JP4502466B2 - 多孔押出用工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、同時に複数のパイプを押出成形する多孔押出用工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
押出材の生産性向上の一つの手段として、複数の成形用間隙を有し、複数の押出材を同時に押出す多孔ダイスが使用されている。例えば、図11に示す丸パイプ(W)を押出すポートホール二孔ダイス(50)は、押出方向の前方側に配置される雌型(51)と後方に配置される雄型(52)とが組み合わされてなる。前記雌型(51)には、ダイス中心線(Q0)の180°対象位置に、(Q1)(Q2)を中心として、丸パイプ(W)の外周形状を成形する2つのベアリング部(53)が設けられ、これらのベアリング部(53)に囲まれて2つ円形の成形孔が形成されている。一方、雄型(52)には、前記雌型(51)の2つの成形孔の対応位置のそれぞれに、前方に突出する成形凸部(54)の先端部外周面に丸パイプ(W)の内周形状を成形するベアリング部(55)が設けられているとともに、後部側には押出材料が通過する複数のポート孔(56)がダイスの前後方向に貫通して設けられている。そして、前記雌型(51)の2つの成形孔内に雄型(52)のベアリング部(55)(55)を嵌め入れるようにこれらを組み合わせることによって両者のベアリング部(53)(55)の間に成形用間隙(57)が形成され、これら2つの成形用間隙(57)(57)を押出材料が通過することにより、横断面円形のパイプ(W)(W)が同時に押出される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記ポートホール二孔ダイス(50)を用いて丸パイプ(W)を押出す場合、雌型(51)と雄型(52)のベアリング部(53)(55)の同軸度が良好であることが求められる。ダイス中心にベアリング部が設けられる一孔ダイスは旋盤加工により製作されるために雌型と雄型との同軸度が高いが、二孔ダイス(50)ではベアリング部をダイス中心(Q0)から変位した位置(Q1)(Q2)に設ける必要上放電加工により製作される。そのため、旋盤加工で製作した一孔ダイスよりも同軸度が劣るという問題点があった。
【0004】
また、一般に直接押出では、コンテナ(60)内のメタルフローはビレット(61)とコンテナ(60)内壁との摩擦抵抗のために、コンテナ(60)中心部では壁面側よりも速くなっている。一孔ダイスでは、ビレット中心とベアリング部中心とが一致しているため、メタルフローに同心円状の差が生じても雄型の成形凸部が倒れるようにたわむことはないが、二孔ダイス(50)では2つのベアリング部の中心(Q1)(Q2)がそれぞれダイス中心(Q0)から変位しているために、雄型(52)の成形凸部(54)がたわんで、押出した丸パイプ材(W)が偏肉になるという問題点があった。
【0005】
さらに、このような偏肉の大きい押出素管を引き抜くと曲がりが発生し、真直度が悪い引抜管をレーザプリンタの感光ドラムやマグネットロールに使用すると、回転時の振れが大きくなって印刷品質の低下の原因となる。
【0006】
この発明は、上述の技術背景に鑑み、偏肉の生じない多孔押出用工具の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の多孔押出用工具は、前記目的を達成するために、複数の装填用ホール(11)(12)が穿設されたダイスケース(10)、および前記各装填用ホール(11)(12)に装填される複数のダイス本体(21)(22)を備え、複数のパイプ(W)を同時に押出す工具であって、前記ダイス本体(21)(22)は、前記パイプ(W)の外周形状を成形するベアリング部(23)を有する雌型(30)と、内周形状を成形するベアリング部(43)を有する雄型(40)とが組み合わされて、1つの成形用間隙(25)が形成されるポートホールダイスであることを基本要旨とする。
【0008】
前記ダイスケース(10)の装填用ホール(11)(12)は、横断面形状が周方向の一部に直線状のストレート部を有する概略円形に形成される一方、前記ダイス本体(21)(22)は、前記装填用ホール(11)(12)の内周面に対応する概略円柱形状であり、外周部に前記装填用ホール(11)(12)のストレート部に対応するストレート部(31)(41)が形成されていることが好ましい。
【0009】
また、前記ダイス本体(21)(22)の雄型(40)は、複数の脚部(44a)(44b)(44c)によって仕切られた複数のポート穴(45a)(45b)(45c)を有し、前記ダイスケース(10)への装填状態において、ダイスケース(10)の中心側(A)に位置するポート穴(45b)(45c)の断面積よりも外側に位置するポート穴(45a)の断面積が大きく形成されていることが好ましい。前記外側のポート穴(45a)は、雄型(40)の中心からポート穴(45a)の外側周面までの距離で表わされるポート穴径(R)の拡大、または該ポート穴(45a)を形成する脚部(44b)(44c)の開脚角度(α)の拡大、あるいはその両方によって断面積が拡大されていることが好ましい。
【0010】
この発明の多孔押出用工具(1)において、一つのダイス本体(21)(22)に形成される成形用間隙(25)は1つであり、雌型(30)と雄型(40)の両ベアリング部(33)(43)はそれぞれの中心に形成することができるため、高い同軸度が得られ、成形用間隙(25)の幅は均一に形成される。さらに、従来の複数の成形用間隙を有する多孔ダイス(50)よりも小径であるため、雌型(30)と雄型(40)との嵌合精度も良好である。この発明では、このようなダイス本体(21)(22)をダイスケース(10)に穿設された複数の装填用ホール(11)(12)に装填する入れ子方式を採用することにより、偏肉のない複数のパイプ(W)を同時に押出すことができる。また、異なる断面形状のパイプの押出に際しても、ダイス本体(21)(22)だけを代えれば良く、ダイスケース(10)は共通に使用できるから、工作費および材料費の両面からダイス製作費を削減することができる。また、窒化処理等の表面改質処理も小径のダイス本体(21)(22)に対してのみ行えば良いから、処理費用を削減することができる。
【0011】
また、ダイスケース(10)の装填用ホール(11)(12)およびダイス本体(21)(22)に互いに対応するストレート部(31)(41)を設けることにより、装填されたダイス本体(21)(22)の回転が抑止され、装填状態における周方向の位置決めを容易に行える。
【0012】
さらに、前記ダイス本体(21)(22)の雄型(40)において、雄型(40)の中心からポート穴(45a)の外側周面までの距離で表わされるポート穴径(R)の拡大、脚部の開脚角度(α)拡大のいずれか、あるいは両方によって、外側のポート穴(45a)断面積を拡大することによって、コンテナとビレット間の摩擦抵抗によって生じたメタルフロー差を解消して、これに起因する偏肉を低減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図6に、この発明の多孔押出用工具(1)の一実施形態を示す。
【0014】
前記多孔押出用工具(1)は、ダイスケース(10)と、このダイスケース(10)に装填される同一形状の第1および第2ダイス本体(21)(22)とにより構成されている図1に示す押出装置例において、前記多孔押出用工具(1)は、押出材料の流れを制御するためのプレート(26)を介して、ビレット(61)を装填するコンテナ(60)の前端開口部に臨んで配置される。
【0015】
図1および図2に示すように、前記ダイスケース(10)は、ダイスケースの中心線(A0)の180°対象位置に、(A1)を中心とする第1装填用ホール(11)と(A2)を中心とする第2装填用ホール(12)とが押出の前後方向に穿設されている。これら2つの装填用ホール(11)(12)は、ダイス本体(21)(22)の外形状に対応する中間部(11a)(12a)において2つのホールが一体に連結する一方で、前端部および後端部においてはホール(11)(12)内に突出してホールの開口径を小径に形成する円形の突出部(13)(14)(15)(16)が形成されて、2つのホール(11)(12)が独立している。また、前記ダイスケース(10)は、押出方向の前後で前部ケース(17)と後部ケース(18)とに2分割されて、分割状態において前記ダイス本体(21)(22)の出し入れを行う一方で、装填状態においては前後の突出部(13)(14)(15)(16)によってダイス本体(21)(22)を前後両方向から拘束するようになされている。
【0016】
図3〜図5に示すように、前記第1および第2ダイス本体(21)(22)は、それぞれ押出方向の前方に配置してパイプ(W)の外周形状を成形する雌型(30)と、後方に配置して内周形状を成形する雄型(40)とが組み合わされたポートホールダイスである。また、前記ダイス本体(21)(22)の外形は概略円柱形状であるが、雌型(30)および雄型(40)のそれぞれの外周部に、外接円(39)(49)の一部を切り欠いたストレート部(31)(41)が形成されている。そして、前記ダイスケース(10)の第1および第2装填用ホール(11)(12)内に、第1および第2ダイス本体(21)(22)を互いのストレート部(31)(41)同士が接した状態で挿入すると、第1および第2ダイス本体(21)(22)の中心が第1および第2装填用ホール(11)(12)の中心(A1)(A2)に一致し、かつ各装填用ホール(11)(12)内でダイス本体(21)(22)の回転を防止することができる。
【0017】
即ち、図6(A)に示すように、ダイスケース(10)の第1装填用ホール(11)内に、第1ダイス本体(21)をそのストレート部(31)(41)を2つの装填用ホール(11)(12)の連結部分に一致させて装填すると、そのストレート部(31)(41)は第2装填用ホール(12)の一部分を形成することとなり、第2装填用ホール(12)の内周面には実質的に直線状のストレート部が形成される。従って、第1ダイス本体(21)のストレート部(31)(41)は、本発明における装填用ホールのストレート部に相当する。そして図6(B)に示すように、ストレート部が形成された第2装填用ホール(12)に、第2ダイス本体(12)を装填すると、ストレート部の存在によって第2ダイス本体(22)の回転は阻止され、周方向の装填位置が決まる。また同様にして、第2装填用ホール(12)への第2ダイス本体(22)の装填により、第1装填用ホール(11)の内周面に実質的にストレート部が形成されて第1ダイス本体(21)の回転が阻止される。このようにして、2つのダイス本体(21)(22)は、連結した装填用ホール(11)(12)に装填することによって互いの回転を阻止している。
【0018】
図4に示すように、前記雌型(30)には、中心位置にパイプ(W)の外周形状を成形するベアリング部(33)が設けられ、このベアリング部(33)に囲まれて円形の成形孔(32)が形成されている。さらに、前記ベアリング部(33)の出側に、前方に向けて外方に開いていくテーパ状の逃げ穴(34)が形成されている。
【0019】
一方雄型(40)には、図5に示すように、その中心前方に突設された成形凸部(42)の先端部外周面に、パイプ(W)の内周形状を成形するベアリング部(43)が設けられているとともに、後部側には、脚部(44a)(44b)(44c)によって仕切られ、押出材料が通過する3つのポート穴(45a)(45b)(45c)がダイスの前後方向に貫通して設けられている。前記脚部は、ストレート部(41)側、即ちダイスケース(10)の中心側に1本(44a)と外側に2本(44b)(44c)の合計3本であり、ポート穴は外側に1つ(45a)と中心側に2つ(45b)(45c)が位置する。
【0020】
そして、図3に示すように、前記雌型(30)のベアリング部(31)の成形孔(32)内に雄型(40)のベアリング部(43)を嵌め入れるようにこれら(30)(40)を組み合わせると、両ベアリング部(33)(43)間に成形用間隙(25)が形成される。そして、図1に示すように、この成形用間隙(25)を押出材料が通過することにより、複数の横断面円形のパイプ(W)が同時に押出される。
【0021】
前記ダイス本体(21)(22)において、雌型(30)および雄型(40)のベアリング部(33)(43)はいずれもダイス中心に形成されているから、これらの組み合わせ状態において両ベアリング部(33)(43)の同軸度は高い。そのため、成形用間隙(25)は全周で均一な幅に形成され、均一な肉厚のパイプ(W)を押出すことができる。特に、丸パイプを押出すダイスでは、ベアリング部(33)(43)を旋盤加工によって形成できるから、極めて同軸度の高いものとなし得る。
【0022】
前記ダイス本体(21)(22)において、図4に示すように、雄型(40)の外側のポート穴(45a)は中心側の2つのポート穴(45b)(45c)よりも断面積が大きく形成されている。これは、ダイスケース(10)の中心(A0)からの距離の差によって生じる偏肉を解消するためである。即ち、コンテナ(60)内のメタルフローは、コンテナ(60)壁面とビレット(61)表面との間に生じる摩擦抵抗によってコンテナ(60)中心部よりも外側で遅くなるため、ダイス本体(21)(22)おいてもダイスケース中心(A0)に近い中心側ポート穴(45b)(45c)における押出材料流量は中心(A0)から遠い外側ポート穴(45a)よりも大きくなる。この流量差は、雄型(31)の成形凸部(42)を中心側から外側へ押す力と外側から中心側へ押す力との差となり、成形凸部(42)を外側にたわませる。その結果、成形用間隙(25)の幅は外側より中心側で広くなり、押出されるパイプ(W)は中心側が外側よりも厚い偏肉となる。このような流量差によって生じる偏肉を解消するために、外側のポート穴(45a)断面積を大きくすることで流量を増やし、内外のポート穴(45a)(45b)(45c)で押出材料が均等に流れるようにしている。
【0023】
ポート穴断面積を拡大する方法の一つとして、外側ポート穴(45a)を形成する2本(44b)(44c)の脚部の開脚角度(α)を等分角よりも大きく開く方法を推奨できる。本実施形態のダイス本体(21)(22)は3本脚であり、開脚角度(α)は3等分の120°よりもやや大きい121〜130°が好ましい。なお、この発明はポート穴の数を3に限定するものではなく、等分角度に対して0.8〜10%の範囲で拡大することが好ましい。前記下限値未満では内外流量差を解消するに足りず、上限値を超えると外側の流量が大きくなりすぎて、逆に外側が厚い偏肉となる。
【0024】
また、ポート穴断面積を拡大する他の方法として、ポート穴径を拡大をする方法を推奨できる。ここで、ポート穴径は、図5に示すように、ダイス本体(21)(22)の雄型(40)の中心からポート穴(45a)(45b)(45c)の外側周面までの距離(R )(R )で表すものとする。本実施形態のダイス本体(21)(22)では、中心側の2つのポート穴(45b)(45c)のポート穴径(R)と外側のポート穴(45a)のポート穴径(R)とがR<Rとなるように形成されている。中心側ポート穴径(R)に対する外側ポート穴径(R)の拡大率は4〜20%の範囲が好ましい。前記下限値未満では内外流量差を解消するに足りず、上限値を超えると外側の流量が大きくなりすぎて外側の厚い偏肉となり、またダイス強度も低下する。
【0025】
パイプ(W)の偏肉は、前記開脚角度(α)の拡大またはポート穴径(R2)の拡大のいずれか一方によって低減させることが可能であるが、両者を組み合わせることによって顕著に偏肉を低減することができ、さらには解消することができる。
【0026】
ところで、この発明の多孔押出用工具(1)において、ダイス本体(21)(22)の外径はダイスケース(10)の外径の25〜40%が好ましい。25%未満ではポート穴径が十分にとれないために溶着が不十分となりやすく欠肉が生じるおそれがある。一方、40%を越えるとダイスケース(10)の強度が保てなくなる。また、前記ダイス本体(21)(22)は、ポート穴径が十分にとれ、かつ可及的に小径であることが好ましい。なお、十分なポート穴径とは、直径換算でダイス本体外径の60〜70%である。また、前記ダイスケース(10)の装填用ホール(11)(12)とダイス本体(21)(22)との間にクリアランスを設けることによって、押出中のダイスケース(10)の歪みがダイス本体(21)(22)への伝達量を抑制することができる。これらの間のクリアランスは、0.05〜0.2mmに設定されていることが好ましく、特に0.1mm程度が好ましい。
【0027】
(実施例1)
上述の多孔押出用工具(1)において、外径235mmのダイスケース(10)の第1および第2装填用ホール(13)(14)に、それぞれ最大径80mm、ストレート部(31)(39)部分の外径78mmのダイス本体(21)(22)を装填した。押出すパイプ(W)は、20mmφ、肉厚1.4mmの丸パイプであり、前記ダイス本体(10)の雌型(30)および雄型(40)のベアリング部(33)(43)は旋盤加工により相応の形状に形成されている。また、雄型(40)において、3本の脚部の(44a)(44b)(44c)の開脚角度はそれぞれ120°に形成されているとともに、3つのポート穴(45a)(45b)(45c)のポート穴径(R)(R)はいずれも25mmに形成され、3つのポート穴(45a)(45b)(45c)の断面積は等しく形成されている。
【0028】
前記押出用ダイス(1)を用いて、JIS A6063アルミニウム合金ビレットを押出材料として24ロットの押出を行い、押出した各長尺材を300mmに切断して多数の試験材を得た。これらの試験材から48本を抽出し、肉厚を測定して偏肉を調べた。その結果結果を図7に示す。
【0029】
(比較例1)
実施例1と同サイズの丸パイプの押出に際し、図11に示したポートホール二孔ダイス(50)を用いた。この二孔ダイス(50)は、雌型(51)および雄型(52)の所定位置に、放電加工によりそれぞれ2つのベアリング部(53)(53)(55)(55)が形成されている。また、雄型(52)には各ベアリング部(55)につき3つのポート穴(56)が等しい断面積で穿設されている。
【0030】
その他の条件は実施例1と同じ条件で押出を行い、96本の試験材を抽出して偏肉を調べた。その結果を図8に示す。
【0031】
(実施例2)
実施例1の多孔押出用工具(1)において、ダイス本体(21)(22)のベアリング部(33)(43)が、25mmφ、肉厚1.75mmの丸パイプに対応した形状に形成されていることを除き、実施例1と同じ条件で押出を行い、148本の試験材を抽出した。
【0032】
これらの試験材の肉厚を測定して偏肉を調べた。その結果を図9に示す。
【0033】
(比較例2)
実施例2と同サイズの丸パイプの押出に際し、図11で示した比較例1と同等のポートホール二孔ダイス(50)を用いた。
【0034】
その他の条件は実施例2と同じ条件で押出を行い、148本の試験材を抽出して偏肉を調べた。その結果を図10に示す。
【0035】
図7〜図10の結果から、複数のダイス本体を装填した入れ子式の多孔押出用工具の使用によって、丸パイプの偏肉を低減できることを確認した。
【0036】
(実施例3)
実施例2の多孔押出用工具(1)のダイス本体(21)(22)において、雄型(31)の外側のポート穴(45a)の断面積を中心側ポート穴(45b)(45c)よりも大きく形成して、押出した丸パイプ(W)の中心側(ダイスケースの中心側)と外側との偏肉の程度を調べた。外側ポート穴(45a)の断面積拡大は、該ポート穴(45a)を形成する2本の脚部(44b)(44c)の開脚角度(α)および外側ポート穴(45a)のポート穴径(R)の設定により行うものとし、表1に示す6種類のダイス本体(17)(18)で製作した丸パイプにより調べた。なお、中心側ポート穴(45b)(45c)のポート穴径(R)は25mmの一定値とした。
【0037】
【表1】
Figure 0004502466
【0038】
表1の結果より、ダイス本体(21)(22)の雄型(31)において、脚部(44b)(44c)の開脚角度(α)またポート穴径(R2)、あるいはその両方を拡大し、外側ポート穴(45a)の断面積を拡大することによってさらにパイプの偏肉を低減できることを確認した。
【0039】
【発明の効果】
以上の次第で、この発明の多孔押出用工具は、複数の装填用ホールが穿設されたダイスケース、および前記各装填用ホールに装填される複数のダイス本体を備え、複数のパイプを同時に押出す工具であって、前記ダイス本体は、前記パイプの外周形状を成形するベアリング部を有する雌型、内周形状を成形するベアリング部を有する雄型とが組み合わされて、1つの成形用間隙が形成されるポートホールダイスであるから、雌型と雄型の両ベアリング部はそれぞれの中心に形成することができ、これらの高い同軸度を得て成形用間隙の幅を均一に形成できる。このため、偏肉のない複数のパイプを同時に押出すことができる。また、各ダイス本体は、従来の複数の成形用間隙を有する多孔ダイスよりも小径であり、雌型と雄型との嵌合精度が良好であることも、偏肉の低減に寄与する。
【0040】
さらに、ダイスケースにダイス本体を装填する入れ子式であるから、異なる断面形状のパイプの押出に際しても、ダイス本体だけを代えれば良く、ダイスケースは共通に使用できるから、工作費および材料費の両面からダイス製作費を削減することができる。また、窒化処理等の表面改質処理も小径のダイス本体に対してのみ行えば良いから、処理費用を削減することができる。
【0041】
また、前記ダイスケースの装填用ホールは、横断面形状が周方向の一部に直線状のストレート部を有する概略円形に形成される一方、前記ダイス本体は、前記装填用ホールの内周面に対応する概略円柱形状であり、外周部に前記装填用ホールのストレート部に対応するストレート部が形成されている場合は、装填されたダイス本体の回転が抑止され、装填状態における周方向の位置決めを容易に行える。
【0042】
また、前記ダイス本体の雄型は、複数の脚部によって仕切られた複数のポート穴を有し、前記ダイスケースへの装填状態において、ダイスケースの中心側に位置するポート穴の断面積よりも外側に位置するポート穴の断面積が大きく形成されている場合は、コンテナとビレット間の摩擦抵抗によって生じたメタルフロー差を解消して、これに起因する偏肉を低減することができる。
【0043】
前記外側のポート穴の断面積拡大はは、ポート穴径の拡大または該ポート穴を形成する脚部の開脚角度の拡大、あるいはその両方によって容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の多孔押出用工具の一実施形態と、この多孔押出用工具を組み込んだ押出装置の縦断面図である。
【図2】ダイスケースの平面図であり、(A)は前部ケースを後方から見た平面図、(B)は後部ケースを後方から見た平面図である。
【図3】ダイス本体の縦断面図である。
【図4】(A)はダイス本体の雌型を後方から見た平面図であり、(B)は(A)のIVB−IVB線断面図である。
【図5】(A)はダイス本体の雄型を前方から見た平面図であり、(B)は(A)のVB−VB線断面図である。
【図6】(A)は第1ダイス本体のみをダイスケースに装填した状態を模式的に示す横断面図、(B)は第1および第2ダイス本体をダイスケースに装填した状態を模式的に示す横断面図である。
【図7】実施例1における丸パイプの偏肉測定結果を示すグラフである。
【図8】比較例1における丸パイプの偏肉測定結果を示すグラフである。
【図9】実施例2における丸パイプの偏肉測定結果を示すグラフである。
【図10】比較例2における丸パイプの偏肉測定結果を示すグラフである。
【図11】従来のポートホール二孔ダイスと、このポートホール二孔ダイスを組み込んだ押出装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1…多孔押出用工具
10…ダイスケース
11…第1装填用ホール
12…第2装填用ホール
21…第1ダイス本体
22…第2ダイス本体
25…成形用間隙
30…雌型
33,43…ベアリング部
31、41…ストレート部
40…雄型
44a、44b、44c…脚部
45a、45b、45c…ポート穴
α…開脚角度
…ポート

Claims (4)

  1. 複数の装填用ホール(11)(12)が穿設されたダイスケース(10)、および前記各装填用ホール(11)(12)に装填される複数のダイス本体(21)(22)を備え、複数のパイプ(W)を同時に押出す工具であって、
    前記ダイスケース(10)の装填用ホール(11)(12)は、横断面形状が周方向の一部に直線状のストレート部を有する概略円形に形成される一方、前記ダイス本体(21)(22)は、前記装填用ホール(11)(12)の内周面に対応する概略円柱形状であり、外周部に前記装填用ホール(11)(12)のストレート部に対応するストレート部(31)(41)が形成され、
    前記ダイス本体(21)(22)は、前記パイプ(W)の外周形状を成形するベアリング部(23)を有する雌型(30)と、内周形状を成形するベアリング部(43)を有する雄型(40)とが組み合わされて、1つの成形用間隙(25)が形成されるポートホールダイスであることを特徴とする多孔押出用工具。
  2. 前記ダイス本体(21)(22)の雄型(40)は、複数の脚部(44a)(44b)(44c)によって仕切られた複数のポート穴(45a)(45b)(45c)を有し、前記ダイスケース(10)への装填状態において、ダイスケース(10)の中心側(A)に位置するポート穴(45b)(45c)の断面積よりも外側に位置するポート穴(45a)の断面積が大きく形成されている請求項に記載の多孔押出用工具。
  3. 前記外側のポート穴(45a)は、雄型(40)の中心からポート穴(45a)の外側周面までの距離で表わされるポート穴径(R)の拡大によって断面積が拡大されている請求項に記載の多孔押出用工具。
  4. 前記外側のポート穴(45a)は、該ポート穴(45a)を形成する脚部(44b)(44c)の開脚角度(α)の拡大によって断面積が拡大されている請求項2または3に記載の多孔押出用工具。
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