JP4502559B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素センサ、HCセンサ、NOxセンサなど、測定対象となるガス中の被検出成分を検出するためのガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
上述のようなガスセンサとして、被検出成分を検出する検出部が前端に形成された検出素子を、金属製のケーシングの内側に配置した構造のものが知られている。中でも近年は、素子が活性になるまでの時間を短くするという点を重視した、ヒータ内蔵型の板状素子を有するガスセンサが主流となりつつある。このようなガスセンサにおいては、測定雰囲気中に位置する検出部を覆うプロテクタが設けられている。プロテクタの側壁部にはガス流通孔が形成され、排気ガス等の被測定ガスはこのガス流通孔からプロテクタ内に導かれ、検出部と接触する。
【0003】
ところで、板状の検出素子は、筒状のものに比べ熱衝撃性に劣る。つまり、水や油等の付着した場合にはクラックや割れが発生しやすい。そこで、熱衝撃に強い保護層でガス検出面を被覆して保護するのが普通である。他方、検出部を保護するプロテクタに関していえば、被測定ガス中の水滴や油滴あるいは汚れ等に対して、さらにプロテクタの壁部表面や内部空間で凝縮した凝縮水の侵入に対して検出部の保護機能を高めるため、プロテクタを内外2つの筒状部からなる二重構造としたものも多く使用されている。このような二重構造のプロテクタにおいては、内外のプロテクタの側壁部にそれぞれガス入口を形成し、被測定ガスはまず外プロテクタのガス入口を通り、次いで内プロテクタのガス入口を通って検出部に到達する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、検出素子のガス検出面には保護層が形成されているものの、その他の面には配慮がなされていない場合がほとんどである。そのため、凝縮水等が多量に発生するような測定雰囲気におかれる場合、単にプロテクタを2重にしただけでは、検出素子を完全に保護できない恐れがある。検出部全体を保護層で被覆する方法が無いわけではないが非常に面倒であり、製造工程や製造コストの増大を招くので好ましくない。
【0005】
そこで本発明は、素子の構造を変更することなく、比較的簡単な手法により凝縮水等から素子が完全に保護されたガスセンサを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記課題を解決するために本発明のガスセンサは、
検出素子の軸線方向前端側に形成された検出部と、これを覆う形態にて設けられる筒状の内プロテクタと、該内プロテクタの外側に配置される同じく筒状の外プロテクタとを備えたガスセンサにおいて、
前記検出部(D)は、板状の固体電解質体(21)の表面に電極(25)が形成され、該電極(25)を覆う形で保護層(24)が設けられ、かつ裏面側にセラミックヒータ(22)が隣接する構造を有し、
前記外プロテクタ(6a)の側壁部(W1)には、自身の内外に被検出ガスを流通させるためのガス流通孔(63)が形成され、前記内プロテクタ(6b)の側壁部(W3)には、自身内部の検出空間(G2)に前記被検出ガスを導入するためのガス導入孔(60)が形成される一方、
前記固体電解質体(21)の板厚方向における前記保護層(24)のある側を当該ガスセンサ(1)の正面側と定め、
さらに、前記検出部(D)を含み前記軸線(O)方向に垂直であって、かつ前記外プロテクタ(6a)の前記ガス流通孔(63)を横切る断面(HS)において、前記電極(25)と、それを覆う前記保護層(24)との前記板厚方向に垂直な接合境界線(JB)を定め、該接合境界線(JB)を含み、かつ前記軸線(O)と平行な仮想平面にて前記内プロテクタ(6b)の側壁部(W3)を2分割した場合、前記正面側に位置する一方のみに前記ガス導入孔(60)が1つのみ形成されており、
前記ガス導入孔(60)は、その全部が前記検出素子(2)の前端より前記軸線(O)方向後端側に位置するように形成されており、
さらに、前記外プロテクタ(6a)の前記ガス流通孔(63)を横切る断面(HS)が、前記内プロテクタ(6b)の前記ガス導入孔(60)も横切るよう、該ガス導入孔(60)の前記軸線(O)方向における形成位置が定められてなり、かつ、前記外プロテクタ(6a)の前記ガス流通孔(63)と前記内プロテクタ(6b)の前記ガス導入孔(60)とが、周方向にて互いに重ならない位置関係にて形成されてなることを特徴とする。
【0007】
上記本発明は、ガス検出能に方向依存性のあるいわゆるTF(Thich Film)タイプの検出素子と、2重構造のプロテクタとを備えたガスセンサであって、特に、内プロテクタの側壁部に形成すべきガス導入孔の位置を、特定範囲内に定めたものである。具体的にいうと、検出素子の検出部において、ガス検出面である表面側は熱衝撃に強い保護層が設けられているので、内プロテクタに形成するガス導入孔を、なるべくその保護層側に形成するのである。このようにすると、ガス導入孔からみてセラミックヒータ側(保護層と反対側)はブラインドゾーンとなるし、素子の側面は少なくともガス導入孔と正対しなくなる。そうだとすれば、外プロテクタの内周面などで生じた凝縮水、あるいは被検出ガスに含まれる水や油が内プロテクタ内の検出空間に侵入する場合であっても、少なくとも検出部の側面や、セラミックヒータ側の面にそれらが付着することを防止ないし抑制できる。従って、熱衝撃によって検出素子に割れやクラックが生ずるという不具合の無い、耐久性に優れるガスセンサを提供できる。特に、凝縮水等が非常に発生しやすい雰囲気になればなるほど、その効果は顕著である。また、素子の構造を変更する必要もないので、非常に安価に製造できる。
【0008】
なお、側壁部に形成されたガス導入孔からガス検出空間に導入された被検出ガスは、たとえば内プロテクタの前端部に形成されたガス排出孔より外部へ排出されるようにするとよい。また、少なくとも保護層の形成されていない素子の側面がガス導入孔と正対しないようにするとよいので、保護層と電極との界面を基準とすれば設計も容易である。実際には、電極はマイクロメートルオーダーの薄膜形状となるので、保護層と固体電解質体との界面を上記接合境界線とすることもできる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例を参照して説明する。
図1には、この発明のガスセンサの一実施例として、自動車等の排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサ1を示している。この酸素センサはλ型酸素センサと通称されるもので、細長い板状のセラミック素子2(検出素子と同義)が主体金具3に固定された構造を有している。そして、該主体金具3の外周面に形成された取付ネジ部3aにより、前端側の検出部Dが排気管内に位置するように取り付けられ、該排気管内を流れる被測定ガスとしての高温の排気ガスに晒される。なお、本明細書では、主体金具3の中心軸線O(単に軸線Oともいう)方向において検出部Dの突出側を「前方側(あるいは前端側)」、これと反対側を「後方側(あるいは後端側)」として説明を行なう。
【0010】
セラミック素子2は方形状の軸断面を有し、図2(a)に示すように、それぞれ横長板状に形成された酸素濃淡電池素子21と、該酸素濃淡電池素子21を所定の活性化温度に加熱するセラミックヒータ22とが積層されたものとして構成されている。なお、酸素濃淡電池素子21は、ジルコニア等を主体とする酸素イオン伝導性固体電解質により構成されている。他方、セラミックヒータ22は抵抗発熱体を内蔵する公知のものとされる。
【0011】
酸素濃淡電池素子21において多孔質電極25,26には、その長手方向に沿って酸素センサ1の取付基端側に向けて延びる電極リード部25a,26aがそれぞれ一体化されている。このうち、セラミックヒータ22と対向しない側の電極25からの電極リード部25aは、その末端が電極端子部7として使用される。検出部Dにおいては、積層方向の一方側の電極、すなわちガス検出面をなす多孔質電極25を覆う形で保護層24が設けられている。保護層24は、アルミナ等を主体として、熱衝撃性に優れ、酸素分子を容易に透過させるようにした多孔質セラミック層とされている。
【0012】
一方、セラミックヒータ22に対向する側の電極26の電極リード部26aは、図2(c)に示すように、酸素濃淡電池素子21を厚さ方向に横切るビア26bにより反対側の素子面に形成された電極端子部7と接続されている。すなわち、酸素濃淡電池素子21は、両多孔質電極25,26の電極端子部7が電極25側の板面末端に並んで形成される形となっている。上記各電極、電極端子部及びビアは、Pt又はPt合金など、酸素分子解離反応の触媒活性を有した金属粉末のペーストを用いてスクリーン印刷等によりパターン形成し、これを焼成することにより得られるものである。
【0013】
一方、セラミックヒータ22の抵抗発熱体パターン23に通電するためのリード部23a,23aも、図2(d)に示すように、セラミックヒータ22の酸素濃淡電池素子21と対向しない側の板面末端に形成された電極端子部7,7に、それぞれビア23bを介して接続されている。図2(b)は、検出部Dにおける軸線O方向に垂直な断面HSを示している。本図に示すように、酸素濃淡電池素子21とセラミックヒータ22とは、ZrO系セラミックあるいはAl系セラミック等のセラミック層27を介して互いに接合される。そして、酸素濃淡電池素子21は、接合側の多孔質電極(酸素基準側多孔質電極)26が、微小なポンピング電流の印加により酸素基準電極として機能する一方、反対側の多孔質電極25が排気ガスと接触する検出側電極となり、その表面がガス検出面となる。このように、検出部Dは、板状の酸素濃淡電池素子21の表面に多孔質電極25が形成され、該多孔質電極25を覆う形で多孔質セラミックで構成された保護層24が設けられている。そして、酸素濃淡電池素子21の板厚方向に関して、保護層24とは反対側となる裏面側にセラミックヒータ22が隣接する構造となっている。
【0014】
図1に戻りセラミック素子2は、主体金具3の内側に配置された絶縁体4の挿通孔30に挿通され、前端側の検出部Dが、排気管に固定される主体金具3の前端より突出した状態で絶縁体4内に固定される。絶縁体4には、その軸線方向において挿通孔30の後端に一端が連通し、他端が絶縁体4の後端面に開口するとともに軸断面が該挿通孔30よりも大径の空隙部31が形成されている。そして、その空隙部31の内面とセラミック素子2の外面との間は、ガラス(例えば結晶化亜鉛シリカホウ酸系ガラス)を主体に構成される封着材層32により封着されている。
【0015】
絶縁体4と主体金具3との間には、軸線方向に隣接してタルクリング36と加締めリング37とがはめ込まれ、主体金具3の後端側外周部を、加締めリング37を介して絶縁体4側に加締めることにより、絶縁体4と主体金具3とが固定されている。
【0016】
また、外筒18の後端部内側にはセラミックセパレータ16およびグロメット15が嵌め込まれ、これらに続いてそのさらに内方側にコネクタ部13が設けられている。リード線14の後端側はセラミックセパレータ16を貫通して外部に延びている。一方、リード線14の前端側は、コネクタ部13を介して図2に示すセラミック素子2の各電極端子部7に電気的に接続されている。
【0017】
酸素センサ1は、取付ねじ部3aにおいて車両の排気管に固定される。その検出部Dが排気ガスに晒されると、酸素濃淡電池素子21の多孔質電極25(図2)が排気ガスと接触し、酸素濃淡電池素子21には該排気ガス中の酸素濃度に応じた酸素濃淡電池起電力が生じる。この起電力がセンサ出力として取り出される。
【0018】
主体金具3の前端には、セラミック素子2の突出部分、すなわち検出部Dを覆う形態にて筒状の内プロテクタ6bと、該内プロテクタ6bの外側に軸線Oに関して同軸状に配置される同じく筒状の外プロテクタ6aとが固定されている。主体金具3の取付ネジ部3aよりも前端側部分は、少し縮径されて小径部3bが形成されている。プロテクタ6a,6bは、各々の側壁部W1,W3の基端側が互いに重ね合わされる形で、小径部3bにはめ込まれ、周方向に沿ってレーザー溶接部65を形成することにより固着されている。各プロテクタ6a,6bの基端側には、位置合わせマーク(図示せず)が刻まれており、セラミック素子2、内プロテクタ6bおよび外プロテクタ6aの互いの角度位置関係を調整しつつ、嵌合および溶接を行なえるようになっている。プロテクタは、上記のように2重構造とされていることから、検出部Dに対する保護機能に優れる。2重構造を呈する内外のプロテクタ6a,6bは、本発明の要部をなすものであり、以下、詳細に説明する。
【0019】
まず図3は、外プロテクタ6aおよび内プロテクタ6bの拡大半断面図である。外プロテクタ6aの側壁部W1には、軸線Oと交差する向きに被検出ガスを流通させるためのガス流通孔63が形成されている。このガス流通孔63は周方向に複数形成されるものである。外プロテクタ6aは概ね定径の筒状部材であり、筒底をなす前端部W2と、前端部W2の周縁から軸線Oの後方側に延びる形で形成される側壁部W1とによって内部空間G1が形成されている。前端部W2には、軸線Oと孔の重心を略一致させる位置関係で前端部ガス流通孔62が形成されている。内プロテクタ6bは、前方側に進むにつれて側壁部W3が縮径する形となっており、筒底をなす前端部W4には、同じく軸線Oと孔の重心を略一致させる位置関係でガス排出孔61が形成されている。本実施形態では、上記ガス流通孔62およびガス排出孔61は円状に形成されている。
【0020】
また、内プロテクタ6bの側壁部W3には、ガス導入孔60が1つのみ形成されている。このガス導入孔60は、軸線方向における全区間が、検出素子2の軸線方向前端よりも後方側に位置するように形成されている。外プロテクタ6aのガス流通孔63から内部空間G1に導入された被検出ガスは、軸線Oと交差する向きに上記ガス導入孔60を経て検出空間G2へと導かれ、ガス排出孔61より排出される。
【0021】
図4は、検出部Dを含む位置での軸線Oに垂直な断面HSを示している。保護層24がガス導入孔60と正対するようにして、内プロテクタ6bの中心付近に検出部Dが位置している。ここで、検出部Dをなす板状の酸素濃淡電池素子21の板厚方向において、保護層24のある側を酸素センサ1の正面側とする。また、図1にも示すように、本実施形態においては主体金具3の軸線Oと、セラミック素子2の軸線とが略一致する形となっている。なお、厳密にセラミック素子2の軸線を定義するとすれば、たとえば、棒状のセラミック素子2が内接する最小体積の直円筒の中心軸線を、該セラミック素子2の軸線とすることができる。
【0022】
さて、本実施形態に採用される板状のセラミック素子2は、熱衝撃に弱いことを前述した。そこで、プロテクタを2重構造にして検出部Dを凝縮水から保護するわけであるが、本実施形態のようにすれば、保護機能(被水性ともいう)が飛躍的に向上する。具体的には以下のようにする。まず、図4に示した断面HSにおいて、検出部Dの電極25と、それを覆う保護層24との接合境界線JBを定める。接合境界線JBは、酸素濃淡電池素子21の板厚方向と垂直とされる。そして、該接合境界線JBを含み、かつ軸線Oと平行な仮想平面にて内プロテクタ6bの側壁部W3を2分割した場合、正面側に位置する一方のみにガス導入孔60が形成されているようにする。つまり、本断面図中θで示される角度範囲内にガス導入孔60が収まっているのがよい。
【0023】
検出部Dにおいては、保護層24の形成されていない箇所、具体的には各層の側面部と、セラミックヒータ22の形成されている側の面が熱衝撃性に劣る。従って、接合境界線JBよりも正面側にのみ内プロテクタ6bのガス導入孔60を形成すれば、外プロテクタ6aの内周面で生じた凝縮水などが検出空間G2に侵入する場合であっても、少なくとも検出部Dの側面やセラミックヒータ22側の面にそれが付着することを防止ないし抑制できる。なお、電極25はスクリーン印刷等の技術によって形成されるので、その厚さはごく僅かである。従って、接合境界線JBは、実際には、保護層24と酸素濃淡電池素子21との接合境界に概ね等しいと見ることもできる。
【0024】
なお、軸線O方向に関するガス導入孔60の位置についていうと、保護層24の形成されていない位置に孔があるのは望ましくない。従って、ガス導入孔の後端を通る軸線Oと垂直な線分を考えたとき、該線分よりもさらに後方側にも保護層24がある、という構成になっているとよい。あるいは、セラミック素子2の検出面側の全部を保護層24で覆うようにしてもよい。また、断面HSを採択できる位置についていうと、軸線O方向において保護層24が形成されている範囲内での任意位置である。
【0025】
図5は、図4と同様の断面図であり、ガス導入孔60のより望ましい形成領域を説明するものである。まず、図5中θで示される角度範囲内にガス導入孔60が収まっていると、該ガス導入孔60から検出空間G2に水滴や油滴が侵入するような場合であっても、それらはセラミックヒータ22側の面はもちろん、検出部Dを構成する各層の側面にも非常に到達し難い。特に、内プロテクタ6bのごく限られた角度範囲にガス導入孔を設ける本実施形態においては、周方向の全域にわたって孔を設ける場合と比較して、検出空間G2内で検出部Dの周りに生じる旋回流も僅かである。そのため、侵入した霧状の水滴が反対側に回り込むといった現象も効果的に抑制されている。
【0026】
上記したθで示される角度範囲は、図4に示したθに包含される範囲である。具体的には、まず、前述した断面HSにおいて、保護層24を含む検出部Dを包囲可能な最小の長方形状をなす包囲領域WRを定める。本実施形態では、断面HSにおいて検出部Dの外形線自体が包囲領域WRに等しい。次に、包囲領域WRの対角線HL,HLを含み、かつ軸線Oと平行な2つの仮想平面にて内プロテクタ6bの側壁部W3を4分割する。そして、それら4分割された側壁部W3のうち、保護層24と正対する部分のみにガス導入孔60が形成されるようにする。素子の応答速度の低下が懸念される場合は、許容範囲内の複数箇所にガス導入孔60を設けることも可能であるし、孔の大きさによって調整することも可能である。
【0027】
なお、図6の断面模式図に示すように、セラミック素子2は、機械的強度や熱衝撃性を高めるために、焼成後あるいは焼成前に面取り部cfが設けられる場合がある。従って、上記したように包囲領域WRを定めれば、検出部Dの断面形状が長方形でない場合も、ガス導入孔60の形成領域を特定しやすい。
【0028】
次に、ガスセンサ1に極めて高い被水性が求められる場合に、内プロテクタ6bにガス導入孔60を形成する方法について説明する。まず、図7に示すのは、図4と同様の断面HSを示す図である。まず、検出部Dにおける板厚方向と平行、かつ保護層24を間に収めることが可能な最小幅の1対の平行な基準線PL,PLを定める。さらに、該平行基準線PL,PLを含み、かつ軸線Oと平行な2つの仮想平面にて内プロテクタ6bの側壁部W3を4分割する。そして、それら4分割された側壁部W3のうち、保護層24と正対する部分に自身の重心Gが必ず位置するように、ガス導入孔60を形成すればよい。すなわち、図7中に示す角度θの範囲内に孔の重心Gが位置するように調整する。このようにすれば、図4および図5で例示した形態と比較しても、より高い被水性を内プロテクタ6bに付与することができる。なぜならば、最も多く被検出ガスの通過する位置が重心Gであると考えられるためである。
【0029】
なお、上記した角度θの範囲内にガス導入孔60のほとんど(たとえば、プロテクタの外周面における孔の面積の半分以上)が収まるようにする形態でもよい。あるいは、角度θの範囲内にガス導入孔60の概ね全部が収まるようにすれば、該ガス導入孔60は保護層24と全く正対するようになるので、より望ましい。
【0030】
次に、内外のプロテクタ6a,6bの側壁部W1,W3に形成される孔の位置関係について説明する。図4に示すように、外プロテクタ6aの側壁部W1に形成されたガス流通孔63は、周方向において内プロテクタ6bの側壁部W3に形成されたガス導入孔60に重ならないように調整されている。このようにすれば、外プロテクタ6aのガス流通孔63より導入された被検出ガスに、水滴等が含まれる場合であっても、内プロテクタ6bの検出空間G2にダイレクトに入り込むことが防止される。
【0031】
孔の位置関係を具体的に説明する。図9は、内外のプロテクタ6a,6bの軸線Oと垂直な方向における拡大断面図である。まず、外プロテクタ6aの側壁部W1に形成されたガス流通孔63の重心Gを通り、軸線Oと垂直に交わる基準線Kを定める。一方、内プロテクタ6bに近い側のガス流通孔63の開口端縁を、該ガス流通孔63の外形線FPとする。そして、基準線Kとの距離を一定に保つようにして、その外形線FPを内プロテクタ6bの側壁部W3に投影する。その投影線FP’が内プロテクタ6bの側壁部W3に形成されたガス導入孔60に重ならないように調整されているとよい。
【0032】
また、図9に示すように、ガス流通孔63には内部空間G1側に進むにつれて、孔の断面積が縮小する形態を採用できる。このようにすれば、外部より導入された被検出ガスは、方向をそのまま維持して真っ直ぐ進み易い。図9の場合だとガス流通孔63より導入された被検出ガスは、一旦内プロテクタ6bの側壁部W3に当たって拡散する形となる。この形態は、内プロテクタ6bに形成されるガス導入孔60にも採用できる。
【0033】
なお、本明細書中でいう「孔の重心G」は以下のようにして定める。すなわち、図9に示すように、孔の開口端が最小面積の仮想面(平面である必要はない)で塞がれることによって生ずる空所Sに、一様密度の物質を詰めた場合に生ずる質量中心を、「孔の重心G」とする。
【0034】
次に、図8は、被検出ガスの流れと、プロテクタ6a,6bに形成される孔との関係を説明する模式図である。外プロテクタ6aの側壁部W1には、少なくとも3箇所以上、周方向の均等角度間隔を以ってガス流通孔63が形成されているとよい。図に示す形態では120°の等角度間隔である。このようにすれば、(a)および(b)に示すように、排気管等への酸素センサ1の取り付け角度が180°反転して、被検出ガスの流れEGに対して孔位置が定まらない場合でも、被検出ガスは、ガスの流れに沿って外プロテクタ6aの内部空間G1に導入される。そして、次第に内プロテクタ6b内の検出空間G2へも拡散する。
【0035】
【実験例】
本発明の有効性を確かめるために、図2に示した構造を有するセラミック素子2を作製し、セラミックヒータ22を加熱しつつ、セラミック素子2にマイクロピペットで少量の水を滴下させるという被水テストを行った。図10に模式的に示すように、(1)保護層(正面)、(2)側面、(3)ヒータ面(裏面)、を水の滴下位置とした。ヒータ面での発熱温度に対して、各部分にクラックが生じる滴下水量を調べてグラフにプロットした。クラックの発生の確認は目視による。図11が結果を示すグラフである。グラフは、図12に模式的に示すように、各測定点を結んでできる擬似包絡線f(α)よりも常に大となる領域を、クラック発生領域として見ることができる。クラック発生領域が狭いほど、被水性が高い。
【0036】
実験の結果より、保護層の形成された正面部は、側面部およびヒータ部に比べ、低温度域において格段に高い被水性を示すことが分かる。すなわち、保護層に多少の水が付着しても、セラミック素子2が損傷する恐れは少ない。本発明のガスセンサ1は、ガス導入孔60をなるべく保護層と正対する位置に形成してあるため、側面部およびヒータ部を水の付着から守れる。つまり、凝縮水が多量に発生する使用環境においても、セラミック素子2にクラック・割れ等が発生し難い。なお、保護層においてもヒータ面の発熱温度の上昇とともに被水性が低下するが、多量の被水はエンジン始動直後がほとんどである。そのため、ヒータが十分に昇温した後の被水量は少ないことを考慮すると、高温度域における保護層の被水性低下は、たいした問題ではない。
【0037】
以上、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲にて種々の態様で実施できることはいうまでもない。また、添付の図面は、理解のための模式的あるいは概念的なものであることを断っておく。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のガスセンサの一実施形態を示す酸素センサを、縦断面とともに示す全体図。
【図2】 セラミック素子の構造説明図。
【図3】 外プロテクタおよび内プロテクタの拡大半断面図。
【図4】 検出部を含む位置での軸線に垂直な断面図。
【図5】 内プロテクタに形成されるガス導入孔の形成範囲を示す、検出部を含む位置での軸線に垂直な断面図。
【図6】 セラミック素子の断面模式図。
【図7】 図5に続く断面図。
図8】 被検出ガスの流れと、プロテクタに形成される孔との関係を説明する模式図。
図9】 プロテクタの軸線と垂直な拡大断面図。
図10】 被水テストの方法を説明する模式図。
図11】 テストの結果をプロットしたグラフ。
図12】 グラフの見方を説明する模式図。
【符号の説明】
1 ガスセンサ
2 セラミック素子(検出素子)
6a 内プロテクタ
6b 外プロテクタ
21 固体電解質体(酸素濃淡電池素子)
24 保護層
25 電極
60 ガス導入孔
63 ガス流通孔
W1 外プロテクタの側壁部
W3 内プロテクタの側壁部
JB 接合境界線
G2 検出空間
HS 断面
D 検出部
O 軸線
WR 包囲領域
HL 対角線
PL 平行基準線
G 重心
K 基準線
FP 外形線
FP’ 投影線

Claims (4)

  1. 検出素子(2)の軸線(O)方向前端側に形成された検出部(D)と、これを覆う形態にて設けられる筒状の内プロテクタ(6b)と、該内プロテクタ(6b)の外側に配置される同じく筒状の外プロテクタ(6a)とを備えたガスセンサ(1)において、
    前記検出部(D)は、板状の固体電解質体(21)の表面に電極(25)が形成され、該電極(25)を覆う形で保護層(24)が設けられ、かつ裏面側にセラミックヒータ(22)が隣接する構造を有し、
    前記外プロテクタ(6a)の側壁部(W1)には、自身の内外に被検出ガスを流通させるためのガス流通孔(63)が形成され、前記内プロテクタ(6b)の側壁部(W3)には、自身内部の検出空間(G2)に前記被検出ガスを導入するためのガス導入孔(60)が形成される一方、
    前記固体電解質体(21)の板厚方向における前記保護層(24)のある側を当該ガスセンサ(1)の正面側と定め、
    さらに、前記検出部(D)を含み前記軸線(O)方向に垂直であって、かつ前記外プロテクタ(6a)の前記ガス流通孔(63)を横切る断面(HS)において、前記電極(25)と、それを覆う前記保護層(24)との前記板厚方向に垂直な接合境界線(JB)を定め、該接合境界線(JB)を含み、かつ前記軸線(O)と平行な仮想平面にて前記内プロテクタ(6b)の側壁部(W3)を2分割した場合、前記正面側に位置する一方のみに前記ガス導入孔(60)が1つのみ形成されており、
    前記ガス導入孔(60)は、その全部が前記検出素子(2)の前端より前記軸線(O)方向後端側に位置するように形成されており、
    さらに、前記外プロテクタ(6a)の前記ガス流通孔(63)を横切る断面(HS)が、前記内プロテクタ(6b)の前記ガス導入孔(60)も横切るよう、該ガス導入孔(60)の前記軸線(O)方向における形成位置が定められ、かつ、前記外プロテクタ(6a)の前記ガス流通孔(63)と前記内プロテクタ(6b)の前記ガス導入孔(60)とが、周方向にて互いに重ならない位置関係にて形成されてなることを特徴とするガスセンサ(1)。
  2. 前記断面(HS)において、前記保護層(24)を含む前記検出部(D)を包囲可能な最小の長方形状をなす包囲領域(WR)を定め、該包囲領域(WR)の対角線(HL,HL)を含み、かつ前記軸線(O)と平行な2つの仮想平面にて前記内プロテクタ(6b)の側壁部(W3)を4分割した場合、
    前記ガス導入孔(60)は、それら分割された側壁部(W3)のうち、前記保護層(24)と正対する部分のみに形成されている請求項1記載のガスセンサ(1)。
  3. 前記断面(HS)において、前記板厚方向と平行、かつ前記保護層(24)を間に収めることが可能な最小幅の平行基準線(PL,PL)を定め、さらに、該平行基準線(PL,PL)を含み、かつ前記軸線(O)と平行な2つの仮想平面にて前記内プロテクタ(6b)の側壁部(W3)を4分割したとき、
    前記ガス導入孔(60)は、それら分割された側壁部(W3)のうち、前記保護層(24)と正対する部分に自身の重心が位置するように形成されている請求項1または2記載のガスセンサ(1)。
  4. 前記外プロテクタ(6a)の側壁部(W1)には、少なくとも3箇所以上、周方向の均等角度間隔を以って前記ガス流通孔(63)が形成されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスセンサ(1)。
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