以下、本実施形態について、図を用いて説明する。撮像装置1はデジタルカメラであるとして説明する。なお、方向を説明するために、撮像装置1において光軸LXと直交する水平方向を第1方向x、光軸LXと直交する鉛直方向を第2方向y、光軸LXと平行な水平方向を第3方向zとして説明する。なお、図5は、図4のA−A線の断面における構成図を示す。
撮像装置1の撮像に関する部分は、主電源のオンオフ切り替えを行うPonボタン11、レリーズボタン13、LCDモニタ17、CPU21、撮像ブロック22、AE部23、AF部24、像ブレ補正部30の撮像部39a、及び撮影レンズ67から構成される。Ponボタン11の押下に対応してPonスイッチ11aのオンオフ状態が切り替えられ、これにより撮像装置1の主電源のオンオフ状態が切り替えられる。被写体像は、撮像部39aを駆動する撮像ブロック22によって撮影レンズ67を介した光学像として撮像され、LCDモニタ17によって撮像された画像が表示される。また被写体像は光学ファインダ(不図示)によって光学的に観察することも可能である。
レリーズボタン13は、半押しすることにより測光スイッチ12aがオン状態にされ測光や測距及び合焦動作が行われ、全押しすることによりレリーズスイッチ13aがオン状態にされ撮像が行われ、撮影像がメモリされる。
CPU21は、撮像に関する各部の制御、後述する像ブレ補正に関する各部の制御を行う制御手段である。像ブレ補正スイッチ14aのオンオフ切り替えによる第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2の通電、非通電状態の切り替え制御は、ポートP18、第1付勢部材用ドライバ回路80を介してCPU21によって行われる。像ブレ補正スイッチ14aのオンオフ切り替えによる第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2の通電、非通電状態の切り替え制御は、ポートP19、第2付勢部材用ドライバ回路83を介してCPU21によって行われる。
また、CPU21は、後述する第2時間TT、第2時間TTと第1時間の1msごとに検出される第1角速度vxが同符号の値を継続する時間との差異を示す第1タイムカウントパラメータTCX、第2時間TTと第1時間の1msごとに検出される第2角速度vyが同符号の値を継続する時間との差異を示す第2タイムカウントパラメータTCY、補正モードか否かを判断するパラメータISの値をメモリする。
撮像ブロック22は、撮像部39aを駆動する。AE部23は、被写体の測光動作を実行して露光値を演算し、この露光値に基づき撮影に必要となる絞り値及び露光時間を演算する。AF部24は、測距を行い、この測距結果に基づき撮影レンズ67を光軸方向に変位させ焦点調節を行う。
撮像装置1の像ブレ補正装置すなわち像ブレ補正に関する部分は、像ブレ補正ボタン14、CPU21、角速度検出部25、駆動用ドライバ回路29、像ブレ補正部30、磁界変化検出素子の信号処理回路としてのホール素子信号処理回路45、撮影レンズ67、及び付勢部材用ドライバ回路80から構成される。
像ブレ補正ボタン14は、押下することにより像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされ、測光など他の動作と独立して、第1時間ごとに、角速度検出部25、及び像ブレ補正部30が駆動されて像ブレ補正動作が行われる。像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされた補正モードの場合にパラメータIS=1、像ブレ補正スイッチ14aがオフ状態にされた補正モードでない場合にパラメータIS=0と設定する。本実施形態ではこの第1時間を1msであるとして説明する。
これらのスイッチの入力信号に対応する各種の出力はCPU21によって制御される。測光スイッチ12a、レリーズスイッチ13a、像ブレ補正スイッチ14aのオン/オフ情報は、それぞれ1ビットのデジタル信号としてCPU21のポートP12、P13、P14に入力される。撮像ブロック22、AE部23、及びAF部24は、それぞれポートP3、P4、P5で信号の入出力が行われる。
次に、角速度検出部25、駆動用ドライバ回路29、像ブレ補正部30、ホール素子信号処理回路45、付勢部材用ドライバ回路80についての詳細、及びCPU21との入出力関係について説明する。
角速度検出部25は、第1、第2角速度センサ26、27とアンプ・ハイパスフィルタ回路28とを有する。第1、第2角速度センサ26、27は、撮像装置1の一定時間(1ms)ごとの第1方向x及び第2方向yの角速度を、被写体像の結像面における光軸のズレを生じさせるブレに関する情報の第1方向x成分、第2方向y成分として検出する。第1角速度センサ26は、第1方向xの角速度を、第2角速度センサ27は第2方向yの角速度を検出する。アンプ・ハイパスフィルタ回路28は、角速度に関する信号を増幅した後、第1、第2角速度センサ26、27のヌル電圧やドリフト成分をカットし、第1、第2角速度vx、vyとしてアナログ信号をCPU21のA/D0、A/D1に入力する。
CPU21は、A/D0、A/D1に入力された第1、第2角速度vx、vyをA/D変換した後、焦点距離などを考慮した変換係数によって一定時間(1ms)に生じた像ブレ量を演算する。従って、角速度検出部25とCPU21は、像ブレ量演算機能を有する。
CPU21は、演算により求められた像ブレ量に応じた撮像部39aの移動すべき位置Sを第1方向x、第2方向yごとに演算し設定する。位置Sの第1方向x成分をsx、第2方向y成分をsyとする。撮像部39aを含む可動部30aの移動は、後述する電磁力によって行われる。可動部30aをこの位置Sまで移動させるために駆動用ドライバ回路29を介して第1駆動用コイル31aを駆動する駆動力Dの第1方向x成分を第1PWMデューティdx、第2駆動用コイル32aを駆動する第2方向y成分を第2PWMデューティdyとする。
像ブレ補正部30は、CPU21が演算した移動すべき位置Sに撮像部39aを移動させることによって、ブレによって生じた被写体像の結像面における光軸LXのずれを無くし、被写体像と結像面位置を一定に保ち、像ブレを補正する装置であり、撮像部39aを含み移動可能領域をもつ可動部30aと、固定部30bと、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2とを備える。
像ブレ補正部30の可動部30aの駆動は、CPU21のPWM0から第1PWMデューティdx、PWM1から第2PWMデューティdyの出力を受けた駆動用ドライバ回路29を介して、駆動手段に含まれる駆動用コイル部、駆動用磁石部による電磁力によって行われる。可動部30aの移動前または移動後の位置Pはホール素子部44a、ホール素子信号処理回路45によって検出される。検出された位置Pの情報は、第1検出位置信号pxが第1方向x成分として、第2検出位置信号pyが第2方向y成分としてそれぞれCPU21のA/D2、A/D3に入力される。第1、第2検出位置信号px、pyはA/D2、A/D3を介してA/D変換される。第1、第2検出位置信号px、pyに対してA/D変換後の位置Pの第1方向x成分、第2方向y成分をそれぞれpdx、pdyとする。検出された位置P(pdx、pdy)のデータと移動すべき位置S(sx、sy)のデータによりPID制御が行われる。
像ブレ補正動作すなわちPID制御による可動部30aの駆動は、像ブレ補正スイッチ14aがオン状態にされた補正モードの時に行われる。但し、補正モードの時であって、第1タイムカウントパラメータTCXの値が0の場合は、可動部30aの第1方向xの駆動はオフ状態にされる。このとき、可動部30aは、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2によって付勢され、第1方向xの移動範囲の中心位置に固定される。また、補正モードの時であって、第2タイムカウントパラメータTCYの値が0の場合は、可動部30aの第2方向yの駆動はオフ状態にされる。このとき、可動部30aは、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2によって付勢され、第2方向yの移動範囲の中心位置に固定される。
第1、第2タイムカウントパラメータTCX、TCYの値が0か否かの判断はCPU21により行われる。詳細は、図6のフローチャートを用いて後述する。
可動部30aは、第1方向x、第2方向yの両方向に移動可能な両方向可動部30a1と、第2方向yだけに移動可能な片方向可動部30a2とで構成される。
両方向可動部30a1は、駆動用コイル部として2つの第1、第2駆動用コイル31a、32a、鉛直方向ステージ39a5を除く撮像部39a、磁界変化検出素子部としてのホール素子部44a、可動基板49a、プレート64a、第1、第2水平方向軸受けbh1、bh2を有する。片方向可動部30a2は、鉛直方向ステージ39a5、第1、第2水平方向シャフトsh1、sh2、第1〜第4水平方向シャフト固着部sfh1〜sfh4、第1、第2鉛直方向軸受けbv1、bv2を有する。
固定部30bは、駆動用磁石部として2つの第1、第2位置検出及び駆動用磁石411b、412b、第1、第2位置検出及び駆動用ヨーク431b、432b、ベース板65b、第1、第2鉛直方向シャフトsv1、sv2、第1〜第4鉛直方向シャフト固着部sfv1〜sfv4とを有する。
固定部30bが、可動部30aを第1方向x、第2方向yに移動自在に支持する詳細を説明する。
固定部30bが有し、第3方向zから見て第2方向yに平行で横長棒状の第1、第2鉛直方向シャフトsv1、sv2は、可動部30aの鉛直方向ステージ39a5に取り付けられた第1、第2鉛直方向軸受けbv1、bv2を鉛直方向(第2方向y)に移動自在に支持する。また、第1、第2鉛直方向シャフトsv1、sv2は、固定部30bのベース板65bに取り付けられた第1〜第4鉛直方向シャフト固着部sfv1〜sfv4に固定される。第1、第2鉛直方向シャフトsv1、sv2は、撮像素子39a1を第1方向xで挟む位置関係にある。
これにより、片方向可動部30a2は、固定部30bに対して第2方向yに移動が可能になる。鉛直方向ステージ39a5については、撮像部39aの構成の中で説明する。
片方向可動部30a2が有し、第3方向zから見て第1方向xに平行で横長棒状の第1、第2水平方向シャフトsh1、sh2は、可動部30aの水平方向ステージ39a2に取り付けられた第1、第2水平方向軸受けbh1、bh2を水平方向(第1方向x)に移動自在に支持する。また、第1、第2水平方向シャフトsh1、sh2は、可動部30aの鉛直方向ステージ39a5に取り付けられた第1〜第4水平方向シャフト固着部sfh1〜sfh4に固定される。第1、第2水平方向シャフトsh1、sh2は、撮像素子39a1を第2方向yで挟む位置関係にある。
これにより、両方向可動部30a1は、片方向可動部30a2及び固定部30bに対して第1方向xに移動が可能になる。また、両方向可動部30a1は、片方向可動部30a2と共に固定部30bに対して第2方向yに移動可能になる。
第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2は、通電状態の時に部材の温度上昇により縮み、非通電状態の時に部材の温度下降により伸びる形状記憶合金で、商品名:バイオメタル(トキ・コーポレーション社)などを例示しうる。また、いずれもコイル形状で、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2の巻線の内側には第1水平方向シャフトsh1が貫通され、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2の巻線の内側には第1鉛直方向シャフトsv1が貫通される。付勢部材それぞれの形状をコイル形状にすることにより、コイル形状部分に電気抵抗を有し、通電状態の時に発熱が早く生じて伸びる速度を早くすることが可能になる。
第1水平方向付勢部材fh1は、第1水平方向軸受けbh1と第1水平方向シャフト固着部sfh1との間に配置される。第2水平方向付勢部材fh2は、第1水平方向軸受けbh1と第2水平方向シャフト固着部sfh2との間に配置される。第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2の長さは、非通電状態において最大に伸びた時に第1水平方向軸受けbh1の両端部を付勢して可動部30aを第1方向xの移動中心に固定でき、通電状態において最小に縮んだ時に可動部30aが第1方向xの移動範囲全体のいずれにも移動可能な状態になる程度に設定される。
第1鉛直方向付勢部材fv1は、第1鉛直方向軸受けbv1と第1鉛直方向シャフト固着部sfv1との間に配置される。第2鉛直方向付勢部材fv2は、第1鉛直方向軸受けbv1と第2鉛直方向シャフト固着部sfv2との間に配置される。第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2の長さは、非通電状態において最大に伸びた時に第1鉛直方向軸受けbv1の両端部を付勢して可動部30aを第2方向yに移動中心に固定でき、通電状態において最小に縮んだ時に可動部30aが第2方向yの移動範囲全体のいずれにも移動可能な状態になる程度に設定される。
従って、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2が、非通電状態において最大に伸びた時、可動部30aは、移動中心位置に固定される。
具体的には、第1水平方向付勢部材fh1は第1水平方向軸受けbh1を第1方向xの一方から付勢し、第2水平方向付勢部材fh2は第1水平方向軸受けbh1を第1方向xの他方から付勢することにより、可動部30aの両方向可動部30a1を第1方向xの移動中心に固定する。第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2は、可動部30aの両方向可動部30a1を第1方向xで挟む位置関係にある。
第1鉛直方向付勢部材fv1は第1鉛直方向軸受けbv1を第2方向yの一方から付勢し、第2鉛直方向付勢部材fv2は第1鉛直方向軸受けbv1を第2方向yの他方から付勢することにより、可動部30aの片方向可動部30a2を第2方向yの移動中心に固定する。第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2は、可動部30aの片方向可動部30a2を第2方向yで挟む位置関係にある。片方向可動部30a2が第2方向yの移動中心に固定されることにより、両方向可動部30a1も第2方向yの移動中心に固定される。
図4は、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2のそれぞれが非通電状態で伸びており可動部30aを移動中心位置で固定している状態を示す。
第1の実施形態では、第1水平方向付勢部材fh1と第2水平方向付勢部材fh2とが電気的に直列に接続される形態を説明するが、並列に接続されていてもよい(不図示)。また、第1の実施形態では、第1鉛直方向付勢部材fv1と第2鉛直方向付勢部材fv2とが電気的に直列に接続される形態を説明するが、並列に接続されていてもよい(不図示)。
撮像素子39a1の撮像範囲を最大限活用して像ブレ補正を行うために、撮影レンズ67の光軸LXが撮像素子39a1の中心近傍を通る位置関係にある時に、第1方向x、第2方向yともに可動部30aが移動範囲の中心に位置する(移動中心位置にある)ように可動部30aと固定部30bの位置関係を設定する。撮像素子39a1の中心とは、撮像素子39a1の撮像面を形成する矩形が有する2つの対角線の交点をいう。
可動部30aは、撮影レンズ67の方向からみて光軸方向に撮像部39a、プレート64a、可動基板49aが取り付けられる。撮像部39aは、撮像素子39a1、水平方向ステージ39a2、押さえ部39a3、光学ローパスフィルタ39a4、及び鉛直方向ステージ39a5とを有し、水平方向ステージ39a2とプレート64aとで撮像素子39a1、押さえ部39a3、光学ローパスフィルタ39a4を挟み付勢する。
第1、第2水平方向軸受けbh1、bh2は、水平方向ステージ39a2に取り付けられる。第1〜第4水平方向シャフト固着部sfh1〜sfh4は、鉛直方向ステージ39a5に取り付けられる。第1、第2鉛直方向軸受けbv1、bv2は、鉛直方向ステージ39a5に取り付けられる。第1〜第4鉛直方向シャフト固着部sfv1〜sfv4は、ベース板65bに取り付けられる。
プレート64aは、撮像素子39a1が取り付けられることにより、撮像素子39a1が撮影レンズ67の光軸LXに垂直になるように位置決めを行う。またプレート64aが金属材料で出来ている場合には、撮像素子39a1と接触することによりさらに放熱効果も有する。
可動基板49aは、シート状でかつ渦巻き状のコイルパターンが形成された第1、第2駆動用コイル31a、32a、及びホール素子部44aとが取り付けられている。第1駆動用コイル31aのコイルパターンは、第1駆動用コイル31aの電流の方向と第1位置検出及び駆動用磁石411bの磁界の向きから生じる電磁力により第1駆動用コイル31aを含む可動部30aを第1方向xに移動させるべく、第2方向yと平行な線分を有する。第2駆動用コイル32aのコイルパターンは、第2駆動用コイル32aの電流の方向と第2位置検出及び駆動用磁石412bの磁界の向きから生じる電磁力により第2駆動用コイル32aを含む可動部30aを第2方向yに移動させるべく、第1方向xと平行な線分を有する。ホール素子部44aについては後述する。
第1、第2駆動用コイル31a、32aは、フレキシブル基板(不図示)を介してこれらを駆動する駆動用ドライバ回路29と接続される。駆動用ドライバ回路29は、CPU21のPWM0、PWM1から第1、第2PWMデューティdx、dyのそれぞれが入力される。駆動用ドライバ回路29は、入力された第1、第2PWMデューティdx、dyの値に応じて第1、第2駆動用コイル31a、32aに電力を供給し、可動部30aを駆動する。
第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2は、フレキシブル基板(不図示)を介してこれらを駆動する第1付勢部材用ドライバ回路80と接続される。第1付勢部材用ドライバ回路80と接続されるCPU21のポートP18はHi信号、Lo信号を出力し、Hi信号の時、付勢部材用ドライバ回路80を介して第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2は通電状態にされ、Lo信号の時、非通電状態にされる。
第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2は、フレキシブル基板(不図示)を介してこれらを駆動する第2付勢部材用ドライバ回路83と接続される。第2付勢部材用ドライバ回路83と接続されるCPU21のポートP19はHi信号、Lo信号を出力し、Hi信号の時、付勢部材用ドライバ回路83を介して第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2は通電状態にされ、Lo信号の時、非通電状態にされる。
第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2は、撮像装置1全体が主電源オフ時、及び主電源オン時で且つ像ブレ補正装置が像ブレ補正動作を行わないすなわち補正モードオフ時に非通電状態にされる。また、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2は、主電源オン時で且つ補正モードオン時であって、第1タイムカウントパラメータTCXが0の場合にも非通電状態にされる。その他の時、すなわち主電源オン時で且つ補正モードオン時であって、第1タイムカウントパラメータTCXが0でない場合に、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2は通電状態にされる。
第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2は、撮像装置1全体が主電源オフ時、及び主電源オン時で且つ像ブレ補正装置が像ブレ補正動作を行わないすなわち補正モードオフ時に非通電状態にされる。また、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2は、主電源オン時で且つ補正モードオン時であって、第2タイムカウントパラメータTCYが0の場合にも非通電状態にされる。その他の時、すなわち主電源オン時で且つ補正モードオン時であって、第2タイムカウントパラメータTCYが0でない場合に、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2は通電状態にされる。
非通電状態の時、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2それぞれは伸びて、可動部30aの第1方向x、第2方向yの移動を制限し、移動中心位置に固定する。通電状態の時、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2それぞれは縮み、可動部30aの第1方向x、第2方向yの移動を制限することなく、固定状態を解除する。
従って、Ponスイッチ11aのオンオフ、像ブレ補正スイッチ14aのオンオフ、及び第1、第2タイムカウントパラメータTCX、TCYの値に連動して、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2の通電状態、非通電状態が切り替えられる。
付勢部材用ドライバ回路80は、トランジスタTr1とバイアス抵抗81、82で構成される。トランジスタTr1は、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2に供給される電力をスイッチングするように接続されたNPNトランジスタで、ベースがバイアス抵抗81を介してCPU21のポートP18に接続されている。バイアス抵抗82は、ベースとエミッタの間に接続される。
付勢部材用ドライバ回路83は、トランジスタTr2とバイアス抵抗84、85で構成される。トランジスタTr2は、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2に供給される電力をスイッチングするように接続されたNPNトランジスタで、ベースがバイアス抵抗84を介してCPU21のポートP19に接続されている。バイアス抵抗85は、ベースとエミッタの間に接続される。
従来技術では、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2に相当する可動部30aを付勢して特定位置に固定する部材を有しなかった。そのため、可動部30aを特定位置に固定するモータなどの大型の機構を用いなければ、主電源がオフ状態の場合に、可動部は固定されておらず撮像装置の保持状態が光軸と垂直な平面方向に変化する度に重力などにより可動部が移動し、可動部の破損等の問題が生じていた。また、主電源がオン状態で補正モードがオフ状態(IS=0)の場合には、可動部30aを特定位置に保持するためにコイル(第1、第2駆動用コイル31a、32a)を駆動させる必要があり、消費電力に問題があった。
第1の実施形態では、撮像装置1全体が主電源オフ状態の時や、主電源がオン状態で補正モードオフ状態の時に、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2を非通電状態にすることにより伸ばして可動部30aを付勢して移動中心位置に固定する。非通電状態であるから消費電力の問題は生じない。また、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2の伸縮によって可動部30aの固定及び固定解除を行うので、モータなどの大型の機構部品を新たに加える必要がなく装置が大型化することもない。
また、主電源オン時で且つ補正モードオン状態の時であって、第1タイムカウントパラメータTCXが0の場合には、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2を非通電状態にして可動部30aを第1方向xに付勢する。例えば使用者によって撮像装置1を第1方向xに動かして流し撮りやパンを行う場合、1msごとに検出されるブレに関する情報の第1方向x成分としての第1角速度vxの値の符号は一定となる。一方、使用者の撮像装置1を保持する場合などに生じる手ブレの場合、1msごとに検出される第1角速度vxの値の符号は一定にならない。第1の実施形態では、第1角速度vxの値の符号が第2時間TTの間、一定である場合には、撮像装置1について第1方向xに流し撮りまたはパン動作が行われたとして、補正モードであっても第1方向xの像ブレ補正動作を解除する。
第1角速度vxが、1ms前に行われた像ブレ補正動作における第1角速度vxと同符号であるとは、撮像装置1が第1方向xに動いた方向が1ms前に行われた像ブレ補正動作時と同じであることを意味する。
また、主電源オン時で且つ補正モードオン状態の時であって、第2タイムカウントパラメータTCYが0の場合には、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2を非通電状態にして可動部30aを第2方向yに付勢する。例えば使用者によって撮像装置1を第2方向yに動かして流し撮りやパンを行う場合、1msごとに検出されるブレに関する情報の第2方向y成分としての第2角速度vyの値の符号は一定となる。一方、使用者の撮像装置1を保持する場合などに生じる手ブレの場合、1msごとに検出される第2角速度vyの値の符号は一定にならない。第1の実施形態では、第2角速度vyの値の符号が第2時間TTの間、一定である場合には、撮像装置1について第2方向yに流し撮りまたはパン動作が行われたとして、補正モードであっても第2方向yの像ブレ補正動作を解除する。
第2角速度vyが、1ms前に行われた像ブレ補正動作における第2角速度vyと同符号であるとは、撮像装置1が第2方向yに動いた方向が1ms前に行われた像ブレ補正動作時と同じであることを意味する。
これにより、撮影状況に応じて可動部30aを第1方向x、第2方向yのいずれか一方だけ付勢部材によって固定し、いずれか他方だけ像ブレ補正動作を行うことが可能になり、流し撮りやパンを行った時にも適切に像ブレ補正動作を行うことができる。
第1位置検出及び駆動用磁石411bは、第1駆動用コイル31a及び水平方向ホール素子hh10と対向するように固定部30bの可動部30a側に取り付けられる。第2位置検出及び駆動用磁石412bは、第2駆動用コイル32a及び鉛直方向ホール素子hv10と対向するように固定部30bの可動部30a側に取り付けられる。
第1位置検出及び駆動用磁石411bは、第3方向zにおいて固定部30bのベース板65b上で且つ可動部30a側に取り付けられた第1位置検出及び駆動用ヨーク431bの上であって、第1方向xにN極とS極が並べて取り付けられる。第1位置検出及び駆動用磁石411bの第2方向yの長さは、可動部30aが第2方向yに移動した際に第1駆動用コイル31a及び水平方向ホール素子hh10に及ぼす磁界が変化しない程度に第1駆動用コイル31aの第2方向yの第1有効長L1に比べて長めに設定される。
第2位置検出及び駆動用磁石412bは、第3方向zにおいて固定部30bのベース板65b上で且つ可動部30a側に取り付けられた第2位置検出及び駆動用ヨーク432bの上であって、第2方向yにN極とS極が並べて取り付けられる。第2位置検出及び駆動用磁石412bの第1方向xの長さは、可動部30aが第1方向xに移動した際に第2駆動用コイル32a及び鉛直方向ホール素子hv10に及ぼす磁界が変化しない程度に第2駆動用コイル32aの第1方向xの第2有効長L2に比べて長めに設定される。
第1位置検出及び駆動用ヨーク431bは、第2方向yから見てコの字型形状を有する多角柱の軟磁性体材料で構成され、第1位置検出及び駆動用磁石411b、第1駆動用コイル31a、及び水平方向ホール素子hh10を第3方向zで挟む形で、固定部30bのベース板65b上に取り付けられる。第1位置検出及び駆動用ヨーク431bにおける第1位置検出及び駆動用磁石411bと接する側の部分は、第1位置検出及び駆動用磁石411bの磁界が周囲に漏れないようにする役目を果たす。第1位置検出及び駆動用ヨーク431bにおける第1位置検出及び駆動用磁石411b、第1駆動用コイル31a、及び可動基板49aと対向する側の部分は、第1位置検出及び駆動用磁石411bと第1駆動用コイル31a、及び第1位置検出及び駆動用磁石411bと水平方向ホール素子hh10との間の磁束密度を高める役目を果たす。
第2位置検出及び駆動用ヨーク432bは、第1方向xから見てコの字型形状を有する多角柱の軟磁性体材料で構成され、第2位置検出及び駆動用磁石412b、第2駆動用コイル32a、及び鉛直方向ホール素子hv10とを第3方向zで挟む形で、固定部30bのベース板65b上に取り付けられる。第2位置検出及び駆動用ヨーク432bにおける第2位置検出及び駆動用磁石412bと接する側の部分は、第2位置検出及び駆動用磁石412bの磁界が周囲に漏れないようにする役目を果たす。第2位置検出及び駆動用ヨーク432bにおける第2位置検出及び駆動用磁石412b、第2駆動用コイル32a、及び可動基板49aと対向する側の部分は、第2位置検出及び駆動用磁石412bと第2駆動用コイル32a、及び第2位置検出及び駆動用磁石412bと鉛直方向ホール素子hv10との間の磁束密度を高める役目を果たす。
ホール素子部44aは、ホール効果を利用した磁電変換素子であるホール素子を2つ有し、可動部30aの第1方向x、第2方向yの現在位置P(第1検出位置信号px、第2検出位置信号py)を検出する1軸ホール素子である。2つのホール素子のうち第1方向xの位置検出用のホール素子を水平方向ホール素子hh10、第2方向yの位置検出用のホール素子を鉛直方向ホール素子hv10とする。
水平方向ホール素子hh10は、第3方向zから見て可動部30aの可動基板49a上であって、固定部30bの第1位置検出及び駆動用磁石411bと対向する位置に取り付けられる。鉛直方向ホール素子hv10は、第3方向zから見て可動部30aの可動基板49a上であって、固定部30bの第2位置検出及び駆動用磁石412bと対向する位置に取り付けられる。
直線的な変化量を使って精度の高い位置検出が行える範囲を最大限活用して位置検出を行うため、水平方向ホール素子hh10の第1方向xの位置は、撮像素子39a1の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、第1位置検出及び駆動用磁石411bのN極、S極と等距離近傍にあるのが望ましい。同様に、鉛直方向ホール素子hv10の第2方向yの位置は、撮像素子39a1の中心近傍が光軸LXを通る位置関係にある時に、第2位置検出及び駆動用磁石412bのN極、S極と等距離近傍にあるのが望ましい。
ベース板65bは、固定部30bにおいて第1、第2位置検出及び駆動用ヨーク431b、432bなどを取り付けるベースとなる板状部材で、撮像素子39a1の撮像面と平行に配置される。本実施形態では、ベース板65bは、第3方向zにおいて、可動基板49aよりも撮影レンズ67に近い側にあるが、可動基板49aの方が撮影レンズ67に近い側にあるような位置関係であってもよい。この場合、第1、第2駆動用コイル31a、32a、ホール素子部44aは可動基板49aの撮影レンズ67がある側と逆側に、第1、第2位置検出及び駆動用磁石411b、412bはベース板65bの撮影レンズ67がある側に配置される。
ホール素子信号処理回路45は、水平方向ホール素子hh10の出力信号から水平方向ホール素子hh10における出力端子間の水平方向電位差x10を検出し、これから第1方向xの位置を特定する第1検出位置信号pxをCPU21のA/D2に出力する第1ホール素子信号処理回路450と、鉛直方向ホール素子hv10の出力信号から、鉛直方向ホール素子hv10における出力端子間の鉛直方向電位差y10を検出し、これから第2方向yの位置を特定する第2検出位置信号pyをCPU21のA/D3に出力する第2ホール素子信号処理回路460とを有する。
次に、一定時間(1ms)ごとに割り込み処理として他の動作と独立して行われる像ブレ補正処理について手順を図6のフローチャートで説明する。なお、撮像装置1の電源がオン状態にされた直後で、最初の像ブレ補正処理の割り込み動作が行われる前に、CPU21のポートP18、P19からの出力信号はいずれもLoに設定され、第1、第2タイムカウントパラメータTCX、TCYの値は第2時間TTと同じに設定される。
また、第1角速度vxの値の符号を、前回すなわち1ms前に行われた像ブレ補正動作において検出された第1角速度vxの値の符号と同じか否かを判断するために、現時点の第1角速度vxと、前回の第1角速度vxを一時記憶する変数を第1変数XXとする。第2角速度vyの値の符号を、前回すなわち1ms前に行われた像ブレ補正動作において検出された第2角速度vyの値の符号と同じか否かを判断するために、現時点の第2角速度vyと、前回の第2角速度vyを一時記憶する変数を第2変数YYとする。第1、第2変数XX、YYはCPU21にメモリされる。
ステップS11で、像ブレ補正処理の割り込み動作が始まると、ステップS12で、角速度検出部25から出力された第1、第2角速度vx、vyが、CPU21のA/D0、A/D1を介しA/D変換され入力される。ステップS13で、ステップS12で求められた第1、第2角速度vx、vyを第1、第2変数XX、YYに入力する。ステップS14で、ホール素子部44aで位置検出され、ホール素子信号処理回路45で演算された第1、第2検出位置信号px、pyがCPU21のA/D2、A/D3を介しA/D変換され入力され、現在位置P(pdx、pdy)が求められる。
ステップS15で、IS=0か否かが判断される。IS=0すなわち補正モードでない場合は、ステップS16で、第1、第2タイムカウントパラメータTCX、TCYの値がいずれも第2時間TTと同じにされる。ステップS17で、CPU21のポートP18、P19の出力信号がLo信号にされる。第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2が非通電状態にされることにより伸びて可動部30aが、移動中心位置に移動せしめられる。前回すなわち1ms前の割り込み処理動作においても補正モードでない場合(IS=0)は、非通電状態が継続される。ステップS18でPID制御による駆動は、第1方向x、第2方向yともにオフ状態で行われず、1msのタイマ割り込み処理が終了される。
ステップS15の判断で、IS=1すなわち補正モードの場合は、ステップS19で、ステップS12で求めた第1、第2角速度vx、vyから可動部30aの移動すべき位置S(sx、sy)が演算され設定される。ステップS20で、第1変数XXの値が、前回すなわち1ms前の割り込み処理動作において入力された第1変数XXの値と同符号か否かが判断される。同符号でない場合は、ステップS21で、第1タイムカウントパラメータTCXの値が第2時間TTと同じにされ、ステップS22で、CPU21のポートP18の出力信号がHi信号にされる。第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2が通電状態にされることにより縮み可動部30aの第1方向xの固定状態が解除される。前回すなわち1ms前の割り込み処理動作においても、同符号でなかった場合は、通電状態が継続される。
ステップS20の判断で、同符号である場合には、ステップS23で、第1タイムカウントパラメータTCXが0か否かが判断される。0でない場合はステップS24で、第1タイムカウントパラメータTCXの値が1つだけ減らされ、ステップS22に進められる。0の場合は、ステップS25で、CPU21のポートP18の出力信号がLo信号にされる。第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2が非通電状態にされることにより伸びて可動部30aが、第1方向xの移動中心位置に移動せしめられる。前回すなわち1ms前の割り込み処理動作においても第1タイムカウントパラメータTCXの値が0の場合は、非通電状態が継続される。ステップS26で、PID制御による駆動は、第1方向xについてはオフ状態にされて行われず、ステップS27に進められる。
ステップS27で、第2変数YYの値が、前回すなわち1ms前の割り込み処理動作において入力された第2変数YYの値と同符号か否かが判断される。同符号でない場合は、ステップS28で、第2タイムカウントパラメータTCYの値が第2時間TTと同じにされ、ステップS29で、CPU21のポートP19の出力信号がHi信号にされ、ステップS34に進められる。第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2が通電状態にされることにより縮み可動部30aの第2方向yの固定状態が解除される。前回すなわち1ms前の割り込み処理動作においても、同符号でなかった場合は、通電状態が継続される。
ステップS27の判断で、同符号である場合には、ステップS30で、第2タイムカウントパラメータTCYが0か否かが判断される。0でない場合はステップS31で、第2タイムカウントパラメータTCYの値が1つだけ減らされ、ステップS29に進められる。0の場合は、ステップS32で、CPU21のポートP19の出力信号がLo信号にされる。第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2が非通電状態にされることにより伸びて可動部30aが、第2方向yの移動中心位置に移動せしめられる。前回すなわち1ms前の割り込み処理動作においても第2タイムカウントパラメータTCYの値が0の場合は、非通電状態が継続される。ステップS33で、PID制御による駆動は、第2方向yについてはオフ状態にされて行われず、ステップS34に進められる。
ステップS34で、ステップS19で設定した位置S(sx、sy)と現在位置P(pdx、pdy)より可動部30aの移動に必要な駆動力Dすなわち第1、第2駆動用コイル31a、32aを駆動するのに必要な第1、第2PWMデューティdx、dyが演算される。ステップS35で第1、第2PWMデューティdx、dyにより駆動用ドライバ回路29を介し第1、第2駆動用コイル31a、32aが駆動され可動部30aが移動せしめられ、1msのタイマ割り込み処理が終了される。ステップS34、S35の動作は、一般的な比例、積分、微分演算を行うPID自動制御で用いられる自動制御演算である。
次に、図7のタイミングチャートを使って、第1、第2角速度vx、vy、付勢部材の通電状態の推移例を説明する。図7では、使用者によって撮像装置1を第1方向xに動かす流し撮りを行った場合の第1、第2角速度vx、vyと、付勢部材の通電状態の推移を示す。
時点t10で、像ブレ補正スイッチ14aがオフ状態からオン状態に切り替えられると、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2それぞれの非通電状態が通電状態に切り替えられる。第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2それぞれは、通電状態に切り替えられた直後から縮み、可動部30aの付勢が解除され、可動部30aは、第1方向x、第2方向yに移動可能になる。
ブレに関する情報の第1方向x成分に相当する第1角速度vxの値は、時点t10から第2時間TTが経過する時点t11を超えた時点t12までの間、連続して同じ符号(+)を示す(図7の(1))。第1角速度vxの値が同符号を継続した時間が第2時間TTを超えた時点t11からは、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2は非通電状態にされる。可動部30aは、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2の付勢により第1方向xの移動中心位置に固定される。時点t12で、1msごとに求められる第1角速度vxの値が連続して同符号である状態を継続しなくなると、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2は通電状態にされる(図7(2))。可動部30aは第1方向xに移動可能になる。
一方、ブレに関する情報の第2方向y成分に相当する第2角速度vyの値は、時点t10から、第2時間TTの間連続して同符号にならない(図7の(3))。第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2は時点t10から時点t11、t12を経過するまでの間、通電状態が維持される(図7の(4))。第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2は、縮んだ状態を維持し、可動部30aは第2方向yに移動可能な状態が維持される。
なお、第1の実施形態では、像ブレ補正部30が可動部30aを第1方向xに移動させるためのシャフト、第2方向yに移動させるためのシャフトをそれぞれ2つずつ有する形態を説明したが、それぞれ1つずつ有する形態であっても、同様の効果が得られる。具体的には、第2水平方向シャフトsh2、第2鉛直方向シャフトsv2、第2水平方向軸受けbh2、第2鉛直方向軸受けbv2、第3、第4水平方向シャフト固着部sfh3、sfh4、第3、第4鉛直方向シャフト固着部sfv3、sfv4を有しない形態である。
次に、第2の実施形態を説明する。第2の実施形態では、第2水平方向付勢部材fh2、第2鉛直方向付勢部材fv2の配置される位置が第1の実施形態と異なる(図8参照)。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
第1水平方向付勢部材fh1の巻線の内側には第1水平方向シャフトsh1が貫通され、第2水平方向付勢部材fh2の巻線の内側には第2水平方向シャフトsh2が貫通され、第1鉛直方向付勢部材fv1の巻線の内側には第1鉛直方向シャフトsv1が貫通され、第2鉛直方向付勢部材fh2の巻線の内側には第2鉛直方向シャフトsv2が貫通される。
第1水平方向付勢部材fh1は、第1水平方向軸受けbh1と第1水平方向シャフト固着部sfh1との間に配置される。第2水平方向付勢部材fh2は、第2水平方向軸受けbh2と第4水平方向シャフト固着部sfh4との間に配置される。第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2の長さは、非通電状態において最大に伸びた時に第1、第2水平方向軸受けbh1、bh2の一端部を付勢して可動部30aを第1方向xの移動中心に固定でき、通電状態において最小に縮んだ時に可動部30aが第1方向xの移動範囲全体のいずれにも移動可能な状態になる程度に設定される。
第1鉛直方向付勢部材fv1は、第1鉛直方向軸受けbv1と第1鉛直方向シャフト固着部sfv1との間に配置される。第2鉛直方向付勢部材fv2は、第2鉛直方向軸受けbv2と第4鉛直方向シャフト固着部sfv4との間に配置される。第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2の長さは、非通電状態において最大に伸びた時に第1、第2鉛直方向軸受けbv1、bv2の一端部を付勢して可動部30aを第2方向yに移動中心に固定でき、通電状態において最小に縮んだ時に可動部30aが第2方向yの移動範囲全体のいずれにも移動可能な状態になる程度に設定される。
従って、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2が、非通電状態において最大に伸びた時、可動部30aは、移動中心位置に固定される。
具体的には、第1水平方向付勢部材fh1は第1水平方向軸受けbh1を第1方向xの一方から付勢し、第2水平方向付勢部材fh2は第2水平方向軸受けbh2を第1方向xの他方から付勢することにより、可動部30aの両方向可動部30a1を第1方向xの移動中心に固定する。第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2は、可動部30aの両方向可動部30a1を第1方向xで挟む位置関係にある。
第1鉛直方向付勢部材fv1は第1鉛直方向軸受けbv1を第2方向yの一方から付勢し、第2鉛直方向付勢部材fv2は第2鉛直方向軸受けbv2を第2方向yの他方から付勢することにより、可動部30aの片方向可動部30a2を第2方向yの移動中心に固定する。第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2は、可動部30aの片方向可動部30a2を第2方向yで挟む位置関係にある。片方向可動部30a2が第2方向yの移動中心に固定されることにより、両方向可動部30a1も第2方向yの移動中心に固定される。
図8は、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2のそれぞれが非通電状態で伸びており可動部30aを移動中心位置で固定している状態を示す。
その他は第1の実施形態と同じである。第2実施形態では、第1、第2水平方向シャフトsh1、sh2、第1、第2鉛直方向シャフトsv1、sv2それぞれに付勢部材が配置されており、可動部30aの固定状態を更に安定させることが可能になる。
なお、第1、第2の実施形態ともに、第1、第2水平方向付勢部材fh1、fh2、第1、第2鉛直方向付勢部材fv1、fv2がコイル形状で、それぞれの巻線の内側にシャフトが貫通されている形態を説明した。これにより、シャフトがガイドの役目を果たし付勢部材のそれぞれを目的の方向に安定して伸縮させる効果があるが、シャフト以外の部材でガイドの役目を果たしても良いし、伸縮の方向性が安定する付勢部材であればガイド無しであってもよい。
また、付勢部材の形状はコイル形状に限られない。伸縮率の高い付勢部材であれば、コイル形状にすることによって部材全長を長くせずとも棒状部材でよい。
また、可動部30aを付勢部材やPID制御によって固定する位置は、可動部30aの移動中心位置であるとして説明した。すなわち可動部30aを固定する位置の第1方向x成分である第1特定位置は可動部30aの第1方向xの移動中心位置、第2方向y成分である第2特定位置は可動部30aの第2方向yの移動中心位置であるとして説明したが、他の位置であってもよい。
第1特定位置が、可動部30aの第1方向の移動範囲の端点であり、第2特定位置が、可動部30aの第2方向の移動範囲の端点である場合は、付勢部材は第1方向xの固定に1つ、第2方向xの固定に1つでよい。但し、可動部30aの移動範囲を有効活用する観点からは、可動部の移動中心位置である方が望ましい。
また、第1方向x、第2方向yそれぞれにおいて、位置検出用の磁石と、駆動用の磁石を共用させた構成を説明したが別体であってもよい。
さらに、位置検出用のホール素子部44aを可動部30aに、位置検出用の磁石(第1、第2位置検出及び駆動用磁石411b、412b)を固定部30bに配置する構成を説明したが、可動部30a、固定部30bの構成を逆、すなわち、可動部30aが位置検出用の磁石を、固定部30bがホール素子部を有する形態でもよい。
また、磁界を発生させる装置としての磁石はいずれも、常に磁界を発生させる磁石であっても、必要に応じて磁界を発生させる電磁石であってもよい。
また、撮像素子39a1を含む撮像部39aが可動部30aに配置されて移動する形態を説明したが、撮像部39aは固定で、像ブレ補正レンズを可動部30aに配置して移動させる形態でも同様の効果が得られる。
また、磁界変化検出素子としてホール素子を利用したホール素子部44aによる位置検出を説明したが、磁界変化検出素子として別の検出素子を利用してもよい。具体的には、磁界の変化を検出することにより可動部の位置検出情報を求めることが可能なMIセンサ(高周波キャリア型磁界センサ)、または磁気共鳴型磁界検出素子、MR素子(磁気抵抗効果素子)であり、ホール素子を利用した第1、第2実施形態と同様の効果が得られる。