JP4505074B2 - 冶金用コークスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冶金用コークス、特に高炉用コークスの製造方法に関するものであり、更にいえばコークス原料として成型炭を使用するコークスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉をはじめとする冶金用コークスの製造に最も通常に使用されるのは室式コークス炉である。従来、室式コークス炉によるコークスの製造においては、原料として粉砕した石炭を粉状のまま、あるいは粉状の石炭に成型炭を最大30%程度まで配合して炭化室に装入する。
【0003】
従来、室式コークス炉の装入原料に占める成型炭の配合比率については、30%程度とされていた。これは、成型炭の配合比率30%までは、コークス炉炭化室における装入石炭嵩密度が増加し、装入石炭量を増加させることが可能であるが、それ以上に配合比率を上げても、装入密度を増大させることはできないため、あえて積極的に成型炭配合比率を上昇させる必要性が発見されていなかったためである。さらに、成型炭の配合比率を高めると、製造が完了したコークスを炉室から押し出す際に、押し詰まりを起こしやすくなるため、配合比率を30%以上まで高めることができなかった。
【0004】
シャフト炉で冶金用コークスを製造することもできる。シャフト炉を用いてコークスを製造する方法においては、コークス製造原料の全量を成型炭とすることが従来から可能であった。シャフト炉に装入した成型炭が、シャフト炉内でそのまま成型コークスとなってコークスが製造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
室式コークス炉による高炉用コークスの製造においては、コークス炉の老朽化による問題の解決が急務となっている。コークス製造プロセスにおいて、炉団の中で老朽化して休止した炭化室が存在する場合、残った炭化室で従来と同様の生産量を確保するためには、炭化室当たりのコークス生産性を増大させる必要がある。また、コークスの生産性を上げることができれば、コークス製造に使用するエネルギーを削減することができ、ひいてはコークス製造プロセスにおける二酸化炭素発生量を低減することもできる。
【0006】
室式コークス炉においては、石炭乾留開始直後に炉蓋からガスが漏れることがある。ガス漏れが発生すると同時に粉塵も発生するので、このガス漏れを低減できれば、環境の改善に寄与することができる。
【0007】
高炉用コークスは高い粘結力を必要とするので、コークス原料としての非微粘結炭等の劣質炭の使用比率は限定される。一方、非微粘結炭は強粘結炭に比較すると石炭の価格が安いので、コークス原料中に使用できる非微粘結炭の比率を高めることができれば、コークスの製造コストを低減することができる。
【0008】
高炉においてコークスの反応性を高めることができれば、同じ量の銑鉄を製造するのに要するコークスの使用量を削減できるとともに、銑鉄製造時に発生する二酸化炭素の発生量をも削減することができる。
【0009】
シャフト炉で製造されたコークスは、室式コークス炉で製造したコークスに比較して嵩比重が高いため、製銑原料として高炉に装入すると、コークス充填層の空隙率が低くなるので、成型炭を用いてシャフト炉で製造したコークスの高炉での使用には限界があった。
【0010】
本発明の第1の目的は、原料として成型炭を用いる室式コークス炉におけるコークスの製造方法において、コークスの生産性を向上し、コークス炉炉蓋からのガス漏れを低減し、コークス原料中に占める劣質炭の比率増大を可能にし、高炉でのコークスの反応性を増大することのできるコークスの製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の第2の目的は、原料として成型炭を用いる室式コークス炉におけるコークスの製造方法において、高炉でのコークス充填層の空隙率を増大するコークスの製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、室式コークス炉の装入原料の全量を、粘結力指数が70〜90であり、かつ全膨張率が40以下である非微粘結炭を40%以上配合した配合原料炭を成型してなる成型炭としてコークスを製造することを特徴とする冶金用コークスの製造方法にある。
【0013】
原料の全量を成型炭とすることによってコークス炉の生産性を向上することができる。
【0014】
室式コークス炉でのコークス製造において、従来のように原料として粉炭を中心に使用する場合においては、コークス炉内には粉状の石炭が充填されているため、炉壁から供給される熱は伝導熱伝達のみによって装入物内を移動する。そのため、総合的熱伝達効率が低く、結果としてコークス生産能率を低くする原因となっていた。これに対し、装入原料の全量を成型炭とすると、隣接する成型炭間に空隙が生じ、この空隙を通しての成型炭間の熱伝達は輻射熱伝達によって行われ、更にこの空隙内には石炭の熱分解ガスが流通しており、この熱分解ガスによる対流熱伝達によっても熱が供給される。そのため、従来の成型炭比率の低いコークス製造方法に比較し、全量成型炭とする本発明においてはコークス化時間を大幅に短縮することができる。
【0015】
原料の全量を成型炭とすることによってコークス炉炉蓋からのガス漏れを低減することができる。
【0016】
コークス炉に原料炭を装入するに際しては、高温に加熱された空の炭化室に原料炭を装入するため、熱分解ガスが発生する。特に粉状の石炭を装入した場合には装入直後に熱分解ガスが急激に発生する。また、装入物が粉状であるために空隙が少なく、発生したガスを迅速に排ガス吸引系に吸引することができない。炭化室の排ガス吸引系においては、装入時に吸引力を強化する操業が実施されてはいるが、あまりに急激に炭化室内のガス圧力が上昇するため、装入直後においてシール性の悪化した炉蓋からガスが漏れる場合が多く見られる。
【0017】
原料の全量を成型炭とすると、装入直後における熱分解ガスの発生量が粉炭に比較して少なくなるとともに、成型炭間に存在する空隙を通じて発生したガスがスムーズに排ガス吸引系に吸引されるため、装入直後においても炭化室内のガス圧力は上昇せず、ガス漏れが発生しにくいという顕著な効果を得ることができる。
【0018】
原料の全量を成型炭とすることによってコークス原料中に占める非微粘結炭等の劣質炭の比率増大を可能にすることができる。
【0019】
成型炭においては、あらかじめ石炭をバインダーを用いて成型してあるため、粘結性が低い安価な劣質炭を多量に使用することができる。原料の全量を成型炭とする本発明においては、結果としてコークス原料として安価な劣質炭を多量に使用することができるのである。
【0020】
前記成型炭は、コークス製造時にコークス炉内で成型炭相互が融着するように原料炭を配合調整して成型してなる。
【0021】
従来、室式コークス炉において成型炭の装入比率を増大することができなかったのは、製造完了後にコークスを炭化室から押し出すに際し、押し出し性が悪くなるためであった。本発明者等の研究により、従来の成型炭では装入した成型炭がコークス製造中に相互間で融着せず、そのために押し出し性が悪化することが判明した。そして、コークス製造時にコークス炉内で成型炭相互が融着するように原料炭を配合調整して成型しておけば、原料の全量を成型炭としても押し出し性が悪化せず、コークス製造が可能になることを見出した。
【0022】
前記配合原料炭は、粘結力指数が70〜90であり、かつ全膨張率が40以下である。
【0023】
なお、本発明における石炭の粘結力指数は、一般に知られている下記の粘結力指数測定方法を採用して測定する。即ち、粒度65メッシュ以下の被測定石炭1gと粒度48〜65メッシュの粉コークス9gとを配合し、るつぼで950℃±7℃で7分間乾留してコークス化し、かくして得たコークスを35メッシュの篩にかけてその篩上の量をA(g)とし、次に35メッシュの篩を通過したものを更に48メッシュの篩で篩分けして篩上の量をB(g)とし、粘結力指数を下記式で表す。
粘結力指数=(A+B)/10×100(%)
【0024】
上記指標により配合原料炭を選択することにより、製造した成型炭はコークス製造中において相互間で適度に融着し、結果として原料を全量成型炭としても良好な押し出し性を得ることができる。
【0025】
本発明の要旨とするところは、第2に、前記成型炭中に鉄系化合物を配合してなることを特徴とする上記第1の発明の冶金用コークスの製造方法にある。
【0026】
従来より、コークス原料石炭に鉄系化合物を配合すると、高炉での反応性の高いコークスが製造できることが知られていた。しかし、従来の粉炭を主体とするコークス原料石炭に鉄系化合物を配合すると、石炭乾留中に該配合した鉄系化合物中の鉄と炉壁の珪石レンガとが反応して炉壁を侵食するため、鉄系化合物を配合することによる高反応性コークスの製造は実現していなかった。
【0027】
原料を全量成型炭とする本発明のコークスの製造方法においては、上記のようにコークス炉での石炭乾留における生産性を向上させることができる。見方を変えると、同じ生産性を確保するのであれば、原料を全量成型炭とすると石炭乾留時の炉温を低下させることができる。このため、石炭乾留中の鉄と珪石煉瓦との反応が抑制され、高反応性コークスの製造がはじめて可能になった。
【0028】
本発明の要旨とするところは、第3に、上記第2の発明において、前記成型炭中に廃プラスチックを含有することを特徴とする冶金用コークスの製造方法にある。
【0029】
成型炭の原料中に廃プラスチックを配合すると、室式コークス炉での乾留中にプラスチックは熱分解し、その大部分は熱分解ガスとして揮発し、プラスチックが存在していた箇所は空隙となる。その結果、製造される成型コークスの嵩密度を低減することができ、このような成型コークスを高炉に装入したときのコークス充填層の空隙率を増加することができる。そのため、装入原料の全量を成型炭とする室式コークス炉で製造した成型コークスを高炉装入原料として問題なく用いることが可能になった。配合した廃プラスチックから発生した熱分解ガスは有効利用されるため、本発明は廃プラスチックを有効利用する効果をも有する。
【0030】
即ち、上記第1および第2の発明において、成型炭中に廃プラスチックを配合することにより、製造したコークスの嵩比重を低減することができる。その結果、コークスを高炉に装入したときのコークス充填層の空隙率がより増加するとともに、コークス重量が低下するためにコークスケーキの押し出し負荷が下がり、押し出し性がより一層改善されるという効果を得ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
成型炭は、例えば、所定粒度に粉砕した石炭にSOP等のバインダーを添加して、混練機により混練した後、ダブルロールの成型機により連続成型することにより製造する。
【0032】
本発明において、前記粘結力指数測定方法で測定した粘結力指数を70〜90とする理由は、70未満であれば、成型炭相互の融着が不足するために、押出時に成型炭が崩れて押し出し性が悪化するためであり、90を超えると成型炭相互が過剰に融着するために、乾留中において成型炭間の空隙が減少し、生産性向上効果がきわめて小さくなり、本発明の効果を享受できなくなるためである。
【0033】
また、全膨張率はJIS M 8801に記載された方法で測定する。全膨張率を40以下とする理由は、40を超えると成型炭が過剰に膨張して、相互に融着するために、乾留中において成型炭間の空隙が減少し、生産性向上効果がきわめて小さくなり、本発明の効果が享受できなくなるためである。
【0034】
配合原料炭の粘結力指数と全膨張率を測定するかわりに、各単味炭の粘結力指数と全膨張率を予め測定しておき、原料炭の配合割合に基づいて粘結力指数と全膨張率の加成平均値を求め、該加成平均粘結力指数を70〜90、加成平均全膨張率を40以下とすることによって本発明を実施することができる。
【0035】
室式コークス炉における装入原料の全量を上記のように製造した成型炭とすると、コークス炉における乾留時間を短縮することができる。
【0036】
装入原料として粉炭を用いたときの乾留時間を1としたとき、全量成型炭装入では乾留時間が0.7〜0.8に短縮される。全量成型炭とすると炭化室内における熱伝達が向上するためである。一方、全量成型炭装入とすると、粉炭装入に比較して空隙率が増大し、装入できる石炭の量が低下する。全量粉炭装入における装入量を1とすると、全量成型炭装入では装入量が0.9となる。以上より総合的に、全量成型炭装入における一窯あたりのコークス生産性は、全量粉炭装入におけるコークス生産性の1.3〜1.1倍となる。
【0037】
本発明の全量成型炭としてコークスを製造する方法は、コークス炉団中のすべての炭化室に適用することももちろん可能であるが、コークス炉団中の一部の炭化室に本発明を適用し、他の炭化室については従来同様粉炭を主体として装入することもできる。本発明は、炭化室に装入する原料の全量を成型炭としたときに効果を発揮するが、成型炭の生産能力がコークス製造の全原料をまかなうだけの能力を有しない場合には、上記のように一部の炭化室に本発明を適用することにより、生産性の向上をはじめとする本発明の効果を享受することができる。
【0038】
室式コークス炉の老朽化に伴い、多数の炭化室を有する炉団の中で老朽化して使用不能になった炭化室を休止する必要が生じた場合、運転可能な炭化室のうちの一部に本発明の全量成型炭としてコークスを製造する方法を適用すれば、炉団全体のコークス生産量は維持しつつ老朽化した炭化室を休止することが可能になる。
【0039】
室式コークス炉における装入原料の全量を上記のように製造した成型炭とすると、炉蓋からのガス漏れを低減することができる。
【0040】
試験コークス炉によりこの発明を実施した結果を元に説明する。
【0041】
実験には、幅400mm、高さ1000mm、長さ1000mmの炭化室を有する試験コークス炉を用い、炉温1250℃として石炭を装入し乾留を行った。
実験1では全量粉炭を装入し、実験2では全量成型炭を装入した。両者において、炉底部の炉蓋近傍におけるガス圧力の経時変化を測定した。
【0042】
図1に、炉底部の炉蓋近傍におけるガス圧力の経時変化を示す。図より、全量成型炭を装入した実験2では、装入直後からガス圧力がかなり低くなっていることが分かる。この試験結果より、全量成型炭装入により、乾留初期におけるガス圧を低減し、ガスリーク抑制が可能であることがわかる。
【0043】
また、同様の試験コークス炉を用いて、粘結炭30%、非微粘結炭70%の配合割合で構成される原料炭に粘結剤を8%添加して成型炭を製造し、全量成型炭を炭化室に装入して乾留試験を実施した。本方法により製造したコークスの強度は、粘結炭70%、非微粘結炭30%の配合割合で構成される原料炭を粉炭のまま炭化室に装入して乾留試験を実施して製造したコークスの強度とほぼ等しかった。この試験結果より、全量成型炭装入方法により、非微粘結炭を多量に使用可能であることがわかる。
【0044】
室式コークス炉における装入原料の全量を上記のように製造した成型炭とした場合、成型炭中に鉄系化合物を配合することが可能になる。
【0045】
全量成型炭装入方法においては、前記したように、粉炭装入と同一のコークス生産性を確保する場合には粉炭装入と比較して炉温を低下させることができる。
具体的には、炉温を1175℃以下まで低下させても従来の粉炭を主体としたコークス製造におけると同じ生産性を確保することが可能である。炉温を1175℃以下とすれば、装入石炭と炉壁との接触部において、装入石炭中の鉄と珪石煉瓦との反応が抑制されるため、装入石炭としての成型炭中に鉄系化合物を配合することが可能になる。
【0046】
コークスの反応性を向上させる触媒である鉄系化合物としては、主に酸化鉄があげられる。特に、製鉄所内で発生する粉状鉄鉱石や製鉄所の各プロセスにより排出される鉄分を含むダスト等は従来利用価値が低かったため、コークスの反応性を向上させる触媒としては最適である。また、鉄系化合物以外の触媒としては、アルカリ、アルカリ土類元素、ニッケル等遷移金属がある。鉄系化合物の配合割合は、望ましくは約0.1〜25重量%の範囲である。配合率が大きいほどコークスの反応性は向上するので、配合率下限値は、期待される反応性向上効果により決まる。一方、配合率が大きいほどコークス強度が低下するので、配合率上限値は、要求されるコークス強度により決まる。高反応性コークスを高炉に装入することにより、高炉内での700〜1200℃領域での還元効率が向上し、ひいては燃料比を低減することができる。
【0047】
シャフト炉によるコークス製造において装入原料の全量を成型炭として成型コークスを製造する場合、従来の成型炭を用いたのでは製造した成型コークスの装入時嵩密度は0.65ton/m3であり、室式炉により製造されるコークスの装入時嵩密度0.5ton/m3に比べるときわめて高いため、高炉に装入したときのコークス充填層の空隙率が低いため、高炉での使用には限界があった。
【0048】
本発明において成型炭中に廃プラスチックを配合することにより、シャフト炉で製造した成型コークスの嵩密度を低減することができる。廃プラスチック配合率の望ましい配合率範囲は0.1〜5重量%である。廃プラスチック配合率が0.1重量%未満ではプラスチックの処理量としてはあまりにも小さく、逆に5重量%を超えるとコークス強度が急激に低下するためである。廃プラスチック配合によるコークス嵩密度変化は、配合するプラスチックの比重により変わるが、おおよそ2〜5重量%添加することにより、室式炉により製造されるコークスの装入時嵩密度0.5ton/m3並みとすることが可能である。
【0049】
室式コークス炉によるコークス製造において装入原料の全量を成型炭としてコークスを製造する場合においても、廃プラスチックを成型炭中に0.1〜5重量%の範囲で配合することにより、室式コークス炉で製造したコークスの嵩比重をより一層低減することができる。廃プラスチック配合範囲の上限下限の限定理由は、上記シャフト炉の場合と同様である。
【0050】
配合するプラスチックの種類としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の有機系高分子類であり、プラスチック産業廃棄物およびプラスチック一般廃棄物(廃プラスチック)として大量に排出されているものも使用することが可能である。また、配合するプラスチックの大きさとしては、成型炭の強度を維持し、かつコークス嵩密度を低減させるためには、0.1〜10mm程度であることが望ましい。また、プラスチックの減容固化物についても、全く同様に使用することが可能である。
【0051】
【実施例】
幅400mm、高さ1000mm、長さ1000mmの炭化室を有する試験コークス炉を用い、石炭装入後炉温1250℃で乾留して本発明を実施した。表1に実験条件を示す。
【0052】
【表1】
【0053】
本発明例No.1は、粘結炭30%、非微粘結炭70%の配合割合で全量成型炭装入を実施した場合であり、配合炭の粘結力指数82、全膨張率15である。
乾留後コークスのドラム強度は83.3と高炉に使用できるレベルであり、また押出性も良好であった。
【0054】
本発明例No.2は、粘結炭60%、非微粘結炭40%の配合割合で全量成型炭装入を実施した場合であり、配合炭の粘結力指数79、全膨張率40である。
乾留後コークスのドラム強度は83.7と高炉に使用できるレベルであり、また押出性も良好であった。
【0055】
比較例No.3は、粘結炭30%、非微粘結炭70%の配合割合で全量成型炭装入を実施した場合であり、配合炭の粘結力指数68、全膨張率9である。本発明例No.1とは、非微粘結炭の炭種が異なっており、低い粘結力指数となっている。乾留後コークスのドラム強度は83.0と高炉に使用できるレベルであったが、成型炭の相互融着が不十分であったため、押出性が不良であった。
【0056】
比較例No.4は、全量粉炭を装入した場合であり、乾留後コークスのドラム強度は83.5と高炉に使用できるレベルであり、また押出性も良好であった。
【0057】
【発明の効果】
本発明において、室式コークス炉の装入原料の全量を成型炭としてコークスを製造することにより、コークスの生産性を向上し、コークス炉炉蓋からのガス漏れを低減し、コークス原料中に占める劣質炭の比率増大を可能にすることができた。
【0058】
本発明においては又、成型炭は、コークス製造時にコークス炉内で成型炭相互が融着するように原料炭を配合調整して成型することにより、室式コークス炉の装入原料の全量を成型炭とすることが可能になった。成型炭の配合原料炭の粘結力指数が70〜90であり、かつ全膨張率が40以下であれば成型炭相互の融着が可能になる。
【0059】
上記全量成型炭装入によるコークス製造においては、コークスの生産性を阻害せずに成型炭中に鉄系化合物を配合してコークスを製造することが可能になり、該鉄系化合物を配合したコークスを高炉で使用することにより、高炉の生産性を向上することができる。
【0060】
本発明においては更に、装入原料の全量を成型炭とするシャフト炉によるコークスの製造方法において、前記成型炭はその原料として廃プラスチックを含有することにより、シャフト炉で製造したコークスであっても該コークスの嵩密度を低減することができ、高炉で使用したときのコークス充填層の空隙率を十分に確保することが可能になるとともに、廃プラスチックの有効利用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】室式コークス炉の炉蓋近傍におけるガス圧力の経時変化を示す図である。
Claims (3)
- 室式コークス炉の装入原料の全量を、粘結力指数が70〜90であり、かつ全膨張率が40以下である非微粘結炭を40%以上配合した配合原料炭を成型してなる成型炭としてコークスを製造することを特徴とする冶金用コークスの製造方法。
- 前記成型炭中に鉄系化合物を配合してなることを特徴とする請求項1に記載の冶金用コークスの製造方法。
- 前記成型炭中に廃プラスチックを配合してなることを特徴とする請求項1または2に記載の冶金用コークスの製造方法。
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