JP4493828B2 - 音源位置推定装置および音源位置推定方法 - Google Patents

音源位置推定装置および音源位置推定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音源位置推定装置および音源位置推定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の音源位置推定装置は、音圧検出手段として複数のマイクロフォンを備えるとともに、これらのマイクロフォンに対応して設けられて音圧信号から周波数帯域を分割する帯域フィルタ回路と、分割された音圧信号から音源の位置を推定する演算回路とを備えている。この音源位置推定装置は、人間の話声等の音源からの音波による音圧を複数箇所に配置されたマイクロフォンで検出し、帯域フィルタ回路でそれぞれ音圧信号から周波数帯域を分割し、演算回路で音波の位相差や音圧差を求めるとともに所定の演算を行って音源の位置を推定している。
また、特開2000−4495号公報に開示されたものでは、複数のマイクロフォンを自由に配置して音源の位置を推定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の音源位置推定装置においては、以下のような課題があった。
すなわち、両者とも複数のマイクロフォンが必要であった。そのため、音波の位相差や音圧差を求めるためにマイクロフォンどうしの間隔を大きくとる必要があったり、高度な演算装置を備える必要があったりした。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、マイクロフォンのような音圧検出手段を複数用いる必要なく音源の位置を推定することが可能な音源位置推定装置および音源位置推定方法の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、音源から発せられた音波の音圧を検出する音圧検出手段と、この音圧検出手段の入力部に設けられて所定方向からの音波に含まれる所定の第一の周波数の音圧を変化させる音圧変化手段と、上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧を均した第一の音圧均し量を求め、同音圧から上記第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧を均した第二の音圧均し量を求める音圧均し手段と、上記第一の音圧均し量と上記第二の音圧均し量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置を推定する推定手段とを具備する構成としてある。
【0005】
上記のように構成した請求項1にかかる発明においては、音圧検出手段は、音源から発せられた音波の音圧を検出する。その際、音圧検出手段の入力部に設けられた音圧変化手段は、所定方向からの音波に含まれる所定の第一の周波数の音圧を変化させる。すると、音圧均し手段は、音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧を均した第一の音圧均し量を求め、同音圧から上記第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧を均した第二の音圧均し量を求める。推定手段は、上記第一の音圧均し量と上記第二の音圧均し量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置を推定する。
【0006】
ここで、音源から発せられる音波の周波数分布は変動していることが多いが、音圧を均すと一定の周波数分布となることが多い。例えば、音源が人間の話声である場合、細かく変動する周波数分布となっている。しかし、音圧を均すと、変動する周波数分布は均され、一定の分布となる。なお、成人の話声では、性別に関わらず400Hz近傍でピークを有する周波数分布となることが知られている。
すなわち、一定の周波数分布となる均した音圧を用いると、音圧変化手段によるこの周波数分布の変化を検出することができるので、第一の周波数の音圧変化の影響度合いを求めることが可能である。すなわち、上記構成にて音源の位置を推定することができる。したがって、音圧検出手段を複数用いる必要なく音源の位置を推定することが可能となる。
【0007】
ここで、音圧検出手段は、音源から発せられて音圧変化手段にて変化させられた音波の音圧を検出することができればよい。その構成の一例として、請求項2にかかる発明は、上記請求項1に記載の音源位置推定装置において、上記音圧検出手段は、マイクロフォンである構成としてある。
すなわち、音圧検出手段にマイクロフォンを用いても同様の効果が得られるので、簡易な構成で音源の位置を推定することが可能となる。ここで、マイクロフォンには、静電容量の変化を電圧として検出するコンデンサマイクロフォンやエレクトレッロマイクロフォン、圧電効果を利用するセラミックマイクロフォン、電磁誘導を利用するダイナミックマイクロフォン等、様々なものを利用することができる。むろん、音圧検出手段にマイクロフォンを用いるのは一例に過ぎず、マイクロフォンを用いずに音圧を検出する機構を組み立てて音圧検出手段としてもよい。
【0008】
上記音圧検出手段にて検出された音圧を均し、均した音圧から上記第一の周波数の音圧変化の影響度合いを求め、この影響度合いと上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置を推定する音源位置推定手段の構成の一例として、上記音圧均し手段は、上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を所定時間取得するとともに均す処理を行って上記第一の音圧均し量を求め、同音圧から上記第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を同所定時間取得するとともに均す処理を行って上記第二の音圧均し量を求め、上記推定手段は、上記第一の音圧均し量と上記第二の音圧均し量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置が上記所定方向かどうかを推定してもよい
【0009】
上記のように構成した発明においては、音圧均し手段は、音圧検出手段にて検出された音圧から第一の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を所定時間取得するとともに均す処理を行って第一の音圧均し量を求める。また、同音圧から第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を同所定時間取得するとともに均す処理を行って第二の音圧均し量を求める。すると、推定手段は、第一の音圧均し量と第二の音圧均し量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から音源の位置が上記所定方向かどうかを推定する。
【0010】
すなわち、音圧変化手段が第一の周波数の音圧を変化させる所定方向に音源がある場合、第一の音圧均し量は第一の周波数を含む周波数帯域の音圧を均したものであるので音圧変化手段による音圧変化の影響が大きい。ここで、音圧変化が第一の音圧均し量よりも小さくなるように第二の音圧均し量を求めると、第一の音圧均し量と第二の音圧均し量との割合から求まる音圧変化の影響度合いは、音圧変化手段による第一の周波数の音圧変化の影響を大きく受けたものとなる。一方、音源が同所定方向ではない場合、第一の音圧均し量は音圧変化手段による音圧変化の影響が小さい。すると、第一の音圧均し量と第二の音圧均し量との割合から求まる音圧変化の影響度合いも、音圧変化手段による第一の周波数の音圧変化の影響の小さいものとなる。
そこで、音圧変化の影響度合いが音圧変化手段による第一の周波数の音圧変化の影響を大きく受けている場合、音源の位置は上記所定方向と推定することができる。一方、音圧変化の影響度合いが音圧変化手段による第一の周波数の音圧変化の影響の小さいものである場合、音源の位置は上記所定方向ではないと推定することができる。したがって、音源の位置を推定することが可能である。
【0011】
記音圧均し手段上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を上記所定時間取得するとともに均す処理を行って上記第二の音圧均し量を求める場合、第二の音圧均し量は、音波の音圧を変化させる第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧を均したものである。すなわち、第二の音圧均し量は、第一の周波数の音圧変化の影響が少ない
【0012】
また、第一の音圧均し量と第二の音圧均し量を求める構成の一例として、上記音圧均し手段は、上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を所定時間取得するとともに加算して上記第一の音圧均し量を求め、上記第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を同所定時間取得するとともに加算して上記第二の音圧均し量を求めてもよい
【0013】
上記のように構成した発明においては、第一の音圧均し量と第二の音圧均し量はそれぞれ第一、第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を所定時間取得するとともに加算して求められる。すなわち、簡易な構成で第一、第二の音圧均し量を求めて音源の位置を推定することができる。
むろん、第一、第二の音圧均し量を加算して求めるのは一例に過ぎない。例えば、音圧信号を所定時間取得するとともに平均して第一、第二の音圧均し量としてもよく、様々な構成が可能である。
【0014】
さらに、音圧信号を加算して第一、第二の音圧均し量求める音圧均し手段の構成の一例として、上記音圧均し手段は、上記音圧検出手段にて検出された音圧をデジタルの音圧データに変換するデジタル変換手段と、上記音圧データから上記第一の周波数を含む周波数帯域のデータと上記第二の周波数を含む周波数帯域のデータとを所定時間、定期的に取得し、得られるそれぞれの時系列データを加算して上記第一および第二の音圧均し量を求める加算手段とを具備していてもよい
【0015】
上記のように構成した発明においては、デジタル変換手段は、音圧検出手段にて検出された音圧を所定の周波数帯域毎にデジタルの音圧データに変換する。すると、加算手段は、音圧データから第一の周波数を含む周波数帯域のデータと第二の周波数を含む周波数帯域のデータとを所定時間、定期的に取得し、得られるそれぞれの時系列データを加算して第一、第二の音圧均し量を求める。
【0016】
したがって、求められた第一、第二の音圧均し量を用いて、推定手段は音源の位置が上記所定方向かどうかを推定することが可能である。
むろん、音圧均し手段をデジタル変換手段と加算手段とで構成するのは一例に過ぎない。例えば、アナログの音圧信号を周波数帯域別に一定時間加算する加算回路や、同じくアナログの音圧信号を周波数帯域別に平均する平均化回路を用いてもよく、その構成は様々可能である。
【0017】
ところで、第二の周波数の音圧を変化させる構成としてもよく、その一例として、上記音圧変化手段とは別の所定方向からの音波に含まれる上記第二の周波数の音圧を変化させる第二音圧変化手段が設けられてもよい
【0018】
上記のように構成した発明においては、第二音圧変化手段は、音圧変化手段とは別の所定方向からの音波に含まれる第二の周波数の音圧を変化させる。
すなわち、第二音圧変化手段が第二の周波数の音圧を変化させる別の所定方向に音源がある場合、第一の音圧均し量は第一の周波数を含む周波数帯域の音圧を均したものであるので音圧変化の影響は小さい。一方、第二の音圧均し量は音圧変化の影響が大きい。すると、第一の音圧均し量と第二の音圧均し量との割合から求まる音圧変化の影響度合いは、第一の音圧均し量の影響をより小さくする方向に変わる。したがって、より確実に音源の位置を推定することができる。
【0019】
また、音圧変化手段と第二音圧変化手段の一例として、上記音圧変化手段は、上記所定方向からの上記第一の周波数の音波を共振させる第一の共鳴体を備え、上記第二音圧変化手段は、上記別の所定方向からの上記第二の周波数を共振させる第二の共鳴体を備えていてもよい
上記のように構成した発明においては、第一の共鳴体は上記所定方向からの音波に含まれる第一の周波数の成分を共振させて増幅させ、第二の共鳴体は上記別の所定方向からの音波に含まれる第二の周波数の成分を共振させて増幅させる。すなわち、音圧変化手段と第二音圧変化手段とを簡易に構成することができる。
【0020】
さらに、第一、第二の共鳴体の構成の一例として、上記第一の共鳴体と上記第二の共鳴体とは、異なる長さの共鳴管で形成されてもよい
上記のように構成した発明においては、共鳴管は、長さに応じて異なる共振周波数を有する。すなわち、第一、第二の周波数を共振周波数とするように共鳴管の長さを設定すると、第一、第二の周波数を共振させることができる。したがって、第一、第二の共鳴体を簡易に構成することができる。
【0021】
例えば、両端開口の共鳴管である場合、共鳴管の長さをL、音速をcとすると、共振周波数の基本周波数はc/2Lで与えられる。したがって、第一、第二の周波数がこの共振周波数の基本周波数となるように共鳴管の長さLを設定すればよい。
むろん、共鳴体に共鳴管を用いるのは一例に過ぎない。例えば、振動可能な円形膜等を用いてもよく、様々なものが適用可能である。
【0022】
また、上述のように共鳴現象を利用する別の一例として、上記音圧変化手段は、上記音波を反射させるとともに、上記音圧検出手段の入力部との間で上記所定方向からの上記第一の周波数の音波を共振させる位置とされた第一の反射体を備え、上記第二音圧変化手段は、上記音波を反射させるとともに、上記入力部との間で上記別の所定方向からの上記第二の周波数の音波を共振させる位置とされた第二の反射体を備えていてもよい
【0023】
上記のように構成した発明においては、第一の反射体は上記所定方向からの音波に含まれる第一の周波数の成分を音圧検出手段の入力部との間で共振させて増幅させ、第二の共鳴体は上記別の所定方向からの音波に含まれる第二の周波数の成分を音圧検出手段の入力部との間で共振させて増幅させる。すなわち、この場合でも音圧変化手段と第二音圧変化手段が構成される。
【0024】
上述の共鳴体や反射体を利用すると、上記所定方向からの第一の周波数の音波と上記別の所定方向からの第二の周波数の音波とが共振により増幅されるので、音源が上記所定方向にある場合は第一の音圧均し量が大きくなり、音源が上記別の所定方向にある場合は第二の音圧均し量が大きくなる。この関係を利用して音源の位置を推定する一例として、上記推定手段は、上記第二の音圧均し量に対する上記第一の音圧均し量の割合が所定割合よりも大きいときに上記所定方向を音源の位置と推定し、上記第一の音圧均し量に対する上記第二の音圧均し量の割合が別の所定割合よりも大きいときに上記別の所定方向を音源の位置と推定してもよい
【0025】
上記のように構成した発明においては、上記所定方向に音源がある場合、第一の音圧均し量は大きくなる方向に変化し、第二の音圧均し量はほとんど変化しない。そこで、第二の音圧均し量に対する第一の音圧均し量の割合は大きくなる。したがって、この割合が所定割合よりも大きいときは上記所定方向が音源の位置と推定される。一方、上記別の所定方向に音源がある場合、第二の音圧均し量は大きくなる方向に変化し、第一の音圧均し量はほとんど変化しない。そこで、第一の音圧均し量に対する第二の音圧均し量の割合は大きくなる。したがって、この割合が所定割合よりも大きいときは上記別の所定方向が音源の位置と推定される。
すなわち、上述の作用により音源の位置を推定することが可能である。
【0026】
また、第一、第二の周波数以外の周波数を含む周波数帯域の音圧を音源位置の推定に利用してもよく、その構成の一例として、上記音圧均し手段は、上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一および第二の周波数とは異なる第三の周波数を含む周波数帯域の音圧データを上記所定時間取得するとともに均す処理を行って第三の音圧均し量を求め、上記推定手段は、上記第三の音圧均し量に対する上記第一の音圧均し量の割合が所定割合よりも大きいときに上記所定方向を音源の位置と推定し、上記第三の音圧均し量に対する上記第二の音圧均し量の割合が別の所定割合よりも大きいときに上記別の所定方向を音源の位置と推定してもよい
【0027】
上記のように構成した発明においては、上記所定方向または別の所定方向に音源がある場合、第三の音圧均し量はほとんど変化しない。そこで、第三の音圧均し量に対する第一または第二の音圧均し量の割合は大きくなる。したがって、この割合が所定割合よりも大きいときは上記所定方向または別の所定方向が音源の位置と推定される。
【0028】
上述の音圧変化手段を構成する共鳴体や反射体は第一、第二の周波数の音波を共振させて増幅させたが、同音圧変化手段は第一、第二の周波数の音波の音圧を減少させてもよい。その構成の一例として、上記音圧変化手段は、上記所定方向からの上記第一の周波数の音波を吸収する第一の吸音材を備え、上記第二音圧変化手段は、上記別の所定方向からの上記第二の周波数の音波を吸収する第二の吸音材を備えていてもよい
上記のように構成した発明においては、第一の吸音材は上記所定方向からの音波に含まれる第一の周波数の成分を吸収して減少させ、第二の吸音材は上記別の所定方向からの音波に含まれる第二の周波数の成分を吸収して減少させる。すなわち、この場合でも音圧変化手段と第二音圧変化手段が構成される。
【0029】
また、上述の関係を利用して音源の位置を推定する一例として、上記推定手段は、上記第二の音圧均し量に対する上記第一の音圧均し量の割合が所定割合よりも小さいときに上記所定方向を音源の位置と推定し、上記第一の音圧均し量に対する上記第二の音圧均し量の割合が別の所定割合よりも小さいときに上記別の所定方向を音源の位置と推定してもよい
【0030】
上記のように構成した発明においては、上記所定方向に音源がある場合、第一の音圧均し量は大きくなる方向に変化し、第二の音圧均し量はほとんど変化しない。そこで、第二の音圧均し量に対する第一の音圧均し量の割合は小さくなる。したがって、この割合が所定割合よりも小さいときは上記所定方向が音源の位置と推定される。一方、上記別の所定方向に音源がある場合、第二の音圧均し量は小さくなる方向に変化し、第一の音圧均し量はほとんど変化しない。そこで、第一の音圧均し量に対する第二の音圧均し量の割合は小さくなる。したがって、この割合が所定割合よりも小さいときは上記別の所定方向が音源の位置と推定される。
むろん、音圧変化手段に吸音材を用いる場合でも、上述の第三の音圧均し量を利用して音源の位置を推定することができることはいうまでもない。
【0031】
ところで、音圧を均す際、音圧の変化を求めるように均すことも可能である。その一例として、請求項14にかかる発明は、音源から発せられた音波の音圧を検出する音圧検出手段と、この音圧検出手段の入力部に設けられて所定方向からの音波に含まれる所定の第一の周波数の音圧を変化させる音圧変化手段と、上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を取得するとともに均しながら時間当たりの変化量である第一の音圧変化量を求め、同音圧から上記第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を取得するとともに均しながら時間当たりの変化量である第二の音圧変化量を求める音圧変化量演算手段と、上記第一の音圧変化量と上記第二の音圧変化量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置を推定する推定手段とを具備する構成としてある。
【0032】
上記のように構成した請求項14にかかる発明においては、音圧変化量演算手段は、音圧検出手段にて検出された音圧から第一の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を取得するとともに均しながら時間当たりの変化量である第一の音圧変化量を求める。また、同音圧から上記第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を取得するとともに均しながら時間当たりの変化量である第二の音圧変化量を求める。すると、推定手段は、第一の音圧変化量と第二の音圧変化量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置を推定する。
【0033】
すなわち、上記所定方向に音源がある場合、第一の音圧変化量は第一の周波数を含む周波数帯域の音圧の変化量であるので音圧変化手段による音圧変化の影響が大きい。ここで、音圧変化が第一の音圧変化量よりも小さくなるように第二の音圧変化量を求めると、第一の音圧変化量と第二の音圧変化量との割合から求まる音圧変化の影響度合いは音圧変化手段による第一の周波数の音圧変化の影響を大きく受けている。一方、音源が同所定方向ではない場合、第一の音圧変化量は音圧変化手段による音圧変化の影響が小さいので、第一の音圧変化量と第二の音圧変化量との割合から求まる音圧変化の影響度合いも音圧変化手段による第一の周波数の音圧変化の影響の小さいものとなる。
そこで、音圧変化の影響度合いが音圧変化手段による第一の周波数の音圧変化の影響を大きく受けているとき音源の位置は上記所定方向と推定することができ、音圧変化の影響度合いが音圧変化手段による第一の周波数の音圧変化の影響の小さいものであるとき音源の位置は上記所定方向ではないと推定することができる。したがって、音圧の変化量を用いても音源の位置を推定することが可能である。
【0034】
なお、音圧変化手段には、請求項7〜9、請求項12に記載の共鳴体、反射体、吸音材を利用することができる。
さらに、音圧変化量演算手段の構成の一例として、上記音圧変化量演算手段は、上記音圧検出手段にて検出された音圧を所定の周波数帯域毎にデジタルの音圧データに変換するデジタル変換手段と、上記音圧データから上記第一の周波数を含む周波数帯域のデータと上記第二の周波数を含む周波数帯域のデータとを取得し、得られたそれぞれの時系列データから近似式を作成して上記第一および第二の音圧変化量を求める変化量算出手段とを具備していてもよい
【0035】
上記のように構成した発明においては、変化量算出手段は、第一の周波数を含む周波数帯域の音圧の時系列データと第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧の時系列データとを取得し、近似式を作成する。そして、近似式から第一、第二の音圧変化量を求める。したがって、求められた第一、第二の音圧変化量を用いて、推定手段は音源の位置が上記所定方向かどうかを推定することが可能である。
ここで、得られた時系列データから近似式を作成するのは様々可能である。例えば、時間に対する音圧データを最小自乗法により近似の一次式を作成してもよいし、二次以上の回帰処理を行って二次以上の近似式を作成してもよい。すると、近似式の傾き成分から音圧の変化量を算出することが可能である。
【0036】
このように音源の位置を推定する際の手法は、必ずしも実体のある装置に限られる必要もなく、その一例として、請求項16にかかる発明は、音源から発せられた音波の音圧を検出する音圧検出手段と、この音圧検出手段の入力部に設けられて所定方向からの音波に含まれる所定の第一の周波数の音圧を変化させる音圧変化手段とを用い、上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧を均した第一の音圧均し量を求め、同音圧から上記第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧を均した第二の音圧均し量を求め、上記第一の音圧均し量と上記第二の音圧均し量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置を推定する構成としてある。
また、請求項17にかかる発明は、音源から発せられた音波の音圧を検出する音圧検出手段と、この音圧検出手段の入力部に設けられて所定方向からの音波に含まれる所定の第一の周波数の音圧を変化させる音圧変化手段とを用い、上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を取得するとともに均しながら時間当たりの変化量である第一の音圧変化量を求め、同音圧から上記第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を取得するとともに均しながら時間当たりの変化量である第二の音圧変化量を求め、上記第一の音圧変化量と上記第二の音圧変化量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置を推定する構成としてある。
すなわち、必ずしも実体のある装置に限らず、その方法としても有効であり、請求項2〜請求項15に記載された装置構成を当該方法に対応させることが可能であることは言うまでもない。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1,15,17,18にかかる発明によれば、音圧検出手段を複数用いる必要なく音源の位置を推定することが可能な音源位置推定装置および音源位置推定方法を提供することができる。
また、請求項2にかかる発明によれば、音圧検出手段にマイクロフォンを用いても同様の効果が得られるので、簡易な構成で音源の位置を推定することが可能となる。
さらに、請求項3にかかる発明によれば、音源位置推定手段の一例を提供することができる
【0038】
さらに、請求項4にかかる発明によれば、簡易な構成で第一、第二の音圧均し量を求めて音源の位置を推定することが可能となる。
さらに、請求項5にかかる発明によれば、音圧均し手段の一例を提供することができる。
さらに、請求項6にかかる発明によれば、より確実に音源の位置を推定することが可能となる。
【0039】
さらに、請求項7にかかる発明によれば、簡易な構成で上記所定方向からの第一の周波数の音波と上記別の所定方向からの第二の周波数の音波とを共振により増幅させることにより音源の位置を推定することが可能となる。
さらに、請求項8にかかる発明によれば、第一、第二の共鳴体の簡易な構成例を提供することができる。
さらに、請求項9にかかる発明によれば、上記所定方向からの第一の周波数の音波と上記別の所定方向からの第二の周波数の音波とを共振により増幅させる別の具体例を提供することができる。
【0040】
さらに、請求項10請求項11にかかる発明によれば、音圧変化手段に共鳴体や反射体を利用したときの推定手段の具体例を提供することができる。
さらに、請求項12にかかる発明によれば、上記所定方向からの第一の周波数の音波と上記別の所定方向からの第二の周波数の音波とを減少させることにより音源の位置を推定することが可能となる。
さらに、請求項13にかかる発明によれば、音圧変化手段に吸音材を利用したときの推定手段の具体例を提供することができる。
【0041】
らに、請求項15にかかる発明によれば、音圧変化量演算手段の一例を提供することができる
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、図面にもとづいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる音源位置推定装置の概略構成を示している。なお、本実施形態は、人間の話声が発せられた位置を推定するものである。
同図において、本発明にいう音圧検出手段であるマイクロフォン10には、静電容量の変化を電圧として検出するエレクトレッロマイクロフォンを使用している。マイクロフォン10の内部には、図1の上側を前側、下側を後側とした場合に、前面に設けられた入力部11の内側に薄膜状の振動板12が備えられている。そして、音圧により振動板12が振動するときに生じる静電容量の変化を電圧(音圧信号)として外部に出力するようになっている。
【0043】
マイクロフォン10から出力された音圧信号は、本発明にいうデジタル変換手段であるA/Dコンバータ21を内蔵するマイコン20に入力される。マイコン20は、CPU22やROM23やRAM24やタイマ25も内蔵しており、ROM23に記憶されている所定のプログラムにしたがってA/Dコンバータ21に入力された音圧信号をデジタルの音圧データとして取り込み、音源の位置を推定する処理を行う。より具体的には、図2と図3に示すフローチャートにしたがって、A/Dコンバータ21からの音圧データをFFT(Fast Fourier Transform)演算を用いて一定の周波数帯域別にデータに変換するFFT処理や、変換されたデータを所定時間、定期的に取得し、得られたそれぞれの時系列データを加算することにより均して後述する音圧均し量を求める加算処理や、この音圧均し量から音源の位置を推定する推定処理を行う。なお、図2と図3のフローは後で詳述する。また、位置推定の結果を外部の表示回路30に出力する処理も行っている。
表示回路30は、液晶パネルを備え、マイコン20からの指令を受けて、「左」、「右」、「その他」の表示を行うことができるようになっている。
【0044】
なお、音圧均し量は、周波数帯域別の音圧を均したものであればよい。そこで、マイクロフォン10の出力からバンドパスフィルタ等の帯域フィルタ回路により周波数帯域別の音圧信号を作りだし、この音圧信号を平均化回路に入力して周波数帯域別に均された音圧を作成したうえで、A/Dコンバータ21を介して周波数帯域別の音圧均し量を取得してもよい。この場合、マイコン20が行うFFT処理や加算処理は不要となる。
【0045】
マイクロフォン10の入力部11の前方左側には、両端の開口部を所定の左前から右後方向に向けた本発明にいう第一の共鳴体である共鳴管41が略水平に設けられている。また、入力部11の前方右側には、両端の開口部を所定の右前から左後方向に向けた本発明にいう第二の共鳴体である共鳴管42が略水平に設けられている。
空気中の音波は進行方向に疎密な状態となった縦波であるので、共鳴管41,42は開口部方向からの特定の周波数の音波を共振させる。共鳴管41,42は両端開口であるので、共鳴管の長さをL(m)、音速をc(m/s)とすると、共振周波数の基本周波数はc/2L(Hz)となる。なお、基本周波数c/2Lの整数倍も共振周波数となるが、音波の共振度合いは基本周波数よりも小さくなる。
【0046】
共鳴管41は、17.0cm(0.170m)の長さとされている。室温の場合、音速は約340m/sであるので、共鳴管41の共振周波数の基本周波数は、ほぼ、340/(2*0.170)=1000(Hz)となる。そして、共鳴管41は両端の開口部を左前から右後方向に向けているので、左前方からの周波数約1000Hzの音波を主に共振させて増幅させる。
一方、共鳴管42の長さは10.0cmとされ、共振周波数の基本周波数は、ほぼ、340/(2*0.100)=1700(Hz)となる。そして、共鳴管42は両端の開口部を右前から左後方向に向けているので、右前方からの周波数約1700Hzの音波を主に共振させて増幅させる。
すなわち、マイクロフォン10の入力部11に設けられて左前方からの第一の周波数である周波数約1000Hzの音波を共振させる共鳴管41は本発明にいう音圧変化手段を構成し、同入力部11に設けられて右前方からの第二の周波数である周波数約1700Hzの音波を共振させる共鳴管42は本発明にいう第二音圧変化手段を構成している。
【0047】
ところで、人間の話声の周波数分布は、図4に示すように、細かく変動している。しかし、音圧を均すと、図5に示すように、音圧全体の大小はあるものの変動する周波数分布は均され、一定形状となる。成人の話声の場合、周波数分布は性別に関わらず400Hz近傍でピークを有している。
ここで、音源からの音波のうち特定の周波数の成分を共振させて増幅させると、周波数分布はその特定の周波数でピークを有する。例えば、音源が左前方にある場合、共鳴管41は周波数約1000Hzの音波を共振させて増幅させるので、図6に示すように、周波数約1000Hzのみにピークが生じた周波数分布となる。一方、音源が右前方にある場合、今度は共鳴管42が周波数約1700Hzの音波を共振させて増幅させるので、図7に示すように、周波数約1700Hzのみにピークが生じた周波数分布となる。なお、音源が正面や背面にある場合、厳密には若干の回折現象が起こるものの共鳴管41,42にほとんど共振は生じないので、図5に示した周波数分布となる。
【0048】
そこで、周波数約1000Hzを含む周波数帯域の音圧を均して本発明にいう第一の音圧均し量を求め、周波数約1700Hzを含む周波数帯域の音圧を均して本発明にいう第二の音圧均し量を求め、音圧全体の大小に影響されないように第一の音圧均し量と第二の音圧均し量との割合を算出すると、周波数約1000Hzの音圧変化の影響度合いと周波数約1700Hzの音圧変化の影響度合いを知ることができる。
【0049】
例えば、周波数約1000Hzの音圧変化の影響度合いI1を、第二の音圧均し量に対する第一の音圧均し量の割合、すなわち、式I1=(第一の音圧均し量)/(第二の音圧均し量)で求められる値とする。音源がマイクロフォン10に対し左前方にある場合、周波数分布のピークは周波数約1000Hzのみなので、第一の音圧均し量は共鳴管41,42がない場合と比較して大きくなっている。ここで、共鳴管41,42がない場合の音源からの音圧(単位:10のマイナス4乗Pa)が図8の最上欄に示す値となっている場合、第一の音圧均し量は、5から15に増加している。一方、第二の音圧均し量は共鳴管41,42がない場合とほぼ同じである。すると、影響度合いI1は、共鳴管41,42がない場合と比較して大きくなる。図8の例では、共鳴管41,42がない場合、影響度合いI1は5/3=1.67となり、共鳴管41,42がある場合、図9に示すように影響度合いI1は15/3=5となる。
【0050】
音源がマイクロフォン10に対し右前方にある場合、周波数分布のピークは周波数約1700Hzのみなので、第一の音圧均し量は共鳴管41,42がない場合とほぼ同じである。一方、第二の音圧均し量は共鳴管41,42がない場合と比較して大きくなっている。この場合、影響度合いI1は、共鳴管41,42がない場合と比較して小さくなる。図8の例では、共鳴管41,42がない場合の影響度合い1.67に対し、共鳴管41,42がある場合、影響度合いI1は5/9=0.56となる。
音源がマイクロフォン10に対し正面や背面にある場合、周波数約1000Hzや約1700Hzにピークが生じないので、第一、第二の音圧均し量は共鳴管41,42がない場合とほぼ同じである。この場合は、影響度合いI1は、共鳴管41,42がない場合の1.67とほぼ同じである。
【0051】
すなわち、影響度合いI1が大きくなるほど、音源は左前方にある可能性が大きくなる。したがって、影響度合いI1が所定割合よりも大きくなるとき(または所定割合以上となるとき)、音源位置は「左前方」であると推定するようにすればよい。例えば、所定割合を2.5とすると、影響度合いI1=5となる音源が左前方にあるときのみ音源位置は「左前方」であると推定される。
なお、音源の音の強さが異なったり、音源の位置が異なったりすると、周波数分布が図5〜図7の形状のまま音圧は変化する。例えば、図8の状態を基準として音源の音の強さが100倍となると、音圧はその1/2乗の10倍となるので、周波数帯域別の音圧は図10に示す値となる。すなわち、各周波数帯域の音圧がすべて10倍となっている。したがって、第一の音圧均し量に対する第二の音圧均し量の割合である影響度合いI1は図8の場合と全く同じ値となる。
【0052】
また、周波数約1700Hzの音圧変化の影響度合いI2を、第一の音圧均し量に対する第二の音圧均し量の割合、すなわち、式I2=(第二の音圧均し量)/(第一の音圧均し量)で求められる値とする。音源がマイクロフォン10に対し右前方にある場合、第二の音圧均し量は共鳴管41,42がない場合と比較して大きくなっている一方で、第一の音圧均し量は共鳴管41,42がない場合とほぼ同じである。すると、影響度合いI2は、共鳴管41,42がない場合と比較して大きくなる(図8の例では、共鳴管41,42がない場合I2=0.6、共鳴管41,42がある場合I2=1.8)。
【0053】
音源がマイクロフォン10に対し左前方にある場合、第二の音圧均し量は共鳴管41,42がない場合とほぼ同じである一方で、第一の音圧均し量は共鳴管41,42がない場合と比較して大きくなっている。この場合、影響度合いI2は、共鳴管41,42がない場合と比較して小さくなる(図8の例では、共鳴管41,42がない場合の影響度合い0.6に対し、共鳴管41,42がある場合I2=0.2)。音源がマイクロフォン10に対し正面や背面にある場合、第一、第二の音圧均し量は共鳴管41,42がない場合とほぼ同じであるので、影響度合いI2は、共鳴管41,42がない場合とほぼ同じである。
【0054】
すなわち、影響度合いI2が大きくなるほど、音源は右前方にある可能性が大きくなる。したがって、影響度合いI2が上記所定割合とは別の所定割合よりも大きくなるとき(または別の所定割合以上となるとき)、音源位置は「右前方」であると推定するようにすればよい。例えば、この別の所定割合を1.0とすると、影響度合いI2=1.8となる音源が右前方にあるときのみ音源位置は「左前方」であると推定される。
【0055】
なお、影響度合いI1,I2が共鳴管41,42のない場合とほぼ同じとき、上述の考えでは「左前方」や「右前方」と推定されない。したがって、影響度合いI1が所定割合よりも大きくなく、かつ、影響度合いI2が別の所定割合よりも大きくないとき、音源位置は「その他」であると推定するようにすればよい。
【0056】
以下、上述の考えに基づいて、入力部11に共鳴管41,42が設けられたマイクロフォン10にて検出された音圧から音源の位置を推定するマイコン20の処理を図2と図3で示したフローチャートに基づいて説明する。
図2において、マイクロフォン10から入力される音圧信号は、所定時間、定期的にデジタルの音圧データとして読み込む構成となっている。まず、タイマ25の時刻設定や周波数帯域別に音圧データを加算する変数の初期化等の初期設定を行い(ステップS105)、音圧データを読み込む定期の時間となったかどうかを判断する(ステップS110)。なお、ステップS110の代わりに、マイコン20のタイマ割り込み機能を利用してタイマ割り込み時にステップS115以下の処理を行う構成としてもよい。読み込み時間でなければ、読み込み時間となるまでステップS110の処理を繰り返し行う。
【0057】
読み込み時間となると、A/Dコンバータ21からデジタルの音圧データを読み込んでいく(ステップS115)。読み込む音圧データは全周波数帯域のデータであるので、この音圧データにFFT処理を行って、共鳴管41の共振周波数の基本周波数を含む周波数帯域の音圧データと共鳴管42の共振周波数の基本周波数を含む周波数帯域の音圧データとを取得する(ステップS120)。例えば、FFT処理の際にそれぞれの基本周波数のプラスマイナス50Hzの周波数帯域の音圧データを取得する場合には、950〜1050Hzの周波数帯域と1650〜1750Hzの周波数帯域とのデータを取得する。
なお、温度が上がるにつれ音速は大きくなり、共鳴管41の共振周波数も大きくなる。そこで、予めマイコン20のA/Dコンバータ21に温度センサを接続しておき、この温度センサからデジタルの温度データを読み込んで取得する音圧データの周波数帯域を補正する構成としてもよい。
【0058】
取得した音圧データは、周波数帯域別に加算する(ステップS125)。上述の例では、950〜1050Hzの周波数帯域用の変数と1650〜1750Hzの周波数帯域用の変数とにそれぞれ取得した音圧データを加算することになる。
そして、所定時間が経過したかどうかを判断する(ステップS130)。所定時間が経過していない場合は、再びステップS110〜S130の処理を行う。
【0059】
所定時間が経過した場合は、周波数帯域別に音圧データが所定時間、定期的に取得され、得られる時系列データが加算されたことになる。そこで、周波数帯域別に加算された音圧データを音圧均し量とする(ステップS135)。上述の例では、950〜1050Hzの周波数帯域用の変数に記憶された音圧データを第一の音圧均し量とし、1650〜1750Hzの周波数帯域用の変数に記憶された音圧データを第二の音圧均し量とする。なお、第一、第二の音圧均し量は、それぞれの周波数帯域の音圧データを均したものであればよいので、周波数帯域別に加算された音圧データをそれぞれ加算回数で除して平均値としたうえで第一、第二の音圧均し量としてもよい。
【0060】
このように、音圧データから第一の周波数を含む周波数帯域のデータと第二の周波数を含む周波数帯域のデータとを所定時間、定期的に取得し、得られるそれぞれの時系列データを加算して第一、第二の音圧均し量を求めるステップS105〜S135の処理は、本発明にいう加算手段を構成している。また、第一の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を所定時間取得するとともに加算して第一の音圧均し量を求め、第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を同所定時間取得するとともに加算して第二の音圧均し量を求めるという意味で、本発明にいう音圧均し手段が構成されている。
【0061】
第一、第二の音圧均し量が求まると、これらの第一、第二の音圧均し量に基づいて音源の位置を推定する処理を行い(ステップS140)、本フローを終了する。この推定処理の概略を、図3のフローチャートに示している。
同図において、まず、上述した影響度合いI1を、式I1=(第一の音圧均し量)/(第二の音圧均し量)から求める(ステップS205)。そして、影響度合いI1が所定割合よりも大きいかどうかを判断する(ステップS210)。上述のように所定割合を2.5とすると、音源が左前方にある場合、図9で示したように影響度合いI1は5であるので、条件が成立する。この場合、音源位置を「左前方」と推定し(ステップS215)、表示回路30に「左」を表示させ(ステップS240)、本フローを終了する。
【0062】
一方、音源が右前方や正面にある場合、影響度合いI1はそれぞれ0.56、1.67であるので、ステップS210の条件は成立せず、ステップS220に進んで、影響度合いI2を、式I2=(第二の音圧均し量)/(第一の音圧均し量)から求める。そして、影響度合いI2が上記別の所定割合よりも大きいかどうかを判断する(ステップS225)。上述のように別の所定割合を1.0とすると、音源が右前方にある場合、図9で示したように影響度合いI2は1.8であるので、条件が成立する。この場合、音源位置を「右前方」と推定し(ステップS230)、表示回路30に「右」を表示させ(ステップS240)、本フローを終了する。
【0063】
音源が正面または背面にある場合、影響度合いI2は0.6であるので、ステップS225でも条件が成立しない。この場合、音源位置を「その他」を推定し(ステップS235)、表示回路30に「その他」を表示させ(ステップS240)、本フローを終了する。
実際には、音源が共鳴管41,42の開口部方向から少しずれていたり、正面から左や右に少しずれていたりすることがある。その場合、影響度合いI1,I2は図9に示した値とはならず、それらの間の数値となる。すると、「左前方」や「右前方」と推定する音源位置の範囲は、図11に示すように、共鳴管41,42の開口部方向から拡がりをもった範囲となる。
すなわち、図3のフローは、第一の音圧均し量と第二の音圧均し量との割合を影響度合いとして、音源の位置が所定方向かどうかを推定する本発明にいう推定手段を構成している。
【0064】
上述のように、図2と図3のフローにて、人間の話声が発せられた位置を推定することができる。したがって、従来のようにマイクロフォン10を複数用いる必要なく、音源の位置を推定することが可能である。そして、マイクロフォン10にて検出された音圧を均し、均した音圧から第一の周波数の音圧変化の影響度合いを求め、この影響度合いと共鳴管41,42の位置関係から音源の位置を推定するマイコン20の行う処理は、本発明にいう音源位置推定手段を構成している。
なお、上述の実施形態では、人間の話声が発せられた位置を推定しているが、音圧を均したときに一定の周波数分布を示す音源であれば、音源の位置を推定することが可能である。
【0065】
ところで、図3のフローでは、影響度合いとしてI1とI2の二種類の変数を設けたが、影響度合いI2は影響度合いI1の逆数であるので、影響度合いI2を求めず、影響度合いI1のみを使用する構成としてもよい。むろん、影響度合いI2のみを使用する構成とすることも可能である。また、影響度合いI1,I2を別の式から算出する構成としてもよい。
図12は、第二の実施形態にかかる音源位置推定装置が行う推定処理の概略をフローチャートにより示している。なお、本実施形態では、第一、第二の音圧均し量の他に、400Hzを中心周波数とする350〜450Hzの周波数帯域の音圧データを所定時間、定期的に加算した第三の音圧均し量を用いている。すなわち、図8の例で示したように、第三の音圧均し量は共鳴管41,42による音圧変化の影響を受けない値となる。そこで、第三の音圧均し量を影響度合いI1,I2の算出に利用している。
【0066】
図12において、影響度合いI1を、式I1=(第一の音圧均し量)/(第三の音圧均し量)から求める(ステップS305)。そして、影響度合いI1が所定割合よりも大きいかどうかを判断する(ステップS310)。ここで、図8の例に示した音圧均し量から、影響度合いI1は図13に示す値となる。音源が左前方にあるとき、影響度合いI1は、15/6=2.5となる。音源が右前方や正面にあるとき、影響度合いI1は、5/6=0.83となる。そこで、本実施形態では所定割合を1.5と設定している。
音源が左前方にある場合、図13に示すように影響度合いI1は2.5であるので、条件が成立する。この場合、音源位置を「左前方」と推定し(ステップS315)、表示回路30に「左」を表示させ(ステップS340)、本フローを終了する。
【0067】
ステップS310で条件不成立の場合、影響度合いI2を、式I2=(第二の音圧均し量)/(第三の音圧均し量)から求める(ステップS320)。そして、影響度合いI2が別の所定割合よりも大きいかどうかを判断する(ステップS325)。ここで、音源が右前方にあるとき、影響度合いI2は9/6=1.5となり、音源が左前方や正面にあるとき、影響度合いI2は3/6=0.5となる。そこで、別の所定割合を1.0と設定している。
音源が右前方にある場合、図13に示すように影響度合いI2は1.5であるので、条件が成立する。この場合、音源位置を「右前方」と推定し(ステップS330)、表示回路30に「右」を表示させ(ステップS340)、本フローを終了する。
【0068】
ステップS325で条件不成立の場合、音源位置を「その他」を推定し(ステップS335)、表示回路30に「その他」を表示させ(ステップS340)、本フローを終了する。
このように、図12のフローによっても、人間の話声が発せられた位置を推定することが可能である。
【0069】
なお、上述の第一、第二の実施形態では、二種類の共鳴管41,42を用いて音源の位置が「左前方」であるか「右前方」であるか「その他」であるかを推定しているが、共鳴管の数を増やせば音源の位置をよりきめ細やかに推定することができる。一方、共鳴管を一つしか用いなくても、音源の位置が「開口部方向」であるか「その他」であるかを推定することが可能である。
【0070】
例えば、共鳴管42を用いずに共鳴管41のみを使用する場合、第二の音圧均し量を1650〜1750Hzの周波数帯域の音圧データから求めてもよいし、これ以外の周波数帯域の音圧データから求めてもよい。また、全周波数帯域の音圧データから求めてもよい。この場合、第二の音圧均し量には周波数1000Hzの音圧変化の影響を受けることになるが、第一の音圧均し量と比べて同音圧変化の影響は少ない。そこで、影響度合いI1を、式I1=(第一の音圧均し量)/(第二の音圧均し量)から算出することができ、音源の位置を推定することができる。
なお、音源の位置を上述のように左前方か右前方かそれ以外かの二次元的な位置として大雑把に推定するのも一例にすぎない。例えば、共鳴管の一つの開口部方向を後方向とすると、後方向にある音源を後方向推定することができるので、360度すべての方向の音源の位置を推定することが可能である。また、共鳴管の一つの開口部方向を上方向や下方向とすれば、上方向や下方向にある音源の位置を推定することができるので、上下方向も含めて三次元的に音源の位置を大雑把に推定することが可能である。以下の実施形態においても同様のことが言えるが、第一、第二の実施形態と同じく音源の位置が左前方か右前方かそれ以外かを推定する装置を例に挙げて説明している。
【0071】
ところで、共鳴管41,42を用いなくても音源の位置を推定することは可能である。例えば、共鳴管41,42の代わりに、共振周波数を有する弦、棒、円形膜、円盤等を使用することが可能である。この他、マイクロフォンの入力部との間で共振現象を引き起こす部材を設けてもよい。図14は、そのような部材を用いた第三の実施形態にかかる音源位置推定装置の概略構成を示している。
同図において、マイクロフォン110には、電磁誘導を利用するダイナミックマイクロフォンを使用している。マイクロフォン110の前面は、水平断面において半円状の曲面とされた入力部111となっている。この入力部111の内側に、入力部111の形状に合わせて曲面とされた振動板112が設けられている。そして、音圧により振動板112が振動するときに生じる起電力を電圧(音圧信号)としてマイコン120に出力するようになっている。
【0072】
マイクロフォン110の入力部111の左側には、入力部111からの距離が8.5cmとなるように曲面形状とされた本発明にいう第一の反射体である反射板141が設けられている。また、入力部111の右側には、入力部111からの距離が5.0cmとなるように曲面形状とされた本発明にいう第二の反射体である反射板142が設けられている。ここで、反射板141,142は金属製であり、音波を効率よく反射させる。なお、左前方からの音波が反射板142で反射して入力部111に入射したり右前方からの音波が反射板141で反射して入力部111に入射したりしないように、入力部111の正面に、左右を仕切るように前後方向に配置された遮蔽板143も設けられている。
【0073】
ここで、左前方からの音波が入力部111に入射する際、音波の一部は反射して反射板141に向かって進む。そして、この音波は反射板141で反射して入力部111に向かって進む。すなわち、一部の音波は、反射板141と入力部111との間で繰り返し反射させられ、共振させられる。反射板141と入力部111との間の距離は8.5cmであるので、共振周波数の基本周波数は、ほぼ、340/(2*0.085)=2000(Hz)となる。
一方、右前方からの音波が入力部111に入射する際、音波の一部は反射して反射板142に向かって進む。上述と同様の作用で、一部の音波は、反射板141と入力部111との間で繰り返し反射させられ、共振させられる。反射板142と入力部111との間の距離は5.0cmであるので、共振周波数の基本周波数は、ほぼ、340/(2*0.050)=3400(Hz)となる。
すると、音源が左前方にある場合、周波数約2000Hzのみにピークが生じた周波数分布となる。一方、音源が右前方にある場合、周波数約3400Hzのみにピークが生じた周波数分布となる。したがって、図2と図3のフローを利用して音源の位置を推定することが可能である。
【0074】
さらに、特定の周波数の音波を共振させて増幅させなくても、音源の位置を推定することは可能である。図15は、第四の実施形態にかかる音源位置推定装置の概略構成を示している。
同図において、マイクロフォン210は、図1と同様のエレクトレッロマイクロフォンを使用している。
マイクロフォン210の入力部211の前方左側には、本発明にいう第一の吸音材241が略水平に設けられている。また、入力部211の前方右側には、本発明にいう第二の吸音材242が略水平に設けられている。なお、第一の吸音材241は、所定方向からの音波のうち周波数約1000Hzの成分を中心として選択的に吸収するように空隙を形成された多孔質樹脂である。一方、第二の吸音材242は、別の所定方向からの音波のうち周波数約1700Hzの成分を中心として選択的に吸収するように空隙を形成された多孔質樹脂である。
【0075】
ここで、音波が左前方から来ると、周波数約1000Hzを中心とした成分が第一の吸音材241にて吸収される。すなわち、図16に示すように、左前方からの音波は周波数約1000Hzを中心とした成分が少なくなって入力部211に入射する。一方、音波が右前方から来ると、周波数約1700Hzを中心とした成分が第二の吸音材242にて吸収される。すなわち、右前方からの音波は周波数約1700Hzを中心とした成分が少なくなって入力部211に入射する。
【0076】
そこで、周波数約1000Hzを含む周波数帯域の音圧を均して第一の音圧均し量を求め、周波数約1700Hzを含む周波数帯域の音圧を均して第二の音圧均し量を求めると、周波数約1000Hzの音圧変化の影響度合いI1と周波数約1700Hzの音圧変化の影響度合いI2を知ることができる。その際、影響度合いI1,I2は第一の実施形態とは逆の傾向を示す。すなわち、音源が左前方にある場合は影響度合いI1は小さい値となり、音源が右前方にある場合には影響度合いI2が小さい値となる。
この場合の推定処理は、図3に示したフローのうち、ステップS210、S225を修正することにより行うことができる。ステップS210では所定割合よりも小さいかどうかを判断すればよく、ステップS225では別の所定割合よりも小さいかどうかを判断すればよい。すると、音源の位置を推定することが可能である。
【0077】
ところで、マイクロフォン10にて検出した音圧を均す際、音圧の変化を求めるように均してもよい。音源位置推定装置を図1のように構成すると、周波数約1000Hzの成分の音波は、音源が左前方にあるときのみ共鳴管41にて共振させられて増幅させられる。音波が発せられてから周波数約1000Hzの音圧の立ち上がりをみた場合、このときの音圧の変化は、均されると、図17に示すように音源が左前方にあるときには右前方や正面にあるときと比べて大きくなっている。また、周波数約1700Hzの成分の音波は、音源が右前方にあるときのみ共鳴管42にて共振させられて増幅させられるので、均された周波数約1700Hzの音圧の変化は、音源が右前方にあるときには左前方や正面にあるときと比べて大きくなっている。
そこで、音圧の均された変化を検出すれば、音源の位置を推定することが可能である。
【0078】
図18は、第五の実施形態にかかる音源位置推定装置が行う処理の概略をフローチャートにより示している。なお、概略構成は図1と同様である。また、本フローは、周波数帯域別の音圧の時系列データから時間に対する音圧データの近似式から音圧の変化を求めるようにしている。
図18において、まず、タイマ25の時刻設定や周波数帯域別に音圧データを取得する変数の初期化等の初期設定を行い(ステップS405)、音圧データを読み込む定期の時間となったかどうかを判断する(ステップS410)。読み込み時間でなければ、読み込み時間となるまでステップS110の処理を繰り返し行う。
読み込み時間となると、本発明にいうデジタル変換手段であるA/Dコンバータ21からデジタルの音圧データを読み込んでいき(ステップS415)、この音圧データにFFT処理を行って、共鳴管41の共振周波数の基本周波数約1000Hzを含む周波数帯域950〜1050Hzの音圧データと共鳴管42の共振周波数の基本周波数約1700Hzを含む周波数帯域1650〜1750Hzの音圧データとを取得する(ステップS420)。
【0079】
そして、近似式を求めるために必要な所定データ数取得したかどうかを判断する(ステップS425)。所定データ数を取得していなければ、再びステップS410〜S425の処理を行う。
所定データ数を取得した場合は、周波数帯域別に近似式を求める(ステップS430)。本実施形態では、最小自乗法により、時間の一次式を求めている。この一次式の時間項の係数は傾き成分であるので、この係数を周波数帯域別の第一、第二の音圧変化量とする(ステップS435)。すなわち、デジタルの音圧データから第一、第二の周波数を含む周波数帯域のデータを取得し、得られたそれぞれの時系列データから近似式を作成して第一、第二の音圧変化量を求めるステップS405〜S435の処理は、本発明にいう変化量算出手段を構成している。また、A/Dコンバータ21にてマイクロフォン10からの音圧信号をデジタルの音圧データに変換するとともにステップS405〜S435の処理を行うマイコン20は、本発明にいう音圧変化量演算手段を構成している。
【0080】
そして、第一、第二の音圧変化量に基づいて音源の位置を推定する処理を行う(ステップS440)。音源位置を推定した後は、終了条件が成立していなければ、さらにステップS410〜S440の処理を行い、音圧の時系列データを蓄積して音源位置の推定処理を継続する(ステップS445)。終了条件が成立した場合は、本フローを終了する。ここで、終了条件は、所定時間経過したかどうかの条件であってもよいし、装置に取り付けられた終了ボタンが押されたがどうかの条件であってもよい。
【0081】
ステップS440の推定処理は、図3に示したフローのうち、ステップS205、S220を修正することにより行うことができる。ステップS205では影響度合いI1を式I1=(第一の音圧変化量)/(第二の音圧変化量)から求めればよく、ステップS220では影響度合いI2を式I2=(第二の音圧変化量)/(第一の音圧変化量)から求めればよい。また、所定割合、別の所定割合は、実施場所に応じて適宜決定すればよい。すると、音源が左前方にある場合に影響度合いI1は大きい値となり、音源が右前方にある場合に影響度合いI2が大きい値となる。すなわち、この推定処理は、本発明にいう別の意味での推定手段を構成している。
このように、周波数帯域別に均された音圧変化を用いて音源の位置を推定することが可能である。
【0082】
以上説明したように、本実施形態の音源位置推定装置は、マイクロフォンにて検出された音圧を均し、均した音圧から共鳴管等の音圧変化手段による特定の周波数の音圧変化の影響度合いを求め、この影響度合いと同音圧変化手段の位置関係から音源の位置を推定する。したがって、マイクロフォンのような音圧検出手段を複数用いる必要なく音源の位置を推定することが可能な音源位置推定装置および音源位置推定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる音源位置推定装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】第一の実施形態にかかる音源位置推定装置が行う処理の概略を示すフローチャートである。
【図3】第一、第二の音圧均し量に基づいて音源の位置を推定する処理の概略を示すフローチャートである。
【図4】人間の話声の周波数分布の変化を示す図である。
【図5】音圧を均したときの人間の話声の周波数分布を示す図である。
【図6】音源が左前方にある場合に音圧を均したときの人間の話声の周波数分布を示す図である。
【図7】音源が右前方にある場合に音圧を均したときの人間の話声の周波数分布を示す図である。
【図8】音源の位置に対する周波数帯域別の音圧の関係の例を示す表形式の図である。
【図9】音源の位置に対する影響度合いの関係を示す表形式の図である。
【図10】音源の位置に対する周波数帯域別の音圧の関係の別の例を示す表形式の図である。
【図11】音源位置の範囲を示す模式図である。
【図12】第二の実施形態にかかる音源位置推定装置が行う推定処理の概略を示すフローチャートである。
【図13】音源の位置に対する影響度合いの関係を示す表形式の図である。
【図14】第三の実施形態にかかる音源位置推定装置の概略構成を示す構成図である。
【図15】第四の実施形態にかかる音源位置推定装置の概略構成を示す構成図である。
【図16】音源が左前方にある場合に音圧を均したときの人間の話声の周波数分布を示す図である。
【図17】音波が発せられてからの立ち上がりを均したときの音圧の時間変化を示す図である。
【図18】第五の実施形態にかかる音源位置推定装置が行う処理の概略を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…マイクロフォン
11…入力部
12…振動板
20…マイコン
21…A/Dコンバータ
22…CPU
23…ROM
24…RAM
25…タイマ
30…表示回路
41,42…共鳴管
110…マイクロフォン
111…入力部
112…振動板
120…マイコン
141,142…反射板
143…遮蔽板
210…マイクロフォン
211…入力部
241,242…吸音材

Claims (17)

  1. 音源から発せられた音波の音圧を検出する音圧検出手段と、
    この音圧検出手段の入力部に設けられて所定方向からの音波に含まれる所定の第一の周波数の音圧を変化させる音圧変化手段と、
    上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧を均した第一の音圧均し量を求め、同音圧から上記第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧を均した第二の音圧均し量を求める音圧均し手段と、
    上記第一の音圧均し量と上記第二の音圧均し量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置を推定する推定手段とを具備することを特徴とする音源位置推定装置。
  2. 上記請求項1に記載の音源位置推定装置において、
    上記音圧検出手段は、マイクロフォンであることを特徴とする音源位置推定装置。
  3. 上記請求項1または上記請求項2に記載の音源位置推定装置において、
    上記音圧均し手段は、上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を所定時間取得するとともに均す処理を行って上記第一の音圧均し量を求め、同音圧から上記第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を同所定時間取得するとともに均す処理を行って上記第二の音圧均し量を求め、
    上記推定手段は、上記第一の音圧均し量と上記第二の音圧均し量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置が上記所定方向かどうかを推定することを特徴とする音源位置推定装置。
  4. 上記請求項3に記載の音源位置推定装置において、
    上記音圧均し手段は、上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を所定時間取得するとともに加算して上記第一の音圧均し量を求め、上記第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を同所定時間取得するとともに加算して上記第二の音圧均し量を求めることを特徴とする音源位置推定装置。
  5. 上記請求項4に記載の音源位置推定装置において、
    上記音圧均し手段は、
    上記音圧検出手段にて検出された音圧をデジタルの音圧データに変換するデジタル変換手段と、
    上記音圧データから上記第一の周波数を含む周波数帯域のデータと上記第二の周波数を含む周波数帯域のデータとを所定時間、定期的に取得し、得られるそれぞれの時系列データを加算して上記第一および第二の音圧均し量を求める加算手段とを具備することを特徴とする音源位置推定装置。
  6. 上記請求項3〜請求項5のいずれか一項に記載の音源位置推定装置において、
    上記音圧変化手段とは別の所定方向からの音波に含まれる上記第二の周波数の音圧を変化させる第二音圧変化手段が設けられていることを特徴とする音源位置推定装置。
  7. 上記請求項6に記載の音源位置推定装置において、
    上記音圧変化手段は、上記所定方向からの上記第一の周波数の音波を共振させる第一の共鳴体を備え、
    上記第二音圧変化手段は、上記別の所定方向からの上記第二の周波数を共振させる第二の共鳴体を備えることを特徴とする音源位置推定装置。
  8. 上記請求項7に記載の音源位置推定装置において、
    上記第一の共鳴体と上記第二の共鳴体とは、異なる長さの共鳴管で形成されていることを特徴とする音源位置推定装置。
  9. 上記請求項6に記載の音源位置推定装置において、
    上記音圧変化手段は、上記音波を反射させるとともに、上記音圧検出手段の入力部との間で上記所定方向からの上記第一の周波数の音波を共振させる位置とされた第一の反射体を備え、
    上記第二音圧変化手段は、上記音波を反射させるとともに、上記入力部との間で上記別の所定方向からの上記第二の周波数の音波を共振させる位置とされた第二の反射体を備えることを特徴とする音源位置推定装置。
  10. 上記請求項7〜請求項9のいずれか一項に記載の音源位置推定装置において、
    上記推定手段は、上記第二の音圧均し量に対する上記第一の音圧均し量の割合が所定割合よりも大きいときに上記所定方向を音源の位置と推定し、上記第一の音圧均し量に対する上記第二の音圧均し量の割合が別の所定割合よりも大きいときに上記別の所定方向を音源の位置と推定することを特徴とする音源位置推定装置。
  11. 上記請求項7〜請求項9のいずれか一項に記載の音源位置推定装置において、
    上記音圧均し手段は、上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一および第二の周波数とは異なる第三の周波数を含む周波数帯域の音圧データを上記所定時間取得するとともに均す処理を行って第三の音圧均し量を求め、
    上記推定手段は、上記第三の音圧均し量に対する上記第一の音圧均し量の割合が所定割合よりも大きいときに上記所定方向を音源の位置と推定し、上記第三の音圧均し量に対する上記第二の音圧均し量の割合が別の所定割合よりも大きいときに上記別の所定方向を音源の位置と推定することを特徴とする音源位置推定装置。
  12. 上記請求項6に記載の音源位置推定装置において、
    上記音圧変化手段は、上記所定方向からの上記第一の周波数の音波を吸収する第一の吸音材を備え、
    上記第二音圧変化手段は、上記別の所定方向からの上記第二の周波数の音波を吸収する第二の吸音材を備えることを特徴とする音源位置推定装置。
  13. 上記請求項12に記載の音源位置推定装置において、
    上記推定手段は、上記第二の音圧均し量に対する上記第一の音圧均し量の割合が所定割合よりも小さいときに上記所定方向を音源の位置と推定し、上記第一の音圧均し量に対する上記第二の音圧均し量の割合が別の所定割合よりも小さいときに上記別の所定方向を音源の位置と推定することを特徴とする音源位置推定装置。
  14. 音源から発せられた音波の音圧を検出する音圧検出手段と、
    この音圧検出手段の入力部に設けられて所定方向からの音波に含まれる所定の第一の周波数の音圧を変化させる音圧変化手段と、
    上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を取得するとともに均しながら時間当たりの変化量である第一の音圧変化量を求め、同音圧から上記第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を取得するとともに均しながら時間当たりの変化量である第二の音圧変化量を求める音圧変化量演算手段と、
    上記第一の音圧変化量と上記第二の音圧変化量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置を推定する推定手段とを具備することを特徴とする音源位置推定装置。
  15. 上記請求項14に記載の音源位置推定装置において、
    上記音圧変化量演算手段は、
    上記音圧検出手段にて検出された音圧を所定の周波数帯域毎にデジタルの音圧データに変換するデジタル変換手段と、
    上記音圧データから上記第一の周波数を含む周波数帯域のデータと上記第二の周波数を含む周波数帯域のデータとを取得し、得られたそれぞれの時系列データから近似式を作成して上記第一および第二の音圧変化量を求める変化量算出手段とを具備することを特徴とする音源位置推定装置。
  16. 音源から発せられた音波の音圧を検出する音圧検出手段と、この音圧検出手段の入力部に設けられて所定方向からの音波に含まれる所定の第一の周波数の音圧を変化させる音圧変化手段とを用い
    上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧を均した第一の音圧均し量を求め、同音圧から上記第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧を均した第二の音圧均し量を求め、
    上記第一の音圧均し量と上記第二の音圧均し量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置を推定することを特徴とする音源位置推定方法。
  17. 音源から発せられた音波の音圧を検出する音圧検出手段と、この音圧検出手段の入力部に設けられて所定方向からの音波に含まれる所定の第一の周波数の音圧を変化させる音圧変化手段とを用い、
    上記音圧検出手段にて検出された音圧から上記第一の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を取得するとともに均しながら時間当たりの変化量である第一の音圧変化量を求め、同音圧から上記第一の周波数とは異なる第二の周波数を含む周波数帯域の音圧信号を取得するとともに均しながら時間当たりの変化量である第二の音圧変化量を求め、
    上記第一の音圧変化量と上記第二の音圧変化量との割合と上記音圧変化手段の位置関係から上記音源の位置を推定することを特徴とする音源位置推定方法。
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