JP4506753B2 - 有機el素子およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は有機EL素子およびその製造方法に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という。)が盛んに研究されている。これは、ホール注入電極上にトリフェニルジアミン(TPD)等のホール輸送材料を蒸着により薄膜とし、さらにアルミキノリノール錯体(Alq3)等の蛍光物質を発光層として積層し、さらにMg等の仕事関数の小さな金属電極(電子注入電極)を形成した基本構成を有する素子で、10V前後の電圧で数100から数10,000cd/m2ときわめて高い輝度が得られることで注目されており、次世代ディスプレイ等への応用が期待されている。
ところで、有機EL素子は、水分に極めて弱いという問題がある。例えば、水分の影響により、発光層と電極層の間で剥離が生じたり、構成材料が変質して、ダークスポットと呼ばれる非発光領域が生じたり、所定の品位の発光が維持できなくなるといった問題が生じている。
これらの問題を解決するための技術として、例えば、特許文献1や特許文献2等の有機EL素子が提案されている。これらの有機EL素子は封止板の内面に捕水層を設けることにより、水分による有機EL構造体の経時劣化を抑制することができる。
しかしながら、これらの有機EL素子は、捕水層の製造工程上の必要性から、または、有機EL構造体と捕水層あるいは封止板とが接触しないように、封止板の内面に凹部を設ける必要があるが、該封止板に凹部を形成すると、製造工程が複雑になり、コストが高くなるという問題がある。ガラスを封止板として用いる場合には、通常、ガラス平板を削って凹部を形成する必要があるが、ガラスは割れやすくμmオーダーの凹部を形成するには高度な技術が必要である。
このような問題を解決するための技術として、特許文献3には、有機化合物を含む有機発光層が互いに対向する電極間に配置されてなる積層体がガラス基板上に形成され、該積層体の上方に空間をあけて封止ガラスが配置された有機EL素子であって、前記封止ガラス外周近傍に封止材層が配設され、該封止材層を介して前記基板ガラスと前記封止ガラスとが封止接着された有機EL素子において、前記封止材層に紫外線硬化型接着剤が使用されていることを特徴とする有機EL素子が記載されている。さらに、この有機EL素子は、該封止材層にギャップ材またはスペーサーを用いることにより、平板ガラス等の凹部を有さない封止板を用いることができることが記載されている。
しかし、この有機EL素子は、封止材層が厚くなるため、該封止材層に用いる紫外線硬化型接着剤の耐透湿性が十分でない場合、水分が有機EL素子内に侵入して有機EL構造体の経時劣化が進行するおそれがあるが、特許文献3では、上記紫外線硬化型接着剤の耐透湿性について十分に検討されていない。また、上述の特許文献1には、封止板に凹部を設けずに、スペーサーを含有させた接着剤を用いて基板と封止板とを所定の距離を置いて封着してもよいと記載されているが、該接着剤の耐透湿性については十分に検討されておらず、改良の余地があった。
また、従来用いられている紫外線硬化型エポキシ樹脂は、厚さが約100μm以上になると紫外線が内部まで透過し難くなり十分硬化できないという問題があり、スペーサー形成用樹脂としては実用的ではない。
特開2001−57287号公報 特開2000−195662号公報 特開平11−045778号公報
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、長期にわたって安定した有機EL構造体の発光特性を維持するとともに、製造工程上容易に、かつ、安価で作製することが可能な有機EL素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者が、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、基板と封止板とが、特定の組成である硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂および耐火物フィラーを含有する組成物から形成されるスペーサーを挟持し、該基板と該スペーサーとの接合部分、および該封止板と該スペーサーとの接合部分のうち、少なくとも一方が接着剤を介して封着されることにより、長期にわたって安定した有機EL構造体の発光特性を維持するとともに、有機EL素子を製造工程上容易に、かつ、安価で作製することが可能であることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(7)を提供する。
(1)基板と、該基板上に形成された有機EL構造体と、該有機EL構造体を封止する封止板とを有し、該基板と該封止板とが、スペーサーを挟持して封着された有機EL素子であって、
前記スペーサーが、硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂および耐火物フィラーを含有する組成物から形成され、該組成物におけるメチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーの合計量に対する耐火物フィラーの量が10〜80質量%であり、該メチルフェニルシリコーン樹脂は、メチル基に対するフェニル基のモル比が0.1〜1.2であり、
前記基板と前記スペーサーとの接合部分、および前記封止板と前記スペーサーとの接合部分のうち、少なくとも一方が接着剤を介して封着されていることを特徴とする有機EL素子。
(2)前記封止板の内面に捕水層を有することを特徴とする上記(1)に記載の有機EL素子。
(3)前記メチルフェニルシリコーン樹脂は、2官能ケイ素単位と3官能ケイ素単位の合計に対する2官能ケイ素単位のモル比が0.05〜0.55である上記(1)または(2)に記載の有機EL素子。
(4)前記耐火物フィラーが、平均粒径0.1〜20μmの球状シリカである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機EL素子。
(5)前記接着剤が、紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機EL素子。
(6)封止板の一方の面にスペーサー用組成物を塗布し、加熱硬化してスペーサーを形成する第1の工程と、
前記硬化されたスペーサーの表面に、接着剤を塗布する第2の工程と、
前記第2の工程でスペーサーの表面に塗布された接着剤と、有機EL構造体が形成された基板とを密着させ、該接着剤に紫外線を照射して硬化する第3の工程とを有する有機EL素子の製造方法。
(7)前記第1の工程と前記第2の工程の間に、前記第1の工程で形成された前記スペーサーの表面に親水性基を形成させる表面処理工程をさらに有する上記(6)に記載の有機EL素子の製造方法。
本発明の有機EL素子は、長期にわたって安定した有機EL構造体の発光特性を維持するとともに、製造工程上容易に、かつ、安価で作製することができる。
図1は、本発明の有機EL素子の一構成例を示す概略断面図である。 図2は、本発明の有機EL素子の他の一構成例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 有機EL素子
2 基板
3 有機EL構造体
4 封止板
5 接着剤
6 スペーサー
7 捕水層
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、基板と、該基板上に形成された有機EL構造体と、該有機EL構造体を封止する封止板とを有し、該基板と該封止板とが、スペーサーを挟持して封着された有機EL素子であって、該スペーサーが、硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂および耐火物フィラーを含有する組成物から形成され、該組成物におけるメチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーの合計に対する耐火物フィラーの量が10〜80質量%であり、該メチルフェニルシリコーン樹脂は、メチル基に対するフェニル基のモル比が0.1〜1.2であり、上記基板と該スペーサーとの接合部分、および上記封止板と該スペーサーとの接合部分のうち、少なくとも一方が接着剤を介して封着されていることを特徴とする有機EL素子である。
本発明の有機EL素子は、上記スペーサーに耐透湿性が高く、ガラス等との接着強度の高い組成物を用いることにより、該スペーサーが厚くなった場合でも、有機EL素子内部に水分を透過させ難く、長期にわたって安定した有機EL構造体の発光特性を維持することができる。また、このような特性を有しているスペーサーを用いることにより、封止板に凹部を形成する必要がないので、製造工程上容易に、かつ、安価で作製することができる。まず、本発明に用いるスペーサーを詳細に説明する。
<スペーサー>
本発明に用いるスペーサーは、硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂および耐火物フィラーを含有する組成物(以下、スペーサー用組成物ともいう。)から形成される。
スペーサーの厚さは、有機EL構造体の厚さ等の有機EL素子の設計にもよるが、一般的な有機EL素子では、200〜600μmが好ましい。この厚さの範囲であれば、製造が容易で、有機EL構造体と所望により捕水層を保持するための高さを確保できる。この点で、スペーサーの厚さは、300〜500μmがより好ましい。
スペーサーと接着剤の接着性をさらに向上させるために、スペーサーの表面に親水性基を形成するのが好ましい。具体的には、例えば、スペーサー表面に紫外線照射して、親水基を導入し、スペーサーと接着剤のぬれ性(水に対する接触角)を同程度にする(例えば、スペーサー表面の水に対する接触角を、接着剤の硬化物の水に対する接触角と同程度になるまで下げる)ことにより、接着性を向上させることができる。したがって、有機EL構造体の発光特性をより長期間維持できる。また、同様の目的で、スペーサー表面にシランカップリング剤を塗布してもよい。あるいは、後述するスペーサー用組成物にシランカップリング剤を添加し、スペーサーを形成させてもよい。
上記メチルフェニルシリコーン樹脂のシラノール基は、耐火物フィラー表面と親和性があるため、メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーとの混合を均一かつ自在に制御できる。その結果、メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーの両者の特性を十分発現できる半硬化物が得られ、該半硬化物である組成物は、特にガラス部材と金属部材との封着用として好適である。すなわち、ガラス部材と低温接着性がよく、接着強度が強く、接着加工性に優れ、かつ長期にわたって機械的耐熱性が高く、耐ガスリーク性がよく、気密保持性が高い、耐熱寸法安定性がよい等、多数の特性を合わせもち、さらに、本発明に用いるスペーサー用組成物に特に要求される耐透湿性にも優れている。
一般に硬化性シリコーン系樹脂は、耐熱性、耐候性、耐湿性、電気特性等が優れるので、電気、電子、精密機器等の材料として多用され、シリカのような補強用フィラーを配合し、強度向上を図ることも知られている。また、例えば、エポキシ樹脂で変成した硬化性シリコーン系樹脂が、強度、耐熱性、耐湿性、離型性に優れており、さらに、これにシリカ等のフィラーを配合し、流動性、成形品の機械的強度を向上させた組成物が知られている。硬化性シリコーン系樹脂またはその変成樹脂は比較的弾性率が小さく、封着するガラス部材に懸かる応力を小さくすることができ、熱膨張係数の違いによる歪を小さくすることができる。
一般に硬化性シリコーン系樹脂は、2官能ケイ素モノマー(R2Si−X2)と3官能ケイ素モノマー(RSi−X3)から製造され、場合により1官能ケイ素モノマー(R3Si−X)や4官能ケイ素モノマー(Si−X4)が併用されることがある(Rは結合末端が炭素原子である有機基を示し、Xはアルコキシ基、塩素原子等の加水分解可能な基を示す)。硬化性シリコーン系樹脂は、これらのモノマーを部分的に加水分解共縮合して得られる共重合体であり、Xが加水分解されて生成したシラノール基を有する。この硬化性シリコーン系樹脂は、そのシラノール基によりさらに縮合が可能であり(硬化可能であり)、硬化させることにより最終的に実質的にシラノール基を有しない硬化物となる。硬化物は2官能ケイ素単位(R2SiO)と3官能ケイ素単位(RSiO3/2)からなり、場合によって1官能ケイ素単位(R3SiO1/2)や4官能性のケイ素単位(SiO2)を有する。
硬化性シリコーン系樹脂における各ケイ素単位は、これら硬化物の各ケイ素単位とともに、Xが加水分解されて生成し、シリコーン樹脂の硬化性に寄与するシラノール基を含んだ各ケイ素単位をも意味する。例えば、シラノール基を有する2官能ケイ素単位は(R2Si(OH)−)で表され、シラノール基を有する3官能ケイ素単位は(RSi(OH)2−)や(RSi(OH)=)で表される。また、硬化性シリコーン系樹脂における各ケイ素単位のモル比は原料である各ケイ素モノマーのモル比に等しいと考えられる。
なお、本発明の硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂においては、Rは炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜12の1価の芳香族炭化水素であることが好ましく、メチル基、エチル基またはフェニル基であることがより好ましい。Xは、水酸基、またはアルコキシ基、塩素原子などの加水分解可能な基である。本発明の硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂においては、Xは水酸基であることが好ましい。
また、本発明におけるメチルフェニルシリコーン樹脂は、FT−IRから求めた、Si−O/Si−Rの値が11.0〜15.2であるのが好ましい。すなわち、Si−Oのピーク面積(1250〜950cm-1の範囲内に現れるピーク)(a)を、メチル基由来のピーク面積(1330〜1250cm-1の範囲内に現れるピーク)(b)と、該メチル基由来のピーク面積(b)およびH−NMRから求めたフェニル基のモル数/メチル基のモル数の値(c)の積と、の和で除した値である。すなわち、本発明におけるメチルフェニルシリコーン樹脂は、下記式を満たすことが好ましい。
(a)/[(b)+(c)×(b)]=11.0〜15.2
一般的に硬化性シリコーン系樹脂のSiに結合するアルキル基が長鎖となるに従って耐熱性が低下する。またフェニル基に代表される芳香族炭化水素基は、機械的耐熱性は最も短いアルキル基であるメチル基と同等あるいはそれ以上であり、その質量比が増えるに従って樹脂の被膜が固くなる一方、熱可塑性を帯びてくる。したがって、樹脂中のRの全数に対するフェニル基の数の比により、該樹脂の耐熱性、曲げ性等の機械的強度を調整することができる。本発明におけるメチルフェニルシリコーン樹脂としては、フェニル基/メチル基のモル比が0.1〜1.2であるメチルフェニルシリコーン樹脂が好適である。上記特性により優れる点で、該モル比は0.3〜0.9であることがより好ましい。
別の言い方をすると、樹脂中のRの全数に対するフェニル基の数の比が0.1〜0.5である、より好ましくは0.2〜0.5であるメチルフェニルシリコーン樹脂が好適である。
また、FT−IRから求めたフェニル基由来のピーク高さ(3074cm-1)/メチル基由来のピーク高さ(2996cm-1)が0.1〜1.2のメチルフェニルシリコーン樹脂も好ましい。
本発明において、スペーサー用組成物の原料である硬化性シリコーン系樹脂は、硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂であり、(2官能ケイ素単位と3官能ケイ素単位の合計)に対する2官能ケイ素単位のモル比(単に、2官能ケイ素単位のモル比ともいう)が0.05〜0.55であるメチルフェニルシリコーン樹脂である。このメチルフェニルシリコーン樹脂は、上記有機基Rとしてメチル基とフェニル基の両者を含む硬化性シリコーン系樹脂である。このメチルフェニルシリコーン樹脂は、例えば、ジクロロジメチルシランとトリクロロフェニルシランとを加水分解共縮合させる方法、ジクロロジフェニルシランとトリクロロメチルシランとを加水分解共縮合させる方法等によって製造される。本発明におけるメチルフェニルシリコーン樹脂の2官能ケイ素単位のモル比は、0.2〜0.4であることがより好ましい。また、このメチルフェニルシリコーン樹脂は実質的に2官能ケイ素単位と3官能ケイ素単位のみからなるものが好ましい。これら本発明におけるメチルフェニルシリコーン樹脂は、250℃以上の高温に長時間保持しても、容易に分解、変色することがなく、耐熱性にも優れる。
なお、該2官能ケイ素単位のモル比は、Si−NMRから求めたものである。
本発明におけるメチルフェニルシリコーン樹脂には、ジメチルシリコーン樹脂等の硬化性ジアルキルシリコーン系樹脂、エチルフェニルシリコーン樹脂等のメチルフェニルシリコーン樹脂以外の硬化性アルキルフェニルシリコーン系樹脂を少量配合して、物性調整することができる。しかし通常はメチルフェニルシリコーン樹脂以外のこれら硬化性シリコーン系樹脂は使用しないことが好ましい。また、メチルフェニルシリコーン樹脂を、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等で変性して使用することもできる。しかし、変性する樹脂の量は少ないものが好ましく、本発明におけるメチルフェニルシリコーン樹脂としては実質的に変性されていないメチルフェニルシリコーン樹脂が好ましい。
メチルフェニルシリコーン樹脂は、通常溶剤に溶解した溶液(ワニス)で輸送、保管等の取り扱いを受ける。本発明に用いるスペーサー用組成物は、このワニスを用い、これと耐火物フィラーとを混合して製造することができる。この溶剤を含む本発明に用いるスペーサー用組成物は、流動性を有する液状混合物や固体状混合物となる。また、ワニスから、予め溶剤を除去した後、溶剤がないメチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーとを混合して本発明に用いるスペーサー用組成物とすることもできる。さらに、ワニスと耐火物フィラーとを混合した後、溶剤を除去して本発明に用いるスペーサー用組成物とすることもできる。
メチルフェニルシリコーン樹脂のワニス化に用いる溶剤は特に限定されるものではなく、メチルフェニルシリコーン樹脂を溶解する溶剤であればいずれでもよい。例えば、芳香族炭化水素系溶媒であるキシレン、トルエン、ベンゼン、沸点100℃以下の溶媒であるメチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、1−プロパノール、2−プロパノール、アリルアルコール等を用いることができる。後述するように、スペーサー用組成物を溶媒に溶解させたペースト状の状態で使用する場合には、スペーサー用組成物を塗布した後、加熱して溶媒を揮発させて除去することが容易であることから後者がより好ましい。ワニスにおける溶剤の使用量は5〜50質量%であるのが好ましい。5質量%未満ではメチルフェニルシリコーン樹脂の溶解作用が不充分で耐火物フィラーと均質に混合することが困難となりやすい。50質量%を超えると耐火物フィラーと混合した場合、溶剤が耐火物フィラーと相分離を起こしやすく、また耐火物フィラーを混合した後、溶剤を除去する場合に、多大なエネルギーを要する。
メチルフェニルシリコーン樹脂は、スペーサー用組成物中で部分的に重合させたメチルフェニルシリコーン樹脂(単に、部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂ともいう)として存在させることができる。部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂は、原料のメチルフェニルシリコーン樹脂の脱水縮合反応がある程度進行しているので、原料のメチルフェニルシリコーン樹脂に比較して、硬化させてスペーサーを形成した時の水分の発生が少なく、したがって部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂を含むスペーサー用組成物は、硬化させてスペーサーを形成した際に、原料のメチルフェニルシリコーン樹脂に比較して気泡発生のおそれがより少なくなり、気密性を向上させることができる。また、部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂は、原料のメチルフェニルシリコーン樹脂に比較して高粘度液体ないし溶融粘度の高い固体であり、本発明に用いるスペーサー用組成物を成形体とする場合に適した性質を有する。例えば、封止板の所定部位に配置したスペーサー用組成物の成形体を、硬化させてスペーサーを形成した際に、メチルフェニルシリコーン樹脂が流動して所定部位からはみ出すおそれが少なくなる。
なお、部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂は、その原料であるメチルフェニルシリコーン樹脂の硬化が部分的に進んだ状態にある硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂である。本発明におけるメチルフェニルシリコーン樹脂とは、部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂の原料であるメチルフェニルシリコーン樹脂を意味するとともに、この部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂をも意味する。以下、本発明に用いるスペーサー用組成物の製造段階で、特にメチルフェニルシリコーン樹脂の部分的な重合を行ったものを部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂という。
メチルフェニルシリコーン樹脂の部分的な重合は、通常、原料のメチルフェニルシリコーン樹脂の加熱による硬化反応が完全に終了しない程度で停止することにより行われる。
例えば、通常の硬化反応の場合よりも低温で加熱する、通常の硬化に必要な時間よりも短時間加熱する等の方法で原料のメチルフェニルシリコーン樹脂を部分的に硬化して得られる。原料のメチルフェニルシリコーン樹脂の部分的な重合は、耐火物フィラーの存在する組成物中で、またはその組成物製造の過程で行うことができる。
メチルフェニルシリコーン樹脂の脱水縮合による硬化は、通常加熱のみで進行し、該樹脂のシラノール基同士の脱水縮合反応と、該樹脂のシラノール基と耐火物フィラー表面のシラノール基の脱水縮合反応により溶剤に不溶の硬化物が形成される。例えば、基板または封止板の所望の位置に塗布されたスペーサー用組成物は、140℃以上、好ましくは180℃から300℃の温度で1〜120分間加熱するのみで該樹脂が硬化し、不溶化して、本発明に用いるスペーサーとなる。通常、スペーサー用組成物に溶剤が含まれている場合は、加熱の初期に揮発除去され、有機物等の非耐熱性物質が存在する場合は、硬化の際に、揮発除去または分解除去される。
メチルフェニルシリコーン樹脂の硬化温度を下げるために硬化触媒を用いてもよい。触媒として亜鉛、コバルト、錫、鉄、ジルコニウム等の有機金属塩や、第4級アンモニウム塩、アルミニウム、チタン等のキレート類、各種のアミン類もしくはその塩類等が例示される。
本発明に用いられる耐火物フィラーは、耐熱性の無機質粉末が好ましい。具体的には、シリカ、アルミナ、ムライト、ジルコン、コーディエライト、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン、β−石英固溶体、フォルステライト、チタン酸ビスマス、チタン酸バリウムガラス等である。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
耐火物フィラーの平均粒径は0.1〜130μmが好ましく、0.1〜90μmがより好ましく、0.1〜20μmがさらに好ましく、0.1〜10μmが特に好ましい。平均粒径が上記上限を超えると、メチルフェニルシリコーン樹脂の硬化後に、耐火物フィラーとシリコーン樹脂との界面にクラックが発生し、有機EL素子の内部空間へ水分を含む空気等が侵入し、内部空間の乾燥状態を保持できなくなるおそれがある。平均粒径が上記下限未満であると、粉末の凝集が生じ、硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂中に均質に分散されない。また、増粘が生じるため、耐火物フィラーの配合量が制限されるという問題を有する。
耐火物フィラーは、シリカ、特に球状シリカであるのが好ましい。球状シリカの平均粒径は0.1〜130μmであるのが好ましく、0.1〜90μmであるのがより好ましく、0.1〜20μmであるのがさらに好ましく、0.1〜10μmであるのがさらに好ましい。球状シリカの平均粒径が0.1〜20μmであると、塗布作業性の良好なスペーサー用組成物が得られる。平均粒径が上記範囲未満の場合、粒子同士が凝集して分散性が下がり、均一な組成物が得られず、上記範囲を超えると粒子の沈殿が生じるため分散性が劣るようになり、やはり均一な組成物が得られない。また、増粘が生じるため、耐火物フィラーの配合量が制限されるという問題を有する。
本発明に用いるスペーサー用組成物における耐火物フィラーの配合量は、メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーの合計量に対して10〜80質量%である。10質量%未満の場合には、充分な耐熱性が発現せず、また、封着に必要な数10μm以上の厚さのスペーサー層を確保することが困難である。80質量%を超える場合は、メチルフェニルメチルフェニルシリコーン樹脂との分散性、親和性が悪くなり、結果としてスペーサー(硬化物)にクラックが発生し、有機EL素子の内部空間へ水分を含む空気等が侵入して内部空間の乾燥状態を保持できなくなる。また、封着部位への接着強度の低下が起こる。
好ましい耐火物フィラーの量は30〜70質量%である。
平均粒径が0.1〜20μmの球状シリカを含有する場合のスペーサー用組成物における該球状シリカの配合量は、メチルフェニルシリコーン樹脂および耐火物フィラーの合計に対して10〜80質量%であり、30〜70質量%であるのが好ましい。この範囲未満であると耐熱性、耐光性が劣るようになり、この範囲を超えるとスペーサーにクラックが発生し、有機EL素子の内部空間へ水分を含む空気等が侵入して内部空間の乾燥状態を保持できなくなる。また、封着部位の接着強度の低下が生じる。
本発明に用いるスペーサー用組成物は、平均粒径の小さい(130μm以下)耐火物フィラーとは別に、粒径が大きく(130μm超)かつ粒径分布が狭い球状粒子をスペーサーの厚さを出し易くするために、少量配合することが好ましい。以下、この粒径が大きいフィラーを第2のフィラーとも言う。
第2のフィラーとしては、耐火物フィラーの粒径よりも大きい粒径を有する球状耐火物フィラーが好ましい。具体的には、例えば、粒径300〜500μmの球状シリカやチタン酸バリウム等が好ましい。第2のフィラーの配合量はメチルフェニルシリコーン樹脂および耐火物フィラーの合計に対して0.1〜15質量%(ただし、全耐火物フィラーに対して50質量%以下)が好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。
本発明に用いるスペーサー用組成物には、メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラー以外の他の成分を含有させてもよい。このような他の成分としては、例えば、上記溶剤等の最終的にスペーサーとして機能する成分以外の成分、または、スペーサーに残る成分、例えば、スペーサー着色顔料である。これら成分のスペーサー用組成物中の含有量は、特に限定されないが、本発明に用いるスペーサー用組成物やそれから得られるスペーサーの特性を阻害しない量である。前者の成分は、溶剤を除いて、スペーサー用組成物に対して20質量%以下が好ましい。溶剤の量は、スペーサー用組成物を、液状で使用する、固体状で使用する等の使用法、その他に応じて任意であるが、通常はスペーサー用組成物に対して50質量%以下が好ましい。
具体的な他の成分およびその好適量(ただし、溶剤を除くスペーサー用組成物に対する量)としては、例えば、以下のものがある。上記メチルフェニルシリコーン樹脂の硬化促進のためのアミン系硬化剤等を5質量%以下、スペーサーの機械的耐熱性をさらに高める目的や着色の目的で顔料等を15質量%以下、スペーサー用組成物のポットライフ向上、耐火物フィラーやメチルフェニルシリコーン樹脂の分散性、基板または封止板とスペーサー用組成物との封着性向上等の目的で、松やに、ロジン、ロジン誘導体等の粘着性付与剤を5質量%以下、配合することができる。また、スペーサーと後述する接着剤との接着性を向上させる目的で、シランカップリング剤を、上記スペーサー用組成物とシランカップリング剤の合計量に対して、1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%配合することができる。
上記シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、エポキシ基、アミノ基(ウレイド基)、メルカプト基、(ポリ)スルフィド基、ビニル基、メタクリロキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基、ハロゲンおよびシクロプロピル基からなる群より選択される少なくとも1種の有機官能基を持つシランカップリング剤が挙げられる。
本発明に用いられるスペーサー用組成物は、上記メチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーとを混合して均一な組成物とすることにより得られる。メチルフェニルシリコーン樹脂の溶液(ワニス)を使用し、メチルフェニルシリコーン樹脂と溶剤と耐火物フィラーとを含む組成物とすることもできる。また、ワニスと耐火物フィラーとを加熱、撹拌下で混合した後、溶剤を揮発させて除去し、実質的に溶剤を含まない固体状の組成物とすることもできる。固体状の組成物とする場合、溶剤を揮発させて除去する温度は、使用する溶媒の種類にもよるが、100〜180℃であり、好ましくは100〜140℃である。本発明のスペーサー用組成物は、取扱性に優れることから、溶媒を含んだ、好ましくは溶媒を10〜30質量%含んだ、ペースト状の状態で使用することが好ましい。固体の状態で使用する場合、その形状は特に限定されず、シート状、ワイヤー状、スティック状などの形状に成形されていてもよい。
上記スペーサー用組成物を製造する際にメチルフェニルシリコーン樹脂を部分的に重合して部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂とすることができる。メチルフェニルシリコーン樹脂の部分的な重合は、耐火物フィラーを混合する前に行ってもよく、耐火物フィラーを混合した後に行ってもよい。またワニスを使用する場合は、溶剤が存在する状態で行ってもよく、溶剤を除去した後に行ってもよい。通常は、上記のようにワニスと耐火物フィラーとを加熱、撹拌下で混合してその状態で溶剤を除去し、引き続きその状態でさらに温度を上昇させてメチルフェニルシリコーン樹脂の部分的な重合を行うことが好ましい。
メチルフェニルシリコーン樹脂の部分的な重合は、硬化反応が完全に進行する前に反応を停止させるため、メチルフェニルシリコーン樹脂を含有する組成物の粘度を目安にしながら120〜180℃の温度で実施する。180℃で部分的な重合を実施する場合、例えば、組成物の粘度が5000cP〜60,000cPになった時点で加熱を終了すればよい。なお、硬化反応が比較的遅く、粘度を目安とした反応の停止が容易であることから、部分的な重合は120〜140℃の温度で実施することが好ましい。
部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂を含む本発明に用いるスペーサー用組成物は、シート状、ワイヤー状、スティック状等の形状に成形された成形体であることが好ましい。例えば、上記のように加熱して部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂としたスペーサー用組成物は、粘土状の組成物となり、加熱状態のこの粘土状組成物を鋳型に鋳込んで成形することができる。具体的には、フッ素樹脂等で作製した鋳型を用いて、シート状、ワイヤー状、スティック状等の所望の様々な形状の成形体に成形することができる。得られたシート状、ワイヤー状、スティック状等の形状をしたスペーサー用組成物の成形体は、その形状のまま被封着物の封着に適用できる。
一方、部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂を含む本発明に用いるスペーサー用組成物は、上記した好適な溶媒に溶解されたペースト状の状態で使用してもよく、取扱性に優れることからむしろ好ましい。ペースト状の状態で使用する場合、溶媒の配合量は上記した通りである。
次に、図を参照しつつ、本発明の有機EL素子についてより具体的に説明する。
図1は、本発明の有機EL素子の一構成例を示す概略断面図である。図1において、有機EL素子1は、基板2上に形成されている有機EL構造体3と、この有機EL構造体3を覆うように所定間隔をおいて配置されている封止板4とを有する。また、基板2と封止板4とを所定間隔に保持するために、両者の間にスペーサー6を挟持する。基板2とスペーサー6との接合面は、接着剤5を介して接合されている。
<基板>
本発明に用いられる基板の材料としては、基板側から発光した光を取り出す構成の場合、透光性を要求されるため、透明または半透明な材料で製造される。通常はガラス製、例えばソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、シリカガラス、無アルカリガラス等のガラス製であり、透明または半透明の樹脂製であってもよい。なお、ソーダ石灰ガラス(ソーダライムガラス)の場合、いわゆる白板と呼ばれるものが光透過性に優れることから好ましい。また、逆積層の場合には、基板は透明でも不透明であってもよく、不透明である場合にはセラミックス等を使用してもよい。
また、基板に色フィルター膜や蛍光性物質を含む色変換膜、あるいは誘電体反射膜を用いて発光色をコントロールしてもよい。
色フィルター膜には、液晶ディスプレイ等で用いられているカラーフィルターを使用でき、有機EL素子の発光する光に合わせてカラーフィルターの特性を調整し、取り出し効率・色純度を最適化すればよい。
また、有機EL素子材料や蛍光変換層が光吸収するような短波長の外光をカットできるカラーフィルターを用いれば、素子の耐光性・表示のコントラストも向上する。
また、誘電体多層膜のような光学薄膜を用いてカラーフィルターの代わりにしてもよい。
蛍光変換フィルター膜は、EL発光の光を吸収し、蛍光変換膜中の蛍光体から光を放出させることで、発光色の色変換を行うものであるが、組成としては、バインダー、蛍光材料、光吸収材料の3つから形成される。
蛍光材料は、基本的には蛍光量子収率が高いものを用いればよく、EL発光波長域の吸収が強いことが望ましい。実際には、レーザー色素等が適しており、ローダミン系化合物・ペリレン系化合物・シアニン系化合物・フタロシアニン系化合物(サブフタロシアニン等も含む)、ナフタロイミド系化合物・縮合環炭化水素系化合物・縮合複素環系化合物・スチリル系化合物・クマリン系化合物等を用いればよい。
バインダーは、基本的に蛍光を消光しないような材料を選べばよく、フォトリソグラフィー・印刷等で微細なパターニングが出来るようなものが好ましい。また、ITO、IZOの成膜時にダメージを受けないような材料が好ましい。
光吸収材料は、蛍光材料の光吸収が足りない場合に用いるが、必要のない場合は用いなくてもよい。また、光吸収材料は、蛍光性材料の蛍光を消光しないような材料を選べばよい。
<有機EL構造体>
本発明に用いられる有機EL構造体は、ホール注入電極と、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、あるいはこれらの混合層等から構成される有機層と、電子注入電極とから構成され、これらは必要に応じて種々の態様をとることができる。すなわち、電子輸送層を省略したり、ホール注入層とホール輸送層を、ホール注入・輸送層とする等してもよい。
本発明に用いられる有機EL構造体の材料としては、従来公知の材料を用いることができる。具体的には、例えば、「有機EL材料と表示装置」(シーエムシー社発行)や、特開2003−317934号公報に記載されている材料を用いることができる。
これら有機層を構成する各有機材料のガラス転移温度Tgに対する加熱処理温度は、各構成材料それぞれのガラス転移温度Tgの内最も低いガラス転移温度Tgに、20℃を加えた温度を超えない温度であって、かつこの最も低いガラス転移温度Tgから、20℃を減じた温度より低くない温度であることが好ましい。より好ましくは、上記最も低いガラス転移温度からこれより20℃高い温度までの範囲の温度である。
また、輝度の半減時間等、有機EL素子の長寿命化を図る上で、ホール輸送性材料、ホール注入材料、あるいはこれらの材料を用いた有機層間や有機層とホール注入電極間の界面等の影響が大きく、有機EL素子の構成や使用する有機材料によってはこれらの材料のガラス転移温度を基準としてもよい。
加熱処理の時間としては、有機層の構成処理する温度にもよるが、好ましくは10分〜24時間、より好ましくは20分〜20時間、特に30分〜12時間の範囲が好ましい。
発光層は、ホール(正孔)および電子の注入機能、それらの輸送機能、ホールと電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する。発光層には比較的電子的にニュートラルな化合物を用いることが好ましい。
本発明の有機EL素子の発光層には発光機能を有する化合物である蛍光性物質を含有させる。このような蛍光性物質としては、例えば、特開昭63−264692号公報に開示されているような化合物、例えばキナクリドン、ルブレン、スチリル系色素等の化合物から選択される少なくとも1種が挙げられる。また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体色素等のキノリン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アントラセン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体等が挙げられる。さらには、特開平8−12600号公報(特願平6−110569号)に記載のフェニルアントラセン誘導体、特開平8−12969号公報(特願平6−114456号)に記載のテトラアリールエテン誘導体等を用いることができる。
また、それ自体で発光が可能なホスト物質と組み合わせて使用することが好ましく、ドーパントとしての使用が好ましい。このような場合の発光層における化合物の含有量は0.01〜10体積%、さらには0.1〜5体積%であることが好ましい。ホスト物質と組み合わせて使用することによって、ホスト物質の発光波長特性を変化させることができ、長波長に移行した発光が可能になるとともに、素子の発光効率や安定性が向上する。これらの蛍光性物質がドーパントとして使用され、含有量が5体積%以下である場合には、熱処理の際におけるこの蛍光性物質に関するガラス転移温度Tgは考慮しなくてもよい。
ホスト物質としては、キノリノラト錯体が好ましく、さらには8−キノリノールないしその誘導体を配位子とするアルミニウム錯体が好ましい。このようなアルミニウム錯体としては、特開昭63−264692号、特開平3−255190号、特開平5−70733号、特開平5−258859号、特開平6−215874号等に開示されているものを挙げることができる。
具体的には、まず、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、ビス(8−キノリノラト)マグネシウム、ビス(ベンゾ{f}−8−キノリノラト)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウムオキシド、トリス(8−キノリノラト)インジウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム、8−キノリノラトリチウム、トリス(5−クロロ−8−キノリノラト)ガリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリノラト)カルシウム、5,7−ジクロル−8−キノリノラトアルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−ヒドロキシキノリノラト)アルミニウム、ポリ[亜鉛(II)−ビス(8−ヒドロキシ−5−キノリニル)メタン]等がある。
また、8−キノリノールないしその誘導体の他に、他の配位子を有するアルミニウム錯体であってもよく、このようなものとしては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(メタークレゾラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,6−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,4−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,6−ジフェニルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,4,6−トリフェニルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3,6−トリメチルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2,3,5,6−テトラメチルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(1−ナフトラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III)、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(オルト−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(メタ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(3,5−ジメチルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)(3,5−ジ−tert−ブチルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラト)(パラ−クレゾラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラト)(パラ−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラト)(オルト−クレゾラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−6−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)(2−ナフトラト)アルミニウム(III)等がある。
これらの他、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)、ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)−μ−オキソ−ビス(4−エチル−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III)−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシキノリノラト)アルミニウム(III)、ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)−μ−オキソ−ビス(5−シアノ−2−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)等であってもよい。これらの物質のガラス転移温度Tgは、具体的に特定することが困難である場合が多いが、90〜130℃程度のものが好ましい。
これらの他のホスト物質としては、特開平8−12600号公報(特願平6−110569号)に記載のフェニルアントラセン誘導体、特開平8−12969号公報(特願平6−114456号)に記載のテトラアリールエテン誘導体等も好ましい。これらの物質のガラス転移温度Tgは60〜150℃程度であり、90〜130℃程度のものが好ましい。
発光層は電子注入輸送層を兼ねたものであってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。これらの蛍光性物質を蒸着すればよい。これらの物質のガラス転移温度Tgは60〜150℃程度であり、好ましくは90〜130℃程度のものが好ましい。ただし、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムは、ガラス転移温度Tgが不明であるが、100℃程度までは安定である(以下、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムに関しては同じである)。
また、必要に応じて発光層は、少なくとも1種以上のホール注入輸送性化合物と少なくとも1種以上の電子注入輸送性化合物との混合層とすることも好ましく、この混合層中にドーパントを含有させることが好ましい。このような混合層における化合物の含有量は、0.01〜20体積%、さらには0.1〜15体積%とすることが好ましい。
混合層では、キャリアのホッピング伝導パスができるため、各キャリアは極性的に優勢な物質中を移動し、逆の極性のキャリア注入は起こり難くなり、有機化合物がダメージを受け難くなり、素子寿命がのびるという利点がある。しかし、前述のドーパントをこのような混合層に含有させることにより、混合層自体のもつ発光波長特性を変化させることができ、発光波長を長波長に移行させることができるとともに、発光強度を高め、かつ素子の安定性を向上させることができる。
混合層に用いられるホール注入輸送性化合物および電子注入輸送性化合物は、各々、後述のホール注入輸送層用の化合物および電子注入輸送層用の化合物の中から選択すればよい。なかでも、ホール注入輸送層用の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン誘導体、例えばホール輸送材料であるトリフェニルジアミン誘導体、さらにはスチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体を用いるのが好ましい。これらの物質のガラス転移温度Tgは60〜150℃程度であり、好ましくは90〜130℃程度のものが好ましい。
電子注入輸送性の化合物としては、キノリン誘導体、さらには8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体、特にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)を用いることが好ましい。また、上記のフェニルアントラセン誘導体、テトラアリールエテン誘導体を用いるのも好ましい。これらの物質のガラス転移温度Tgは60〜150℃程度であり、好ましくは90〜130℃程度のものが好ましい。
ホール注入輸送層用の化合物としては、強い蛍光を持ったアミン誘導体、例えば上記のホール輸送材料であるトリフェニルジアミン誘導体、さらにはスチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を持つアミン誘導体を用いるのが好ましい。これらの物質のガラス転移温度Tgは60〜150℃程度であり、好ましくは90〜130℃程度のものが好ましい。
この場合の混合比は、それぞれのキャリア移動度とキャリア濃度を考慮する事で決定するが、一般的には、ホール注入輸送性化合物の化合物/電子注入輸送機能を有する化合物の重量比が、1/99〜99/1、さらには10/90〜90/10、特には20/80〜80/20程度となるようにすることが好ましい。
また、混合層の厚さは、分子層一層に相当する厚みから、有機化合物層の膜厚未満とすることが好ましく、具体的には1〜85nmとすることが好ましく、さらには5〜60nm、特には5〜50nmとすることが好ましい。
また、混合層の形成方法としては、異なる蒸着源より蒸発させる共蒸着が好ましいが、蒸気圧(蒸発温度)が同程度あるいは非常に近い場合には、予め同じ蒸着ボード内で混合させておき、蒸着することもできる。混合層は化合物同士が均一に混合している方が好ましいが、場合によっては、化合物が島状に存在するものであってもよい。発光層は、一般的には、有機蛍光物質を蒸着するか、あるいは樹脂バインダー中に分散させてコーティングすることにより、発光層を所定の厚さに形成する。
ホール注入輸送層は、陽電極からのホールの注入を容易にする機能、ホールを安定に輸送する機能および電子を妨げる機能を有し、電子注入輸送層は、陰電極からの電子の注入を容易にする機能、電子を安定に輸送する機能およびホールを妨げる機能を有するものであり、これらの層は、発光層に注入されるホールや電子を増大・閉じこめさせ、再結合領域を最適化させ、発光効率を改善する。
ホール注入輸送層には、例えば、特開昭63−295695号公報、特開平2−191694号公報、特開平3−792号公報、特開平5−234681号公報、特開平5−239455号公報、特開平5−299174号公報、特開平7−126225号公報、特開平7−126226号公報、特開平8−100172号公報、EP0650955A1等に記載されている各種有機化合物を用いることができる。例えば、テトラアリールベンジシン化合物(トリアリールジアミンないしトリフェニルジアミン:TPD)、芳香族三級アミン、ヒドラゾン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ポリチオフェン、ポリアニリン誘導体、フタロシアニン、下記式で表されるα−NPD、トリフェニルアミンテトラマー(TPTE)等である。これらの化合物は2種以上を併用してもよく、併用するときは別層にして積層したり、混合したりすればよい。これらの物質のガラス転移温度Tgは60〜150℃程度であり、好ましくは90〜130℃程度のものが好ましい。
Figure 0004506753
ホール注入輸送層をホール注入層とホール輸送層とに分けて設層する場合は、ホール注入輸送層用の化合物の中から好ましい組み合わせを選択して用いることができる。このとき、陽電極(ITO等)側からイオン化ポテンシャルの小さい化合物の層の順に積層することが好ましい。また、陽電極表面には薄膜性の良好な化合物を用いることが好ましい。
このような積層順については、ホール注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。このような積層順とすることによって、駆動電圧が低下し、電流リークの発生やダークスポットの発生・成長を防ぐことができる。また、素子化する場合、蒸着を用いているので1〜10nm程度の薄い膜も、均一かつピンホールフリーとすることができるため、ホール注入層にイオン化ポテンシャルが小さく、可視部に吸収をもつような化合物を用いても、発光色の色調変化や再吸収による効率の低下を防ぐことができる。ホール注入輸送層は、発光層等と同様に上記の化合物を蒸着することにより形成することができる。
また、必要に応じて設けられる電子注入輸送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)等の8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする有機金属錯体等のキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体(DPVBi)、ベンゾオキサゾールチオフェン誘導体、チアゾール誘導体等を用いることができる。電子注入輸送層は発光層を兼ねたものであってもよく、このような場合はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム等を使用することが好ましい。電子注入輸送層の形成は発光層と同様に蒸着等によればよい。これらの物質のガラス転移温度Tgは60〜150℃程度であり、90〜130℃程度のものが好ましい。
電子注入輸送層を電子注入層と電子輸送層とに分けて積層する場合には、電子注入輸送層用の化合物の中から好ましい組み合わせを選択して用いることができる。このとき、電子注入電極側から電子親和力の値の大きい化合物の順に積層することが好ましい。このような積層順については電子注入輸送層を2層以上設けるときも同様である。
電子注入層の材料としては、例えば、フッ化リチウム(Appl.Phys.Lett.,70,152(1997))に代表されるアルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化アルミニウム、酸化バリウム等の酸化物が挙げられる。電子注入層の材料が絶縁体の場合には、電子注入層の膜厚は、5nm以下が好ましく、2nm以下とすることにより電子注入電極からの電子のトンネル注入が可能となると考えられるのでより好ましい。非絶縁体の場合には、100nm以下で効果を損しない範囲内とされるのが好ましい。
発光層、ホール注入輸送層および電子注入輸送層等の有機層の形成には、均質な薄膜が形成できることから真空蒸着法を用いることが好ましい。真空蒸着法を用いた場合、アモルファス状態または結晶粒径が0.1μm以下の均質な薄膜が得られる。結晶粒径が0.1μmを超えていると、不均一な発光となり、素子の駆動電圧を高くしなければならなくなり、電荷の注入効率も著しく低下する。
真空蒸着の条件は特に限定されないが、10-4Pa以下の真空度とし、蒸着速度は0.01〜1nm/sec程度とすることが好ましい。また、真空中で連続して各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げるため、高い特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低くしたり、ダークスポットの成長・発生を抑えたりすることができる。
これら各層の形成に真空蒸着法を用いる場合において、1層に複数の化合物を含有させる場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して共蒸着することが好ましい。
発光層の厚さ、ホール注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは特に限定されず、形成方法によっても異なるが、通常、5〜500nm程度、特に10〜300nmとすることが好ましい。
ホール注入輸送層の厚さおよび電子注入輸送層の厚さは、再結合・発光領域の設計によるが、発光層の厚さと同程度もしくは1/10〜10倍程度とすればよい。ホールもしくは電子の、各々の注入層と輸送層を分ける場合は、注入層は1nm以上、輸送層は1nm以上とするのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上限は、通常、注入層で500nm程度、輸送層で500nm程度である。このような膜厚については注入輸送層を2層設けるときも同じである。
ホール注入電極は、通常基板側の電極として形成され、発光した光を取り出す構成であるため、透明ないし半透明な電極が好ましい。透明電極としては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)、ZnO、SnO2、In23等が挙げられるが、中でも、ITOおよびIZOが好ましい。ITOは、通常In23とSnOとを化学量論組成で含有するが、O量は多少これから偏倚していてもよい。
ホール注入電極の厚さは、ホール注入を十分行える一定以上の厚さを有すればよく、10〜500nm、さらには30〜300nmの範囲が好ましい。また、その上限は特に制限はないが、あまり厚いと剥離、加工性の悪化、応力による障害、光透過性の低下や、表面の粗さによるリーク等の問題が生じてくる。逆に厚さが薄すぎると、製造時の膜強度やホール輸送能力、抵抗値の点で問題がある。
このホール注入電極層は蒸着法等によっても形成できるが、好ましくはスパッタ法により形成することが好ましい。
また、基板側からの水分の浸入を防ぐ目的で、基板の上にSiO2膜等のバリア層を形成した後、該バリア層の上にホール注入電極を形成するのが好ましい。該バリア層の膜厚は、10〜100nmが好ましく、15〜20nmがより好ましい。
光を取り出す側の電極は、発光波長帯域、通常400〜700nm、特に各発光光に対する光透過率が50%以上、より好ましくは60%以上、特に80%以上、さらには90%以上であることが好ましい。透過率が低くなると、発光層からの発光自体が減衰され、発光素子として必要な輝度を得難くなってくる。なお、コントラスト比を向上させたりして視認性を向上させる目的等のため、比較的低い透過率とする場合もある。
電子注入電極としては、低仕事関数の物質が好ましい。例えば、K、Li、Na、Mg、La、Ce、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、In、Sn、Zn、Zr等の金属元素単体、または安定性を向上させるためにそれらを含む2成分、3成分の合金系を用いることが好ましい。合金系としては、例えばAg・Mg(Ag:1〜20at%)、Al・Li(Li:0.3〜14at%)、In・Mg(Mg:50〜80at%)、Al・Ca(Ca:5〜20at%)等が好ましい。なお、電子注入電極は蒸着法やスパッタ法で形成することが可能である。
また、これらの酸化物を、より電荷を移動させ易くする目的で、補助電極と組み合わせて形成してもよい。補助電極の膜厚は、0.1〜10nmが好ましく、0.1〜5がより好ましい。
電子注入電極薄膜の厚さは、電子注入を十分行える一定以上の厚さとすればよく、0.1nm以上、好ましくは1nm以上とすればよい。また、その上限値には特に制限はないが、通常膜厚は1〜500nm程度とすればよい。電子注入電極の上には、さらに保護電極を設けてもよい。
保護電極の厚さは、電子注入効率を確保し、水分や酸素あるいは有機溶媒の進入を防止するため、一定以上の厚さとすればよく、好ましくは50nm以上、さらには100nm以上、特に100〜1000nmの範囲が好ましい。保護電極層が薄すぎると、その効果が得られず、また、保護電極層の段差被覆性が低くなってしまい、端子電極との接続が十分ではなくなる。一方、保護電極層が厚すぎると、保護電極層の応力が大きくなるため、ダークスポットの成長速度が速くなってしまう。
電子注入電極と保護電極とを併せた全体の厚さとしては、特に限定されないが、通常100〜1000nm程度とすればよい。
電極成膜後に、上記保護電極に加えて、SiOX等の無機材料、テフロンR、塩素を含むフッ化炭素重合体等の有機材料等を用いた保護膜を形成してもよい。保護膜は透明でも不透明であってもよく、保護膜の厚さは50〜1200nm程度とする。保護膜は、上記の反応性スパッタ法の他に、一般的なスパッタ法、蒸着法、PECVD法等により形成すればよい。
<封止板>
本発明に用いられる封止板としては、凹部を形成したものでもよいが、製造が容易で価格が安価である点で、平板状であることが好ましい。
封止板の材料としては、ガラスや石英、樹脂等の透明または半透明材料が挙げられるが、特にガラスが好ましい。ガラス平板を用いることで、安価でしかも薄型の有機EL表示装置とすることができる。このようなガラス材として、コストの面からアルカリガラスが好ましいが、この他、ソーダ石灰ガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカガラス、無アルカリガラス等のガラス組成のものも好ましい。特に、ソーダガラスで、表面処理の無いガラス材が安価に使用でき、好ましい。封止板としては、ガラス板以外にも、金属板、プラスチック板等を用いることもできる。
封止板の大きさとしては、特に限定されるものではなく、表示部位のデザイン、および回路設計等により、適宜好適な大きさに調整される。その厚さは、平板で通常、0.1〜5mm程度である。
<接着剤>
本発明に用いられる接着剤としては、熱硬化型の接着剤も使用することができるが、有機EL構造体への影響を考慮すると光硬化型の接着剤が好ましい。例えば、エステルアクリレート,ウレタンアクリレート,エポキシアクリレート,メラミンアクリレート,アクリル樹脂アクリレート等の各種アクリレート、ウレタンポリエステル等の樹脂を用いたラジカル系接着剤や、エポキシ、ビニルエーテル等の樹脂を用いたカチオン系接着剤、チオール・エン付加型樹脂系接着剤等が挙げられ、中でも酸素による阻害が無く、光照射後も重合反応が進行するカチオン系接着剤が好ましい。
カチオン系接着剤としては、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤が好ましい。上記有機EL構造体の各層構成材料のガラス転移温度は、140℃以下、特に80〜100℃程度であり、通常の熱硬化型の接着剤を用いると、その硬化温度が140〜180℃程度であるため、その硬化の際に有機EL構造体が軟化してしまい、特性の劣化が生じてしまうという問題がある。一方、紫外線硬化型接着剤の場合は、このような有機EL構造体の軟化というような問題は生じないが、現在一般に用いられている紫外線硬化型接着剤はアクリル系であり、その硬化の際にその成分中のアクリルモノマーが揮発し、それが上記有機EL構造体の各構成材料に悪影響を及ぼし、その特性を劣化させるという問題がある。そこで、本発明においては、以上のような問題のない、あるいは極めて少ない接着剤である上記のカチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を用いることが好ましい。
なお、紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤として市販されているものの中には、紫外線加熱硬化併用型のエポキシ樹脂接着剤が含まれる場合があるが、この場合には、ラジカル硬化タイプのアクリル系樹脂と加熱硬化タイプのエポキシ樹脂が混合あるいは変性してある場合が多く、上記のアクリル系樹脂におけるアクリルモノマーの揮発の問題や熱硬化型エポキシ樹脂における硬化温度の問題が解決しておらず、本発明の有機EL素子に用いる接着剤としては好ましくない。
カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤とは、主たる硬化剤として紫外線等の光照射による光分解でルイス酸触媒を放出するルイス酸塩型硬化剤を含み、光照射により発生されたルイス酸が触媒となって主成分であるエポキシ樹脂がカチオン重合型の反応機構により重合し、硬化するタイプの接着剤である。
上記接着剤の主成分たるエポキシ樹脂としては、エポキシ化オレフィン樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂等が挙げられる。また、上記硬化剤としては、芳香族ジアゾニウムのルイス酸塩、ジアリルヨードニウムのルイス酸塩、トリアリルスルホニウムのルイス酸塩、トリアリルセレニウムのルイス酸塩等が挙げられる。これらのうちでは、ジアリルヨードニウムのルイス酸塩が好ましい。
上記接着剤は、耐透湿性がスペーサーに比べて低いので、基板と封止板間の距離はスペーサーの厚さで調節するのが好ましい。したがって、接着剤層の厚さは、十分な接着強度が確保できる範囲で、可能な限り薄い方が好ましい。通常5〜100μm、好ましくは10〜80μm程度である。
<有機EL素子の製造方法>
次に、本発明の有機EL素子の製造方法を説明する。
本発明の有機EL素子の製造方法は、特に限定されないが、例えば、封止板の一方の面に上記スペーサー用組成物を塗布し、加熱硬化してスペーサーを形成する第1の工程と、該硬化されたスペーサーの表面に、接着剤を塗布する第2の工程と、該第2の工程でスペーサーの表面に塗布された接着剤と、有機EL構造体が形成された基板とを密着させ、該接着剤に紫外線を照射して硬化する第3の工程とを有するのが好ましい。
上記第1の工程において、温度、加熱時間等の条件は特に限定されないが、上記封止板の一方の面の周縁部に上記スペーサー用組成物を塗布し、70〜120℃で、30〜60分間加熱して溶媒を除去し、常圧下または減圧下、170〜200℃で5〜30分間仮乾燥を行って適度に硬化させる。その後に、その表面を離型性の良い平板(例えば、フッ素樹脂で表面処理したガラス板)等を用いて面出しを行い、常圧下または減圧下、140℃以上、好ましくは180℃から300℃の温度で1〜12時間、好ましくは2〜5時間加熱して硬化しスペーサーを形成するのが好ましい。
また、予め適度に硬化されてペースト状にされた部分重合メチルフェニルシリコーン樹脂を含むスペーサー用組成物を用いる場合、仮乾燥を行う必要がなく、スペーサー用組成物を厚塗りすることができ、前処理によってスペーサー用組成物からの脱気が可能になるのでより好ましい。
ペースト状ないしスラリー状のスペーサー用組成物は、刷毛、スプレー、ディスペンサー等で封止板に塗布することができ、スペーサー用組成物が溶剤を含む場合は、塗布後に溶剤を加熱除去することができる。
また、スペーサー用組成物を加圧し、その状態で加熱してスペーサー用組成物を硬化するのが好ましい。
上記第3の工程において、上述の方法で予め基板上に有機EL構造体を形成した基板と、上記第2の工程でスペーサーの表面に塗布された接着剤とを密着させて、該接着剤に紫外線を照射し硬化して、封着する。
また、基板と封止板を加圧して、接着剤を加圧し、その状態で硬化させることが好ましい。
紫外線照射の方法は、特に限定されないが、使用する光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプおよびタングステンランプ等が使用される。照射時間は、使用する光源により異なるが、例えば、波長300〜450nmの光源を用いた場合、波長350nmの紫外線強度が好ましくは30〜250mW/cm2で30秒〜5分間紫外線照射を行うのが好ましい。具体的には、100mW/cm2で1分間照射を行い、積算光量が約6000mJ/cm2になるようにするのが好ましい。
また、上記接着剤をより確実に硬化する目的で、紫外線照射を行った後さらに約75〜85℃で1時間程度加熱するのが好ましい。該温度範囲での加熱であれば、有機EL構造体に悪影響を与えることがなく、接着剤を内部まで十分硬化できる。
上記第1の工程〜第3の工程は、He、N2、Ar等の不活性ガス等の封止ガス雰囲気中において行うことが好ましい。また、この封止ガスの水分含有量は、100ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは、1ppm以下であることが望ましい。この水分含有量に特に下限値はないが、通常0.1ppm程度である。
本発明の製造方法は、これに限定されず、例えば、スペーサーと接着剤の接着性をさらに向上させるために、上記第1の工程と上記第2の工程の間に、上記第1の工程で形成された上記スペーサーの表面に親水性基を形成させる表面処理工程をさらに有するのが好ましい。上記スペーサーの表面に親水性基を形成させる方法としては、スペーサーの表面に紫外線照射する方法、または、上記スペーサー表面にシランカップリング剤を塗布する方法が好適に挙げられる。スペーサー表面に形成させる親水性基としては、特に限定されないが、形成させるのが容易である点から水酸基が好ましい。
また、基板上にスペーサーを形成し、該基板に有機EL構造体を形成し、スペーサーの表面に接着剤を塗布し、該接着剤と封止板とを密着させて硬化し、封着してもよい。
本発明の有機EL素子は、直流駆動やパルス駆動され、また交流駆動も可能である。印加電圧は、通常、2〜30V程度である。
<捕水層>
本発明の有機EL素子は、上記封止板の内面に捕水層を有することが好ましい。
図2は、本発明の有機EL素子の他の一構成例を示す概略断面図である。図2において、有機EL素子1は、基板2上に形成されている有機EL構造体3と、この有機EL構造体3を覆うように所定間隔をおいて配置されている封止板4と、封止板4の内面に捕水層7を有する。また、基板2と封止板4とを所定間隔に保持するために、両者の間にスペーサー6を挟持する。基板2とスペーサー6との接合面は、接着剤5を介して接合されている。
本発明における捕水層は、吸水性のある物質を含む層であれば特に限定されないが、例えば、特開2001−57287号公報に記載の封止樹脂、特開2000−195662号公報に記載の捕水層、特開2003−317934号公報に記載の吸湿剤層等が好ましい。
上記捕水層は、具体的には、例えば、有機EL構造体を封止する封止板の内面に、乾燥剤と、樹脂化合物との混合物が配置されたものが挙げられる。捕水層によって、極めて簡単な構造で有機EL構造体を強力に封止することができ、さらに、水分を効果的に除去し、素子の経時劣化現象を防止することができる。
上記樹脂化合物としては、上記有機EL構造体を構成する有機材料中、ドーパント以外のもののなかで最も低いガラス転移温度Tgに対し、±20℃で硬化可能であることが必要である。上記条件を満たすことにより容易に封止板内面に乾燥剤を固定させることができる。すなわち、上記樹脂化合物の未硬化物と、上記乾燥剤との混合物を、上記封止板の内面側に塗布・配置した後、有機EL構造体が形成されている基板と貼り合わせ、その後熱処理し、硬化させればよい。
このときの硬化温度は、上記有機EL構造体を構成する有機材料中でドーパントを除いたもののうち、最も低いガラス転移温度Tgに対して好ましくは+20℃より低い温度、より好ましくは±20℃範囲の温度で処理する。上記温度範囲で処理することにより、加熱硬化と有機材料の温度処理とを同時に行うことができ、有機層界面の物性が改善され、素子寿命が飛躍的に延び、発光特性も改善される。処理温度がガラス転移温度Tg−20℃より低いと、加熱処理の効果が得られなくなってくる。また、Tg+20℃より高いと有機層が軟化し、膜界面の物性が変化して設計通りの性能が得られなくなる。
上記樹脂化合物としては、上記硬化条件を満たし、封止板内面に固定可能な接着性を有し、アウトガス等により有機EL構造体に悪影響を与えることのないものであれば特に限定されるものではない。また、混合する乾燥剤と反応性を有するもの、乾燥剤の添加により硬化性が大幅に低下するものも好ましくはない。また、吸湿性の大きい樹脂についても乾燥剤の劣化を促すために使用には注意が必要である。
このような樹脂化合物として、硬化型の液状シリコーンゴムが挙げられる。少なくとも塗布する状態では液状あるいはペースト状である必要がある。具体的には、いわゆるRTV液状シリコーンゴム等が使用可能である。これらRTV液状シリコーンゴムの中でも、特に縮合型液状シリコーンゴムについては水分の存在下に硬化が進むようなタイプであり、乾燥剤の存在による硬化性の低下等の問題があるため使用には注意が必要である。
また、硬化に水分を必要としない、さらには原理的に副生物の発生しないいわゆる付加型液状シリコーンゴムが好適である。
また上記のシリコーンゴムについては、含有している水分あるいは化学反応等によって乾燥剤の特性を劣化させることが無いよう選択には注意を要する。また、封止板の材質にもよるが、封止板との密着性が良好なものが好ましい。シリコーンゴムについては比較的透湿性が大きいため、樹脂表面に露出した乾燥剤だけでなく樹脂内部に分散されている乾燥剤についても効率よく水分を捕獲することが出来る。
乾燥剤としては、上記樹脂中において吸湿効果を発揮しうるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物、過酸化物、水素化物、フッ化物、塩化物、硫酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、有機錯体、五酸化二燐、モレキュラーシーブまたはこれらの化合物を必須成分とする複合化物等があげられる。また、これらは単独で使用しても、2種以上を共存させてもよい。
中でも、酸化バリウムや、五酸化二燐は低湿度環境下でも水分の補足力が強いので好ましい。一方、アルカリ金属酸化物、酸化カルシウムまたは酸化ストロンチウムから選択した1つ、または、いずれか2つ以上の物質を60質量%以上含有する複合酸化物は、生産工程における材料の取り扱い性または管理上の効率の観点から好ましい。
中でも、酸化カルシウムおよび/またはその複合酸化物は取り扱いが容易であり、また、水分をいったん捕捉した後、再放出しにくいので特に好ましい。また、合成ゼオライトは100℃程度の高温状態でも吸湿した水分を再放出する可能性が低い。また、低温条件でも高い吸湿性を示し、上記の本発明における温度雰囲気のもとで、活性化できるので好ましい。また、吸湿特性の再現性がよく、量産した場合のばらつきが少なく、本発明の有機EL素子に使用することが好ましい。
通常、これらの乾燥剤は粉末、粒子状、ペレット状の形態で使用されるが、吸湿効率の点で粉末または粒子状、または粒子と粉末の混合状態が好ましい。特に、取り扱いやすさの点では、粉末状であって、平均粒径を20μm以下の値とするのが好ましい。より好ましくは、平均粒径が0.1〜10μmの場合である。
また、粉末の最大粒径は500μm以下、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは、50μm以下とする。本発明において、捕水層を有機EL素子の内部に配置した際に、膜厚ばらつきや異常突起等を生じにくくなるからである。さらに、目標とする捕水層の平均厚みよりも最大粒径が小さいことが好ましい。捕水層の厚みより70%以下、さらには50%以下にすることで均一な捕水層を形成しやすいので特に好ましい。
上記乾燥剤の含有量としては、上記樹脂化合物を含めた全成分に対して、好ましくは5〜70質量%、特に10〜60質量%である。乾燥剤の含有量が5質量%に満たないと乾燥剤による吸水効果が十分でなくなり、70質量%を超えると乾燥剤を樹脂化合物により固定・保持することが困難となり、乾燥剤が脱落し、ひいては素子に悪影響を及ぼすおそれがある。乾燥剤は、通常、上記樹脂中に分散された状態で用いられる。
上記樹脂化合物と乾燥剤との混合物の塗布量としては、使用する材料の比重にもよるが、0.001〜0.5g/cm2、特に0.01〜0.1g/cm2程度が好ましい。塗布方法としては、ブレードコート、ロールコート、ダイコート、刷毛塗り、印刷、プレス成形等の他、ディスペンサー等を用いてもよい。
または、予めシート状等の所望の形状に成形したものを封止板上に載置する方法を用いることもできる。なお、捕水層を形成する方法はこれらに限られるものではない。
上記以外の本発明に用いる捕水層を形成する方法としては、例えば、乾燥剤と高分子、硬化性のオリゴマー、界面活性剤、脂肪酸アミドのような有機材料とを混合した流動性のある混合物を封止板上にシート状に配置する方法があげられる。
また、必要に応じて、さらに混合物に添加し得るバインダーとして、シランカップリング剤・チタネート系カップリング剤等の有機金属化合物および低融点ガラス粉末等のように加熱や加湿等により無機化合物を形成するものを用いてもよい。そして、水および/または有機溶剤とともに混合して形成した流動性のある混合物を、封止板上にシート状に配置してもよい。
また、接着層および/または粘着層をまず封止板上に形成し、次いで乾燥剤を散布し、必要によりプレス等により密着させる方法を用いてもよい。また、これらの層を積層する方法も採用できる。生産工程の効率や一定量を均一に固定化する、また、多様な形状に容易に対応できるという点では、乾燥剤を上記バインダーに均一に分散したものを封止板に塗布する方法が好ましい。また、複数の乾燥剤を混合して形成してもよく、また、異なる種類の捕水層を積層してもよい。
このようにして、封止板上に配置した捕水層は、その含有する材料成分に応じて、捕水層の表層のみが固体状態で内部が流動状態であってもよく、また、内部まで完全に固体状態で固定化されていてもよい。
より具体的な捕水層の形成方法としては、例えば、(A)金属酸化物(例えば、酸化カルシウム粉末または酸化バリウム)と有機バインダー(例えば、旭硝子社製サイトップR(CTL102A)またはポリメタクリル酸メチル)のペースト状混合物を乾燥し捕水層を形成する方法、または(B)乾燥剤(例えば、酸化カルシウム)と無機バインダー(例えば、旭硝子社製ASF1304M(軟化点390℃))、有機バインダー(例えば、ポリジメチルスチレン)とを混合しペースト状にして塗布し、その後有機バインダーを熱分解させて捕水層を形成する方法が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<スペーサー用組成物の調製>
撹拌機付き容器に、下記第1表に示す特性[2官能ケイ素単位のモル比(=2官能ケイ素単位/(2官能ケイ素単位と3官能ケイ素単位の合計))、フェニル基のモル数/メチル基のモル数]、を有する硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂を含むワニス40質量部(溶剤を除く質量)、平均粒径3μmの球状シリカ60質量部を入れて、120〜140℃で加熱し撹拌して、溶剤を除去した。次いで、150〜180℃まで段階的に加熱して、180℃における組成物の粘度が20,000cPになるまで硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂を部分的に重合させた。粘度の測定には、B型粘度計を用いた。
次に、得られた固体状のスペーサー用組成物と、溶媒(酢酸エチル)とを9:1の質量比で混合してペースト状のスペーサー用組成物を得た。このスペーサー用組成物を以下、「組成物1」と言う。
第1表中、2官能ケイ素単位のモル比は、Si−NMRおよびFT−IRによって測定した。フェニル基のモル比は、H−NMRおよびFT−IRによって測定した。
Figure 0004506753
(実施例1)
<吸水特性評価用サンプルの作成>
得られた組成物1を、ホットプレート上、200℃で1時間加熱した後、さらに250℃で1時間加熱して硬化させた。得られた硬化物を3mm×3mm×100μmのシート状に切り出しサンプルAおよびBとした。
<吸水特性評価>
次に、得られたサンプルAをデシケーターに1〜2時間入れて乾燥した後、該サンプルAを、127℃まで加熱した際の質量減少を示差熱天秤(TG−DTA、マック・サイエンス社製)を用いて測定した。この質量減少量を吸水前質量減少量とした。測定は、乾燥空気中で実施し、昇温速度10℃/minであった。
また、得られたサンプルBを硬化直後に75℃の純水に1時間浸漬して吸水させた後、該サンプルBを、127℃まで加熱した際の質量減少を示差熱天秤(TG−DTA、マック・サイエンス社製)を用いて測定した。この質量減少量を吸水後質量減少量とした。測定は、乾燥空気中で実施し、昇温速度10℃/minであった。
下記式に従って、実施例1のサンプル(本発明のスペーサー用組成物の硬化物)の各温度での吸水量を算出した。
(吸水後質量減少量(%))−(吸水前質量減少量(%))=(吸水量(%))
結果を下記第2表に示す。
(比較例1)
紫外線硬化型エポキシ樹脂(30Y−437、スリーボンド社製)を、紫外線照射装置により、波長350nmにおける紫外線強度が190〜200mW/cm2で、3分間紫外線照射した後、80℃で1時間加熱し硬化させた。得られた硬化物を3mm×3mm×70〜110μmのシート状に切り出しサンプルCおよびDとした。
次に、実施例1と同様の方法で吸水特性の評価を行った。
結果を第2表に示す。
Figure 0004506753
(実施例2〜4)
<スペーサーの形成>
封止板(厚さ1.1mmのソーダライムガラス平板)の一方の面の周縁部に、上記ペースト状の組成物1を枠状になるようにディスペンサーを用いて塗布した。スペーサー用組成物を塗布したソーダライムガラス基板をオーブンに入れて、120℃で1時間乾燥した後、1.33×102Paに減圧して、170℃で10分間乾燥した。その後、サイトップR(CTX−809SP2、旭硝子社製)で表面処理されたガラス平板を、上記封止板と対向させて、該表面処理された面がスペーサー用組成物に接触するように配置した。スペーサー用組成物と該表面処理されたガラス平板の接触面が平坦になった状態で、常圧下、200℃で1時間加熱し、さらに220℃で4〜5時間加熱硬化させた。
次に、室温まで徐冷し、フッ素系樹脂で表面処理を行ったガラス平板をスペーサー用組成物の硬化物(スペーサー)から剥がしてから、該スペーサーに水銀ランプ(185nm/254nm)を用いて、波長250nmにおける紫外線強度が8〜10mW/cm2で、下記第3表に示す時間の紫外線照射を行った。
(実施例5〜7)
スペーサーの高さを500μmとする以外は実施例2〜4と同様にスペーサーを形成し、紫外線照射を行う。
<捕水層の形成>
このスペーサー付き封止板のスペーサーの内側に、酸化カルシウムと酸化セシウムを95:5の質量比で混合・焼成・粉砕した複合酸化物の粉末70質量部とポリメチルメタクリレート(PMMA)の15%酢酸イソアミル溶液200質量部を混練したペーストをスクリーン印刷により塗布する。そして、100℃で1時間、引き続き150℃で1時間減圧加熱し、封止板上に厚さが100μmの捕水層を形成する。
<有機EL構造体の形成>
一方、基板とするソーダライムガラス基板(厚さ1.1mm)上に、SiOを蒸着して、膜厚20nmのバリア層を形成し、次にITOを蒸着して膜厚200nmのホール注入電極を形成する。シート抵抗は7Ω/□である。このホール注入電極上に、真空蒸着法によりホール注入層として銅フタロシアニンを20nm、次に、下記式の構造で表されるTPTEを蒸着して膜厚40nmのホール輸送層を形成する。
Figure 0004506753
次に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)とルブレンを、異なるボートを用いて膜厚60nmに共蒸着して発光層を形成する。次に、LiFを0.5nm、最後に、Alを膜厚100nmの厚さで蒸着して電子注入電極を形成し、基板上に有機EL構造体を形成する。
<封止>
上記で得られた捕水層とスペーサーを有する封止板のスペーサー部分に紫外線硬化型エポキシ系接着剤をディスペンサーにて塗布し、上記で得られた有機EL構造体を有する基板を貼り合わせる。その後、紫外線照射装置により接着剤を硬化して封止を行い、有機EL素子を得る。接着剤層の厚みは約70μmである。
<発光特性評価>
前記の有機EL素子を、60℃、湿度90RH%の環境下で保管し、100時間毎に発光状態を検査し、非発光状態の部分の面積が、初期の発光部分の面積の10%に達する時間(T10)を測定する。結果を下記第3表に示す。
Figure 0004506753
(実施例8〜10)
平均粒径1μmの球状シリカフィラーを使用した点以外は、上記組成物1と同様にスペーサー用組成物を作成した。この組成物を以下、「組成物2」と言う。
得られた組成物2を用いて実施例2〜7と同様に有機EL素子を作成し、発光特性評価を実施する。
(実施例11〜13)
スペーサーの高さを500μmとする以外は実施例8〜10と同様に有機EL素子を作成し、発光特性評価を実施する。結果を下記第4表に示す。
Figure 0004506753
(実施例14〜21)
上記組成物1および2に用いたものと同様のメチルフェニルシリコーン樹脂と、3μmまたは1μmの球状シリカフィラーを下記第5表の割合で混合して、上記と同様にスペーサー用組成物を調製し、さらに、シランカップリング剤(KBM403、信越化学工業社製)を下記第5表に示す組成になるように添加して、十分混練して組成物3〜6を調製する。
なお、第5表中の配合量は、組成物全体の質量に対する各成分の質量%を示す。
Figure 0004506753
得られた組成物3〜6を用いて上記と同様に有機EL素子を作成し、発光特性評価を実施する。結果を下記第6表に示す。
Figure 0004506753
なお、本出願の優先権主張の基礎となる日本特許願2004−78614号(2004年3月18日に日本特許庁に出願)の全明細書の内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (7)

  1. 基板と、該基板上に形成された有機EL構造体と、該有機EL構造体を封止する封止板とを有し、該基板と該封止板とが、スペーサーを挟持して封着された有機EL素子であって、
    前記スペーサーが、硬化性のメチルフェニルシリコーン樹脂および耐火物フィラーを含有する組成物から形成され、該組成物におけるメチルフェニルシリコーン樹脂と耐火物フィラーの合計量に対する耐火物フィラーの量が10〜80質量%であり、該メチルフェニルシリコーン樹脂は、メチル基に対するフェニル基のモル比が0.1〜1.2であり、
    前記基板と前記スペーサーとの接合部分、および前記封止板と前記スペーサーとの接合部分のうち、少なくとも一方が接着剤を介して封着されていることを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記封止板の内面に捕水層を有することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記メチルフェニルシリコーン樹脂は、2官能ケイ素単位と3官能ケイ素単位の合計に対する2官能ケイ素単位のモル比が0.05〜0.55である請求項1または2に記載の有機EL素子。
  4. 前記耐火物フィラーが、平均粒径0.1〜20μmの球状シリカである請求項1〜3のいずれかに記載の有機EL素子。
  5. 前記接着剤が、紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤である請求項1〜4のいずれかに記載の有機EL素子。
  6. 封止板の一方の面にスペーサー用組成物を塗布し、加熱硬化してスペーサーを形成する第1の工程と、
    前記硬化されたスペーサーの表面に、接着剤を塗布する第2の工程と、
    前記第2の工程でスペーサーの表面に塗布された接着剤と、有機EL構造体が形成された基板とを密着させ、該接着剤に紫外線を照射して硬化する第3の工程とを有する有機EL素子の製造方法。
  7. 前記第1の工程と前記第2の工程の間に、前記第1の工程で形成された前記スペーサーの表面に親水性基を形成させる表面処理工程をさらに有する請求項6に記載の有機EL素子の製造方法。
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