JP4497802B2 - 塗布用ダイの清掃方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガラス,樹脂フィルム,金属箔等の様々な被塗布体に様々な塗布液を塗布するのに使用する塗布装置における塗布用ダイの清掃方法に係り、特に、塗布用ダイの先端部に塗布液を被塗布体に供給するスリット状になった吐出口が設けられると共に、この塗布用ダイの先端部を清掃する清掃装置が設けられた塗布装置において、塗布用ダイの先端部の清掃が長期にわたって短時間で簡単に行えるようにした点に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プラズマディスプレーパネル,有機エレクトロルミネッセンスディスプレーパネル,液晶ディスプレーパネル等を製造するにあたって、塗布装置により、ガラス,樹脂フィルム,金属箔等の様々な被塗布体にそれぞれの塗布液を塗布することが行われている。
【0003】
そして、このように塗布装置としては、一般に図1に示すようなものが用いられている。
【0004】
ここで、このような塗布装置においては、被塗布体1に塗布液2を塗布するにあたり、吸引装置3を備えたテーブル4の上に被塗布体1を吸引装置3により吸引させて保持させるようにする。
【0005】
そして、この被塗布体1の上において塗布用ダイ10を所要間隔を介した位置にセットし、塗布液供給タンク5に収容された塗布液2を供給ポンプ6によりこの塗布用ダイ10に設けられたマニホールド11に供給し、この塗布液2をマニホールド11から塗布用ダイ10の先端部においてスリット状に設けられた吐出口12に導くようにする。
【0006】
次いで、この塗布用ダイ10を上記の被塗布体1上において走行させながら、上記の吐出口12から塗布液2を被塗布体1に供給して、被塗布体1上に塗布液2を所定の厚みになるように塗布させた後、上記の供給ポンプ6による塗布液2の供給を停止させ、この塗布用ダイ10を上記の被塗布体1上から離すようにする。
【0007】
しかし、このようにして被塗布体1上に塗布液2を塗布させた場合、上記の塗布用ダイ10の先端部における吐出口12の周辺に塗布液2が残留し、塗布液2を連続して塗布する場合に、上記のように塗布用ダイ10の先端部に残留する塗布液2によって次の被塗布体1上に塗布液2を塗布した際に、筋状の塗布むらが発生するという問題がある。
【0008】
そこで、従来においては、上記のように吐出口12の周辺に残留する塗布液2を除去するために、様々な清掃装置を設けることが行われており、例えば、図2に示すように、上記の塗布用ダイ10の先端部において、吐出口12の長さ方向と直交する方向に清掃用ブレード7の先端部を接触させ、この清掃用ブレード7を走行装置8により上記の吐出口12の長さ方向に沿って塗布用ダイ10の全長にわたって走行させ、この清掃用ブレード7により吐出口12の周辺に残留する塗布液2を塗布用ダイ10から除去するようにしたものが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
しかし、上記のように清掃用ブレード7を走行装置8により吐出口12の長さ方向に沿って塗布用ダイ10の全長にわたって走行させるのには時間がかかり、吐出口12の周辺に残留する塗布液2を除去する作業時間が長くなると共に、清掃用ブレード7の先端部の摩耗が激しくて、清掃用ブレード7を頻繁に取り換えなければならなくなり、被塗布体1に塗布液2を塗布する作業効率が大きく低下する等の問題があった。特に、図3に示すように、上記のテーブル4上に保持させた1枚の被塗布体1において、2つの部分1a,1bに塗布液2を塗布するにあたり、最初の部分1aに塗布液2を塗布した後、上記のようにして吐出口12の周辺に残留する塗布液2を除去するようにした場合、次の部分1bに塗布液2を塗布する迄の無駄な待機時間が長くなって、作業効率が非常に悪くなるという問題があった。
【0010】
また、上記のようにして塗布用ダイ10の先端部を清掃する場合、塗布用ダイ10とは別に、上記の清掃用ブレード7を吐出口12の長さ方向に沿って走行させる走行装置8が必要になって、装置が大型化したり、コストが高く付くという問題もあった。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−147062号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、ガラス,樹脂フィルム,金属箔等の様々な被塗布体に様々な塗布液を塗布するのに使用する塗布装置における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0013】
すなわち、この発明においては、上記のように塗布用ダイの先端部にスリット状に設けられた吐出口から塗布液を被塗布体に供給した後、この塗布用ダイの先端部における吐出口の周辺に残留する塗布液を除去して、塗布用ダイの先端部を清掃するにあたり、塗布用ダイの先端部の清掃が長期にわたって短時間で簡単に行えるようにすることを課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明における塗布用ダイの清掃方法においては、上記のような課題を解決するため、塗布用ダイの先端部に塗布液を被塗布体に供給するスリット状になった吐出口が下方に向けて設けられると共に、この塗布用ダイの先端部を清掃する清掃装置が設けられた塗布装置において、上記のテーブルの片側に第1の清掃装置として、少なくとも上記の塗布用ダイにおける吐出口の長さ方向全長にわたって接触する第1の清掃用ブレードの先端を上に向けて、この清掃用ブレードを上記の吐出口の長さ方向に対して傾斜させて設けると共に、上記のテーブルの第1の清掃装置と反対側に第2の清掃装置として、上記の吐出口の長さ方向に沿って走行する第2の清掃用ブレードを、吐出口の長さ方向と直交する方向に接触するように設け、上記のテーブル上に保持された被塗布体の2つの部分に塗布液を塗布するにあたり、第1の清掃装置側における被塗布体の部分に塗布液を塗布し、この塗布用ダイの先端部を上記の第1の清掃用ブレードに接触させて移動させ、塗布用ダイの先端部を清掃した後、第2の清掃装置側における被塗布体の部分に塗布液を塗布し、上記の第2の清掃用ブレードをこの塗布用ダイの先端部に接触させて走行させ、塗布用ダイの先端部を清掃させるようにしたのである。
【0015】
そして、この発明においては、上記の塗布装置において、上記の塗布用ダイの先端部を上記の第1の清掃用ブレードによって清掃するにあたり、上記の清掃用ブレードを塗布用ダイの先端部に接触させた状態で、塗布用ダイ及び/又は清掃用ブレードを移動させるようにしたのである。
【0016】
このように、塗布用ダイにおける吐出口の長さ方向全長にわたって接触する第1の清掃用ブレードをこの吐出口の長さ方向に対して傾斜させて設け、この清掃用ブレードを塗布用ダイの先端部に接触させた状態で、塗布用ダイ及び/又は清掃用ブレードを移動させると、塗布用ダイ及び/又は清掃用ブレードの移動に伴って、上記の清掃用ブレードと塗布用ダイの先端部との接触位置が吐出口の一端側から他端側に向けて順々に移動し、塗布用ダイが清掃用ブレードを越えた時点では、吐出口の長さ方向全長にわたって清掃用ブレードが塗布用ダイの先端部に接触し、塗布用ダイの先端部に残留する塗布液がこの清掃用ブレードによって除去されるようになる。
【0017】
このため、塗布用ダイの先端部に残留する塗布液をこの清掃用ブレードによって短時間で簡単に除去できるようになると共に、上記のように清掃用ブレードと塗布用ダイの先端部との接触位置が吐出口の一端側から他端側に向けて順々に移動するため、清掃用ブレードの各位置における摩耗も少なくなり、清掃用ブレードを交換することなく、塗布用ダイの先端部を長期にわたって安定して清掃できるようになる。
【0018】
さらに、第1の清掃用ブレードを塗布用ダイの先端部に接触させた状態で、塗布用ダイを移動させるようにすると、清掃用ブレードを走行させる装置を別個に設ける必要がなく、装置が大型化してコストが高く付くということもなくなる。
【0019】
【実施例】
以下、この発明の実施例に係る塗布装置及び塗布用ダイの清掃方法を添付図面に基づいて具体的に説明する。
【0020】
この実施例における塗布装置においても、被塗布体1に塗布液2を塗布するにあたっては、前記の図1に示すように、吸引装置3を備えたテーブル4の上に被塗布体1を吸引装置3により吸引させて保持させるようにする。
【0021】
次いで、この被塗布体1の上において塗布用ダイ10を所要間隔を介した位置にセットし、塗布液供給タンク5に収容された塗布液2を供給ポンプ6によりこの塗布用ダイ10に設けられたマニホールド11に供給し、この塗布液2をマニホールド11から塗布用ダイ10の先端部において下方に向けて設けられたスリット状の吐出口12に導くようにする。
【0022】
そして、この塗布用ダイ10を上記の被塗布体1上において走行させながら、上記の吐出口12から塗布液2を被塗布体1に供給して、被塗布体1上に塗布液2を所定の厚みになるように塗布させた後、上記の供給ポンプ6による塗布液2の供給を停止させ、この塗布用ダイ10を上記の被塗布体1上から離すようにする。
【0023】
ここで、この実施例における塗布装置においては、上記のように被塗布体1上に塗布液2を塗布させた後において、上記の塗布用ダイ10の先端部における吐出口12の周辺に残留する塗布液2を除去する清掃装置として、図4(A),(B)に示すように、上記の塗布用ダイ10における吐出口12の長さ方向全長にわたって接触する清掃用ブレード20を、吐出口12の長さ方向に対して傾斜させて設けている。
【0024】
そして、上記のように塗布用ダイ10により被塗布体1上に塗布液2を塗布させた後、この塗布用ダイ10の先端部における吐出口12の周辺に残留する塗布液2をこの第1の清掃用ブレード20によって除去するにあたっては、塗布後における塗布用ダイ10をこの第1の清掃用ブレード20の位置に導き、この塗布用ダイ10の長さ方向一端側の先端部を第1の清掃用ブレード20の長さ方向一端側の先端部に接触させ、この状態で、この塗布用ダイ10を移動させて、第1の清掃用ブレード20を越えるようにする。
【0025】
このように、塗布用ダイ10の長さ方向一端側の先端部を清掃用ブレード20の長さ方向一端側の先端部に接触させた状態で、清掃用ブレード20を越えるように塗布用ダイ10を移動させると、清掃用ブレード20と塗布用ダイ10の先端部との接触位置が吐出口12の一端側から他端側に向けて順々に移動し、塗布用ダイ10が清掃用ブレード20を越えた時点では、吐出口12の長さ方向全長にわたって清掃用ブレード20が塗布用ダイ10の先端部に接触し、塗布用ダイ10の先端部における吐出口12の長さ方向全長において残留している塗布液2がこの清掃用ブレード20によって短時間で簡単に除去されるようになる。
【0026】
また、上記のように清掃用ブレード20と塗布用ダイ10の先端部との接触位置が、吐出口12の一端側から他端側に向けて順々に移動するため、清掃用ブレード20の各位置における摩耗も少なくなり、清掃用ブレード20を長い間交換する必要がなくなり、長期にわたって塗布用ダイ10の先端部を安定して清掃できるようになる。
【0027】
また、この実施例のように、清掃用ブレード20を塗布用ダイ10の先端部に接触させた状態で、塗布用ダイ10を移動させるようにすると、清掃用ブレード20を走行させるための装置を別個に設ける必要がなく、装置が大型化してコストが高く付くということもない。
【0028】
また、この実施例においては、塗布用ダイ10の先端部における吐出口12の周辺に残留する塗布液2を除去する清掃装置を設けるにあたり、上記のように塗布用ダイ10における吐出口12の長さ方向全長にわたって接触する第1の清掃用ブレード20を、吐出口12の長さ方向に対して傾斜させて設けるようにすると共に、図5に示すように、上記の第1の清掃装置と反対側におけるテーブル4の上に第2の清掃装置として、吐出口12の長さ方向と直交する方向に第2の清掃用ブレード7の先端部を接触させ、この第2の清掃用ブレード7を走行装置8により吐出口12の長さ方向に沿って塗布用ダイ10の全長にわたり走行させて、吐出口12の周辺に残留する塗布液2を塗布用ダイ10から除去する清掃装置を設けている
【0029】
そして、このように2種類の清掃装置を設け、上記のテーブル4上に1枚の被塗布体1を保持させ、この1枚の被塗布体1の2つの部分1a,1bに対してそれぞれ塗布液2を塗布するにあたっては、最初の部分1aに塗布液2を塗布した後、前記の第1の清掃用ブレード20を用いた第1の清掃装置によって塗布用ダイ10の先端部における吐出口12の周辺に残留する塗布液2を短時間で除去させ、次の部分1bに塗布液2を塗布する迄の待機時間を短縮させるようにする。一方、被塗布体1の次の部分1bに塗布液2を塗布した後においては、被塗布体1をテーブル4上から移動させて、次の被塗布体1をテーブル4上にセットする迄に時間があるため、上記の第2の清掃装置を用い、前記の第2の清掃用ブレード7を吐出口12の長さ方向に沿って塗布用ダイ10の全長にわたり走行させて、吐出口12の周辺に残留する塗布液2を塗布用ダイ10から除去させるようにしている
【0030】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明においては、塗布用ダイの先端部にテーブル上に保持された被塗布体に塗布液を供給するスリット状になった吐出口が下方に向けて設けられると共に、この塗布用ダイの先端部を清掃する清掃装置が設けられた塗布装置において、上記の清掃装置として、少なくとも上記の塗布用ダイにおける吐出口の長さ方向全長にわたって接触する清掃用ブレードの先端を上に向けて、この清掃用ブレードをこの吐出口の長さ方向に対して傾斜させて設け、塗布用ダイの先端部を上記の清掃用ブレードによって清掃するにあたり、上記の清掃用ブレードを塗布用ダイの先端部に接触させた状態で、塗布用ダイ及び/又は清掃用ブレードを移動させるようにしたため、清掃用ブレードと塗布用ダイの先端部との接触位置が吐出口の一端側から他端側に向けて順々に移動し、塗布用ダイが清掃用ブレードを越えた時点では、吐出口の長さ方向全長にわたって清掃用ブレードが塗布用ダイの先端部に接触して、塗布用ダイの先端部に残留する塗布液がこの清掃用ブレードによって除去されるようになった。
【0031】
この結果、この発明においては、塗布用ダイの先端部に残留する塗布液をこの清掃用ブレードによって短時間で簡単に除去できるようになると共に、上記のように清掃用ブレードと塗布用ダイの先端部との接触位置が吐出口の一端側から他端側に向けて順々に移動するため、清掃用ブレードの各位置における摩耗も少なくなり、清掃用ブレードを交換することなく、長期にわたって塗布用ダイの先端部を清掃できるようになった。
【0032】
さらに、この発明において、上記の清掃用ブレードを塗布用ダイの先端部に接触させた状態で塗布用ダイを移動させるようにすると、清掃用ブレードを走行させる装置を別個に設ける必要がなく、装置が大型化してコストが高く付くということもなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の塗布装置及びこの発明の実施例における塗布装置において、テーブル上に保持された被塗布体に塗布液を塗布する状態を示した概略説明図である。
【図2】従来の塗布装置において、被塗布体上に塗布液を塗布させた後における塗布用ダイの先端部に残留している塗布液を清掃装置によって除去する状態を示した概略説明図である。
【図3】従来の塗布装置において、テーブル上に保持された被塗布体の2つの部分に塗布液を塗布する状態を示した概略説明図である。
【図4】この発明の実施例における塗布装置において、被塗布体上に塗布液を塗布させた後における塗布用ダイの先端部に残留している塗布液を清掃装置によって除去する状態を示した概略説明図である。
【図5】この発明の実施例における塗布装置において、図4に示した清掃装置の他に、従来の塗布装置に用いた清掃装置を設けると共に、テーブル上に保持された被塗布体の2つの部分に塗布液を塗布する状態を示した概略説明図である。
【符号の説明】
1 被塗布体
1a,1b 塗布部分
2 塗布液
10 塗布用ダイ
12 吐出口
20 清掃用ブレード

Claims (1)

  1. 塗布用ダイの先端部にテーブル上に保持された被塗布体に塗布液を供給するスリット状になった吐出口が下方に向けて設けられると共に、この塗布用ダイの先端部を清掃する清掃装置が設けられた塗布装置において、上記のテーブルの片側に第1の清掃装置として、少なくとも上記の塗布用ダイにおける吐出口の長さ方向全長にわたって接触する第1の清掃用ブレードの先端を上に向けて、この清掃用ブレードを上記の吐出口の長さ方向に対して傾斜させて設けると共に、上記のテーブルの第1の清掃装置と反対側に第2の清掃装置として、上記の吐出口の長さ方向に沿って走行する第2の清掃用ブレードを、吐出口の長さ方向と直交する方向に接触するように設け、上記のテーブル上に保持された被塗布体の2つの部分に塗布液を塗布するにあたり、第1の清掃装置側における被塗布体の部分に塗布液を塗布し、この塗布用ダイの先端部を上記の第1の清掃用ブレードに接触させて移動させ、塗布用ダイの先端部を清掃した後、第2の清掃装置側における被塗布体の部分に塗布液を塗布し、上記の第2の清掃用ブレードをこの塗布用ダイの先端部に接触させて走行させ、塗布用ダイの先端部を清掃させることを特徴とする塗布用ダイの清掃方法。
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