JP4507131B1 - ポリエステル組成物およびポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物などの重縮合触媒を主成分としない、新規なポリエステル重縮合触媒を用いて製造された、十分な重合度と熱安定性を有し、無機粒子の凝集が抑制されたポリエステルであり、ポリエステルフィルム等に用いた場合に、フィルターの詰りが少なく、滑り性や走行性、耐摩耗性に優れ、フィルム上の欠点や異物による品質の低下の少ないポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】アルミニウム化合物と、リチウム化合物を含有する重縮合触媒を用いて重合されたポリエステル組成物であり、平均粒子径が0.5〜3.0μmである不活性無機粒子を0.01〜1.0重量%含有し、10μm以上の粗大粒子の数が1000個/mm以下であることを特徴とするポリエステル組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なポリエステル重縮合触媒を用いて重合されたポリエステル組成物及びそれを主たる構成成分とする配向ポリエステルフィルムに関するものであり、さらに詳しくは、ゲルマニウム、アンチモン化合物を触媒主成分として用いない、新規のアルミニウム系重縮合触媒を用いて重合されたポリエステル組成物及びそれを主たる構成成分とする配向ポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエステルは、機械的特性、及び化学的特性に優れており、それぞれのポリエステルの特性に応じて、例えば、衣料用や産業資材用の繊維、包装用や工業用などの各種フィルムやシート、ボトルやエンジニアリングプラスチックなどの成型物など、各種分野において広範囲に使用されている。
代表的なポリエステルである芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールを主構成成分とするポリエステルは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)の場合には、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル化もしくはエステル交換によってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造し、これを高温、真空下で触媒を用いて重縮合する重縮合法等により、工業的に製造されている。
従来から、このようなポリエステルの重縮合時に用いられるポリエステル重合触媒としては、三酸化アンチモンが広く用いられている。三酸化アンチモンは、安価で、かつ優れた触媒活性をもつ重縮合触媒であるが、これを主成分、即ち、実用的な重合速度が発揮される程度の添加量にて使用すると、重縮合時に金属アンチモンが析出し、ポリエステルの外観が黒ずむため好ましくない。また、金属アンチモンに起因する異物が生じ、欠点の要求が厳しい用途では好ましくない。そのため、アンチモンを触媒主成分として含まないポリエステルが望まれている。
なお、フィルム用として用いられる場合、ポリエステル中の金属アンチモンの析出は、溶融押出し時のダイス口金汚れの原因になるだけでなく、フィルムの表面欠点の原因にもなる。また、透明性や色調の要求が厳しい用途では、さらなる改善が求められている。
上記の問題を解決する方法として、重縮合触媒として三酸化アンチモンを用いて、かつPETの黒ずみや異物の発生を抑制する試みが行われている。例えば、特許文献1においては、重縮合触媒として三酸化アンチモンとビスマスおよびセレンの化合物を用いることで、PET中の黒色異物の生成を抑制している。また、特許文献2においては、重縮合触媒としてナトリウムおよび鉄の酸化物を含有する三酸化アンチモンを用いると、金属アンチモンの析出が抑制されることを述べている。ところが、これらの重縮合触媒では、結局ポリエステル中のアンチモンの含有量を低減するという目的は達成できない。
三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒に代わる重縮合触媒の検討も行われており、テトラアルコキシチタネートに代表されるチタン化合物やスズ化合物がすでに提案されている。しかしながら、これらを用いて製造されたポリエステルは溶融成形時に熱劣化を受けやすく、またポリエステルが著しく着色するという問題点を有する。
このような、チタン化合物を重縮合触媒として用いたときの問題点を克服する試みとして、例えば、特許文献3では、テトラアルコキシチタネートをコバルト塩およびカルシウム塩と同時に用いる方法が提案されている。また、特許文献4によると、重縮合触媒としてテトラアルコキシチタネートをコバルト化合物と同時に用い、かつ蛍光増白剤を用いる方法が提案されている。ところが、これらの技術では、テトラアルコキシチタネートを重縮合触媒として用いたときのPETの着色は低減されるものの、PETの熱分解を効果的に抑制することは達成されていない。
チタン化合物を重縮合触媒として用いて重合したポリエステルの溶融成形時の熱劣化を抑制する他の試みとして、例えば、特許文献5では、チタン化合物を触媒としてポリエステルを重合した後にリン系化合物を添加する方法が開示されている。しかし、重合後のポリマーに添加剤を効果的に混ぜ込むことは技術的に困難であるばかりでなく、コストアップにもつながり実用化されていないのが現状である。
アンチモン化合物以外で優れた触媒活性を有しかつ上記の問題を有しないポリエステルを与える重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物がすでに実用化されているが、この触媒は非常に高価であるという問題点や、重合中に反応系から外へ留出しやすいため反応系の触媒濃度が変化し重合の制御が困難であるという課題を有しており、触媒主成分として使用することには問題がある。
アルミニウム化合物にアルカリ金属化合物を併用して十分な触媒活性を有するポリエステル重縮合触媒とする技術が開示されている(例えば、特許文献6、7、8、9、10参照)。上記の重縮合触媒を使用すると十分に満足できる重合度をもったポリエステルを比較的効率良く重合することができ、経済的にも有利な方法といえる。特許文献8には、ポリエステルの高い触媒活性に加え特定の遷移金属元素の窒化物、ホウ化物、炭化物を加えることにより色調を改善する技術が開示されている。また、特許文献9には、アルミニウムおよびアルカリ土類金属またはアルカリ金属に加えて、リン化合物を添加することにより色調を改善する技術が開示されている。また、特許文献10には、アルミニウムおよびアルカリ金属化合物に加え、マグネシウム化合物または特定の有機リン化合物を添加することにより色調を改善する技術が開示されている。
フィルム用のポリエステルにはフィルムを重ね合わせたときにフィルムが密着し、いわゆるブロッキングを起こしたり、ロール状のフィルムを加工する際にガイドロール等との滑り性の不良により傷などの欠陥が生じたりする問題がある。このようなフィルムの取り扱い上の問題を解決するために、ポリエステル内部に無機粒子等の不活性粒子を含有させる技術が用いられている。ポリエステル内部に無機粒子等を含有させる方法としては、ポリエステル重合時の任意の段階で無機粒子等を添加する方法と、出来上がったポリエステル樹脂に無機粒子等を後から溶融混練により含有させる方法があるが、無機粒子の分散性の点では重合時添加が好ましい。しかし、重合時添加の場合においてさえ、無機粒子の凝集は避けられない問題である。そのため、無機粒子の特性や、重合時の粒子の添加方法などに様々な工夫がなされてきた(例えば、特許文献11、12、13参照)。上記公報によれば、無機粒子の凝集を防ぐための最善の方法としては、無機粒子に表面処理を施したうえで、さらに重縮合触媒と無機粒子を別々に分けて添加、さらに粒子自体も細かく分けて添加することが有効であると報告されている。
本発明者らは、上記特許文献6、7の重縮合触媒技術に加え、従来のSb触媒での凝集防止を考慮した重合技術を用いてポリエステルの重合を試みたところ、従来の知見に反してかえって無機粒子の凝集の問題が顕著化することが確認された。すなわち、アルミニウム化合物、アルカリ金属化合物からなる重縮合触媒を用いてポリエステルを重合する際、前期触媒の添加と無機粒子の添加を分離して重合すると、無機粒子の著しい凝集が発生することを確認した。この問題を解決することが重要な課題となることを初めて認識した。
一方では、アルミニウム化合物に特定のリン化合物を添加して十分な触媒活性を有するポリエステル重縮合触媒とする技術も公知である(例えば、特許文献14参照)。しかし、上記のポリエステル重縮合触媒を使用すると熱安定性に優れたポリエステルが得られるが、無機粒子を添加すると触媒活性が低下する傾向にあり、満足できる重合度をもったポリエステルを重合するために多くの重合時間がかかり実用上問題があった。
以上のような経緯で、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、またはスズ化合物以外の金属成分を主成分とするポリエステル用重縮合触媒であり、触媒活性に優れ、無機粒子を含有させた場合に触媒活性の低下が少なく、かつ、無機粒子の凝集による粗大粒子の生成が少ないポリエステル用重縮合触媒および重縮合技術、それを用いたフィルム用途に適したポリエステル組成物が望まれている。
特許第2666502号公報 特開平9−291141号公報 特開昭55−116722号公報 特開平8−73581号公報 特開平10−259296号公報 特開2000−302854号公報 特開2001−26639号公報 国際公開第07/035250号パンフレット 国際公開第07/035256号パンフレット 国際公開第07/012731号パンフレット 特公昭59−46254号公報 特開昭59−179555号公報 特公昭63−30335号公報 特開2001−131276号公報
本発明の目的は、従来のアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物などの重縮合触媒を主成分としない、新規なポリエステル重縮合触媒を用いて製造された、十分な重合度と熱安定性を有し、無機粒子の凝集が抑制されたポリエステルであり、ポリエステルフィルム等に用いた場合に、フィルターの詰りが少なく、滑り性や走行性、耐摩耗性に優れ、フィルム上の欠点や異物による品質の低下の少ないポリエステルフィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記課題の解決を目指して鋭意検討を重ねた結果、特定のアルミニウム化合物を特定のアルカリ金属化合物と併用することによって、それらの単独の触媒活性を足し合わせたものよりはるかに大きな触媒活性を持たせることができるようになることを見いだした。さらに本発明の重縮合触媒を用いると、無機粒子を添加した際の触媒活性の低下が少なく、無機粒子の凝集による粗大粒子の少ないポリエステルを得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)アルミニウム化合物と、リチウム化合物を含有する重縮合触媒を用いて重合されたポリエステル組成物であり、平均粒子径が0.5〜3.0μmである二酸化チタン、アルミナ、アルミノシリケート、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ、カオリナイト、およびゼオライトから選ばれる不活性無機粒子を0.02〜1.0重量%含有し、10μm以上の粗大粒子の数が1000個/mm以下であることを特徴とするポリエステル組成物であり、
(2)アルミニウム化合物と、リチウム化合物を含有する重縮合触媒を用いて重合されたポリエステル組成物であって、エステル化反応が実質的に終了した段階で、リチウム化合物の溶液と平均粒子径が0.5〜3.0μmである二酸化チタン、アルミナ、アルミノシリケート、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ、カオリナイト、およびゼオライトから選ばれる不活性無機粒子のスラリーを予め系外で混合した混合液を反応系内に添加し、次いで重縮合反応を完了することを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル組成物である。
本発明のポリエステル組成物は、アンチモン化合物またはゲルマニウム化合物以外の成分を主成分とし、かつ触媒活性に優れた新規な触媒を用いて製造され、その製造時に添加された無機粒子の分散性が良好であるため、本発明のポリエステルを用いたフィルムは走行性、耐摩耗性、光学特性などに優れ、包装用フィルム、工業用フィルムなど、幅広い用途に使用することができる。
本発明のポリエステル組成物にはフィルム製膜時に表面に凹凸を形成させ、滑り性、走行性、耐摩耗性、巻き取り性などのハンドリング特性を向上させるために、ポリエステルの重合工程で不活性無機粒子を添加している。一般にポリエステルフィルムの表面に凹凸を形成させる技術としては、ポリエステルの重合工程で無機及び/又は耐熱性高分子樹脂粒子を添加する外部粒子添加法、重合工程で触媒残渣とポリエステルの構成成分とを反応させて不溶性の粒子を析出させる内部粒子法、被覆層に前記粒子を含有させる方法、薄膜層表面に凹凸が付与されたロールなどでエンボス加工する方法、レーザービームなどで表面凹凸をパターニングする方法、などが挙げられるが、生産効率や品質の安定性の点で、本発明のようにポリエステル重合工程で不活性粒子を添加する方法が最も好ましい。
本発明に係るポリエステルに添加する不活性粒子としては、以下に例示する無機粒子が後述する不活性粒子の凝集防止の効果を有効に発揮できるという点で好ましい。
本発明のポリエステル組成物を重合する際に使用する重縮合触媒は、アルミニウム化合物およびリチウム化合物を含有する触媒である。
本発明のポリエステル組成物において、アルミニウム化合物、リチウム化合物を重縮合触媒として、無機粒子の凝集を抑制するための好ましい達成手段の概念を説明する。一般に、アルミニウム元素には、無機微粒子と結合して凝集体を生成させる作用があることが知られている。ポリエステルを重合する際に触媒として添加するアルミニウム化合物においても、従来公知のポリエステル重合方法では、触媒作用の他に無機粒子を凝集させ粗大粒子を生成させる作用があることがわかった。本発明のポリエステルを得るための方策を展開する中で、従来公知のポリエステル重合技術とは全く正反対の発想に基づく達成手段を適用することにより初めて達成することが可能となった。すなわち、本発明のポリエステルを得るための達成手段の概念は、アルミニウム化合物、および、リチウム化合物からなる重縮合触媒のうち、リチウム化合物と、グリコール等の分散媒体中に分散された無機粒子とを、ポリエステルの重合系に同時に添加することで達成されることを見出した。上記の方法によって無機粒子の凝集を抑制できる理由としては、リチウムまたはその化合物による無機粒子の分散効果であると考えている。このリチウム化合物の持つ分散作用については、リチウムイオンの効果と考えられる。リチウム以外の1価のイオン化傾向の強い金属化合物をあらかじめ無機粒子と混合して、触媒と同時に、または、別々に重合系にしても同様な分散効果が得られえる。無機粒子とリチウム化合物をあらかじめ混合して、アルミニウム化合物を加えた重合系に添加しても良い。
さらに、本発明のポリエステル組成物において、アルミニウム化合物、リチウム化合物を重縮合触媒として、無機粒子の凝集を抑制するための好ましい達成手段としては、アルミニウム化合物とポリエステル原料であるグリコールとの親和性を高めることが挙げられる。通常、アルミニウム化合物はポリエステル組成物を形成するグリコール成分、とりわけエチレングリコールとの親和性に乏しいため、親和性を高めるために、例えば、アルミニウム化合物を一旦、水に溶解させアルミニウム化合物の水溶液とし、これにエチレングリコールを加えて水を系外へ除去する方法がある。この際、アルミニウム化合物の触媒活性を損なわないように出来るだけ熱を与えないような工夫が必要である。例えば、減圧下で長時間かけて脱水するなどである。
以下に、本発明のアルミニウム化合物、リチウム化合物、無機粒子について説明し、最良の重合方法の形態について説明する。
本発明のアルミニウム化合物としては、金属アルミニウムのほか、公知のアルミニウム化合物を使用することができる。
本発明のアルミニウム化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテートなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物などが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、これらの中でもさらに酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートが特に好ましい。
前記アルミニウム化合物の添加量としては、得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.001〜0.05モル%が好ましく、さらに好ましくは、0.005〜0.02モル%である。添加量が0.001モル%未満であると触媒活性が十分に発揮されない場合があり、添加量が0.05モル%以上になると、熱安定性や熱酸化安定性の低下、アルミニウムに起因する異物の発生や着色の増加が問題になる場合が発生する。この様にアルミニウム成分の添加量が少なくても本発明の重合触媒は十分な触媒活性を示す点に大きな特徴を有する。その結果、熱安定性や熱酸化安定性が優れ、アルミニウムに起因する異物や着色を低減することができる。
本発明のリチウム化合物としては、例えば、リチウムのギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、などの無機酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシなどアルコキサイド、アセチルアセトネートなどのキレート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。これらのリチウム化合物のうち、水酸化物等のアルカリ性の強いものを用いた場合、ポリエステルが加水分解を受け易くなる傾向がある。従って、本発明のリチウム化合物として好適なものは、ポリエステルの加水分解を促進しない観点から、リチウムの飽和脂肪族カルボン酸塩、不飽和脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン塩、ハロゲン含有カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、無機酸塩、有機硫酸塩、キレート化合物、および酸化物などである。これらの中でもさらに、取り扱い易さや入手のし易さ等の観点から、リチウムの飽和脂肪族カルボン酸塩、とくにリチウムの酢酸塩が好ましい。
本発明のリチウム化合物の使用量としては、重合して得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニット1モルに対して0.005〜0.2モル%が好ましく、更に好ましくは0.01〜0.1モル%である。
本発明のポリエステルには、目的を阻害しない範囲で、アルミニウム化合物およびリチウム化合物以外の金属化合物を助触媒として添加することが出来る。他の金属化合物としては例えば、マグネシウム化合物、ナトリウム化合物、リン化合物があげられる。
本発明によるポリエステルの製造は、従来公知の方法で行うことができる。例えば、テレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化後、重縮合する方法、もしくは、テレフタル酸ジメチルなどのテレフタル酸のアルキルエステルとエチレングリコールとのエステル交換反応を行った後、重縮合する方法のいずれの方法でも行うことができる。また、重合の装置は、回分式であっても、連続式であってもよい。
本発明の触媒は、重縮合反応のみならずエステル化反応およびエステル交換反応にも触媒活性を有する。テレフタル酸ジメチルなどのジカルボン酸のアルキルエステルとエチレングリコールなどのグリコールとのエステル交換反応は、通常亜鉛などのエステル交換触媒の存在下で行われるが、これらの触媒の代わりに本発明の触媒を用いることもできる。また、本発明の触媒は、溶融重合のみならず固相重合や溶液重合においても触媒活性を有する。
本発明で用いるポリエステルの重合触媒は、重合反応の任意の段階で反応系に添加することができる。例えば、エステル化反応もしくはエステル交換反応の開始前および反応途中の任意の段階、重縮合反応の開始直前、あるいは重縮合反応途中の任意の段階で、反応系への添加することができる。特に、本発明のアルミニウム化合物、リチウム化合物、および無機粒子の添加は重縮合反応の開始直前に添加することが好ましい。
本発明のポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上とから成るもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体からなるもの、または環状エステルからなるものをいう。
好ましいポリエステルとしては、主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体、もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルである。
主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルとは、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対してアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−p,p’−ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
これらのジカルボン酸のうち、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
ナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
特に好ましくは、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体である。必要に応じて、他のジカルボン酸を構成成分としてもよい。
これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、1,10−デカメチレングリコール、1,12−ドデカンジオールなどのアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5−ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
これらのグリコールのうち、アルキレングリコールが好ましく、さらに好ましくは、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールである。また、前記アルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいても良く、同時に2種以上を使用しても良い。
これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
環状エステルとしては、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。
多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水物などが挙げられる。
本発明で用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレートおよびこれらの共重合体が好ましく、特に好ましくはポリエチレンテレフタレートおよびこの共重合体である。
本発明でポリエステルに添加される無機粒子とは、平均粒子径は0.5〜3.0μmであり、より好ましくは0.8〜2.5μmである。0.5μm未満では、表面に凹凸を形成し滑り性、走行性などのハンドリング性を付与する効果が低下するので好ましくない。一方、3.0μmを超えた場合は、粗大突起の形成によりフィルムの品質を損なう場合があるので好ましくない。
本発明でいう平均粒子径は、水あるいはエチレングリコールを媒質とし、レーザー光散乱法で測定した粒度分布から求めたものを使用する。
本発明で、上述の無機粒子のポリエステルへの添加量は、ポリエステルに対して0.02〜2.0wt%の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1〜1.0wt%の範囲である。0.02wt%未満ではフィルムの滑り性、走行性を付与するには不足である。また、2.0wt%を超えた場合には、粗大粒子の防止効果が十分ではなく、フィルムとしたときの異物の発生が問題となり好ましくない。
本発明で用いる無機粒子としては、チタン、アルミニウム、珪素、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどの金属の酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、アルミン酸塩からなる粒子を使用することが出来る。
具体的には、二酸化チタン、アルミナ、アルミノシリケート、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどのほか、天然由来のタルク、マイカ、カオリナイト、ゼオライトなどの粒子があげられるが、これらに限定されない。
これらの無機粒子は凝集防止のため、グリコール類でスラリー化した後、サンドグラインダー、アトライター、超音波などの媒体攪拌型分散機による機械的分散およびアルカリ金属化合物、アンモニウム化合物、リン化合物を添加して分散効率を向上させた後、添加するとさらに好ましい。上述の無機粒子の添加時期は、特に制限はないが、好ましくは本発明の触媒であるアルミニウム化合物およびリン化合物のグリコール溶解物あるいはスラリー状としたものを添加した後、ポリエステルの反応系へ添加するのが好ましい態様である。
本発明で用いるポリエステル中には、使用する目的に応じて、無機粒子、耐熱性高分子粒子、架橋高分子粒子などの不活性粒子、蛍光増白剤、紫外線防止剤、赤外線吸収色素、熱安定剤、界面活性剤、酸化防止剤などの各種添加剤を1種もしくは2種以上含有させることができる。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系などの酸化防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エステル系等のリン系、イオウ系、アミン系などの安定剤が使用可能である。
本発明のポリエステルをさらに詳細に説明するために、ポリエチレンテレフタレートの製造方法の一例を以下に説明する。本発明のポリエステルの製造方法は下記に限定されるものではない。
本発明においては、上記ポリエステルを直接エステル化法で、かつ連続法で実施するのが好ましい。
直接エステル化法はエステル交換法に比べ経済性の点で有利である。また、連続式重縮合法は回分式重縮合法に比して品質の均一性や経済性において有利である。
本発明においては、エステル化および重縮合工程の反応器の個数やサイズおよび各工程の製造条件等は限定なく適宜選択できる。
例えば、テレフタル酸1モルに対して1.02〜2.0モル、好ましくは1.03〜1.95モルのエチレングリコ−ルが含まれたスラリ−を調製し、これをエステル化反応工程に連続的に供給する。エステル化反応は、2個以上のエステル化反応槽を直列に連結した多段式装置を用い反応によって生成した水を精留塔で系外に除去しながら実施するのが好ましい。第1段目のエステル化反応の温度は240〜270℃、好ましくは245〜265℃、圧力は常圧〜0.29MPa、好ましくは0.005〜0.19MPaである。最終段目のエステル化反応の温度は通常250〜290℃好ましくは255〜275℃であり、圧力は通常0〜0.15MPa、好ましくは0〜0.13MPaである。3段階以上で実施する場合には、中間段階のエステル化反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。これらのエステル化反応の反応率の上昇は、それぞれの段階で滑らかに分配されることが好ましい。最終的にはエステル化反応率は90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。これらのエステル化反応により分子量500〜2000程度の低次縮合物が得られる。引き続き重縮合反応槽に移送し重縮合を行う。該重縮合工程の反応槽数も限定されない。一般には初期重縮合、中期重縮合および後期重縮合の3段階方式が取られている。重縮合反応条件は、第1段階目の重縮合の反応温度は250〜290℃、好ましくは260〜280℃であり、圧力は0.065〜0.0026MPa、好ましくは200〜20Torrで、最終段階の重縮合反応の温度は265〜300℃、好ましくは275〜295℃であり、圧力は0.0013〜0.000013MPa、好ましくは0.00065〜0.000065MPaである。3段階以上で実施する場合には、中間段階の重縮合反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。これらの重縮合反応工程の各々において到達される極限粘度の上昇の度合は滑らかに分配されることが好ましい。
本発明の重合触媒および無機粒子の添加はエステル化反応の最終段階のエステル化反応槽中から、第1段目の重縮合反応槽への移送の間の反応物中に連続的に定量添加されることが好ましい。添加においては、アルミニウムの化合物のエチレングリコール溶液、リチウムの化合物のエチレングリコール溶液、無機粒子のエチレングリコールスラリーを混合し、一液化した媒体を、インラインミキサー等の攪拌装置を介して、エステル化反応の最終段階から重縮合反応工程へ移送される反応物に添加、配合された後、重縮合反応槽へと送られ重縮合を完了させる。
本発明のポリエステル組成物中の無機粒子の凝集による粗大粒子数の測定方法について、以下に説明する。
本発明のポリエステル組成物中の粗大粒子数の測定は、位相差光学顕微鏡を用いて観察したポリマー中の粒子の画像から画像解析により粒子の大きさと個数を計測する方法を用いる。位相差光学顕微鏡は屈折率が異なる物体を透過する光の波長のわずかの遅れ(位相差)を光の回折・屈折を利用して明暗のコントラストに変換することができるので、通常の顕微鏡観察ではポリマー中で無色透明に見える無機粒子の観察に適している。観察された画像は電子データとして画像解析装置に取り込み、粒子径(面積円相当径)と個数を計測することができる。
位相差顕微鏡による粗大粒子の観察では、用いるレンズの倍率や開口度によって、視野面積や焦点深度が決まってくるので、これらが異なると計測結果のずれを引き起こす。また、無機粒子の含有量が大きく、光線透過率の小さい試料の場合には得られる画像の明度が暗く、倍率の大きなレンズでは十分な観測ができない場合がある。また、観察する試料の厚みは、対物レンズの焦点深度に対して十分に厚みが大きいことが必要である。これらの条件を満たすため、本発明では位相差顕微鏡の位相差対物レンズの倍率は10倍、開口度は0.5のレンズを用いて観察する。
画像解析装置による計測は、以下の手順で行われる。
(1)得られた画像を電子信号に変換する。変換した画像データはモノクロ画像であり、画像のコントラストは0(真っ黒)から255(真っ白)の256階調から構成されている。
(2)画像の対象物(粗大無機粒子)と背景(ポリマー)の境界線を明確に仕切る、2値化処理を行い、粒子が白、背景が黒(またはその逆に、粒子が黒、背景が白)の2値化画像を得る。
(3)画像を構成する点(ドット)数から粒子の径(面積円相当径)と個数を計算する。
得られた結果は、実際の画像の縮尺に応じて単位面積換算し、粒子径の大きさごとに個数を区分したデータである。
測定は通常20〜40視野行い、計測結果は視野面積1平方mm当たりに換算して用いる。
観察および測定の際には粒子径、粒子数が既知な標準試料を用いて画像の濃淡や解像度、2値化の際の閾値を適宜調整することが好ましい。
本発明のポリエステル組成物は、上記の方法で測定した粒子径10μm以上の粗大粒子数が1平方mm当たり1000個以下であることが必要である。粗大粒子数が1000個を超えるとフィルムの表面に異物となって外観や品質を損なうだけでなく、ポリマーやフィルムを製造する際の溶融工程でフィルターの背圧が上昇したり、フィルターが詰まったりして、長期間安定した生産ができない。
フィルムに十分な滑り性、加工取扱性を付与した上、なおかつ上記のフィルムにしたときの良好な外観や品質を有し、安定生産性を満足するためには、本発明のポリエステルの粗大粒子数は10〜100個/mmであることが好ましい。
次に、本発明のポリエステル組成物を用いたフィルムの製造方法の一例を以下に説明する。ポリエステルフィルムの製造方法は下記に限定されるものではない。前記の特定の触媒を用いて重合したポリエステル樹脂を溶融押出しし、T−ダイスより冷却回転ロール上にシート状に成型し、未延伸シートを作成する。この際、例えば特公平6−39521号公報、特公平6−45175号公報に記載の技術を適用することにより、高速製膜性が可能となる。また、複数の押出し機を用い、コア層、スキン層に各種機能を分担させ、共押出し法により積層フィルムとしても良い。
配向ポリエステルフィルムは、公知の方法を用いて、ポリエステルのガラス転移温度以上結晶化温度未満で、少なくとも一軸方向に1.1〜6倍に延伸することにより得ることができる。
例えば、二軸配向ポリエステルフィルムを製造する場合、縦方向または横方向に一軸延伸を行い、次いで直交方向に延伸する逐次二軸延伸方法、縦方向及び横方向に同時に延伸する同時二軸延伸する方法、さらに同時二軸延伸する際の駆動方法としてリニアモーターを用いる方法のほか、横・縦・縦延伸法、縦・横・縦延伸法、縦・縦・横延伸法な、同一方向に数回に分けて延伸する多段延伸方法を採用することができる。
さらに、延伸終了後、フィルムの熱収縮率を低減させるために、(融点−50℃)〜融点未満の温度で30秒以内、好ましくは10秒以内で熱固定処理を行い、0.5〜10%の縦弛緩処理、横弛緩処理などを施すことが好ましい。
得られた配向ポリエステルフィルムの厚みは、1〜1000μmであることが好ましく、より好ましくは5〜500μmであり、さらに好ましくは10〜200μmである。1μm未満では腰が無く取り扱いが困難である。また1000μmを超えると硬すぎて取り扱いが困難となる。
また、接着性、離型性、制電性、赤外線吸収性、抗菌性、耐擦り傷性、などの各種機能を付与するために、配向ポリエステルフィルム表面にコーティング法により高分子樹脂を被覆してもよい。また、被覆層にのみ無機及び/又は有機粒子を含有させて、易滑高透明ポリエステルフィルムとしてもよい。さらに、無機蒸着層を設け酸素、水、オリゴマーなどの各種バリア機能を付与したり、スパッタリング法などで導電層を設け導電性を付与することもできる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はもとよりこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各実施例および比較例において用いた評価方法を以下に説明する。
以下の説明において、単に「ポリエステル」と記載しているが、実際は触媒成分、無機粒子を含む「ポリエステル組成物」である。
〔評価方法〕
(1)ポリエステルの固有粘度(IV)
ポリエステルをフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの6/4(重量比)混合溶媒を使用して溶解し、温度30℃にて測定した。
(2)無機粒子の平均粒子径
レーザー光散乱方式の粒度分布計(Leeds&Northrup社製、Microtrac HRA model9320−X100)を用いて、無機粒子のエチレングリコールスラリーを水で希釈して実質的に水系で測定した。測定結果の体積累計50%径を平均粒子径とした。
(3)ポリエステル中の粗大粒子数
(IMAの粗大粒子測定法)
ポリエステルチップ1粒を2枚のカバーガラス(マツナミマイクロカバーグラス、25mm×25mm、厚さ0.2mm)に挟んで、約300℃のホットプレート上で加熱溶融し、0.8〜0.9mmの厚さにプレス、直に急冷して観察用試料とした。位相差顕微鏡(Nikon社製、)、対物レンズ(同社製、倍率10倍、開口度0.5)を用いて試料の厚さの中心部分を観察した。画像はCCDカメラを経由して画像解析装置(Nireco製、Luzex−FS)に取り込み、画像解析を行い、10μm以上の粒子数を計測した。視野を変えながら同様の計測を20回行い合計の粒子数を求め、視野面積1平方mm当たりの10μm以上の粒子数を計算し、粗大粒子数とした。
(4)フィルターの圧力上昇判定
ギアポンプおよびフィルター/付属した20mmφの単軸押出紡糸機を用いてポリエステルを押出し、フィルターにかかる圧力の上昇を測定した。フィルターは金属不織布タイプ20μm(ナスロンNF−08)、フィルター直径16mm(ろ過面積2.01cm)、吐出量は5g/分とした。単位時間当たりの圧力上昇係数kを下記の式に基づいて求め、k≦5であれば実用上問題なしと判定した。
k=ΔP(MPa/h)/(Q(kg/h)/S(cm))
(ΔPは1時間当たりの圧力上昇(MPa)、Qは1時間当たりの吐出量(kg/h)、Sはフィルターの面積(cm))
○:k≦5
△:5<k≦10
×:k>10
(5)フィルムの異物判定
フィルムを200mm×300mmにカットしたシートの反対方向から蛍光灯の光を当てて、目視で観察される輝点の数を異物として計測した。シート10枚について合計の異物数を算出し、以下の基準に基づいて判定した。
○:異物数が100個以下
△:異物数が101個〜500個
×:異物数が501個以上
(実施例1)
(1)重縮合触媒溶液の調製
(アルミニウム化合物の水溶液の調製)
冷却管を備えたフラスコに、常温常圧下、純水5.0リットルを加えた後、200rpmで攪拌しながら、塩基性酢酸アルミニウム200gを純水とのスラリーとして加えた。さらに全体として10.0リットルとなるよう純水を追加して常温常圧で12時間攪拌した。その後、ジャケット温度の設定を100.5℃に変更して昇温し、内温が95℃以上になった時点から3時間還流下で攪拌した。攪拌を止め、室温まで放冷し水溶液を得た。
(アルミニウム化合物のエチレングリコール混合溶液の調製)
上記方法で得たアルミニウム化合物水溶液に等容量のエチレングリコールを加え、室温で30分間攪拌した後、内温80〜90℃にコントロールし、徐々に減圧して、到達27hPaとして、数時間攪拌しながら系から水を留去し、20g/lのアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液を得た。
(リチウム化合物のエチレングリコール溶液の調製)
フラスコに、常温常圧下で5.0リットルのエチレングリコールを加えた後、200rpmで攪拌しながら、酢酸リチウム2水和物を200gを加えた。さらに全体を10.0リットルとなるようにエチレングリコールを追加して常温常圧で12時間攪拌し、20g/lのリチウム化合物のエチレングリコール溶液を得た。
(無機粒子のエチレングリコールスラリーの調製)
ホモジナイザー付きの分散槽にエチレングリコール5リットルと、無機粒子としてシリカ粒子(富士シリシア化学製、サイリシア310)600gを入れて、8000rpmで2時間攪拌分散し、120g/lのスラリーとした。得られたシリカ粒子のエチレングリコールスラリーのシリカの平均粒子径は2.3μmであった。
(2)エステル化反応および重縮合
3基の連続エステル化反応槽および3基の重縮合反応槽よりなり、かつ第3エステル化反応槽から第1重縮合反応槽への移送ラインに高速攪拌器を有したインラインミキサーが設置された連続式ポリエステル製造装置に高純度テレフタル酸1質量部に対してエチレングリコール0.75質量部とをスラリー調製槽に連続的に供給した。調製されスラリーを連続的に供給し第1エステル化槽が反応温度250℃、110kPa、第2エステル化反応槽が260℃、105kPa、第3エステル化反応槽が260℃、105kPaとして、第2エステル化反応槽にエチレングルコール0.025質量部を連続的に投入しポリエステルオリゴマーを得た。第1エステル化反応槽出口のオリゴマーのAVoは平均値で1500eq/tonであった。また、第3エステル化反応槽出口のオリゴマーのAVoおよびOHVoはそれぞれ平均値で300eq/tonおよび1400eq/tonであった。該オリゴマーを3基の反応槽よりなる連続重縮合装置に連続的に移送すると共に、該移送ラインに設置されたインラインミキサーに上記方法で調製したアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリチウム化合物のエチレングリコール溶液、シリカ粒子のエチレングリコールスラリーをそれぞれポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子およびリチウム原子、SiO分子として0.015モル%および0.035モル%、0.23重量%となるように攪拌式のミキサーで攪拌しながら連続的に添加し(添加パターンA)、初期重縮合反応槽が265℃、9kPa、中期重縮合反応槽が265〜268℃、0.7kPa、最終重縮合反応槽が273℃、13.3Paで重縮合しIV0.620のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のシリカ粒子の含有量は0.20重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は210個/mmであった。この重合方法は本発明のアルミニウム化合物およびリン化合物を含有する重縮合触媒と無機粒子を混合して重合系に同時に添加するという、従来知られたポリエステル重合時の凝集防止の考えからは最悪の添加方法であったが、得られたポリエステルは無機粒子の凝集の少ないものであった。
(3)ポリエステルフィルムの製膜
得られたポリエステルチップを135℃で10時間真空乾燥した。前記ポリエステルチップを二軸押し出し機に定量供給し、280℃でシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に保った金属ロール上で急冷固化し、厚さ1400μmのキャストフィルムを得た。
次に、このキャストフィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸配向フィルムを得た。引き続いて、テンターで、120℃で幅方向に4.0倍に延伸し、フィルム幅長を固定した状態で、260℃、0.5秒間赤外線ヒーターで加熱し、さらに200℃で23秒間3%の弛緩処理をし、厚さ100μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例2)
実施例1の重合方法において、アルミニウム化合物およびリチウム化合物の添加量をポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子およびリチウム原子として0.005モル%および0.010モル%とした以外は、実施例1と同様な方法によってIV0.58のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のシリカ粒子の含有量は0.20重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は370個/mmであった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の重合方法において、アルミニウム化合物およびリチウム化合物の添加量をポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子およびリチウム原子として0.005モル%および0.100モル%とした以外は、実施例1と同様な方法によってIV0.62のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のシリカ粒子の含有量は0.20重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は120個/mmであった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例4)
実施例1の重合方法において、アルミニウム化合物およびリチウム化合物の添加量をポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子およびリチウム原子として0.020モル%および0.010モル%とした以外は、実施例1と同様な方法によってIV0.63のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のシリカ粒子の含有量は0.20重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は450個/mmであった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例5)
実施例1の重合方法において、アルミニウム化合物およびリチウム化合物の添加量をポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子およびリチウム原子として0.020モル%および0.100モル%とした以外は、実施例1と同様な方法によってIV0.65のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のシリカ粒子の含有量は0.20重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は270個/mmであった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例6)
実施例1の重合方法において、シリカ粒子の添加量をポリエステル中の酸成分に対してSiO分子として0.06重量%とした以外は、実施例1と同様な方法によってIV0.63のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のシリカ粒子の含有量は0.05重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は70個/mmであった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例7)
実施例1の重合方法において、シリカ粒子の添加量をポリエステル中の酸成分に対してSiO分子として0.81重量%とした以外は、実施例1と同様な方法によってIV0.61のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のシリカ粒子の含有量は0.70重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は850個/mmであった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例8)
実施例1の重合方法において、シリカ粒子の平均粒子径が0.7μmの粒子とした以外は、実施例1と同様な方法によってIV0.62のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のシリカ粒子の含有量は0.20重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は120個/mmであった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例9)
実施例1の重合方法において、シリカ粒子に変えて平均粒子径が0.7μmのカオリン粒子とした以外は、実施例1と同様な方法によってIV0.62のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のカオリン粒子の含有量は0.20重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は430個/mmであった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例10)
実施例1の重合方法において、シリカ粒子に変えて平均粒子径が1.0μmの炭酸カルシウム粒子とした以外は、実施例1と同様な方法によってIV0.62のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中の炭酸カルシウム粒子の含有量は0.20重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は260個/mmであった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(比較例1)
実施例1の重合方法において、第3エステル化反応槽中に実施例1の方法で調製したアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリチウム化合物のエチレングリコール溶液をそれぞれポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子およびリチウム原子として0.015モル%および0.035モル%となるように連続的に添加した後、移送ラインに設置されたインラインミキサーにてシリカ粒子のエチレングリコールスラリーをポリエステル中の酸成分に対して0.23重量%となるように攪拌式のミキサーで攪拌しながら連続的に添加した(添加パターンB)以外は実施例1と同様な方法でIV0.620のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のシリカ粒子の含有量は0.20重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は1540個/mmであった。この重合方法はアルミニウム化合物とリチウム化合物を含む重縮合触媒と無機粒子を別々に重合系に添加するという、従来知られた無機粒子の凝集を防止する添加方法であったが、得られたポリエステルの無機粒子の凝集は満足できるレベルではなかった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(比較例2)
実施例1の重合方法において、アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリチウム化合物のエチレングリコール溶液の添加を高純度テレフタル酸およびエチレングリコールと同時に添加した後、エステル化反応を行い、移送ラインに設置されたインラインミキサーにてシリカ粒子のエチレングリコールスラリーをポリエステル中の酸成分に対して0.23重量%となるようの攪拌式のミキサーで攪拌しながら連続的に添加した(添加パターンC)以外は実施例1と同様な方法でIV0.620のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のシリカ粒子の含有量は0.20重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は2540個/mmであった。この重合方法はアルミニウム化合物とリチウム化合物を含む重縮合触媒と無機粒子を更に分離して重合系に添加するという、従来知られた無機粒子の凝集を防止する最良の添加方法であったが、得られたポリエステルの無機粒子の凝集は満足できるレベルではなかった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(比較例3)
実施例1の重合方法において、アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリチウム化合物のエチレングリコール溶液に変えて、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対してアンチモン金属として0.020モル%をシリカ粒子のエチレングリコールスラリーと同時にインラインミキサーにて攪拌式のミキサーで攪拌しながら連続的に添加した(添加パターンA)以外は実施例1と同様な方法でIV0.620のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のシリカ粒子の含有量は0.20重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は1980個/mmであった。この重合方法は重縮合触媒の三酸化アンチモンと無機粒子とを混合し重合系に同時に添加するという、従来知られた無機粒子の凝集防止の考えかたからは最悪の添加方法であるが、予想通り得られたポリエステルの無機粒子の凝集は満足できないものであった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(比較例4)
実施例1の重合方法において、アルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリチウム化合物のエチレングリコール溶液に変えて、第3エステル化反応槽中に三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対してアンチモン金属として0.020モル%となるように連続的に添加した後、移送ラインに設置されたインラインミキサーにてシリカ粒子のエチレングリコールスラリーをポリエステル中の酸成分に対して0.23重量%となるように攪拌式のミキサーで攪拌しながら連続的に添加した(添加パターンB)以外は実施例1と同様な方法でIV0.620のポリエステルを得た。得られたポリエステルの特性値を表1に示す。得られたポリエステル中のシリカ粒子の含有量は0.20重量%であり、10μm以上の粗大粒子の数は1230個/mmであった。この重合方法は重縮合触媒の三酸化アンチモンと無機粒子とを別々に重合系に添加するという、従来知られた無機粒子の凝集を防止する添加方法であるが、得られたポリエステルの無機粒子の凝集はある程度は抑制することができたが満足できるレベルではなかった。得られたポリエステルチップを実施例1と同様な方法で製膜しポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
(比較例5)
(リン化合物のエチレングリコール溶液の調製)
窒素導入管、冷却管を備えたフラスコに、常温常圧下、エチレングリコール2.0リットルを加えた後、窒素雰囲気下200rpmで攪拌しながら、リン化合物としてIrganox1425(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)の200gを加えた。さらに2.0リットルのエチレングリコールを追加した後、ジャケット温度の設定を196℃に変更して昇温し、内温が185℃以上になった時点から60分間還流下で攪拌した。その後加熱を止め、直ちに溶液を熱源から取り去り、窒素雰囲気下を保ったまま、30分以内に120℃以下まで冷却した。
(エステル化反応および重縮合反応)
実施例1の重合方法において、移送ラインに設置されたインラインミキサーに添加する触媒として、上記方法で調製したアルミニウム化合物のエチレングリコール溶液およびリン化合物のエチレングリコール溶液、シリカ粒子のエチレングリコールスラリーをそれぞれポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子およびリン原子、SiO分子として0.015モル%および0.036モル%、0.23重量%となるように攪拌式のミキサーで攪拌しながら連続的に添加した(添加パターンA)以外は、実施例1と同様な方法によってポリエステルを重合した。得られたポリエステルのIVは0.480と低くフィルム製膜は不可能であった。
アルミニウム化合物およびリチウム化合物を重縮合触媒として同時に添加した実施例1〜10のポリエステルは従来の凝集防止の知見では無機粒子の凝集防止には最も悪いと考えられた添加パターンで重合したにも関わらす、驚くべきことに無機粒子の凝集の少ないポリエステルが得られ、これを用いた場合、フィルターの昇圧やフィルムの欠点の少ないポリエステルフィルムが得られた。それに対して、比較例1および比較例2のポリエステルは従来の凝集防止の知見に従った添加パターンで重合したにも関わらず、無機粒子の凝集の少ないポリエステルを得ることが出来ず、フィルターの昇圧やフィルムの欠点数において満足するポリエステルフィルムが得られなかった。重縮合触媒として三酸化アンチモンを用いた比較例3および比較例4のポリエステルは、従来の凝集防止の知見の通り、重縮合触媒と無機粒子を同時に添加した比較例3のポリエステルの方が、重縮合触媒と無機粒子を別々に分割して添加した比較例4のポリエステルよりも凝集が多く、フィルターの昇圧やフィルムの欠点数においても満足するポリエステルフィルムが得られなかった。比較例5のポリエステルでは本発明の触媒構成とは異なるため、無機粒子の添加により十分な触媒作用が得られなかったと考えられる。
Figure 0004507131
本発明のポリエステルは、アンチモン化合物またはゲルマニウム化合物以外の成分を主成分とし、かつ触媒活性に優れた新規な触媒を用いて製造され、その製造時に添加された無機粒子の分散性が良好であるため、本発明のポリエステルを用いたフィルムは走行性、磨耗性、光学特性に優れるという効果がある。したがって、本発明のポリエステルを用いたフィルムは、例えば、帯電防止性フィルム、易接着性フィルム、カード用、ダミー缶用、農業用、建材用、化粧材用、壁紙用、OHPフィルム用、印刷用、インクジェット記録用、昇華転写記録用、レーザービームプリンタ記録用、電子写真記録用、熱転写記録用、感熱転写記録用、プリント基板配線用、メンブレンスイッチ用、プラズマディスプレイ用近赤外線吸収フィルム、タッチパネルやエレクトロルミネッセンス用の透明導電性フィルム、マスキングフィルム用、写真製版用、レントゲンフィルム用、写真ネガフィルム用、位相差フィルム用、偏光フィルム用、偏光膜保護(TAC)用、偏向板や位相差板の検査用プロテクトフィルム及び/又はセパレータフィルム、感光性樹脂フィルム用、視野拡大フィルム用、拡散シート用、反射フィルム用、反射防止フィルム用、紫外線防止用、バックグラインドテープ用など、幅広い用途に使用することができる。

Claims (3)

  1. アルミニウム化合物と、リチウム化合物を含有する重縮合触媒を用いて重合されたポリエステル組成物であり、平均粒子径が0.5〜3.0μmである二酸化チタン、アルミナ、アルミノシリケート、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ、カオリナイト、およびゼオライトから選ばれる不活性無機粒子を0.02〜1.0重量%含有し、10μm以上の粗大粒子の数が1000個/mm以下であることを特徴とするポリエステル組成物。
  2. アルミニウム化合物と、リチウム化合物を含有する重縮合触媒を用いて重合されたポリエステル組成物であって、エステル化反応が実質的に終了した段階で、リチウム化合物の溶液と平均粒子径が0.5〜3.0μmである二酸化チタン、アルミナ、アルミノシリケート、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ、カオリナイト、およびゼオライトから選ばれる不活性無機粒子のスラリーを予め系外で混合した混合液を反応系内に添加し、次いで重縮合反応を完了して得られることを特徴とする、請求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. 請求項1に記載のポリエステル組成物を構成成分とするポリエステルフィルム。
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