、フレキシブルホース14、噴霧ノズル管15および噴霧ノズル15a内の殺菌処理が行われる。
【0031】
こうして、噴霧ノズル管15内の温度が殺菌に十分な温度、例えば90℃になったことを温度センサ20が検知すると、この検知信号にもとづいて制御盤17がヒータ3への電流供給を停止させる。なお、殺菌を確実にするため、90℃に達した後、設定時間遅れて電流供給を停止するような遅延動作をさせることは任意である。
【0032】
そして、前記のようにヒータ3への電流が停止されると、制御盤17はさらに排水弁6を開かせて、水槽1内の水を空にして、水槽1内のゴミや汚れを除去するとともに、タイマ設定による所定時間後、排水弁6を閉じて給水を再開して、前記の超音波加湿制御が再び繰り返されることとなる。
【0033】
なお、昼間の営業時間中は超音波加湿動作を行わせ、夜間などに超音波加湿を停止させる場合には、自動運転スイッチ19をオフにする。このときは、電源スイッチ18はオン状態にあり、前記タイマ動作が継続しているため、タイマで設定した時刻になると給水が行われ、水位がL4に達すると同時に、ヒータ3に通電が行われる。このため、再び、水槽1内の水は沸騰し、発生した蒸気がフレキシブルホース14および噴霧ノズル管15を通って噴霧ノズル15aから噴出される。これにより、これらの加熱消毒が前記同様にして行われる。なお、営業時間中、加湿を行わない場合でも、加熱殺菌は行う。
【0034】
また、噴霧ノズル管15内の温度が殺菌に十分な温度、例えば90℃に達すると、ヒータ3への電流供給が停止され、排水弁6が開かれて水位が下がり、やがて水槽1内の水は冷えていく。ここで、このまま自動運転スイッチ19がオンにならなければ、再度タイマで設定した時刻になると給水が行われ、続いてヒータによる蒸気の発生とこれによるフレキシブルホース14や噴霧ノズル15の消毒が行われる。
【0035】
なお、肺炎を惹き起すといわれているレジオネラ属菌は65℃で死滅し、他の雑菌やカビ類も100℃近くの蒸気で、短時間で完全に死滅することが知られている。
【0036】
つまり、1日1回は水の沸騰による殺菌動作と、水位を水位L4から水位L2に変化させる排水動作とが行われる。従って、自動運転スイッチ19が朝の仕事開始時などにオンされると、直ちに超音波加湿が再開され、水位が水位L2から水位L3の間に保たれる。
【0037】
なお、超音波加湿時に、送風ダクト5内にオゾン発生器21で発生したオゾンを注入することにより、送風ダクト5から水槽1内およびフレキシブルホース14内に送出される空気の消毒を十分に行うことができる。これにより、フレキシブルホース14、噴霧ノズル管15および噴霧ノズル15aの消毒をさらに確実に行うことができる。
【0038】
なお、前記ショーケース16内に湿度センサを設けた場合には、このショーケース16内の湿度状況に応じた信号により、目標とする最適の加湿状態となる超音波加湿制御を実現できる。なお、霧の発生量を、ボリューム操作によって無段階調整可能とすることは任意である。前記実施の形態ではスイッチを電源スイッチ18と自動運転スイッチ19の2個設けたが、手動で水槽1内の水を排水させるには、自動−手動モード切り換え用のスイッチがもう1個必要となる。
【0039】
さらに、前記電源スイッチ18をOFFにすると前記排水弁6が開かれ排水されるため長時間、運転を停止する場合、必然的に雑菌の繁殖が防止される。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、超音波振動子が設置された密閉型の水槽内に水が第1の水位まで給水されると超音波振動子を作動して、噴霧ノズル管の噴霧ノズルから霧を発生させて超音波加湿を開始する超音波加湿工程と、この超音波加湿工程において、前記水位がさらに第2の水位に上昇すると前記給水を停止し、前記霧の発生によって第3の水位に低下すると給水を再開する給水制御工程と、前記超音波加湿工程の停止時に、前記水槽内のヒータにより水を加熱沸騰させて、水槽内に発生した蒸気を前記噴霧ノズルから噴出させる蒸気の噴出工程と、前記蒸気の温度が設定値に上昇すると、一定時間遅れて前記ヒータの電源をオフにし、水槽内の水を排出した後、前記水槽内への給水を再開して、前記超音波加湿を再開する超音波加湿再開工程とを実施するようにしたので、高温の蒸気によるフレキシブルホース、噴霧ノズル管および噴霧ノズルの消毒を適時に十分に行った上で超音波振動子の作動により発生した霧を、前記フレキシブルホース等へ通すことができ、従ってその霧によるショーケース内の各種食品を完全な衛生状態を保ったまま、これらに適切な湿潤処理を加えることができるという効果が得られる。
【0044】
また、本発明の他の実施の形態によれば、前記超音波加湿工程の停止後設定時間になると、水槽への給水を行い、設定水位に達すると同時にヒータにより水を加熱沸騰させ、水槽内に発生した蒸気を前記噴霧ノズルから噴出させるようにしたので、タイマ設定時刻、設定温度および設定水位にて超音波加湿制御および蒸気消毒制御を安全かつ自動的に実施できるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態による超音波加湿器を概念的に示す断面図である。
【図2】本発明をショーケースに設置した例を示す概念図である。
【図3】図1における超音波加湿器の霧化時の状況を概念的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 水槽
2 超音波振動子
3 ヒータ
4 送風機
14 フレキシブルホース
15 噴霧ノズル管
15a 噴霧ノズル
16 ショーケース
21 オゾン発生器
Claims (2)
- 超音波振動子が設置された密閉型の水槽内に水が第1の水位まで給水されると超音波振動子を作動して、噴霧ノズル管の噴霧ノズルから霧を発生させて超音波加湿を開始する超音波加湿工程と、該超音波加湿工程において前記水位がさらに第2の水位に上昇すると前記給水を停止し、前記霧の発生によって第3の水位に低下すると給水を再開する給水制御工程と、前記超音波加湿工程の停止時に、前記水槽内のヒータにより水を加熱沸騰させて、水槽内に発生した蒸気を前記噴霧ノズルから噴出させる蒸気の噴出工程と、前記蒸気の温度が設定値に上昇すると、一定時間遅れて前記ヒータの電源をオフにし、水槽内の水を排出した後、水槽内への給水を再開して、前記超音波加湿を再開する超音波加湿再開工程とを実施する超音波加湿器の制御方法。
- 前記超音波加湿工程の停止後設定時間になると、水槽への給水を行い、設定水位に達すると同時にヒータにより水を加熱沸騰させ、水槽内に発生した蒸気を前記噴霧ノズルから噴出させることを特徴とする請求項1に記載の超音波加湿器の制御方法。
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