JP4500433B2 - スペクトル拡散通信機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、拡散符号を送受信するスペクトル拡散通信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、送信側では、情報信号を情報とは無関係な符号を用いて情報の伝達に必要な周波数帯域よりも広い周波数帯域に拡散し、受信側では、拡散に用いた符号の複製を使ってスペクトルの逆拡散を行うことにより情報信号を復元するスペクトル拡散(SS)通信方式が知られている。従来の構成では、変調方式にDBPSKまたはDQPSKが採用されている。
【0003】
このSS通信方式は、他へ干渉を与えることが少なく、他からの干渉に強く、伝送路でのマルチパスフェージングに強い等の利点を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の従来のSS通信方式においては、図7に示すように、マルチパスフェージング環境下において、逆拡散後に分離するパス数が多くなった場合、これらパスP1〜P5の分散により、図8A,8Bに示すように、マルチパス無しの場合と比べ、総受信電力=P1+P2+P3+P4+P5に対するピーク値(ピーク電力)=P1の低下が発生するために、S/Nが低下して、通信性能の劣化が大きくなるという問題がある。
【0005】
そこで、発明の目的は、上述した従来技術が有する課題を解消し、通信性能を向上させたスペクトル拡散通信機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、多重化された拡散変調出力を受信して同期捕捉する受信機を備えたスペクトル拡散通信機において、この受信機は、少なくともマッチドフィルタと、遅延検波部と、2系統のパス選択・合成部とを含み、上記パス選択・合成部は、非同期のレイク受信機能を有し、2系統のパス選択・合成部においては、互いにスペクトル拡散符号の1シンボルの1/2だけ位相の異なるウインドウを設定し、各ウインドウ内の信号を各系統で処理する構成とし、上記非同期のレイク受信機能は、遅延検波部の出力の絶対値(以下、相関検波信号と称する)を上記ウインドウ内で検出し、(相関検波信号の最大値/相関検波信号の総和)の数シンボル分の平均値で表されるパススレッショルド値と同等もしくはそれを超える相関検波信号を選択して、選択した相関検波信号のそれぞれを等利得合成するものであることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、同期捕捉の過程において、2系統のパス選択・合成部で上記非同期のレイク受信機能を動作させて信号を出力し、2系統のパス選択・合成部からの各出力の信号レベルを、スペクトル拡散符号の1シンボルごとに比較して数シンボル分の比較情報を取得し、多数決判定によって出力信号レベルの大きい方の系統(PLとする)を記憶するとともに、その系統のウインドウ内におけるパススレッショルド値と同等もしくはそれを超えるレベルの相関検波信号の開始位置(PPとする)と、相関検波信号出現の時間幅(PWとする)とを、それぞれ平均値をとって記憶し、遅延検波部の符号と2系統のパス選択・合成部からの出力をもとに同期パターンのデータを復調して同期パターンのパターンマッチングを行い、これによって同期捕捉信号を出力することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のものにおいて、データ復調の過程において、スペクトル拡散信号のベースバンドの変調方式がDBPSKまたはDQPSKである時、上記同期捕捉過程で記憶したPL、PP、PWの情報を利用し、データ復調はPLの系統で行い、さらにPPとPWを基にウインドウの開始位置とウインドウ幅を補正してパスが存在する位置周辺にのみウインドウをかけてデータ復調を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項2記載のものにおいて、データ復調の過程において、スペクトル拡散信号のベースバンドの変調方式がパラレルDQPSKである時、上記同期捕捉過程で記憶したPP、PWの情報を利用し、データ復調は2つのパス選択・合成部の系統で行い、さらにPPとPWを基に各系統においてウインドウの開始位置とウインドウ幅を補正してパスが存在する位置周辺にのみウインドウをかけてデータ復調を行うことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
【0013】
図1は、送信機1の構成の一例を示す。この送信機1では2系統のDQPSK変調(差動符号化)および拡散変調器を有し、一方を符号半周期遅延させて合成して、情報伝送速度の高速化を図っている。この場合、情報データの変調方式はパラレルDQPSK(PDQPSK)モードであり、このモードは符号1周期あたり4bitのデータを送信するパラレル伝送方式である。
【0014】
以下、構成を詳述すると、この送信機1は、シリアル/パラレル変換部3を備えている。このシリアル/パラレル変換部3は、図2に示すような、パケット化されたデータのシリアル/パラレル変換を行う。
【0015】
このデータは、受信側における高周波系のゲインコントロール用のデータ(AGC)、同期捕捉用のデータ(パターンマッチング:Pattern matching)、信号の開始点検出用のデータ(フレーム同期:Frame sync)、情報データ(Data)で構成される。
【0016】
AGCおよびパターンマッチングの変調方式はDBPSKまたはDQPSKで行われ、フレーム同期および情報データの変調方式はDBPSK、DQPSKまたは、パラレルDQPSKで行われる。
【0017】
シリアル/パラレル変換部3によりシリアル/パラレル変換されたデータは、2系統に区別された差動符号化部5Aおよび差動符号化部5Bに送られ、ここでそれぞれDQPSK変調される。このDQPSK変調されたデータは、拡散変調部7Aおよび拡散変調部7Bに送られ、ここでバーカー符号生成部8からの11チップ・バーカー符号により拡散変調される。拡散変調部7Bの出力は遅延部9により遅延がかけられる。
【0018】
この送信機1では、送信側情報多重化手段として、チップインターリーバ部11A、11Bを備えている。
【0019】
拡散変調部7Aからの出力をIa(同相成分)、Qa(直交成分)として、遅延がかけられた拡散変調部7Bからの出力をIb(同相成分)、Qb(直交成分)とすると、Ia、Ibはチップインターリーバ部11Aに送られ、Qa、Qbはチップインターリーバ部11Bに送られる。
【0020】
一方のチップインターリーバ部11Aは、図3aに示すような、拡散変調部7Aからの出力Iaの符号1周期分を、図3bに示すように、ハーフチップ化する一方で、図3eに示すような、遅延部9からの出力Ibの符号1周期分を、図3dに示すように、ハーフチップ化し、それぞれを図3cに示すように、インターリーブする。また、他方のチップインターリーバ部11Bは、同様にQa、Qbをハーフチップ化して、それぞれをインターリーブする。
【0021】
この送信機1では、振幅加算せずに拡散符号を多重化できるため、D/A変換器等が不要になり、回路の簡略化を達成することができる。
【0022】
ローパスフィルタ部13A、13Bは、図3に示すチップ間隔Tの逆数程度の帯域幅を有する信号を通過させるフィルタであり、このローパスフィルタ部13A、13Bを通過した信号は、直交変調された後に、高周波部15において高周波変調されて、送信信号Txとして出力される。
【0023】
この送信機1では、変調方式にパラレルDQPSKを用いているので、情報伝送速度の高速化を達成することができる。
【0024】
また、変調方式をパラレルDQPSK以外の、DBPSK、DQPSKに変更することができる。変調方式がDBPSK時においては、拡散変調部7Aからの出力Iaのみを用いることにし、チップインターリーブは行わない。また、DQPSK時においては、拡散変調部7Aからの出力Ia、Qaのみを用い、チップインターリーブは行わない。
【0025】
このように、変調方式をDBPSK、DQPSK、パラレルDQPSKと変更することにより、情報信号の多重化数を可変(1bit〜4bit/符号1周期)し、可変伝送レートを実現できる。
【0026】
なお、上記構成は送信機1の一例を示すものであって、この構成に限定されるものでないことは云うまでもない。
【0027】
つぎに、図4は、受信機41の構成を示している。
【0028】
この受信機41は、パスの分散による総受信電力に対するピーク電力の低下を抑えてS/Nを向上させるためのレイク(Rake)受信機能を有した受信機である。ここでは、遅延検波部43と2系統のパス選択および合成部51A,51B等により、データ復調のみならず、同期捕捉過程においても非同期のRake受信を実現し、同期捕捉とデータ復調の双方の性能向上を図っている。
【0029】
この受信機41は、ディジタルマッチドフィルタ42を有する。このディジタルマッチドフィルタ42には、高周波信号が直交検波によりベースバンドに変換され、さらにAD変換器により量子化された同相信号Iと直交信号Qとが入力される。このディジタルマッチドフィルタ42は、量子化された受信信号と参照拡散符号とを乗算した後、重み付けおよび加算を行い、IとQそれぞれの受信信号において、符号1周期分のマッチドフィルタリングを行う。
【0030】
遅延検波部43は、ディジタルマッチドフィルタ42からの相関出力信号の遅延検波を行い、DBPSK信号においては1つの遅延検波信号、DQPSK信号およびPDQPSK信号においては2つの遅延検波信号を出力する。
【0031】
絶対値検波部44は、遅延検波した相関出力信号の絶対値化をする。特にDQPSKやPDQPSKの遅延検波信号においては2つの信号をそれぞれ絶対値化した後、双方を合成する。ここで、これらの絶対値化により位相情報を除去し、包絡線のみの情報に変換した信号を相関検波信号と呼ぶ。
【0032】
上記のディジタルマッチドフィルタ42、遅延検波部43、絶対値検波部44は、同期捕捉過程およびデータ復調過程において同じ動作を行うが、ウインドウ部50A、50B、パス選択・合成部51A,51B以降は、それぞれにおいて異なる動作を行うため、まず同期捕捉から説明する。
【0033】
▲1▼同期捕捉過程
同期捕捉過程においては、受信制御部52からウインドウ部50A、50Bに対し、信号Win_A、Win_Bが出力される。
【0034】
これが出力されると、このウインドウ部50A、50Bは、図5に示すように、この信号Win_A、Win_Bに基づいて、上記絶対値検波部44を経た相関検波信号にウインドウをかける。ここで、CNTは符号1周期(1symbol)に相当するリングカウンタのカウンタ値(1〜22)であり、Win_A、Win_Bはリングカウンタをもとに生成され、その時間差は符号半周期である。ここで、Win_Aのタイミングで処理された信号をA系統、Win_Bのタイミングで処理された信号をB系統とする。
【0035】
ピーク検出部53A、53Bは、符号1周期において、それぞれウインドウ内の相関検波信号の最大値を検出し、また、加算部54A、54Bはウインドウ内のすべての相関検波信号値を加算(総和)する。
【0036】
パススレッショルド生成部55A、55Bは、上述した最大値と加算値をもとにマルチパス環境におけるパス選択の基準信号すなわちパススレッショルドを生成する。このパススレッショルドは、パス選択・合成部51A,51Bに出力され、このパス選択・合成部51A,51Bでは、遅延検波部43からの遅延検波信号における、ウインドウ内のパススレッショルド値と同等もしくはそれを超える信号を選択し、さらにそれぞれを等利得合成する。
【0037】
上記パススレッショルド値はウインドウ内においてのみ有効であり、「パススレッショルド値=相関検波信号の最大値/相関検波信号の総和」により算出され、さらに数シンボル分を平均化したものである。
【0038】
本実施形態では、パス選択・合成部51A,51Bで、遅延検波部43からの遅延検波信号における、ウインドウ内のパススレッショルド値と同等もしくはそれを超える信号を選択し、さらにそれぞれを等利得合成するため、マルチパス環境において、パス数が多く、そのレベル差が小さいほどパススレッショルドは低く設定され、分散したパスを効果的にかき集めることができるので、S/Nの向上を達成することができる。また、パス数が少ない場合、パススレッショルドが高く設定されるため、相関出力信号において、バースト的に発生する雑音を誤って選択・合成することを低減できる。
【0039】
受信制御部52は前記のウインドウ制御のほかに、A系統の合成したパスレベルPL_Aと、B系統の合成したパスレベルPL_Bにおいて、1symbol毎にレベル比較を行い、PL_A>PL_Bの場合”1”、それ以外は”0”とする。そして、このレベル比較情報を数シンボル分保持して多数決判定を行い、レベルが大きな方の系統情報PLを逐次記憶する。
【0040】
また、ウインドウ内においてパススレッショルドを超える信号(パス)の開始位置PP_AおよびPP_B、信号幅(有効なパスの遅延時間幅)PW_AおよびPW_Bそれぞれを、数シンボル分移動平均し、開始位置の平均値PP、信号幅の平均値PWを逐次記憶する。これらの多数決判定処理、平均化処理は雑音による誤判定を低減するために実行される。
【0041】
符号判定部56A,56Bは、合成したパスが0より大きいか小さいかを判定し、2値化する。例えば、合成したパスが0以上であれば”1”、0よりも小さければ”0”を出力する。
【0042】
パラレルシリアル変換部57A,57BはDQPSK信号時のみ動作し、パラレルの2値化信号をシリアルに変換する。
【0043】
パターンマッチング部58A,58Bは、2値化信号と受信側に設定されるユニークな参照パターンとのパターンマッチングを行い、パターンマッチング数M、一致数Nにおいて、一定以上のNが成立した場合(NofM判定)、CD_AまたはCD_Bを出力し、ORゲート部59は、CD_AまたはCD_Bのどちらかが成立すると、同期捕捉信号を出力する。
【0044】
同期捕捉が完了すると、次にデータ復調過程へ移行する。
【0045】
▲2▼データ復調過程
同期捕捉過程において同期捕捉信号が発生すると、受信制御部52は、レベルの大きな方の系統情報PL、パススレッショルドを超えた信号の開始位置の平均値PP、信号幅の平均値PWをもとに、ウインドウ部50A,50Bのウインドウ位置およびウインドウ幅を補正する。
【0046】
図6A〜図6Cは、同期捕捉過程、データ復調における相関検波信号とウインドウの関係を示している。
【0047】
図6Aに示す同期捕捉時のウインドウ幅、ウインドウ位置に対して、図6Bまたは図6Cに示すデータ復調時には、パスが存在する位置周辺のみにウインドウをかけ、パスの選択・合成を行う。ここで、図6Bに示すDBPSK信号やDQPSK信号時には、A系統もしくはB系統を使用し、図6Cに示す符号半周期毎に相関出力信号が発生するPDQPSK信号時には、A系統およびB系統の双方を使用する。これによれば、パスが存在する位置周辺にのみウインドウをかけるため、バースト的な雑音の影響を低減できる。
【0048】
ピーク検出部53A,53B、加算部54A,54B、パススレッショルド生成部55A,55B、パス選択・合成部51A,51B、符号判定部56A,56B、パラレルシリアル変換部57A,57Bは、同期捕捉過程と同等の動作を行う(ただし、ウインドウ部50A,50Bのウインドウの位置および幅は異なる)。そして、2値化された復調データは、パラレルシリアル変換部57A,57Bに接続された別のパラレルシリアル変換部60から出力される。
【0049】
なお、パラレルシリアル変換部60は、PDQPSK信号においてのみ動作し、パラレルの復調データをシリアルに変換する。
【0050】
以上のように、本実施形態では、Rake受信を適用したため、パスの分散による総受信電力に対するピーク電力の低下を抑えて、S/Nを向上させることができ、受信機41の性能を向上させることができる。
【0051】
また、相関器出力において、遅延検波部43と2系統のパス選択および合成部51A,51B等により、データ復調のみならず、同期捕捉過程においても非同期のRake受信を実現しているため、同期捕捉とデータ復調の双方の性能向上を図ることができる。
【0052】
マルチパスのパス数、レベルに応じて最適なパスの選択、合成が実現されるため、バースト的に発生する雑音を誤って選択、合成する恐れが低減される。
【0053】
データ復調において、パスが存在する位置周辺のみにウインドウをかけてパスを選択、合成するため、バースト的な雑音の影響が低減される。
【0054】
同期捕捉過程において、レベルの大きな系統判断、パスの開始位置、有効パスの遅延時間幅を多数決判定処理や平均化処理するため、データ復調におけるウインドウの再生成の精度を向上させることができる等の効果を奏する。
【0055】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、以上のRake受信を用いた受信機41は、本出願人の出願(特願2000−93792号)における空間ダイバーシチと組み合わせることが容易である。この空間ダイバーシチは、各系統がそれぞれ独立に同期捕捉を行い、どちらか一方で同期捕捉が成立した場合はその系統、両系統で成立した場合はレベルの大きい系統を選択し、データ復調動作に移行し、このデータ復調時は、両系統のレベルを逐次比較し、リアルタイムにレベルの大きい系統のデータを選択するものである。
【0056】
この組み合わせによれば、パスダイバーシチ効果が期待できないような環境下でも、良好な通信を実現することができ、マルチパス環境下における通信性能をさらに向上させることができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、マルチパス環境下における通信性能、特に受信性能を向上させることができ、同期捕捉、データ復調の双方にバランスの取れた性能向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるスペクトル拡散通信機の送信機の一実施形態を示す図である。
【図2】パケットフォーマットを示す図である。
【図3】a〜eは送信信号の生成手順を示す図である。
【図4】受信機を示す図である。
【図5】リングカウンタとウインドウの関係を示す図である。
【図6】相関検波信号とウインドウの関係を示す図であり、Aは同期捕捉時の関係を示す図、B、Cはデータ復調時の関係を示す図である。
【図7】マルチパス環境下を説明する図である。
【図8】パスの分散例を示す図であり、Aはマルチパス無しの場合を示す図、Bはマルチパス有りの場合を示す図である。
【符号の説明】
1 送信機
41 受信機
42 ディジタルマッチドフィルタ
43 遅延検波部
44 絶対値検波部
50A、50B ウインドウ部
51A,51B パス選択・合成部
53A、53B ピーク検出部
54A、54B 加算部
55A、55B パススレッショルド生成部
56A,56B 符号判定部
57A,57B パラレルシリアル変換部
58A,58B パターンマッチング部
59 ORゲート部
Claims (4)
- 多重化された拡散変調出力を受信して同期捕捉する受信機を備えたスペクトル拡散通信機において、この受信機は、少なくともマッチドフィルタと、遅延検波部と、2系統のパス選択・合成部とを含み、上記パス選択・合成部は、非同期のレイク受信機能を有し、
2系統のパス選択・合成部においては、互いにスペクトル拡散符号の1シンボルの1/2だけ位相の異なるウインドウを設定し、各ウインドウ内の信号を各系統で処理する構成とし、
上記非同期のレイク受信機能は、遅延検波部の出力の絶対値(以下、相関検波信号と称する)を上記ウインドウ内で検出し、(相関検波信号の最大値/相関検波信号の総和)の数シンボル分の平均値で表されるパススレッショルド値と同等もしくはそれを超える相関検波信号を選択して、選択した相関検波信号のそれぞれを等利得合成するものであることを特徴とするスペクトル拡散通信機。 - 同期捕捉の過程において、2系統のパス選択・合成部で上記非同期のレイク受信機能を動作させて信号を出力し、2系統のパス選択・合成部からの各出力の信号レベルを、スペクトル拡散符号の1シンボルごとに比較して数シンボル分の比較情報を取得し、多数決判定によって出力信号レベルの大きい方の系統(PLとする)を記憶するとともに、その系統のウインドウ内におけるパススレッショルド値と同等もしくはそれを超えるレベルの相関検波信号の開始位置(PPとする)と、相関検波信号出現の時間幅(PWとする)とを、それぞれ平均値をとって記憶し、遅延検波部の符号と2系統のパス選択・合成部からの出力をもとに同期パターンのデータを復調して同期パターンのパターンマッチングを行い、これによって同期捕捉信号を出力することを特徴とする請求項1記載のスペクトル拡散通信機。
- データ復調の過程において、スペクトル拡散信号のベースバンドの変調方式がDBPSKまたはDQPSKである時、上記同期捕捉過程で記憶したPL、PP、PWの情報を利用し、データ復調はPLの系統で行い、さらにPPとPWを基にウインドウの開始位置とウインドウ幅を補正してパスが存在する位置周辺にのみウインドウをかけてデータ復調を行うことを特徴とする請求項2記載のスペクトル拡散通信機。
- データ復調の過程において、スペクトル拡散信号のベースバンドの変調方式がパラレルDQPSKである時、上記同期捕捉過程で記憶したPP、PWの情報を利用し、データ復調は2つのパス選択・合成部の系統で行い、さらにPPとPWを基に各系統においてウインドウの開始位置とウインドウ幅を補正してパスが存在する位置周辺にのみウインドウをかけてデータ復調を行うことを特徴とする請求項2記載のスペクトル拡散通信機。
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