JP4503735B2 - 手術画像記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は手術画像記録装置に係り、特に、手術で使用される観察系の画像を記録する手術画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、手術手法、手術用具の発達に伴いマイクロサージャリーが頻繁に行われるようになってきている。
【0003】
このマイクロサージャリーには、術部を拡大観察するために手術用顕微鏡が用いられる。
【0004】
ところで、脳神経外科や耳鼻咽喉科においては、術部が体腔内深部である場合が多く、手術用顕微鏡の観察方向を変化させても観察し難い部位、所謂死角部位が存在し、従来このような死角部位の観察には鏡や内視鏡が用いられている。
【0005】
また、マイクロサージャリーに内視鏡を利用する場面では、手術用顕微鏡観察下の死角を主に観察するので、複雑かつ微細な三次元構造をなす体腔内深部へ内視鏡を位置決め操作しなければならない。
【0006】
この操作は、当然周囲の正常組織を侵襲しないように手術用顕微鏡観察下で慎重に行わなければならず、その時の内視鏡で観察する場所も同時に確認しなければならない。
【0007】
術者は、このような操作時に、手術用顕微鏡の観察像と内視鏡の観察像のどちらを見るかを必要に応じて頭の中で選択している。
【0008】
特開平7−261094号公報に、手術用顕微鏡と内視鏡の観察像を手術用顕微鏡視野内に顕微鏡観察像および内視鏡観察像の切り替え、重畳が行える手術用顕微鏡が開示されている。
【0009】
また、手術中には手術用顕微鏡や内視鏡等の複数の観察系で観察している画像を手術記録として残すために、それそれの観察系にビデオテープレコーダ(VTR)等を接続し、手術過程の記録が日常的に行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開平07−261O94号公報では、モードスイッチを設けることにより、術者が必要に応じて表示モードを切り替えるようになっているが、複雑かつ微細な三次元構造をなす体腔内深部へ内視鏡を慎重に位置決め操作しなければならない時に、手術用顕微鏡の観察像と内視鏡の観察像のどちらかを必要に応じて切り替える操作が必要である。
【0011】
さらに、この観察像の切り替え操作に加えて、必要な観察画像を記録するために観察画像の記録開始/記録停止操作を行うことは、術者にとって煩雑であり、手術進行の障害になる恐れがある。
【0012】
また、術者が直接観察画像の記録開始/記録停止操作を行わずに手術スタッフに操作の指示を出すこともあるが、慎重な操作を行っている時には指示を出し忘れる場合もあり、観察画像が記録されないことがある。
【0013】
当然、手術中の全時間にわたって手術記録として全観察系の画像を記録して保存しておくということも考えられるが、脳神経外科手術の場合、手術時間は通常十数時間にも及ぶので、この間の画像を全て保存しようとするとビデオテープを大量に消費してしまう。
【0014】
また、手術中の全時間にわたって記録されたビデオテープには、不要な部分が多く含まれており、手術記録の整理に膨大な時間を要し、術後の的確な検討を妨げてしまう。
【0015】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、手術用顕微鏡と内視鏡等の観察系を使用して手術を行う場合に、術者による観察画像の記録開始/記録停止操作を一切必要とせずに円滑な手術進行が行え、手術後の検討に必要でかつ最小限の画像を保存する手術画像記録装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題を解決するために、
(1)術部を観察するための観察手段と、
前記観察手段の観察画像を記録する画像記録手段と、
を備えた手術画像記録装置において、
前記観察手段の位置姿勢を検出する位置姿勢検出手段と、
前記術部の位置姿勢を検出する術部位置姿勢検出手段と、
前記位置姿勢検出手段からの前記観察手段の位置姿勢情報と前記術部位置姿勢検出手段からの前記術部の位置姿勢情報とに基づいて、前記観察手段と前記術部との相対的な距離および/または方向を判定し、その判定結果に従って、前記画像記録手段に記録開始または記録停止を指示する記録状態変更指示手段と、
を具備したことを特徴とする手術画像記録装置が提供される。
【0017】
(対応する発明の実施の形態)
この発明に関する実施の形態は、第1の実施の形態と第2の実施の形態が対応する。
【0018】
上記構成中の観察手段は、これらの実施の形態では内視鏡が該当するが、手術用顕微鏡でもかまわないし、観察手段であれば何でもよい。
【0019】
また、上記構成中の画像記録手段は、これらの実施の形態ではVTRが該当するが、DVD(デジタルビデオディスク)等映像信号を記録できるものであれば何でもよい。
【0020】
また、上記構成中の位置姿勢検出手段および術部位置姿勢検出手段は、これらの実施の形態では位置姿勢センサ(赤外線LED、センシングプレート、センサアセンブリ、センサコントローラで構成)が該当するが、磁気を用いた方式のセンサや、リンクとジョイントとエンコーダやポテンショメータを用いた機械的な方式のセンサなど三次元位置姿勢を検出できるものであれば何でもよい。
【0021】
また、上記構成中の記録状態変更指示手段は、これらの実施の形態では画像制御コントローラが該当する。
【0022】
(作用)
この発明によると、観察手段の観察像は、画像記録手段に供給される。
【0023】
位置姿勢検出手段は、観察手段の位置姿勢を検出し、その位置姿勢情報を記録状態変更指示手段に供給する。
【0024】
術部位置姿勢検出手段は、術部の位置姿勢を検出し、その位置姿勢情報を記録状態変更指示手段に供給する。
記録状態変更指示手段は、位置姿勢検出手段からの前記観察手段の位置姿勢情報と前記術部位置姿勢検出手段からの前記術部の位置姿勢情報とに基づいて、前記観察手段と前記術部との相対的な距離および/または方向を判定し、その判定結果に従って、画像記録手段に対して観察像の記録状態の変更を指示する。
【0026】
(2) 術部を観察するための第1の観察手段と、
この第1の観察手段とは別個に設けられ、前記術部および/またはその近辺を観察するための第2の観察手段と、
前記第1の観察手段の観察画像を記録する第1の画像記録手段と、
前記第2の観察手段の観察画像を記録する第2の画像記録手段と、
を備えた手術画像記録装置において、
前記第1の観察手段および前記第2の観察手段の位置姿勢を検出する位置姿勢検出手段と、
前記術部の位置姿勢を検出する術部位置姿勢検出手段と、
前記位置姿勢検出手段からの前記第1の観察手段および前記第2の観察手段の位置姿勢情報と前記術部位置姿勢検出手段からの前記術部の位置姿勢情報とに基づいて、前記第1の観察手段および前記第2の観察手段と前記術部との相対的な距離および/または方向を判定し、その判定結果に従って、前記第1の画像記録手段および前記第2の画像記録手段に相反的に記録開始および記録停止を指示する記録状態変更指示手段と、
を具備することを特徴とする手術画像記録装置が提供される。
【0027】
(対応する発明の実施の形態)
この発明に関する実施の形態は、第1の実施の形態が対応する。
【0028】
上記構成中の第1の観察手段は、この実施の形態では手術用顕微鏡が該当するが、内視鏡でもかまわないし、観察手段であれば何でもよい。
【0029】
また、上記構成中の第2の観察手段は、この実施の形態では内視鏡鏡が該当するが、手術用顕微でもかまわないし、観察手段であれば何でもよい。
【0030】
また、上記構成中の第1の画像記録手段、第2の画像記録手段は、この実施の形態ではVTRが該当するが、DVD(デジタルビデオディスク)等映像信号を記録できるものであれば何でもよい。
【0031】
また、上記構成中の位置姿勢検出手段および術部位置姿勢検出手段は、この実施の形態では位置姿勢センサ(赤外線LED、センシングプレート、センサアセンブリ、センサコントローラで構成)が該当するが、磁気を用いた方式のセンサや、リンクとジョイントとエンコーダやポテンショメータを用いた機械的な方式のセンサなど三次元位置姿勢を検出できるものであれば何でもよい。
【0032】
また、上記構成中の記録状態変更指示手段は、この実施の形態では画像制御コントローラが該当する。
【0033】
(作用)
この発明によると、第1の観察手段の観察像は、第1の画像記録手段に供給される。
【0034】
第2の観察手段の観察像は、第2の画像記録手段に供給される。
【0035】
位置姿勢検出手段は、第1の観察手段および第2の観察手段の位置姿勢を検出し、その位置姿勢情報を記録状態変更指示手段に供給する。
術部位置姿勢検出手段は、術部の位置姿勢を検出し、その位置姿勢情報を記録状態変更指示手段に供給する。
【0036】
記録状態変更指示手段は、位置姿勢検出手段からの前記第1の観察手段および前記第2の観察手段の位置姿勢情報と前記術部位置姿勢検出手段からの前記術部の位置姿勢情報とに基づいて、前記第1の観察手段および前記第2の観察手段と前記術部との相対的な距離および/または方向を判定し、その判定結果に従って、前記第1の画像記録手段および前記第2の画像記録手段に相反的に記録開始および記録停止を指示する。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0038】
図1は、本発明の手術画像記録装置による第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0039】
この第1の実施の形態の手術画像記録装置は、次のように構成されている。
【0040】
すなわち、この手術画像記録装置には、手術用顕微鏡1(第1の観察手段)と、この手術用顕微鏡1の観察視野の死角となる領域などを観察するための内視鏡2(第2の観察手段)とが設けられている。
【0041】
手術用顕微鏡1は、図示しない架台に取り付けられた顕微鏡光学系1aと、この顕微鏡光学系1aに取り付けられた顕微鏡カメラ1bと、この顕微鏡カメラ1bの出力を映像信号に変換する顕微鏡カメラコントロールユニット(以下CCUと記す)1cとで構成されている。
【0042】
なお、顕微鏡光学系1aには、図示しない光源から図示しないライトガイドによって観察用の照明光が供給されている。
【0043】
また、内視鏡2は、内視鏡光学系2aと、この内視鏡光学系2aに取り付けられた内視鏡カメラ2bと、この内視鏡カメラ2bの出力を映像信号に変換する内視鏡CCU2cとで構成されている。
【0044】
なお、内視鏡光学系2aには、図示しない光源から図示しないライトガイドによって観察用の照明光が供給されている。
【0045】
そして、顕微鏡CCU1cの映像出力と内視鏡CCU2cの映像出力は、ビデオミキサ3に供給される。
【0046】
このビデオミキサ3は、図2に示すような複数の表示モード0,1を持っている。
【0047】
すなわち、図2の(a)に示すように、表示モード0では、顕微鏡CCU1cの映像出力がそのまま表示される。
【0048】
また、図2の(b)に示すように、表示モード1では、内視鏡CCU2cの映像出力がそのまま表示される。
【0049】
このようなビデオミキサ3の表示モードは、外部からの制御信号によって変更することが可能である。
【0050】
そして、ビデオミキサ3の出力は、液晶ディスプレイ4に供給され、術者に観察像が提示される。
【0051】
位置姿勢センサ5(位置姿勢検出手段)は、赤外線LED5aを三角形状に配置した硬質なセンシングプレー卜5bおよびセンシングプレート5cと、赤外線LED5aを検出するためのセンサアセンブリ5dと、このセンサアセンブリ5dの出力からセンシングプレート5bおよびセンシングプレート5cの三次元位置姿勢を算出するセンサコントローラ5eとから構成されている。
【0052】
なお、センシングプレート5bおよびセンシングプレー卜5c上で定義された座標系に対して、各赤外線LED5aが配置された位置は事前に計測されており、LED定義データとしてセンサコントローラ5eに記憶されている。
【0053】
センシングプレート5bは、患者6の頭部に、取り付け位置が容易に変化しないように図示しないテープで取り付けられ、センシングプレート5cは、内視鏡2に図示しない固定具で固定的に取り付けられている。
【0054】
センサコントローラ5eは、画像制御コントローラ7(記録状態変更指示手段)に接続されている。
【0055】
また、画像制御コントローラ7は、ビデオミキサ3、顕微鏡VTR8、内視鏡VTR9に接続されている。
【0056】
患者6の手術対象となる術部および特徴点は、CTやMRI等により事前に計測し、図示しない画像処理用コンピュータ等により三次元位置を算出し、画像制御コントローラ7に術部データおよび特徴点データとして記憶されている。
【0057】
図3に示すように、患者6の術部データと患者6自身は、モデルデータ座標系mの特徴点データの座標値と、これに対応するセンシングプレート5bで規定される患者座標系pの患者6上の特徴点の座標値を計測し、座標変換行列pHmを算出することで関連付けられている。
【0058】
この座標変換行列pHmは、画像制御コントローラ7に記憶されている。
【0059】
内視鏡2の先端と後端の座標値が、内視鏡2に固定的に取り付けられているセンシングプレート5cで規定される内視鏡座標系eに対して求められており、画像制御コントローラ7に記憶されている。
【0060】
顕微鏡CCU1cの映像出力は、顕微鏡VTR8(第1の画像記録手段)に供給され、内視鏡CCU2cの映像出力は、内視鏡VTR9(第2の画像記録手段)に供給される。
【0061】
顕微鏡VTR8および内視鏡VTR9に入力された映像の記録開始/記録停止は、外部からの制御信号によって行うことが可能である。
【0062】
次に、この第1の実施の形態の作用を説明する。
【0063】
まず、手術画像記録装置の使用時には、図1に示すように手術用顕微鏡1と内視鏡2とが組み合わせて使用される。
【0064】
本装置の動作中、センサコントローラ5eは、各赤外線LED5aを順番に発光させ、その時のセンサアセンブリ5dの出力から各赤外線LED5aの三次元位置を計測し、センサコントローラ5eに記憶されているLED定義データを用いて、センシングプレート5bおよびセンシングプレート5cの三次元位置姿勢を算出し、画像制御コントローラ7の要求に応じて送出する。
【0065】
画像制御コントローラ7は、この三次元位置姿勢情報により、図4に示すように、患者6の頭部に取り付けた患者座標系pのセンシングプレート5bから内視鏡2に取り付けられた内視鏡座標系eのセンシングプレート5cへの座標変換行列pHeを算出する。
【0066】
この座標変換行列pHeと前記座標変換行列pHmより、患者6の術部と内視鏡2の相対的な距離と方向を算出する。
【0067】
次に、図5のフローチャートに基づいて、画像制御コントローラ7の処理を説明する。
【0068】
画像制御コントローラ7は、一定周期(例えば、33msec)毎にセンサコントローラ5eにリクエスト信号を送出し、センシングプレート5bとセンシングプレート5cの三次元位置姿勢情報を受信する(ステップS101)。
【0069】
次に、受信した三次元位置姿勢情報から、内視鏡2が術部近傍(例えば、50mm以内)にあるかどうかを判定する(ステップS102)。
【0070】
もし、内視鏡2が術部近傍にあるときには、顕微鏡観察像から内視鏡観察像に切り替える指示(表示モード1)をビデオミキサ3に送出すると共に、内視鏡観察像の録画を開始するように内視鏡VTR9に記録開始を指示し、顕微鏡観察像の録画を停止するように顕微鏡VTR8に記録停止を指示する(ステップS103)。
【0071】
また、もし、内視鏡2が術部近傍にないときには、内視鏡観察像から顕微鏡観察像に切り替える指示(表示モード0)をビデオミキサ3に送出すると共に、顕微鏡観察像の録画を開始するように顕微鏡VTR8に記録開始を指示し、内視鏡観察像の録画を停止するように内視鏡VTR9に記録停止を指示する(ステップS104)。
【0072】
以上により、内視鏡2が術部から遠ざけられていて手術用顕微鏡1で主に術部を観察するときには、手術用顕微鏡1の観察像が液晶ディスプレイ4に表示されると共に、顕微鏡観察像のみが顕微鏡VTR8に録画されるようになる。
【0073】
また、内視鏡2を術部近傍に近づけたときには、内視鏡観察像が液晶ディスプレイ4に表示されると共に、内視鏡観察像のみが内視鏡VTR9に録画されるようになる。
【0074】
さらに、内視鏡2を術部近傍から遠ざけたときには、顕微鏡観察像が液晶ディスプレイ4に表示されると共に、顕微鏡観察像のみが顕微鏡VTR8に録画されるので、術者は顕微鏡観察像と内視鏡観察像の記録開始/記録停止の操作を何らすることなく所望の観察像を記録することができる。
【0075】
なお、この発明の実施の形態の各構成は、当然、各種の変形、変更が可能である。
【0076】
例えば、第1の観察手段は、この実施の形態では手術用顕微鏡であるが、内視鏡でもかまわないし、観察手段であれば何でもよい。
【0077】
また、第2の観察手段は、この実施の形態では内視鏡であるが、手術用顕微鏡でもかまわないし、観察手段であれば何でもよい。
【0078】
また、位置姿勢検出手段は、この実施の形態では位置姿勢センサ(赤外線LED、センシングプレート、センサアセンブリ、センサコントローラで構成)であるが、磁気を用いた方式のセンサや、リンクとジョイントとエンコーダやポテンショメータを用いた機械的な方式のセンサなど三次元位置姿勢を検出できるものであれば何でもよい。
【0079】
この実施の形態では、記録状態変更指示手段は術部と内視鏡との間の距離を用いて判定したが、内視鏡の方向を用いて判定してもよいし、距離と方向の両方で判定してもよい。
【0080】
また、位置姿勢検出手段は、内視鏡の位置姿勢を検出したが、内視鏡の代わりに顕微鏡の位置姿勢を検出してもよいし、内視鏡と顕微鏡との両方の位置姿勢を検出してもよい。
【0081】
次に、本発明の第2の実施の形態による手術画像記録装置について、図6を用いて説明する。
【0082】
図6は、この第2の実施の形態による手術画像記録装置の構成を示すブロック図である。
【0083】
この第2の実施の形態は、上述した第1の実施の形態から手術用顕微鏡に関連する部分(手術用顕微鏡1、顕微鏡VTR8)とビデオミキサ3を除いたものである。
【0084】
この手術画像記録装置には、内視鏡2(観察手段)が設けられている。
【0085】
ここで、内視鏡2は、内視鏡光学系2aと、この内視鏡光学系2aに取り付けられた内視鏡カメラ2b、この内視鏡カメラ2bの出力を映像信号に変換する内視鏡CCU2cで構成されている。
【0086】
なお、内視鏡光学系2aには、図示しない光源から図示しないライトガイドによって観察用の照明光が供給されている。
【0087】
そして、内視鏡CCU2cの映像出力は、内視鏡VTR9(画像記録手段)に供給される。
【0088】
この内視鏡VTR9に入力された映像の記録開始と記録停止は、外部からの制御信号によって行うことが可能である。
【0089】
この内視鏡CCU2cの映像出力が、液晶ディスプレイ4に供給されることにより、術者に観察像が提示される。
【0090】
位置姿勢センサ5(位置姿勢検出手段)は、赤外線LED5aを三角形状に配置した硬質なセンシングプレート5bおよびセンシングプレート5cと、赤外線LED5aを検出するためのセンサアセンブリ5dと、このセンサアセンブリ5dの出力からセンシングプレート5bおよびセンシングプレート5cの三次元位置姿勢を算出するセンサコントローラ5eとから構成されている。
【0091】
なお、センシングプレート5bおよびセンシングプレート5c上で定義された座標系に対して、各赤外線LED5aが配置された位置は事前に計測されており、LED定義データとしてセンサコントローラ5eに記憶されている。
【0092】
センシングプレート5bは、患者6の頭部に、取り付け位置が容易に変化しないように図示しないテープで取り付けられ、センシングプレート5cは、内視鏡2に図示しない固定具で固定的に取り付けられている。
【0093】
センサコントローラ5eは、画像制御コントローラ7(記録状態変更指示手段)に接続されている。
【0094】
また、画像制御コントローラ7は、内視鏡VTR9に接続されている。
【0095】
患者6の手術対象となる術部および特徴点は、CTやMRI等により事前に計測し、図示しない画像処理用コンピュータ等により三次元位置を算出し、画像制御コントローラ7に術部データおよび特徴点データとして記憶されている。
【0096】
図3に示すように、患者6の術部データと患者6自身は、モデルデータ座標系mの特徴点データの座標値と、これに対応するセンシングプレート5bで規定される患者座標系pの患者6上の特徴点の座標値を計測し、座標変換行列pHmを算出することで関連付けられている。
【0097】
この座標変換行列pHmは、画像制御コントローラ7に記憶されている。
【0098】
内視鏡2の先端と後端の座標値が、内視鏡2に固定的に取り付けられているセンシングプレート5cで規定される内視鏡座標系eに対して画像制御コントローラ7に記憶されている。
【0099】
次に、この第2の実施の形態の作用を説明する。
【0100】
まず、手術画像記録装置の使用時には、図6に示したように、内視鏡2が使用される。
【0101】
本装置の動作中、センサコントローラ5eは、各赤外線LED5aを順番に発光させ、その時のセンサアセンブリ5dの出力から各赤外線LED5aの三次元位置を計測し、センサコントローラ5eに記憶されているLED定義データを用いて、センシングプレート5bおよびセンシングプレート5cの三次元位置姿勢を算出し、画像制御コントローラ7の要求に応じて送出する。
【0102】
画像制御コントローラ7は、この三次元位置姿勢情報により、図4に示したように、患者6頭部に取り付けた患者座標系pのセンシングプレート5bから内視鏡2に取り付けられた内視鏡座標系eのセンシングプレート5cへの座標変換行列pHeを算出する。
【0103】
この座標変換行列pHeと前記座標変換行列pHmより、患者6の術部と内視鏡2の相対的な距離と方向を算出する。
【0104】
次に、図7のフローチャートに基づいて、画像制御コントローラ7の処理を説明する。
【0105】
画像制御コントローラ7は、一定周期(例えば33msec)毎にセンサコントローラ5eにリクエスト信号を送出し、センシングプレート5bとセンシングプレート5cの三次元位置姿勢情報を受信する(ステップS201)。
【0106】
次に、受信した三次元位置姿勢情報から、内視鏡2が術部近傍(例えば50mm以内)にあるかどうかを判定する(ステップS202)。
【0107】
もし、内視鏡2が術部近傍にあるときには、内視鏡観察像の記録を開始する指示を内視鏡VTR9に送出する(ステップS203)。
【0108】
また、もし、内視鏡2が術部近傍にないときには、内視鏡観察像の記録を停止する指示を内視鏡VTR9に送出する(ステップS204)。
【0109】
以上により、内視鏡2が術部から遠ざけられていて術部を観察していないときには内視鏡観察像の記録は行われず、内視鏡2を術部近傍に近づけたときには内視鏡観察像が記録されるので、術者は内視鏡観察像の記録開始/記録停止操作を何らすることなく所望の観察像を記録することができる。
【0110】
なお、この発明の実施の形態の各構成は、当然、各種の変形、変更が可能である。
【0111】
例えば、観察手段は、この実施の形態では内視鏡であるが、手術用顕微鏡でもかまわないし、観察手段であれば何でもよい。
【0112】
また、画像記録手段は、この実施の形態ではVTRであるが、DVD等映像信号を記録できるものであれば何でもよい。
【0113】
また、位置姿勢検出手段は、この実施の形態では位置姿勢センサ(赤外線LED、センシングプレート、センサアセンブリ、センサコントローラで構成)であるが、磁気を用いた方式のセンサや、リンクとジョイントとエンコーダやポテンショメータを用いた機械的な方式のセンサなど三次元位置姿勢を検出できるものであれば何でもよい。
【0114】
この実施の形態では、記録状態変更指示手段は術部と内視鏡との間の距離を用いて判定したが、内視鏡の方向を用いて判定してもよいし、距離と方向の両方で判定してもよい。
【0115】
そして、上述したような実施の形態で示した本明細書には、特許請求の範囲に示した請求項1乃至3以外にも、以下に付記1乃至付記4として示すような発明が含まれている。
【0116】
付記1.前記記録状態変更指示手段は、前記位置姿勢検出手段からの前記第1の観察手段および/または前記第2の観察手段の位置姿勢情報と術部との相対的な距離および/または方向に基づいて、前記第1の画像記録手段および/または前記第2の画像記録手段に記録開始または記録停止の指示を行うことを特徴とする請求項3に記載の手術画像記録装置。
【0117】
付記2.内視鏡と、
前記内視鏡の出力画像を記録する画像記録手段と、
前記内視鏡の位置姿勢を検出する位置姿勢検出手段と、
前記位置姿勢検出手段によって検出された位置姿勢情報に基づいて前記画像記録手段に記録開始または記録停止を指示する記録状態変更指示手段と、
を具備することを特徴とする手術画像記録装置。
【0118】
付記3.手術用顕微鏡をさらに具備し、
前記画像記録手段は、前記手術用顕微鏡の出力画像もさらに記録し、
前記記録状態変更手段は、前記位置姿勢検出手段からの位置姿勢情報に基づいて前記画像記録手段に手術用顕微鏡画像の記録開始または記録停止もさらに指示することを特徴とする付記2記載の手術画像記録装置。
【0119】
付記4.前記記録状態変更手段は、前記内視鏡が術部近傍にあるか否かを判定し、この判定結果に基づいて記録開始または記録停止を指示することを特徴とする付記2または3記載の手術画像記録装置。
【0120】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、記録状態変更指示手段は、位置姿勢検出手段からの観察手段の位置姿勢情報に基づいて画像記録手段に対して観察像の記録状態の変更を指示するようにしたので、観察手段の位置姿勢に応じて観察像の記録状態を変更することが可能になる。
【0121】
また、請求項3の発明によれば、記録状態変更指示手段は、位置姿勢検出手段からの第1の観察手段および/または第2の観察手段の位置姿勢情報に基づいて画像記録手段に対して観察像の記録状態の変更を指示するようにしたので、第1の観察手段および/または第2の観察手段の位置姿勢に応じて観察像の記録状態を変更することが可能になる。
【0122】
従って、以上説明したように、本発明によれば、手術用顕微鏡と内視鏡等の観察系を使用して手術を行う場合に、術者による観察画像の記録開始/記録停止操作を一切必要とせずに円滑な手術進行が行え、手術後の検討に必要でかつ最小限の画像を保存する手術画像記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の手術画像記録装置による第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1のビデオミキサ3が持っている複数の表示モード0,1を示す図である。
【図3】図3は、モデルデータ座標系mの特徴点データの座標値と、これに対応するセンシングプレート5bで規定される患者座標系pの患者6上の特徴点の座標値を計測し、座標変換行列pHmを算出することにより、患者6の術部データと患者6自身の関連付けを示す図である。
【図4】図4は、患者6の頭部に取り付けた患者座標系pのセンシングプレート5bから内視鏡2に取り付けられた内視鏡座標系eのセンシングプレート5cへの座標変換行列pHeの算出を説明する図である。
【図5】図5は、図1の画像制御コントローラ7の処理を説明するためののフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の手術画像記録装置による第2の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、図6の画像制御コントローラ7の処理を説明するためののフローチャートである。
【符号の説明】
1…手術用顕微鏡(第1の観察手段)、
2…内視鏡(第2の観察手段)、
1a…顕微鏡光学系、
1b…顕微鏡カメラ、
1c…顕微鏡カメラコントロールユニット(CCU)、
2a…内視鏡光学系、
2b…内視鏡カメラ、
2c…内視鏡CCU、
3…ビデオミキサ、
4…液晶ディスプレイ、
5…位置姿勢センサ(位置姿勢検出手段)、
5a…赤外線LED、
5b…センシングプレー卜、
5c…センシングプレー卜、
6…患者、
5d…センサアセンブリ、
5e…センサコントローラ、
7…画像制御コントローラ(記録状態変更指示手段)、
8…顕微鏡VTR、
9…内視鏡VTR。
Claims (2)
- 術部を観察するための観察手段と、
前記観察手段の観察画像を記録する画像記録手段と、
を備えた手術画像記録装置において、
前記観察手段の位置姿勢を検出する位置姿勢検出手段と、
前記術部の位置姿勢を検出する術部位置姿勢検出手段と、
前記位置姿勢検出手段からの前記観察手段の位置姿勢情報と前記術部位置姿勢検出手段からの前記術部の位置姿勢情報とに基づいて、前記観察手段と前記術部との相対的な距離および/または方向を判定し、その判定結果に従って、前記画像記録手段に記録開始または記録停止を指示する記録状態変更指示手段と、
を具備したことを特徴とする手術画像記録装置。 - 術部を観察するための第1の観察手段と、
この第1の観察手段とは別個に設けられ、前記術部および/またはその近辺を観察するための第2の観察手段と、
前記第1の観察手段の観察画像を記録する第1の画像記録手段と、
前記第2の観察手段の観察画像を記録する第2の画像記録手段と、
を備えた手術画像記録装置において、
前記第1の観察手段および前記第2の観察手段の位置姿勢を検出する位置姿勢検出手段と、
前記術部の位置姿勢を検出する術部位置姿勢検出手段と、
前記位置姿勢検出手段からの前記第1の観察手段および前記第2の観察手段の位置姿勢情報と前記術部位置姿勢検出手段からの前記術部の位置姿勢情報とに基づいて、前記第1の観察手段および前記第2の観察手段と前記術部との相対的な距離および/または方向を判定し、その判定結果に従って、前記第1の画像記録手段および前記第2の画像記録手段に相反的に記録開始および記録停止を指示する記録状態変更指示手段と、
を具備することを特徴とする手術画像記録装置。
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