JP4503264B2 - インデューサ及びポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、インデューサ及びポンプに係り、特にポンプの吸込性能を向上させるために、回転軸心が主羽根車の回転軸心と一致するように主羽根車の上流側に配置されるインデューサ及び該インデューサを備えたポンプに関するものである。
ポンプを低い吸込圧で運転したり、定格よりも大きな流量で運転すると、ポンプ流路内において液体の圧力が局所的に飽和蒸気圧以下になり、ポンプ羽根車(以下、主羽根車という)の流路内にキャビテーションが発生する場合がある。主羽根車の流路内にキャビテーションが発生すると、流路がキャビテーション気泡によって閉塞され、ポンプが昇圧不能に陥ることがある。
ポンプの入口における全圧と飽和蒸気圧との差はポンプのキャビテーション発生に対する余裕を表し、この圧力差をNPSH(Net Positive Suction Head:有効吸込ヘッド)という。このNPSHによってポンプの吸込性能が評価され、より低いNPSHでも昇圧性能があるポンプは吸込性能が高いとされる。ポンプの吸込性能が高いとポンプの高速運転が可能になり、ポンプの小型化が可能になる。
従来から、ポンプの吸込性能を向上させるため、主軸の先端部にインデューサを取り付ける場合がある。このインデューサは主羽根車の上流側に主羽根車と回転軸心が同じになるように配置され、主軸を介して主羽根車と同じ回転速度で回転される。インデューサは、複数の翼を有する斜流型または軸流型の羽根車であり、主羽根車に比べて翼の枚数が少なく、翼長さが長いという形状的特徴を有している。
このような形状的特徴のため、翼の入口上流で液体の圧力が低下してキャビテーションが発生した場合でも、インデューサの流路は閉塞されにくく液体を昇圧することができる。このため、インデューサを主羽根車の上流側に配置することにより、主羽根車単独の場合に比べてポンプの吸込性能を向上させることができ、ポンプの高速化及び小型化が可能になる。インデューサ付きポンプの吸込性能は、インデューサの吸込性能及び昇圧性能が高いほど大きくなる。
図1(a)及び図1(b)に3枚の翼を有する従来のインデューサを示す。図1(a)及び図1(b)に示すように、ヘリカル形状(らせん形状)の3枚の翼11−1,11−2,11−3(以下、総称するときは翼11という)は、円筒状もしくは円柱状の軸部5の外周面に固定されている。これらの翼11の翼に沿った長さはすべて等しく構成されている。一般に、インデューサは高い吸込性能を達成するように設計されるため、インデューサの翼枚数はできるだけ少なくすることが好ましい。1枚翼のみを有するインデューサは回転バランスの問題があるため、通常のインデューサの翼枚数は2枚から5枚である。また、偶数の翼枚数のインデューサでは、交互翼キャビテーションが発生する可能性があるため、一般的には3枚翼のインデューサが好ましいとされている。このような従来インデューサの翼枚数に関する一般的な設計指針は非特許文献1に記載されている。
一般的にインデューサの昇圧性能は、インデューサの翼枚数が多いほど高くなる。一方、インデューサの吸込性能は翼枚数が少ないほど高くなるので、インデューサの昇圧性能と吸込性能とは二律背反の関係にある。ポンプの仕様により、インデューサに高い吸込性能と高い昇圧性能が同時に要求される場合は、中間翼付きのインデューサが用いられることがある。
中間翼付きのインデューサは、通常長さの翼(全翼)の間に形成される流路に全翼よりも長さの短い中間翼を配置したものである。中間翼の後縁は、子午面において全翼と同じ位置にあるが、中間翼の前縁は全翼の前縁よりも下流側に位置している。従って、中間翼付きのインデューサは、入口で翼枚数が少なく出口で翼枚数が多くなるという特徴を有している。これにより中間翼付きのインデューサは、全翼だけのインデューサに比べて入口の流路が広くキャビテーション気泡によって閉塞されにくいことから高い吸込性能を有している。さらに、中間翼付きのインデューサは出口の翼枚数が多いことから高い昇圧性能を有している。非特許文献2には、中間翼付きのポンプ羽根車は中間翼を用いないポンプ羽根車よりも高い吸込性能を有することが示されている。
中間翼付きのポンプ羽根車の他の例として、特許文献3には、全翼1枚+中間翼1枚の汚水ポンプ用の羽根車が開示されている。回転軸に垂直な平面に羽根車を投影してみたとき、中間翼(副羽根)の後縁は、全翼(主羽根)の後縁の回転軸を中心とした対称位置よりも回転方向にずれた位置にある。この汚水ポンプ用の羽根車は、汚物による入口の閉塞を防ぐため入口の翼枚数を1枚に、ポンプ効率を実用上十分な値にするため出口の翼枚数を2枚にしたものである。これらの中間翼及び全翼の重心はいずれも回転軸心から離れているために、中間翼及び全翼だけでは回転バランスをとることができない。
NASA SP−8052、Liquid Rocket Engine Turbopump Inducers、NASA SPACE VEHICLE DESIGN CRITERIA、米国、NASA(National Aeronautics and Space Administration) 、1997年5月 Kosuke ASHIHARA and Akira GOTO、STUDY ON PUMP IMPELLER WITH SPLITTER BLADES DESIGNED BY 3-D INVERSE DESIGN METHOD、FEDSM2000-11073、米国、ASME、2000年6月 特開2001-289193号公報
高い吸込性能を達成できるインデューサとして全翼2枚タイプのインデューサが考えられる。しかしながら、このタイプのインデューサは入口の翼枚数が少ないことから高い吸込性能が期待できるが、出口の翼枚数も少ないことから昇圧性能は低くなる。一方、高い吸込性能と高い昇圧性能が期待できる中間翼付きのインデューサは、その形状的特徴から翼枚数が必ず偶数になり、その最小翼枚数は実際のポンプに使用されるインデューサにおいては全翼2枚+中間翼2枚の合計4枚である。
図2(a)及び図2(b)に、全翼2枚及び中間翼2枚を有する従来の中間翼付きのインデューサを示す。図2(a)及び図2(b)に示すように、中間翼12−1,12−2(以下、総称するときは中間翼12という)は、全翼11−1,11−2(以下、総称するときは全翼11という)との間に形成された流路の回転軸周方向における中央にそれぞれ位置し、中間翼12の長さは全翼11の長さの半分である。子午面における中間翼12の後縁12−1bの位置は全翼11の後縁11−1b,11−2bと同じであるが、中間翼12の前縁12−1a,12−2aの位置は全翼11の前縁11−1a,11−2aよりも下流側にある。この中間翼付きインデューサは、入口の翼枚数が2枚で出口の翼枚数が4枚なので入口が広く、従って高い吸込性能が達成でき、かつ高い昇圧性能を達成することができる。
この全翼2枚+中間翼2枚のインデューサよりもさらなる吸込性能を向上させるためは、入口の翼枚数を減らして流路の入口を拡大することが必要となる。このような広い流路入口を有するインデューサとして、全翼1枚+中間翼1枚のタイプのインデューサが考えられる。しかしながら、このタイプのインデューサの場合、翼全体の重心が回転軸心上にないため回転のアンバランスが生じ、ポンプの運転が困難になる。
このような観点から、高い吸込性能と高い昇圧性能を達成するために、
(1)入口の翼枚数は出来るだけ少なく、
(2)出口の翼枚数は出来るだけ多く、
(3)翼の重心が回転軸上にあり回転アンバランスを生じない、
ような新しい構成を持つインデューサが望まれている。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、入口の翼枚数が1枚、出口の翼枚数が3枚で、かつ翼全体の重心が回転軸上にあり回転アンバランスを生じない、吸込性能及び昇圧性能ともに優れたインデューサ及びこのようなインデューサを備えたポンプを提供することを目的とする。
上記の従来技術における問題点を解決するために、本発明は、主羽根車の上流側に配置されるインデューサにおいて、翼に沿った長さが互いに異なる3枚の翼を備え、前記3枚の翼の前縁の子午面における位置が相互に異なることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記3枚の翼の後縁位置は、子午面において互いに同一位置に揃っていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記3枚の翼の後縁は、回転軸心に垂直な平面において、回転軸心を中心として均等に配置されていることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記3枚の翼は、第1の翼、第2の翼、及び第3の翼から構成され、前記第1の翼の後縁からの巻き角度は、230+A〜250+A°であり、前記第2の翼の後縁からの巻き角度は、110+A〜130+A°であり、前記第3の翼の後縁からの巻き角度は、A°である(ただし、Aは、0<Aの条件を満たす定数を表す)ことを特徴とする。
3枚の翼の同じ子午面位置における翼角度や、子午面位置に対する翼角度の分布が互いに異なる場合、3枚の翼の巻き角度を上記の範囲内で調節することにより、3枚の翼全体の重心を回転軸に一致させることができ、回転バランスをとることができる。
上述した本発明に含まれる一つの例を以下に示す。3枚の翼に関して、翼角度が子午面位置にかかわらず一定で、すべての翼の翼角度が同じ場合においては、
第1の翼の後縁からの巻き角度は、240+A°であり、
第2の翼の後縁からの巻き角度は、120+A°であり、
第3の翼の後縁からの巻き角度は、A°とすることができる。
この関係であれば3枚の翼全体の重心が回転軸心と一致し、回転バランスをとることができる。ここで、Aは3枚の翼に共通な定数であり、0<Aの範囲で任意の値を選択することができる。
本発明のインデューサにおいては、3枚の翼の翼に沿った長さがそれぞれ違うために、入口で翼が1枚、中央で翼が2枚、出口で翼が3枚になっている。さらに、後縁の位置を基準としたそれぞれの翼の巻き角度が上記の関係を満たしている場合、3枚の翼の重心が回転軸上に位置するようになっている。
本発明のインデューサによれば、入口の翼枚数が1枚であるため、第1の翼の入口付近の負圧面にキャビテーション気泡が発生した場合でも、インデューサの入口における負圧面側の流路は、その開口角が360°と広く、インデューサの入口が閉塞されにくい。ここで、開口角とは回転軸を中心とした流路断面の中心角をいい、隣接する翼同士の間隔の大きさを表す。第1の翼の昇圧作用があるため、第2の翼の負圧面に生じるキャビテーション気泡は第1の翼より小さく、かつ負圧面側の流路もその開口角が240°と広いためキャビテーション気泡によって閉塞されにくい。第3の翼では、負圧面側の流路の開口角は120°であるが、第1の翼と第2の翼との昇圧作用により第3の翼に発生するキャビテーション気泡はさらに小さいため閉塞の可能性は低い。
このように、上記構成を持つ本発明のインデューサは高い吸込性能を持ち、かつ、インデューサ出口の翼枚数は3枚なので実用上十分に高い昇圧性能を持っている。また、3枚の翼全体の重心が回転軸上にあることから回転アンバランスの問題は生じない。従って、上記構成を持つインデューサは、高い吸込性能、高い昇圧性能、回転アンバランスが無い、という特徴を持つ。
本発明の他の態様は、ケーシングに収容される主羽根車と、前記主羽根車が固定される主軸と、上記インデューサとを備えることを特徴とするポンプである。
上述したインデューサは高い吸込性能及び高い昇圧性能を有しているため、このインデューサを備えるポンプの吸込性能を向上させることができる。したがって、ポンプの高速化及び小型化が可能になる。
また、別の観点からみれば、本発明は、インデューサの翼枚数に関する背反命題を解決したものと言うことができる。つまり、キャビテーション気泡による流路の閉塞を回避して高い吸込性能を達成するという点からは、インデューサ翼枚数は減少すべきだが、高い圧力性能を達成するという点からは翼枚数は増加すべきである。本発明は、このような背反命題を、単に両性能の妥協ということではなく、相互に長さの異なる3枚の翼を用いることにより、極めて高い効果をもって良好に解決することができる。
なお、本発明において、各翼の後縁の子午面における位置は互いに同一位置に揃っていることが好ましいが、各翼後縁の相互の位置のずれが、本発明の目的である優れた吸込性能及び昇圧性能に直ちに影響を与えるわけではない。
上述したように、本発明のインデューサは高い吸込性能と高い昇圧性能を持ち、かつ回転のアンバランスを起こさない。従って、本発明のインデューサを主羽根車の上流側に配置した構成のポンプでは、従来のポンプにくらべ高い吸込性能を発揮することができ、ポンプの高速化及び小型化に貢献することができる。
以下、本発明に係るインデューサ及び該インデューサを備えたポンプについて図面を参照して説明する。
図3は本発明のインデューサを備えたポンプを模式的に示す断面図である。
図3に示すように、ポンプは、ケーシング6内に収容された主羽根車(ポンプ羽根車)7と、本発明に係るインデューサ8と、主羽根車7及びインデューサ8が固定される主軸9とを備えている。主羽根車7の上流側及び下流側には、昇圧された流体が高圧側から低圧側に漏洩することを防止するためのシール部材10A,10Bがそれぞれ設けられている。
インデューサ8は、その回転軸心(主軸9の中心軸)が主羽根車7と同じになるように主羽根車7の上流に配置され、図示しない駆動源により主軸9を介して主羽根車7と同じ回転速度で回転する。流体は吸込口6aより流入し、キャビテーションを発生しながらインデューサ8で昇圧され、さらに主羽根車7でポンプの要求揚程が得られる程度にまで昇圧される。このとき主羽根車7の中ではキャビテーションが発生しない圧力まで、インデューサ8が流体を昇圧しているため、ポンプの吸込性能は主羽根車7単独の場合よりも向上する。
図4(a)乃至図4(c)に本発明の一実施形態に係るインデューサを詳細に示す。図4(a)は本発明の一実施形態に係るインデューサの側面図であり、図4(b)は本発明の一実施形態に係るインデューサの斜視図であり、図4(c)は本発明の一実施形態に係るインデューサの別の斜視図である。図5は本発明の一実施形態に係るインデューサの子午面における第1の翼、第2の翼、及び第3の翼を示す模式図である。
図4(a)乃至図4(c)に示すように、この実施形態におけるインデューサは、円筒状の軸部5と、この軸部5の外周面に固定された3枚の翼1とを備えている。3枚の翼1は、第1の翼1−1と、第2の翼1−2と、第3の翼1−3(以下、総称するときは翼1という)とから構成されている。図5に示すように、第1の翼1−1、第2の翼1−2、及び第3の翼1−3の長さは互いに異なっており、これらの翼1の前縁1−1a,1−2a,1−3aの子午面における位置は相互に異なっている。また、子午面における翼1の後縁1−1b,1−2b,1−3bは、同一の位置にある。
図4(c)に示すように、回転軸に垂直な平面においては、インデューサ出口における3枚の翼1の後縁1−1b〜3bは、回転軸心を中心として120°の間隔をもって均等な位置にある。また、3枚の翼1の後縁1−1b〜3bからの巻き角度は、それぞれ次のように設定される。
第1の翼1−1:240+A°
第2の翼1−2:120+A°
第3の翼1−3:A°
ただし、Aは3枚の翼1に共通な定数であり、0よりも大きい数値を表す。ここで、巻き角度とは、後縁から前縁までの回転軸を中心とする翼の中心角をいう。なお、第1の翼1−1の巻き角度は230+A〜250+A°であれればよく、また、第2の翼1−2の巻き角度は110+A〜130+A°であればよい。
図6(a)は本発明の一実施形態に係る第1の翼を示す斜視図であり、図6(b)は第1の翼を示す平面図である。図7(a)は本発明の一実施形態に係る第2の翼を示す斜視図であり、図7(b)は第2の翼を示す平面図である。図8(a)は本発明の一実施形態に係る第3の翼を示す斜視図であり、図8(b)は第3の翼を示す平面図である。
図6(b)、図7(b)、及び図8(b)に示すように、本実施形態では、上記定数Aは120としており、3枚の翼1の後縁1−1b〜3bからの巻き角度は、それぞれ次のように設定されている。
第1の翼1−1:360°
第2の翼1−2:240°
第3の翼1−3:120°
このような配置により、本実施形態のインデューサは、入口において翼1枚、中央において翼2枚、出口において翼3枚の構成になっている。
上述した定数Aは、好ましくは60≦A≦180である。A<60であると、第3の翼1−3の長さが短すぎて昇圧性能が期待できない。一方、180<Aであると、3枚翼の間にそれぞれ形成される流路が長くなりすぎ、流体の抵抗が増えて昇圧性能が低下する。
図7(b)及び図8(b)に示すように、第2の翼1−2の巻き角度は240°、第3の翼1−3の巻き角度は120°であり、第2の翼1−2と第3の翼1−3のそれぞれの後縁1−2b,1−3bの位置は互いに120°ずれている。このことから、第2の翼1−2と第3の翼1−3との巻き角度の合計は、第1の翼1−1の巻き角度360°と同じになり、第2の翼1−2と第3の翼1−3とを組み合わせたときの重心は回転軸心上に位置する。第1の翼1−1の巻き角度は360°なので重心は回転軸上にあることから、第1の翼1−1、第2の翼1−2、及び第3の翼1−3の全体としての重心も回転軸上にあることになる。従って、本実施形態に係るインデューサの回転のバランスはとれている。このように、それぞれの翼1の前縁1−1a〜3aは互いに120°ずれていることから、それぞれの翼1において同じ巻き角度だけ増減しても翼1全体の重心は回転軸上にある。よって、上述した定数Aを任意の値としても、翼1全体の重心は回転軸上に位置することになり回転バランスをとることができる。
以下、図9乃至図11に、本発明の一実施形態に係るインデューサ及び従来のインデューサのキャビテーション発生状態を示す。なお、図9乃至図11は、インデューサの翼を展開したものである。図9乃至図11においては、流路を分かりやすく表現するために1枚目の翼(第1の翼)を左右両側に重複して描いてあるが、実際には1枚目の翼は1つである。
図9は3枚の全翼を有する図1に示す従来のインデューサのキャビテーション発生状態を示す模式図である。このタイプのインデューサでは、翼と隣の翼との間には開口角120°に対応した大きさの間隔が形成されている。ここでは、開口角とは回転軸心を中心とした流路断面の中心角をいい、隣接する翼同士の間隔の大きさを表す。入口上流の圧力が下がると、入口付近の翼11−1〜3の負圧面にキャビテーション気泡20が生じる。ある程度の大きさのキャビテーション気泡20が生じると、流路は閉塞される。なお、昇圧性能に関しては、出口の翼枚数は3枚なので、このタイプのインデューサは、全翼2枚タイプのインデューサより高い昇圧性能を持つ。
図10は2枚の全翼及び2枚の中間翼を有する図2に示す従来のインデューサのキャビテーション発生状態を示す模式図である。このタイプのインデューサの入口における翼枚数は2枚なので、全翼11−1と隣の全翼11−2との間には、開口角180°に対応した大きさの間隔が形成されている。従って、入口付近において全翼11の負圧面にキャビテーション気泡20が発生しても、図9に示すインデューサ(全翼3枚タイプ)よりは流路が広いため閉塞されにくい。入口付近において中間翼12の負圧面に発生するキャビテーション気泡30の大きさは、全翼11による昇圧作用があるため、全翼11の負圧面に発生するキャビテーション気泡20の大きさよりは小さい。しかし、隣接する中間翼12と全翼11との間の開口角は90°であり、中間翼12の負圧面側の流路は比較的狭い。このため、中間翼12の負圧面に生じるキャビテーション気泡30がある程度大きいと、中間翼12の負圧側の流路が閉塞されやすい。なお、昇圧性能に関しては、出口における翼枚数は4枚なので、図10に示すインデューサは図9に示すインデューサ(全第3の翼枚タイプ)より高い昇圧性能を持つ。
図11は本発明の一実施形態に係るインデューサのキャビテーション発生状態を示す模式図である。図11に示すように、本実施形態に係るインデューサの入口の翼枚数は1枚なので、入口においては開口角が360°である。従って、入口付近における第1の翼(全翼)1−1の負圧面にキャビテーション気泡20が発生しても、流路が極めて広いため閉塞されにくい。第2の翼1−2の入口付近における負圧面に発生するキャビテーション気泡30の大きさは、第1の翼1−1による昇圧作用のため、第1の翼1−1の負圧面に発生するキャビテーション気泡20よりは小さい。しかも、第2の翼1−2の負圧面側の流路は、隣の第1の翼1−1との開口角が240°と比較的大きいため、この流路も非常に閉塞されにくい。
第3の翼1−3の入口付近における負圧面に発生するキャビテーション気泡40の大きさは、第1の翼1−1と第2の翼1−2による昇圧作用があるため第2の翼1−2の負圧面に生じるキャビテーション気泡30より小さくなる。しかも、第2の翼1−2の負圧面側の流路は、隣の第1の翼1−1との開口角が120°と大きいため、この流路も閉塞されにくい。なお、昇圧性能に関しても、出口における翼枚数は3枚なので、本実施形態に係るインデューサは図9に示すインデューサ(全翼3枚タイプ)と同等の高い昇圧性能を持つ。上記構成によれば、本発明のインデューサは高い吸込性能と高い昇圧性能を持ち、かつ回転のアンバランスを起こさない。
なお、上記の実施形態では、3枚の翼1の回転軸に対する取り付け位置が、回転軸の周方向において互いに均等である。即ち、3枚の翼1の後縁1−1b〜3bは、回転軸心に垂直な平面において、回転軸心を中心とする中心角として互いに120°の角度を隔てて均等に配置されており、かつ、子午面において3枚の翼1の後縁1−1b〜3bの位置が同じになるように取り付けられる。しかしながら、上述したように、本発明は互いに長さの異なる3枚の翼を備え、かつこれらの翼の前縁1−1a〜3aの子午面における位置を互いに相違させたことが本質であるから、各翼1の後縁1−1b〜3bが回転軸心の周りに必ずしも120°の間隔で均等に取り付けていなくても良いし、また、子午面において後縁1−1b〜3bの位置が揃っていなくても良い。ただ、3枚の長さの異なる翼の回転のバランスが確実にとれ、本発明の効果を最も良好に発揮できるのは、上記実施形態に示したインデューサなのである。
図1(a)は3枚の翼を有する従来のインデューサを示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)に示すインデューサの側面図である。 図2(a)は全翼2枚及び中間翼2枚を有する従来の中間翼付きのインデューサを示す斜視図であり、図2(b)は図2(a)に示すインデューサの側面図である。 本発明の一実施形態に係るインデューサを備えたポンプを模式的に示す断面図である。 図4(a)は本発明の一実施形態に係るインデューサを示す側面図であり、図4(b)は本発明の一実施形態に係るインデューサの斜視図であり、図4(c)は本発明の一実施形態に係るインデューサの別の斜視図である。 本発明の一実施形態に係るインデューサの子午面における第1の翼、第2の翼、及び第3の翼を示す模式図である。 図6(a)は本発明の一実施形態に係る第1の翼を示す斜視図であり、図6(b)は第1の翼を示す平面図である。 図7(a)は本発明の一実施形態に係る第2の翼を示す斜視図であり、図7(b)は第2の翼を示す平面図である。 図8(a)は本発明の一実施形態に係る第3の翼を示す斜視図であり、図8(b)は第3の翼を示す平面図である。 3枚の全翼を持つ従来のインデューサのキャビテーション発生状態を示す模式図である。 2枚の全翼及び2枚の中間翼を有する従来のインデューサのキャビテーション発生状態を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るインデューサのキャビテーション発生状態を示す模式図である。
符号の説明
1−1 第1の翼
1−2 第2の翼
1−3 第3の翼
5 軸部
6 ケーシング
7 主羽根車
8 インデューサ
9 主軸
10A,10B シール部
11 全翼
12 中間翼
20,30,40 キャビテーション気泡

Claims (5)

  1. 主羽根車の上流側に配置されるインデューサにおいて、
    翼に沿った長さが互いに異なる3枚の翼を備え、前記3枚の翼の前縁の子午面における位置が相互に異なることを特徴とするインデューサ。
  2. 前記3枚の翼の後縁位置は、子午面において互いに同一位置に揃っていることを特徴とする請求項1に記載のインデューサ。
  3. 前記3枚の翼の後縁は、回転軸心に垂直な平面において、回転軸心を中心として均等に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のインデューサ。
  4. 前記3枚の翼は、第1の翼、第2の翼、及び第3の翼から構成され、
    前記第1の翼の後縁からの巻き角度は、230+A〜250+A°であり、
    前記第2の翼の後縁からの巻き角度は、110+A〜130+A°であり、
    前記第3の翼の後縁からの巻き角度は、A°である
    (ただし、Aは、0<Aの条件を満たす定数を表す)
    ことを特徴とする請求項3に記載のインデューサ。
  5. ケーシングに収容される主羽根車と、
    前記主羽根車が固定される主軸と、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインデューサとを備えることを特徴とするポンプ。
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