JP4494702B2 - 印刷機駆動システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の駆動装置を備える駆動モータと、各々がデータ処理手段を有し、各駆動装置に接続されたローカルな駆動制御装置と、これら駆動制御装置に接続された中央の操作・制御装置を有し、これらの駆動装置はそれぞれ付属の駆動制御装置によって駆動データの設定により分散的に作動させられる印刷機駆動システムを同期化する方法、およびこの方法を実施する印刷機に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数のモータを互いに同期した状態に保つ役目をする駆動システムの複数のモータを制御する方法が、公知である。一般に、このような駆動システムは、多数の駆動装置を、角度目標値の設定に関して同期した状態に保つことに問題がある。特に、各印刷段階ないし印刷インキのための駆動装置を備える印刷機の駆動システムの場合、良好な印刷結果を得られるようにするには、種々の駆動装置の駆動モータを同期した状態に保つことが必要である。各駆動装置の仕様は異なっているので、印刷機において、一方では各駆動装置で種々の種類の駆動モータを使用可能でなければならず、また他方では、各駆動装置の駆動制御のためにさまざまな種類のプロセッサを設けることが必要となる。
【0003】
米国特許明細書5615609は、直流モータの使用を可能にする複数の駆動装置を備えた段ボール紙の印刷機の駆動システム、およびデータ検出部を制御する方法を記載している。この場合、モータ速度を制御する主駆動制御部は主駆動装置と電気的に接続されている。主駆動装置のクロック発生器が、主駆動装置の回転運動に依存する出力クロックパルスを生成する。従属駆動モータが、主駆動モータに対する駆動モータの速度を制御するために、従属駆動制御部と電気的に接続されている。従属駆動装置のクロック発生器が、印刷機の従属駆動装置の回転運動に依存して出力クロックパルスを生成する。コントローラが、メイン駆動装置と二次駆動装置のクロックパルスの出力クロック信号を受信するように設定されており、主駆動装置と従属駆動装置のクロックパルスを処理し、これに関する制御コマンドを生成して従属駆動制御部に伝送し、それによって従属駆動装置は主駆動モータと従属駆動モータの同期運転を達成するために、主駆動装置に依存して調整される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このシステムおよび方法の欠点は、主に、従属駆動装置の制御部が主駆動装置の動作に依存している点にある。このような依存性は、従属駆動装置の運転が、メイン駆動装置の設定に対して常に遅れながら応答するという結果をもたらす。クロック発生器の間の差、ならびに駆動制御部の計算精度および計算速度における差は、内部で補償できない。しかも、駆動モータの同期運転は、各モータに付属するクロック発生器のクロック信号だけに基づいて調整されるので、直流モータの動作値と中央の制御部の目標値との間の、1つまたは複数のサンプリング間隔を超える大きな差は、公知の同期制御によっては修正できない。
【0005】
さらに、他の欠点は、主駆動装置の刻時の、従駆動制御部への伝送が異なる長さの電子経路で行われることであり、1つまたは複数の電子モジュールが介在するのが通例であるため、このことも異なる伝送時間につながっている。空間的に広がった、障害にさらされている電子回線機構でこのような差異を補償することは、コストがかかるうえに故障を生じやすい。
【0006】
異なるプロセッサで制御されるさまざまな種類の駆動モータを印刷機で使用する場合、各プロセッサが、異なるクロック周波数と、小数位ないし端数処理に関して異なる計算精度と、モータ位置がチェックされる異なるサンプリング時点とを有することができることも欠点である。このように異なるプロセッサを備えるさまざまな種類の駆動モータが協働する場合、ある程度の時間の後、各部品の前述したような差に基づいて発生し、駆動制御部自体によっては認識することのできない各駆動モータの角度差を引き起こすドリフトが、駆動モータの同期運転に生じる。このような角度差は、機械部品の衝突につながらない場合でも、いずれにせよ印刷の際に著しい品質低下をもたらす。
【0007】
さらに、駆動装置のデータ処理手段がデータ回路に組込まれている、機械駆動装置のための駆動制御がインターフェース技術より公知である。企業印刷物SERCOS−IEC61491,EN61491は、それぞれ複数の駆動軸がデータ回路の中で駆動グループとして統合されていてよい駆動システムを開示している。それぞれのデータ回路では、駆動値と制御コマンドの設定が、サンプリング・更新周期で、接続されている駆動装置の各々で順次更新され、すなわち、各駆動装置の目標値の更新は、同一の命令ステップ、検査ステップ、および計算ステップによって接近した時間で実行される。
【0008】
このシステムでは、特に複数の駆動装置を備える印刷機の場合、同期運転に関する精度の要求があるために、数値がそれぞれ個々の駆動装置で同時に測定され、その命令設定が同時に処理されなければならないので、各駆動装置とその制御装置の間、ならびに各駆動制御装置と中央の操作・制御装置との間に、大量のデータ発生が起こるのが欠点であることが判明している。そのため、開示されているデータ回路には、このようなデータ処理のための、高価な部品、たとえば各制御装置をつなぐデータバスや、容量の大きな相応の集積回路が必要である。
【0009】
さらに、このようなシステムでは、コマンド周期および/またはサンプリング周期の実行が駆動装置ごとに順次行われ、そのために、それぞれ別個のデータ回路の中でつながっている各駆動グループの間で時間的にまちまちになる場合があることが欠点として作用する。1つの周期が終了したときに初めて、データ回路のすべての駆動装置が相互に同期するように調節され、この場合、さまざまな駆動グループのデータ回路の調節は中央で行わなければならない。
【0010】
そのために、すべての駆動装置で同期運転の不正確さないし乱れを防止するには、大量のデータ処理量をこなすことができ、必要になるきわめて短いサイクル時間ないしサンプリング時間を考慮する、コストのかかるデータ処理システムが、そのために設けられるデータ処理プログラムを含めて必要である。
【0011】
したがって、本発明の目的は、特に印刷機の駆動システムの複数の駆動モータの同期化を改良することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴によって達成される。有利な実施形態は従属項2から11の特徴から明らかである。
【0013】
本発明によれば、
駆動装置の駆動制御装置の少なくとも1つのデータ処理手段が、該駆動装置の駆動データを、その他の駆動装置のデータ処理手段で必要な計算方法にしたがって計算し、このとき前記の必要な計算方法によって、前記のその他の駆動装置のデータ処理手段がそれぞれの駆動装置の駆動データを計算し、
駆動データが各駆動装置に対する目標値を含んでおり、この目標値は目標値発生器によって中央で計算され、
中央の操作・制御装置は、駆動システムの駆動装置に対する目標値を駆動制御装置に伝送し、駆動制御装置のデータ処理手段はそれぞれ付属する駆動装置の駆動データを計算し、その都度の駆動データを計算するために複数のデータ処理手段は同等な作業ステップを実行し、
各駆動装置の前記データ処理手段における、前記の必要な計算方法による計算のときに各駆動装置のデータ処理手段における駆動制御装置の電子部品、特にプロセッサと記憶装置の刻時、計算時間、および/または計算精度の差異が補償され、
これによって、各駆動装置のデータ処理手段における前記の必要な計算方法による計算のときに前記駆動装置間および/または前記データ処理手段間の、システムに起因する差が補償される
方法が提供される。
【0014】
したがって、有利なことに、駆動システムを完全に分散的に作動させ、各駆動装置の駆動モータの運転についての駆動データを計算するときに、さまざまな駆動装置の間の差をすでに考慮して、駆動データを計算する際にプリセットすることが可能である。そのためにデータ処理手段は、システム全体に対して拘束的な統一された時間ベースを有しているのが好ましい。この場合、特定の駆動値を中央の操作・制御装置によって中央で設定するという、技術的な選択肢は失われない。
【0015】
さらに、印刷機のすべての駆動装置を1つの駆動システムで作動させて制御することができるので、印刷機の各駆動装置を個々の駆動グループに下位区分することをほぼ省略することができる。このことと、各駆動装置で直接、具体化可能な駆動値ないし移動軌道の分散的な計算は、駆動システムのデータ発生量が少ないことにつながるとともに、標準コンポーネントと、これに応じて簡単な制御およびデータ処理のためのデータ処理プログラムとによって実質的に実現可能であることにつながる。
【0016】
それによって、特に、駆動制御装置相互間、駆動制御装置と中央の操作・制御装置の間、ないしは駆動制御装置と駆動モータの間のデータ発生量を減らすことができるので、駆動データの設定の数を増やすことができる。このことは、駆動制御の精度、およびこれに伴う駆動モータの同期運転の精度が高くなることにつながる。
【0017】
アプリケーション定義可能な集積回路や、専用のデータバスのような、駆動システムの専用コンポーネントのフォーマット設定によって自由に駆動データを処理可能であり、それによってデータ処理時間をいっそう短縮できることによって、さらに別の利点が得られる。さらに、コマンド時間および/またはサンプリング時間をそれぞれの駆動制御部で個別に取り扱えるという利点がある。本発明では、駆動データが各駆動装置に対する目標値を含んでおり、この目標値は目標値発生器によって中央で計算される。この場合、目標値発生器は、中央の操作・制御装置ないしそのために設けられた駆動制御装置に付属していてよく、特に、相応の制御装置に組み込まれていてよい。さらに、本発明では、目標値発生器が、前述した制御装置のいずれにも付属していない外部プロセッサであり、個々の駆動装置の目標値を中央で計算して、各駆動装置に送ってもよく、この場合、それぞれの目標値は、駆動装置によって、それ以上の計算なしに容易に受け取ることができる。したがって、たとえばサンプリング時間に関しては分散的に制御される駆動装置に、中央で計算された移動軌道を設定することが可能である。
【0018】
本発明では、駆動データが、駆動モータの位置、速度、および/または加速度を含んでもよい。これらのパラメータによって、駆動モータの動作をどの状態のときでも表すことができるので、駆動モータの同期運転が駆動制御装置によって常時設定される。このことは、計算のときに、駆動制御部の電子部品、特にプロセッサと記憶装置の、刻時、計算時間、および/または計算精度の差が補償されることによって行なわれる。これらのパラメータを計算するときの差の補償は、計算が、計算ステップの種類ないし回数に関しても、中間結果の記憶に関しても、相互に調整されることによって行われる。この場合、できるだけ高い計算精度や、迅速な計算時間を得ることを第1に目指すのではなく、さまざまな駆動装置の駆動データを計算するにあたって、できるだけ同じ計算精度ないし計算時間を得ることに照準を合わせる。
【0019】
そのために、本発明によれば、中央の操作・制御装置が、駆動システムの各駆動装置に対する目標値を駆動制御装置に伝送し、駆動制御装置のデータ処理手段がそれぞれ付属する駆動装置の駆動データを計算し、その都度の駆動データを計算するために各データ処理手段が同等な作業ステップを実行することが提案される。
【0020】
それにより、有利なことに、各駆動装置が、中央で予め定められたものではあるが、分散的に各駆動装置について個別に計算された駆動データが達成される。そのために、各駆動制御装置によって同等な作業ステップが実行されるので、システムに起因する差を補償することができる。
【0021】
この場合の作業ステップは、一方では計算プロセスと記憶プロセスを含んでおり、また他方では、たとえば駆動制御装置と駆動モータの間、それぞれのデータ処理手段の間、あるいは駆動システムのその他の電子部品の間のデータ伝送もこれに含まれる。計算にあたっては、たとえば各駆動装置の伝達係数など、システムないし生産に起因するパラメータを容易に考慮することができる。さらに、本発明では、各駆動装置を同期化するために、ローカルな駆動制御装置によって各駆動モータの動作値を分散的に検出し、中央の操作・制御装置で設定された目標値からの動作値のずれ、特に駆動モータの角度差が、データ処理手段によって計算され、駆動値の調節によって補償されることを意図している。
【0022】
このとき、動作値の管理は、駆動データの検出と同様にして行われる。これは、駆動装置の駆動データを計算および/または調節するために不可欠な作業ステップが設定され、および/またはデータネットワークへの統合によりデータ処理手段によって決定されることによって行なわれる。駆動データの計算のときにも調節のときにも、不可欠な作業ステップがわかっているので、データ処理手段によって実行される作業ステップを、利用されるデータ処理プログラムまたは集積回路の側ですでに行うことができる。データ処理手段が作業ステップを自ら決定し、駆動値の計算ないし調節のときにこれを考慮することも考えられる。
【0023】
そのために、本発明では、データ処理手段の不可欠な作業ステップに関する情報がデータネットワークで配られて比較され、データネットワークで少なくとも必要な同じ作業ステップが決定され、駆動データを計算および/または調節するために各データ処理手段にとって不可欠な作業ステップが、各駆動装置について少なくとも必要な作業ステップが計算時に実行されるように修正されることが提案される。それによって有利なことに、さまざまな駆動装置の駆動値を計算するときの差異、たとえば異なる刻時やプロセッサの計算精度などを排除することが可能になる。
【0024】
不可欠な作業ステップおよび/または少なくとも必要な作業ステップが、それぞれ付属する駆動装置のデータ処理手段によって、および/または中央の操作・制御装置によって決定されるのが有利であることが判明している。この場合、各データ処理手段のどの作業ステップが駆動値の計算のときに必要であるかが、まず最初に決定される。このとき、作業ステップは、記憶ステップおよび/または算術演算、特に加算および/または乗算を含むことが考えられる。本発明によれば、差を補償するために、どの種類の作業ステップがどれだけの回数だけ、計算のために少なくとも必要であるかが決定される。
【0025】
これは、本発明によれば、駆動データを計算するために、各駆動装置のデータ処理手段によって同じ回数の計算ステップおよび/または記憶ステップが、特に浮動少数点フォーマットの浮動少数点プロセッサによって実行されることによって行なわれる。浮動少数点フォーマットで作業ステップを実行することは、時間と容量を要する正規化を回避し、それと同時に、各駆動装置での計算のときに等価な計算精度を得ることを可能にする。それによって、さらに、すべての駆動装置で、すなわち各駆動制御装置で、駆動データを計算するために同一のデータ処理プログラムを用いることができ、それにより、ソフトウェア側で同一の条件をつくり出すことが可能になる。したがって、駆動データを計算するときの他の差が回避される。
【0026】
本発明によれば、駆動モータが、それぞれ付属の駆動制御装置によって、分散的に計算された駆動値で作動可能であり、ローカルな駆動制御装置のデータ処理手段がデータネットワーク内で相互に接続されており、駆動値が、中央の操作・制御装置で設定された目標値に基づいて、データネットワーク内で決定された同等な作業ステップによって計算可能であることを特徴とする印刷機で、本方法が実行される。
【0027】
駆動装置を制御するために、本発明は、駆動モータが、駆動装置の動作値を検出するためのサンプリング手段を有しており、このサンプリング手段はデータ処理手段と通信をするように接続されており、中央の操作・制御装置で設定された目標値からの動作値の差、特に角度差が検出可能であるとともに、駆動データの調節によって補償可能であることを意図している。
【0028】
そのために、データ処理手段が、駆動データおよび/または角度差を計算するために、少なくとも1つのプロセッサ、特に浮動少数点プロセッサを有しており、このプロセッサは、データネットワークの中で少なくとも必要な作業ステップを決定し、ローカルな駆動データの計算および/または調節を同等な作業ステップによって自動的に行うことを意図すると有利である。
【0029】
上に説明した印刷機によって、有利なことに、選択された精度の範囲内で、どの時点でも同じコマンド設定が得られ、たとえば給紙装置、主駆動装置を備える印刷装置、印刷機の排紙装置といった該当する駆動装置の駆動モータの加速度、速度、および位置という3種類の値の、同一の変化を起させることが可能である。したがって、特に、駆動モータの加速度、回転数、および位置の動作値が、システムに起因する限界のために従来の同期制御ではもはや補償できない場合にも、同期運転の誤差が回避される。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0031】
図1には、給紙装置の駆動装置2、主駆動装置3、排紙装置の駆動装置4、および追加の駆動装置5という互いに独立した4つの駆動装置を備える印刷機駆動システムが示されている。駆動装置2,3,4,5は駆動モータを有しており、各駆動モータには、データ処理手段を備えるローカルな駆動制御装置6,7,8,9が付属している。駆動制御装置6,7,8,9、ならびに中央の操作・制御装置10は、データネットワーク11の内部で相互に通信をするように接続されている。駆動モータは、それぞれに付属する駆動制御装置6,7,8,9により、駆動データの設定を通じて分散的に作動させられ、このことは図面では矢印Aで図示されている。そのために、駆動制御装置6,7,8,9は、駆動モータの移動軌道を自動的に計算する。このとき位置、速度、および加速度の値が分散的に計算されて、駆動モータに伝送される。中央の操作・制御装置10によって目標値の全般的な設定が行われ、このことは図面では矢印Cで図示されており、および刻時(Zeittaktung)の全般的な設定が行われ、このことは図面では矢印Dで図示されている。
【0032】
さまざまな駆動装置2,3,4,5の異なる仕様のために、各駆動制御装置6,7,8,9はさまざまな算術演算を実行しなければならず、このような算術演算は、さらに、データ処理手段の異なる作業ステップによって行われる。そのために駆動制御装置6,7,8,9は、特に、通常はデータ処理手段のマイクロプロセッサに組み込まれる浮動少数点プロセッサをそれぞれ有している。
【0033】
駆動データを計算するために、駆動モータの動作値、特に位置、速度、および加速度が求められて各データ処理手段によって検出され、このことは図面では矢印Bで図示されている。駆動データの設定と、駆動モータでの動作値の検出は、駆動装置において異なるサンプリング時間で行われる。
【0034】
サンプリング間隔が短いデータ処理手段によって、必要な計算ステップが、サンプリング間隔が長いデータ処理手段の場合よりも頻繁に行われると、何回かの計算サイクルの後、浮動少数点フォーマットでの計算時の有限の仮数のために駆動データの発散につながるので、これを回避するために、本発明では、駆動制御装置6,7,8,9のデータ処理手段がその都度の駆動データを、他のデータ処理手段で必要な計算プロセスにしたがって、他の駆動装置の駆動データの計算に準じて計算し、この計算のときにシステムに起因する駆動装置間のずれが補償されるように、計算が実行される。この場合、サンプリング間隔が長いシステムが、サンプリング間隔の短いシステムと同じ回数の計算を、正確に同じサンプリング刻時で行うことが達成される。このとき、駆動装置の該当するすべてのサンプリング時間の最小公倍数に相当する等価な時間が設定される。それによって有利なことに、すべての駆動装置が、初期状態が同一で作業ステップの設定が同一であれば、すべてのサンプリング時間の最小公倍数に相当するどの時点でも、同一の目標値を使用することができることが達成されるので、すべての駆動装置が比較的長期にわたり同期して運転される。
【0035】
本発明による印刷機での目標値計算の実行は、移動コマンドの開始時にスタート値が記憶され、動作中には実質的に加速値が計算できないので、サンプリングステップごとに、移動すべき差だけが計算されように考えられている。したがって、出発状態が異なっているがコマンド設定が同じ場合にも、移動すべき同一の差が保証される。移動すべき差は、同じくサンプリングステップごとに累積されるので、その都度サンプリングに適合した目標値が、コマンド開始時のスタート値と、累積された移動すべき差値との合計から算出される。したがって、駆動装置の同期運転で生じる可能性のあるずれは、有利なことに、スタート値の誤差にしか左右されない。このことは、すべてのサンプリング時間の最小公倍数の倍数に相当するどの時点でも、コマンド設定が同じならば、移動すべき同じ差が計算されることを意味している。したがって、各駆動装置の最適な同期運転が保証される。
【0036】
作業ステップを調節する1つの方法は、サンプリング間隔が短いシステムのサンプリング時間を長くすることである。この場合、データ処理手段は、浮動少数点プロセッサによって駆動制御装置6,7,8,9で実行されるのと同一または等価な作業ステップを実行する。1つだけではなく2つ以上の演算からなる算術的な作業ステップのとき、コンパイラは、利用される最適化段階の範囲内で、浮動少数点プロセッサのレジスタに中間結果を蓄えている。このとき各演算の中間結果は、浮動少数点プロセッサに依存して、選択された、数の書式ではそれ以上処理されない。
【0037】
データ処理手段としては、標準の80ビットフォーマットで処理をする浮動少数点プロセッサが考えられる。複数の作業ステップにわたって累積され、たとえばIEEE754に従って単精度または倍精度で処理をする当初選択されたフォーマットでは認識できない丸めエラーが、それぞれの中間記憶で起こるのを回避するために、各駆動装置について同一または等価の中間記憶が設定または決定される。そして駆動データの計算は等価な作業ステップで行われるので、各駆動装置2,3,4,5で少なくとも同一のエラー率が生じる。エラーは作業ステップの頻度の統計的平均で、エラーは実質的に補償されるので、各駆動装置を実質的に互いに同期して制御し、作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数の駆動装置を備える印刷機駆動システムを示す図である。
【符号の説明】
1 印刷機駆動システム
2 駆動装置
3 駆動装置
4 駆動装置
5 駆動装置
6 駆動制御装置
7 駆動制御装置
8 駆動制御装置
9 駆動制御装置
10 制御装置
Claims (11)
- 複数の駆動装置を備える駆動モータと、各々がデータ処理手段を有し、各駆動装置に接続されたローカルな駆動制御装置と、これら駆動制御装置に接続された中央の操作・制御装置を有し、前記の複数のデータ処理手段は相互に通信するように接続されており、前記駆動装置を作動させるために駆動データが前記データ処理手段で使用される印刷機駆動システムを同期化する方法において、
駆動装置の駆動制御装置の少なくとも1つのデータ処理手段が、該駆動装置の駆動データを、その他の駆動装置のデータ処理手段で必要な計算方法にしたがって計算し、このとき前記の必要な計算方法によって、前記のその他の駆動装置のデータ処理手段がそれぞれの駆動装置の駆動データを計算し、
前記駆動データが各駆動装置に対する目標値を含んでおり、この目標値は目標値発生器によって中央で計算され、
前記中央の操作・制御装置は、駆動システムの駆動装置に対する目標値を前記駆動制御装置に伝送し、前記駆動制御装置の前記データ処理手段はそれぞれ付属する駆動装置の駆動データを計算し、その都度の駆動データを計算するために前記複数のデータ処理手段は同等な作業ステップを実行し、
前記各駆動装置の前記データ処理手段における、前記の必要な計算方法による計算のときに前記各駆動装置のデータ処理手段における前記駆動制御装置の電子部品、特にプロセッサと記憶装置の刻時、計算時間、および/または計算精度の差異が補償され、
これによって、前記各駆動装置の前記データ処理手段における前記の必要な計算方法による計算のときに前記駆動装置間および/または前記データ処理手段間の、システムに起因する差が補償される
ことを特徴とする、印刷機駆動システムを同期化する方法。 - 前記駆動データが前記駆動モータの位置、速度、および/または加速度を含んでいる、請求項1記載の方法。
- 駆動装置を同期化するために各駆動モータの動作値が付属のローカルな前記駆動制御装置によって分散的に検出され、前記中央の操作・制御装置で設定された目標値からの動作値のずれ、特に駆動モータの角度差が前記データ処理手段によって計算されて、駆動値の調節によって補償される、請求項1または2記載の方法。
- 前記駆動装置の駆動データを計算および/または調節するために不可欠な作業ステップが設定され、および/または1つのデータネットワークへの統合によって前記データ処理手段により直接決定される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
- 前記データ処理手段の不可欠な作業ステップに関する情報が前記データネットワークにおいて配られて比較され、前記データネットワークで少なくとも必要な同じ作業ステップが決定され、駆動データを計算および/または調節するために各データ処理手段にとって不可欠な作業ステップが、各駆動装置について少なくとも必要な作業ステップが計算時に実行されるように修正される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
- 不可欠な作業ステップおよび/または少なくとも必要な作業ステップが、それぞれ付属する駆動装置の前記データ処理手段によって決定され、および/または前記中央の操作・制御装置によって決定される、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
- 前記作業ステップが、記憶ステップおよび/または算術演算、特に加算および/または乗算を含んでいる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
- 駆動データを計算するために、同じ回数の計算ステップおよび/または記憶ステップが各駆動装置の前記データ処理手段によって、特に浮動少数点フォーマットの浮動少数点プロセッサによって実行される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
- 請求項1から8までのいずれか1項記載の方法を実施する印刷機において、前記駆動モータが、それぞれ付属の前記駆動制御装置によって、分散的に計算された駆動値で作動可能であり、ローカルな駆動制御装置の前記データ処理手段はデータネットワーク内で相互に接続されており、前記駆動値が、前記中央の操作・制御装置で設定された目標値に基づいて、データネットワークにおいて決定された等価な作業ステップによって計算可能であることを特徴とする印刷機。
- 前記駆動モータが、駆動装置の動作値を検出するサンプリング手段を有しており、このサンプリング手段は前記データ処理手段と通信をするように接続されており、前記中央の操作・制御装置で設定された目標値からの動作値のずれ、特に角度差が検出可能であるとともに、駆動データの調節によって補償可能である、請求項9記載の印刷機。
- 前記データ処理手段は駆動データおよび/または角度差を計算する少なくとも1つのプロセッサ、特に浮動少数点プロセッサを有しており、このプロセッサは、前記データネットワークの中で少なくとも必要な作業ステップを決定し、ローカルな駆動データの計算および/または調節を同等な作業ステップによって自動的に行う、請求項9または10記載の印刷機。
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