JP4500390B2 - 被検査体傷判定方法及び被検査体傷判定装置 - Google Patents
被検査体傷判定方法及び被検査体傷判定装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4500390B2 JP4500390B2 JP33826099A JP33826099A JP4500390B2 JP 4500390 B2 JP4500390 B2 JP 4500390B2 JP 33826099 A JP33826099 A JP 33826099A JP 33826099 A JP33826099 A JP 33826099A JP 4500390 B2 JP4500390 B2 JP 4500390B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- probe
- inspected
- oblique
- reflection source
- reflection
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波を利用して鉄道レール等の被検査体の傷の判定を行う被検査体傷判定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は従来の鉄道レール1などを超音波で探傷する際の計測状態を示す斜視図であり、図3は超音波探傷装置2の機能構成を示すブロック図である。この例では、探傷対象のレール1上を、超音波探傷装置2と接続されるケーブル3の先端に設けられた超音波探触子4を移動させてレール1の探傷を行っている。
【0003】
この際、送信部2aから一定周期で出力される送信信号が超音波探触子4に入力され内部の図示しない振動子からの超音波パルスがレール1に入射される。この超音波パルスがレール1の傷などで反射し、この反射波が超音波探触子4の振動子で受信される。
【0004】
この受信信号が受信部2bに入力され増幅された後に信号処理部2cに入力される。信号処理部2cは、所定の伝搬時間、即ち超音波探触子4からレール1に入射された超音波パルスが傷などで反射して再び超音波探触子4で受信されるまでの時間の範囲のみを検出対象とするためのゲート回路を有しており、受信信号をゲート回路に通して、A/D変換後、受信信号のレベルを判定レベルと比較して反射エコーを検出し、この反射エコーデータと図示しない移動距離センサからの超音波探触子4の移動量に基づいて、レール1の傷の位置や重大性の判定を行っている。その結果が表示部2d及び記録部2eに出力され、表示及び記録が行われる。
【0005】
このようなレール探傷では、複数の超音波探触子を用いて、傷の方向性等を考慮した超音波をレールに入射して探傷を行っている。例えば、水平裂を検出するためには、屈折角(超音波がレールに入射するときの入射方向と入射面から下ろした垂線とのなす角)が0°である垂直探触子を用い、45°程度の傾きの横裂を検出するためには、屈折角が45°の斜角探触子が用いられている。
【0006】
近年では、このようなレール探傷において、反射エコーの自動化処理が進展し、例えば、特開平9−264882号公報に示されるように、反射エコーのBスコープ画像からの傷の自動判定も行われている。Bスコープ画像は、例えば、横軸に探触子位置、縦軸に反射エコーの伝搬距離をとって反射エコーをプロットするものであるが、屈折角を考慮して反射エコーの反射源の位置を算出してプロットすれば断面画像となる。この例では、Bスコープ画像あるいは断面画像における連結領域を抽出して、その特徴量を求めて判定を行っている。各連結領域は連続した反射源群、即ちマクロな一つの反射源に対応しており、特に断面画像では反射源の実体に即したものとなる。例えば、ボルト穴1bでは、垂直探触子と屈折角45°の互いに逆向きに設置された2つの斜角探触子によって、図4のように3つの連結領域が得られる。このような連結領域の特徴量に基づいて判定を行うことによって、信頼性の高い判定が可能になるとともに、データが大幅に圧縮されているために高速に判定が行える。
【0007】
ところで、溶接部の溶け込み不足や縦割れを検出するために、同一の屈折角の2つの斜角探触子を用いるタンデム法が用いられることがある。図5はタンデム法の原理を説明するための図である。送信用の探触子4aからレール1に斜めに入射された超音波が、レール1の傷などの反射源5及び底面1aで反射し、それを受信用の探触子4bで受信することによって、1つの探触子では検出が困難な縦割れを検出することができる。
このタンデム法において、送信用探触子4aから超音波が送信されてから受信用探触子4bにおいて反射エコーが受信されるまでの伝搬距離は、レールの高さhと送信用探触子4a及び受信用探触子4bの屈折角θから、(h/cosθ)×2と決定される。さらに、送信用探触子4a及び受信用探触子4bの位置が決まれば、傷及び底面での反射において入射角と反射角が等しいとして反射源の位置は計算上1点に定まる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際の送信用及び受信用探触子は屈折角θを中心として多少広がりを持った送受信特性を有するため、超音波が幅を持つことになって、伝搬距離は(h/cosθ)×2に限定されず、探触子の位置に対して反射エコーが検出される反射源の位置も、1点ではなくある範囲となる。そのため、屈折角を基準とする従来方法では、タンデム法で検出された反射エコーから、反射源の実体に即した断面画像を生成したり、その情報に基づいて信頼性の高い傷判定を行うことができなかった。
【0009】
また、例えば従来のレール探傷車によるレール探傷においては、探傷中にレールの種類が変わってレール高さが変わることがあるため、レール高さを既定値として予め与えることは難しく、そのような場合には、タンデム法において反射源の位置の算出を行うことはさらに困難を極めることになる。
【0010】
さらには、被検査体がレールの場合には、ボルト穴のような人工構造や、継目での遊間部(レール端面)において、タンデム法によって反射エコーが検出されることがあり、これらを傷と誤判定するおそれがある。
【0011】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、第1の目的は、タンデム法で検出された反射エコーについても、正確に反射源の位置を算出し、反射源の実体に即した情報から信頼性の高い判定を行うことができる被検査体傷判定方法及び被検査体傷判定装置を提供することを目的としている。
【0012】
また、第2の目的は、第1の目的に加えて、被検査体の表面から底面(背面)までの距離が変わっても、問題なく反射源の位置の算出ができる被検査体傷判定方法及び被検査体傷判定装置を提供することを目的とする。
【0013】
さらに、第3の目的は、第1の目的に加えて、被検査体がレールの場合に、タンデム法によってボルト穴のような人工構造や、継目での遊間部(レール端面)からの反射エコーが検出されても、これらを傷と判定しない被検査体傷判定方法及び被検査体傷判定装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、超音波の送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子を被検査体の前後に配置したタンデム法によって被検査体の前後方向に送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子を移動しながら探傷して、検出された反射エコーに基づいて前記被検査体の傷を判定する被検査体傷判定方法であって、送信用斜角探触子から超音波が送信されてから受信用斜角探触子において反射エコーが受信されるまでの時間及び超音波の音速から算出される伝搬距離と、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子が当接された被検査体の表面から底面(背面)までの距離と、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の位置とから、送信用斜角探触子における屈折角と受信用斜角探触子における屈折角とが等しいとして、該屈折角を用いずに、検出された反射エコーの反射源の送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の前後方向、即ち被検査体の前後方向及び表面から底面に向かう方向の2次元位置を算出し、反射源の位置が複数個算出されたときに、これらの複数の反射源の位置から被検査体内で連続した反射源であると推定できる反射源群を抽出し、次に、抽出した反射源群について一つまたは複数の特徴量を算出して、その特徴量に基づいて前記被検査体の表面に対して垂直に延びる反射源を検出し得るようにしたことを特徴とする。または、タンデム法によって超音波の送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子を被検査体の前後に配置し、被検査体の前後方向に送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子を移動しながら被検査体を探傷して、検出された反射エコーに基づいて前記被検査体の傷を判定する被検査体傷判定装置であって、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の位置を計測する探触子位置計測手段と、検出された反射エコーについて、超音波が送信されてから反射エコーが受信されるまでの時間及び超音波の音速から伝搬距離を算出する伝搬距離算出手段と、前記送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の位置と、前記伝搬距離と、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子を当接した被検査体の表面から底面(背面)までの距離とから、送信用斜角探触子における屈折角と受信用斜角探触子における屈折角とが等しいとして、該屈折角を用いずに、検出された反射エコーの反射源の送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の前後方向、即ち被検査体の前後方向及び表面から底面に向かう方向の2次元位置を算出する反射源位置算出手段と、反射源の位置が複数個算出されたときに、これらの複数の反射源の位置から被検査体内で連続した反射源であると推定できる反射源群を抽出する抽出手段と、抽出された反射源群について一つまたは複数の特徴量を算出する特徴量算出手段と、特徴量算出手段で算出された特徴量に基づいて前記被検査体の表面に対して垂直に延びる反射源を検出し得るようにした判定手段と、を有することを特徴とする。タンデム法による超音波の伝搬距離及び被検査体の表面から底面(背面)までの距離を用いて、反射エコーの反射源の位置を特定することができる。従って、斜角探触子の屈折角に広がりがあったとしても、この屈折角に依存せずに、反射源を特定することができる。送信用斜角探触子における屈折角と受信用斜角探触子における屈折角とを等しいとすることにより、超音波の伝搬距離及び被検査体の表面から底面(背面)までの距離を用いて、反射エコーの反射源の位置を特定することができる。
【0015】
連続した反射源であると推定できる反射源群を抽出することから、その反射源群の特徴によって、傷の判定を正確にできるようになる。
【0016】
また、前記被検査体傷判定方法において、被検査体内で連続した反射源であると推定できる前記反射源群を抽出するのは、算出された各反射源の位置をプロットした場合に得られるであろう断面画像において連結しているプロット点の集合である連結領域を抽出することであり、前記抽出した反射源群について一つまたは複数の特徴量を算出するのは、前記連結領域の一つまたは複数の特徴量を算出すること、とすることができる。または、前記被検査体傷判定装置において、前記抽出手段は、算出された各反射源の位置をプロットした場合に得られるであろう断面画像において連結しているプロット点の集合である連結領域を抽出するものであり、前記特徴量算出手段は、前記連結領域の一つまたは複数の特徴量を算出するものとすることができる。連結領域の特徴量から傷を判定することから、その特徴量によって傷の判定を正確にできるようになる。
【0018】
また、前記被検査体傷判定方法において、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の前後方向をX軸、被検査体の表面から底面(背面)への方向をY軸にとり、被検査体の表面から底面(背面)までの距離をhとし、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子のX軸上の位置をx0±d、Y軸上の位置を0とし、反射エコーの伝搬距離を2rとしたときに、検出された反射エコーの反射源の位置(x,y)を、
【0019】
【数3】
から算出することができる。また、前記被検査体傷判定装置において、前記反射源位置算出手段は、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の前後方向をX軸、被検査体の表面から底面(背面)への方向をY軸にとり、被検査体の表面から底面(背面)までの距離をhとし、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子のX軸上の位置をx0±d、Y軸上の位置を0とし、反射エコーの伝搬距離を2rとしたときに、検出された反射エコーの反射源の位置(x,y)を、
【0020】
【数4】
から算出することができる。
【0021】
また、前記被検査体傷判定方法において、伝搬距離が所定の範囲内である反射エコーのみを対象として反射源の位置の算出処理を行うこととできる。または、前記被検査体傷判定装置において、前記反射源位置算出手段は、前記伝搬距離が所定の範囲内である反射エコーについて反射源の位置を算出することとできる。伝搬距離が所定の範囲内にある反射エコーのみを対象とすることにより、不正な反射エコーやノイズを除去することができる。所定の範囲とは、例えば、入射される超音波の屈折角の広がりに見合った伝搬距離の範囲とするとよい。
【0022】
また、前記被検査体傷判定方法において、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子が当接された被検査体の表面から底面(背面)までの距離を、同じくその表面に当接された超音波の送受信用の垂直探触子により超音波を送信してから底面(背面)で反射したエコーが受信されるまでの時間及び超音波の音速から算出することができる。または、前記被検査体傷判定装置において、さらに、前記被検査体の表面に当接された超音波の送受信用の垂直探触子により超音波を送信してから底面(背面)で反射したエコーが受信されるまでの時間及び超音波の音速から、前記被検査体の表面から底面(背面)までの距離を算出する表面底面間距離算出手段を、有することができる。垂直探触子による超音波の送受信の時間から表面底面間距離を求めることにより、被検査体の表面から底面(背面)までの距離の変化に対応することができる。
【0023】
また、前記被検査体傷判定方法または前記被検査体傷判定装置において、前記被検査体はレールとすることができ、また、超音波レール探傷車におけるレール傷判定装置に使用することができる。また、前記被検査体傷判定方法において、反射源の位置が複数個算出されたときに、算出された各反射源の位置をプロットした場合に得られるであろう断面画像において連結しているプロット点の集合である連結領域を抽出し、連結領域の位置を特徴量とし、さらに、前記タンデム法による送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子以外の超音波の送受信用の一つ以上の垂直または斜角探触子により超音波を送信して検出された反射エコーに基づいて、レールに存在するボルト穴等の人工構造を検出し、前記連結領域の特徴量である位置と、検出された人工構造の位置とが所定の関係にあるとき、その連結領域に対応する反射源が人工構造であると判定することができる。さらに、人工構造を検出した結果に基づいて、レールの継目における遊間部を検出し、前記連結領域の特徴量である位置と、検出された遊間部の位置とが所定の関係にあるとき、その連結領域に対応する反射源が遊間部であると判定することができる。または、前記被検査体傷判定装置において、さらに、反射源の位置が複数個算出されたときに、算出された各反射源の位置をプロットした場合に得られるであろう断面画像において連結しているプロット点の集合である連結領域を抽出する抽出手段と、該連結領域の位置を特徴量として算出する特徴量算出手段と、前記タンデム法による送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子以外の超音波の送受信用の一つ以上の垂直または斜角探触子により超音波を送信して検出された反射エコーに基づいて、レールに存在するボルト穴等の人工構造を検出する人工構造検出手段とを有し、前記判定手段は、前記連結領域の特徴量である位置と、検出された人工構造の位置とが所定の関係にあるとき、その連結領域に対応する反射源が人工構造であると判定することができる。さらには、人工構造検出手段での人工構造の検出結果に基づいて、レールの継目における遊間部を検出する遊間検出手段を有し、前記判定手段は、前記連結領域の特徴量である位置と、検出された遊間部の位置とが所定の関係にあるとき、その連結領域に対応する反射源が遊間部であると判定することができる。人工構造やレールの継目において形成される遊間部を傷と判定することがなく、信頼性の高い傷判定を行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0025】
図1は、本発明による被検査体傷判定方法を実施するための、または本発明による被検査体傷判定装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。被検査体傷判定装置10は、探触子ブロック12、多チャネル超音波送受信部14、探触子位置計測部16、反射エコー検出部18、伝搬距離算出部20、表面底面間距離算出部22、反射源位置算出部24、連結領域抽出部26、特徴量算出部28、人工構造検出部30、遊間検出部32及び判定部34を備えている。以上の各部は、ゲート回路、A/D変換器、カウンタ、論理回路、CPU、メモリ、I/O回路等によって実現することができる。
【0026】
以下、各部の詳細をその作用と共に説明する。
【0027】
探触子ブロック12は、例えば、図6に示すように、タンデム用の送信用及び受信用の斜角探触子(例えば屈折角45°)12A,12B、送受信用の垂直探触子(屈折角0°)12C及び互いに逆向きに設置された2つの送受信用の斜角探触子(例えば屈折角45°)12D,12Eが所定の位置関係で配置されている。なお、タンデム用の送信用斜角探触子12Aを受信用としても用い、送受信用の斜角探触子の一方12Dまたは12Eを兼ねるようにすることも可能である。
【0028】
多チャネル超音波送受信部14は、探触子ブロック12の各探触子12A,12B,12C,12D及び12Eに対応した各チャネル(タンデムチャネル、垂直チャネル、+45°チャネル及び−45°チャネル)の送受信部を備えている。
【0029】
探触子ブロック12はレール1上を接触して移動し、その位置が探触子位置計測部16によって計測される。この際、多チャネル超音波送受信部14は、探触子位置計測部16からの探触子位置データに基づいて、各チャネルとも一定間隔で送信信号を送信用斜角探触子12Aまたは送受信用探触子12C,12D,12Eに出力し、その結果、各探触子の図示しない振動子から超音波パルスがレール1に入射される。この超音波パルスがレール1の傷などで反射し、その反射エコーが受信用斜角探触子12Bまたは送受信用の探触子の振動子12C,12D,12Eで受信される。この受信信号が多チャネル超音波送受信部14で増幅され、反射エコー検出部18へと出力される。
【0030】
反射エコー検出部18は、多チャネル超音波送受信部14からの各チャネルの受信信号を、まず、ゲート回路によって所定の伝搬時間の範囲のみを検出対象として選択してA/D変換する。ゲート回路は、例えば、垂直チャネルではレール表面から入射された超音波が底面で反射して戻って来るのに要する時間に応じたゲート設定がなされる。タンデムチャネルでは、前述のように屈折角とレール高さによって伝搬時間は計算上は定まるが、超音波が幅を持つことや、レールの種類によってレール高さが変わることを見込んでゲートが比較的広く設定される。
【0031】
次に、受信信号レベルと所定の判定レベルを比較し、受信信号レベルが判定レベル以上の場合を反射エコーとして、例えばその受信信号レベルと伝搬時間を検出する。なお、受信信号レベルが連続して判定レベル以上である場合、つまり、反射エコーが時間的に幅を持つ場合は、例えば、受信信号レベルはその極大値とし、伝搬時間には、受信信号レベルが極大値となるときまたは判定レベルを越えたときの伝搬時間を採用してもよい。
【0032】
伝搬距離算出部20は、反射エコー検出部18において検出された各チャネルの反射エコーについて、超音波の音速に伝搬時間を乗ずることによって伝搬距離を算出する。垂直チャネルの超音波は縦波、タンデムチャネル及び±45°チャネルの超音波は横波で、鋼製のレール中の音速はそれぞれ5900m/s、3230m/sである。
【0033】
表面底面間距離算出部22は、垂直チャネルで検出された反射エコーの伝搬距離から表面底面間距離、即ちレール高さを求めるもので、例えば、想定されるレール高さの約2倍の伝搬距離の反射エコーが連続的に検出されていることを条件としてレールの底面からの反射エコーを抽出し、その伝搬距離の1/2をレール高さとすればよい。なお、レールの種類としては、60kg、50T、50kgN、50kgPS、40kgN、37kgA及び30kgAがあり、それぞれのレール高さは174mm、160mm、153mm、144.46mm、140mm、122.24mm及び107.95mmである。
【0034】
反射源位置算出部24は、各チャネルで検出された反射エコーの反射源の位置を算出するものである。タンデムチャネルについては、伝搬距離算出部20で算出された反射エコーの伝搬距離と、表面底面間距離算出部22で算出された表面底面間距離、即ち、レール高さと、送信用斜角探触子12A及び受信用斜角探触子12Bの位置とから、例えば、図7に示すように、送信用斜角探触子12Aにおける屈折角θと受信用斜角探触子12Bにおける屈折角θとが等しいとして反射源の位置を算出する。図7において、レール長手方向にX軸、レール表面をy=0として深さ方向にY軸をとつている。レール高さをhとし、送信用及び受信用の探触子の前後方向すなわちX軸上の位置をx0±d、Y軸上の位置を0とし、X軸において負方向に超音波を送信するものとする。また、反射エコーの伝搬距離は2rである。このとき、反射源の位置(x,y)は次式で求められる。
【0035】
【数5】
尚、超音波をX軸において正方向に送信した場合には、(1)式におけるx0の後の符号−を+に置き換えることで対応することができる。反射エコーの伝搬距離2rは、レール1に入射される超音波の広がり、すなわち中心屈折角と指向角から決まる最小屈折角α及び最大屈折角βによって制限されることになる。最大屈折角βの場合の反射源の位置を図7(b)に、最小屈折角αの場合の反射源の位置を図7(c)に示す。これらの間の関係は、
【0036】
【数6】
である。したがって、最小屈折角α及び最大屈折角βがわかっている場合には、それに応じて決定される伝搬距離rα≦r≦rβの範囲の反射エコーのみを算出対象とすることにより、不正な反射エコーやノイズを除去することができる。
【0037】
その他のチャネルについては、図8に示すように、反射エコーの伝搬距離2rと探触子の位置(x0,0)及び符号付きの屈折角θから、反射源の位置(x,y)は次式で求められる。
【0038】
【数7】
連結領域抽出部26は、各チャネル毎に、反射源位置算出部24で算出された反射源の位置をプロットした場合に得られる断面画像において、連結しているプロット点の集合を一つの連結領域として抽出するものである。これにより、算出された複数の反射源の位置からレール内において連続した反射源と推定できる反射源群を抽出することができる。この抽出は、例えば、ラベリングと呼ばれる画像処理手法を用いて行うことができる。ラベリングは、連結領域ごとにラベル(番号)を割り付ける処理を行うもので、例えば、「コンピュータ画像処理入門」(田村監修 総研出版 1985年)に記載されている。また、別の方法として、特開平9−264881号公報記載の方法を用いることも可能である。後者による連結領域抽出方法について以下に簡単に説明する。
【0039】
まず、反射エコーが検出されてその反射源の位置が算出されるたびに、この位置と、すでに使用されている割付番号を最後に割り付けられた反射エコーの反射源の位置とを比較して、両者の距離が所定範囲である場合に、前記検出された反射エコーに、その既に使用されている割付番号を割り付ける。この所定範囲とは、例えば、以下式(5)〜(7)のいずれかを満足する範囲とすることができる。尚、(x、y)は反射エコーが検出されたときのその反射源の位置であり、(xi,yi)は、割付番号iを最後に割り付けられた反射エコーの反射源の位置であり、p、q、r、sは所定値、max(A、B)はAとBのうちの大きい方を表す。
【0040】
【数8】
割付番号iを割り付けられた反射エコーの反射源(xi,yi)と検出された反射エコーの反射源(x,y)とが、所定範囲にあるときには、反射源(xi,yi)と連結されているものと判定し、その反射エコーに割付番号iを割り付ける。他方、検出されたエコーの反射源(x、y)と反射源(xi,yi)とが上記(5)、(6)、(7)式のいずれかを満足しなかったときには、連結していないものと判定し、前記検出された反射エコーに未使用の割付番号を割り付ける。
【0041】
この処理手順によって、断面画像上での連結領域ごとに異なる割付番号が割り付けられ、その連結領域が抽出されることになる。このようにして抽出される各連結領域は、連続した反射源群、即ちマクロ的な一つの反射源に対応している。
【0042】
特徴量算出部28は、連結領域抽出部26で抽出された各チャネルごとの各連結領域について、特徴量を求めるものである。特徴量としては、まず、連結領域の位置を表すものとして、例えば、連結領域の重心または連結領域の両端点の中心を求める。ここで、連結領域の両端点の位置は、上で説明した連結領域抽出部26での連結領域抽出処理において、ある割付番号を最初に割り付けられた反射エコーと最後に割り付けられた反射エコーの、それぞれの反射源の位置として求められる。別の特徴量として、連結領域の大きさ(例えば、その連結領域に対応する反射エコーの数による)や長さ(例えば、その連結領域の両端点間距離による)、さらに、反射エコー検出部18から反射エコーの受信信号レベルの最大値などを求める。
【0043】
人工構造検出部30は、特徴量算出部28で抽出された特徴量、例えば重心に基づいて、ボルト穴1b等の人工構造を検出するものである。前述したように、ボルト穴に対しては垂直チャネル及び±45°チャネルによって、図4のような断面画像が得られることが判明している。すなわち、この3つのチャネルでのボルト穴1bを反射源とする連結領域の位置関係は決まっている。さらに、ボルト穴1bはレール1の腹部に存在することも判っている。そこで、例えば、「垂直チャネルの連結領域の重心がレール1の腹部に位置し、かつ、その重心位置に対して所定の範囲内に重心位置を有する+45°及び−45°チャネルの連結領域が共に存在すること」を条件としてボルト穴1bを識別することが可能である。この際、ボルト穴1bの中心位置(x,y)は、例えば、垂直チャネルの連結領域の重心位置(p,q)をもとに、kをボルト穴の半径程度の所定値として、x=p、y=q+kにより求められる。
【0044】
なお、他の人工構造である、ボルト穴より小さいボンド穴、メイハン穴も同様にして識別が可能である。
【0045】
遊間検出部32は、人工構造検出部30で検出されたボルト穴の位置関係から、レールの遊間部を検出し、その位置を求めるものである。これは、例えば、特開平10−2887号公報記載の方法を用いて行うことができる。レールの継目においては、図11に示したように、隣合うレール1,1間に継目板6を渡し、継目板6と各レール1,1のボルト穴1b、1b’にボルトを貫通させて、レール1,1及び継目板6を締結している。こうして連結されるレール1,1間に形成される遊間部1cからの反射エコーは不安定となり、遊間部1cを確実に検出することができないので、傷と誤判定してしまうおそれがある。しかしながら、遊間部1cの直ぐ両側に位置するボルト穴1b’とレール1の端面の間隔d1、ボルト穴1b’と遊間部1cの直ぐ両側に位置しないボルト穴1bとの間の間隔d2及びレール1の継目部のボルト穴の個数は、レールの種類(前述の60kg、50T、50kgN、50kgPS、40kgN、37kgA及び30kgA)によって予め定められているので、ボルト穴1b、1b’の位置から遊間部1cを検出することができる。
【0046】
上記種類のレール1は、ボルト穴1b’とレールの端面の間隔d1及びボルト穴1b,1b’間の間隔d2によって、二つのグループに区分することができ、
(1)60kg、50T、50kgN、40kgNの場合
d1=77mm、d2=130mm、ボルト穴数=4又は6
(2)50kgPS、37kg、30kgの場合
d1=60.5mm、d2=127mm、ボルト穴数=4
と定まっている。(1)のグループのレール1では、遊間部1cの両側のボルト穴間1b’、1b’の間隔は、154mm+遊間部の間隔(通常、数mm〜20mm程度)となり、他のボルト穴1b、1b’の間隔d2(即ち130mm)と明白な差異があるため、例えば150mm以上180mm以下の間隔であることを条件として、人工構造検出部30で検出されたボルト穴のうち、レール1の遊間部1cの直ぐ両側に位置するボルト穴1b’、1b’を認識することができる。このボルト穴1b’、1b’を認識することができれば、その中心をレール1の遊間部1cとして判定することができる。一方、(2)のグループに属するレール1では、遊間部1cの両側のボルト穴1b’の間隔は121mm+遊間部1cの間隔であり、他のボルト穴1b間の間隔と略等しく、遊間部1cの両側のボルト穴1b’を間隔だけから識別することは困難である。しかしながら、このグループではボルト穴数が4個と定められているので、4つのボルト穴が略一定間隔で存在することになる。そこで、例えば、120mm以上145mm以下の間隔で4つのボルト穴1b、1b’が検出された場合に、これをレール継目部のボルト穴群であると認識し、その中心をレール1の遊間部1cとする。
【0047】
こうして、遊間検出部32において、人工構造検出部30で検出されたボルト穴の位置関係から、レールの遊間部1cを検出する。
【0048】
次に、判定部34は、人工構造検出部30で検出された人工構造に対応する連結領域以外の連結領域について、その特徴量に基づいて、傷であるか否か及び傷と判定した場合の重大性の判定等を行う。
【0049】
タンデムチャネルにおいては、図9に示すようにボルト穴1b等を反射源とする反射エコーが観測されることがある。したがって、タンデムチャネルでの連結領域の特徴量、例えば重心が、人工構造検出部30で検出されたボルト穴1bの中心に対して所定範囲内に位置する場合は、その連結領域はボルト穴1bを反射源とする反射エコーによるものであると判定する。ボンド穴やメイハン穴についても同様に判定できる。
【0050】
また、タンデムチャネルにおいては、図10に示すようにレールの継目の遊間部1cで、レール1の端面を反射源とする反射エコーが観測されることがあり、同様にして、例えば、タンデムチャネルでの連結領域の特徴量が遊間検出部32で重心位置が検出された遊間部の位置に対して所定の範囲内となっている連結領域を、レール遊間部からの反射エコーによるものであると判定する。
【0051】
さらに、レール遊間部においては他のチャネルでも反射エコーが観測されることがあり、例えば、他チャネルでの連結領域の特徴量が遊間検出部32で重心位置が検出された遊間部の位置に対して所定の範囲内となっている連結領域を、レール遊間部からの反射エコーによるものであると判定する。
【0052】
以上によって人工構造もしくはレール遊間部からの反射エコーによる連結領域であると判定されなかった連結領域に対しては、レール傷としての判定を行う。この判定は、例えば次の様にして行う。まず、チャネルの種類によって、垂直チャネルでは水平裂、±45°チャネルでは傾き45°程度の横裂、タンデムチャネルでは縦割れと判定する。また、連結領域の大きさや最大エコー高さによって、傷の重大性を判定する。
【0053】
反射源位置算出部24で算出された各反射エコーの反射源位置を表したレールの断面画像や判定結果は、図1に示していない表示部や記録部によって、表示及び記録される。これらには、例えば、CRTでの画面表示、ハードディスク等の記憶媒体への記録、記録紙への印字等の方法が用いられる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1ないし18記載の発明によれば、タンデム法で検出された反射エコーについても、その伝搬距離及び被検査体の表面から背面までの距離から反射源の位置を算出し、反射源の実体に即した情報から信頼性の高い傷判定を行うことが可能となる。
【0055】
また、請求項5または14記載の発明によれば、探傷途中で被検査体の表面から底面(背面)までの距離が変わったとしても、問題なく上記の反射源の位置の算出ができる。
【0056】
さらに、請求項8,9,17または18記載の発明によれば、被検査体がレールの場合には、ボルト穴のような人工構造や、継目での遊間部(レール端面)を傷と判定することはなく、信頼性の高い傷判定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による被検査体傷判定装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】従来の鉄道レールなどを超音波で探傷する際の計測状態を示す斜視図である。
【図3】図2の超音波探傷装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】ボルト穴付近におけるBスコープ画像図である(ボルト穴を重畳して表す)。
【図5】タンデム法の原理を表す説明図である。
【図6】探触子ブロックの構成を表す説明図である。
【図7】タンデム用の送信用及び受信用の斜角探触子と、反射エコーの反射源との位置関係を表す説明図である。
【図8】送受信用斜角探触子と、反射エコーの反射源との位置関係を表す説明図である。
【図9】タンデム用の送信用及び受信用の斜角探触子と、ボルト穴との位置関係を表す説明図である。
【図10】タンデム用の送信用及び受信用の斜角探触子と、レールの継目部との位置関係を表す説明図である。
【図11】レールの継目部の構成の説明図である。
【符号の説明】
1 レール
1b ボルト穴
1c 遊間部
12A 送信用斜角探触子
12B 受信用斜角探触子
12C 垂直探触子
16 探触子位置計測部(探触子位置計測手段)
22 表面底面間距離算出部(表面底面間距離算出手段)
24 反射源位置算出部(反射源位置算出手段)
26 連結領域抽出部(抽出手段)
28 特徴量算出部(特徴量算出手段)
30 人工構造検出部(人工構造検出手段)
34 判定部(判定手段)
Claims (18)
- 超音波の送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子を被検査体の前後に配置したタンデム法によって被検査体の前後方向に送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子を移動しながら探傷して、検出された反射エコーに基づいて前記被検査体の傷を判定する被検査体傷判定方法であって、
送信用斜角探触子から超音波が送信されてから受信用斜角探触子において反射エコーが受信されるまでの時間及び超音波の音速から算出される伝搬距離と、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子が当接された被検査体の表面から底面(背面)までの距離と、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の位置とから、送信用斜角探触子における屈折角と受信用斜角探触子における屈折角とが等しいとして、該屈折角を用いずに、検出された反射エコーの反射源の送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の前後方向、即ち被検査体の前後方向及び表面から底面に向かう方向の2次元位置を算出し、
反射源の位置が複数個算出されたときに、これらの複数の反射源の位置から被検査体内で連続した反射源であると推定できる反射源群を抽出し、
次に、抽出した反射源群について一つまたは複数の特徴量を算出して、その特徴量に基づいて前記被検査体の表面に対して垂直に延びる反射源を検出し得るようにした、被検査体傷判定方法。 - 請求項1記載の被検査体傷判定方法において、
被検査体内で連続した反射源であると推定できる前記反射源群を抽出するのは、算出された各反射源の位置をプロットした場合に得られるであろう断面画像において連結しているプロット点の集合である連結領域を抽出することであり、
前記抽出した反射源群について一つまたは複数の特徴量を算出するのは、前記連結領域の一つまたは複数の特徴量を算出することである被検査体傷判定方法。 - 請求項1または2に記載の被検査体傷判定方法において、
送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の前後方向をX軸、被検査体の表面から底面(背面)への方向をY軸にとり、被検査体の表面から底面(背面)までの距離をhとし、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子のX軸上の位置をx0±d、Y軸上の位置を0とし、反射エコーの伝搬距離を2rとしたときに、検出された反射エコーの反射源の位置(x,y)を、
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の被検査体傷判定方法において、
伝搬距離が所定の範囲内である反射エコーのみを対象として反射源の位置の算出処理を行うことを特徴とする被検査体傷判定方法。 - 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の被検査体傷判定方法において、
送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子が当接された被検査体の表面から底面(背面)までの距離を、同じくその表面に当接された超音波の送受信用の垂直探触子により超音波を送信してから底面(背面)で反射したエコーが受信されるまでの時間及び超音波の音速から算出することを特徴とする被検査体傷判定方法。 - 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の被検査体傷判定方法において、前記被検査体はレールである被検査体傷判定方法。
- 請求項6記載の被検査体傷判定方法は、超音波レール探傷車におけるレール傷判定装置に使用される被検査体傷判定方法。
- 請求項6または7記載の被検査体傷判定方法において、
反射源の位置が複数個算出されたときに、算出された各反射源の位置をプロットした場合に得られるであろう断面画像において連結しているプロット点の集合である連結領域を抽出し、連結領域の位置を特徴量とし、
さらに、前記タンデム法による送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子以外の超音波の送受信用の一つ以上の垂直または斜角探触子により超音波を送信して検出された反射エコーに基づいて、レールに存在するボルト穴等の人工構造を検出し、
前記連結領域の特徴量である位置と、検出された人工構造の位置とが所定の関係にあるとき、その連結領域に対応する反射源が人工構造であると判定する被検査体傷判定方法。 - 請求項8記載の被検査体傷判定方法において、さらに、
人工構造を検出した結果に基づいて、レールの継目における遊間部を検出し、前記連結領域の特徴量である位置と、検出された遊間部の位置とが所定の関係にあるとき、その連結領域に対応する反射源が遊間部であると判定する被検査体傷判定方法。 - タンデム法によって超音波の送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子を被検査体の前後に配置し、被検査体の前後方向に送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子を移動しながら被検査体を探傷して、検出された反射エコーに基づいて前記被検査体の傷を判定する被検査体傷判定装置であって、
送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の位置を計測する探触子位置計測手段と、
検出された反射エコーについて、超音波が送信されてから反射エコーが受信されるまでの時間及び超音波の音速から伝搬距離を算出する伝搬距離算出手段と、
前記送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の位置と、前記伝搬距離と、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子を当接した被検査体の表面から底面(背面)までの距離とから、送信用斜角探触子における屈折角と受信用斜角探触子における屈折角とが等しいとして、該屈折角を用いずに、検出された反射エコーの反射源の送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の前後方向、即ち被検査体の前後方向及び表面から底面に向かう方向の2次元位置を算出する反射源位置算出手段と、
反射源の位置が複数個算出されたときに、これらの複数の反射源の位置から被検査体内で連続した反射源であると推定できる反射源群を抽出する抽出手段と、
抽出された反射源群について一つまたは複数の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
特徴量算出手段で算出された特徴量に基づいて前記被検査体の表面に対して垂直に延びる反射源を検出し得るようにした判定手段と、を有する被検査体傷判定装置。 - 請求項10記載の被検査体傷判定装置において、
前記抽出手段は、算出された各反射源の位置をプロットした場合に得られるであろう断面画像において連結しているプロット点の集合である連結領域を抽出するものであり、
前記特徴量算出手段は、前記連結領域の一つまたは複数の特徴量を算出するものである被検査体傷判定装置。 - 請求項10または11記載の被検査体傷判定装置において、
前記反射源位置算出手段は、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子の前後方向をX軸、被検査体の表面から底面(背面)への方向をY軸にとり、被検査体の表面から底面(背面)までの距離をhとし、送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子のX軸上の位置をx0±d、Y軸上の位置を0とし、反射エコーの伝搬距離を2rとしたときに、検出された反射エコーの反射源の位置(x,y)を、
- 請求項10ないし12のいずれか1項に記載の被検査体傷判定装置において、
前記反射源位置算出手段は、前記伝搬距離が所定の範囲内である反射エコーについて反射源の位置を算出する被検査体傷判定装置。 - 請求項10ないし13のいずれか1項に記載の被検査体傷判定装置において、さらに、
前記被検査体の表面に当接された超音波の送受信用の垂直探触子により超音波を送信してから底面(背面)で反射したエコーが受信されるまでの時間及び超音波の音速から、前記被検査体の表面から底面(背面)までの距離を算出する表面底面間距離算出手段を、
有する被検査体傷判定装置。 - 請求項10ないし14のいずれか1項に記載の被検査体傷判定装置において、前記被検査体はレールである被検査体傷判定装置。
- 請求項15記載の被検査体傷判定装置は、超音波レール探傷車におけるレール傷判定装置に使用されるものである被検査体傷判定装置。
- 請求項15または16記載の被検査体傷判定装置において、さらに、
反射源の位置が複数個算出されたときに、算出された各反射源の位置をプロットした場合に得られるであろう断面画像において連結しているプロット点の集合である連結領域を抽出する抽出手段と、該連結領域の位置を特徴量として算出する特徴量算出手段と、
前記タンデム法による送信用斜角探触子及び受信用斜角探触子以外の超音波の送受信用の一つ以上の垂直または斜角探触子により超音波を送信して検出された反射エコーに基づいて、レールに存在するボルト穴等の人工構造を検出する人工構造検出手段とを有し、
前記判定手段は、前記連結領域の特徴量である位置と、検出された人工構造の位置とが所定の関係にあるとき、その連結領域に対応する反射源が人工構造であると判定する被検査体傷判定装置。 - 請求項17記載の被検査体傷判定装置において、さらに、
人工構造検出手段での人工構造の検出結果に基づいて、レールの継目における遊間部を検出する遊間検出手段を有し、
前記判定手段は、前記連結領域の特徴量である位置と、検出された遊間部の位置とが所定の関係にあるとき、その連結領域に対応する反射源が遊間部であると判定する被検査体傷判定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33826099A JP4500390B2 (ja) | 1999-11-29 | 1999-11-29 | 被検査体傷判定方法及び被検査体傷判定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33826099A JP4500390B2 (ja) | 1999-11-29 | 1999-11-29 | 被検査体傷判定方法及び被検査体傷判定装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001153846A JP2001153846A (ja) | 2001-06-08 |
JP4500390B2 true JP4500390B2 (ja) | 2010-07-14 |
Family
ID=18316455
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33826099A Expired - Fee Related JP4500390B2 (ja) | 1999-11-29 | 1999-11-29 | 被検査体傷判定方法及び被検査体傷判定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4500390B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5625919B2 (ja) * | 2011-01-05 | 2014-11-19 | Jfeスチール株式会社 | 表層欠陥検出装置 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5271290A (en) * | 1975-12-11 | 1977-06-14 | Nippon Steel Corp | Display of sectional flaw detection in ultrasonic tandem scanning |
JPS6396551A (ja) * | 1986-10-14 | 1988-04-27 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 超音波探傷装置 |
JP2531873B2 (ja) * | 1991-07-29 | 1996-09-04 | 株式会社神戸製鋼所 | 表層欠陥探傷方法 |
JPH102887A (ja) * | 1996-06-14 | 1998-01-06 | Tokimec Inc | 被検査体傷判定方法及び装置 |
JPH1183817A (ja) * | 1997-09-03 | 1999-03-26 | Toshiba Corp | 管溶接部検査装置および超音波探傷方法 |
JPH11201948A (ja) * | 1998-01-12 | 1999-07-30 | Hitachi Constr Mach Co Ltd | 斜角探傷法およびその波形表示方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11118770A (ja) * | 1997-10-20 | 1999-04-30 | Tokimec Inc | 超音波探傷方法及び装置 |
-
1999
- 1999-11-29 JP JP33826099A patent/JP4500390B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5271290A (en) * | 1975-12-11 | 1977-06-14 | Nippon Steel Corp | Display of sectional flaw detection in ultrasonic tandem scanning |
JPS6396551A (ja) * | 1986-10-14 | 1988-04-27 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 超音波探傷装置 |
JP2531873B2 (ja) * | 1991-07-29 | 1996-09-04 | 株式会社神戸製鋼所 | 表層欠陥探傷方法 |
JPH102887A (ja) * | 1996-06-14 | 1998-01-06 | Tokimec Inc | 被検査体傷判定方法及び装置 |
JPH1183817A (ja) * | 1997-09-03 | 1999-03-26 | Toshiba Corp | 管溶接部検査装置および超音波探傷方法 |
JPH11201948A (ja) * | 1998-01-12 | 1999-07-30 | Hitachi Constr Mach Co Ltd | 斜角探傷法およびその波形表示方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001153846A (ja) | 2001-06-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN110687208A (zh) | 一种基于双曲线定位的无基准Lamb波损伤监测方法 | |
WO2008099177A1 (en) | Photographic recording of a rail surface | |
CN111521136B (zh) | 一种基于水平剪切波的钢筋混凝土结构裂缝深度检测方法及检测装置 | |
EP1271097A2 (en) | Method for inspecting clad pipe | |
JP4952489B2 (ja) | 探傷方法及び装置 | |
JP4500390B2 (ja) | 被検査体傷判定方法及び被検査体傷判定装置 | |
JP2009058238A (ja) | 欠陥検査方法および装置 | |
JP4500391B2 (ja) | 超音波探傷画像表示方法及び超音波探傷画像表示装置 | |
JP4527238B2 (ja) | 超音波レール探傷装置 | |
EP1680667B1 (en) | Method and apparatus for ultrasonic testing of an object | |
JP4632475B2 (ja) | 反射源位置特定方法、反射源位置特定装置、被検査体傷判定方法及び被検査体傷判定装置 | |
KR20150023434A (ko) | 강재의 품질 평가 방법 및 품질 평가 장치 | |
JP4632474B2 (ja) | 超音波探傷画像表示方法及び超音波探傷画像表示装置 | |
JPH102887A (ja) | 被検査体傷判定方法及び装置 | |
JP3638174B2 (ja) | 被検査体傷判定方法及び装置 | |
JP3637146B2 (ja) | 被検査体傷判定方法及び装置 | |
JP2006220570A (ja) | 底部腐食検知装置及び底部腐食検知方法 | |
JP3616193B2 (ja) | 被検査体傷判定方法及び装置 | |
JP5043627B2 (ja) | レール底部腐食量測定装置及び測定方法 | |
JP2002243703A (ja) | 超音波探傷装置 | |
JPH07333201A (ja) | 配管の超音波探傷方法 | |
JP4738243B2 (ja) | 超音波探傷システム | |
CN209821382U (zh) | 一种动态平面高度测量传感器及高度测量系统 | |
JP3579145B2 (ja) | 超音波探触子 | |
CN113311072A (zh) | 一种钢轨应力检测方法及系统 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20061005 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090217 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090929 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20091130 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100112 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20100305 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100315 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20100406 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20100419 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130423 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4500390 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140423 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |