JP4496656B2 - 内張り材用基材、内張り材、及び管のライニング方法 - Google Patents

内張り材用基材、内張り材、及び管のライニング方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水管、ガス管、石油パイプライン等の各種管の内張り材として適用される基材に関し、特に、ガラス繊維を用いた基材に関するするものである。
【0002】
【従来の技術】
地中に埋設された下水管、ガス管等の各種管は、長年の使用により老朽化したり、通行車両による振動や地震等の影響でクラックが発生したり、また、硫化水素などの影響で腐食してしまう。このようにして下水管等が破損すると、漏水、浸水等の問題が生じるため、近年、かかる問題に対する対策が講じられている。
【0003】
対策手法として最も着目されているのは、たとえば特開平1−93339号公報に掲載されているように、織布を筒状に巻いた繊維層をもとに作製したパイプ状の内張り材(繊維強化複合材)を用いる技術である。この技術は、まず、筒状の繊維層に反応硬化型接着剤を含浸させておき、これを水圧で裏返しながら下水管等の内部に挿通し、その後、裏返された内張り材を水圧で径方向に膨張させて管内面に圧着し、さらに上記反応硬化型接着剤を硬化させることで、下水管等の内部にパイプ状の内張り材を形成するものである。そして、地中に埋設された下水管等が破損した場合でも、下水管の内部に形成された当該内張り材によって、漏水、侵水等をある程度防止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に掲載された内張り材には、次のような問題があった。すなわち、従来の内張り材を構成する筒状の繊維層は、経糸と緯糸とが上下に交差しているいわゆる織布によって形成されているため、管内面に圧着させるために水圧などで径方向に膨張させようとしても、糸の動きが制限を受けて、筒状の繊維層を径方向に膨張させることは困難である。筒状にされた内張り材が径方向に膨張しないと、下水管等の内面と内張り材の外面との間に隙間ができて、内張り材を下水管等に固定し難くなってしまう。なお、同公報には、緯糸を予め屈曲させておくことで径膨張を確保する旨が記載されているが、このような構成を採用したとしても、経糸と緯糸とが上下に交差しているため、結局、内張り材を径方向にスムースに膨張させることはできず、下水管等の内面に内張り材を隙間なく密着させることは困難である。
【0005】
また、織布は、経糸と緯糸とが互いに締め付けられていることから各糸が互いに圧縮し合い、当該織布をパイプ形状に硬化させるための反応硬化型樹脂(接着剤)を内部に含浸させにくいという問題もある。織布の内部に樹脂を含浸させにくくなると、樹脂の各糸への含浸量が少なくなったり、樹脂が各糸の内部に均一に染み込まなくなり、曲げ強さ、圧縮強さ等の機械的性質が低下し、破損しやすくなってしまう。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、各種管の内張り材として用いた場合に、径方向に容易に膨張させることができ、且つ、内張り材としての強度を高くすることができる内張り材用基材、内張り材、及び管のライニング方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の内張り材用基材は、管の内張り材として適用される基材において、連続繊維束が並列された繊維束層を、連続繊維束の向きを異なる方向にして3層重ねてなる3軸不織布と、3軸不織布に重ねられたチョップドストランドマットと、を備え、3軸不織布の一の繊維束層を構成する連続繊維束は、可延性の有機繊維によって形成され、他の二の繊維束層の連続繊維束は、ガラス繊維によって形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の内張り材用基材によれば、可延性の有機繊維によって形成された連続繊維束が下水管、ガス管等の各種管の略円周方向に沿うように当該基材を螺旋状に巻いて円筒状の内張り材を形成すれば、内張り材の内部から圧力を加えることで、有機繊維が延びて内張り材を容易に径方向に膨張させることができる。これにより、内張り材が管の内面に隙間なく密着する。
【0009】
また、本発明の内張り材用基材では、経糸と緯糸とが上下に交差した織布とは異なり、連続繊維束が並列された繊維束層を重ねてなる不織布を用いているため、各繊維束同士が圧縮し合うことはなく、当該基材を所望の形状に硬化させるために含浸する樹脂の量を増加させることができ、当該樹脂を各連続繊維束の内部に均一に染み込ませることができる。これにより、本発明の内張り材用基材を内張り材に適用した場合に、外力に対する強度を向上することができる。
【0010】
さらに、本発明では、ガラス繊維の短繊維束をランダムに配してなるチョップドストランドマットが3軸不織布に重ねられており、このチョップドストランドマットは樹脂含浸性が高いため、内張り材用基材全体の樹脂含浸量を向上させることができる。これにより、内張り材の外力に対する強度を更に向上させることができる。また、チョップドストランドマットは伸縮性が高いため、内張り材の拡径を妨げない。
【0011】
尚、本発明の内張り材用基材を筒状に巻いて内張り材とする場合、チョップドストランドマットが3軸不織布の内側に位置することが好ましい。このようにした場合、チョップドストランドマットはガラス繊維が3軸不織布に比べて均一に配されているため、筒に内圧がかかっても水密性を向上させることができる。また、チョップドストランドマットは樹脂含浸量が多いことから、平面が平滑になり、流動抵抗を低下させることができる。
【0012】
また、本発明の内張り材用基材において、一方の繊維束層の各連続繊維束は、有機繊維からなる各連続繊維束に対して、40°〜50°の傾きを有して配されていることが好ましい。
【0013】
内張り材用基材を巻いて円筒状の内張り材とする場合、そのラップ角度は一般的に約15°程度にされる。そして、有機繊維からなる連続繊維束を経糸として巻き付け方向と一致させた場合、有機繊維から巻き付け方向と反対側へ45°の傾きを有するガラス繊維製の連続繊維束は、内張り材の長手方向に対して60°の傾きを有することになる。連続繊維束がこの向きに配されることで、径方向の広がりが適度になされ、且つ、外力に対する強度も保つことができる。尚、有機繊維に対する他の連続繊維束の角度は45°に限られず、40°〜50°の範囲であれば同様の効果を得ることができる。
【0014】
また、本発明の内張り材用基材において、一方の繊維束層の各連続繊維束は、有機繊維からなる各連続繊維束に対して、10°〜20°の傾きを有して配されていることも好ましい。
【0015】
内張り材用基材を巻いて円筒状の内張り材とする場合、そのラップ角度は一般的に約15°程度にされる。そして、有機繊維からなる連続繊維束を経糸として巻き付け方向と一致させた場合、有機繊維から巻き付け方向と同じ側へ15°の傾きを有するガラス繊維製の連続繊維束は、内張り材の長手方向に対して60°の傾きを有することになる。連続繊維束がこの向きに配されることで、径方向の広がりが適度になされ、且つ、外力に対する強度も保つことができる。尚、有機繊維に対する他の連続繊維束の角度は15°に限られず、10°〜20°の範囲であれば同様の効果を得ることができる。
【0016】
また、本発明の内張り材は、上記の内張り材用基材がラップ角度約15°で筒状に巻かれ、これに反応硬化型樹脂を含浸させてなることを特徴とする。
【0017】
上記のような内張り材用基材を用い、ラップ角度を約15°にすることで、径方向への広がりがよく、且つ、外力に対する強度の高い内張りとすることができる。
【0018】
また、本発明の内張り材は、上記の内張り材用基材が筒状に巻かれ、これに反応硬化型樹脂が含浸されるとともに、一方の繊維束層の各連続繊維束は、筒の長手方向に対して55°〜65°傾いていることを特徴とする。
【0019】
上記のような内張り材用基材を用い、連続繊維束をこのように筒の長手方向に対して55°〜65°程度となるように配することで、径方向への広がりがよく、且つ、外力に対する強度の高い内張りとすることができる。
【0020】
さらに、本発明の管のライニング方法は、上記の内張り材を管に挿入するステップと、管に挿入された内張り材を管の径方向に膨張させるステップと、内張り材に含浸された反応硬化型樹脂を硬化させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の管のライニング方法によれば、上記のような内張り材を用いているため、内張り材を容易に径方向への膨張させることができ、且つ、ライニングされた内張り材は、外力に対する強度が高くいものとなっている。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る内張り材用基材、内張り材、及び管のライニング方法の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、同一要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。
【0023】
まず、図1〜図3を参照して、本実施形態の内張り材用基材を説明する。内張り材用基材50は、3軸不織布60とチョップドストランドマット70とから構成されている。図1は、3軸不織布60の平面図である。同図に示すように、3軸不織布60は、複数本の経糸2が並列された第1繊維束層4と、複数本の斜交糸10が並列された第2繊維束層12と、複数本の斜交糸14が並列された第3繊維束層16と、をこの順で重ねて構成されている。上下に重なり合う第1繊維束層4と第2繊維束層12、及び、第2繊維束層12と第3繊維束層16とは、それぞれ熱融着樹脂によって接着されている。
【0024】
斜交糸10,14は、ともに強化繊維であるガラス繊維を束ねて形成された連続繊維束である。斜交糸10,14の太さ(番手)は、300〜2000texにあることが好ましく、単重は約150g/m2〜約500g/m2にあることが好ましい。また、隣り合う斜交糸10同士或いは斜交糸14同士の間隔は、5〜22mm程度にすることが好ましい。
【0025】
また、斜交糸10,14は、ガラス繊維を撚らずに引き揃えたロービングとされているため、FRPとして使用する場合に紫外線硬化性樹脂等を含浸させやすい。さらに、ガラス繊維束に有機シラン化合物で表面処理を施せば、マトリックス樹脂の含浸性を向上させることができる。また、ガラス繊維は、耐酸性の強いものを使用することが好ましい。
【0026】
続いて、経糸について説明する。経糸2は、引張り荷重を加えることによって延伸するポリエステル(有機繊維)によって形成された連続繊維束である。本実施形態の経糸2は、10kgfの引張り荷重で、約5%延伸するものを使用している。また、経糸2の番手は、5〜20texのものが使用される。また、隣り合う経糸2同士の間隔は、5〜30mm程度にすることが好ましい。なお、経糸2は、ポリエステルの他、適度な延伸性を示すビニロン、ナイロン6、ナイロン6−6、アクリル、ポリプロピレン、アセテート、レーヨン等の有機繊維によって形成することができる。
【0027】
次に、図2を参照して、経糸2及び斜交糸10,14の位置関係を説明する。図2は、図1に示す領域Sの拡大図である。有機繊維からなる各経糸2に対する各斜交糸10の傾きαは、45°とされている。角度αをこのような値にすることの効果については後述する。一方、各経糸2に対する各斜交糸14の傾きβは、88°とされている。
【0028】
図3は、内張り材用基材50の側面図である。内張り材用基材50は、上記構成の3軸不織布60にチョップドストランドマット70を縫いあわせて重ねることで構成されている。チョップドストランドマット70は、ガラス単繊維をランダムに分散させたものであり、延伸性及び樹脂含浸性に優れている。チョップドストランドマット70を構成するガラス単繊維は、長さが約25mm〜約130mmで、単重は約300g/m2〜約600g/m2であることが好ましい。
【0029】
次に、図4を参照して、以上のような内張り材用基材50を用いた内張り材について説明する。
【0030】
同図は、複数層重ねた内張り材用基材50を筒状に巻き、これに紫外線硬化性樹脂(反応硬化型樹脂)を含浸させた円筒状の内張り材80を示す図である。理解の容易のために、各繊維束は一本ずつ示してある。巻き付けのラップ角度θは一般的な値の15°とし、経糸2は巻き付け方向に沿うようにしてある。そして、上記のように斜交糸10は経糸2に対して巻き付け方向と反対側へ角度α=45°の傾きを有しているため、内張り材80の長手方向(直線l)に対する斜交糸10の傾きAは、60°となる。尚、内張り材用基材50の積層数は3〜15とし、積層後の厚さは3〜20mm程度になることが好ましい。また、ラップ角度θは、10°〜20°の範囲にすることが好ましい。
【0031】
また、一方の斜交糸を経糸2に対して巻き付け方向と同じ側へ15°の傾きを有するようにした場合も、当該斜交糸の内張り材80の長手方向(直線l)に対する傾きは60°となり、同様の効果を得ることができる。尚、この場合は必ずしも15°に限られず、10°〜20°の範囲であれば同様の効果を得ることができる。
【0032】
内張り材用基材50への樹脂の含浸は、ディッピング方式等の公知の方法によって行うことができる。また、内張り材80におけるガラス含有量は、30〜60重量%程度にすることが好ましい。また、内張り材用基材50に含浸させる反応硬化型樹脂は、紫外線硬化性樹脂でなく熱硬化性樹脂等を使用してもよいし、常温硬化するものを利用してもよい。
【0033】
ここで、本実施形態の内張り材用基材50によって形成した内張り材80の効果を説明する。
【0034】
上記のように、可延性の有機繊維によって形成された経糸2が下水管、ガス管等の各種管の略円周方向に沿うように(本実施形態では円周方向に対して15°の傾きを有している)内張り材用基材50を巻いて内張り材80を形成しているため、内張り材80の内部から圧力を加えることで、有機繊維が延びて内張り材80を容易に径方向に膨張させることができる。これにより、内張り材80が管の内面に隙間なく密着する。
【0035】
また、本実施形態では、経糸と緯糸とが上下に交差した織布とは異なり、連続繊維束が並列された繊維束層4,12,16を重ねてなる3軸不織布60を用いているため、各繊維束同士が圧縮し合うことはなく、紫外線硬化樹脂等の含浸量を増加させることができ、当該樹脂を各糸2,10,14の内部に均一に染み込ませることができる。これにより、内張り材80の外力に対する強度を向上することができる。
【0036】
さらに、本発明では、樹脂含浸性の高いチョップドストランドマットが3軸不織布に重ねられているため、内張り材80全体の樹脂含浸量を向上させることができる。これにより、内張り材80の外力に対する強度を更に向上させることができる。また、チョップドストランドマットは伸縮性が高いため、内張り材80の拡径を妨げない。
【0037】
さらに、内張り材80において内張り材の長手方向(直線l)対する斜交糸10の傾きAは、60°とされている。ガラス繊維からなる各斜交糸10をこの向きに配することで、内張り材80の径方向の広がりが適度になされ、且つ、外力に対する強度も保つことができる。尚、角度Aが55°〜65°の範囲にあれば同様の効果を得ることができ、この場合は経糸2に対する斜交糸10の角度αは40°〜50°の範囲となる。
【0038】
次に、図5を参照して、上記内張り材80を用いて下水管をライニングする方法を説明する。
【0039】
まず、下水管90内の堆積物及び内面付着物を高圧洗浄車で洗浄、除去した後、ウィンチによって紫外線硬化性樹脂を含浸させた内張り材80の先端を閉じて袋状にして、下水管90内に挿入する。次に、0.5kg/cm2程度の圧空を送風し、内張り材80を下水管90の径方向に拡径させ、下水管90の内面に密着させる。この際、上記の内張り材80を用いているため、容易に径方向に膨張させることができる。
【0040】
拡径した後、図5に示すように紫外線を放射するUVトレイン92を内張り材80内を走行させ、あらかじめ内張り材80に含浸させておいた紫外線硬化性樹脂を硬化させる。ここで、上記のように内張り材80には多量の樹脂が含浸されているため、樹脂硬化後の内張り材80の強度は高くなっている。樹脂を硬化させた後、下水管90からUVトレイン92を引き出し、ライニングされた内張り材80の両端を切断し、作業を終了する。
【0041】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。
【0042】
本実施例では、内張り材用基材、及び、これに樹脂を含浸させたものを複数積層させた積層板の引張り強度及び曲げ強度を測定した。まず、実験サンプルの作製方法を説明する。
【0043】
[3軸不織布の作製]
経糸2には、可延性有機繊維として番手が11texで高伸度ポリエステル糸(東洋紡製 FO210W SD 110T48)を使用した。経糸2は密度6.06/100mmで配列した。また、斜交糸10,14には、番手が1250texの耐酸性ガラス繊維束(日東紡製 RSE120QL-516)に、熱融着樹脂繊維糸として22texのナイロン繊維糸(ユニチカ製 NY20D1/0 0.0S)を添えて使用した。尚、斜交糸14と経糸2の交差角度βは88.2°であり、斜交糸10と経糸2の交差角度αは46.7°にした。
【0044】
このように経糸2及び斜交糸10,14を配列したものを加圧加熱して経糸2及び斜交糸10,14を接着させ、単重が285.9g/m2の3軸不織布を完成させた。
【0045】
[内張り材用基材の作製]
上記の3軸不織布に単重が450g/m2のチョップドストランドマット(日東紡製 MCE450A-140)を貼り合わせ、番手83dtexのポリエステル繊維糸(東レ製 BR83-36)でステッチ加工し、実施例1及び実施例2の内張り材用基材を得た。
【0046】
[積層板の作製]
上記の内張り材用基材に不飽和ポリエステル樹脂(昭和高分子製 リゴラック157BQT)を含浸させ、ガラス含有率39.3重量%のプリプレグを作製した。このプリプレグを4枚重ね合わせて不飽和ポリエステル樹脂を硬化させ、実施例1の積層板を得た。
【0047】
さらに、上記プリプレグのガラス含有率を45.9重量%とし、その他の条件は実施例1と同様にして実施例2の積層板を得た。
【0048】
[比較例]
次に、比較例について説明する。比較例では、実施例の3軸不織布に代えて、ガラス繊維束番手1250tex、単重280g/m2のロービングクロスを用いた。その他の条件は、実施例と同様である。
【0049】
[評価結果]
表1に、実施例及び比較例の評価結果を示す。
【表1】
Figure 0004496656
(1)延伸必要荷重
実施例1,2及び比較例の内張り用基材を経糸方向に引っ張り、5%延伸するまでの荷重値を測定し、荷重の最大値を延伸必要荷重とした。その結果、比較例に対して実施例1,2では延伸必要荷重は激減した。
(2)15°弾性率
積層板の経糸に対して15°傾いた方向での曲げ強度をJIS K 7171に準拠して測定し、その値を15°弾性率とした。表1から判るように、実施例1,2の15°弾性率は優れた値を示した。
【0050】
さらに、以上のような積層板を筒状に巻いて樹脂を硬化させ、内張り材を作製した。この場合、斜交糸14の筒の軸方向に対する角度は14.9°になり、斜交糸10の筒の軸方向に対する角度Aは59.3°になる。このような内張り材は、上記のように5%延伸必要荷重が小さく、優れた拡径度を示す。また、15°弾性率から判るように、優れた周方向のつぶし強度を有し、自立管として十分使える強度を持っている。一方、比較例の積層板は15°弾性率は優れていると想像できるが、比較例のプリプレグは5%延伸必要荷重が非常に大きく、殆ど拡径しないことが予想される。
【0051】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、斜交糸を形成する連続繊維束は、ガラス繊維束のほか、炭素繊維、アルミナ繊維、アラミド繊維などのマルチフィラメント糸としてもよい。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、内張り材の径方向に容易に膨張させることができ、且つ、内張り材の強度を高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内張り材用基材の平面図である。
【図2】図1の領域Sの拡大図であり、各連続繊維束の位置関係を示す図である。
【図3】本発明の内張り材用基材の側面図である。
【図4】本発明の内張り材を示す側面図である。
【図5】内張り材を用いて下水管をライニングする過程を示す図である。
【符号の説明】
2…経糸(有機繊維からなる連続繊維束)、4…第1繊維束層、10…斜交糸(ガラス繊維からなる連続繊維束)、12…第2繊維束層、14…斜交糸(ガラス繊維からなる連続繊維束)、16…第3繊維束層、50…内張り材用基材、60…3軸不織布、70…チョップドストランドマット、80…内張り材、90…下水管、92…UVトレイン、θ…ラップ角度。

Claims (6)

  1. 管の内張り材として適用される基材において、
    連続繊維束が並列された繊維束層を、連続繊維束の向きを異なる方向にして3層重ねてなる3軸不織布と、
    前記3軸不織布に重ねられたチョップドストランドマットと、を備え、
    前記3軸不織布の一の前記繊維束層を構成する前記連続繊維束は、可延性の有機繊維によって形成され、他の二の前記繊維束層の連続繊維束は、ガラス繊維によって形成されていることを特徴とする内張り材用基材。
  2. 一方の前記繊維束層の前記各連続繊維束は、前記有機繊維からなる前記各連続繊維束に対して、40°〜50°の傾きを有して配されていることを特徴とする請求項1記載の内張り材用基材。
  3. 一方の前記繊維束層の前記各連続繊維束は、前記有機繊維からなる前記各連続繊維束に対して、10°〜20°の傾きを有して配されていることを特徴とする請求項1記載の内張り材用基材。
  4. 請求項1〜請求項3のうち何れか一項記載の内張り材用基材がラップ角度約15°で筒状に巻かれ、これに反応硬化型樹脂を含浸させてなることを特徴とする内張り材。
  5. 請求項1〜請求項3のうち何れか一項記載の内張り材用基材が筒状に巻かれ、これに反応硬化型樹脂が含浸されるとともに、一方の前記繊維束層の前記各連続繊維束は、前記筒の長手方向に対して55°〜65°傾いていることを特徴とする内張り材。
  6. 請求項4又は請求項5記載の内張り材を前記管に挿入するステップと、
    前記管に挿入された前記内張り材を前記管の径方向に膨張させるステップと、
    前記内張り材に含浸された前記反応硬化型樹脂を硬化させるステップと、
    を含むことを特徴とする管のライニング方法。
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