JP4502658B2 - 厨房用空気処理装置 - Google Patents

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本発明は、レストランなどの厨房に設置されて食材の調理を行う調理手段から発生する排気を処理するための厨房用空気処理装置に関するものである。
従来よりホテルやレストラン、ファーストフード店などの厨房では、フライヤーやグリドルなどの調理器により食材の調理が行われている。これら調理器からは水分や臭いを多く含んだ蒸気或いは湯気(以下、排気と云う)が立ち上り、或いは、飛散するものであるが、従来ではフードを調理器の上方に配置し、調理器から生じる排気を送風機によりフード内に収集して外部に排出していた(例えば、特許文献1参照。)。そして、外部より給気を行って厨房内を換気し、作業者の作業環境維持を図っていた。
しかしながら、特にビル地下街などに出店するレストランやファーストフード店では調理器から出る排気を外部に排出することが建物の構造上困難となる場合もあり、係る場合には厨房内に湿気や臭いが充満し、作業環境が劣悪化する問題があった。
そこで、従来では調理器から発生する排気中の水分を除去するための除湿手段を備えた厨房用空気処理装置が開発されている。この厨房用空気処理装置は、調理器の上方に設置され、調理器からの排気を除湿手段を構成する冷却器に送給し、除湿処理した後の排気を厨房内に排出するものである。
特開平8−94140号公報
上述した如き従来の厨房用空気処理装置は、除湿手段として圧縮機、凝縮器、減圧装置及び冷却器を順次環状に配管接続して冷媒回路が構成された冷却装置が用いられており、排気中の水分の除湿を行う冷却器の能力は圧縮機の能力に依存している。そのため、製造コストやランニングコストの面からもより小型の圧縮機によってより大きな冷却能力、即ち除湿能力を得ることが望まれている。
本発明の厨房用空気処理装置は、厨房において食材を調理する調理手段から発生する排気を処理するものであって、圧縮機、凝縮器、加熱器、減圧装置及び冷却器を順次環状に配管接続して冷媒回路が構成された冷却装置と、調理手段の上方に構成され、調理手段からの排気が流入する空気処理用ダクトと、凝縮器の冷媒出口と加熱器の冷媒入口との間に順次設けられた受液器及び冷媒回収用電磁弁と、冷却器の冷媒出口と圧縮機の吸込側との間に設けられ、当該圧縮機から冷却器への冷媒の逆流を阻止する弁装置と、冷却器、及び/又は、加熱器を湯により洗浄する湯洗浄機構とを備え、冷却器及び加熱器を空気処理用ダクト内に配設し、送風手段により調理手段からの排気を冷却器から加熱器へと順次流すと共に、制御装置により、湯洗浄機構が動作する前に、冷媒回収用電磁弁を閉じた状態で圧縮機を運転するポンプダウン運転を実行するものである。
本発明によれば、厨房において食材を調理する調理手段から発生する排気を処理する厨房用空気処理装置において、圧縮機、凝縮器、加熱器、減圧装置及び冷却器を順次環状に配管接続して冷媒回路が構成された冷却装置と、調理手段の上方に構成され、調理手段からの排気が流入する空気処理用ダクトとを備え、冷却器及び加熱器を空気処理用ダクト内に配設し、送風手段により調理手段からの排気を冷却器から加熱器へと順次流すことにより、調理手段からの排気を冷却器により除湿冷却することができると共に、冷却器によって冷却された排気によって、凝縮器で放熱した後の加熱器内の高圧液冷媒又は、気液混合冷媒を冷却し、過冷却状態とすることができるようになる。これにより、限られた凝縮器の能力であっても、冷却器の冷却能力の増大を図ることができるようになる。
また、凝縮器の冷媒出口と加熱器の冷媒入口との間に受液器及び冷媒回収用電磁弁を順次設けると共に、冷却器の冷媒出口と圧縮機の吸込側との間に圧縮機から冷却器への冷媒の逆流を阻止する弁装置を設け、制御装置により、冷媒回収用電磁弁を閉じた状態で圧縮機を運転するポンプダウン運転を実行することにより、冷媒回収用電磁弁より下流側の冷媒配管や加熱器や前記弁装置までの冷媒を凝縮器や受液器内等に回収することが可能となる。
特に、冷却器、及び/又は、加熱器を湯により洗浄する湯洗浄機構を備えており、制御装置は、湯洗浄機構が動作する前に、ポンプダウン運転を実行するので、湯の洗浄に伴う冷却器、及び/又は、加熱器内の冷媒の温度上昇を回避することができ、当該温度上昇に伴う圧力上昇により配管等が破裂する危険を回避することができるようになる。
本発明は、従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、小型の圧縮機によってより大きな除湿能力を発揮することができる厨房用空気処理装置を提供するものである。以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。図1は本発明の厨房用空気処理装置としての空気処理部1を備えた調理装置Sの縦断側面図、図2は湯洗浄機構を備えた図1の調理装置Sの縦断側面図である。
調理装置Sはホテルやレストラン、ファーストフード店などの厨房に設置されるものであり、略縦長矩形状の外装フレーム4に調理手段としてのフライヤー5、詳細は後述する冷却装置6、シロッコファンから成る送風手段としての送風機7、脱臭手段としての脱臭器9などを組み付けて一体的に構成されている。
外装フレーム4の略中央は奥側に凹陥して前面及び左右面が開放した作業領域4Cとされており、この作業領域4Cの上面は中央が高く略湾曲したフード部4Dとされている。そして、前記フライヤー5はこの作業領域4Cの下部に配置されて作業者の腰付近の高さとされている。このフライヤー5は、例えばポテトなどの食材をざるごと収容できる容量を有する上面開口の金属製フライ釜5Aと、このフライ釜5Aに誘導渦電流を流して発熱させ、フライ釜5A内の油を加熱するためのIH加熱装置などから構成されている。また、外装フレーム4の下部には機械室4Aが構成され、この機械室4A内には前記冷却装置6を構成する圧縮機10、凝縮器11や凝縮器用送風機8などが設置されている。尚、圧縮機10、凝縮器用送風機8は、詳細は後述する制御装置50に接続されているものとする。
一方、外装フレーム4の上部4B内の上側には、外装フレーム4の背面を形成する背面部4Eと所定間隔を存して断熱箱体12が取り付けられており、この背面部4Eと断熱箱体12との間、及び、該背面部4Eと断熱箱体12の下端から前記機械室4Aにまで渡って形成される背面板4Fとの間には、上方に開放すると共に、前記機械室4A内と連通する一連の背面ダクト15が形成されている。このため、機械室4A内の廃熱は、背面ダクト15を上昇して、調理装置Sの上方から外部に排出することができるようになる。また、調理装置Sの上方から排出された廃熱は、通常、厨房の天井面などに設けられる一般換気口より厨房外に排出することができる。
断熱箱体12は、前方及び下方に開口していると共に、この断熱箱体12内には、該断熱箱体12内を前後に区画する仕切板16が設けられている。これにより、該仕切板16の後方には、除湿用ダクト17が形成されると共に、仕切板16の前方には、脱臭用ダクト18が形成され、これら除湿用ダクト17及び脱臭用ダクト18により空気処理用ダクトが構成される。尚、この仕切板16は、断熱箱体12の上部において除湿用ダクト17と脱臭用ダクト18が連通するように開放して形成されているものとする。
そして、この断熱箱体12内後部即ち、除湿用ダクト17の下側には、前記冷却装置6の冷媒サイクルを構成するフィンチューブタイプの冷却器13が収納設置され、その上側にはこれも冷却装置6の冷媒サイクルを構成するフィンチューブタイプの加熱器14が収納設置されている。尚、冷却器13の下方には、断熱箱体12の下奥部に位置してドレン受け32が設けられており、このドレン受け32には、該ドレン受け32に受容された水を外部に排出するためのドレンホース33が接続されている。
そして、加熱器14の上側の断熱箱体12内には、除湿用ダクト17内の排気を脱臭用ダクト18内に送給するための前記送風機7が収納設置されている。尚、この送風機7は、前記制御装置50に接続されているものとする。また、断熱箱体12内の前側、即ち、脱臭用ダクト18内には前記脱臭器9が収納設置されている。この脱臭器9は例えば、複数のハニカム状に成型された多孔質の例えば活性炭を含有する脱臭フィルタ9Aなどから構成されており、各脱臭フィルタ9Aは、それぞれ前方から抜き差し可能とされており、各脱臭フィルタ9Aが独立して交換可能とされているものとする。
また、この断熱箱体12の前面には、当該前面開口を開閉自在に密閉するための隔壁22が設けられている。この隔壁22の下部には、断熱箱体12内に形成される脱臭用ダクト18の脱臭器9の下方に対応して排気連通部28が形成されている。
更にまた、この隔壁22の前方には、外装ケース4の上部に位置する空気処理部1の前方を開閉自在に閉塞するための扉2が設けられている。この扉2は、内部中空とされており、当該扉2内に排気ダクト25が形成されている。そして、この扉2の前面上部には、排気口26が複数形成されていると共に、扉2の後面下部には、前記隔壁22の排気連通部28を介して断熱箱体12内の排気を排気ダクト25内に流入若しくは、吸い込むための吸込口27が形成されている。尚、このとき、扉2の後面若しくは、隔壁22の前面には、全周囲に渡ってシール部材としてのパッキン29が設けられていると共に、扉2が閉じた状態で、吸込口27の周縁部及び排気連通部28の周縁部とを密閉するためのパッキン30が設けられている。
これにより、脱臭用ダクト18内の脱臭フィルタ9Aを交換する際には、扉2を開放し、隔壁22を開放することにより、断熱箱体12の前方より容易に脱臭フィルタ9Aの交換を行うことができる。そのため、脱臭フィルタ9Aのメンテナンス作業性が向上し、利便性が良くなる。
一方、作業領域4C上部に位置するフード部4D奥側(フライヤー5の上方奥側)には、吸気口19が形成されて作業領域4Cに臨んでおり、この吸気口19の下方には、前記除湿用ダクト17の前端から後端に位置して前方から後方へ低く傾斜して形成されるグリスフィルタ20が取り付けられている。このグリスフィルタ20はオイルミストを付着除去するために網状を呈している。尚、このグリスフィルタ20の下端には、該グリスフィルタ20に付着したオイル(油分)を受容するための油受け34が設けられているものとする。
そして、吸気口19の上方に対応する位置の除湿用ダクト17の下部であって、前記ドレン受け32の前方には、吸込口21が形成されている。
尚、除湿用ダクト17の吸込口21より空気下流側には、調理装置Sの上方の空気温度を検出するための温度センサ53が設けられており、係る温度センサ53は、前記制御装置50に接続されているものとする。
他方、作業領域4Cのフード部4Dには照明(蛍光灯)38が取り付けられている。この照明38の下方には、該照明38の下面を被覆するように酸化チタン(TiO2)を被覆した透光性の照明カバー39が設けられているものとする。
これにより、照明38が点灯されることにより、照明38から放出されるUVにより照明カバー39の酸化チタンが親水性被膜を形成することができ、当該照明カバー39の表面上に付着した油やホコリ等の汚れを容易に払拭することができるようになる。これにより、掃除作業性が良くなり、利便性が向上する。
尚、図1及び図2中40は断熱箱体12内において吸込口21から冷却器13、加熱器14、送風機7及び脱臭器9と順次経て排気連通部28に至る除湿用ダクト17及び脱臭用ダクト18を構成するためのファンケーシングである。また、図2中41は除湿用ダクト17に配設される冷却器13及び加熱器14を湯により洗浄するための湯洗浄機構を構成するシャワーノズルであり、当該シャワーノズル41は、外部の給湯装置42に接続されている。
次に、図3の冷媒回路図を参照して冷却装置6について説明する。この冷却装置6は、前記圧縮機10と、凝縮器11と、ドライコア43と、受液器44と、冷媒回収用電磁弁45と、前記加熱器14と、膨張弁46と、前記冷却器13と、蒸発圧力調整弁49と、逆止弁47と、アキュームレータ48とを順次環状に配管接続することにより、冷媒配管が構成されている。尚、蒸発圧力調整弁49は、冷却器13における冷媒の蒸発温度を所定値以上、本実施例では−5℃以上に維持するための圧力調整弁であり、外気圧とのベロースによるメカ式により構成されており、当該調整弁の入口圧力が一定の圧力以上となった時点で絞り調整を行うものである。また、逆止弁47は、圧縮機10から冷却器13への冷媒の逆流を阻止する弁装置であると共に、図3中54、55、56及び57は、サービスバルブである。
次に、図4を参照して前記制御装置50について説明する。この制御装置50は、時限手段としてのタイマ51を内蔵した汎用マイクロコンピュータにより構成されている。また、この制御装置50の入力側には、調理装置Sの前面などに設けられるコントロールパネル58と、前記温度センサ53と、冷却器13の温度を検出する冷却器温度センサ59と、外部の火災感知センサなどからの外部入力60が接続されていると共に、出力側には、前記圧縮機10、前記送風機7、前記凝縮器用送風機8、前記冷媒回収用電磁弁45が接続されているものとする。
尚、コントロールパネル58には、電源スイッチ61と、詳細は後述する休憩モードに移行するか否かを切り換える休憩モード選択スイッチ62と、詳細は後述する休憩モードから除湿運転モードに移行するか否かを切り換える自動復帰スイッチ63が設けられている。また、本実施例のように湯洗浄機構が設けられている場合には、制御装置50の出力側に洗浄用給湯電磁弁64が接続されていると共に、コントロールパネル58に湯洗浄スイッチ65が設けられているものとする。
次に冷却装置6の動作を説明する。制御装置50により前記冷却装置6の圧縮機10の運転が開始されると、圧縮機10の吐出側の冷媒配管から吐出された高温高圧のガス冷媒は、凝縮器11に流入し、凝縮液化冷媒、若しくは、液ガス混合冷媒となる。凝縮器11から流出した高圧液化冷媒、若しくは、液ガス混合冷媒は、制御装置50により冷媒回収用電磁弁45が開放されていることから、ドライコア43、受液器44、冷媒回収用電磁弁45を経て加熱器14に流入する。そして、除湿用ダクト17の冷却器13の循環空気下流側に設置された加熱器14に流入した高圧液化冷媒、若しくは、液ガス混合冷媒は、周囲に熱を放出して加熱作用を発揮する。その後、膨張弁46に流入した高圧冷媒は減圧された後、冷却器13に流入する。除湿用ダクト17に設置された冷却器13に流入した冷媒は、蒸発し、周囲から熱を奪って冷却作用を発揮する。そして、冷却器13から出た冷媒は、蒸発圧力調整弁49、逆止弁47、アキュームレータ48を介して圧縮機10に帰還する。
このとき、蒸発圧力調整弁49は、上述したように冷却器13における冷媒の蒸発温度を所定値以上、本実施例では−5℃以上に維持するように、入口圧力が一定の圧力以上となった時点で絞り調整を行う構成とされていることから、外気温度やフライヤー5などの調理手段から除湿用ダクト17内に侵入する熱負荷の変化にかかわらず、冷却器13における冷媒の蒸発温度を所定値以上、本実施例では−5℃以上に維持することができるようになる。これにより、熱負荷の減少によって、冷却器13が過冷却状態となり、除湿用ダクト17内で霜閉塞を生じる不都合を未然に回避することができる。
また、圧縮機10は、制御装置50によって冷却器13に設けられる冷却器温度センサ59の出力に基づき、ON−OFF制御が行われている。そのため、直接検出される冷却器13の温度に基づいて圧縮機10をON−OFF制御することができ、より一層、冷却器13の過冷却状態による除湿用ダクト17内の霜閉塞を抑制することができる。
以上の構成で次に調理装置Sの動作について説明する。制御装置50により前記冷却装置6の圧縮機10及び送風機7が運転されると、上述した如く加熱器14が加熱作用を発揮し、冷却器13が冷却作用を発揮すると共に、調理装置Sの作業空間4Cに生じた排気は、グリスフィルタ20を介して吸込口21から断熱箱体12内の除湿用ダクト17内に吸い込まれ、冷却器13、加熱器14、送風機7、脱臭用ダクト18の脱臭器9、扉2内の排気ダクト15と順次通過して排気口26より調理装置S外に吐出される空気の流通が形成される。
一方、フライヤー5からは湿気(湯気)、オイルミスト及び臭いを大量に含んだ排気が作業領域4Cのフード部4Dに向けて立ち上り、上部奥側の吸気口21に吸い込まれていく。この吸気口21に吸い込まれた排気中のオイルミストは、グリスフィルタ20を通過する過程でそこに付着除去される。尚、グリスフィルタ20に付着したオイル(油分)はグリスフィルタ20の下端に取り付けられたオイル受け34に収集されて廃棄される。
上述の如くグリスフィルタ20を通過した排気は、吸込口21から断熱箱体12の除湿用ダクト17内に吸い込まれ、やがて冷却器13に至る。冷却器13に至った排気はそこを通過する過程で冷却されるので、排気中に含まれる湿気(水分)は露となって冷却器13の表面に付着する。これにより排気は除湿される。尚、冷却器13に付着した排気はドレン受け32により受容されドレンホース33を介して外部に廃棄される。
ここで、冷却器13は、上述した如く蒸発圧力調整弁49及び冷却器13の温度に基づきON−OFF制御される圧縮機10に基づいて所定温度、本実施例では−5℃以下の過冷却状態と成らないように制御されていることから、当該冷却器13の表面に付着した水分によって除湿用ダクト17内に霜閉塞が生じる不都合を未然に回避することができる。これにより、除湿用ダクト17内に安定して調理排気を循環させることができるようになると共に、安定した除湿能力を発揮することができるようになる。
係る冷却器13にて除湿された後の排気は、次に加熱器14に至り、そこを通過する過程で加熱されるので、排気の相対湿度は低下する。ここで、本実施例では、加熱器14内に凝縮器11で放熱した後の高圧液冷媒又は、気液混合冷媒を流入させることから、係る高圧液冷媒又は、気液混合冷媒を冷却器13によって冷却された排気によって、冷却し、過冷却状態とすることができるようになる。これにより、限られた圧縮機10の能力であっても、冷却器13の冷却能力の増大を図ることができるようになる。また、厨房内の温度上昇により凝縮器11の凝縮能力が減少した場合でも、加熱器14が凝縮器11と同様の効果を発揮することにより、圧縮機10からの吐出ガス高圧異常や、温度上昇におけるオイル劣化、異常停止を回避することができるようになる。
そして、加熱器14により相対湿度の低下した排気は、送風機7を経て脱臭用ダクト18内の脱臭器9に至り、脱臭フィルタ9Aを通過する過程で排気中に含まれる臭気成分が吸着される。この脱臭器9を通過した排気は、扉2が閉じた状態で排気連通部28により円滑に排気ダクト25内に送給される。排気ダクト25内に流入した排気は、排気ダクト25内を上昇し、最終的に排気口26より装置Sの外部(厨房内)に吹き出される。
このように、本実施例の調理装置Sでは、フライヤー5からの排気を吸引し、冷却器13で除湿して厨房内に排出する個別式循環換気を行うので、厨房の構造上フライヤー5からの排気を厨房外部に排出できない設置状況であっても、厨房内に湿気が充満することがなくなる。また、フライヤー5から立ち上った湯気に含まれる臭気成分もこのとき除去されるので、この段階でも脱臭される。
そして、排気は脱臭器9が設けられる脱臭用ダクト18に送られるので実施例のようなフライヤー5やグリドルなどで調理を行う場合に生じる臭いをこの脱臭器9により除去することができるようになり、厨房内の作業環境をより一層改善することができるようになる。
また、冷却器13の空気下流側の脱臭器9との間に加熱器14を配置し、冷却器13表面に水分を凝結付着させた後の低温の排気を加熱器14にて加熱するようにしているので、脱臭器9には相対湿度の下がった排気が送給されることになる。これにより、多孔質の活性炭から成る脱臭器9に水分が入り込み、湿気を帯びて脱臭作用が低下する不都合も未然に回避することが可能となる。
本実施例における調理装置Sは、制御装置50により除湿運転モードと休憩モードとが実行される。即ち、除湿運転モードは、上述したように送風機7の運転と冷却装置6の圧縮機10を運転することにより、フライヤー5からの排気を除湿処理するモードであり、休憩モードは、送風機7のみを運転し、冷却装置6の圧縮機10の運転を停止するモードである。
通常、コントロールパネル58の電源スイッチ61がONとされると、制御装置50は、送風機7と圧縮機10の運転を行う除湿運転モードを実行する。しかし、フライヤー5における調理負荷が減少し、除湿用ダクト17内に侵入する熱負荷が減少した場合には、冷却器6における更なる冷却作用を必要としないため、熱負荷がない状態で冷却装置6を運転することは不要なランニングコストの高騰を招くこととなる。
そこで、制御装置50は、除湿運転モード中に冷却器温度センサ59に基づく圧縮機10のON−OFF制御の回数、即ちON−OFFサイクルが所定回数に達した場合に、フライヤー5における調理が行われていないものと判断し、圧縮機10の運転を停止させ、送風機7のみを運転する休憩モードに移行する。これにより、必要以上の圧縮機10の運転を制限することができる省エネ運転を実行することができるようになる。
尚、本実施例において、この除湿運転モードから休憩モードへの制御装置50による移行は、コントロールパネル58に設けられる休憩モード選択スイッチ62によって任意に選択することが可能であるものとする。これにより、使用者の使用状況に応じて休憩モードの有無を選択することができるようになり、利便性が向上する。
また、制御装置50は、休憩モード中に冷却器13の温度上昇はあった場合には、フライヤー5における調理が再開されたものと判断し、冷却器温度センサ59の出力に基づき、圧縮機10の運転をON−OFFする除湿運転モードに復帰する。これにより、休憩モード中にフライヤー5による調理開始によって熱負荷が増加した場合には、使用者により圧縮機10の運転を指示する操作を行うことなく冷却器13による除湿を行うことができるようになる。そのため、煩雑な機器操作を回避することができ、使用性の向上及び円滑な除湿運転を実現することができるようになる。
尚、本実施例において、この休憩モードから除湿運転モードへの復帰は、コントロールパネル58に設けられる自動復帰スイッチ63によって任意に選択することが可能であるものとする。これにより、使用者の使用状況に応じて休憩モードから除湿運転モードへの復帰を選択することができるようになり、利便性が向上する。
次に、空気処理部1の異常な温度上昇又は、火災発生時におけるポンプダウン運転について説明する。制御装置50は、フライヤー5の上方に配置された温度センサ53が所定の高温条件を検出した場合、若しくは、前記外部入力60により火災の発生を報知する所定の入力信号があった場合に、上述した如き凝縮器11の冷媒出口と加熱器14の冷媒入口との間に設けられた冷媒回収用電磁弁45を閉じ、この状態で圧縮機10を強制運転するポンプダウン運転を実行する。このポンプダウン運転によって、冷媒回収用電磁弁45より下流側の冷媒配管や加熱器14や逆止弁47までの冷媒を凝縮器11や受液器44内等に回収することが可能となる。
これにより、通常、外気の流入が伴うことから一定以上の高温とならないフライヤー5の上方が、所定の高温条件を満たす異常事態に陥った場合や、火災の発生を報知する所定の入力信号があった場合に、ポンプダウン運転を実行することで、冷媒回路内の冷媒をフライヤー5からの排気の循環経路、即ち、除湿用ダクト17や脱臭用ダクト18内に配置されない凝縮器11や受液器44に回収することが可能となる。これにより、高圧冷媒ガスによる配管等の破裂を防止することができ、装置の安全性の向上を図ることができるようになる。
また、上記ポンプダウン運転は、制御装置50により一定時間継続して行うことで、冷媒回収を行った後、電源スイッチ61を遮断し、電源スイッチ61が使用者によって再投入されるまで冷媒のポンプダウン状態を維持する冷媒回収用電磁弁45を閉の状態に維持するものとする。
これにより、フライヤー5の上方の高温状態の発生原因が、火災であった場合でも、ポンプダウン運転終了後に、冷媒がフライヤー5からの排気の循環経路、即ち除湿用ダクト17内に配設される加熱器14や冷却器13内に流入する不都合を回避することができるようになる。
尚、本実施例のように加熱器14や冷却器13を湯により洗浄する湯洗浄機構を備えている場合には、制御装置50は、コントロールパネル58の洗浄スイッチ65が操作された際に、洗浄用給湯電磁弁64を開放する前に、上述した如きポンプダウン運転を実行するものとする。これにより、湯の洗浄に伴う加熱器14及び冷却器13内の冷媒の温度上昇を回避することができ、当該温度上昇に伴う圧力上昇により配管等が破裂する危険を回避することができるようになる。
尚、本実施例では、調理手段としてのフライヤー5と空気処理部1とを一体に形成した調理装置Sを例に採りあげて説明したが、これ以外に調理手段とは別に空気処理部1を空気処理装置として構成しても同様の効果を奏するものとする。
また、本実施例では、調理装置Sは、空気処理部1を構成する外装ケース4の上部と調理手段(フライヤー5)を構成する外装ケース4の下部とは、一体に構成されているが、これ以外に搬入時における搬送を容易とするため、上下分離可能に構成しても良いものとする。
尚、上記実施例では調理手段としてフライヤー5を例に採りあげて説明したが、それに限らず、レストランやファーストフード店で使用される各種調理器に本発明は適用可能である。
本発明を適用した調理装置の縦断側面図である。 湯洗浄機構を備えた調理装置の縦断側面図である。 冷却装置の冷媒回路図である。 制御装置の制御ブロック図である。
S 調理装置
1 空気処理部
4 外装フレーム
4C 作業領域
5 フライヤー
6 冷却装置
7 送風機
10 圧縮機
11 凝縮器
13 冷却器
14 加熱器
17 除湿用ダクト
21 吸込口
41 シャワーノズル(湯洗浄機構)
42 給湯装置(湯洗浄機構)
44 受液器
45 冷媒回収用電磁弁
46 膨張弁
47 逆止弁
49 蒸発圧力調整弁
50 制御装置
53 温度センサ
58 コントロールパネル
59 冷却器温度センサ
60 外部入力
61 電源スイッチ
62 休憩モード選択スイッチ
63 自動復帰スイッチ

Claims (1)

  1. 厨房において食材を調理する調理手段から発生する排気を処理する厨房用空気処理装置であって、
    圧縮機、凝縮器、加熱器、減圧装置及び冷却器を順次環状に配管接続して冷媒回路が構成された冷却装置と、
    前記調理手段の上方に構成され、前記調理手段からの排気が流入する空気処理用ダクトと
    前記凝縮器の冷媒出口と前記加熱器の冷媒入口との間に順次設けられた受液器及び冷媒回収用電磁弁と、
    前記冷却器の冷媒出口と前記圧縮機の吸込側との間に設けられ、当該圧縮機から前記冷却器への冷媒の逆流を阻止する弁装置と、
    前記冷却器、及び/又は、前記加熱器を湯により洗浄する湯洗浄機構とを備え、
    前記冷却器及び加熱器を前記空気処理用ダクト内に配設し、送風手段により前記調理手段からの排気を前記冷却器から加熱器へと順次流すと共に、
    制御装置により、前記湯洗浄機構が動作する前に、前記冷媒回収用電磁弁を閉じた状態で前記圧縮機を運転するポンプダウン運転を実行することを特徴とする厨房用空気処理装置。
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