JP4505331B2 - 改良型Sso7−ポリメラーゼ複合体タンパク質 - Google Patents

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Description

発明の背景
ポリメラーゼの活性は、配列非特異的二本鎖核酸結合ドメインを酵素またはその触媒ドメインに連結することにより改良し得る(例えばWO第0192501号を参照のこと)。そのような修飾型ポリメラーゼは、非修飾型酵素と比較して増加した伸長性を示す。しかし場合によっては、これらの改良型ポリメラーゼの伸長性をさらに修飾することが有用である場合がある。例えば、長い鋳型に対してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行う場合、伸長性の高いポリメラーゼを使用することによって収量が低くなる場合が多い。したがって、ポリメラーゼの伸長性を修飾して、特定の目的、例えばロングPCRに対して酵素を最適化する必要性が存在する。
さらに、配列非特異的核酸結合ドメインによるポリメラーゼの修飾により、場合によっては、ミスマッチのプライマー/鋳型と正確に適合するプライマー/鋳型とのポリメラーゼによる識別が低下する可能性がある。したがって、プライマー鋳型に対するポリメラーゼの特異性を増加する必要性もまた存在し得る。
本発明は、これらの必要性、すなわち伸長性およびプライマー/鋳型結合特異性の修飾の両方に対処するものである。本発明は、ポリメラーゼまたはポリメラーゼの触媒ドメインに連結された、Sso7d、Sac7d、または関連ドメイン等の変異型DNA結合ドメインを含むポリメラーゼ複合体を提供する。変異型結合ドメインは、DNA結合ドメインポリペプチド配列の表面残基において1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。これらの置換型融合ポリメラーゼは、ポリメラーゼ反応、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において実行能の増大を示す。
発明の簡単な概要
本発明は、修飾した伸長性を有するポリメラーゼを提供する。いくつかの態様において、ポリメラーゼはまたプライマー/鋳型結合特異性の増大を示す。詳細には、本発明は、表面残基の置換により、野生型Sso7-ポリメラーゼ融合物の伸長性よりも低く、かつSso7dドメインに融合していない場合のポリメラーゼドメインの伸長性よりも高い伸長性がもたらされる;SEQ ID NO:2を参照して決定される表面残基位置のアミノ酸が別のアミノ酸残基で置換された;ポリメラーゼドメインに連結された、SEQ ID NO:2と少なくとも60%の同一性を有するSso7ドメインを含むSso7ポリメラーゼ複合体タンパク質を提供する。また多くの場合、表面残基の置換により、SEQ ID NO:2を含むSso7ポリメラーゼ融合タンパク質と比較して、ポリメラーゼのプライマー/鋳型結合特異性が増加する。
いくつかの態様において、表面残基位置は、24位のトリプトファン残基、26位のバリン残基、および29位のメチオニン残基からなる群より選択される。特定の態様において、表面残基位置は24位のトリプトファン残基であり、置換アミノ酸残基は、Asp、Glu、Arg、Lys、またはPro以外の任意のアミノ酸である。多くの場合、置換アミノ酸はグリシン、バリン、またはアラニンである。
好ましい態様において、複合体のポリメラーゼは耐熱性ポリメラーゼ活性を有する。ポリメラーゼドメインは、例えばサーマス(Thermus)ポリメラーゼドメインといったファミリーAポリメラーゼ、または例えばパイロコッカス(Pyrococuss)ポリメラーゼドメインといったファミリーBポリメラーゼであってよい。多くの場合、ポリメラーゼドメインはΔTaqポリメラーゼドメインである。
他の態様において、Sso7ドメインは、表面残基位置のアミノ酸が別のアミノ酸で置換されたSEQ ID NO:2を含む。例えば、いくつかの態様において、Sso7ドメインは、24位のトリプトファン残基がグリシン、アラニン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸残基で置換されたSEQ ID NO:2を含む。
別の局面において、本発明は、以下の段階を含む、溶液中に存在する標的核酸に対してポリメラーゼ反応を行う方法を提供する:(a) 溶液が、結合ドメインの標的核酸への結合、およびポリメラーゼドメインによる標的核酸配列にハイブリダイズしたプライマーの伸長を可能にする組成物であって;SEQ ID NO:2を参照して決定される表面残基位置のアミノ酸が、野生型Sso7タンパク質の表面残基位置に存在しないアミノ酸残基で置換され;かつ表面残基の置換により、Sso7dドメインに融合していない場合のポリメラーゼドメインの伸長性よりも高い伸長性がもたらされる;ポリメラーゼドメインに連結された、SEQ ID NO:2と少なくとも60%の同一性を有するSso7dドメインを含むSso7ポリメラーゼ複合体タンパク質と標的核酸とを接触させる段階;ならびに(b) ポリメラーゼによってプライマーが伸長する条件下で、溶液をインキュベートする段階。多くの場合、表面残基の置換により、SEQ ID NO:2を含むSso7ポリメラーゼ融合タンパク質と比較して、ポリメラーゼのプライマー/鋳型結合特異性が増加する。
本発明はまた、ポリメラーゼ反応を修飾するための、本明細書に開示するポリメラーゼ複合体を作製および使用する方法を提供する。
発明の詳細な説明
定義
「Sso7」または「Sso7 DNA結合ドメイン」または「Sso7様DNA結合ドメイン」という用語は、(1) SEQ ID NO:2のSso7配列と、好ましくは少なくとも約15、25、35、50、またはそれ以上のアミノ酸の領域にわたって、約60%を超えるアミノ酸配列同一性、65%、70%、75%、80%、85%、90%、好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%もしくはそれ以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する;(2) SEQ ID NO:2のアミノ酸配列およびその保存的に修飾された変種を含む免疫原に対して作製された抗体、例えばポリクローナル抗体に結合する;(3) ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、SEQ ID NO:1のSso7核酸配列およびその保存的に修飾された変種に特異的にハイブリダイズする;(4) SEQ ID NO:1と、好ましくは少なくとも約50、100、150、またはそれ以上のヌクレオチドの領域にわたって、約50%を超える、好ましくは約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%を超えるヌクレオチド配列同一性を有する核酸配列を有する;または(5) ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下において、
Figure 0004505331
等のプライマーセットと同じ配列に特異的にハイブリダイズするプライマーによって増幅される、核酸およびポリペプチド多型変種、対立遺伝子、変異体、ならびに種間相同体を指す。本用語には、全長Sso7ポリペプチド、および配列非特異的二本鎖DNA結合活性を有するポリペプチドの断片の両方が含まれる。
「ドメイン」とはタンパク質またはタンパク質複合体の単位を指し、単位が所定の機能を有するポリペプチドサブ配列、完全なポリペプチド配列、または複数のポリペプチド配列を含む。機能は広義に理解され、リガンド結合、触媒活性であってよく、またはタンパク質構造に対する安定効果を有してもよい。
2つの核酸またはポリペプチド配列との関連における「同一性」という用語は、以下の「相同性に基づいたSso7ドメインの同定」という表題の項に記載する「配列比較アルゴリズム」を用いて測定して、最大一致が得られるようにアラインした場合の、2つの配列における同じ残基を指す。
「野生型Sso7」とは、天然Sso7タンパク質を指す。「野生型Sso7アミノ酸配列」とは、天然アミノ酸配列を指す。
「Sso7ポリメラーゼ複合体」とは、ポリメラーゼドメインまたはポリメラーゼドメインの触媒サブユニットに連結された少なくとも1つのSso7 DNA結合ドメインを含む、修飾型ポリメラーゼを指す。「置換型Sso7ポリメラーゼ複合体」とは、少なくとも1つの表面位置アミノ酸残基が天然Sso7配列のその位置に存在しないアミノ酸残基で置換された複合体を指す。「Sso7ポリメラーゼ複合体」は、複数のSso7結合ドメインを含んでもよい。
本発明の核酸修飾酵素との関連における「効率」とは、特定反応条件下においてその触媒機能を行う酵素の能力を指す。典型的に、本明細書で定義する「効率」は、所与の反応条件下で産生される産物量により示される。
酵素との関連における「増強する」とは、酵素の活性を改良すること、すなわち、単位酵素単位時間当たりの産物量を増加させることを指す。
「融合された」とは、共有結合による結合を指す。
タンパク質の部分に関して用いる場合の「異種性」とは、タンパク質が、天然では相互にこれと同じ関係で見出されない2つまたはそれ以上のドメインを含むことを示す。そのようなタンパク質、例えば融合タンパク質は、非関連のタンパク質に由来する2つまたはそれ以上のドメインを並べて含み、新たな機能タンパク質を構成する。
「連結する」とは、介在ドメインを有するまたは有さない組換え融合、インテリン媒介性融合、非共有結合、ならびに、ジスルフィド結合;水素結合;静電結合;および高次構造結合、例えば、抗体-抗原結合およびビオチン-アビジン結合を含む共有結合が含まれるが、これらに限定されない、タンパク質ドメインを機能的に結合するための当技術分野において周知の任意の方法を指す。
「トリプトファンの側鎖体積よりも小さい側鎖体積を有する」アミノ酸残基とは、トリプトファンよりも小さい側鎖を有するアミノ酸残基を指す。そのような側鎖は典型的に、約170Å3よりも小さい体積を有する。
「ポリメラーゼ」とは、ポリヌクレオチドの鋳型指示的合成を行う酵素を指す。本用語は、全長ポリペプチドまたはポリメラーゼ活性を有するドメインの両方を包含する。
「伸長性」とは、ポリメラーゼが鋳型また基質に結合したままであり、DNA合成を行う能力を指す。伸長性は、結合事象当たりに行われる触媒事象の数によって測定される。
本明細書で用いる「耐熱性ポリメラーゼ」とは、鋳型としてDNAまたはRNAを用いてヌクレオチド鎖にヌクレオチド単位を付加することによってポリヌクレオチド合成を触媒し、かつ約45℃を超える温度で至適活性を有する任意の酵素を指す。
「サーマスポリメラーゼ」とは、サーマス・アクアチクス(Thermus aquaticus)、サーマス・ブロキアナス(Thermus brockianus)、およびサーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)を含む任意のサーマス種から単離されたファミリーA DNAポリメラーゼ;サーマス種に由来する任意の組換え酵素、ならびに遺伝子改変もしくは化学修飾または当技術分野において周知の他の方法により誘導されたのであろうとなかろうと、任意のその機能的誘導体を指す。
「増幅反応」という用語は、核酸の標的配列のコピーを増すための任意のインビトロ手段を指す。そのような方法には、これらに限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、DNAリガーゼ連鎖反応(米国特許第4,683,195号および第4,683,202号;PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications (Innis et al., eds, 1990)を参照されたい) (LCR)、QβRNAレプリカーゼ、およびRNA転写に基づく (TASおよび3SR等) 増幅反応、ならびに当業者に周知の他の方法が含まれる。
「増幅段階」とは、反応成分のすべてが完全である場合に、溶液を、ポリヌクレオチドの増幅を可能とするのに十分な条件に供する段階を指す。増幅反応の成分には、例えば、プライマー、ポリヌクレオチド鋳型、ポリメラーゼ、ヌクレオチド等が含まれる。「増幅段階」という用語は典型的に、標的核酸の「指数関数 的」増加を指す。しかし、本明細書で用いる「増幅段階」はまた、サイクルシークエンシングで見られるような、核酸の選択標的配列の数の直線的増加も指し得る。
「増幅反応混合物」という用語は、標的核酸を増幅するために用いる種々の試薬を含む水溶液を指す。これらには、酵素、水性緩衝液、塩、増幅プライマー、標的核酸、およびヌクレオシド三リン酸が含まれる。状況に応じて、混合物は完全または不完全な増幅反応混合物のいずれかであってよい。
「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」とは、標的二本鎖DNAの特定部分またはサブ配列を等比級数的に増幅する方法を指す。PCRは当業者に周知であり;例えば、米国特許第4,683,195号および第4,683,202号;ならびにPCR Protocols: A Guide to Methods and Applications, Innis et al., eds, 1990を参照されたい。例示的なPCR反応条件には、典型的に、2段階サイクルまたは3段階サイクルのいずれかが含まれる。2段階サイクルは、変性段階、次のハイブリダイゼーション/伸長段階を有する。3段階サイクルは、変性段階、次のハイブリダイゼーション段階、次の別個の伸長段階が含まれる。
「ロングPCR」とは、長さが5 kbまたはそれよりも長いDNA断片の増幅を指す。ロングPCRは典型的に、短い産物を増幅するために通常使用するポリメラーゼとは異なる、特別に適合化したポリメラーゼまたはポリメラーゼ混合物(例えば、米国特許第5,436,149号および第5,512,462号を参照されたい)を用いて行う。
「プライマー」とは、標的核酸の配列にハイブリダイズし、核酸合成の開始点となるポリヌクレオチド配列を指す。プライマーは種々の長さであってよく、多くの場合、50ヌクレオチド長未満、例えば12〜30ヌクレオチド長である。PCRで使用するプライマーの長さおよび配列は、当業者に周知の原理に基づいて設計することができる。例えば、Innis et al., 前記を参照されたい。
温度プロファイルとは、PCRまたはサイクルシークエンシング反応の変性、アニーリング、および/または伸長段階の温度および時間の長さを指す。PCRまたはサイクルシークエンシング反応の温度プロフィルは典型的に、類似または同一のより短い温度プロフィルの10〜60回の反復からなる。これらのより短い温度プロファイルのそれぞれは典型的に、2段階または3段階サイクルを規定し得る。温度プロファイルの選択は、当業者に周知の種々の考慮事項に基づく。例えば、Innis et al., 前記を参照されたい。本明細書に記載のロングPCR反応では、長さが5 kbまたはそれよりも長い増幅産物を得るのに必要な伸長時間は、従来のポリメラーゼ混合物と比較して短縮されている。
PCR「感度」とは、低濃度で存在する標的核酸を増幅する能力を指す。「低濃度」とは、増幅する核酸試料中の、マイクロリットル当たり104、多くの場合103、102、101またはそれより少ない標的配列のコピーを指す。
本明細書で用いる「ポリメラーゼのプライマー/鋳型結合特異性」という用語は、正確に適合するプライマー/鋳型とミスマッチのプライマー鋳型とを識別するSso7融合ポリメラーゼの能力を指す。この関連における「ポリメラーゼのプライマー/鋳型結合特異性の増加」とは、SEQ ID NO:2を含む野生型Sso7ポリメラーゼ融合タンパク質と比較した場合の、一致したプライマー/鋳型を識別する、本発明のSso7変種融合ポリメラーゼの能力の増加を指す。
「鋳型」とは、プライマーハイブリダイゼーション部位が隣接した増幅されるポリヌクレオチドを含む、二本鎖ポリヌクレオチド配列を指す。したがって、「標的鋳型」は、5'プライマーおよび3'プライマーのハイブリダイゼーション部位が隣接した標的ポリヌクレオチド配列を含む。
「改良型ポリメラーゼ」は、ポリメラーゼまたはポリメラーゼドメインに連結された、配列非特異的二本鎖DNA結合ドメインを含む。「非改良型ポリメラーゼ」または「非修飾型ポリメラーゼ」は、配列非特異的二本鎖DNA結合ドメインを有していないポリメラーゼである。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は本明細書で互換的に用いられ、アミノ酸残基のポリマー重合体を指す。本用語は、天然アミノ酸重合体および非天然アミノ酸重合体ばかりでなく、1つまたは複数のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工的な化学模倣体であるアミノ酸重合体にも適用される。
「アミノ酸」という用語は、天然および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と類似の様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然アミノ酸とは遺伝暗号によってコードされるアミノ酸、およびヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンといった後に修飾されるアミノ酸である。アミノ酸類似体とは、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムといった、天然アミノ酸と同じ基本化学構造、すなわちα炭素が水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合している構造を有する化合物を指す。そのような類似体は修飾されたR基(例えばノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣体とはアミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有する化合物を指すが、天然アミノ酸と類似の様式で機能する。
アミノ酸は、本明細書において、IUPAC-IUB生化学命名法委員会の推奨する一般に知られている3文字記号または1文字記号で参照され得る。同様にヌクレオチドは、一般に是認されている一文字コードで参照され得る。
「保存的に修飾された変種」は、アミノ酸および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して保存的に修飾された変種とは、同一または本質的に同一であるアミノ酸配列をコードする核酸を指す。遺伝暗号の縮重により、数多くの機能的に同一である核酸が所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG、およびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、コドンによってアラニンが指定されるいかなる位置においても、コードされるポリペプチドを変化させることなく、上記の対応するコドンのいずれかにコドンを変更することができる。そのような核酸の変化は「サイレント変化」であり、これは保存的に修飾された変種の1種である。ポリペプチドをコードする本明細書内のすべての核酸配列はまた、核酸のあらゆる可能なサイレント変化を表す。当業者は、核酸内の各コドン(通常メチオニンに対する唯一のコドンであるAUGおよび通常トリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く)を修飾して、機能的に同一である分子を産生することができることを認識すると考えられる。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変化は、それぞれ記載された配列において暗に意味されている。
アミノ酸配列に関しては、コードされる配列内の単一アミノ酸またはほんの小数のアミノ酸を変化、付加、または欠失させる核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列への個々の置換、欠失、または付加が、その変化によって化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換を生じる場合に「保存的に修飾された変種」であることを、当業者は認識すると考えられる。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は、当技術分野において周知である。そのような保存的に修飾された変種は、本発明の多型変種、種間相同体、および対立遺伝子に追加されるものであり、これらを排除するものではない。
例えば、脂肪族アミノ酸(G、A、I、L、またはV)がその群の別のメンバーで置換される置換がなされ得る。同様に、C、S、T、M、N、またはQ等の脂肪族極性-非荷電群をその群の別のメンバーで置換することができ;塩基性残基、例えばK、R、またはHを相互に置換することができる。いくつかの態様においては、酸性側鎖を有するアミノ酸、EまたはDを、その非荷電対応物、それぞれQまたはNで置換することができ;またその逆も同様である。以下の8群はそれぞれ、相互に保存的置換である他の例示的アミノ酸を含む:
1) アラニン(A)、グリシン(G);
2) アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3) アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4) アルギニン(R)、リジン(K);
5) イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6) フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7) セリン(S)、スレオニン(T);および
8) システイン(C)、メチオニン(M)
(例えば、Creighton, Proteins (1984)を参照のこと)。
導入
本発明は、野生型Sso7融合ポリメラーゼと比較して修飾された伸長性および/または増加した特異性を示す変種Sso7ポリメラーゼ複合体を提供する。これらのポリメラーゼ反応は、多くの場合、非修飾型ポリメラーゼまたは野生型Sso7融合ポリメラーゼと比較してより効率的であり、より多くの産物を産生する。変種融合ポリメラーゼは、ポリメラーゼドメインおよびこれに連結されたSso7結合ドメインを含む。Sso7結合ドメインは、表面位置のアミノ酸残基が既知である野生型Sso7のその位置に存在しないアミノ酸に置換されたSso7を含む。
当業者は、伸長性を修飾するための置換が、Sso7以外の異種性配列非特異的二本鎖核酸結合ドメインを含むポリメラーゼの核酸結合ドメインに導入され得ることを理解すると考えられる。例えば、1つまたは複数の置換が、ポリメラーゼドメインに融合された配列非特異的ヘリックス-ヘアピン-ヘリックス(HhH)結合ドメインを有するキメラポリメラーゼのDNA結合ドメインの特定の位置(例えば、DNAと相互作用する位置)に導入され得る(例えば、Pavlov et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99:13510-13515, 2002)。
ポリメラーゼ
DNAポリメラーゼは当業者に周知である。これらには、DNA依存性ポリメラーゼおよび逆転写酵素等のRNA依存性ポリメラーゼの両方が含まれる。DNA依存性DNAポリメラーゼには少なくとも5つのファミリーが周知であるが、大部分はファミリーA、B、およびCに分類される。種々のファミリー間には、構造的類似性または配列類似性がほとんどまたは全くない。大部分のファミリーAポリメラーゼは、ポリメラーゼ、3'から5'方向のエキソヌクレアーゼ活性、および5'から3'方向のエキソヌクレアーゼ活性を含む複数の酵素機能を含み得る一本鎖タンパク質である。ファミリーBポリメラーゼは典型的に、ポリメラーゼおよび3'から5'方向のエキソヌクレアーゼ活性を有する1つの触媒ドメイン、および補助因子を有する。ファミリーCポリメラーゼは典型的に、ポリメラーゼ活性および3'から5'方向のエキソヌクレアーゼ活性を有する複数サブユニットのタンパク質である。大腸菌(E. coli)では、3種のDNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼI(ファミリーA)、II(ファミリーB)、およびIII(ファミリーC)が見出されている。真核細胞では、3つの異なるファミリーBポリメラーゼ、DNAポリメラーゼα、δ、およびεが核の複製に関与しており、ファミリーAポリメラーゼ、ポリメラーゼγがミトコンドリアDNAの複製に使用される。他の種類のDNAポリメラーゼには、ファージポリメラーゼが含まれる。
同様に、RNAポリメラーゼには典型的に、真核生物RNAポリメラーゼI、II、およびIII、ならびに細菌RNAポリメラーゼのほか、ファージおよびウイルスポリメラーゼが含まれる。RNAポリメラーゼは、DNA依存性およびRNA依存性であり得る。
特定の態様においては、Taqポリメラーゼドメインを融合タンパク質に組み入れる。詳細には、多くの場合、5'から3'方向のエキソヌクレアーゼ活性を欠く標準的なTaq DNAポリメラーゼの遺伝子改変型であるΔTaq等のポリメラーゼ変種(Lawyer et al., J Biol Chem 264:6427-6437 (1989))を、本発明の融合ポリメラーゼの構築に使用する。例えば、Taqポリメラーゼと約90%類似しているサーマス・ブロキアナスポリメラーゼ、ならびにサーマス・フラバス(Thermus flavus)ポリメラーゼ、および逆転写活性を有するサーマス・サーモフィルスポリメラーゼといった、Taqと同様に機能する他のファミリーAポリメラーゼを用いることもできる。さらに、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)由来のファミリーAポリメラーゼ等のそれほど高度好熱性でないポリメラーゼも、大腸菌pol Iおよびその欠失誘導体等の中等温度好性ポリメラーゼがそうであるように、有用性が認められる可能性が高い。
パイロコッカスポリメラーゼ等のファミリーBポリメラーゼ、例えばPfuポリメラーゼもまた、置換型Sso7ドメインに融合するポリメラーゼドメインとして使用し得る。
ポリメラーゼの活性は、当業者に周知のアッセイ法を用いて測定することができる。例えば、ポリメラーゼ活性等の伸長酵素活性は、ポリメラーゼ連鎖反応のような反応で合成される核酸の量を決定することにより測定することができる。酵素の相対的効率の決定においては、配列非特異的二本鎖DNA結合ドメインを含むポリメラーゼで得られた産物量を、次いで通常のポリメラーゼ酵素で得られた産物量と比較し得るが、これについては以下および実施例においてさらに詳細に説明する。
本発明での使用に適したポリメラーゼドメインは、酵素自体または触媒ドメイン、例えばTaqポリメラーゼまたはポリメラーゼ活性を有するTaqのドメインであってよい。触媒ドメインはさらなるアミノ酸を含んでもよく、および/またはアミノ酸の置換、欠失、または付加を含むがそれでもなお酵素活性を保持する変種であってもよい。
Sso7タンパク質
本発明のポリメラーゼは、表面残基位置においてアミノ酸置換を有するSso7ポリペプチド配列を含む。Sso7dは、超好熱性古細菌スルフォロバス・ソルファタリカス(Sulfolobus sulfataricus)由来の小さな(63アミノ酸、分子量 約7,000 kd)塩基性染色体タンパク質である。このタンパク質はリジンが豊富であり、高い熱、酸、および化学安定性を有する。このタンパク質は配列非依存的にDNAに結合し、結合した場合、ある条件下でDNAのTMを最高で40℃まで上昇させる(McAfee et al., Biochemistry 34:10063-10077, 1995)。Sso7dおよびその相同体は典型的に、ゲノムDNAのパッケージングおよび高温でのゲノムDNAの安定化に関与すると考えられている。
これらに限定されないが、超好熱性古細菌S. アシドカルダリウス(S. acidocaldarius)由来のSac7a、Sac7b、Sac7d、およびSac7e、ならびにスルフォロバス・シバタ(Sulfolobus sibatae)由来のSsh7bを含むいくつかの既知Sso7d様タンパク質(Sso7タンパク質とも称される)が存在する。これらのタンパク質は、Sso7dと78%〜98%の同一性を有する。本発明で使用するための他のSsoドメインは、以下に記載するように同定することもできる。
Sso7タンパク質の表面残基位置は、SEQ ID NO:2に記載のSso7d配列を参照して決定される。表面残基とは、DNA二重らせんの塩基と相互作用する、タンパク質の表面に露出した残基である。これらの残基は、Sso7dの構造研究により同定された(例えば、Gao et al, Nature Struct. Biol. 5:782-786, 1998を参照のこと)。SEQ ID NO:2の表面残基アミノ酸、Trp24、Val26、Met29、Ser31、Arg43、およびAla45は、本発明の融合ポリメラーゼにおいて典型的に置換される表面残基である。そのような位置表示は、特許請求する分子それ自体におけるアミノ酸の番号を示すのでなく、特許請求する分子配列をSEQ ID NO:2と最適にアラインした場合の、特許請求する分子におけるその残基の存在位置を示す。アラインメントは、手動でまたは以下に示す配列比較アルゴリズムを用いて行うことができる。例えば、SEQ ID NO:4に記載の融合ポリメラーゼ配列のN末端に存在する置換型Sso7タンパク質は、天然トリプトファン対して置換したグリシンを有する。この置換は、SEQ ID NO:4の29番目のアミノ酸残基に存在する。しかし、SEQ ID NO:2を参照すれば、置換はTrp24の位置である。記載したアラインメントに基づくと、以下の残基が典型的に野生型Sso7タンパク質の表面位置に存在する:24-Trp;26-Val;29-Met;31-Ser;43-Arg;および45-Ala。
Sso7タンパク質、Sac7eのSEQ ID NO:2に対するアラインメントおよび表面残基位置の同定の例を図2に示す。アラインメントは、初期設定パラメータを用いたNCBI BLASTプログラムによって得た(例えば、Altschul et al., Nucl. Acids Res. 25:3389-3402, 1997を参照のこと)。Sac7eは、SEQ ID NO:2と78%の同一性を有する。図2では、Sso7dの1位の開始メチオニン(SEQ ID NO:2を参照のこと)が示されていない。したがって、Ala残基が図2に示されるSso7d配列の第1残基であるが、これはSEQ ID NO:2の2位に相当する。上記したように、Sso7dの表面残基は、24位のTrp、26位のVal、29位のMet、31位のSer、43位のArg、および45位のAlaである。Sac7eの対応する表面残基は、SEQ ID NO:2を参照して決定した場合の24位のTrp(Sac7e配列の残基番号23);26位のVal(Sac7e配列の残基番号25); 29位のMet(Sac7e配列の残基番号28);31位のSer(Sac7e配列の残基番号30);43位のArg(Sac7e配列の残基番号41);および45位のAla(Sac7e配列の残基番号43)である。
これらの残基の側鎖は副溝内の塩基と直接相互作用するため、これらの残基を野生型アミノ酸以外の残基に変更することにより、Sso7ドメインの構造を破壊することなく、耐熱性を減少させることなく、またはさもなくばドメインが本発明において機能する能力を大きく減少させることなく、DNAと相互作用する強さを修飾することができる。さらに、表面残基のサブセット、Trp24、Val26、Met29、およびAla45は、DNAらせんがねじれる位置と相互作用する。したがって、これらの位置のうちの一箇所で変異を起こすことにより、ねじれ位置近傍にミスマッチを含むDNAに対するSso7ドメインの親和性を減少させることができる。
種々のアミノ酸残基で表面残基を置換することができる。典型的に置換残基は、任意の他の天然Sso7タンパク質のその位置に存在しない残基である。多くの場合、置換残基は、天然配列におけるアミノ酸残基よりも小さな体積を占有する。例えば、トリプトファンの側鎖は、天然アミノ酸の中で最も大きな体積を占有する。したがって、トリプトファンをより小さなアミノ酸、詳細にはアラニン、グリシン、またはバリンのようなより小さな空間を占有する残基で置換し得る。さらに、ポリペプチドに主要な構造変化を導入する残基、例えばプロリン、またはそのような変化を導入する能力を有する残基、例えばシステインは、典型的に表面残基置換として避ける。
アミノ酸を置換する際には、電荷および疎水性もまた考慮し得る。Sso7dの表面は、アルギニン2個およびリジン14個を含み非常に塩基性が強い。例えば、中性の電荷または弱い正電荷を有するアミノ酸残基を選択することが望ましいと考えられる。表面アミノ酸のいずれかを強酸性であるGluまたはAspに置換することは、機能的タンパク質を産生するためには望ましくない。
したがって、表面残基は典型的に、Ala、Gly、His、Iso、Leu、Met、Phe、Ser、Thr、Tyr、Asn、Gln、Cys、またはValで置換する。さらに、所望の表面残基を置換するために、本発明の融合ポリペプチドに挿入するよう選択されるアミノ酸は、多くの場合、天然Sso7ポリペプチドの表面残基位置に見出されない残基である。
相同性に基づくさらなるSso7ドメインの同定
本発明で使用するための他の適切なSso7 DNA結合ドメインは、Sso7dに対する配列相同性に基づいて同定することができる。典型的には、約30アミノ酸、任意には約50〜70アミノ酸、または完全なタンパク質の長さの比較領域にわたって、既知の配列非特異的二本鎖核酸結合タンパク質と約60%のアミノ酸配列同一性、任意には、約70%、75、80、85、90、または95〜98%のアミノ酸配列同一性を有するドメインを本発明において使用することができる。配列は、以下の配列比較アルゴリズムまたは手動アラインメントおよび目視検査により、比較領域または測定する指定領域にわたって最大一致が得られるように、比較およびアラインし得る。本発明にのためには、パーセントアミノ酸同一性は、BLASTの初期設定パラメータにより決定する。
配列比較では、典型的に1つの配列が、試験配列を比較する参照配列となる。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列をコンピューターに入力し、必要に応じてサブ配列同等物を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。初期設定プログラムパラメータを用いることもできるし、別のパラメータを指定することもできる。次いで、配列比較アルゴリズムにより、プログラムパラメータに基づいて参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性が計算される。
比較領域には、20〜600、一般的には約50〜約200、より一般的には約100〜約150からなる群より選択される任意の数の連続的部位の領域に対する参照が含まれ、2つの配列が最適にアラインメントされた後に同じ数の連続的部位の参照配列に対して配列が比較され得る。比較のための配列のアライメント方法は、当技術分野において周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)の局所的相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman、Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似度探索法により、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実行により(ウィスコンシン・ジェネティクス(Wisconsin Genetics)ソフトウェアパッケージのGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、ジェネティクス・コンピューター・グループ(Genetics Computer Group)、575 Science Dr., Madison WI)により、または手動アラインメントおよび目視検査により(例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. 1995 増補版))によって行うことができる。
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの例は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれAltschul et al., Nuc. Acids Res. 25:3389-3402 (1997)およびAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載されている。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して公的に利用可能である。このアルゴリズムはまず、データベース配列中の同じ長さのワードと共にアラインメントされた場合にある正値の閾値スコアTと一致するかまたはこれを満たす問い合わせ配列中の長さWの短いワードを同定することにより、スコアの高い配列ペア(HSP)を同定する段階を含む。Tは、隣接ワードスコア閾値と称される(Altschul et al., 前記)。これら最初の隣接ワードのヒットが、それらを含むより長いHSPを見出す検索を開始するための元となる。ワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加し得るまで、各配列に沿って両方向に拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列についてはパラメータM(一致した残基対に対する報酬スコア;常に>0)およびN(ミスマッチ残基に対するペナルティスコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列については、スコア行列を用いて累積スコアが計算される。各方向へのワードヒットの拡張は、累積スコアが最大に達した値からX量低下した時点で;1つまたは複数の負のスコア残基アラインメントの累積により、累積スコアが0またはそれ以下になった時点で;またはどちらか一方の配列の末端に到達した時点で停止する。BLASTアルゴリズムパラメータ、W、T、およびXは、アラインメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列用)では、初期設定としてワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関して、BLASTPプログラムでは、初期設定としてワード長3、期待値(E)10、BLOSUM62スコア行列(Henikoff & Henikoff、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照のこと)アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両鎖の比較を使用する。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計解析を行う(例えば、Karlin & Altschul、Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90:5873-5787 (1993)を参照のこと)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの基準は最小総和確率(P(N))であり、これにより2つの核酸またはアミノ酸配列間の一致が偶然に起こる確率の指標が提供される。例えば、参照核酸に対する試験核酸の比較における最小総和確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満である場合に、核酸は参照核酸に対して類似していると見なされる。
Sso7特異的抗体への交差反応性結合に基づくSso7タンパク質の同定
本発明において使用するためのSso7 DNA結合タンパク質はまた、既知のSso7結合ドメインに結合する抗体、好ましくはポリクローナル抗体を用いた交差反応性により同定し得る。ポリクローナル抗体は、当業者に周知の方法を用いて作製する(例えば、Coligan, Current Protocols in Immunology (1991);Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (1988)を参照のこと)。次に、免疫学的交差反応性結合タンパク質であるそれらタンパク質を、種々のアッセイ法により検出し得る。使用し得る種々の型式および条件の記載については、例えばMethods in Cell Biology: Antibodies in Cell Biology, 第37巻 (Asai, ed. 1993)、Colligan, 前記、およびHarlow & Lane, 前記を参照されたい。
有用な免疫測定型式には、試料タンパク質を固相支持体に固定化したアッセイ法が含まれる。例えば、交差反応性結合タンパク質は、ウェスタンブロット等の免疫ブロット解析により同定し得る。ウェスタンブロット技法は一般に、ゲル電気泳動により分子量に基づいて試料タンパク質を分離する段階、分離されたタンパク質を適切な固相支持体(ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、または誘導体化ナイロンフィルター)に転写する段階、および配列非特異的二本鎖核酸結合ドメインに結合する抗体と共に試料をインキュベートする段階を含む。抗体は、固相支持体上の交差反応性ポリペプチドに特異的に結合する。抗体は、直接標識してもよいし、または別法として、抗結合ドメイン抗体に特異的に結合する標識抗体(例えば、標識ヒツジ抗マウス抗体)を用いて後に検出してもよい。組換えタンパク質ライブラリーの解析等の他の免疫ブロットアッセイ法もまた、本発明での使用に適したタンパク質を同定するために有用である。
指定の免疫測定条件下でこの方法論を用いて、バックグラウンドの少なくとも2倍またはそれ以上、典型的にはバックグラウンドの10倍以上、特定の抗体に結合し、かつ試料中に存在するかなりの量の他のタンパク質に実質的に結合しない免疫学的交差反応性タンパク質を同定し得る。
競合的結合型式での免疫アッセイ法もまた、交差反応性の決定に使用し得る。例えば、既知のSso7ドメイン、例えばSso7dに対してポリクローナル抗血清を作製する。次に、標的抗原を固相支持体に固定化し得る。血清の選択性を改良するために、わずかな交差反応性を有する非標的抗原(存在する場合)をアッセイに添加し得る。固定化タンパク質に対する抗血清の結合において添加したタンパク質が競合する能力を、それ自体と競合するSso7タンパク質の能力と比較する。上記タンパク質のパーセント交差反応性は、標準的な計算により算出される。添加したタンパク質と10%未満の交差反応性を有する抗血清を選択およびプールする。非標的抗原を用いた免疫吸着により、プールした抗血清から、非標的抗原と交差反応する抗体を除去することもできる。この方法論により、本発明の特定の核酸結合ドメインに特異的に結合する抗体を作製することもできる。
次に、免疫吸着しプールした抗血清を、上記のような競合的結合免疫アッセイにおいて使用し、既知Sso7結合ドメインのおそらく対立遺伝子、多型変種、または相同体、例えば別の種の相同体と考えられる第2のタンパク質を、免疫原タンパク質と比較する。この比較を行うためには、2つのタンパク質をそれぞれ広範囲の濃度でアッセイし、固定化タンパク質に対する抗血清の結合を50%阻害するために必要とされる各タンパク質の量を決定する。結合の50%を阻害するのに必要とされる第2タンパク質の量が、結合の50%を阻害するのに必要とされる核酸結合ドメインタンパク質の量の10倍未満である場合、第2のタンパク質は、Sso7d免疫原に対して作製されたポリクローナル抗体に特異的に結合すると考えられる。
配列非特異的二本鎖核酸結合ドメインの活性は、例えばWO第0192501号に記載されているような種々のアッセイ法を用いてアッセイすることができる。本発明では、Sso7ドメインを少なくとも1つの表面残基において置換する。置換型Sso7ドメインは、ポリメラーゼに連結された場合に、修飾された伸長性および/またはプライマー/鋳型結合特異性の増加を示す。本発明のSso7複合体ポリメラーゼは、当技術分野において周知のアッセイ法により同定し得るが、これについては本明細書においてさらに説明する。
Sso7 DNA結合ドメインのポリメラーゼへの連結
本発明の複合体タンパク質のSso7 DNA結合ドメインおよびポリメラーゼドメイン、例えばSso7dおよびTaqポリメラーゼは、当業者に周知の方法により連結し得る。これらの方法には、化学的手段および組換え手段が含まれる。
Sso7タンパク質をポリメラーゼに連結する化学的手段は、例えばBioconjugate Techniques, Hermanson, Ed., Academic Press (1996) に記載されている。これらには、例えば、タンパク質化学の分野において周知の方法による、直接的なまたは連結化合物を介する、2つのタンパク質を相互に連結するための誘導体化が含まれる。例えば、1つの化学的結合の態様においては、触媒ドメインおよび核酸結合ドメインを連結する手段には、最終的に2つの成分間の分子間ジスルフィド結合の形成に寄与するヘテロ二官能性カップリング試薬が含まれる。本発明のためのこの能力において有用な他の種類のカップリング試薬は、例えば米国特許第4,545,985号に記載されている。または、分子間ジスルフィドは、天然で存在するかまたは遺伝子操作により挿入される、各成分内のシステイン間に都合よく形成され得る。成分を連結する手段はまた、ヘテロ二官能性架橋試薬間のチオエーテル結合、あるいは特定の低pH開裂性架橋剤または特定のプロテアーゼ開裂性リンカーまたは他の開裂性もしくは非開裂性化学結合を使用し得る。
複合体タンパク質のSso7およびポリメラーゼドメインを連結する手段はまた、標準的なペプチド合成化学または組換え手段により別々に合成された成分間で形成されるペプチジル結合を含み得る。アミノ酸配列を合成する化学的方法を用いて、複合体タンパク質自体を、全体または一部として作製することもできる。例えば、ペプチドは、アミノ酸が伸長するアミノ酸鎖に順次添加される、Merrifield固相合成法等の固相技法により合成し得る(Merrifield (1963) J. Am. Chem. Soc., 85:2149-2146を参照のこと)。ポリペプチドの自動合成装置はPE Corp. (カリフォルニア州、フォスターシティー)等の業者から市販されており、一般に製造業者の説明書に従って操作し得る。次に、合成されたペプチドを樹脂から切断し、例えば分取用高速液体 クロマトグラフィーにより精製し得る(Creighton, Proteins Structures and Molecular Principles, 50-60 (1983)を参照のこと)。合成ポリペプチドまたはポリペプチドの細断片の組成は、アミノ酸分析または配列決定により確認し得る(例えばエドマン分解法;Creighton, Proteins, Structures and Molecular Principles, pp. 34-49 (1983) を参照のこと)。
さらに、非古典的アミノ酸または化学的アミノ酸類似体を、置換または付加として配列中に導入し得る。非古典的アミノ酸には、これらに限定されないが、通常アミノ酸のD-異性体、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロ-アミノ酸、β-メチルアミノ酸等のデザイナーアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、Nα-メチルアミノ酸、および一般的アミノ酸類似体が含まれる。さらに、アミノ酸はD(右旋性)またはL(左旋性)であり得る。
別の態様において、Sso7およびポリメラーゼドメインは連結基を介して連結する。連結基は、例えばスクシンイミジル-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)を含む化学架橋剤であってよい。連結基はまた、例えばポリアラニン、ポリグリシン、または同様の連結基を含むさらなるアミノ酸配列であってよい。
特定の態様においては、融合タンパク質におけるそれぞれのポリペプチドのコード配列を、ペプチド結合を介しいずれかの順序で、アミノ末端またはカルボキシ末端において直接連結する。または、アミノ酸リンカー配列を用いて、それぞれのポリペプチドがその二次および三次構造に折りたたまれることを保証するのに十分な距離で、第1および第2ポリペプチド成分を分離してもよい。そのようなアミノ酸リンカー配列は、当技術分野において周知の標準的な技法を用いて融合タンパク質中に組み込まれる。適切なペプチドリンカー配列は、以下の要因に基づいて選択し得る:(1) 可動性の伸長構造をとる能力;(2) 第1および第2ポリペプチド上の機能的エピトープと相互反応相互作用し得る二次構造をとることができないこと;および(3) ポリペプチドの機能的エピトープと反応する可能性のある疎水性または荷電残基を欠いていること。典型的なペプチドリンカー配列は、Gly、Ser、Val、およびThr残基を含む。Ala等の他の中性に近いアミノ酸もまた、リンカー配列に使用し得る。リンカーとして有用に使用し得るアミノ酸配列には、Maratea et al. (1985) Gene 40:39-46;Murphy et al. (1986) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83: 8258-8262;米国特許第4,935,233号および第4,751,180号に開示されているものが含まれる。リンカー配列は、一般に1〜約50アミノ酸長、例えば3、4、6、または10アミノ酸長であるが、100ないし200アミノ酸長であってもよい。第1および第2ポリペプチドが、機能的ドメインを分離し、立体障害を妨げるために使用し得る非必須N末端アミノ酸領域を有する場合には、リンカー配列は必要でない可能性がある。
他の化学的リンカーには、炭水化物リンカー、脂質リンカー、脂肪酸リンカー、例えばPEGといったポリエーテルリンカー等が含まれる。例えば、ポリ(エチレングリコール)リンカーは、Shearwater Polymers, Inc.、アラバマ州、ハンツビルから入手できる。これらのリンカーは任意に、アミド結合、スルフヒドリル結合、またはヘテロ二官能性結合を有する。
Sso7およびポリメラーゼドメインを連結する他の方法には、負および正の末端を呈することよるイオン結合、ならびに抗体およびストレプトアビジン-ビオチン相互作用を介する間接的結合が含まれる(例えば、Bioconjugate Techniques, 前記を参照のこと)。ドメインはまた、媒介物相互作用配列を介して連結し得る。例えば、Sso7d相互作用配列、すなわちSso7dに結合する配列を、ポリメラーゼに連結することができる。次に、得られた融合タンパク質をSso7dと非共有結合させ、Sso7d-ポリメラーゼ複合体を作製することができる。
組換え技法を用いた融合タンパク質の産生
典型的な態様において、本発明の複合体so7-ポリメラーゼタンパク質は、当技術分野において標準的技法である、タンパク質をコードする核酸の組換え発現により産生される。そのような融合産物は、当技術分野において周知の方法により、適切なコード枠において所望のアミノ酸配列をコードする適切な核酸配列を相互に連結し、当技術分野において周知の方法によりその産物を発現させることによって作製し得る。
本発明の融合タンパク質内に組み込まれるドメインをコードする核酸は、組換え遺伝学の分野における日常的な技法を用いて得られ得る。本発明において役立つ一般的方法を開示する基本的な教科書には、Sambrook and Russel, Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3nd ed. 2001);Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds., 1994-1999)が含まれる。
Sso7およびポリメラーゼポリペプチドをコードする核酸配列は、種々の方法のいずれかを用いて得ることができる。いくつかの態様では、プローブとのハイブリダイゼーションにより、ポリペプチドをコードする核酸配列をcDNAおよびゲノムDNAライブラリーからクローニングするか、またはオリゴヌクレオチドプライマーを用いた増幅技法を用いて単離する。より一般的には、DNAまたはRNA鋳型を用いて、増幅技法によりSso7およびポリメラーゼ配列を増幅および単離する(例えば、Dieffenfach & Dveksler, PCR Primers: A Laboratory Manual (1995)を参照のこと)。または、重複オリゴヌクレオチドを合成により作製し連結して、1つまたは複数のドメインを作製し得る。触媒ドメインまたは二本鎖核酸結合ドメインをコードする核酸はまた、プローブとして抗体を使用し、発現ライブラリーから単離することもできる。
PCRにより、Sso7またはポリメラーゼドメインをコードする核酸を取得する例においては、1つの制限部位を含むセンスプライマーおよび別の制限部位を含むアンチセンスプライマーを用いて、核酸配列またはサブ配列をPCR増幅する。これにより、所望のドメイン配列またはサブ配列をコードしかつ末端制限部位を有する核酸が産生されることになる。次に、第2のドメインをコードする核酸を含みかつ適切な対応する制限部位を有するベクターに、この核酸を容易に連結し得る。ドメインは直接連結してもよいし、またはリンカーもしくは他のタンパク質配列によって分離してもよい。適切なPCRプライマーは、GenBankまたは他の供給源から提供される配列情報を用いて、当業者によって決定され得る。適切な制限部位は、部位特異的突然変異誘発によって、タンパク質またはタンパク質サブ配列をコードする核酸に付加することもできる。標準的な方法に従い、ドメインをコードするヌクレオチド配列またはサブ配列を含むプラスミドを適切な制限エンドヌクレアーゼで切断し、次いで増幅および/または発現に適したベクターに連結する。
当業者にインビトロ増幅方法を教授するのに十分な技法の例は、Berger、Sambrook、およびAusubel、ならびにMullis et al., (1987) 米国特許第4,683,202号;
Figure 0004505331
に見出される。
特定の核酸から発現されるポリペプチドの他の物理的特性をSso7ポリペプチドまたはポリメラーゼの特性と比較することにより、適切な核酸を同定する別の方法が提供され得る。
また、生物活性を減少させることなくSso7およびポリメラーゼドメインにさらに修飾を行い得ることを、当業者は認識すると考えられる。何らかの修飾を行い、クローニング、発現、または融合タンパク質内へのドメインの組み込みを容易にすることができる。そのような修飾は当業者に周知であり、例えば、開始コドンを提供するためにアミノ末端において付加されるメチオニン、または都合よく位置する制限部位もしくは終止コドンもしくは精製配列を作製するために一方の末端に位置するさらなるアミノ酸(例えばポリHis)を提供するための、結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの一方の末端におけるコドンの付加が含まれる。
1つまたは複数のドメインを修飾して2つのドメインの結合を容易にし、本発明の融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを得ることも可能である。したがって、そのような方法により修飾されたSso7およびポリメラーゼドメインもまた、本発明の一部である。例えば、システイン残基のコドンをドメインの一方の末端に配置し得り、例えばスルフィド結合によりドメインを連結することができる。修飾は、組換え法または化学的方法用いて行い得る(例えば、Pierce Chemical Co. カタログ、イリノイ州、ロックフォードを参照のこと)。
多くの場合、組換え融合タンパク質のSso7およびポリメラーゼドメインは、リンカードメイン、通常は上記したようなGly、Ser、Ala、およびValを含むポリペプチド配列により連結する。いくつかの態様においては、プロリン残基をリンカーに組み込み、リンカーにより著しい二次構造エレメントの形成を妨げる。
いくつかの態様においては、本発明のタンパク質をコードする組換え核酸を修飾し、選択した生物において核酸の翻訳を増強する好ましいコドンを提供する(例えば、酵母における発現のために、酵母の好ましいコドンをコード核酸内に置換する)。
融合ポリペプチドを発現させるための発現カセットおよび宿主細胞
融合ポリペプチドを産生するための、当業者に周知である多くの発現システムが存在する(例えば、Gene Expression Systems, Fernandex and Hoeffler, Eds. Academic Pres, 1999;Sambrook $ Russel, 前記;およびAusubel et al, 前記を参照のこと)。典型的には、融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、所望の宿主細胞において機能するプロモーターの制御下に配置する。非常に広範な種類のプロモーターが入手でき、特定の用途に応じて、本発明の発現ベクターにおいて使用し得る。通常、選択するプロモーターはプロモーターが働くことになる細胞に依存する。リボソーム結合部位、転写終結部位等の他の発現制御配列もまた、任意に含める。1つまたは複数のこれら制御配列を含む構築物を「発現カセット」と称する。これに従い、連結したポリペプチドをコードする核酸を、所望の宿主細胞において高レベル発現するように組み込む。
多くの場合、特定の宿主細胞での使用に適した発現制御配列は、その細胞において発現される遺伝子をクローニングすることによって得られる。リボソーム結合部位配列に加えて、任意にオペレーターを伴い、転写開始のためのプロモーターを含むと本明細書において定義する、一般に使用される原核生物制御配列には、β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトース(lac)プロモーター系(Change et al., Nature (1977) 198: 1056)、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel et al., Nucleic Acids Res. (1980) 8: 4057)、tacプロモーター(DeBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1983) 80:21-25))のような一般に使用されるプロモーター;ならびにλ由来PLプロモーターおよびN-遺伝子リボソーム結合部位(Shimatake et al., Nature (1981) 292: 128)が含まれる。本発明にとって特定のプロモーター系が重要なわけではなく、原核生物において機能する任意の入手可能なプロモーターを使用することができる。標準的な細菌の発現ベクターには、例えばpBLUESCRIPT(商標)、pSKF、pET23DといったpBR322に基づくプラスミド等のプラスミド、λファージ由来のベクター、およびGSTおよびLacZ等の融合発現系が含まれる。例えばc-myc、HAタグ、6-His(SEQ ID NO:17)タグ、マルトース結合タンパク質、VSV-Gタグ、抗-DYKDDDDK(SEQ ID NO:18)タグ、または多くが当業者に周知である任意のそのようなタグといったエピトープタグを組換えタンパク質に付加して、簡便な単離法を提供することもできる。
大腸菌以外の原核細胞において融合ポリペプチドを発現させるためには、特定の原核生物種において機能するプロモーターが必要である。そのようなプロモーターをその種からクローニングした遺伝子から得ることもできるし、または異種プロモーターを使用することもできる。例えば、ハイブリッドtrp-lacプロモーターは、大腸菌に加えてバチルス属においても機能する。これらおよび他の適切な細菌プロモーターは当技術分野において周知であり、例えば、Sambrook et al.およびAusubel et al.に記載されている。本発明のタンパク質を発現させるための細菌発現系は、例えば大腸菌、バチルス属種、およびサルモネラ属において利用できる(Palva et al., Gene 22:229-235 (1983);Mosbach et al., Nature 302:543-545 (1983))。そのような発現系のためのキットは市販されている。
哺乳動物細胞、酵母、および昆虫細胞の真核生物発現システムは当技術分野において周知であり、やはり市販されている。酵母では、ベクターには、酵母組み込みプラスミド(例えばYIp5)および酵母複製プラスミド(YRpシリーズプラスミド)ならびにpGPD-2が含まれる。真核生物ウイルスの制御エレメントを含む発現ベクターは典型的に、例えばSV40ベクター、パピローマウイルスベクター、およびエプスタイン・バーウイルス由来ベクターといった真核生物発現ベクターに用いられる。他の例示的な真核生物ベクターには、pMSG、pAV009/A+、pMTO10/A+、pMAMneo-5、バキュロウイルスpDSVE、および、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、または真核細胞内での発現に効果的であることが示されている他のプロモーターの指示下でタンパク質の発現を可能にする任意の他のベクターが含まれる。
本発明では、構成的または制御性プロモーターを使用し得る。制御性プロモーターは、融合タンパク質の発現が誘導される前に宿主細胞が高密度に増殖し得るため、有利である。場合によっては、異種タンパク質の高レベル発現により細胞増殖が遅くなる。誘導性プロモーターとは、発現のレベルが、温度、pH、嫌気または好気条件、光、転写因子、および化学物質等の環境因子または発育因子により変更し得る、遺伝子の発現を指示するプロモーターである。
大腸菌および他の細菌宿主細胞に関する誘導性プロモーターは、当技術分野において周知である。これらには、例えばlacプロモーター、バクテリオファージλPLプロモーター、ハイブリッドtrp-lacプロモーター(Amann et al. (1983) Gene 25: 167;deBoer et al. (1983) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 80: 21)、およびバクテリオファージT7プロモーター(Studier et al. (1986) J. Mol. Biol.;Tabor et al. (1985) Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 82: 1074-8)が含まれる。これらのプロモーターおよびそれらの使用は、Sambrook et al., 前記で考察されている。
他の生物のための誘導性プロモーターもまた、当技術分野において周知である。これらには、例えばメタロチオネインプロモーター、熱ショックタンパク質、および多くの他のものが含まれる。
発現を増強するために、翻訳カップリングを使用してもよい。この戦略では、その翻訳系に固有の高度に発現される遺伝子に由来する短い上流オープンリーディングフレーム、およびリボソーム結合部位を使用し、短い上流オープンリーディングフレームをプロモーターの下流に配置し、リボソーム結合部位の後に2、3のアミノ酸コドンを介して終始コドンが続く。終止コドンの直前に第2のリボソーム結合部位が存在し、終止コドンに続いて転写開始のための開始コドンが存在する。この系によりRNAにおける二次構造が解消され、翻訳の効率的な開始が可能となる。Squires, et. al. (1988), J. Biol. Chem. 263: 16297-16302を参照されたい。
ポリヌクレオチド構築物の構築は一般に、細菌において複製可能なベクターの使用を必要とする。そのようなベクターは、当技術分野において一般的である。細菌からプラスミドを精製するための多数のキットが市販されている(例えば、Pharmacia BiotechのイージープレップJ(EasyPrepJ)、フレキシプレップJ(FlexiPrepJ);StratageneのストラタクリーンJ(StrataCleanJ);およびQIAエクスプレス発現系(QIAexpress Expression System)、Qiagen)。次いで、単離および精製したプラスミドをさらに操作して他のプラスミドを作製し、細胞を形質転換するために使用し得る。
融合ポリペプチドは細胞内で発現させることもできるし、または細胞から分泌させることもできる。多くの場合、細胞内発現により高い収量がもたらされる。。必要に応じて、再折りたたみ手順を行うことにより、可溶性の活性融合ポリペプチドの量を増加させてもよい(例えば、Sambrook et al., 前記;Marston et al., Bio/Technology (1984) 2: 800;Schoner et al., Bio/Technology (1983) 3: 151を参照のこと)。本発明の融合ポリペプチドは、大腸菌、他の細菌宿主、酵母、ならびにCOS、CHO、およびHeLa細胞株、および骨髄腫細胞株等の種々の高等真核細胞を含む様々な宿主細胞において発現させることができる。宿主細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、または例えば酵母細胞、細菌細胞、もしくは真菌細胞等の微生物であってよい。
一旦発現されたら、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動等を含む当技術分野の標準的手順に従って、組換え融合ポリペプチドを精製し得る(一般的には、R. Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y. (1982)、Deutscher, Methods in Enzymology Vol. 182: Guide to Protein Purification, Academic Press, Inc. N.Y. (1990)を参照のこと)。少なくとも約90〜95%の均一性である実質的に純粋な組織物が好ましく、98〜99%またはそれ以上の均一性が最も好ましい。要望どおりに部分的にまたは均一的に精製された時点で、そのポリペプチドを使用することができる(例えば、抗体作製のための免疫原として)。
本発明の融合ポリペプチドの精製を容易にするために、融合ポリペプチドをコードする核酸に、親和性結合試薬が利用できるエピトープまたは「タグ」のコード配列を含めることもできる。適切なエピトープの例にはmycおよびV-5レポーター遺伝子が含まれ;これらのエピトープを有する融合ポリペプチドを組換え産生するために有用な発現ベクターが市販されている(例えばInvitrogen(カリフォルニア州、カールズバッド) ベクターpcDNA3.1/Myc-HisおよびpcDNA3.1/V5-Hisが哺乳動物細胞における発現に適している)。本発明の融合タンパク質にタグを結合するために適しているさらなる発現ベクターおよび対応する検出系は当技術分野において周知であり、いくつかは市販されている(例えばFLAG(Kodak、ニューヨーク州、ロッチェスター))。適切なタグの別の例は、金属キレート親和性リガンドに結合し得るポリヒスチジン配列である。典型的には6個の隣接するヒスチジンが用いられるが、6個よりも多いまたは少ないヒスチジンも使用できる。ポリヒスチジンタグの結合成分となり得る適切な金属キレート親和性リガンドには、ニトリロ-トリ-酢酸(NTA)が含まれる(Hochuli, E. (1990) “Purification of recombinant proteins with metal chelating adsorbents” In Genetic Engineering: Principles and Methods, J.K. Setlow, Ed., Plenum Press, NY;Qiagen(カリフォルニア州、サンタクラリタ)から市販されている)。
Sso7配列への変異の導入
本発明のSso7配列は、表面残基における置換を含む。当業者は、所与の核酸配列のこれらの変更を起こすまたは変種を作製する多くの方法が存在することを認識すると考えられる。そのような周知の方法には、部位特異的突然変異誘発、縮重オリゴヌクレオチドを用いたPCR増幅、所望のオリゴヌクレオチドの化学合成(例えば、大きな核酸を作製するための連結および/またはクローニングと組み合わせて)、および他の周知の技法が含まれる。Giliman & Smith, Gene 8:81-97 (1979)、Roberts, et al., Nature 328:731-734 (1987)、ならびにSambrook、Innis、およびAusubel(すべて前記)を参照されたい。
本発明のSso7配列を作製する1つの例においては、部位特異的突然変異誘発を用いて、表面残基をアミノ酸で置換する。変異を含むオリゴヌクレオチドプライマーを合成することにより、核酸配列を置換する。プライマーをSso7核酸、例えばSEQ ID NO:1にハイブリダイズさせ、新たな配列を増幅する。次いで、変異を有する増幅産物を発現ベクターに連結する。
最も一般的には、上記のように、すなわち対応する核酸配列を変更しポリペプチドを発現させることにより、ポリペプチド配列を改変する。しかし、市販のペプチド合成機を用いてポリペプチド配列を合成で作製し、所望のポリペプチドを作製することもできる(Merrifield、およびStewart & Young、前記を参照のこと)。
最終的に、以下に記載する技法等の技法を用いて置換型Sso7配列を評価し、プライマー/鋳型認識特異性の増加および/または非修飾型ポリメラーゼと比較して増加した伸長性を示す融合ポリメラーゼを同定する。典型的に、置換型融合タンパク質の伸長性は、野生型Sso7融合ポリメラーゼよりも低い。
ポリメラーゼ活性の調節
本発明の融合ポリメラーゼは、非修飾型ポリメラーゼと比較して増加した伸長性および改善されたプライマー/鋳型結合特異性の両方を含む、活性の調節を示す。活性は、当技術分野において標準的な技法により測定し得る。
多くの場合、本発明の融合ポリメラーゼは、野生型Sso7配列、例えばSEQ ID NO:2を含む融合ポリメラーゼと比較してプライマー/鋳型特異性の増加を示す。プライマー/鋳型特異性は、酵素が、適合するプライマー/鋳型二本鎖とミスマッチのプライマー/鋳型二本鎖とを識別する能力である。特異性は、例えば、一方は適合プライマーを使用し、もう一方はミスマッチプライマーを使用する2つの反応の相対的収量を比較することによって決定し得る。識別が増した酵素は、ミスマッチプライマーを用いるよりも適合プライマーを用いる方が高い相対的収量を有することになる、すなわち、適合プライマーを用いた反応とミスマッチプライマーを用いた反応における収量の比が約1またはそれ以上となる。次いで、この比率を、野生型Sso7ドメインを含む融合ポリメラーゼを使用する類似の反応セットにおいて得られる収量と比較し得る。本発明の融合タンパク質は典型的に、野生型融合ポリメラーゼと比較して少なくとも2倍、多くの場合3倍またはそれ以上の比率の増加を示す。
特異性はまた、例えば、完全に相補的なプライマー/鋳型とミスマッチのプライマー/鋳型のCt(閾値サイクル)値の相違(ΔCt)を用いて、異なる酵素のプライマー/鋳型結合特異性を測定することができる、リアルタイムPCRで測定し得る。Ct値は、検出可能なDNA量(「検出可能な」DNA量は、典型的にバックグラウンドの2X、通常は5X、10X、100Xまたはそれ以上である)を生じるのに必要なサイクル数を表す。増強した特異性を有するポリメラーゼは、PCRの理論上の最大増幅効率により一層近づくことによって、より少ないサイクル数で検出可能なDNA量を生じ得ると考えられる。したがって、Ct値が低いほど、酵素の増幅効率が高いことを示す。
ポリメラーゼの伸長性は、当業者に周知の種々の方法で測定することができる。ポリメラーゼの伸長性は一般に、修飾酵素が、プライミングした鋳型に1回結合する間に取り込まれるヌクレオチド数と定義される。例えば、5'FAM標識プライマーを環状または直鎖状のssM13mp18 DNAにアニールさせて、プライミングした鋳型を形成させる。伸長性を測定する際、任意のプライミングした鋳型がポリメラーゼによって2回以上伸長される機会を最小限に抑えるために、プライミングした鋳型は通常、ポリメラーゼに対して有意に過剰モルで存在する。したがって、緩衝液およびdNTPの存在下において、プライミングした鋳型をポリメラーゼと約4000対1(プライミングしたDNA:DNAポリメラーゼ)等の比率で混合する。MgCl2を添加してDNA合成を開始させる。開始後の様々な時点で試料を停止させ、配列決定用ゲルで解析する。産物長の中央値が時間またはポリメラーゼ濃度とともに変化しないポリメラーゼ濃度での、その長さが酵素の伸長性に相当する。次に、本発明のタンパク質、すなわちポリメラーゼの触媒ドメインに融合された置換型Sso7核酸結合ドメインを含む置換型融合ポリメラーゼの伸長性を、結合ドメインを含まない酵素(非修飾型ポリメラーゼ)の伸長性および野生型Sso7配列を含む融合ポリメラーゼの伸長性と比較する。本発明の置換型融合ポリメラーゼは、非修飾型ポリメラーゼと比較して増加した伸長性、および典型的には野生型Sso7融合ポリメラーゼと比較して減少した伸長性を示す。
効率の増強は、酵素が産物を産生する能力の増大を測定することによって実証することもできる。そのような解析では、反応で得られる産物量を決定することにより、間接的に二本鎖核酸の二本鎖の安定性を測定する。例えば、PCRアッセイ法を使用して、短い、例えば、12ヌクレオチド長のプライマーを高温、例えば50℃でアニールさせて得られるPCR産物の量を測定することができる。この解析において効率の増強は、置換型Sso7d配列に連結した場合に、50℃でアニールする12ヌクレオチドプライマーを用いるPCR反応において、非修飾型ポリメラーゼと比較してより多くの産物を産生するポリメラーゼの能力によって示される。
効率の増強を実証する別法として、ロングPCRを用いてもよい。例えば、効率が増強した酵素では、典型的に、相対的に効率が低い酵素と比較してより短い伸長時間で長い(>5 kb)単位複製配列の増幅が可能となる。
塩感受性のようなアッセイ法を用いて、本発明の伸長性核酸修飾酵素の効率の改善を実証することもできる。ポリメラーゼを本発明のSso7配列に融合すると、高塩濃度に対する耐性の増加が示される、すなわち、伸長性が増大した伸長性酵素はより高い塩濃度でより多くの産物を産生することができる。例えば、PCR解析を行い、高塩濃度、例えば80 mMの反応条件において、非修飾型Taqポリメラーゼに対して置換型Sso7融合Taqポリメラーゼを用いた反応で得られる産物量を決定することができる。
本発明の改良型ポリメラーゼの効率の増強を評価する他の方法は、当業者により、所与の修飾酵素の酵素活性の標準的なアッセイ法を用いて決定され得る。
実施例
実施例1:変異体Sso7-ΔTaq融合物の構築
連続PCRを用いて、SEQ ID NO:2に記載の野生型Sso7d-ΔTaqのW24をコードするコドンに点突然変異を導入した。1ラウンド目のPCRにおいて、プライマー対
Figure 0004505331
を用いて、pYW1から対応する領域を増幅した(PCT公報WO第01/92501号を参照のこと)。第1 PCRの産物を精製し、2ラウンド目のPCRにおいてプライマーM13Rおよび1008Rと混合して、400 bp断片を産生した。この断片を制限酵素EcoRIおよびBstXIで消化し、pYW1の対応する部位に挿入した。プライマーW24-Tは5'末端から23位の位置に縮重ヌクレオチドを含み、そのため最終的なオリゴヌクレオチドはこの位置においてG、T、A、およびCをそれぞれ25%含む混合集団となる。結果として、コドンGNGは変異体融合タンパク質において以下の4つのアミノ酸、Gly(GGG)(SEQ ID NO:3;太字および下線);Val(GTG)(SEQ ID NO:5;太字および下線);Glu(GAG)(SEQ ID NO:7;太字および下線);またはAla(GCG)(SEQ ID NO:5;太字および下線のうちの1つのコードする。
実施例2:ミスマッチプライマーアッセイ
構造研究によれば(Gao et al., Nature Struct. Boil. 5:782-786, 1998)、野生型Sso7dのW24残基は、その積み重なっていない位置において塩基の固定に関与している。本実施例では、この位置における変異により、融合タンパク質のプライマー-鋳型結合特異性が増加することを示す。
2対のプライマーを用いて、PCR酵素が適合プライマーとミスマッチプライマーを識別する能力を評価した。適合プライマー
Figure 0004505331
は、λDNAに対して完全に相補的である。ミスマッチプライマー
Figure 0004505331
は、λDNA鋳型に相補的でない2つの塩基(5'末端から5位および6位の位置)を含む。同じ適合リバースプライマー、
Figure 0004505331
を57Fまたは57F5/6とともに使用し、675 bpの単位複製配列を産生した。用いたサイクリングプログラムは以下の通りである:94℃-1分、20x(94℃-10秒、50〜74℃-30秒、72℃-1分)、72℃-10分。TE緩衝液に溶解したピコグリーン(PicoGreen)希釈物(1:200 ピコグリーン:TE)および蛍光プレートリーダーを用いて、PCR産物の最終収量を定量した。各酵素について、一方はプライマー57Fおよび732Rを使用し、もう一方はプライマー57F5/6および732Rを使用する、2つのPCR増幅を行った。
2つの反応の相対的収量を比較することにより、酵素がミスマッチプライマーと適合プライマーを識別する能力を決定した。識別能が高い酵素ほど、ミスマッチプライマーを用いるよりも適合プレイマーを用いた場合に、より高い相対的収量を有するはずである。表1は、64℃のアニーリング温度において解析した結果を示す。野生型融合タンパク質は、適合プライマーとミスマッチプライマーの識別能が最も低かった。3つの変異体タンパク質は、野生型融合タンパク質の2.5〜14倍の改善を示した。
(表1) PCRにおける適合とミスマッチ識別の比較
Figure 0004505331
実施例3:野生型タンパク質と変異体融合タンパク質の伸長性の比較
融合タンパク質の伸長性の増強にはSso7dとds DNAとの結合相互作用が重要であるため、導入した変異によって増強が消滅する可能性がある。伸長アッセイ法(WO第01/92501号を参照のこと)を用いて、Sso7dの残基W24において変異を含む融合タンパク質の伸長性を測定し、その結果を表2に要約する。3つの変異体タンパク質のうちの2つ、W24GおよびW24Vは、非修飾型タンパク質、ΔTaqよりも2倍高い伸長性を依然として維持した。W24E置換を含む変異体タンパク質は、非修飾型タンパク質と同程度の伸長性を示す。これらの結果から、この位置における異なる変異が、融合タンパク質の伸長性に対して差次的な影響を有することが示唆される。
(表2) 伸長性の比較
Figure 0004505331
実施例4:変異体タンパク質はPCR増幅の後期サイクルにおいてより効率的である
PCR増幅において、変異体タンパク質を野生型タンパク質と比較した。比較においては2つの基準を用いた。一方は増幅の初期サイクルにおける酵素の効率を反映する、qPCR増幅における閾値サイクル(Ct)値であり、もう一方は増幅の後期サイクルにおける酵素の効率を反映するPCR産物の最終収量である。SYBRグリーンに基づくqPCR反応を用いて、ヒトゲノムDNAから2つのβアクチン単位複製配列、BA481およびBA203を増幅した。反応物は、最終濃度1x SYBRグリーンIおよび2 mM MgCl2を含んだ。55.8℃〜72.1℃のアニーリング勾配を用いた。Ct値を表3に要約する。野生型融合タンパク質およびSso7d(G)融合タンパク質に関して、非常に類似したCt値(<1サイクル相違)が得られ、初期サイクルにおける2つの酵素間に有意な相違がないことが示唆される。
1%アガロースゲル上で最終PCR産物を解析し、相対的収量を評価した。図1に示すように、BA481およびBA203単位複製配列の最終収量は、変異体タンパク質、Sso(G)-ΔTaqを用いた場合に野生型融合タンパク質を用いた場合よりも有意に高く、このことは増幅の後期サイクルにおいて変異タンパク質がより効率的であることと一致する。
(表3) 66℃アニーリング温度におけるCt値の比較
Figure 0004505331
本明細書に記載した実施例および態様は説明の目的のためのみに提供されるものであり、この点を考慮した様々な修正または変更が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることは理解されると思われる。本明細書内に引用した出版物、特許、および特許出願はすべて、すべての目的のために完全に参照として本明細書に組み入れられる。
Sso7d配列およびSso7d融合物配列の表
Figure 0004505331
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Figure 0004505331
Figure 0004505331
Sso7d(G)-ΔTaqを野生型融合タンパク質、Sso7d-ΔTaqと比較するPCR反応の結果を示す。1%アガロースゲル上で最終PCR産物を解析し、相対的収量を評価した。 Sac7e(SEQ ID NO:10)とSso7d(SEQ ID NO:9)のアラインメントを示す。コンセンサスペプチド=SEQ ID NO:11〜14。

Claims (8)

  1. ポリメラーゼドメインに連結された、配列番号:2記載のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するかまたは配列番号:2記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有するSso7ドメインを含む、Sso7ポリメラーゼ複合体タンパク質であって、
    配列番号:2記載のアミノ酸配列を参照して決定されるTrp24表面残基位置のアミノ酸が、グリシン、バリン、およびアラニンからなる群から選択されるアミノ酸残基で置換され、
    Trp24表面残基の置換により、野生型Sso7-ポリメラーゼ融合物の伸長性よりも低く、かつSso7dドメインに融合していない場合のポリメラーゼドメインの伸長性よりも高い伸長性がもたらされる、Sso7ポリメラーゼ複合体タンパク質。
  2. 前記Sso7ドメインが、配列番号:2記載のアミノ酸を含む、請求項1記載のSso7ポリメラーゼ複合体タンパク質。
  3. ポリメラーゼドメインが耐熱性ポリメラーゼ活性を有する、請求項1または2に記載のSso7ポリメラーゼ複合体タンパク質。
  4. ポリメラーゼドメインがファミリーAポリメラーゼドメインである、請求項3記載のSso7ポリメラーゼ複合体タンパク質。
  5. ポリメラーゼドメインがΔTaqポリメラーゼドメインである、請求項4記載のSso7ポリメラーゼ複合体タンパク質。
  6. ポリメラーゼドメインがポリメラーゼBファミリーのメンバーである、請求項3記載のSso7ポリメラーゼ複合体タンパク質。
  7. ポリメラーゼドメインがパイロコッカスポリメラーゼドメインである、請求項6記載のSso7ポリメラーゼ複合体タンパク質。
  8. 溶液中に存在する標的核酸に対してポリメラーゼ反応を調節する方法であって、
    (a) 請求項1〜7のいずれかに記載のSso7ポリメラーゼ複合体タンパク質と標的核酸とを接触させる段階であって、前記溶液が、結合ドメインの標的核酸への結合、およびポリメラーゼドメインによる標的核酸配列にハイブリダイズしたプライマーの伸長を可能にする組成物の溶液である段階と、
    (b) ポリメラーゼによってプライマーが伸長する条件下で、前記溶液をインキュベートする段階と、
    を含む方法。
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