本発明の実施形態に係るワーキングメータについて図1ないし図9に基づいて説明する。図1は本実施形態に係るワーキングメータの正面断面図、上面断面図、側面図及び側面半断面図、図2は本実施形態に係るワーキングメータを取り付ける油圧ブレーカ、図3は図2の一部透過図、図4は本実施形態に係るワーキングメータの回路ブロック図、図5は本実施形態に係るワーキングメータの回路図、図6及び図7は本実施形態に係るワーキングメータの動作フローチャート、図8は本実施形態に係るワーキングメータの期間関係図、図9はである本実施形態に係るワーキングメータのリーダー機の正面図である。図1(a)は側面図、図1(b)は上面断面図、図1(c)は側面半断面図、図1(d)は正面断面図、図1(e)は正面図である。
前記各図において本実施形態に係るワーキングメータは、衝撃に応じて検出電圧を発生させる衝撃センサーと、電流を生じる電池部と、この電池部からの電流の供給を受け、前記衝撃センサーからの検出電圧発生時から検出電圧が発生しなくなるまでの測定時間を測定する制御部3と、測定時間を積算した積算時間を記憶する記憶部4と、外部から記憶部4に記憶している積算時間を読み出すだめの外部インターフェース5と、電池部2から制御部3への電流をスイッチするスイッチ部7と、前記衝撃センサー1、電池部2、制御部3、記憶部4、外部インターフェース5、時定数部6及びスイッチ部7を内部に配設する外装ケース8とからなり、前記電池部2が複数の電池を結合したものからなり、前記外装ケース8、電池部2、制御部3、記憶部4、時定数部6及びスイッチ部7の間に樹脂を配設した構成である。また、前記衝撃センサー1からの検出電圧をスイッチ信号としてこのスイッチ信号が出力されている間スイッチ部7が投入状態となって電池部2から制御部3へ電流を供給し、制御部3が記憶部4から積算時間を読出し、当該読み出した積算時間と測定時間とを足して積算時間とし記憶部4に書き込む構成である。なお、図4の一点鎖線は制御部3への電流供給ラインを示す。
前記衝撃センサー1は金属板上に検出手段としての圧電素子を配設することで形成される。この圧電素子は、圧電セラミックス等の圧電体層の両面に電極を有し形成される。ここで、衝撃センサー1は、このような形成に限定されることなく、衝撃を検出でき、小型のものであればよい。特に、本発明においては、強振動下で使用されるため、衝撃センサー1の重量が小さいことが好ましい。
前記電池部2は、複数の電池を直列接続若しくは並列接続したものであり、この電池は扁平な形状をし、所謂コイン型電池、ボタン型電池等が該当する。この電池は、ステンレス製の正極缶に二酸化マンガンからなる正極を圧着し、この圧着した正極をセパレータで覆い、覆ったセパレータの上面にリチウム合金からなる負極を圧着し、負極缶を正極缶とパッキングを介して嵌め合わせたものである。ただし、この電池の構成は、コイン型電池の例示に過ぎず、他の構成の電池(マンガン電池、アルカリ電池、Ni・Cd蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン蓄電池)でよく、例えば、正極の構成物質や負極の構成物質が異なる電池(酸化銀電池、空気電池)でもよい。扁平な形状をした電池は、正極、セパレータ及び負極が、外形にしたがって扁平な形状をしており、正極、セパレータ及び負極の対面方向の振動には強いが、この対面方向と垂直な方向の振動には弱い。この原因としては、対面方向と垂直な方向の振動が加わると、それぞれが元位置からずれることとなり、正極と負極がセパレータから離反することでセパレータが破壊され、正極と負極が交わり電子の正常な移動が不可能となって電流を供給することができなくなるからである。したがって、ワーキングメータを取り付ける場合には、電池の面方向を考慮して、振動方向に耐振動性のある方向で電池部を配設する必要がある。すなわち、振動方向に対して電池の長手方向が垂直になるように配設することが望ましい。ここで、複数の電池から電池部2を構成しているのは、大きな電池を1つでも当然に電池部2を構成することも可能なのであるが、大きな電池1つで電池部2を構成した場合には、振動時にこの大きな電池に自重が掛り、外装ケース8内部で振動する。この振動した大きな電池が同様に外装ケース8内に配設された他の構成要素に接触し、接触した構成要素に大きな衝撃を与えて損傷させる。また、振動した大きな電池は、外装ケース8にも接触し、大きな電池自体が損傷する可能性がある。樹脂を形成することで緩衝作用が働きこれらの損傷は防止することができるものの、やはり、振動時に大きな電池に大きな力が働くので確実ではない。そこで、電池部2を複数の電池から構成し、それぞれの電池の大きさを小さくする。このように小さくした電池に振動時にかかる自重も当然小さくなり、他の構成要素と接触した場合の衝撃も抑えることができる。電池部2を複数の電池から構成した上で、樹脂を形成することで、それぞれの電池で生じていた振動をより抑えることができる。
前記制御部3は、抵抗器、コンデンサ、ダイオード、FET、EEPROM、MPU、CPU等の素子・部品をプリント基板に実装して構成される。MPUやCPUのチップを使用しなくとも制御部3を構成することはできるが、一般的にMPUやCPUを用いなければ実装された制御部3が大きくなったり、重くなったりするので、適宜、MPUやCPUを用いて小型化、軽量化を実現した方が本ワーキングメータ自体の自重が軽くなり強振動下でも壊れ難いものを製造することができる。
また、この制御部3は、所定期間毎に一定期間のみ動作し(ここでの所定期間を以下第1の所定期間とする)、当該一定期間外は電力消費の少ないモードで待機する(図8(b)参照)。ここでの動作とは、本ワーキングメータ固有の動作を指し、制御部3をマイコンで実装するとすればマイコンがオン状態で少なくとも常時必要とするような動作は対象とならない。ワーキングメータ固有の動作とは、測定時間を測定する動作、積算時間と測定時間とを足して積算時間とし記憶部4に書き込む動作等が該当する。測定時間を測定する時間を一定期間のみ動作させたとしても、一定期間外の時間がカウントされないわけでなく、第1の所定時間毎の一定期間であるから、一定期間外の時間も判明する。例えば、1000[ms](1[s])毎に20[ms]のみ動作させるとすれば、一定時間外の時間は1000[ms]−20[ms]=980[ms]となる。ただし、この方式により1回の測定時間の測定において最大±980[ms]の誤差が生じる。このような誤差は生じるものの、1000[ms]中で20[ms]のみしか動作していないために、消費電力の大幅な低減には繋がる。
また、制御部3は、一定期間の衝撃センサー1から発生する検出電圧の少なくとも一つが既定電圧レベルより小さい検出電圧であるとき、測定時間を測定しない。既に、「制御部は、所定期間毎に一定期間のみ動作し、当該一定期間外は電力消費の少ないモードで待機する」と説明したが、ここでの「一定期間」(以下、動作するための一定期間)は、「制御部は、一定期間の衝撃センサーから発生する検出電圧の少なくとも一つが既定電圧レベルより小さい検出電圧であるとき、測定時間を測定しない。」における「一定期間」(測定のための一定期間)を包含する(図8(a)参照)。言い換えると、動作するための一定期間の一部が測定のための一定期間となる。すなわち、動作するための一定期間の大半の期間に制御部3は、衝撃センサー1から発生する検出電圧うち少なくとも一つでも既定電圧レベルより小さい検出電圧がないか否かを判断し、既定電圧レベルより小さい検出電圧がなければ、電力消費の少ないモードで待機する。ここで、既定電圧レベルより小さい検出電圧が一つでもあれば、制御部3は測定時間の測定を止め、何もしないか、若しくは、測定時間と積算時間とを足して積算時間として記憶部に書き込み、動作を終了する。ただし、動作するための一定期間内で、現在の動作では測定のための一定期間が大半を占めているが、当然他の処理が入ってきてもよい。
また、制御部3は、前記記憶部4から積算時間を読出し、当該読み出した積算時間と測定時間とを足して積算時間とし記憶部4に書き込むが(以下、この動作を積算時間書込み動作とする。)、所定期間毎に積算時間書込み動作を行うこととする(ここでの所定期間を以下第2の所定期間とする)。この積算時間書込み動作は、前記衝撃センサー1からの検出電圧が発生しなくなり制御部3が動作しなくなるまでに最低一回行われれば、正しい積算時間が記憶部4に書き込まれることとなる。しかし、第2の所定期間毎に積算時間書込み動作を行うことにより、異常事態が生じた場合も、最大第2の所定期間の誤差が生じるだけで、復帰後、再び測定時間の測定する動作に移行することができる。すなわち、図8(d)を用いて説明すると、11個のセルがあった場合に、前者の方法を用いれば11個目のセルだけで積算時間書込み動作を行うこととなる。後者の方法を用いれば各セル毎に積算時間書込み動作を行うこととなる。6個目のセルで異常事態が生じた場合に、前者の方法では1個目から6個目までの期間は積算時間に加算されないが、後者の方法では1個目から5個目までの期間は積算時間に既に加算されている。なお、ここでの「第2の所定期間」と、第1の期間とは設定次第で同一とすることもできるが、異なっていてもよい。ただし、積算時間書込み動作は、記憶部4に書き込むため、実装の仕方にもよるが外部処理になるため電力消費も大きく、前記第1の所定期間より少なくとも数倍は長い方が好ましい(図8(c)の場合10倍にしており、2重枠線の10番目のセルで積算時間書込み動作を行う)。既に例示した第1の所定期間を1000[ms]とすると、例えば、積算時間書込み動作における第2の所定期間は10000[ms]となる。
前記記憶部4は、具体的には、EEPROM、EPROMからなり、これ以外の記憶素子から構成されていてもよく、また、制御部3と共にマイクロプロセッサ3aにより実装されていてもよい。
外部インターフェース5に外部機器が接続され、記憶部4から制御部3を介して積算時間を読み出す場合には、電池部2から電流を供給することなく、外部機器から外部インターフェース5を介して制御部3等のための電流を供給することとする。このようにすることで、外部機器により本ワーキングメータが動作しなければならないとき電池部2の電力消費量がない。
時定数部6は、衝撃がなくなって衝撃センサー1からのスイッチ信号がなくなっても一定時間の間、衝撃センサー1に代わってスイッチ信号を出力するものである。この時定数部より、衝撃を衝撃センサー1が受けなくなっても、一定の時間電池部2から制御部3へ電流を供給することができる。時定数部6は、例えば、コンデンサにより構成することができ、すなわち、コンデンサに電荷を貯め、電流の供給がなくなった時点で貯まった電荷を開放し、スイッチ信号とすることができる。
スイッチ部7は、スイッチング機能を有するものであれば、どのような素子を使用してもよく、代表的なものに、MOSFET、トランジスタがある。
前記外装ケース8は、耐振性に優れるだけではなく、耐候性、耐衝撃性、耐水性、耐摩耗性、耐油性等を有していることが好ましく、油圧ブレーカに本ワーキングメータが配設されて用いられる場合には、特に、強振動下で用いられることになるので耐振性、油圧を用いているので耐油性、振動することで岩石等と接触する可能性があるので耐衝撃性、野外で使用されるので耐水性・耐候性を有していることが好ましい。このような性質を有するものとして金属、具体的には、ステンレス材(特に、自動車、航空機、産業機械などに用いられる構造用ステンレス)やアルミニウム合金を用いて外装ケースは作成される。なお、ここで、ステンレス材等は例示にすぎず、上記性質の少なくとも一つを有する物質から構成される外装ケース8であればよい。
外装ケース8は、箱体の形状を有し、さらに鍔部を有し、この鍔部に止め具用の複数穴が形成されており、外部インタフェース5が配設されている面だけ、外部インタフェース5に外部機器のプラグ14aが接続できるように外部インタフェース5の形状に沿って穴が形成されている。なお、外部インタフェース5の形状に沿って穴が形成されるのは、有線通信による情報のやり取りをする場合であって、無線通信を用いる場合にはこのような穴は必要ない。ただし、無線通信をより円滑に行えるように外部インタフェース5の配設位置周辺に小さな穴を形成したり、その周辺のみ外装ケース8の側壁の厚みを薄く形成することもできる。また、穴が形成されている場合には、穴の形状に合ったゴム製蓋を穴に嵌めることで、水、油、ホコリの侵入を防ぎ、リーダー機14と接続している場合にだけゴム製蓋を外し穴が露出するようにすることができる。
この外装ケース8内に衝撃センサー1、電池部2、制御部3、外部インターフェース5等を配設するのであるが、ワーキングメータ自体が受ける振動の大きさにもよるが衝撃センサー1は外部からの衝撃を受けて検出電圧を生じさせる必要があるために、電池部2、制御部3及び外部インターフェース5の配設形態とは異なって、外装ケースに直接配設して衝撃を受けやすくするのが好ましい。ここで、衝撃センサー1と制御部3等を結ぶ配線系統は、衝撃をそのまま受けている衝撃センサー1と、出来る得る限り衝撃を緩衝してかかる緩衝した衝撃を受けている制御部3等とを接続させているために、例えば、銅線で接続している場合に、半田付けして銅線と衝撃センサーとを接続させるだけでなく、半田付けしていない部分を樹脂で覆って銅線と衝撃センサーとの接続をより強固なものとしておくことが好ましい。半田付けしている部分を更に、樹脂により覆ってもより強固な接続となる。また、外装ケース8内に衝撃センサー1、電池部2、制御部3、外部インターフェース5等を配設すると説明したが、外装ケース8には複数の仕切り81が設けられ、前記電池部2の電池、制御部3、記憶部4、外部インターフェース5、時定数部6及びスイッチ部7はこの複数の仕切り81に配設されている。なお、制御部3、記憶部4及び時定数部6は、一つの仕切り81に配設され、この仕切り81が制御基盤となっている。この仕切り81がワーキングメータの構成要素である衝撃センサー1、電池部2、制御部3、外部インターフェース5等をそれぞれ離間させて位置させている。このように離間させておけば、樹脂をディスペンサにより塗布するときも離間距離が一定となって作業性がよい。ただし、外装ケース8に仕切り81を設けられ、この設けられた仕切81りにワーキングメータの構成要素を配設してもよいし、仕切り81を外装ケース8に設ける前に、外部でワーキングメータの構成要素を仕切り81に配設し、ワーキングメータの構成要素が配設された仕切り81を外装ケース8に設けてもよい。同様に、樹脂の形成も、外装ケース8に仕切り81を設ける前に行ってもよいし、外装ケースに仕切り81を設けた後に行ってもよい。特に、仕切り81が可撓性を有している場合には、樹脂による緩衝作用に加えて、この仕切り81の可撓性による緩衝作用も生じ、相乗効果により、より効果的に各構成要素の損傷を防止することができる。
前記樹脂は、熱可塑性樹脂若しくは熱硬化性樹脂であり、この熱可塑性樹脂を、外装ケース8に電池部2と制御部3を配設した状態で、例えば、ディスペンサにより外装ケース8内に注入充填する。なお、予め衝撃センサー1は、振動を検出可能なように外装ケース8の側面に両面テープ、接着剤等で接着して固定されている。ディスペンサによって注入充填する以外に、射出成形法によって樹脂を成形する方法もあり、外装ケース8内の衝撃センサー1と電池部2と制御部3に影響を与えない方法であれば種々の方法が適用できる。外装ケース8内の衝撃センサー1と電池部2と制御部3に影響を与えるとは、例えば、高圧による破損、高温による燃焼等が該当する。熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、HIPS、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどの塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系液晶ポリマー、ウレタン系樹脂、ナイロン系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ユリア系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、及び、これら樹脂を組み合わせたものが該当する。これらの樹脂に、ガラス繊維、充填剤、他の樹脂添加剤を加えたものでよい。前記熱硬化性樹脂による場合には、浸漬法、トランスファー成形法、注型法、流動浸漬法を用いることで樹脂を外装ケース内に成形することができる。
この樹脂をディスペンサ等により塗布して、前記外装ケース8、電池部2、制御部3及び記憶部4の間に樹脂を形成する。しかし、前記外装ケース8、電池部2、制御部3、記憶部4、時定数部6及びスイッチ部7の間に樹脂を形成するだけでなく、衝撃センサー1、外部インタフェース5にも樹脂を形成することができる。ただし、衝撃センサー1に樹脂を形成する場合には、かかる樹脂の緩衝作用により衝撃センサー1が適切に衝撃を検出できなくなるのを防止すべく、例えば、全面に樹脂を塗るのではなく、他の部品との接触する部分のみに樹脂を形成する。このように形成することで、衝撃センサー1が適切に衝撃を検出することができる状態を維持したままで、さらに、衝撃センサー1に隣接して外装ケース8内に配設してある他の構成要素と接触することを防止することができ、構成要素の損傷を防止することができる。同様に、外部インタフェース5に樹脂を形成する場合には、かかる樹脂がプラグ14aと接続する面を覆うことで情報のやり取りが外部とできないことを防止すべく、例えば、接続する面以外の部分に樹脂を形成する。このように形成することで、外部インタフェース5に適切に外部機器が接続することができ情報のやり取りができると共に、外部インタフェース5に隣接して外装ケース8内に配設してある他の構成要素と接触することを防止することができ、接触による構成要素の損傷及び振動によるこの外部インタフェース5の損傷をも防止することができる。
外装ケース8内に樹脂を配設した後に、外装ケース底面に外装ケースの開口部分を略覆うように金属板を配設する。このような金属板を配設することで、本ワーキングメータを油圧ブレーカ9に取り付けたときに、底面が平らとなって取り付け作業を円滑に行うことができる。この金属板は外装ケース8と直接ねじ等で固定してもよいが、容易に金属板を配設する方法として、まだ樹脂が固まっていない配設直後に金属板を圧入することで、樹脂に金属板がめり込み、このめり込んだ状態で金属板が固定されることで配設を容易に行う方法がある。ただし、外装ケース8の開口部分と金属板が同一面積の場合には圧入が円滑に行うことができないため、若干金属板の面積を小さくすることが望ましい。同一面積の金属板の場合には、金属板に幾つかの孔を設けることで、圧入の際に樹脂がかかる孔から流出し固まり圧入を容易にし且つ樹脂により金属板が確実に固定される。この金属板は、外装ケース8に内設されている各構成要素を保護してもいる。
次に、本実施形態に係るワーキングメータの使用動作について説明する。その前に、本ワーキングメータを取り付ける油圧ブレーカ9及びこの油圧ブレーカ9の取り付け動作について説明する。
この油圧ブレーカ9は、図2及び図3に示すように、ブレーカ本体91と、ブレーカ本体の一部に両面から挟着するブラケット92とからなり、ブレーカ本体91の先端にチゼル91aが形成されている構成である。油圧ブレーカ9は、ブレーカ本体91が作動油供給路を介して油圧系統と接続して作動油の油圧により内部にあるピストン(図示しない)が上下運動を繰り返し、ピストンの延長上に位置するチゼル91aも同様に上下に振動をし、チゼル91aの先端に触れた岩石等が破砕される仕組みである。
この油圧ブレーカ9に本ワーキングメータを取り付ける場合には、チゼル91aにより破砕された岩石の破片の飛散により損傷しないように、出来る得る限り破片が飛んでこない位置に取り付けるか、ワーキングメータを岩石の破片から保護する機構を設けた上で取り付けることが好ましい。破片が飛んでこない位置としては、例えば、ブレーカ本体91とブランケット92とに取り囲まれた領域、特に、かかる領域で凸が形成されている箇所でチゼル91aから直線上に見えない位置などが好ましい。具体的には、ブランケット92内の固定ボルト93の周辺などが好ましい。ワーキングメータを岩石の破片から保護する機構とは、岩石の破片の飛散を防ぐようにワーキングメータの外形より若干大きめの箱状の凸部が該当し、その凸部の内部にワーキングメータを取り付けることで完全に岩石の破片の飛散から守ることができる。他にも、ブレーカ本体91とブランケット92とに取り囲まれた領域を保護するように、ブランケット92自体の形状を閉じたものとすることでもワーキングメータを岩石の破片から保護する機構としての役目を果たすことができる。さらに、本ワーキングメータは外部インタフェース5の接続面が天地方向の下向きに配設されており、雨が降った場合に水が外部インタフェース5から外装ケース8内部に侵入することを防ぎ、油圧動作油が滴り落ちる場合にも外装ケース8内部に侵入することを防ぐことができる。また、接続面において接続部分を他の部分より低く形成しておくことで、より水や油の侵入を防ぎ、また、一端入った水や油を自重により排出することができる。接続部分以外にも小さな穴を空けることで空気穴として役目を果たしより水や油の排出を円滑にすることができる。また、本実施形態の説明では、固定ボルト93の周辺のチゼル91aから直線状に見えない位置にワーキングメータを取り付けたとする。以上で、ワーキングメータを取り付ける油圧ブレーカ9及びこの油圧ブレーカの取り付け動作の説明を終了し、次に、本ワーキングメータの使用動作について説明する。
ワーキングメータを取り付けた油圧ブレーカ9を油圧シャベル11の先端と接合し、さらに、油圧シャベル11の作動油供給路と油圧ブレーカ9とを接続し、油圧シャベル11からの操作により油圧ブレーカ9の作業方向を変えたり、チゼル91aを上下に振動することができるようにする。
油圧シャベル11を作業目標位置まで動かし、チゼル91aの先端を破砕目標の岩石まで移動させ、操作者の指示により、油圧ブレーカ9を動作させ、チゼル91aが上下に振動し、破砕目標の岩石が破砕される。このチゼル91の上下の振動により、油圧ブレーカ9に取り付けたワーキングメータの衝撃センサー1により電圧が生じ、検出電圧が入力信号として制御部3に入力されると共に、検出電圧がスイッチ信号としてスイッチ部7に入力される。スイッチ部7にはスイッチ信号が入力されON状態となって、電池部2からの電流が制御部3に供給される。衝撃センサー1が衝撃を受けてスイッチ信号をスイッチ部7に入力している限り、電池部2からの電流が制御部3に供給される。なお、このスイッチ信号は、スイッチ部7に入力されつつ、時定数部6が衝撃がなくなって衝撃センサー1の代わりにスイッチ信号を出力すべく、一部を例えばコンデンサにより時定数部6に貯める。このように時定数部6に貯める電荷は、スイッチ信号から吸い上げてもよいが、別途電流供給ラインを設けて電池部2から供給してもよい。制御部3は、電池部2からの電流の供給を受け起動し、さらに、衝撃センサー1から入力信号が入力されているため、測定時間の測定をすべきか否かを判断すべく、一定期間の衝撃センサー1から発生する入力信号の少なくとも一つが既定電圧レベルより小さい検出電圧であるか否かを判断する(ステップ1)。このステップ1において、一定期間の衝撃センサー1から発生する入力信号の少なくとも一つが既定電圧レベルより小さい検出電圧である場合でないと判断したときに、測定時間を測定する(ステップ2)。前記ステップ1において、一定期間の衝撃センサー1から発生する入力信号の少なくとも一つが既定電圧レベルより小さい検出電圧であると判断したときに、積算時間書込み動作を行い停止し終了する(ステップ3)。ただし、測定時間が0のときは、積算時間書込み動作をすることなく停止し終了する。ステップ2の次に、前回の記憶動作から第2の所定期間経過している否かを判断する(ステップ4)。このステップ4において、第2の所定期間経過している場合でないと判断した場合に、制御部3を省電力モードに移行させる(ステップ5)。前記ステップ4において、第2の所定期間経過していると判断した場合に、記憶部4に記憶している積算時間に、計測時間を足して積算時間として更新し、記憶部4に積算時間を記憶する(ステップ6)。
油圧シャベル11による作業が終了し、使用時間を調べる場合には、外部インタフェース5の接続仕様に合致したリーダー機14(図9参照)を用いて、積算時間を読み出す。利用者が、外部インタフェース5にリーダー機14のプラグ14aを接続し、リーダー機の電源を電源ツマミ14bを上方向に押し上げてONにし、読取ボタンを押下する。電源がONになると点灯ランプ14cが点灯する。起動ボタン14dを押下し、制御部3に電流を供給して制御部3を起動させる。制御部3を起動させると、制御部3が応答し起動した旨が表示部14eに表示される。制御部3が起動した状態で読取ボタン14fが押下されると、リーダー機14は、外部インタフェース5を介して起動した制御部3に対して積算時間読出命令を出力する。制御部3は、積算時間読出命令が入力されると、かかる入力が積算時間読出命令であると判断し、記憶部4から積算時間を読出し、リーダー機14に外部インタフェース5を介して積算時間を出力する。リーダー機14は、入力された積算時間を表示部14eに表示する。リーダー機14には、削除ボタン14gも用意されており、利用者により削除ボタンが押下されると、リーダー機14は、外部インタフェース5を介して制御部3に電流を供給し制御部3を起動させ、起動した制御部3に対して積算時間削除命令を出力する。制御部3は、積算時間削除命令が入力されると、かかる入力が積算時間削除命令であると判断し、記憶部4の積算時間を初期化し、正常に初期化がなされた場合にはリーダー機14に外部インタフェース5を介して「正常に削除された」旨を出力する。リーダー機14は、入力された「正常に削除された」旨を表示部14eに表示する。正常に初期化がなされない場合にはリーダー機に外部インタフェース5を介して「削除に失敗した」旨を出力する。リーダー機は、入力された「削除に失敗した」旨を表示部14eに表示する。
次に、本実施形態におけるワーキングメータをより具体的に説明すべく、図5の回路図及び図6・図7の動作フローチャートに基づいて説明する。制御部3、記憶部4、時定数部6及びスイッチ部7を一つの基盤の実装して、図5に示す回路を作成した。この回路の構成は、衝撃センサー1が制御部3を実装したマイクロプロセッサ(日立製H8/3664)3aと接続し、同時に、衝撃センサー1が時定数部6に接続し、時定数部6がスイッチ部7であるMOSFET7aのゲートと接続し、MOSFET7aのドレインに電池部2の電池であるリチウム電池2aが接続し、MOSFET7aのソースに外部インターフェース5の電源ラインが接続している。マイクロプロセッサ3aも時定数部6に接続している。マイクロプロセッサ3aは記憶部4であるEEPROM4aと接続し、さらには、外部クロック10aとも接続しクロック信号を入力されている。衝撃センサー1がマイクロプロセッサ3aとMOSFET7aのゲートと接続することで、衝撃センサー1が衝撃が加わると発生する電圧が検出電圧としてマイクロプロセッサ3aに印加されると共に、MOSFET7aにも同様に検出電圧がスイッチ信号として印加されるためスイッチング素子としてのMOSFET7aはON状態となり、リチウム電池からの電流がマイクロプロセッサ3aに供給される。よって、衝撃センサー1から検出電圧が発生し、MOSFET7aのゲートに印加されている間リチウム電池2aから電流がマイクロプロセッサ3aに供給される。また、衝撃がなくなって衝撃センサー1からの検出電圧が印加されなくなっても、暫くの間時定数部6から電圧が印加され、衝撃が終わってもリチウム電池2aから電流がマイクロプロセッサ3aに供給される。マイクロプロセッサ3aは、一般のマイクロプロセッサ3aと同様に演算処理するMPUとメモリとを有し、さらに、タイマーも備えて1チップに集積されたICである。マイクロプロセッサ3aへの電力供給ライン上に、電源が入ったとき確実にリセットがかかるようにするためにパワーオンリセット12aを配設している。外部インタフェース5の電力供給ライン上に、一定の安定した直流電流を得るためにボルテージレギュレータ13aを配設している。
マイクロプロセッサ3aに電流が供給され、マイクロプロセッサ3aが起動した後、マイクロプロセッサ3aは各種変数の宣言、初期化、メモリの割当等の初期化動作を行う(ステップ100、以下図6及び図7参照)。このステップ100の後に、マイクロプロセッサ3aは入力信号の入力があるか否かを判断する(ステップ101)。このステップ101において、マイクロプロセッサ3aが入力信号があると判断した場合には、測定時間変数tの測定を開始する(ステップ101a)。このステップ101aの後に、マイクロプロセッサ3aは測定時間を示す測定時間変数tが20[ms]以上であるか否かを判断する(ステップ102)。このステップ102において、マイクロプロセッサ3aが測定時間変数tが20[ms]以上でないと判断した場合には、マイクロプロセッサ3aは入力信号は規定電圧レベル以上か否かを判断する(ステップ103)。このステップ103において、マイクロプロセッサ3aが入力信号は規定電圧レベル以上であると判断した場合には、マイクロプロセッサ3aは次の入力信号があるか否かを判断する(ステップ104)。このステップ104において、マイクロプロセッサ3aが次の入力信号があると判断した場合には、次の入力信号をセットする(ステップ105)。このステップ105の後に、再びステップ102に移行する。前記ステップ102において、マイクロプロセッサ3aが測定時間を示す測定時間変数tが20[ms]以上であると判断した場合には、測定時間変数tを0にする(ステップ106)。このステップ106の後に、マイクロプロセッサ3aは媒介変数iが10であるか否かを判断する(ステップ107)。このステップ107において、マイクロプロセッサ3aが媒介変数iが10であると判断した場合には、マイクロプロセッサ3aは後記する記憶動作に移行する(ステップ108)。前記ステップ107において、マイクロプロセッサ3aが媒介変数iが10でないと判断した場合には、マイクロプロセッサ3aは媒介変数iを1インクリメントする(ステップ109)。このステップ109の後に、マイクロプロセッサ3aは後記する省電力モード動作に移行する(ステップ110)。前記ステップ103において、マイクロプロセッサ3aが入力信号は規定電圧レベル以上でないと判断した場合には、マイクロプロセッサ3aは後記する記憶動作に移行する(ステップ108)。前記ステップ101において、マイクロプロセッサ3aが入力信号がないと判断した場合には、マイクロプロセッサ3aは各種変数の初期化、メモリ解放等の終了動作を行い、停止する(ステップ111)。
ステップ108の記憶動作はステップ108aないしステップ108eからなる。まず、マイクロプロセッサ3aが記憶部4から記憶している積算時間を読み出す(ステップ108a)。このステップ108aの後に、マイクロプロセッサ3aは基準時間に媒介変数iを掛けて測定時間を求める(ステップ108b)。このステップ108bの後に、マイクロプロセッサ3aは読み出した積算時間にステップ108bで求めた測定時間を足して積算時間を求める(ステップ108c)。このステップ108cの後に、マイクロプロセッサ3aはステップ108cで求めた積算時間を記憶部4に書き込む(ステップ108d)。このステップ108dの後に、マイクロプロセッサ3aは媒介変数iを0にする(ステップ108e)。
ステップ110の省電力モード動作はステップ110aないしステップ110cからなる。まず、マイクロプロセッサ3aが消費電力の少ない省電力モードに移行し(ステップ110a)、このステップ110aの後に、省電力モードのままマイクロプロセッサ3aが外部割込みがあるか否かを判断する(ステップ110b)。このステップ110bにおいて、マイクロプロセッサ3aが外部割込みがないと判断した場合には、再びマイクロプロセッサ3aはステップ110bに移行する。前記ステップ110bにおいて、マイクロプロセッサ3aが外部割込みがあると判断した場合には、マイクロプロセッサ3aは省電力モードから通常モードに移行する(ステップ110c)。このステップ110cの後に、ステップ101aに移行する。前記外部割込みは、タイマを用いて一定の時間経過毎に生じ、例えば、1000[ms]毎に生じることとする。このように外部割込みを1000[ms]毎に生じるとすると、測定するための一定期間が略20[ms]、動作するための一定期間も略20[ms]、省電力モードとなっている間が980[ms](1000[ms]−20[ms])、記憶動作がなされるのが10000[ms]毎(外部割込み×媒介変数i)となる。
なお、前記ステップ102においてマイクロプロセッサ3aが測定時間を示す測定時間変数tが20[ms]以上であるか否かを判断しているが、20[ms]後に外部割込みの信号を制御部3に出力するタイマを用いて101aにおいてタイマに開始の信号を出力し、外部割込みがあるまでステップ103ないしステップ105の処理を行うようにしても実現することができる。また、第2の所定期間毎に積算時間書込み動作を実現すべく、媒介変数iを用いてループ処理しているが、第2の所定期間後に外部割込みの信号を制御部3に出力するタイマを用いて実現することもできる。
このように本実施形態に係るワーキングメータによれば、電池部2が複数の電池を結合したものからなり、衝撃センサー1、電池部2、制御部3、記憶部4、外部インターフェース5、時定数部6及びスイッチ部7を外装ケース8に配設し、この外装ケース8、電池部2、制御部3、記憶部4、時定数部6及びスイッチ部7の間に樹脂を配設しているので、電池部2が複数の電池を結合することでそれぞれの電池の大きさが小さくなり、電池の自重も小さくなり振動時に生じる力も小さくなって、外装ケース8内に配設されて隣接する構成要素に電池が接触したとしても、振動時に生じる力が小さくなっているため、衝撃が小さく損傷にまでは至らず、また、外装ケース8、電池部2、制御部3、記憶部4、時定数部6及びスイッチ部7の間に樹脂を配設することで、剛性を有する外装ケース8、電池部2、制御部3、記憶部4、時定数部6及びスイッチ部7の間に、弾性を有する樹脂を介在させることで、振動時に外装ケース8、電池部2、制御部3、記憶部4、時定数部6及びスイッチ部7が振動しても樹脂による緩衝作用が働き、衝撃が弱まると共に、直接外装ケース8、電池部2、制御部3、記憶部4、時定数部6及びスイッチ部7同士が接触しなくなり損傷しなくなる。また、電池部2の電池が扁平な形状をし、振動方向に対して電池の長手方向が略垂直になるように配設しているので、扁平な形状の電池は正極、セパレータ及び負極の対面方向の振動には強いが、この対面方向と垂直な方向の振動には弱いという性質があり、本ワーキングメータ使用時に生じる強い振動に対して耐振動性を有する方向に電池を配設しており、振動が生じても電池のセパレータが破壊されることなく、安定して使用できる。また、外装ケース8内の空間を仕切る仕切り81を一以上設け、この仕切り81に電池部2の電池、制御部3、記憶部4、外部インターフェース5、時定数部6及びスイッチ部7を配設しているので、各構成要素が一定の離間距離をもって位置し、振動時に各構成要素が接触することがなく、さらに、樹脂を配設するときも一定の距離をもって位置しているため円滑に配設することができ作業性もよい、さらには、仕切り81だけでは振動時に撓んで一定の離間距離が小さくなり接触する可能性があるが樹脂が配設されており確実に接触を防ぐことができる。また、仕切り81は可撓性を有しているので、振動時に撓んで緩衝作用を生じ、各構成要素の間に配設されている樹脂による緩衝作用と相まってよりよい緩衝作用を生じて外装ケース8内の各構成要素に衝撃が生じず、損傷することがない。また、前記制御部3が記録している積算時間を外部から読出すための外部インターフェース5を備えているので、ワーキングメータ自体に積算自体を外部に公開するような表示部を有することなく、外装ケース8内に必要最小限の構成要素のみ配設されており、特に、表示部はスペースを取ると共に衝撃に弱い素子からなるため故障率が高く、このような表示部を有しないワーキングメータは故障率を低くすることができる。また、外部インタフェース5の接続面が天地方向の下向きに配設されているので、雨が降った場合に水が外部インタフェース5から外装ケース8内部に侵入することを防ぎ、油圧動作油が滴り落ちる場合にも外装ケース8内部に侵入することを防ぐことができる。
なお、本実施形態に係るワーキングメータにおいては、外部インタフェース5は有線のインタフェースであったが、無線のインタフェースとすることもでき、さらには、無線でリーダー機から電流供給を行えるようにすることもできる。
また、前記第1の実施形態に係るワーキングメータにおいては、電池部2の電池が1次電池であったが、2次電池とすることもでき、外部インタフェース5を介して外部(例えば、リーダー機14)から蓄電することもできる。