JP4300081B2 - 透過音低減装置 - Google Patents

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本発明は透過音低減装置に関し、より特定的には、壁面を透過する音を能動的に低減する透過音低減装置に関する。
交通機関等の高出力化と住宅の密集化に伴い、生活環境における騒音の低減が求められている。また、近年は家庭内へのホームシアターの普及が進んでいるが、近隣への騒音の漏洩に配慮する結果、十分な音量でコンテンツを鑑賞することが出来なかった。従来、騒音防止の手段として壁面を重量化する、あるいは壁面に吸音材を充填するといった受動的方法に加えて、騒音による壁面振動を能動的に抑制し騒音を低減する種々の透過音低減装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。以下、図面を参照しながら壁面騒音を能動的に低減する従来の透過音低減装置について説明する。
図16は、従来の透過音低減装置を示す図である。図16において、透過音低減装置である遮音パネル161は、多数のセル162を並べた構成である。また、図17は、図16に示すセル162の詳細な構成を示す図である。図17において、セル162は、アクチュエータ173と、第1のセンサ174と、第2のセンサ175と、隔壁177および178とを備えている。なお、図17に示すように、遮音パネル161はセル毎に制御装置176を備えている。第1および第2のセンサ174および175は、例えばPVDFセンサ(又はその他のセンサ)である。制御装置176は、第1および第2のセンサ174および175からの信号に基づいて制御信号を生成する。アクチュエータ173は、制御装置176によって生成された制御信号を入力する。
まず、騒音が遮音パネル161を透過するメカニズムを説明する。ここでは、隔壁177から隔壁178の方向に騒音が到来するような環境に遮音パネル161を置いた場合を考える。この場合、騒音によって隔壁177が励振される結果、隔壁177が音源となり隔壁178に向けて音を放射する。隔壁177から放射された音によって隔壁178が励振される結果、隔壁178が音源となり音を放射する。このようなメカニズムによって隔壁177から隔壁178の方向へ騒音が透過する。
次に、遮音パネル161が騒音を能動的に低減する動作を説明する。まず、第1のセンサ174によって隔壁177の振動状態を検出し、検出結果を参照信号として制御装置176に入力する。制御装置176は、第1のセンサからの参照信号に基づいて生成される制御信号をアクチュエータ21に入力する。第2のセンサ175は、アクチュエータ21による隔壁178への励振作用と、騒音の隔壁178への励振作用との干渉状態を検出し、制御装置176に入力する。制御装置176は、第2のセンサ175の信号レベルが0に近づくように、Filtered−X LMS等の適応アルゴリズムに基づいて、制御信号を生成するためのフィルタ係数を更新する。ここで、第1のセンサ174で検出する騒音信号をN、第1のセンサ174から第2のセンサ175までの伝達特性をH、アクチュエータ21から第2のセンサ175までの伝達特性をC、制御信号生成フィルタ特性をGとすると、
N・H+N・G・C=0 …(1)
を満たすとき、第2のセンサ175の信号レベルが零となる。よって、制御装置176は、
G=−H/C …(2)
となるフィルタ特性を実現するようにフィルタ係数を更新する。なお、制御装置176として、固定アナログフィルタを使用することも可能である。
以上のように制御装置176におけるフィルタ係数を設定することによって、第2のセンサ175の信号レベルを0に近づける、すなわち、隔壁178の振動レベルを0に近づけることができる。この結果、隔壁178から放射される音のレベルが低減する。遮音パネル161を構成するセルの全てが以上のような動作を行うことによって、遮音パネル161を透過する騒音を低減することができる。
特表平8−500193号公報
しかしながら、図16および図17に示す構成では、隔壁178から隔壁177への方向に騒音が到来するような環境下では、騒音を低減することができない。なぜなら、上記構成によって隔壁178から隔壁177への方向に透過する騒音を低減しようとすれば、騒音が先に伝搬してくる隔壁178に設置されるアクチュエータ173を、騒音が後に伝搬してくる隔壁177に設置される第1のセンサからの信号に基づいて制御しなければならないからである。このような因果律を満たさないような制御によって騒音を低減することは不可能である。つまり、図16および図17に示す遮音パネルでは、1方向からの騒音のみにしか対応することができず、双方向からの騒音に対応することができなかった。従って、もし、逆の方向からの騒音に遮音パネル161を対応させようとすれば、遮音パネル161を壁面から取り外たうえで逆向きに設置し直さなければならず、このような作業は現実的に不可能である。
なお、双方向からの騒音に対応するために、隔壁177にもアクチュエータを取り付けるとともに、第2のセンサ175からの信号を参照信号として使用する構成が考えられる。しかし、この構成は、センサが2個、アクチュエータが2個それぞれ必要となり、これらを隔壁に取り付けなければならず、装置の規模が増すことになってしまう。
それ故、本発明の目的は、小規模で、かつ、双方向から到来する騒音に容易に対応することができる透過音低減装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の騒音低減装置は、以下の特徴を有する。すなわち、第1の発明は、所定の方向から到来し、自機を透過して伝搬する騒音を低減する透過音低減装置である。透過音低減装置は、第1のスピーカと、第2のスピーカと、第1の制御部とを備えている。第1のスピーカは、振動面が所定の方向を向いており、騒音を検出し、検出した騒音を電気信号に変換して出力する。第2のスピーカは、第1のスピーカより所定の方向側に、その振動面が前記第1のスピーカの振動面と対向するよう配置され、前記第1のスピーカの振動面に対して音を放射する。第1の制御部は、第1のスピーカから出力される電気信号のレベルが減衰するように、当該電気信号に基づいて前記第2のスピーカの駆動を制御する。
また、第2の発明では、前記所定の方向とは逆の方向から騒音が到来する場合、前記第2のスピーカは当該騒音を検出し、検出した音を電気信号に変換して出力してもよい。このとき、前記第1の制御部は、前記第2のスピーカから出力される電気信号が減衰するように、当該電気信号に基づいて前記第1のスピーカの駆動を制御する。また、前記第1のスピーカは、前記第1の制御部による制御に従い前記第2のスピーカの振動面に対して音を放射する。
さらに、第3の発明では、透過音低減装置は、前記第1および第2のスピーカによる騒音の検出結果を入力し、当該検出結果に基づいて、騒音が前記所定の方向から到来するか、または前記逆の方向から到来するかを判定する判定部をさらに備えていてもよい。このとき、前記第1の制御部は、前記判定部によって騒音が前記所定の方向から到来すると判定された場合、前記第1のスピーカの検出結果に基づいて前記第2のスピーカの駆動を制御し、前記判定部によって騒音が前記逆の方向から到来すると判定された場合、前記第2のスピーカの検出結果に基づいて前記第1のスピーカの駆動を制御する。
また、第4の発明では、前記判定部は、所定の時間間隔で判定を行ってもよい。
また、第5の発明では、透過音低減装置は、前記第1のスピーカの振動面に接続され、当該振動面との間に、体積が可変である密閉空間を形成する第1の筐体と、前記第2のスピーカの振動面に接続され、当該振動面との間に、体積が可変である密閉空間を形成する第2の筐体とをさらに備えてもよい。
また、第6の発明では、前記第1のスピーカは、好ましくは、前記第2のスピーカと同じ電気音響変換特性を有する。
また、第7の発明では、前記第1の制御部は、典型的には信号反転増幅器によって構成される。
また、第8の発明では、前記第1および第2のスピーカは、典型的には平板型の圧電音響体である。
また、第9の発明では、透過音低減装置は、第3のスピーカと、第4のスピーカと、第2の制御部と、接続部とを備えていてもよい。第3のスピーカは、第2のスピーカより所定の方向側に位置し、振動面が所定の方向を向いており、騒音を検出し、検出した騒音を電気信号に変換して出力する。第4のスピーカは、第3のスピーカより所定の方向側に、その振動面が前記第3のスピーカの振動面と対向して配置され、前記第3のスピーカの振動面に対して音を放射する。第2の制御部は、前記第3のスピーカから出力される電気信号が減衰するように、当該電気信号に基づいて前記第4のスピーカの駆動を制御する。接続部は、前記第スピーカと前記第スピーカとの間に密閉空間を形成する。
さらに、第10の発明では、前記第1および第2のスピーカの第1次共振周波数は同じ値に設定され、前記第3および第4のスピーカの第1次共振周波数は同じ値に設定されてもよい。このとき、前記第1および第2のスピーカの第1次共振周波数は、前記第3および第4のスピーカの第1次共振周波数と異なる値に設定される。
また、第11の発明は、第1の発明に係る透過音低減装置によって構成される騒音制御パネルである。騒音制御パネルは、複数の透過音低減装置と、各透過音低減装置の第1および第2のスピーカの外周を支持する支持部とを備えている。また、各透過音低減装置は、支持部によって、第1および第2のスピーカの振動面と略平行な方向に並んで接続される。
上記のように、本発明によれば、騒音を検出する機能と、騒音を低減するための制御音を放射する機能とを具備するスピーカを2つ用いる。そして、一方のスピーカを騒音を検出する用途で用いるとともに、他方のスピーカを制御音を放射する用途で用いる。ここで、各スピーカは両方の機能を備えているので、それぞれ、いずれの用途としても用いることができる。従って、所定の方向から到来する騒音を低減するために設置した場合に、それとは逆の方向から到来する騒音に対応するために、各スピーカの配置を変更する必要がない。以上より、本発明に係る透過音低減装置によれば、逆の方向から到来する騒音に容易に対応することができる。
また、第2の発明によれば、双方向からの騒音に対応することができる。さらに、第3の発明によれば、双方向からの騒音に自動的に対応することができる。また、さらに、第4の発明によれば、騒音が到来する方向が時々刻々変化する場合においても、確実に騒音を低減することができる。
また、第5の発明によれば、体積を変化させることによって、スピーカの第1次共振周波数を変化させることができる。従って、透過音低減装置によって低減することができる騒音の周波数帯域を変更することができる。
また、第6の発明によれば、制御部の設計を容易にすることができる。また、第7の発明によれば、制御部を簡易な構成によって実現することができる。
また、第9の発明によれば、騒音に対して、音を低減する作用を2回行うこととなる。従って、騒音低減効果をより向上させることができる。さらに、第10の発明によれば、騒音に対して音を低減する作用を1回のみ行う場合に比べて、より広い周波数帯域において騒音低減効果を得ることができる。
また、第11の発明によれば、より広い範囲に透過音低減装置を設置することができる。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1に係る透過音低減装置について説明する。図1は、実施の形態1に係る透過音低減装置を示す図である。図1において、透過音低減装置は、電気音響変換器の一例である圧電音響体11および12と、制御部13とを備えている。圧電音響体11および12は、圧電効果を利用した平板型の電気音響変換器である。制御部13は、圧電音響体11および12に接続される。図1に示す透過音低減装置は、図17に示す従来の構成に比べてシステム規模を削減し、かつ、双方向からの騒音に容易に対応することを可能とするものである。以下、透過音低減装置の動作を説明する。
図1においては、透過音低減装置の(紙面において)左側から騒音が到来し、右方向へ透過していく環境を考える。この環境下では、圧電音響体12を透過した騒音が圧電音響体11を励振する結果、圧電音響体11には圧電効果によって起電力が生じる。この起電力により生成される信号は、図1に示す透過音低減装置の右側(騒音が低減されるべき側)に透過される騒音を示す。従って、制御部13は、圧電音響体11から出力される信号を騒音信号として入力し、当該騒音信号に基づいて圧電音響体12を制御する。つまり、圧電音響体11は、騒音検出用のマイクロホンとして用いられる。
圧電音響体11としては、例えば、特開平11−164396号公報に示されるような圧電スピーカを用いることが可能である。実施の形態1においては、厚さが200[μm]の圧電スピーカを圧電音響体11として用い、その特性を測定した。図2は、実施の形態1において用いる圧電スピーカのマイクロホンとしての特性を示す図である。図2において、縦軸は感度を示し、横軸は周波数を示す。感度がピークとなる150〜200[Hz]の周波数帯域は、圧電スピーカの第一次共振周波数に一致している。このとき、スピーカの振動面は(1,1)モードで共振する。また、圧電スピーカは、第一次共振周波数より高い周波数では、マイクロホン感度が低下するという特徴を持っている。
一方、図1において、制御部13は、圧電音響体11から出力される騒音信号に基づいて、圧電音響体12の動作を制御する制御信号を生成し、圧電音響体12へ出力する。圧電音響体12は、制御信号によって動作し、音を放射する。圧電音響体12によって放射される音は、圧電音響体11の振動を抑制するための制御音としての役割を果たす。つまり、圧電音響体12は、制御音を放射する制御スピーカとして動作する。
圧電音響体12としては、圧電音響体11と同様の圧電スピーカを用いることが可能である。実施の形態1においては、圧電音響体11と同じの圧電スピーカを圧電音響体12として用いるものとする。図3は、圧電スピーカが発生する音圧の特性(発生音圧特性)を示す図である。図3において、縦軸は音圧レベルを示し、横軸は周波数を示す。圧電スピーカの発生音圧特性は、マイクロホン特性と同様、150〜200[Hz]において顕著なピークを示す。
次に、制御部13における制御方法を説明する。制御部13は、圧電音響体11から出力される騒音信号のレベルが減衰するように(好ましくは、できるだけ小さくなるように)、当該騒音信号に基づいて圧電音響体12の駆動を制御する。具体的には、制御部13は、騒音に起因する圧電音響体11の振動と逆位相の振動を制御音によって圧電音響体11に与えるように、圧電音響体12を制御する。以下、制御部13における制御方法について詳細を説明する。
いま、騒音によって圧電音響体11に生じる信号をN、制御部13のフィルタ特性をC、圧電音響体12によって放射される音の圧電音響体11への信号伝達特性をP、騒音と制御音とが干渉した後の圧電音響体11の振動、すなわち制御誤差をeとすると、
e=N+e・P・C …(3)
という関係が成り立つ。(3)式より、騒音Nに対する制御誤差eの比は、
Figure 0004300081
で表される。さらに、(4)式より、
Figure 0004300081
を実現するようにフィルタ特性Cを設計すれば、圧電音響体11の振動を抑制し、騒音を低減することができる。すなわち、騒音を低減するためには、オープンループ特性P・Cを、位相が逆相、つまり±180[deg]となるようにすればよい。これによって、圧電音響体11からの騒音信号が減衰するように制御することができる。そして、P・Cが逆相となる周波数において、そのゲインが大きいほど、騒音信号の減衰量も大きくなる。以上のように、制御部13のフィルタ特性は、(5)式を満たすように設定される。
図4は、図1に示す制御部13を信号反転増幅器によって実現した場合における透過音低減装置を示す図である。図4に示されるように、制御部13は、信号反転増幅器41によって実現することが可能である。なお、図4において、圧電音響体11および12は、上述の圧電スピーカによって実現される。図5は、図4に示す透過音低減装置のP・C特性を示す図である。図5に示されるように、圧電スピーカの第1次共振周波数である150〜200[Hz]の周波数帯域、および500〜600[Hz]の周波数帯域では、ゲインが顕著なピークを持つ。また、これらの周波数帯域では、位相が±180[deg]近くになる。従って、図4に示す透過音低減装置は、これらの周波数帯域において騒音低減性能を有することとなる。つまり、図4に示す透過音低減装置は、これらの周波数の騒音を低減することができる。
図6は、図4に示す透過音低減装置の性能を評価するための評価装置を示す図である。図6において、評価装置は、透過音低減装置61と、騒音発生器62と、騒音源用スピーカ63と、剛体箱64と、マイクロホン65と、周波数分析器66と、筐体67とを備えている。透過音低減装置61は、図4に示す透過音低減装置であり、圧電音響体11および12と、信号反転増幅器41とを備えている。圧電音響体11および12は、剛体箱64にはめ込まれて固定されている。図6に示す評価装置において、騒音発生器62は、騒音の信号として例えば白色雑音の信号を発生し、騒音源用スピーカ63へ出力する。騒音源用スピーカ63は、騒音発生器62から出力された騒音の信号を剛体箱64によって囲まれた空間へ放射する。なお、騒音源用スピーカ63の周囲は筐体67によって囲まれている。筐体67は、騒音源用スピーカ63の裏面から放射される音がマイクロホン65で検出されることを防止するためのものである。空間へ放射された騒音は、圧電音響体11および12を透過して剛体箱64の外部へ伝搬する。剛体箱64は、圧電音響体11および12以外から騒音が伝搬することを防止する役割を果たす。マイクロホン65は、剛体箱64の外部へ伝搬してくる騒音を検出する。検出された騒音は、周波数分析器66に入力される。周波数分析器66は、入力した騒音の周波数特性を導出する。周波数分析器66によって導出された周波数特性を見れば、透過音低減装置61による騒音低減効果がわかる。
図7は、図6に示す評価装置を用いて、透過音低減装置61を駆動しない場合と駆動する場合とにおいてマイクロホン65によって検出された騒音の周波数特性を示す図である。なお、図7に示す周波数特性は、剛体箱64を厚さ30[mm]のアクリル板によって構成し、マイクロホン65を、圧電音響体11から30[cm]離れた位置に圧電音響体11の前方(紙面の上方)正面に設置した場合に得られた特性である。
図7において、実線は、透過音低減装置61を駆動しない場合の周波数特性を示し、破線は、透過音低減装置61を駆動する場合の周波数特性を示す。図7に示されるように、圧電スピーカの第1次共振周波数である150〜200[Hz]の周波数帯域において、透過音低減装置61を駆動した場合の方が駆動しない場合に比べて騒音をより低減することができていることがわかる。特に、周波数が約170[Hz]の場合には、透過音低減装置61を駆動した場合の方が駆動しない場合に比べて−13[dB]程度、騒音を低減することができている。以上より、制御部13を信号反転増幅器のような簡易な構成によって実現しても、騒音低減効果を十分に得ることができることがわかる。
以上のように、実施の形態1に係る透過音低減装置は、所定の周波数成分の騒音について騒音を低減することが可能である。また、低減可能な周波数成分の帯域は、圧電音響体として用いられる圧電スピーカの第1次共振周波数の付近の周波数帯域である。従って、予め低減すべき騒音の周波数スペクトルを分析しておき、分析結果に基づいて圧電スピーカを設計すれば、所望の周波数帯域の騒音を低減することができる。また、壁面の重量を大きくする等の受動的方法では、上述した150〜200[Hz]程度の低周波帯域の騒音を低減することが困難であったが、実施の形態1に係る透過音低減装置によれば、かかる低周波帯域の騒音を低減することが可能である。
さらに、実施の形態1に係る透過音低減装置であれば、双方向からの騒音に対して容易に対応することが可能である。図8は、図1とは逆の方向から騒音が到来する環境下における透過音低減装置を示す図である。図8に示す構成が図1で示した構成と比較して異なる点は、圧電音響体12を騒音検出用マイクロホンとして動作させ、圧電音響体11を制御スピーカとして動作させる点である。図8に示す透過音低減装置における上記以外の点については図1と同様であり、動作も図1に示す透過音低減装置と同様である。
ここで、圧電音響体11および12は同一の構成によって実現可能であるので、図1に示す構成を図8に示す構成に変更するためには、制御部13の構成のみを変更すればよい。従って、図1に示す透過音低減装置を逆方向から到来する騒音に対応させるためには、制御部13の構成のみを変更すればよい。具体的には、圧電音響体11から入力される信号に基づいて圧電音響体12を制御する構成に変更すればよい。例えば、制御部13および圧電音響体11を接続する配線と制御部13および圧電音響体11を接続する配線とを入れ替えることによって、制御部13の構成を変更したことと同様の効果を得ることができる。また、制御部13と圧電音響体11および12との入出力関係を手動で切り替え可能な構成としてもよい。以上のように、実施の形態1に係る透過音低減装置によれば、2つの圧電音響体について、騒音検出用のマイクロホンとしての役割と、制御スピーカとしての役割とを入れ替えることによって、双方向からの騒音に対して容易に対応することができる。
また、圧電音響体11および12は、同じ音響特性を有するものを用いることが好ましい。具体的には、圧電音響体11および12について、マイクロホンとしての特性(図2参照)が同じであり、かつ、発生音圧特性(図3参照)が同じであることが好ましい。圧電音響体11および12が同じ音響特性を有することによって、制御部13の設計が容易になる。また、圧電音響体11および12が同じ音響特性を有する場合には、制御部13と圧電音響体11および12との入出力関係を入れ替えても、入れ替え前後で制御部13のフィルタ特性を変更する必要がない。つまり、制御部13は、騒音の到来する方向に応じた2種類のフィルタを用意しておく必要がない。
なお、実施の形態1に係る透過音低減装置は、当該装置を複数個接続することによって、広い範囲の壁面に設置することが可能である。図9は、実施の形態1に係る透過音低減装置を複数個接続した騒音低減パネルの断面図である。図9(a)は、騒音低減パネルの正面図であり、図9(b)は、騒音低減パネルのA−B断面図である。なお、図9(a)では、図面を見やすくする目的で制御部13を図示していない。図9(a)に示す騒音低減パネルは、9個の透過音低減装置91が接続部92によって接続されることによってパネル状の形態を有する構成である。この騒音低減パネルは、壁の内部等に設置することによって用いることができる。各透過音低減装置91は、図1に示す透過音低減装置と同様の構成である。なお、図9においては、縦3個、横3個の透過音低減装置を並べて接続した騒音低減パネルを示したが、より多くの透過音低減装置を接続することによって、より広い面積を有するパネルを実現することも可能である。
なお、透過音低減装置を実際に壁に設置する場合には、上記のような騒音低減パネルを壁の所定の範囲に取り付けることが考えられる。騒音低減パネルを壁に取り付ける範囲は、壁の全面に取り付けてもよいし、騒音が透過しやすい範囲をに取り付けてもよい。騒音が透過しやすい範囲は、例えば寄与率を算出することによって決定することができる。寄与率とは、壁によって囲まれた空間(騒音を低減すべき空間)内に伝搬してくる騒音のうち、その部分を透過して伝搬されてくる騒音の割合を示す指標をいう。この場合、寄与率が高い部分に騒音低減パネルを配置することによって、当該空間内に伝搬してくる騒音を効率よく低減することができる。
なお、制御部13は、上記信号反転増幅器によって構成される他、(5)式を満たす特性を有する構成であればどのような構成であってもよい。また、制御部13は、アナログ回路でもデジタル回路でも構成することが可能である。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る透過音低減装置を説明する。実施の形態2に係る透過音低減装置は、実施の形態1に係る透過音低減装置の遮音性能をより向上するものである。実施の形態2では、騒音が伝搬する方向に沿って2個の透過音低減装置を並べて設置する。これによって、騒音に対して2回の遮音作用を施し、遮音性能の向上を図る。
図10は、実施の形態2に係る透過音低減装置の断面図である。図10において、透過音低減装置は、4つの圧電音響体101〜104と、接続部105と、2つの制御部106および107とを備えている。圧電音響体101および102と、制御部106とによって、第1の透過音低減装置が構成される。また、圧電音響体103および104と、制御部107とによって、第2の透過音低減装置が構成される。第1および第2の透過音低減装置は、実施の形態1に係る透過音低減装置と同様の動作を行う。つまり、実施の形態2に係る透過音低減装置は、実施の形態1に係る透過音低減装置を2つ接続した構成である。第1および第2の透過音低減装置は、接続部105によって接続される。接続部105と、圧電音響体102および圧電音響体103とによって空間が形成される。この空間は、外部に騒音が漏れないよう、密閉されていることが好ましい。実施の形態2においては、騒音が透過する方向に沿って第1および第2の透過音低減装置が接続される。
次に、実施の形態2に係る透過音低減装置の動作を説明する。ここでは、(紙面向かって)左から右へ騒音が到来する場合について説明する。まず、第1の透過音低減装置においては、圧電音響体102が騒音検出用のマイクロホンとして用いられる。圧電音響体101は、制御スピーカとして動作する。制御部106における制御方法は、実施の形態1と同様である。第1の透過音低減装置によって、紙面の左側から伝搬してくる騒音が低減される。低減された騒音は、接続部105の内部の空間を伝搬していき、第2の透過音低減装置を透過する。
第2の透過音低減装置においては、圧電音響体104が騒音検出用のマイクロホンとして用いられ、圧電音響体103が制御スピーカとして用いられる。従って、第2の透過音低減装置は第1の透過音低減装置と同様の動作を行うことによって、第2の透過音低減装置を透過する騒音を低減することができる。このように、実施の形態2においては、騒音に対して2回の遮音作用が施される。
なお、実施の形態1において説明したように、第1および第2の透過音低減装置は、所定の周波数帯域の騒音のみを低減することができる。ここで、第1の透過音低減装置によって低減可能な周波数帯域と、第2の透過音低減装置によって低減可能な周波数帯域とを互いに異なる帯域とすれば、1つの透過音低減装置を用いる場合に比べてより広い周波数帯域の騒音を低減することができる。すなわち、第1の透過音低減装置に用いられる圧電音響体(圧電音響体101および102)の第1次共振周波数と、第2の透過音低減装置に用いられる圧電音響体(圧電音響体103および104)の第1次共振周波数とを異なるように設計すれば、より広い周波数帯域の騒音を低減することができる。ここで、『機械工学便覧』(日本機械学会編、1987年)によれば、周辺が固定された長方形平板の第1次共振周波数は、
Figure 0004300081
で定まる。なお、(6)式において、λは長辺の長さbと短辺の長さとから定まる無次元パラメータ、2hは板厚、Eはヤング率、νはポアソン比、ρは密度である。(6)式より、長方形平板の第1次共振周波数はその面積に反比例するので、圧電音響体の面積を変化させることによって第1次共振周波数を変化させることができる。従って、圧電音響体101および102の振動板面積と、圧電音響体103および104の振動板面積とを異なるように設計すれば、第1の透過音低減装置によって低減可能な周波数帯域と、第2の透過音低減装置によって低減可能な周波数帯域とを異なるように設計することができる。すなわち、1つの透過音低減装置を用いる場合に比べて広い周波数帯域の騒音を低減することができる。
以上のように、実施の形態2によれば、実施の形態1に比べて広い周波数帯域で騒音の低減性能を有する透過音低減装置を実現することができる。なお、上記の説明では、第1の透過音低減装置の第1次共振周波数と第2の透過音低減装置の第1次共振周波数とが異なるように設計する場合について述べたが、2つの透過音低減装置の第1次共振周波数を同一にするように設計しても構わない。この場合、所定の周波数帯域における騒音が低減する割合を実施の形態1に比べて大きくすることができる。
なお、実施の形態2においても、実施の形態1と同様、複数の透過音低減装置を並べて接続することによって、透過音低減装置をより広い範囲の壁面に適用することができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る透過音低減装置を説明する。なお、実施の形態1に係る透過音低減装置は、低減可能な騒音の周波数帯域が固定されており、低減すべき騒音の周波数帯域を変更することができなかった。実施の形態3に係る透過音低減装置は、低減可能な騒音の周波数帯域を変更することを可能とするものである。
図11は、実施の形態3に係る透過音低減装置の断面図である。図11において、透過音低減装置は、圧電音響体11および12と、制御部13と、筐体111および112とを備えている。圧電音響体11および12、ならびに制御部13は、実施の形態1と同様の構成要素である。実施の形態3は、実施の形態1の構成要素に加えて、筐体111および112をさらに備える構成である。筐体111は、筒状部材113と、可動壁114とを備えている。同様に、筐体112は、筒状部材115と、可動壁116とを備えている。
筒状部材113は両端が開口した筒状の形状であり、開口面に平行な断面の形状は圧電音響体11および12と同じ形状である。筒状部材113の開口部の一端は、圧電音響体11に接続される。筒状部材113は、その内周面に、可動壁114を取り付けるためのスリットを複数個有する。可動壁114は、筒状部材113の内周面のスリットに差し込まれるのに適した大きさを有する平板である。可動壁114は、筒状部材113の複数のスリットのいずれかに差し込まれることによって筒状部材113に接続される。なお、筐体112は筐体111と同じ構成である。筐体112の筒状部材115の開口部の一端は圧電音響体12に接続される。また、可動壁116は、可動壁114と同様の形状を有する平板である。可動壁116は、筒状部材115の複数のスリットのいずれかに差し込まれる。
以上の構成によって、実施の形態3に係る透過音低減装置は、可動壁の取り付け位置を変化させることが可能となる。図12は、図11に示す透過音低減装置の可動壁を移動させる様子を示す図である。なお、図12では、説明をわかりやすくする目的で、筒状部材113は図示せず、圧電音響体11および可動壁114のみを示す。また、図12に示される点線は、筒状部材113に設けられたスリットを示す。可動壁114は、筒状部材113に設けられたスリットのいずれかに差し込まれることによって、筒状部材113に固定される。これによって、筐体111および圧電音響体11によって囲まれる空間が形成される。この空間は、密閉空間であることが望ましい。この空間の体積は、可動壁114を差し込む位置を変更することによって変更することができる。
なお、筐体111および112の構成は、上記に限らず、圧電音響体に接続され、当該圧電音響体との間に体積が可変である密閉空間を形成することができる構成であればどのような構成であってもよい。
図13は、筐体等によって囲まれる空間の体積と圧電音響体の音圧周波数特性との関係を示す図である。図13では、筐体等によって囲まれる空間の大きさを3段階に変化させ、それぞれの場合における音圧周波数特性を示している。図13に示す実線は、当該空間の大きさが最も小さい場合の音圧周波数特性である。図13に示す一点鎖線は、当該空間の大きさが2番目に小さい場合の音圧周波数特性である。図13に示す点線は、当該空間の大きさが最も大きい場合の音圧周波数特性である。図13に示されるように、上記空間を小さくするほど第1次共振周波数が高くなり、当該空間を大きくするほど第1次共振周波数が低くなる。従って、上述のようにこの空間の体積を変化させることによって、所望の第1次共振周波数を得ることが可能である。また、圧電音響体12についても圧電音響体11と同様に、筐体112、圧電音響体12および可動壁114によって囲まれる空間の体積を変化させることによって、所望の第1次共振周波数を得ることが可能である。
以上のように、実施の形態3においては、圧電音響体の第1次共振周波数を変化させることができる。また、実施の形態1において説明したように、圧電音響体の第1次共振周波数に依存して、透過音低減装置が低減可能な騒音の周波数帯域は変化する。従って、実施の形態3によれば、低減する騒音の周波数帯域をユーザが自由に変更することができる。
なお、実施の形態3においても、実施の形態1と同様、複数の透過音低減装置を並べて接続することによって、透過音低減装置をより広い範囲の壁面に適用することができる。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係る透過音低減装置を説明する。以上に説明した実施の形態1〜3に係る透過音低減装置では、双方向からの騒音に容易に対応することが可能であるものの、逆方向からの騒音に対応しようとする場合には手動で設定を変更しなければならなかった。実施の形態4は、騒音が到来する方向を透過音低減装置が自動的に検知し、双方向からの騒音に自動的に対応することを可能とするものである。
図14は、実施の形態4に係る透過音低減装置を示す図である。図14において、圧電音響体11および12と、制御部13と、判定部141とを備えている。図14は、図1に示した構成に判別部141を加えた構成であり、判定部141以外の構成要素は、実施の形態1と同様の構成要素である。判定部141は、圧電音響体11および12に接続される。また、判定部141は、制御部13に接続される。
次に、判定部141の動作を中心に、実施の形態4に係る透過音低減装置の動作を説明する。図15は、図14に示す判定部の処理の流れを示すフローチャートである。実施の形態4においては、透過音低減装置の電源を入れること等によって透過音低減装置を動作させた時点では、制御部13はすぐに駆動しない。また、この時点で、圧電音響体11および12は共に、騒音検出用のマイクロホンとして動作するように設定されている。圧電音響体11および12において検出された各騒音信号は、判定部141へ出力される。
一方、透過音低減装置が駆動すると、判定部141は、まず、圧電音響体11および12において検出された騒音信号を入力する(ステップS1)。次に、判定部141は、圧電音響体11において検出された騒音信号のレベルN1と、圧電音響体11において検出された騒音信号のレベルN2とを比較する。具体的には、||N1||>||N2||であるか否かを判定する(ステップS2)。つまり、判定部141は、ステップS2において、騒音がいずれの方向から到来するか(図14においては、騒音が紙面の右側から到来するか、または左側から到来するか)を判定する。ステップS2において、||N1||>||N2||である場合、騒音は圧電音響体11の側(紙面の右側)から到来すると判断される。逆に、||N1||=<||N2||である場合、騒音は圧電音響体12の側(紙面の左側)から到来すると判断される。
ステップS2において、||N1||>||N2||である場合、判定部141は、圧電音響体11を制御スピーカとして、かつ、圧電音響体12を騒音検出用のマイクロホンとして動作させるように設定する(ステップS3)。具体的には、圧電音響体11を制御スピーカとして、かつ、圧電音響体12を騒音検出用のマイクロホンとして動作させる旨の指示を示す入出力設定信号を制御部13へ出力する。この入出力設定信号に応じて、制御部13は、圧電音響体12から騒音信号を入力し、入力した騒音信号に基づいて圧電音響体11を制御する。この制御は、図8に示す透過音低減装置の場合と同様の制御である。
一方、ステップS2において、||N1||=<||N2||である場合、判定部141は、圧電音響体12を制御スピーカとして、かつ、圧電音響体11を騒音検出用のマイクロホンとして動作させるように設定する(ステップS4)。具体的には、圧電音響体12を制御スピーカとして、かつ、圧電音響体11を騒音検出用のマイクロホンとして動作させる旨の指示を示す入出力設定信号を制御部13へ出力する。この入出力設定信号に応じて、制御部13は、圧電音響体11から騒音信号を入力し、入力した騒音信号に基づいて圧電音響体12を制御する。この制御は、図1に示す透過音低減装置の場合と同様の制御である。
ここで、制御部13は、圧電音響体11を騒音検出用マイクロホンとして、かつ、圧電音響体12を制御スピーカとして動作させる場合と、その逆の場合について、それぞれ(5)式を満たすようにフィルタを2つ用意しておく。そして、判定部141からの入出力設定信号の内容に応じて、使用するフィルタを切り替える。つまり、制御部13は、騒音が透過する方向に応じて使用するフィルタを切り替える。以上によって、いずれの方向から騒音が到来する場合であっても、騒音を低減するように圧電音響体を制御することができる。
なお、圧電音響体11および12は、同じ音響特性を有するものを用いることが好ましい。同じ音響特性を有する場合、一方の圧電音響体を駆動した場合における他方への信号伝達特性Pが同一になる。従って、この場合、騒音が到来する方向にかかわらず、同じフィルタを用いて(5)式を満たすことができる。例えば、圧電音響体11と圧電音響体12とを同じ圧電スピーカで構成する場合には、制御部13は、騒音が到来する方向に応じた2種類のフィルタを用意する必要がない。
ステップS3またはS4の後、判定部141は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS5)。所定時間は、判定部141において予め定められている時間である。ステップS5において、所定時間が経過したと判定されない場合、ステップS4の処理が繰り返される。一方、ステップS5において、所定時間が経過したと判定された場合、ステップS1の処理に戻る。つまり、判定部141は、所定時間が経過するまで待機し、所定時間が経過すると、ステップS1の処理に戻ってステップS1〜S4の処理を繰り返す。
上記ステップS4の処理によって、透過音低減装置は、騒音がどちらの方向から到来しているかを、所定時間おきに検出することができる。従って、時々刻々と騒音が到来する方向が変化する環境においても、騒音を確実に低減することができる。
以上のように、実施の形態4によれば、双方向から到来する騒音に自動的に対応することができる。また、所定時間間隔で騒音の到来方向を検出することによって、騒音が到来する方向の変化に対応することができる。
なお、透過音低減装置は、ディスプレイとなる表示装置をさらに備えていてもよい。このとき、判定部141は、判定部141の判別結果を表示装置に表示させる。これによって、透過音低減装置を、騒音が到来する方向を判別する装置として用いることができる。
なお、実施の形態4においては、どちらの方向から到来する騒音を低減するかは、判定部141によって自動的に決定されたが、他の実施の形態においては、判定部141は、騒音の到来方向、または、到来方向が変化したことをユーザに対して通知するようにしてもよい。そして、通知に応じて、どちらの方向から到来する騒音を低減するかについてユーザが決定する。このとき、透過音低減装置は、ユーザからの入力を受け付ける入力部を備える必要がある。さらに、このとき、制御部13は、入力部によって受け付けられたユーザの指示に従い、どちらの方向から到来する騒音を低減するように動作するかを決定する。なお、通知の具体的な方法としては、音によってユーザに通知してもよいし、上記の表示装置を透過音低減装置が備える場合には当該表示装置に表示を行ってもよい。
また、実施の形態4においても、実施の形態1と同様、複数の透過音低減装置を並べて接続することによって、透過音低減装置をより広い範囲の壁面に適用することができる。このとき、判定部141を複数設ける必要はなく、判定部141は1個のみ設ければよい。判定部141を1個にする場合、判定部141は、複数の透過音低減装置の制御部に対して同じ内容の入出力設定信号を出力する。
また、実施の形態4においては、実施の形態1に示す構成に判定部141をさらに加えた構成を説明したが、実施の形態2および3に示す構成に判定部141をさらに加えた構成としてもよい。このような構成とした場合も、判定部141の動作は、実施の形態4にて説明した動作と同様である。
なお、上記実施の形態1〜4においては、電気音響変換器の一例として圧電音響体を挙げて説明した。ただし、電気音響変換器は圧電音響体に限らず、振動面を有し、その振動面によって音を検出可能なものであればよい。また、電気音響変換器は、振動面の両側からの音を同じように検出し、振動面の両側に同じように音を放射できるように、振動面の両側に遮蔽物がない構成であることが好ましい。
以上のように、本発明に係る透過音低減装置は、小規模な構成を実現し、かつ、双方向から到来する騒音に容易に対応すること等を目的として利用することができる。
実施の形態1に係る透過音低減装置を示す図 実施の形態1において用いる圧電スピーカのマイクロホンとしての特性を示す図 圧電スピーカが発生する音圧の特性(発生音圧特性)を示す図 図1に示す制御部13を信号反転増幅器によって実現した場合における透過音低減装置を示す図 図4に示す透過音低減装置のP・C特性を示す図 図4に示す透過音低減装置の性能を評価するための評価装置を示す図 図6に示す評価装置を用いて、透過音低減装置61を駆動しない場合と駆動する場合とにおいてマイクロホン65によって検出された騒音の周波数特性を示す図 図1とは逆の方向から騒音が到来する環境下における透過音低減装置を示す図 実施の形態1に係る透過音低減装置を複数個接続した騒音低減パネルの断面図 実施の形態2に係る透過音低減装置の断面図 実施の形態3に係る透過音低減装置の断面図 図11に示す透過音低減装置の可動壁を移動させる様子を示す図 筐体等によって囲まれる空間の体積と圧電音響体の音圧周波数特性との関係を示す図 実施の形態4に係る透過音低減装置を示す図 図14に示す判定部の処理の流れを示すフローチャート 従来の透過音低減装置を示す図 図16に示すセル162の詳細な構成を示す図
符号の説明
11,12,101,102,103,104 圧電音響体
13,106,107 制御部
14 信号反転増幅器
92 支持部
105 接続部
111,112 筐体

Claims (11)

  1. 所定の方向から到来し、自機を透過して伝搬する騒音を低減する透過音低減装置であって、
    振動面が前記所定の方向を向いており、騒音を検出し、検出した騒音を電気信号に変換して出力する第1のスピーカと、
    前記第1のスピーカより前記所定の方向側に、その振動面が前記第1のスピーカの振動面と対向するよう配置され、前記第1のスピーカの振動面に対して音を放射する第2のスピーカと、
    前記第1のスピーカから出力される電気信号のレベルが減衰するように、当該電気信号に基づいて前記第2のスピーカの駆動を制御する第1の制御部とを備える、透過音低減装置。
  2. 前記所定の方向とは逆の方向から騒音が到来する場合、前記第2のスピーカは当該騒音を検出し、検出した音を電気信号に変換して出力し、
    前記第1の制御部は、前記第2のスピーカから出力される電気信号が減衰するように、当該電気信号に基づいて前記第1のスピーカの駆動を制御し、
    前記第1のスピーカは、前記第1の制御部による制御に従い前記第2のスピーカの振動面に対して音を放射する、請求項1に記載の透過音低減装置。
  3. 前記第1および第2のスピーカによる騒音の検出結果を入力し、当該検出結果に基づいて、騒音が前記所定の方向から到来するか、または前記逆の方向から到来するかを判定する判定部をさらに備え、
    前記第1の制御部は、前記判定部によって騒音が前記所定の方向から到来すると判定された場合、前記第1のスピーカの検出結果に基づいて前記第2のスピーカの駆動を制御し、前記判定部によって騒音が前記逆の方向から到来すると判定された場合、前記第2のスピーカの検出結果に基づいて前記第1のスピーカの駆動を制御する、請求項2に記載の透過音低減装置。
  4. 前記判定部は、所定の時間間隔で判定を行う、請求項3に記載の透過音低減装置。
  5. 前記第1のスピーカの振動面に接続され、当該振動面との間に、体積が可変である密閉空間を形成する第1の筐体と、
    前記第2のスピーカの振動面に接続され、当該振動面との間に、体積が可変である密閉空間を形成する第2の筐体とをさらに備える、請求項1に記載の透過音低減装置。
  6. 前記第1のスピーカは、前記第2のスピーカと同じ電気音響変換特性を有する、請求項1に記載の透過音低減装置。
  7. 前記第1の制御部は、信号反転増幅器によって構成される、請求項1に記載の透過音低減装置。
  8. 前記第1および第2のスピーカは、平板型の圧電音響体である、請求項1に記載の透過音低減装置。
  9. 前記第2のスピーカより前記所定の方向側に位置し、振動面が前記所定の方向を向いており、騒音を検出し、検出した騒音を電気信号に変換して出力する第3のスピーカと、
    前記第3のスピーカより前記所定の方向側に、その振動面が前記第3のスピーカの振動面と対向して配置され、前記第3のスピーカの振動面に対して音を放射する第4のスピーカと、
    前記第3のスピーカから出力される電気信号が減衰するように、当該電気信号に基づいて前記第4のスピーカの駆動を制御する第2の制御部と、
    前記第スピーカと前記第スピーカとの間に密閉空間を形成する接続部とをさらに備える、請求項1に記載の透過音低減装置。
  10. 前記第1および第2のスピーカの第1次共振周波数は同じ値に設定され、
    前記第3および第4のスピーカの第1次共振周波数は同じ値に設定され、
    前記第1および第2のスピーカの第1次共振周波数は、前記第3および第4のスピーカの第1次共振周波数と異なる値に設定される、請求項9に記載の透過音低減装置。
  11. 請求項1に記載の透過音低減装置によって構成される騒音制御パネルであって、
    複数の前記透過音低減装置と、
    各透過音低減装置の第1および第2のスピーカの外周を支持する支持部とを備え、
    前記各透過音低減装置は、前記支持部によって、前記第1および第2のスピーカの振動面と略平行な方向に並んで接続される、騒音制御パネル。
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