JP4492849B2 - 転写および炎症性疾患および感染症に対する感受性に影響するインターロイキン−1遺伝子座の機能的多型 - Google Patents

転写および炎症性疾患および感染症に対する感受性に影響するインターロイキン−1遺伝子座の機能的多型 Download PDF

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Description

本発明は、転写および炎症性疾患および感染症に対する感受性に影響するインターロイキン−1遺伝子座の機能的多型に関するものである。
IL−1遺伝子群は第2染色体の長腕上にあり(2q13)、少なくともIL−1α(IL−1A),IL−1β(IL−1B)、およびIL−1受容体拮抗因子(EL1RN)の遺伝子を、430Kbの領域内に含む(非特許文献1)。作用因子分子であるIL−lαおよびIL−1βは、潜在的な炎症促進活性を有し、多くの炎症カスケードの先頭に位置する。それらの作用は、しばしばIL−6およびIL−8といった他のサイトカインの誘導を経由して、白血球の活性化と損傷組織への動員、血管作用物質の局所産生、脳における発熱反応および肝急性期反応に繋がる。3種類のIL−1分子のすべてがタイプIおよびタイプIIのIL−1受容体に結合するが、タイプI受容体だけがシグナルを細胞の内部へ伝える。対照的に、タイプII受容体は細胞膜から脱落し、おとり受容体として作用する。受容体拮抗因子およびタイプII受容体は、したがって、共にその作用において抗炎症性である。
IL−1の不適切な産生は、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬、などを含む多数の自己免疫性および炎症性疾患の病理に中心的な役割を果たす。さらに、IL−1の産生速度には安定した個人差があり、この変動の一部はIL−1遺伝子の遺伝子座における遺伝的差異によって説明されうる。したがって、多くが多遺伝子成分を有する多因子性の病因を持つ、炎症性疾患に対する遺伝的感受性の一部を決定するためには、IL−1遺伝子は合理的な候補である。
IL−1遺伝子群の一部の対立遺伝子は特定の疾患状態に関連することが知られている。たとえば、IL−1RN(VNTR)対立遺伝子2は、骨粗鬆症(特許文献1)、糖尿病における腎症(非特許文献2)、円形脱毛症(非特許文献3;非特許文献4)、グレーブス病(非特許文献5)、全身性エリテマトーデス(非特許文献6)、萎縮性硬化症(非特許文献7)、および潰瘍性大腸炎(非特許文献8)に関連することが示されている。
さらに、マーカー−889からのIL−1A対立遺伝子2およびマーカー+3954からのIL−1B(TaqI)対立遺伝子2は歯周病に関連することが見出されている(特許文献2;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12)。マーカー−889からのIL−1A対立遺伝子2はまた、若年性慢性関節炎、特に慢性虹彩毛様体炎に関連することが見出されている(非特許文献13)。IL−1Bのマーカー+3954からのIL−1B(TaqI)対立遺伝子2はまた、乾癬およびDR3/4患者においてインシュリン依存性糖尿病に関連していることが見出されている(非特許文献14;非特許文献15)。加えて、IL−1RN(VNTR)対立遺伝子1は糖尿病性網膜症に関連していることが見出されている(特許文献3および特許文献4を参照)。さらにIL−1RN(VNTR)の対立遺伝子2は、北米および欧州のコーカサス系人口の潰瘍性大腸炎に関連していることが見出されている(非特許文献8)。興味深いことには、この関連は民族的に関係のあるドイツ・ロシア・ポーランド系(アシュケナージ系)ユダヤ人の集団内で特に強い(特許文献5)。さらに、IL−1多型の検出および炎症性疾患との関連のための幅広い方法および組成物は、特許文献6、特許文献1、特許文献7、特許文献8、特許文献9に記載されており、その内容は参照により開示に含まれる。さらに、IL−1遺伝子座に基づく炎症性疾患の遺伝子導入モデルは特許文献10に記載されており、その内容は参照により開示に含まれる。
遺伝性疾患のスクリーニングのための従来の方法は、異常な遺伝子産物(たとえば、鎌状赤血球貧血)または異常な表現型(たとえば、精神遅滞)の同定のいずれかに依存してきた。これらの方法は開始の遅い遺伝性疾患や、たとえば血管疾患といった識別の難しい表現型には有用性が限られている。容易で費用のかからない遺伝子スクリーニング法の開発に伴い、疾患を発症する傾向を示す多型を同定することが、その疾患が多遺伝子起源である場合でさえ現在は可能である。分子生物学的方法によってスクリーニングが可能な疾患の数は、多因子病の遺伝的基礎の理解の増大とともに増え続けている。
遺伝子スクリーニング(遺伝子型解析または分子スクリーニングともいう)は、患者が、疾患状態を引き起こすか、または疾患状態を引き起こす突然変異と「連鎖している」突然変異(または対立遺伝子または多型)を有するかどうか判定する試験と広く定義することができる。連鎖とは、ゲノム内で互いに近接しているDNA配列が一緒に遺伝する傾向を有する現象を言う。二つの配列は、同時に遺伝することの何らかの選択的利点のために連鎖しうる。より典型的には、しかし、二つの多型の間の領域内で減数分裂時の組み換え現象が起こることが相対的に稀であるため、二つの多型配列は同時に遺伝する。同時に遺伝する多型対立遺伝子は、任意のヒト集団においては、集団の任意の特定成員中には両方が同時に存在するかさもなければ全く存在しないかのいずれかである傾向があるため、互いに連鎖不平衡にあると言われている。実際、任意の染色体領域における複数の多型が互いに連鎖不均衡にあるのがわかった場合、それらは準安定的な遺伝的「ハプロタイプ」を定義する。対照的に、二つの多型遺伝子座の間で起こる組み換え現象は、それらを別個の相同染色体上に分離させる。二つの物理的に連鎖した多型間の減数分裂時の組み換えが十分頻繁に起こる場合、その二つの多型は独立して分離するように見え、連鎖平衡にあると言われる。
ある炎症性疾患とあるIL−1 多型との間の統計的相関は、その多型が直接その疾患を引き起こすことを必ずしも意味しない。むしろ、相関する多型は、ヒト進化の近い過去で生じ介在する染色体部分で組み換え現象を通じて平衡が達成されるには十分な時間がまだ経過していない、疾患の原因となる突然変異と連鎖している(すなわち連鎖不平衡にある)良性の対立遺伝子変異体である可能性がある。したがって、特定の疾患についての診断的および予知的検査の目的のためには、その疾患に関連する多型対立遺伝子の検出を、その多型が疾患の病因に直接関係しているかどうかを考慮することなく利用することができる。さらに、任意の良性の多型遺伝子座が、見かけ上疾患を引き起こす多型遺伝子座と連鎖不平衡にある場合、その良性の多型遺伝子座と連鎖不均衡にあるさらに別の多型遺伝子座もまた、その疾患を引き起こす多型遺伝子座と連鎖不平衡にある可能性がある。したがってこれらの他の多型遺伝子座もまた、疾患の原因となる多型遺伝子座が遺伝しているかどうかの可能性の予知または診断となる。実際、範囲の広いヒトハプロタイプ(連鎖した一連の多型マーカーの対立遺伝子の同時遺伝の典型的なパターンを表す)を、特定の疾患または症状と対応するヒトハプロタイプとの間に関連が一旦付けられれば、診断目的の標的とすることができる。このように、個人が特定の症状の疾患を発症する可能性の判定は、一個以上の疾患に関連する多型対立遺伝子(あるいは一個以上の疾患に関連するハプロタイプさえ)を特徴づけることによって、原因となる遺伝的変異を必ずしも決定または特徴づけることなく行うことができる。
にもかかわらず、特定の炎症性疾患または状態を発症する傾向と統計的に関係づけられてきたIL−1 ハプロタイプにおける一個以上の連鎖した対立遺伝子の検出は炎症性疾患を予測し治療するための有用な診断方法を提供するが、究極的には最も信頼性の高い 多型指標はの疾患の病因の基礎となる因子と最も強く関連している対立遺伝子(すなわち原因突然変異または「機能性対立遺伝子」)である。
たとえば、世界中の多数の研究は、組織中の3種類の化学物質がより重度の疾患または活発に進行している疾患と一貫して関連していることを示している。それらの化学物質は、インターロイキン−1(IL−1)、プロスタグランジン−E2(PGE2)およびコラーゲンと骨を破壊する酵素マトリクスメタロプロテイナーゼ(MMPs)である(非特許文献16;非特許文献17を参照)。これらの化学物質は、炎症性反応の重要な媒介因子であり、骨減少において中心的な役割を果たすように見える。IL−1はPGE2およびマトリクスメタロプロテイナーゼの両方の主要な調節因子である。近年の研究は(非特許文献18を参照)IL−1およびTNFαの歯肉組織における特異的阻害は、プラーク・コントロールの措置無しで、サル歯周病モデルにおいて骨減少の相当な部分を阻止したことを示した。組織および歯肉溝液(GCF)におけるIL−1濃度または細胞からのIL−1産生および骨減少およびより進んだまたは進行性の歯周炎との関連について多数の報告がある(たとえば非特許文献19;非特許文献20;非特許文献21;非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24;非特許文献25;非特許文献26を参照)。たとえば、近年の研究(非特許文献27を参照)は、IL−1の歯肉溝液濃度と比較した骨減少の重症度を見ており、歯肉溝液中のIL−1濃度がより高いことは相対的により多い骨減少に関連していることを示す。
近年、骨破壊におけるIL−1の決定的な役割がマウスモデルで示された (非特許文献28)。完全なIL−1系を有するマウスを卵巣切除して閉経期のエストロゲン欠乏を促進した場合、マウスは相当な量の骨密度を失った。IL−1系の阻害と共にマウスを作製した場合、エストロゲン欠乏の結果として骨減少は起こらなかった。このことは、少なくともマウスでは、エストロゲン欠乏後の骨減少にIL−1が必須であることを示唆する。別の研究でIL−1は歯周炎の必須な部分であることが見出された(非特許文献18を参照)。その研究者らはサルで歯周炎を作り出した。1群のサルを、IL−1および類似の化学物質であるTNFαを特異的に阻害する化学物質で処理した。IL−1およびTNFαを阻害されたサルは、重度の細菌曝露を受けたにもかかわらず、生じた骨減少はずっと少なかった。
一部の人は他の人よりも高レベルのIL−1を産生することが知られて数年になる。ある時点での高生産者は後日再検査した場合にも高生産者であり、IL−1の高生産は家族性である傾向がある。個人が細菌感染に曝露された場合にIL−1の高生産を引き起こす特定のIL−1遺伝子変異があるとは知られていない。コーカサス人の約30%がこれらの遺伝的因子を有する。
ある研究では、グラム陰性細菌由来の細菌産物とともに実験室で培養した末梢白血球は(非特許文献29;非特許文献14;非特許文献15;非特許文献30を参照)、その白血球がIL−1遺伝子中に特定の変異を有する人(「遺伝子型陽性者」)に由来する場合、有意に多いIL−1βを産生した。おそらく最も重要なことには、しかし、遺伝子型陽性者の歯周組織ではIL−1濃度はより高い。近年の研究では、IL−1αおよびIL−1β濃度は、遺伝子型陽性患者の歯肉溝液のほうが遺伝子型陰性患者のものよりも有意に高かった(非特許文献31;非特許文献32を参照).実際、その研究の1つでは(非特許文献31)、遺伝子型陽性者と遺伝子型陰性者の間の最大の違いは、ポケット深さが最小(<4mm)である部位で見つかった。
さらに、プロービング時の出血は炎症性反応の臨床指標と考えることができる。Langと共同研究者は(非特許文献33を参照)、臨床リコールプログラムにおいて320名を超える無作為に選択した患者を評価した。非喫煙者139名のうち、遺伝子型陽性患者は遺伝子型陰性者よりも、4回の維持受診の間に出血部位の増加がある可能性が有意に高かった。
要約すると、IL−1遺伝子型について陽性である患者は:a)白血球によって産生されたIL−1濃度の上昇、2)歯肉溝液中のIL−1の増加、および3)プロービング時の出血の増加を有する傾向がある。
診断的手法はすでに存在する疾患の一部の面を同定するのに用いられる。診断検査の例には、X線写真だけでなく活動性な骨減少の生化学マーカーも含まれる。特定の診断法の価値の評価は、疾患の変化が実際に存在する場合にそれをその診断法がどの程度良く検出するか、および実際には疾患が存在しない場合にその検査が「陽性」となるのをどの程度良く回避するかの評価に基づく。
医学および歯科学における予後診断は疾患の将来面についてのリスクを予測することを意図する。未来については事実は存在しないため、予後診断には生じる未来の事象の確率を含む。すべての患者は予測の概念をよく知っている。60%の降雨確率の天気予報は雨が降ることを保証しないが、その予報を考慮すると、大部分の人々はその日について別の衣服を選ぶ。同様に、抗コレステロールは将来に心臓発作を起こすことを保証しないが、それはある年齢以前でさえ急性冠動脈発作の可能性を倍以上にする。
IL−1遺伝子型について陽性である人は、汎化した重度の歯周炎にかかる可能性がより高い(seeたとえば非特許文献34;非特許文献9;非特許文献12;非特許文献35。近年の研究で、非特許文献35)喫煙歴が無いかまたは最小である被験者が歯周病およびIL−1遺伝子型について調べられた。多変数回帰モデルは、患者の年齢、以前の喫煙歴およびIL−1遺伝子型が、成人における歯周骨減少の重症度と有意に相関していることを示した。非喫煙者または元少量喫煙者(年間5箱未満)について、IL−1遺伝子型陽性者は中等度から重度の歯周病を有する可能性がIL−1遺伝子型陰性であった患者より3倍以上高かった。
歯周維持患者集団についての研究が(非特許文献36を参照)、歯周治療後5〜14年間追跡された患者を検討した。彼らは歯周維持期の間の患者において歯喪失を予測する因子があれば何かを定めることを試みた。彼らは2つだけの予測因子すなわちIL−1遺伝子型および大量喫煙が後の歯喪失と有意に関係したことを見出した。IL−1陽性遺伝子型は歯喪失を有する可能性が遺伝子型陰性者よりも2.7倍高く、大量喫煙者は歯喪失を有する可能性が遺伝子型陽性者よりも2.9倍高かった。遺伝子型陽性でありまた大量喫煙者の両方である患者は、歯喪失を有する可能性が遺伝子型陰性である非喫煙者より7.7倍高かった。予後診断を割り当てるのに従来用いられる臨床パラメータは、非喫煙者であるIL−1遺伝子型陰性患者についてのみ有用であることが分かった。
別の研究では、治療結果の予測因子が評価された。さらに、別の研究は(非特許文献37を参照)、破壊された歯周結合を再生するための組織誘導再生(GTR)手術後の歯周組織の長期安定性は遺伝子型陽性患者で有意に低下したことを示した(非特許文献37を参照)。
歯周炎といった慢性疾患には長期にわたる複雑な生物学的相互作用が関与することを強調することが重要である。IL−1遺伝子発現といくつかの一塩基多型との間の関係は、その複雑な生物学の特に重要な態様である。したがって、IL−1BまたはIL−1A(または他のIL−1遺伝子座遺伝子)の産生の増加を結果として生じる機能性多型は、歯周病ならびにIL−1βまたはIL−1αの産生増加に関連づけられてきた他の炎症性疾患および状態の予測および診断において有用である。たとえば、IL−1Bの産生増加は、慢性関節リウマチ、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、および移植片対宿主病の病因において役割を果たすことが示されている(総説についてはたとえば非特許文献38を参照)。さらに、IL−1遺伝子座遺伝子の発現低下に関連する機能性多型はまた、炎症性疾患においても役割を果たしうる。たとえば、IL−1RN(theIL−1遺伝子座受容体拮抗因子)の発現低下を引き起こす機能性多型はまた、インターロイキン濃度の上昇とその結果としての炎症性疾患を招きうる。
米国特許第5,698,399号明細書 米国特許第5,686,246号明細書 米国特許出願第09/037472号明細書 国際出願GB97/02790号明細書 国際公開第97/25445号パンフレット 米国特許第5,685,246号明細書 米国特許第6,140,047号明細書 米国特許第6,251,598号明細書 米国特許第6,268,142号明細書 米国特許第6,437,216号明細書 米国特許第4,968,607号明細書 米国特許第4,656,127号明細書 仏国特許発明第2,650,840号明細書 国際出願第91/02087号明細書 国際出願第92/15712号明細書 国際公開第94/16101号パンフレット 米国特許第5,459,039号明細書 米国特許第4,998,617号明細書 米国特許第5,593,826号明細書 国際公開第92/15694号パンフレット 米国特許第4,833,080号明細書 米国特許第4,683,195号明細書 米国特許第4,683,202号明細書 Nicklin, et al. (1994) Genomics, 19: 382−4 Blakemore, et al. (1996) Hum. Genet 97(3): 369−74 Cork, et al., (1995) J. Invest. Dermatol. 104(5 Supp.): 15S−16S Cork et al. (1996) Dermatol Clin 14: 671−8 Blakemore, et al. (1 995) J. Clin. Endocrinol. 80(1):111−5 Blakemore, et al. (1 994) Arthritis Rheum. 37: 1 380−85 Clay, et al. (1994) Hum. Genet 94: 407−10 Mansfield, et al. 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したがって、一個以上のIL−1遺伝子の転写または発現に影響を与えるIL−1遺伝子座の機能性多型を同定するのは有用である。
一つの態様では、本発明はインターロイキン、特にIL−1βの産生増加に関連している疾患または状態を有するかまたは発症する素因があるかどうかを判定する新規の方法およびキットを提供する。一実施形態では、その方法は被験者の核酸がIL−1B(−3737)多型対立遺伝子を含むかどうかを判定することから成る。好ましい一実施形態では、検出されるIL−1B(3737)対立遺伝子は、IL−1Bの発現増加に関連しおよび炎症性疾患に関連しているタイプ1対立遺伝子であるが、しかしタイプ2対立遺伝子の検出は、特にそれが被験者の一方または両方の染色体上でのタイプ1対立遺伝子の非存在を確認するので有用である。
特に好ましい一実施形態では、本発明はヒトIL−1B(−3737)多型遺伝子座からゲノム配列の約20個の連続したヌクレオチドを含む単離核酸を提供する。好ましい核酸は、−3737 IL−1B対立遺伝子1配列:TCTAGACCAGGGAGGAGAATGGAATGTCCTTGGACTCTGCA−TGTに相当する配列;ならびに−3737 IL−1B対立遺伝子2配列:TCTAGACCAGGGAGGAGAATGGAATGTCCTTGGACTCTGCATGTに相当する配列を含む。
別の一実施形態では、本発明はヒトIL−1B(−1469)多型遺伝子座からゲノム配列の約20個の連続したヌクレオチドを含む単離核酸を提供する。好ましい核酸は、−1469 IL−1B対立遺伝子1配列:ACAGAGGCTCACTCCCTTGATAATGCAGAGCGAGCACGATACC−TGGに相当する配列;ならびに−1469 IL−1B対立遺伝子2配列:ACAGAGGCTCACTCCCTTGATAATGCAGAGCGAGCACGATACCTGGに相当する配列を含む。
さらに別の一実施形態では、本発明はヒトIL−1B(999)多型遺伝子座からゲノム配列の約20個の連続したヌクレオチドを含む単離核酸を提供する。好ましい核酸は、−999 IL−1B対立遺伝子1配列:GATCGTGCCACTgcACTCCAGCCTGGGCGACAGGTGAGACTCTGTCTCに相当する配列;ならびに−999 IL−1B対立遺伝子2配列:GATCGTGCCACTgcACTCCAGCCTGGGCGACAGGTGAGACTCTGTCTCに相当する配列を含む。
別の実施形態では、本発明の核酸は、上記のいずれかと相補的である配列、ならびに−3737、−1469または−999 IL−1B多型遺伝子座での対立遺伝子変異体に対応する3'末端を持つもののような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを含む。特に好ましい核酸は、上記の配列の一つならびに検出可能な標識を含むプローブである。
特に好ましい別の一実施形態では、本発明はヒト被験者において炎症性疾患または状態を発症するより高い可能性を予測または診断する方法を提供する。本発明のこの態様では、炎症性疾患はインターロイキン、特にIL−1Bの発現増加に関連しているもので、方法は、ヒト被験者から核酸検体を得て分析し−3737 IL−1B対立遺伝子をタイプ1またはタイプ2プロモーター配列と同定することを要する。タイプ1IL−1Bプロモーター配列の存在は、炎症性疾患を発症する高い可能性を診断する。本発明のこの態様は、インターロイキン産生、特にIL−IB産生の増大に関連している、歯周病およびアルツハイマー病といった炎症性疾患または状態を診断するのに特に有用である。
本発明の方法によって診断または予測できるさらに他の炎症性疾患および状態は含む。「IL−1多型に関連する疾患および状態」の語句は、IL−1複合体内の一個以上の対立遺伝子の同定に基づいて被験者について示すことのできるさまざまな疾患または状態、それに対する感受性をいう。例は以下を含む:下記を含む炎症性または変性疾患:全身性炎症反応(SIRS);アルツハイマー病(および慢性神経炎、グリア活性化;小グリア増加;老人斑形成;および治療に対する反応:を含む関連する状態および症状);筋萎縮性側索硬化症(ALS)、関節炎(および急性関節炎、抗原誘導性関節炎、慢性リンパ球性甲状腺炎に伴う関節炎、コラーゲン誘導性関節炎、若年性慢性関節炎;若年性慢性関節リウマチ、変形性関節炎、予後診断および連鎖球菌誘導性関節炎:を含む関連する状態および症状)、喘息(および気管支喘息;慢性閉塞性気道疾患;慢性閉塞性肺疾患、若年性喘息および職業性喘息:を含む関連する状態および症状);心臓血管疾患(およびアテローム性動脈硬化;自己免疫性心筋炎、慢性心低酸素症、鬱血性心不全、冠動脈疾患、心筋症、そして大動脈平滑筋細胞活性化;心細胞アポトーシス;および心臓細胞機能の免疫調節:を含む心臓細胞機能異常:を含む関連する状態および症状;糖尿病および自己免疫性糖尿病,インシュリン依存性(1型)糖尿病、糖尿病性、糖尿病性網膜症、および糖尿病性腎症を含む関連する状態および症状);消化管炎症(および腹腔疾患、関連する骨減少症、慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患および潰瘍性大腸炎を含む関連する状態および症状);胃潰瘍;肝炎、コレステロール胆石および肝線維症、HIV感染(および変性反応、神経変性反応、およびHIV関連ホジキン病を含む関連する状態および症状)、川崎病(および皮膚粘膜リンパ節症候群、頚部リンパ節症、冠状動脈病変、浮腫、発熱、白血球増加、軽度の貧血、皮膚の剥離、発疹、結膜の赤み、血小板増多症を含む関連する疾患および状態;多発性硬化症、腎症(および糖尿病性腎症、末期腎疾患、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、血液透析生存および腎虚血再灌流傷害を含む関連する疾患および状態)、神経変性疾患(および急性神経変性、加齢および神経変性疾患におけるIL−1誘導、視床下部神経細胞のIL−1誘導性可塑性および慢性ストレス反応亢進を含む関連する疾患および状態)、眼疾患(および糖尿病性網膜症、グレーブス眼症、およびブドウ膜炎を含む関連する疾患および状態、骨粗鬆症(および歯槽、大腿骨、橈骨、脊椎または手首の骨減少または骨折発生率、閉経後の骨減少、質量、骨折発生率または骨減少速度を含む関連する疾患および状態)、中耳炎(成人または小児)、膵炎または膵小葉炎、歯周病(および成人、早期発症および糖尿病性を含む関連する疾患および状態);慢性肺疾患、慢性副鼻腔炎,肺硝子膜症、低酸素症およびSIDSにおける肺疾患を含む肺疾患;再狭窄;慢性関節リウマチ、リウマチ性アショフ体、リウマチ性疾患およびリウマチ性心筋炎を含むリウマチ;慢性リンパ球性甲状腺炎を含む甲状腺炎;慢性前立腺炎、慢性前立腺関連疼痛症候群および尿路結石症を含む尿路感染。自己免疫疾患たとえば円形脱毛症、自己免疫性心筋炎、グレーブス病、グレーブス眼症、萎縮性硬化症、多発性硬化症、乾癬、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、甲状腺疾患(たとえば甲状腺腫およびリンパ腫性甲状腺腫(橋本甲状腺炎、リンパ節様甲状腺腫)、睡眠障害および慢性疲労症候群および肥満(非糖尿病性または糖尿病に関連する)といった免疫疾患。細菌、ウイルス(たとえばサイトメガロウイルス、脳炎、エプスタイン・バーウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス)または原虫(たとえば、熱帯熱マラリア原虫、トリパノソーマ)によって引き起こされる、感染症たとえばリーシュマニア症、ハンセン病、ライム病、ライム心炎、マラリア、脳マラリア、髄膜炎、マラリアに伴う尿細管間質性腎炎)に対する抵抗性。脳外傷(脳卒中および虚血、脳炎、脳症、てんかん、周産期脳傷害、長期の発熱性発作、SIDSおよびくも膜下出血を含む)、低出生体重(たとえば脳性麻痺)、肺傷害(急性出血性肺傷害、グッドパスチャー症候群、急性虚血再潅流)、心筋機能不全、職業的または環境的汚染物質によって引き起こされたもの(たとえば有毒油症候群珪肺症に対する感受性)、放射線外傷、および創傷治癒反応の効率性(たとえばやけどすなわち熱傷、慢性創傷、外科創傷および脊髄損傷)を含む外傷に対する反応。乳がんに伴う溶骨性転移、悪液質、結腸直腸がん、過剰増殖性疾患、ホジキン病、白血病、リンパ腫、代謝疾患および腫瘍、転移、骨髄腫、および各種のがん(乳房、前立腺、卵巣、大腸、肺、などを含む)、無食欲症および悪液質を含む、新生物に対する感受性。受胎能/妊孕力、妊娠の可能性、切迫早産の発生率、低体重児早産、脳性麻痺、敗血症、低チロキシン血症、酸素依存、頭蓋異常、を含む出生前および新生児期合併症、早発更年期を含むホルモン調節。移植に対する被験者の反応(拒絶または受容)、急性期反応(たとえば発熱性反応)、一般炎症性反応、急性呼吸窮迫反応、急性全身性炎症性反応、創傷治癒、癒着、免疫炎症性反応、神経内分泌反応、発熱の発症および抵抗性、急性期反応、ストレス反応、疾患感受性、反復動作ストレス、テニス肘、および疼痛管理および反応。
本発明の別の一面は、ヒト被験者がある治療薬を用いて効果的に治療されうるかどうかを、そのヒト被験者の核酸の検体を検査して−3737 IL−1B対立遺伝子をタイプ1またはタイプ2プロモーター配列と同定することによって割り出す方法を提供する。本発明のこの態様の好ましい実施形態では、タイプ1IL−1Bプロモーター配列の存在は、そのヒト被験者がその治療薬で効果的に治療されうることを示す。
別の一実施形態では、IL−1B(−3737)タイプ2対立遺伝子はIL−1炎症性ハプロタイプの構成成分であり、その存在はIL−1β発現増加の指標となる(たとえばIL−1(3344146))。本発明のこの態様の好ましい実施形態では、本発明は−3737 IL−1Bタイプ1対立遺伝子に関連するIL−1ハプロタイプの存在を検出することによってインターロイキン産生の増大に関連する炎症性疾患または状態を発症する可能性の増大を診断するかまたは予測するための方法を提供し、ここで−3737 IL−1Bタイプ1対立遺伝子に関連するIL−1ハプロタイプの存在は炎症性疾患または状態を発症する可能性の増大を診断する。
IL−1炎症性ハプロタイプを構成する対立遺伝子は、1)核酸検体と、その対立遺伝子とハイブリダイズすることができるプローブとの間のハイブリダイゼーション反応を行うこと;2)その対立遺伝子の少なくとも一部を配列決定すること;または3)当該対立遺伝子またはその断片(たとえば、エンドヌクレアーゼ消化によって生じた断片)の電気泳動移動度を測定すること:を含むさまざまな利用可能な方法のうち任意のもので検出することができる。対立遺伝子は随意的に、検出段階の実施の前に、増幅段階に供することができる。好ましい増幅方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR),リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、クローニング、および上記の変形(たとえばRT−PCRおよび対立遺伝子特異的増幅)より成る群から選択される。増幅に必要なオリゴヌクレオチドは、たとえば、目的のマーカーに隣接するか(PCR増幅に必要であるように)または直接そのマーカーと重なり合うか(ASOハイブリダイゼーションのように)のIL−1遺伝子遺伝子座内から選択することができる。特に好ましい一実施形態では、検体は、その血管疾患関連対立遺伝子とセンスまたはアンチセンス配列の5'および3'でハイブリダイズする一組のプライマーとハイブリダイズされ、PCR増幅に供される。
IL−1炎症性ハプロタイプを構成する対立遺伝子は、たとえばそのDNAにコードされるタンパク質産物を分析することによって、間接的に検出することもできる。たとえば、問題のマーカーが結果として突然変異タンパク質の翻訳を生じる場合、そのタンパク質はさまざまなタンパク質検出方法のうち任意のものによって検出することができる。そのような方法は、免疫検出、およびそのタンパク質が短縮、伸長、折りたたみの変化または翻訳後修飾の変化によって見かけの分子量に変化を有する場合、サイズ分画のような生化学試験を含む。
別の一態様では、本発明は上記の分析を実施するためのキットを示す。そのキットは、核酸検体回収手段と、被験者がIL−1炎症性ハプロタイプを構成する少なくとも1個の対立遺伝子を有するかどうかを判定するための手段を含みうる。そのキットはまた、陽性または陰性のいずれかの対照検体、または標準および/または結果を評価するためのアルゴリズム装置、および:DNA増幅試薬、DNAポリメラーゼ、核酸増幅試薬、制限酵素、緩衝液、核酸検体採取装置、DNA精製装置、デオキシヌクレオチド、オリゴヌクレオチド(たとえばプローブおよびプライマー)などを含む追加の試薬および構成成分を含むことができる。
上記の通り、対照は陽性または陰性対照であることができる。さらに、対照検体は、使用した対立遺伝子検出技術の陽性(または陰性)産物を含むことができる。たとえば、対立遺伝子検出技術がPCR増幅であって、その後にサイズ分画を行う場合、対照検体は適当な大きさのDNA断片を含むことができる。同様に、対立遺伝子検出技術が変異タンパク質の検出を含む場合、対照検体は変異タンパク質の試料を含むことができる。しかし、対照検体は試験対象の物質を含むことが好ましい。たとえば、対照は、ゲノムDNAまたはIL−1遺伝子群のクローンされた一部の試料であることができる。好ましくは、しかし、試験対象の検体がゲノムDNAである場合には、対照検体は高度に精製されたゲノムDNAの試料である。
前記のキット中に存在するオリゴヌクレオチドは、目的の領域の増幅、または問題のマーカーへの直接な対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ハイブリダイゼーションに用いることができる。したがって、そのオリゴヌクレオチドは目的のマーカーに隣接する(PCR増幅に必要であるように)かまたはそのマーカーと直接重なり合う(ASOハイブリダイゼーションでのように)ことができる。
ここに記載の分析およびキットを用いて得られた情報(単独で、または、IL−1炎症性ハプロタイプに関連する疾患または状態に寄与する別の遺伝的欠陥または環境因子に関する情報と組み合わせて)は、無症候の被験者が特定の疾患または状態を有するかまたは発症する可能性があるかどうかを判定するのに有用である。さらに、その情報は、疾患または状態の発症または進行を防ぐための、より個人に合わせた手法を可能にする。たとえば、この情報は臨床医が疾患または状態の分子的基礎に対処する療法をより効果的に処方することができるようにする。

さらなる一態様では、本発明は、被験者に本発明の適当な治療薬を投与することによって、被験者においてIL−1炎症性ハプロタイプに関連する疾患または状態を治療するかまたはその発症を防ぐ方法を提示する。さらに別の一態様では、本発明は、IL−1炎症性ハプロタイプに関連する疾患または状態を治療するかまたはその発症を防ぐための治療薬を同定するために、被験化合物をスクリーニングするin vitroまたはin vivo分析法を提供する。一実施形態では、その分析法は、適当なプロモーターに調節可能に結合した原因突然変異を導入した細胞を被験化合物と接触させることと、被験化合物の存在下および非存在下で細胞におけるタンパク質の発現レベルを測定することを含む。好ましい一実施形態では、原因突然変異は結果としてIL−1受容体拮抗因子の産生減少を生じ、そして被験化合物の存在下でのIL−1受容体拮抗因子の産生増加はその化合物がIL−1受容体拮抗因子活性の作用因子であることを示す。別の好ましい実施形態では、原因突然変異は結果としてIL−1αまたはIL−1βの産生増加を生じ、そして被験化合物の存在下でのIL−1αまたはIL−1βの産生減少はその化合物がIL−1αまたはIL−1β活性の拮抗因子であることを示す。別の一実施形態では、本発明は遺伝子導入非ヒト動物および、IL−1αまたはIL−1β活性の拮抗因子またはIL−1Ra活性の作用因子の同定におけるそれらの用途を示す。
別の一実施形態では、本発明は、ヒト被験者からの核酸試料中にIL−1Bの、下記の多型のうちいずれかを検出することによって、ヒト被験者においてIL1B発現変化に関連する炎症性疾患または状態を発症する可能性を予測するための方法を提供する:IL−1B4対立遺伝子1(TGATAGGGTC)、IL−1B3対立遺伝子1(TCATAGGGTC)、IL−1B7対立遺伝子−1(TGCATGGGTC)、IL−1B15対立遺伝子1(TGCATAGGGT)、IL−1B4対立遺伝子2(TGATAGGGTC)、IL−1B3対立遺伝子2(TCATAGGGTC)、IL−1B7対立遺伝子−2(TGCATGGGTC)、およびIL−1B15対立遺伝子2(TGCATAGGGT)。本発明にはまた、IL−1B4対立遺伝子1(TGATAGGGTC)、IL−1B3対立遺伝子1(TCATAGGGTC)、IL−1B7対立遺伝子−1(TGCATGGGTC)、EL−1B15対立遺伝子1(TGCATAGGGT)、IL−1B4対立遺伝子2(TGATAGGGTC)、IL−1B3対立遺伝子2(TCATAGGGTC)、IL−1B7対立遺伝子−2(TGCATGGGTC)、またはIL−1B15対立遺伝子2(TGCATAGGGT)といったIL−1B SNPを含む単離されたヌクレオチドのような、IL−1炎症性遺伝子型の検出のための核酸が含まれる。
特に好ましい一態様では、本発明は、IL−1 SNPを同定し、IL−1遺伝子発現またはIL−1遺伝子転写因子の結合に対するそのSNPの影響を機能的に評価することによって、IL−1遺伝子発現変化に伴う機能性多型を検出する方法を提供する。この方法によって、そのSNPがIL−1遺伝子発現変化またはIL−1遺伝子転写因子の結合の変化を伴うならば、そのSNPはIL−1遺伝子発現変化を伴う機能性多型であり、したがって、炎症性疾患または状態を発症する可能性の変化を伴う。
本発明の他の実施形態および利点は下記の詳細な説明および請求項に示す。
1.概要
本発明は、IL−1β産生速度の変化を伴う、IL−1B遺伝子における多型の発見に関する。この多型での遺伝子型の確認は、たとえば歯周病および他の炎症性疾患、特にたとえばアルツハイマー病(非特許文献39;および非特許文献40を参照)といった、IL−1産生が病因に寄与する疾患に対する感受性についての有用な遺伝子検査を提供する。
2.定義
便宜上、本明細書、実施例、および付属の請求項中で用いられる一部の用語および語句の意味を下記に示す。
「対立遺伝子」の語は異なる多型領域にみられる異なる配列変異体をいう。たとえば、IL−1RN(VNTR)は少なくとも5つの異なる対立遺伝子を有する。配列変異体は一塩基または複数塩基の変化である可能性があり、制限なく挿入、欠失、または置換を含み、あるいは反復配列数変異でありうる。
「対立遺伝子パターン」の語は一個以上の多型領域の一個の対立遺伝子または複数個の対立遺伝子の特定をいう。たとえば、たとえば、対立遺伝子パターンはIL−1RN(VNTR)対立遺伝子1については多型部位の1個の対立遺伝子から構成されることが可能であり、IL−1RN(VNTR)対立遺伝子1はIL−1RN遺伝子座のVNTRに少なくとも1コピーのIL−1RN対立遺伝子1を有する対立遺伝子パターンである。あるいは、対立遺伝子パターンは1個の多型部位での同型接合または異型接合の状態のいずれかから構成されうる。たとえば、IL1−RN(VNTR)対立遺伝子2,2は、IL−1RNのVNTRマーカーに第二の対立遺伝子の二個のコピーが存在し、IL−RN(VNTR)対立遺伝子2の同型接合状態に相当する対立遺伝子パターンである。あるいは、対立遺伝子パターンは一より多い多型部位での対立遺伝子の特定から構成されうる。
ここで用いられる「抗体」の語はIL−1ポリペプチドと特異的に反応する抗体全体またはその結合断片を含む結合物質をいうことを意図する。抗体は従来の方法を用いて断片化することができ、断片は抗体全体について上述したのと同様の方法で有用性についてスクリーニングすることができる。たとえば、F(ab)2断片は抗体をペプシンで処理することによって生じることができる。結果として得られるF(ab)2 断片はジスルフィド架橋を還元しFab断片を生じるよう処理することができる。本発明の抗体はさらに、抗体の少なくとも一つのCDR領域によって与えられるIL−1Bポリペプチドへの親和性を有する二重特異性、一本鎖、キメラおよびヒト化分子を含むことが意図される。
「生物学的活性」または「生物活性」または「活性」または「生物学的機能」は、互換的に用いられ、ここでの目的ではIL−1ポリペプチド(天然または変性した立体構造のいずれかで)、またはその任意の部分配列によって直接的または間接的に実行される作用体または抗原機能を意味する。生物学的活性はたとえばIL−1受容体といった標的ペプチドへの結合を含む。IL−1生物活性はIL−1ポリペプチドに直接影響を与えることによって調節が可能である。あるいは、IL−1生物活性はたとえばIL−1遺伝子の発現を調節することにより、IL−1ポリペプチドの濃度を調節することによって調節が可能である。
ここで用いられる「IL−1ポリペプチドの生物活性断片」の語は、断片が野生型IL−1ポリペプチドの活性を特異的に模倣または拮抗する完全長IL−1ポリペプチドの断片をいう。生物活性断片は好ましくはインターロイキン受容体と相互作用することのできる断片である。
「異常な活性」の語は、たとえばIL−1といったポリペプチドの活性に当てはめるように、野生型または天然ポリペプチドの活性と異なるかまたは健常者のポリペプチドの活性と異なる活性をいう。ポリペプチドの活性は天然の対応物の活性より強いために異常でありうる。あるいは、活性は天然の対応物の活性と比較して弱いかまたは存在しないために異常でありうる。異常な活性はまた活性における変化でありうる。たとえば異常なポリペプチドは別の標的ペプチドと相互作用しうる。IL−1遺伝子座ポリペプチドをコードするIL−1遺伝子座遺伝子の過剰発現または低発現が原因で細胞は異常なIL−1活性を有しうる。
「細胞」、「宿主細胞」または「組み換え宿主細胞」はここでは相互に交換可能に使用される語で特定の対象細胞だけでなくそのような細胞の子孫または見込まれる子孫もいう。突然変異または環境的影響が原因で、ある種の修飾が後続の世代に起こりうるため、そのような子孫は実際親細胞と同一ではない可能性があるが、ここで用いられる語の範囲になお含まれる。
「キメラ」、「モザイク」、「キメラ哺乳類」などは、そのゲノムを含む細胞の少なくとも一部にノックアウトまたはノックイン構築体を持つ遺伝子導入哺乳類をいう。
「対照」または「対照試料」の語は使用した検出方法に適当な任意の試料をいう。対照試料は使用した対立遺伝子検出方法の産物または試験する物質を含みうる。さらに、対照は陽性対照または陰性対照でありうる。一例として、対立遺伝子検出方法がPCR増幅であって、続いてサイズ分画を行う場合、対照試料は適当なサイズのDNA断片を含みうる。同様に、対立遺伝子検出方法が変異タンパク質の検出を要する場合、対照試料は変異タンパク質の試料を含みうる。しかし、対照試料は試験する物質を含むことが好ましい。たとえば、対照はゲノムDNAまたはIL−1遺伝子群のクローンした一部の試料であることができる。しかし、試験する試料がゲノムDNAである場合、対照試料は好ましくはゲノムDNAの高度に精製された試料である。
「IL−1 多型に関連する疾患および状態」の語句は、IL−1複合体内の一個以上の対立遺伝子の同定に基づいて被験者について示すことのできるさまざまな疾患または状態、それに対する感受性をいう。例は以下を含む: 下記を含む炎症性または変性疾患:全身性炎症反応(SIRS);アルツハイマー病(および慢性神経炎、グリア活性化;小グリア増加;老人斑形成;および治療に対する反応:を含む関連する状態および症状);筋萎縮性側索硬化症(ALS)、関節炎(および急性関節炎、抗原誘導性関節炎、慢性リンパ球性甲状腺炎に伴う関節炎、コラーゲン誘導性関節炎、若年性慢性関節炎;若年性慢性関節リウマチ、変形性関節炎、予後診断および連鎖球菌誘導性関節炎:を含む関連する状態および症状)、喘息(および気管支喘息;慢性閉塞性気道疾患;慢性閉塞性肺疾患、若年性喘息および職業性喘息:を含む関連する状態および症状);心臓血管疾患(およびアテローム性動脈硬化;自己免疫性心筋炎、慢性心低酸素症、鬱血性心不全、冠動脈疾患、心筋症、そして大動脈平滑筋細胞活性化;心細胞アポトーシス;および心臓細胞機能の免疫調節:を含む心臓細胞機能異常:を含む関連する状態および症状; 糖尿病および自己免疫性糖尿病,インシュリン依存性(1型)糖尿病、糖尿病性歯周炎、糖尿病性網膜症、および糖尿病性腎症を含む関連する状態および症状);消化管炎症(および腹腔疾患、関連する骨減少症、慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患および潰瘍性大腸炎を含む関連する状態および症状); 胃潰瘍;肝炎、コレステロール胆石および肝線維症、HIV感染(および変性反応、神経変性反応、およびHIV関連ホジキン病を含む関連する状態および症状)、川崎病(および皮膚粘膜リンパ節症候群、頚部リンパ節症、冠状動脈病変、浮腫、発熱、白血球増加、軽度の貧血、皮膚の剥離、発疹、結膜の赤み、血小板増多症を含む関連する疾患および状態;多発性硬化症、腎症(および糖尿病性腎症、末期腎疾患、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、血液透析生存および腎虚血再灌流傷害を含む関連する疾患および状態)、神経変性疾患(および急性神経変性、加齢および神経変性疾患におけるIL−1誘導、視床下部神経細胞のIL−1誘導性可塑性および慢性ストレス反応亢進を含む関連する疾患および状態)、眼疾患(および糖尿病性網膜症、グレーブス眼症、およびブドウ膜炎を含む関連する疾患および状態、骨粗鬆症((および歯槽、大腿骨、橈骨、脊椎または手首の骨減少または骨折発生率、閉経後の骨減少、質量、骨折発生率または骨減少速度を含む関連する疾患および状態)、中耳炎(成人または小児)、膵炎または膵小葉炎、歯周病(および成人、早期発症および糖尿病性を含む関連する疾患および状態);慢性肺疾患、慢性副鼻腔炎,肺硝子膜症、低酸素症およびSIDSにおける肺疾患を含む肺疾患;再狭窄;慢性関節リウマチ、リウマチ性アショフ体、リウマチ性疾患およびリウマチ性心筋炎を含むリウマチ;慢性リンパ球性甲状腺炎を含む甲状腺炎;慢性前立腺炎、慢性前立腺関連疼痛症候群および尿路結石症を含む尿路感染。自己免疫疾患たとえば円形脱毛症、自己免疫性心筋炎、グレーブス病、グレーブス眼症、萎縮性硬化症、多発性硬化症、乾癬、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、甲状腺疾患(たとえば甲状腺腫およびリンパ腫性甲状腺腫(橋本甲状腺炎、リンパ節様甲状腺腫)、睡眠障害および慢性疲労症候群および肥満(非糖尿病性または糖尿病に関連する)といった免疫疾患。細菌、ウイルス(たとえばサイトメガロウイルス、脳炎、エプスタイン・バーウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、インフルエンザウイルス)または原虫(たとえば、熱帯熱マラリア原虫、トリパノソーマ)によって引き起こされる、感染症たとえばリーシュマニア症、ハンセン病、ライム病、ライム心炎、マラリア、脳マラリア、髄膜炎、マラリアに伴う尿細管間質性腎炎)に対する抵抗性。脳外傷(脳卒中および虚血、脳炎、脳症、てんかん、周産期脳傷害、長期の発熱性発作、SIDSおよびくも膜下出血を含む)、低出生体重(たとえば脳性麻痺)、肺傷害(急性出血性肺傷害、グッドパスチャー症候群、急性虚血再潅流)、心筋機能不全、職業的または環境的汚染物質によって引き起こされたもの(たとえば有毒油症候群珪肺症に対する感受性)、放射線外傷、および創傷治癒反応の効率性(たとえばやけどすなわち熱傷、慢性創傷、外科創傷および脊髄損傷)を含む外傷に対する反応。乳がんに伴う溶骨性転移、悪液質、結腸直腸がん、過剰増殖性疾患、ホジキン病、白血病、リンパ腫、代謝疾患および腫瘍、転移、骨髄腫、および各種のがん(乳房、前立腺、卵巣、大腸、肺、などを含む)、無食欲症および悪液質を含む、新生物に対する感受性。受胎能/妊孕力、妊娠の可能性、切迫早産の発生率、低体重児早産、脳性麻痺、敗血症、低チロキシン血症、酸素依存、頭蓋異常、を含む出生前および新生児期合併症、早発更年期を含むホルモン調節。移植に対する被験者の反応(拒絶または受容)、急性期反応(たとえば発熱性反応)、一般炎症性反応、急性呼吸窮迫反応、急性全身性炎症性反応、創傷治癒、癒着、免疫炎症性反応、神経内分泌反応、発熱の発症および抵抗性、急性期反応、ストレス反応、疾患感受性、反復動作ストレス、テニス肘、および疼痛管理および反応。
「遺伝子の破壊」および「標的破壊」の語句または何らかの同様の語句は、当該遺伝子の野生型コピーと比較して細胞中のその遺伝子の発現を妨げるための天然DNA配列の部位特異的割り込みをいう。割り込みは当該遺伝子の欠失、挿入または修飾、またはその任意の組み合わせによって生じうる。
ここで用いられる「ハプロタイプ」の語は、統計的に有意な水準で(Pcorr<0.05)グループとして一緒に遺伝する(連鎖不平衡にある)対立遺伝子の組をいうことを意図する。ここで用いられるような、「IL−1ハプロタイプ」の語はIL−1遺伝子座にあるハプロタイプをいう。IL−1炎症性または炎症促進性ハプロタイプとは、作用因子活性の上昇および/または拮抗因子活性の低下の指標となるハプロタイプをいう。
「相同性」または「同一性」または「類似性」は、2つのペプチドの間または2つの核酸分子の間の配列類似性をいう。相同性と同一性はそれぞれ、比較の目的で並べる各配列中の位置を比較することによって判定することができる。比較された配列中の同等の位置が同じ塩基またはアミノ酸で占められているならば、それらの分子はその位置で同一である;同等の部位が同じかまたは類似のアミノ酸残基(たとえば、立体的および/または電気的性質が類似している)で占められているならば、それらの分子はその位置で相同(類似)であるということができる。相同性/類似性または同一性の割合としての発現とは、比較された配列に共通の位置での同一または類似のアミノ酸の数の関数をいう。「無関係の」または「非相同である」配列は共有する同一性が40%未満であるが、本発明の配列については好ましくは25%同一性が25%未満である。
「相同性」の語は、類似の機能またはモチーフを有する遺伝子またはタンパク質を同定するのに用いられる配列類似性の数学に基づく比較をいう。本発明の核酸およびタンパク質配列を公開データベースに対する検索を実施するための「問い合わせ配列」として用いて、たとえば、他のファミリーメンバー、関係する配列またはホモログを同定するることができる。そのような検索は非特許文献41のNBLASTおよびXBLASTプログラム(version 2.0)を用いて行うことができる。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラムを用いて、score=100、wordlength=12で行い、本発明の核酸分子と相同であるヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラムを用いて、score=50、wordlength=3で行い、本発明のタンパク質分子と相同であるアミノ酸配列を得ることができる。比較用のギャップ配列を得るためには、非特許文献42に記載されたようにGapped BLASTを利用することができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合は、各プログラム (たとえば、XBLASTおよびBLAST) のデフォルトパラメータを用いることができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照のこと。
ここで用いられる「IL−1遺伝子群」および「IL−1遺伝子座」の語は、第2染色体の2q13領域かまたはその付近のすべての核酸を含み、少なくともIL−1A、IL−1BおよびEL−1RN遺伝子そして結合する他の任意の配列を含む(非特許文献1)。ここで用いられる「IL−1A」、「IL−1B」、および「IL−1RN」の語は、それぞれIL−1、IL−1、およびIL−1受容体拮抗因子をコードする遺伝子をいう。IL−1A、IL−1B、およびIL−1RNの遺伝子登録番号はそれぞれX03833、X04500、およびX64532である。
「IL−1機能性突然変異」または「原因突然変異」とは、結果として表現型変化を生じる(すなわちIL−1遺伝子またはタンパク質の機能に影響する)IL−1遺伝子群内の突然変異をいう。例は下記を含む:IL−1A(+4845)対立遺伝子2、IL−1B(+3954)対立遺伝子2、IL−1B(+6912)対立遺伝子2およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子2。
「IL−1X(Z)対立遺伝子Y」は、遺伝子XのIL−1遺伝子座多型部位で生じる、Yで表す特定の対立遺伝子型をいい、XはIL−1A、B、またはRNまたはIL−1遺伝子座にある他の遺伝子であり、ヌクレオチドZまたはその近傍に位置し、ヌクレオチドZは主要な転写開始位置と相対的に番号を付与され、その主要な転写開始位置は当該の特定IL−1遺伝子Xのヌクレオチド+1である。さらにここで用いられる通り、「IL−1X対立遺伝子(Z)」の語は、ヌクレオチドZまたはその近傍に位置する遺伝子X中のIL−1多型部位のすべての対立遺伝子をいう。たとえば、たとえば、「IL−1RN(+2018)対立遺伝子」の語は、マーカー+2018に位置するIL−1RN遺伝子の選択的な種類をいう。「IL−1RN(+2018)対立遺伝子1」は、シトシン(C)をセンス鎖の+2018位に含む種類のIL−1RN遺伝子をいう。非特許文献43。「IL−1RN(+2018)対立遺伝子2」は、チミン(T)をプラス鎖の+2018位に含む種類のIL−1RN遺伝子をいう。被験者が二個の同一のIL−1RN対立遺伝子を有する場合、被験者は同型接合である、または同型接合状態を有するという。被験者が二個の異なるIL−1RN対立遺伝子を有する場合、被験者は異型接合である、または異型接合状態を有するという。「IL−1RN(+2018)対立遺伝子2,2」の語は、IL−1RN(+2018)対立遺伝子2の同型接合状態をいう。逆に、「IL−1RN(+2018)対立遺伝子1,1」の語は、IL−1RN(+2018)対立遺伝子1の同型接合状態をいう。「IL−1RN(+2018)対立遺伝子1,2」の語は、対立遺伝子1と2の異型接合状態をいう。
「ここで用いられる「IL−1関連」は、ヒト第2染色体(2q12−14)上のヒトIL−1遺伝子座遺伝子に関連するすべての遺伝子を含むことを意図する。これらは第2染色体(2q13−14)に位置するヒトIL−1遺伝子群のIL−1遺伝子を含み、下記を含む:インターロイキン−1αをコードするIL−1A遺伝子、インターロイキン−1βをコードするIL−1B遺伝子、およびインターロイキン−1受容体拮抗因子をコードするIL−1RN(またはIL−1ra)遺伝子。さらにこれらのIL−1関連遺伝子は、ヒト第2染色体(2q12)上に位置するタイプIおよびタイプIIヒトIL−1受容体遺伝子、およびマウス染色体1の19.5cM位に位置するそれらのマウス相同体を含む。インターロイキン−1α、インターロイキン−1β、およびインターロイキン−1RNはすべてがIL−1タイプI受容体と結合するほど関連があるが、しかし しかしインターロイキン−1αおよびインターロイキン−1βだけがIL−1タイプI受容体を活性化する作用因子リガンドである一方、インターロイキン−1RNは天然に生じる拮抗因子リガンドである。「IL−1」の語が遺伝子産物またはポリペプチドに関して用いられる場合、ヒト第2染色体(2q12−14)上のインターロイキン−1遺伝子座によってコードされるすべての遺伝子産物、および他の種に由来するそれらの対応する相同体、またはその機能性変異体をいうことを意図する。IL−1の語はしたがって、たとえばIL−1αおよびIL−1βのような炎症反応を促進する分泌されたポリペプチド、ならびにたとえばIL−1α受容体拮抗因子およびIL−1タイプII(おとり)受容体のような炎症反応に拮抗する分泌されたポリペプチドを含む。
「IL−1受容体」または「IL−1R」は、IL−1遺伝子座にコードされるリガンドに結合することのできる、および/またはそのリガンドからのシグナルを伝達することのできる、さまざまな細胞膜結合タンパク質受容体をいう。その語は、インターロイキン−1(IL−1)分子に結合することができ、また哺乳類原形質膜タンパク質としての天然の立体構造で、おそらくIL−1によって細胞へ提供されるシグナル伝達に役割を果たす、任意のタンパク質に適用される。ここで用いられるように、その語はIL−1結合またはシグナル伝達活性を有する天然タンパク質のアナログを含む。例は特許文献11に記載されたヒトおよびマウスIL−1受容体を含む。「IL−1核酸」の語はIL−1タンパク質をコードする核酸をいう。
「IL−1ポリペプチド」および「IL−1タンパク質」は、ここに含まれる図に示すIL−1ゲノムDNA配列によってコードされるアミノ酸配列、またはその断片、およびその相同体を含むポリペプチドを網羅することを意図し、作用因子および拮抗因子ポリペプチドを含む。
「リスクの増大」は、特定の多型対立遺伝子を有する人における、その特定の多型対立遺伝子を有しない集団の成員における疾患または症状の発生率の頻度と比較して、疾患または症状の統計的により高い頻度の発生率をいう。
ここで用いられる「相互作用する」の語は、たとえば自然状態におけるタンパク質−タンパク質、タンパク質−核酸、核酸−核酸およびタンパク質−小分子または核酸−小分子間の相互作用のような、分子間の検出可能な関係または関連(たとえば生化学的相互作用)を含むことを意図する。
DNAまたはRNAといった核酸についてここで用いられる「単離された」の語は、その巨大分子の天然の起源中に存在する他のDNA、またはRNAからそれぞれ分離された分子をいう。たとえば、対象IL−1ポリペプチドの一つをコードする単離核酸は、好ましくは天然にゲノムDNA中でIL−1遺伝子に直接隣接する核酸配列の10キロベース(kb)しか含まず、より好ましくはそのような天然に存在する隣接する配列の5キロベースしか含まず、非常に好ましくはそのような天然に存在する隣接する配列の1.5キロベース未満を含む。ここで用いられる単離されたの語はまた、細胞物質、ウイルス物質、または組み換えDNA法によって製造された場合は培地を、あるいは化学的に合成された場合は化学的前駆体または他の化学物質を、実質的に含まない、核酸またはペプチドをいう。さらに、「単離核酸」は、断片としては天然に生じない、自然状態では見つからない核酸断片を含むことを意図する。「単離された」の語はまたここでは、他の細胞タンパク質から単離されたポリペプチドをいうのに用いられ、精製および組み換えポリペプチドの両方を網羅することを意図する。
「ノックイン」遺伝子導入動物は、修飾された遺伝子がゲノムに導入された動物をいい、その修飾された遺伝子は外因性または内因性起源でありうる。
「ノックアウト」遺伝子導入動物は、内因性遺伝子の発現の部分的または完全な抑制(たとえば、遺伝子の少なくとも一部の欠失、遺伝子の少なくとも一部の別の配列との置換、終止コドンの導入、決定的なアミノ酸をコードする塩基の突然変異、またはイントロンジャンクションの除去、などに基づく)が存在する動物をいう。
「ノックアウト構築体」は、細胞の内因性DNA配列によってコードされるタンパク質の発現を減少させるかまたは抑制するために用いることのできる核酸配列をいう。簡単な例では、ノックアウト構築体は、たとえば活性タンパク質を発現することができないように遺伝子の決定的な部分に欠失があるIL−1RN遺伝子のような遺伝子から成る。あるいは、タンパク質の早期終止を起こすようにいくつかの終止コドンを天然遺伝子に加えることができ、またはイントロンジャンクションを不活性化することができる。典型的なノックアウト構築体では、遺伝子の一部が選択可能なマーカー(たとえばneo遺伝子)で置換されており、ゆえに当該遺伝子は下記のように表すことができる:IL−1RN5'/neo/IL−1RN 3'、ここでIL−1RN5'およびIL−1RN3'はそれぞれ相対的にIL−1RN遺伝子の部分より上流および下流であるゲノム配列またはcDNA配列をいい、またneoはネオマイシン耐性遺伝子をいう。別のノックアウト構築体では、別の選択可能なマーカーが隣接位置に追加されており、ゆえに当該遺伝子は下記のように表すことができる:IL−1RN/neo/IL−1RN/TK、ここでTKは先行する構築体のIL−1RN5'またはIL−1RN3'配列のどちらかに追加することができさらに適当な培地中でそれに対して選択を行うことができる(すなわち、陰性選択可能なマーカーである)チミジンキナーゼ遺伝子である。この2マーカー構築体は、典型的にはTK配列を保持する非相同組み換え現象からの、隣接TKマーカーを除去する相同組み換え現象の選択を可能にする。遺伝子欠失および/または置換は、エクソン、イントロン、特にイントロンジャンクション、および/またはたとえばプロモーターのような調節領域からでありうる。
「連鎖不平衡」は、任意の対照集団における各対立遺伝子の存在の別々の頻度から予想されるより高い頻度での、二個の対立遺伝子の同時遺伝をいう。独立に遺伝する二個の対立遺伝子の存在の予想頻度は、第一の対立遺伝子の頻度に第二の対立遺伝子の頻度を掛けたものである。予想頻度で同時に出現する対立遺伝子は、「連鎖不平衡」にあると言われる。連鎖不平衡の原因はしばしば不明である。特定の対立遺伝子の組み合わせに対する選択、または遺伝的に不均一な集団の最近の混合に起因しうる。さらに、疾患遺伝子に非常に密に連鎖したマーカーの場合、疾患突然変異が近い過去に生じたためその特定の染色体領域において組み換え現象を通じて平衡が達成されるためには十分な時間が経過していない場合は、対立遺伝子(または一群の連鎖した対立遺伝子)と疾患遺伝子との関連が予想される。一より多い対立遺伝子から成る対立遺伝子パターンに言及する場合は、一つの対立遺伝子パターンを構成するすべての対立遺伝子が別の対立遺伝子パターンの対立遺伝子の少なくとも一つと連鎖不平衡にある場合、第一の対立遺伝子パターンは第二の対立遺伝子パターンと連鎖不平衡にある。連鎖不平衡の一例は、IL−1RN(+2018)およびIL−1RN(VNTR)多型部位の対立遺伝子間に生じる。IL−1RN(+2018)の二個の対立遺伝子は、IL−1RN(VNTR)の最も頻度の高い二個の対立遺伝子、対立遺伝子1および対立遺伝子2と100%連鎖不平衡にある。
「マーカー」の語は、個人間で異なることが知られているゲノム中の配列をいう。たとえば、IL−1RN遺伝子は反復配列数変異(VNTR)から成るマーカーを持つ。
「突然変異遺伝子」または「突然変異」または「機能突然変異」は、遺伝子の対立遺伝子型をいい、突然変異遺伝子を持たない対象と比較して突然変異遺伝子を持つ対象の表現型を変化させることができる。突然変異によって引き起こされた表現型変化は、ある種の物質によって訂正または補正することができる。対象が変化した表現型を持つためにこの突然変異について同型接合でなければならないなら、当該突然変異は劣性であるといわれる。対象の表現型を変化させるために突然変異遺伝子の一コピーで十分であるなら、当該突然変異は優性であるといわれる。対象が突然変異遺伝子の一コピーを持ちそして(その遺伝子について)同型接合の対象と異型接合の対象との中間の表現型を持つ場合、当該突然変異は共優性であるといわれる。
本発明の「非ヒト動物」は、たとえば齧歯類、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギ、などといった哺乳類、Xenopus属の成員のような遺伝子導入両生類、および遺伝子導入鳥類(たとえば ニワトリ、鳥、など)を含む。「キメラ動物」の語はここでは、組み換え遺伝子がみられる動物か、または組み換え遺伝子が動物のすべてではなく一部の細胞で発現している動物をいうのに用いられる。「組織特異的キメラ動物」の語は、一部の組織で組み換えIL−1遺伝子の一つが存在する、および/または発現しているかまたは破壊されているが他の組織ではそうでないことをいう。「非ヒト哺乳類」の語は、ヒトを除く哺乳綱の任意の成員をいう。
ここで用いられるような、「核酸」の語は、たとえばデオキシリボ核酸(DNA)、および、適当な場合には、リボ核酸(RNA)といった、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドをいう。その語はまた、同等物として、ヌクレオチドアナログから作られたRNAまたはDNAのアナログ(たとえばペプチド核酸)、および記載された実施形態に適用可能な通り、一本鎖(センスまたはアンチセンス)および二本鎖ポリヌクレオチドを含むとも解されるべきである。
「多型」の語は、一より多い種類の遺伝子またはその一部(たとえば,対立遺伝子変異体)が同時に存在することをいう。少なくとも二つの異なる型、すなわち二つの異なるヌクレオチド配列が存在する遺伝子の一部分を、「遺伝子の多型領域」という。多型領域の特定の遺伝子配列が対立遺伝子である。多型領域は一塩基であることができ、その同一性は別の対立遺伝子では異なる。多型領域はまたヌクレオチド数個の長さであることができる。
「疾患への傾向」の語、また「素因」あるいは疾患に対する「感受性」または任意の類似の語句は、ある対立遺伝子が、特定の疾患(たとえば血管疾患)に関連しているかまたは被験者がそれを発症する率について予測的であることが発見されたことを意味する。その対立遺伝子はしたがって健常者と比較して患者で過剰な頻度で現れる。したがって、これらの対立遺伝子は、発症前または罹病前の人においてさえも疾患を予測するのに用いることができる。
ここで用いられる「小分子」は、約5kD未満および非常に好ましくは約4kD未満の分子量を持つ組成物をいうことを意図する。小分子は核酸、ペプチド、ペプチドミメティック、糖、脂質または他の有機または無機分子でありうる。
ここで用いられるような、「特異的にハイブリダイズする」または「特異的に検出する」の語は、核酸分子が試料核酸の少なくとも連続した約6ヌクレオチドとハイブリダイズする能力をいう。
「転写調節配列」は、たとえば開始シグナル、エンハンサー、およびプロモーターといったDNA配列をいうために本明細書全体で用いられる一般的名称であり、それらが調節可能に結合したタンパク質コード配列の転写を誘導するかまたは制御する。
ここで用いられるような、「導入遺伝子」の語は、細胞に導入された核酸配列(たとえば、IL−1ポリペプチドの一つ、またはそれに対するアンチセンス転写物をコードする)を意味する。導入遺伝子は、導入される遺伝子導入動物または細胞に対して部分的にまたは完全に異種、すなわち外来であることができ、あるいは、導入される遺伝子導入動物または細胞の内因性遺伝子に対して同種であるが、挿入される細胞のゲノムを変化させるような方法で動物のゲノムに挿入されるように設計されている、または挿入されている(たとえば、天然遺伝子の位置とは異なる位置に挿入されているかまたはその挿入の結果ノックアウトが生じる)。導入遺伝子はまたエピソームの形で細胞内に存在しうる。導入遺伝子は、一個以上の 転写調節配列および、たとえばイントロンのような、選択した核酸の最適な発現に必要でありうる任意の他の核酸を含みうる。
「遺伝子導入動物」は、動物の一個以上の細胞が、たとえば当該分野でよく知られた遺伝子導入法によって、人間の介入により導入された異種核酸を含む、任意の動物、好ましくは非ヒト哺乳類、鳥類または両生類をいう。核酸は、意図的な遺伝子操作を目的として、たとえばマイクロインジェクションによってまたは組み換えウイルスの感染によって、直接的にまたは間接的に細胞の前駆体への導入によって細胞へ導入される。遺伝子操作の語は古典的な交配またはin vitro受精を含まないが、組み換えDNA分子の導入を対象とする。この分子は染色体内に統合されることができ、または染色体外で複製するDNAでありうる。ここに記載する典型的な遺伝子導入動物では、導入遺伝子は細胞に、たとえば作用因子または拮抗因子型の、IL−1ポリペプチドの一つの組み換え形を発現させる。しかし、組み換え遺伝子がサイレントである遺伝子導入動物もまた検討されており、例としては、下記のFLPまたはCREリコンビナーゼ依存構築体である。 さらに、「遺伝子導入動物」はまた、一個以上の遺伝子の遺伝子破壊が組み換えおよびアンチセンス技術の両方を含む人間の介入によって引き起こされた組み換え動物を含む。その語はすべての子孫世代を含むことを意図する。したがって、創始者動物およびすべてのF1、F2、F3、など、その子孫が含まれる。
ここで用いられる「治療する」の語は、状態または疾患の少なくとも一つの症状を治すことならびに改善することを包含することを意図する。
「ベクター」の語は核酸分子をいい、それが結合している別の核酸を輸送することができる。好ましいベクターの一つの種類はエピソーム、すなわち、染色体外複製する能力がある核酸である。好ましいベクターは、自律複製および/または結合している核酸の発現の能力を有するものである。調節可能に結合した遺伝子の発現を指示する能力のあるベクターをここでは「発現ベクター」という。一般的に、組み換えDNA技術に有用な発現ベクターはしばしば、ベクター形では染色体に結合していない円形の二本鎖DNA環を一般的に指す「プラスミド」の形である。プラスミドはベクターの最も広く用いられている形であるため、本明細書では「プラスミド」と「ベクター」は相互に交換可能に用いられる。しかし、本発明は同等な機能を果たし本分野で今後明らかになるような他の種類の発現ベクターを含むことを意図する。
「野生型対立遺伝子」の語は、対象に二個のコピーで存在する場合、結果として野生型表現型が生じる、遺伝子の対立遺伝子をいう。遺伝子内のある種のヌクレオチド変化は、そのヌクレオチド変化を持つ遺伝子のコピー二個を有する対象の表現型に影響しない可能性があるため、特定の遺伝子のいくつかの異なる野生型対立遺伝子が存在しうる。
3.予知医学
3.1.IL−1炎症性ハプロタイプに関連する疾患および状態
本発明は少なくとも部分的には、特定の炎症性 ハプロタイプパターン、特にIL−1B(−3737) 多型 対立遺伝子を含むものの同定、および、これらのパターンと特定の疾患または状態の発症との関連(統計的に有意な程度の)に基づく。したがって、ハプロタイプを構成する対立遺伝子の検出は、対象中で単独でまたは他の手段と組み合わせて、対象が特定の疾患または状態を有するかまたは発症する素因があることを示しうる。しかし、これらの対立遺伝子は他の対立遺伝子と連鎖不平衡にあるため、そのような他の連鎖した対立遺伝子の検出もまた、対象が特定の疾患または状態を有するかまたは発症する素因があることを示しうる。たとえば、441 1 2332 ハプロタイプは下記の遺伝子型を含む:
Figure 0004492849
IL−1 RNの別のエクソン(エクソン1ic、遺伝子 産物の細胞内型を産生する)中の3つの他の多型もまた、IL−1RN(VNTR)の対立遺伝子2と連鎖不平衡にある(非特許文献43)。これらは下記を含む: IL−1RNエクソン1ic(1812)(GenBank: 1812位のX77090); IL−1RNエクソン1ic(1868)多型(GenBank:1868位のX77090);およびIL−1RNエクソン1ic(1887)多型(GenBank:1887位のX77090)。当該遺伝子の選択的スプライシングされた細胞内型についてのプロモーター内のさらになお別の多型であるPic(1731)多型(GenBank:X77090の1731)もまたIL−1RN(VNTR)多型遺伝子座の対立遺伝子2と連鎖不平衡にある。これらの多型遺伝子座それぞれについて、その対立遺伝子2配列変異体はIL−1RN(VNTR)遺伝子座の対立遺伝子2と連鎖不平衡にあることが決定されている(非特許文献43)。
33221461 ハプロタイプは下記の遺伝子型を含む:
Figure 0004492849
44112332ハプロタイプを持つ人は典型的には、刺激時にaIL−1αおよびIL−1βタンパク質の両方を過剰産生する。対照的に、33221461ハプロタイプを持つ人は典型的には、IL−1raの産生が少ない。それぞれのハプロタイプは結果として正味の炎症促進性反応を生じる。ハプロタイプ内のそれぞれの対立遺伝子は、効果ならびに複合遺伝子型効果を有する可能性がある。さらに、特定の疾患が両方のハプロタイプパターンに関連している可能性がある。
下記の表3は、いくつかの 遺伝子型 マーカーと、これらのマーカーが統計的に有意な程度に関連していることが見出されているさまざまな疾患および状態を示す。
Figure 0004492849
上記の対立遺伝子パターンに加えて、ここに記載の通り、当該分野の熟練者は、疾患または障害に関連する対立遺伝子と連鎖不平衡にある他の対立遺伝子(多型および突然変異を含む)を容易に同定することができる。たとえば、特定の疾患を有しないある被験者群に由来する核酸検体、ならびにその疾患を有する別の被験者群に由来するDNAを集めることができる。核酸 検体は次いで、第一の群と比較して第二の群で過剰に現れている対立遺伝子を同定するために比較することができ、ここでそのような対立遺伝子はおそらく、不適当なインターロイキン1調節によって引き起こされるかまたはそれが寄与する疾患に関連している。あるいは、たとえば大きな集団を遺伝子型解析し統計解析を実施してどの対立遺伝子が予想されるよりも多く同時に現れるかを割り出すことによって、その疾患に関連する対立遺伝子と連鎖不平衡にある対立遺伝子を同定することができる。好ましくはその群は遺伝的に関係のある人から成るように選択される。遺伝的に関係のある人は、同一人種、同一民族集団、あるいは同一家族すらの出身の人を含む。対照群と被験群の血縁度が上昇すると、疾患を引き起こす対立遺伝子とますます遠く連鎖している多型対立遺伝子の予測値も同様に上昇する。これは、創始者集団中で染色体に沿って連鎖している多型を遺伝子交差現象を通じて再配分させるために経過している進化時間がより短いためである。したがって、人種特異的、民族特異的、および家族特異的ですらある診断的遺伝子型解析を開発し、ヒトの進化においてますます近年に、たとえば、主要な人種の分岐後、ヒト集団の明瞭な民族集団への分離後、および特定家系の最近の歴史のうちにさえ生じた疾患対立遺伝子の検出を可能にすることができる。
二個の多型マーカーの間または一個の多型マーカーと疾患を引き起こす突然変異との間の連鎖不平衡は準安定状態である。選択圧または根本にある突然変異現象の散発的な連鎖した再発生が不在であれば、ヒトの進化の過程を通じて多型は最終的には染色体組み換え現象によって分離し、したがって連鎖平衡に到達する。このように、疾患または状態と連鎖不平衡にある多型対立遺伝子を発見する可能性は、少なくとも二つの要因における変化に伴って上昇しうる:多型マーカーと疾患を引き起こす突然変異との間の物理的距離を減少させること、および連鎖した対の分離のために利用可能な減数分裂の世代数を減少させること。後者の要因を考慮すると、二名の人により近い血縁があるほど、彼らがその連鎖した多型を含む共通の親染色体または染色体領域を共有する可能性は高くなり、この連鎖した対が各世代に起こる減数分裂時の交差現象を通じて連鎖しなくなっている可能性は低くなる。結果として、二名の人により近い血縁があるほど、広く間隔の開いた多型が同時に遺伝する可能性が高くなる。このように、一般的な人種、民族、または家系の血縁関係にある人々については、ますます遠く間隔の開いた多型遺伝子座の信頼性は、疾患を引き起こす連鎖した突然変異の遺伝の指標として信頼することができる。
たとえばIL−1Α、IL−1BまたはIL−1RNあるいは関係する遺伝子といった、IL−1遺伝子座の特定の遺伝子とハイブリダイズする適当なプローブを設計しうる。これらのゲノムDNA配列は当該分野で既知であり、図3、4、5、にそれぞれ示すwww.ncbi.nlm.nih.govで入手可能であり、さらにそれぞれSEQ ID Nos.1、2、3に対応する。実際ヒト第2染色体のIL−1領域はおよそ400,000塩基対にわたり、また、平均して1,000塩基対毎に1個の一塩基多型を仮定すると、SNP遺伝子座だけでおよそ400個を含む。本発明での使用について利用可能なさらに別の多型は、さまざまな公的情報源から入手可能である。たとえば、ヒトゲノムデータベースは遺伝子内SNPを集め、配列によって検索可能で現在約2,700個の登録を含む(http://hgbase.interactiva.de。マサチューセッツ工科大学によって維持されているヒト多型データベースもまた利用可能である(MIT SNPデータベース(http//www.genome.wi.mit.edu/SNP/human/index.html))。そのような情報源から、SNPならびに他のヒト多型を見出しうる。
たとえば、これらのデータベースのうち任意の一つにおけるヒトゲノムのIL−1領域の調査は、IL−1遺伝子座遺伝子はマイクロサテライトマーカーAFM220ze3と呼ばれる127.4cM(センチモルガン)の動原体近位側の多型マーカー(GenBank登録番号Z17008を参照)およびマイクロサテライトアンカーマーカーAFM087xa1と呼ばれる127.9cMの遠位側の多型マーカー(GenBank登録番号Z16545を参照)に隣接されていることを明らかにする。これらのヒト多型遺伝子座は両方ともCAジヌクレオチド反復マイクロサテライト多型であり、したがって、ヒト集団において高い程度の異型接合性を示す。たとえば、AFM220ze3の一つの対立遺伝子は、配列の5'プライマーTGTACCTAAGCCCACCCTTTAGAGCおよび配列の3'プライマーTGGCCTCCAGAAACCTCCAAを持つ211bpのPCR増幅産物を生じる。さらにさらに、AFM087xa1の一つの対立遺伝子は、配列の5'プライマーGCTGATATTCTGGTGGGAAA および配列の3'プライマーGGCAAGAGCAAAACTCTGTCを持つ177bpのPCR増幅産物を生じる。これらのヒト第2染色体CAジヌクレオチド反復多型の5'および3'に存在する独特の配列に対応する等価のプライマーは当業者に明らかである。合理的に等価なプライマーは指定されたプライマーの約1kb以内でハイブリダイズし、さらに長さ約17bpから約27bpまでのどこかであるものを含む。独特のヒト染色体ゲノム配列の増幅用にプライマーを設計するための一般的指針は、プライマーが少なくとも約50℃の融点を持つことであり、ここで概算の融点はTmelt=[2×(AまたはTの数)+4×(GまたはCの数)]の式を用いて推定することができる。
いくつかの他のヒト多型遺伝子座がこれらの2個のCAジヌクレオチド反復多型の間に存在し、家族またはその他の遺伝的に関係のある人の群において予知的な対立遺伝子を測定するためのさらなる標的を提供する。たとえば、米国立生命工学情報センターのウェブサイト(www.ncbi.nlm.nih.gov/genemap/)はIL−1遺伝子座領域内のいくつかの多型マーカーを列挙しており、また増幅のための適当なプライマーの設計およびこれらのマーカーの分析について指針を提供している。
したがって、本発明のヌクレオチド断片は、ヒト染色体2q12−13の相補鎖またはその領域由来のcDNAと二本鎖分子を選択的に形成する能力、またはDNAまたはこの領域由来のcDNAの増幅のためのプライマーを提供する能力について使用しうる。この目的のための適当なプローブの設計はいくつかの要因を考慮する必要がある。たとえば、10、15、または18ヌクレオチドから約20まで、または約30ヌクレオチドまでの間の長さを有する断片は、特に有用となる。たとえば40、50、80、90、100、最大で完全長までといったより長い配列は一部の実施形態についてさらにより好ましい。少なくとも約18から20ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドの長さは、分子プローブとして有用となるために効率的に特異的ハイブリダイゼーションを行わせるのに十分であるとして当業者によく受け入れられている。さらに、想定される用途によっては、標的配列に対するプローブの選択性のさまざまな程度を達成するために、ハイブリダイゼーションのさまざまな条件を使用することが希望される。高い選択性を必要とする用途については、典型的には、ハイブリッドを形成するのに相対的に厳しい条件を使用することが希望される。たとえば、約50℃から約70℃までの温度にて0.02M〜0.15M NaClによって与えられるような、相対的に低い塩濃度および/または高温条件。そのような選択的条件は、プローブとテンプレートまたは標的鎖との間に、たとえあるとしてもわずかなミスマッチしか許容しない可能性がある。
他の対立遺伝子または疾患の他の証拠は、対象中で上記の対立遺伝子の検出、たとえば、血管壁の厚さを確認すること(たとえば超音波で測定されるように)、または被験者が喫煙、飲酒するかどうか、肥満しているかどうか、ストレスまたは運動下にあるかどうか、に関連して検出または監視することができる。
3.2.対立遺伝子の検出
ヒト多型遺伝子座の特定の対立遺伝子を検出するためには多くの方法が利用可能である。特定の多型対立遺伝子を検出するための好ましい方法は、部分的には、多型の分子的性質に依存する。たとえば、多型遺伝子座のさまざまな種類の対立遺伝子型は、DNAの一塩基対で異なりうる。そのような一塩基多型(すなわちSNP)は遺伝子変異の主要な要因であり、すべての既知の多型のうちおよそ80%を占め、またヒトゲノム中のそれらの密度は平均して1,000塩基対当たり1個と推定されている。SNPは非常にしばしば、2個だけの異なる型で、2対立遺伝子に生じる(DNA中に存在する4種類の異なるヌクレオチド塩基に対応する、最大4つの異なる型のSNPが理論的に可能であるが)。にもかかわらず、SNPは突然変異上は他の多型より安定であり、疾患を引き起こす突然変異をマッピングするのにマーカーと未知の変異体の間の連鎖不平衡が用いられる関連性研究に適することとなっている。さらに、SNPは典型的には対立遺伝子を2個だけ持つために、鎖長測定でなく単純なプラス/マイナス分析によって遺伝子型解析することができ、より自動化に従いやすい。
個人における特定の一塩基多型対立遺伝子の存在を検出するためにはさまざまな方法が利用可能である。この分野における進歩は、正確で、容易で、そして安価な大規模SNP遺伝子型解析を提供している。ごく最近、たとえば、動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、マイクロプレートアレイ対角線ゲル電気泳動(MADGE)、パイロシークエンシング、オリゴヌクレオチド特異的連結反応、TaqManシステム、ならびにAffymetrixSNPチップのようなさまざまなDNA「チップ」技術を含む、いくつかの新しい方法が記載されている。これらの方法は、典型的にはPCRによる、標的遺伝子領域の増幅を必要とする。侵襲的切断によるシグナル小分子の生成に基づき、次いで質量分析または固定化パッドロックプローブおよびローリングサークル増幅法を行う、さらに他の新しく開発された方法が、最終的にはPCRの必要性を無くしうる。特定の一塩基多型を検出するための当該分野で既知の方法のいくつかを下記に要約する。本発明の方法はすべての利用可能な方法を含むものと解される。
一塩基多型の分析を円滑にするために、いくつかの方法が開発されている。一実施形態では、一塩基多型は、たとえば、Mundy, C. R.(特許文献12)に開示される通り、特異化されたエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを用いることによって検出することができる。その方法によると、多型部位の直接3'である対立遺伝子配列に相補的なプライマーが、特定の動物またはヒトから得られた標的分子とハイブリダイズさせられる。標的分子上の多型部位が、存在する特定のエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド誘導体と相補的であるヌクレオチドを含む場合、その誘導体はハイブリダイズしたプライマーの末端に組み込まれる。そのような組み込みによってプライマーはエキソヌクレアーゼに耐性となり、それによって検出が可能になる。試料のエキソヌクレアーゼ耐性誘導体の正体が既知であるので、プライマーがエキソヌクレアーゼに耐性となったという知見は、標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドが、反応に用いられたヌクレオチド誘導体に存在するヌクレオチドと相補的であったことを示す。この方法は、大量の無関係な配列データの決定を必要としないという利点を有する。
本発明の別の一実施形態では、多型部位のヌクレオチドを同定するために溶液を基礎とする方法が用いられる。Cohen, D. et al.(特許文献13;特許文献14)。特許文献12のMundy法でのように、多型部位の直接3'である対立遺伝子配列に相補的なプライマーが用いられる。本方法は標識ジデオキシヌクレオチドを用いてその部位のヌクレオチドを同定し、標識ジデオキシヌクレオチドは多型部位のヌクレオチドと相補的である場合プライマーの末端に組み込まれる。
遺伝子ビット分析すなわちGBA(商標)と呼ばれる別の方法がGoelet P. et al.によって記載されている(特許文献15)。Goelet, P. et al.の方法は標識ターミネーターと多型部位の3'である対立遺伝子配列に相補的なプライマーとの混合物を使用する。組み込まれた標識ターミネーターはこのように評価される標的分子の多型部位内に存在するヌクレオチドによって決定されまたそれと相補的である。Cohen et al.(特許文献13;特許文献14)の方法と対照的に、Goelet, P. et al.の方法は好ましくは不均一相分析であり、そこではプライマーまたは標的分子は固相に固定化される。
近年、DNA中の多型部位を分析するためのいくつかのプライマー誘導型ヌクレオチド組み込み手順が記載されている(非特許文献44; 非特許文献45; 非特許文献46; 非特許文献47; 非特許文献48; 非特許文献49; 非特許文献50) 。これらの方法は、それらすべてが多型部位の塩基を識別するのに標識デオキシヌクレオチドの組み込みに依存する点でGBAと異なる。そのような形式では、シグナルは組み込まれたデオキシヌクレオチドの数に比例するため、同一の一続きのヌクレオチド中に起こる多型は、結果としてその一続きの長さに比例するシグナルを生じうる(非特許文献51)。
タンパク質翻訳の早期終了を生じる突然変異については、短縮タンパク質試験(PIT)が効率的な診断手法を提供する(非特許文献52; 非特許文献53) 。PITのためには、利用できる組織からRNAが最初に単離されて逆転写され、目的の部分がPCRによって増幅される。逆転写PCRの産物は次いで、RNAポリメラーゼプロモーターおよび真核細胞の翻訳を開始させるための配列を含むプライマーを使用するnested PCR増幅のテンプレートとして用いられる。目的領域の増幅後、プライマーに組み込んだ独特のモチーフによって、PCR産物の連続的なin vitro転写および翻訳が可能になる。翻訳産物のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動時に、短縮ポリペプチドの出現は、翻訳の早期終了を引き起こす突然変異の存在を示す。この方法の変法では、目的の標的領域が1個のエクソンに由来する場合、DNA(RNAでなく)がPCRテンプレートとして用いられる。
ここに記載の診断に用いる核酸検体を得るために、任意の細胞型または組織を利用することができる。好ましい一実施形態では、DNA試料は、既知の方法(たとえば静脈穿刺)で得られた血液または唾液のような体液から得られる。あるいは、核酸試験を乾燥試料(たとえば髪または皮膚)に対して実施することができる。RNAまたはタンパク質を用いる場合、使用することのできる細胞または組織はIL−1遺伝子を発現しなければならない。
診断的な手順はまたin situで直接、生検または切除から得られた患者組織の組織切片(固定および/または凍結)に対して実施することもでき、核酸精製が不要である。核酸試薬はそのようなin situ手順についてはプローブおよび/またはプライマーとして用いることができる(たとえば、非特許文献54を参照)。
一つの核酸配列の検出に主に注目する方法に加えて、プロファイルもまたそのような検出計画で評価しうる。フィンガープリントプロファイルは、たとえば、ディファレンシャルディスプレイ手順、ノーザン分析および/またはRT−PCRを利用することによって作成することができる。
好ましい一検出方法は、IL−1炎症促進性ハプロタイプの少なくとも一つの対立遺伝子の領域と重なり合い、また約5、10、20、25、または30ヌクレオチドを突然変異または多型領域の周辺に有するプローブを用いる、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションである。本発明の好ましい一実施形態では、再狭窄に関与する他の対立遺伝子変異体と特異的にハイブリダイズする能力のあるいくつかのプローブが、 たとえば「チップ」(最大約250,000オリゴヌクレオチドを保持することができる)のような固相担体に結合している。オリゴヌクレオチドは、リトグラフィーを含むさまざまな処理によって固相担体に結合することができる。オリゴヌクレオチドを含むこれらの「DNAプローブアレイ」とも称するチップを用いた突然変異検出分析はたとえば、非特許文献55に記載されている。一実施形態では、一つのチップはある遺伝子の少なくとも一つの多型領域のすべての対立遺伝子変異体を含む。固相担体を次いで被験核酸と接触させ、特異的プローブとのハイブリダイゼーションが検出される。その結果、一個以上の遺伝子の多数の対立遺伝子変異体の同一性を、簡易なハイブリダイゼーション実験で同定することができる。
これらの方法はまた、分析前に核酸を増幅する段階を含むことができる。増幅方法は当業者に既知であり、クローニング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、特異的対立遺伝子のポリメラーゼ連鎖反応(ASA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、nestedポリメラーゼ連鎖反応、self−sustained配列複製(非特許文献56)、転写増幅系(非特許文献57)、およびQ−ベータレプリカーゼ(非特許文献58)を含むがこれらに限定されない。
増幅産物は、サイズ分析、制限酵素消化に続くサイズ分析、反応産物中に特定の標識オリゴヌクレオチドプライマーを検出、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的5'エキソヌクレアーゼ検出、配列決定、ハイブリダイゼーション、などを含むさまざまな方法で分析することができる。
PCRに基づく検出方法は、複数のマーカーの同時の多重増幅を含みうる。たとえば、サイズが重ならない、同時に分析できるPCR産物を生成するようにPCRプライマーを選択することは当該分野でよく知られている。あるいは、区別して標識され、ゆえに区別して検出することのできるプライマーを有する別々のマーカーを増幅することが可能である。もちろん、ハイブリダイゼーションに基づく検出方法は、試料中の複数のPCR産物の区別を付けた検出を可能にする。複数のマーカーの多重分析を可能にする他の方法が当該分野で知られている。
単に解説のための一実施形態では、その方法は(i)細胞の検体を患者から得る、(ii)核酸(たとえば、ゲノム、mRNAまたは両方)を検体の細胞から単離する、(iii)核酸検体を、IL−1炎症促進性ハプロタイプの少なくとも一つの対立遺伝子と5'および3'へ特異的にハイブリッド形成する一個以上のプライマーと、対立遺伝子のハイブリダイゼーションおよび増幅が起こる条件下で接触させる、および(iv)増幅産物を検出する段階を含む。これらの検出計画は、核酸分子の検出に、そのような分子が非常に少数で存在する場合に特に有用である。
対象の分析の好ましい一実施形態では、IL−1炎症促進性ハプロタイプの対立遺伝子が、制限酵素切断パターンにおける変化によって同定される。たとえば、検体および対照DNAは単離され、増幅され(随意的に)、一個以上の制限エンドヌクレアーゼで消化され、そして断片長サイズがゲル電気泳動によって測定される。
さらに別の一実施形態では、当該分野で既知のさまざまな配列決定反応のうち任意のものを用いて直接に対立遺伝子を配列決定することができる。典型的な配列決定反応は、MaximとGilbert(非特許文献59)またはSanger(非特許文献60)によって開発された方法に基づくものを含む。質量分析による配列決定(たとえば特許文献16;非特許文献61;および非特許文献62を参照)を含む対象の分析(たとえば非特許文献63を参照)を実施する場合、さまざまな自動化配列決定手順のうち任意のものを利用しうることもまた考えられている。一部の実施形態について、配列決定反応において核酸塩基のうち1、2または3個だけの存在を確認する必要があることは当業者に明らかとなる。たとえば、ただ1つだけの核酸が検出されるA鎖などといったものを実施することができる。
さらなる一実施形態では、切断試薬(たとえばヌクレアーゼ、ヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウム、およびピペリジンを用いて)からの保護を使用して、RNA/RNAまたはRNA/DNAまたはDNA/DNAヘテロ二本鎖中のミスマッチ塩基を検出することができる(非特許文献64)。一般的に、「ミスマッチ切断」の技術的方法は、野生型対立遺伝子を含む(標識)RNAまたはDNAを試料とハイブリダイズすることによって生成したヘテロ二本鎖を得ることから始まる。二本鎖二重分子は、対照と試料鎖との間の塩基対ミスマッチが原因で存在するような、二本鎖の一本鎖領域を切断する試薬で処理する。たとえば、ミスマッチ領域を酵素的に消化するために、RNA/DNA二本鎖はRNaseで処理することができ、またDNA/DNAハイブリッドはS1ヌクレアーゼで処理することができる。他の実施形態では、ミスマッチ領域を消化するために、DNA/DNAまたはRNA/DNA二本鎖はヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウム、およびピペリジンを用いて処理することができる。ミスマッチ領域の消化後、結果として生じた物質を次いでサイズによって変性ポリアクリルアミドゲルで分離し、突然変異の部位を決定する。たとえば、非特許文献65;および非特許文献66を参照。好ましい一実施形態では、対照DNAまたはRNAは検出のために標識することができる。
ミスマッチ切断反応は、二本鎖DNA中のミスマッチ塩基対を認識する一またはそれ以上のタンパク質(いわゆる「DNAミスマッチ修復」酵素)を使用する。たとえば、E.coliのmutY酵素はG/AミスマッチでAを切断し、HeLa細胞由来のチミジンDNAグリコシラーゼはG/TミスマッチでTを切断する(非特許文献67) 。典型的な一実施形態によると、IL−1遺伝子座ハプロタイプの対立遺伝子に基づくプローブが、被験細胞由来のcDNAまたは他のDNA産物とハイブリダイズされる。その二本鎖はDNAミスマッチ修復酵素で処理され、切断産物はもしあれば電気泳動手順などから検出することができる。たとえば、特許文献17を参照。
他の実施形態では、IL−1遺伝子座対立遺伝子を同定するのに電気泳動移動度における変化を用いる。たとえば、突然変異と野生型核酸との間の電気泳動移動度の差を検出するのに、一本鎖立体構造多型(SSCP)を用いることができる(非特許文献68、非特許文献69;および非特許文献70も参照) 。試料および対照IL−1遺伝子座対立遺伝子の一本鎖DNA断片は変性され復元させられる。一本鎖核酸の二次構造は配列によって異なり、結果として生じる電気泳動移動度の変化は、一塩基変化さえも検出を可能にする。当該DNA断片は標識することができ、または標識プローブで検出することができる。分析の感度は、二次構造が配列における変化により感受性が高いRNA(DNAでなく)を用いることによって高めることができる。好ましい実施形態では、対象の方法はヘテロ二本鎖分析を利用して、二本鎖ヘテロ二重分子を電気泳動移動度の変化に基づいて分離する(非特許文献71)。
さらに別の一実施形態では、変性剤のグラジエントを含むポリアクリルアミドゲル中での対立遺伝子の移動を、変性グラジエントゲル電気泳動法(DGGE)を用いて分析する(非特許文献72)。DGGEを分析方法として用いる場合DNAは、完全には変性しないことを確実にするために、たとえばPCRによって約40bpの高融点GCリッチDNAのGCクランプを付加して修飾される。さらなる一実施形態では、対照と検体DNAとの間の移動度の差を識別するために、変性剤グラジエントの代わりに温度グラジエントが用いられる(非特許文献73)。
対立遺伝子を検出するための他の方法の例は、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または選択的プライマー伸長を含むがこれらに限定されない。たとえば、既知の突然変異またはヌクレオチドの差(たとえば、対立遺伝子変異体において)が中央に置かれるオリゴヌクレオチド プライマーを作製することができ、次いで、完全マッチが見つかった場合に限りハイブリダイゼーションを可能にする条件下で標的DNAとハイブリッド形成することができる(非特許文献74);非特許文献75)。そのような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション技術は、オリゴヌクレオチドがPCR増幅標的DNAまたはいくつかの異なる突然変異または多型領域とハイブリッド形成する場合、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズ膜に結合していて標識標的DNAとハイブリッド形成したとき、反応ごとに一つの突然変異または多型領域を試験するのに用いることができる。
あるいは、選択的PCR増幅に依存する対立遺伝子特異的増幅技術を本発明に関連して用いることができる。特異的増幅のためのプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドは、目的の突然変異または多型領域を分子の中心(増幅が差別的ハイブリダイゼーションに依存するように)(非特許文献76)または、適当な条件下でミスマッチがポリメラーゼ伸長を妨げるかまたは低下させることのできる、一つのプライマーの3'最末端に有しうる(非特許文献77)。さらに、切断に基づく検出を行うためには、突然変異の領域に新しい制限部位を導入することが望ましい(非特許文献78)。一部の実施形態では、増幅はまた、増幅のためのTaqリガーゼを用いて実施することもできることが予想される(非特許文献79)。そのような場合には、連結反応は5'配列の3'末端で完全なマッチが存在する場合に限って起こり、増幅の有無を探すことによって特定部位における既知の突然変異の存在を検出することが可能になる。
別の一実施形態では、対立遺伝子変異体の同定は、たとえば特許文献18およびLandegren, U. et al.(非特許文献80)に記載されたように、オリゴヌクレオチド連結反応分析(OLA)を用いて実施される。OLA手順は、標的の一本鎖の隣接する配列とハイブリッド形成する能力を有するように設計された2種類のオリゴヌクレオチドを用いる。オリゴヌクレオチドのうち1種類はたとえばビオチニル化のように分離マーカーと結合しており、もう1種類は検出可能に標識されている。標的分子中に正確な相補的配列が見出される場合、オリゴヌクレオチドはそれらの末端が隣接するようにハイブリッド形成し、連結反応基質を生じる。連結反応は次いでアビジンまたは別のビオチンリガンドを用いて標識オリゴヌクレオチドが回収されるようにする。Nickerson, D. A. et al.は、PCRおよびOLAの特性を組み合わせた核酸検出分析法を記載している(非特許文献81)。この方法では、PCRを用いて標的DNAの指数的増幅が達成され、標的DNAは次いでOLAを用いて検出される。
このOLA法に基づくいくつかの方法が開発されており、IL−1遺伝子座ハプロタイプの対立遺伝子を検出するのに用いることができる。たとえば、特許文献19は、ホスホロアミデート結合を有する結合物質を形成する、3'−アミノ基を持つオリゴヌクレオチドと5'−リン酸化オリゴヌクレオチドとを用いるOLAを開示する。Tobe et al.(非特許文献82)に記載されたOLAの別の変法では、PCRと組み合わせたOLAによって1つのマイクロタイターウェル内で2個の対立遺伝子の型分析が可能になる。対立遺伝子特異的プライマーのそれぞれを独特のハプテンすなわちジゴキシゲニンおよびフルオレセインで標識することにより、それぞれのOLA反応は、別々の酵素レポーターであるアルカリホスファターゼまたはホースラディッシュペルオキシダーゼで標識したハプテン特異的抗体を用いることによって検出することができる。この系は、異なる2色の産生に結びつく高処理量形式を用いて、2個の対立遺伝子の検出を可能にする。
本発明の別の一実施形態は再狭窄を発症する素因を検出するキットに向けられている。このキットは、IL−1遺伝子座ハプロタイプの少なくとも一つの対立遺伝子の5'および3'にハイブリダイズする5'および3'オリゴヌクレオチドを含む、一個以上のオリゴヌクレオチドを含みうる。PCR増幅オリゴヌクレオチドは、以降の分析のために便利なサイズのPCR産物を産生するために、25から2500塩基対離れた間、好ましくは約100から約500塩基離れた間にハイブリダイズすべきである。
本発明の診断方法に用いるための特に好ましいプライマーは下記を含む:
IL−1B(−3737)多型対立遺伝子の検出用のTCTAGACCAGGGAGGAGAATGGAATGTCCTTGGACTCTGCATGT、および
TCTAGACCAGGGAGGAGAATGGAATGTCCTTGGACTCTGCATGT;
IL−1B(−1469)多型対立遺伝子の検出用のACAGAGGCTCACTCCCTTGATAATGCAGAGCGAGCACGATACCTGG、および
ACAGAGGCTCACTCCCTTGATAATGCAGAGCGAGCACGATACCTGG;および
IL−1B(−999)多型対立遺伝子の検出用の
GATCGTGCCACTgcACTCCAGCCTGGGCGACAGGTGAGACTCTGTCTC、および
GATCGTGCCACTgcACTCCAGCCTGGGCGACAGGTGAGACTCTGTCTC。
本発明の方法によるIL−1多型対立遺伝子の増幅および検出に用いるための別のオリゴヌクレオチドの設計は、ヒトIL−1遺伝子座を含むヒト染色体2q13からの最新の配列情報、およびこの遺伝子座について利用できる最新のヒト多型情報の両方の利用可能性によって促進される。たとえば、IL−1Α、IL−1BおよびIL−1RNのDNA配列を図1(GenBank登録番号X03833)、2(GenBank登録番号X04500)および3(GenBank登録番号X64532)にそれぞれ示す。これらの遺伝子中のヒト多型の検出のための適当なプライマーは、この配列情報およびプライマー配列の設計および最適化のための当該分野で既知の標準的方法を用いて容易に設計することができる。そのようなプライマー配列の最適な設計は、たとえば、Primer2.1、Primer3またはGeneFisherといった市販のプライマー選択プログラムの使用によって達成することができる(非特許文献1;非特許文献83;非特許文献84[正誤表は非特許文献85、およびURL:http://www. gdb.orgのゲノムデータベース(GDB)プロジェクトも参照)。
キットでの使用のためには、オリゴヌクレオチドはたとえば合成オリゴヌクレオチド、制限断片、cDNA、合成ペプチド核酸(PNA)、などといったさまざまな天然および/または合成の組成の任意のものでありうる。分析キットおよび方法はまた、分析における同定を容易にするため、標識オリゴヌクレオチドを用いることができる。使用することのできる標識の例は、放射性標識、酵素、蛍光化合物、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、磁性部分、金属結合部分、抗原または抗体部分、などを含む。
キットは、随意的に、DNAサンプリング手段を含むこともできる。DNAサンプリング手段は当業者によく知られており、たとえば濾紙、AmpliCard(商標)(University of Sheffield, Sheffield, England S10 2JF;非特許文献86)など; Nucleon(商標)キット、細胞溶解緩衝液、プロテイナーゼ溶液などといったDNA精製試薬;10X反応緩衝液、熱安定ポリメラーゼ、dNTPs、などといったPCR試薬;およびHinfI制限酵素、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド、乾燥血液由来のnestedPCR用縮重オリゴヌクレオチドプライマーなどといった対立遺伝子検出法を含みうるがこれらに限定されない。
3.3. 薬理ゲノム学
疾患または状態を発症する感受性に関連する特定の対立遺伝子の知識は、単独でまたはその特定の疾患または状態に寄与する他の遺伝子欠陥についての情報と併せて、「薬理ゲノム学」の目標である個人の遺伝子プロファイルに基づいた予防または治療のオーダーメイドを可能にする。したがって、被験者のIL−1プロファイルを疾患についての人口のプロファイルと比較することは、特定の患者または患者集団(すなわち、同一の遺伝子変化を有する患者の群)に対して安全で有効であることが予期される薬物または他の治療計画の選択または設計を可能にする。
さらに、遺伝子プロファイルに基づいて、最大の臨床上の利益を示すことが予期される集団を標的にする能力は、1)既発医薬の再位置づけ;2)患者の部分集団に特異的な安全性または有効性の限界の結果として臨床開発が中断された医薬候補の救済;および3)医薬候補のより速やかなより費用のかからない開発とより最適な医薬標示(たとえば、物質のさまざまな用量が原因突然変異に及ぼす影響を測定することは有効量を最適化するために有用であるため):を可能にすることができる。
ある人の特定の治療薬を用いた治療は、タンパク質(たとえばIL−1α、IL−1β、またはIL−IRa)、mRNAおよび/または転写レベルを測定することによって監視することができる。検出されたレベルに応じて、治療計画をその後維持したり調整したりすることができる(用量を増加または減少させる)。好ましい一実施形態では、対象をある薬剤で治療することの有効性は、(i)その薬剤の投与前に被験者から投与前検体を採取すること;(ii)投与前検体中のタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの濃度または量を検出すること;(iii)被験者から一個以上の投与後検体を採取すること;(iv)投与後検体中のタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの発現または活性のレベルを検出すること;(v)投与前検体中のタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAの発現または活性のレベルを投与後検体中の対応するタンパク質、mRNAまたはゲノムDNAとそれぞれ比較すること;および(vi)被験者への当該薬剤の投与をそれに応じて変化させること:の段階を含む。
治療薬の投与前後に被験者の細胞を採取し、IL−1遺伝子以外の遺伝子の発現のレベルを検出して、有害でありうる遺伝子の発現をその治療薬が上昇も低下もさせないことを確認することもできる。このことは、たとえば、転写プロファイリングの方法を用いて行うことができる。このように、治療薬にin vivoで曝露された細胞に由来するmRNAと、その治療薬に曝露されていない同じ型の細胞に由来するmRNAを逆転写して、多数の遺伝子に由来するDNAを含むチップとハイブリダイズさせ、それによってその治療薬で処理したかまたは処理されていない細胞における遺伝子の発現を比較することができる。
4.IL−1多型に関連する疾患および状態の治療薬
IL−1多型またはハプロタイプに関連する疾患および状態の治療法とは、被験者におけるその特定の疾患または状態の症状を防ぐかまたは発症を延期するかまたは緩和する、任意の物質または治療計画をいう(医薬、栄養補助食品および外科的手段を含む)。治療薬は、ポリペプチド、ペプチドミメティック、核酸、または他の無機または有機分子であることができ、好ましくはビタミン、ミネラル、その他の栄養素を含む「小分子」である。好ましくは治療薬はIL−1ポリペプチドの少なくとも1種類の活性、たとえば、受容体との相互作用を、天然に存在するポリペプチドの効果を模倣または増強(作用)または阻害(拮抗)することによって調節することができる。作用因子は、野生型の生物活性の少なくとも一つ、たとえば受容体結合活性、を有する野生型タンパク質またはその誘導体でありうる。作用因子はまた、遺伝子の発現をアップレギュレートするかまたはタンパク質の少なくとも1種類の生物活性を上昇させる化合物でありうる。作用因子はまた、たとえば受容体といった他の分子とポリペプチドとの相互作用を増大させる化合物でありうる。拮抗因子は、たとえば受容体、またはシグナル伝達あるいは翻訳後修飾を阻害する物質といった他の分子とタンパク質との相互作用を阻害または減少させる化合物(たとえば、 IL−1変換酵素(ICE)阻害因子)でありうる。したがって、好ましい拮抗因子は受容体への結合を阻害または減少させそれによって以降の受容体活性化を阻害する化合物である。拮抗因子はまた、遺伝子の発現をダウンレギュレートするかまたは存在するタンパク質の量を減少させる化合物でありうる。拮抗因子はポリペプチドの優性阻害型、たとえば、受容体のような標的ペプチドと相互作用することができるが、受容体の活性化を促進しない、ポリペプチドの一種でありうる。拮抗因子はまた、ポリペプチドの優性阻害型をコードする核酸、アンチセンス核酸、またはRNAと特異的に相互作用することのできるリボザイムでありうる。さらに他の拮抗因子はポリペプチドと結合しその作用を阻害する分子である。そのような分子は、たとえば、生物学的活性を持たない、受容体への結合を阻害する型の標的ペプチドといったペプチドを含む。このように、そうしたペプチドはタンパク質の活性部位に結合し、標的ペプチドと相互作用するのを阻害する。さらに他の拮抗因子は、分子の抗原決定基と特異的に相互作用し、結合がそのポリペプチドの生物学的機能に干渉する抗体を含む。さらに他の好ましい一実施形態では、拮抗因子はポリペプチドと標的受容体との間の相互作用を阻害することのできる分子のような小分子である。あるいは、その小分子は受容体結合部位以外の部位と相互作用することによって拮抗因子として機能することができる。
IL−1の調節因子(たとえばIL−1α、IL−1βまたはIL−1受容体拮抗因子)またはIL−1遺伝子と連鎖不平衡にある遺伝子にコードされるタンパク質は、タンパク質、ペプチド、ペプチドミメティック、小分子、核酸を含む任意の種類の化合物を含みうる。好ましい作用因子は、核酸(たとえば、IL−1タンパク質かまたは、IL−1タンパク質にアップまたはダウンレギュレートされる遺伝子をコードする)、タンパク質(たとえばIL−1タンパク質またはそれによってアップまたはダウンレギュレートされるタンパク質)または小分子(たとえばIL−1タンパク質の発現または結合を調節する)を含む。好ましい拮抗因子は、たとえばここに記載の分析法によって同定することができ、(たとえば一本鎖(アンチセンス)または二本鎖(三重鎖)DNAまたはRNAおよびリボザイム)、タンパク質(たとえば抗体)および、IL−1転写および/またはタンパク質活性を抑制または阻害するように作用する小分子を含む。
4.1. 有効量
そのような化合物の毒性および治療上の有効性は、培養細胞または実験動物において、たとえばLD50(集団の50%に致死的である量)およびEd50(集団の50%に治療的に有効である用量)を測定するための、標準的な薬学上の手順によって測定することができる。毒性効果と治療的効果との間の用量比が治療指数であり、それはLD50/ED50の比で表すことができる。大きな治療係数を示す化合物が 好ましい。毒性副作用を示す化合物が使用されうる一方、未感染の細胞に対する損傷の可能性を最小化し、それによって副作用を低減するため、そのような化合物を患部組織の部位へターゲッティングする送達系の設計を念入りに行うべきである。
細胞培養分析および動物試験から得られたデータは、ヒトにおける使用のためのさまざまな投与量を処方するのに用いることができる。そのような化合物の投与量は、好ましくはED50を含み毒性をわずかしかまたは全く有しない循環濃度の範囲内にある。投与量はこの範囲内で、使用する剤形および利用する投与経路によって変化させることができる。本発明の方法に用いられる任意の化合物について、治療上有効な量は最初は細胞培養分析から推定することができる。用量は、培養細胞で測定されたIC50(すなわち、症状の最大値の半分の阻害が達成される被験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、モデル動物において処方することができる。そのような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために用いることができる。血漿中濃度は、たとえば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
4.2. 処方および用途
本発明に基づく用途のための医薬組成物は、一個以上の生理学的に受容しうる担体または添加物を用いて、従来の方法で処方することができる。このように、化合物およびその生理学的に受容しうる塩と溶媒和物は、たとえば、注射、吸入または通気(口または鼻のいずれかを通して)または経口、舌下、非経口または直腸適用による投与のために処方することができる。
そのような治療法のために、本発明の化合物は、全身および局所および限局性投与を含むさまざまな投与量のために処方することができる。技術および処方は一般的に非特許文献87に見出すことができる。全身投与には、筋肉内、静脈内、腹腔内、および皮下を含む注射が好ましい。注射のためには、本発明の化合物は、好ましくはたとえばハンク液またはリンガー液のような生理学的に適合する緩衝液中の溶液に処方することができる。さらに、化合物は固体の形に処方し使用直前に再溶解するかまたは懸濁することができる。凍結乾燥形態もまた含まれる。
経口投与用には、当該医薬組成物はたとえば、結合剤(たとえば、ゼラチン化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);増量剤(たとえば、乳糖、微結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ); 崩壊剤(たとえば、ジャガイモデンプンまたはカルボキシメチルスターチナトリウム);または湿潤剤(たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム)といった医薬品として受容できる添加物を用いて従来の方法によって錠剤またはカプセルの形状を取ることができる。錠剤は当該分野でよく知られている方法によってコーティングすることができる。経口投与用の液体製剤は、たとえば、溶液、シロップまたは懸濁液の形を取ることができ、あるいは使用前に水または他の適当な賦形剤で構成するための乾燥製品として与えることができる。そのような液体製剤は、懸濁剤(たとえば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素添加食用脂);乳化剤(たとえば、レシチンまたはアラビアゴム);非水系賦形剤(たとえば、ationd oil、油状エステル、エチルアルコールまたは分画植物油);および保存料(たとえば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸塩またはソルビン酸)といった医薬品として受容できる添加物と共に従来の方法によって調製することができる。当該調製物はまた緩衝塩、香料、着色料、および甘味料を必要に応じて含むことができる。
経口投与用の調製物は活性化合物の徐放を与えるよう適当に処方することができる。舌下投与用には当該組成物は従来の方法で処方された錠剤またはトローチ剤の形を取ることができる。吸入による投与用には、本発明に基づく使用のための化合物は、適当な噴射剤、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当な気体を用いて、加圧包装またはネブライザーからエアロゾルスプレー製剤の形で便利に送達することができる。加圧エアロゾルの場合、投与量単位は、計量した量を送達するためにバルブを提供することによって決定することができる。吸入器または送気器で使用するためのたとえばゼラチンなどのカプセルまたはカートリッジは、当該化合物の粉末混合物およびたとえば乳糖やデンプンのような適当な粉末基剤を含めて処方することができる。
当該化合物は、たとえばボーラス注射または連続注入のような、注射による非経口投与用に処方することができる。注射用処方は単位投与量剤形で、たとえばアンプルでまたは多回投与容器で、保存料を添加して、提供することができる。当該組成物はたとえば懸濁液、溶液または、油性または水性賦形剤中のエマルションといった形を取ることができ、懸濁剤、安定剤および/または分散剤といった添加物を含むことができる。あるいは、有効成分は、たとえば使用前に滅菌パイロジェンフリー水のような適当な賦形剤で構成するための粉末の形であることができる。
当該化合物はまた、たとえばココアバターまたは他のグリセリドのような従来の座剤基剤を含む、たとえば座剤または保留浣腸剤のような直腸用組成物として処方することもできる。
前述した処方に加えて、当該化合物はまたデポ剤として処方することができる。そのような長期に作用する処方は、埋め込み(たとえば皮下にまたは筋肉内に)または筋肉内注射によって投与することができる。このように、たとえば、当該化合物は適当な高分子または疎水性材料(たとえば受容しうる油中のエマルションとして)またはイオン交換樹脂と共に、または、やや溶けにくい塩のようなやや溶けにくい誘導体として、処方することができる。他の適当な送達系は、長期にわたる医薬の局所非侵襲送達の可能性を提供するマイクロスフィアを含む。この技術は、冠カテーテルを経由してたとえば心臓またはその他の器官の任意の選択部分へ、炎症または虚血を引き起こすことなく注入することのできる、前毛細管サイズのマイクロスフィアを利用する。投与された治療薬はこれらのマイクロスフィアから徐々に放出され、周囲のT組織細胞(たとえば内皮細胞)によって取り込まれる。
全身投与もまた経粘膜的または経皮的手段によることができる。経粘膜投与または経皮投与用には、浸透すべきバリアに対して適当な浸透剤が処方に用いられる。そのような浸透剤は一般的に当該分野で既知であり、たとえば、経粘膜投与用には胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を含む。さらに、浸透を促進するために界面活性剤を使用することができる。経粘膜投与はスプレー式点鼻薬を通じてかまたは座剤を用いることができる。局所投与用には、本発明のオリゴマーは、一般的に当該分野で既知である通り、軟膏、膏剤、ゲル、またはクリームに処方される。外傷または炎症を治療して治癒を加速するために洗浄溶液を局所的に用いることができる。
当該組成物は、必要に応じて、活性成分の入った、一またはそれ以上の単位 投与量剤形を含むことのできる包装またはディスペンサー器具で与えることができる。包装は、ブリスター包装のような、たとえば金属またはプラスチック箔を含むことができる。包装またはディスペンサー器具は、投与のための説明書を付けることができる。
5.治療薬を同定するための分析法
IL−1多型またはハプロタイプに関連する疾患または障害の発症を引き起こすかまたはそれに寄与する突然変異の同定に基づいて、本発明はさらに、治療薬を同定するために細胞系および無細胞系分析を取り上げる。一実施形態では、IL−1 受容体、または IL−1 遺伝子と連鎖不平衡にある遺伝子によってコードされるタンパク質の受容体を、細胞膜の外表面上に発現している細胞を、被験化合物単独の存在下または被験化合物および別のタンパク質の存在下でインキュベートし、被験化合物と受容体の間、またはそのタンパク質(好ましくは標識タンパク質)と受容体との間の相互作用を、たとえばマイクロフィジオメーターを用いることによって検出する(非特許文献88)。受容体と、被験化合物またはタンパク質のどちらかとの間の相互作用は、マイクロフィジオメーターによって培地の酸性化の変化として検出される。この分析系はこのように、たとえばタンパク質−受容体相互作用に干渉することによって機能する分子拮抗因子、ならびにたとえば受容体を活性化することによって機能する分子作用因子を同定する手段を提供する。
細胞系または無細胞系分析を用いて、IL−1 遺伝子またはそれと連鎖不平衡にある遺伝子の発現を制御するか、mRNAの翻訳を調節するか、あるいはmRNAまたはタンパク質の安定性を調節する化合物を同定することができる。したがって、一実施形態では、IL−1、または他のタンパク質を産生することのできる細胞を被験化合物とインキュベートし、培地中に産生されたタンパク質の量を測定し、被験化合物と接触させていない細胞から産生された量と比較する。そのタンパク質に対する当該化合物の特異性は、さまざまな対照分析、たとえば、一個以上の対照遺伝子の発現を測定することによって確認できる。特に、この分析法はアンチセンス、リボザイムおよび三重鎖化合物の有効性を測定するために用いることができる。
無細胞系分析もまた、タンパク質と相互作用しそれによって当該タンパク質の活性を修飾する能力のある化合物を同定するのに用いることができる。そのような化合物は、たとえば、タンパク質の構造を修飾しそれによって当該タンパク質が受容体に結合する能力に影響を与えることができる。好ましい一実施形態では、そのような化合物を同定するための無細胞系分析は、本質的に、結合パートナーの存在下または非存在下でタンパク質および被験化合物または被験化合物のライブラリを含む反応混合物にある。被験化合物は、たとえば、生物学的に不活性な標的ペプチドのような結合パートナーの誘導体、または小分子であることができる。
したがって、本発明の典型的なスクリーニング分析の一つは、タンパク質またはその機能性断片を被験化合物または被験化合物のライブラリと接触させ複合体の形成を検出する段階を含む。検出のために、分子は特定のマーカーで標識することができ被験化合物または被験化合物のライブラリは別のマーカーで標識することができる。次いで被験化合物とタンパク質またはその断片との相互作用を、インキュベート段階と洗浄段階の後に、2種類の標識の濃度を測定することによって検出することができる。洗浄段階後の2種類の標識の存在は相互作用の指標となる。
分子間の相互作用もまた、光学現象である表面プラズモン共鳴(SFR)を検出するリアルタイムBIA(生物分子相互作用分析、Pharmacia Biosensor AB)を用いることによって識別することができる。検出は生体特異的インターフェイスにおける巨大分子の質量濃度の変化に依存し、反応体の標識を必要としない。一実施形態では、被験化合物のライブラリを、たとえばマイクロフローセルの一面を形成するセンサー表面上に固定化することができる。タンパク質またはその機能性断片を含む溶液を次いで連続的にセンサー表面上に流す。シグナル記録上に示される共鳴角の変化が、相互作用が起こったことを示す。この技術は、たとえばPharmaciaの非特許文献89にさらに記載されている。
本発明のもう一つの典型的なスクリーニング分析は、(a)(i)IL−1または他のタンパク質、(ii)適当な受容体、および(iii)被験化合物:を含む反応混合物を作る;そして(b)タンパク質と受容体の相互作用を検出する段階を含む。被験化合物の存在下でのタンパク質と受容体の相互作用における統計的に有意な変化(増強または阻害)は、被験化合物の非存在下での相互作用と比較して、被験化合物について拮抗因子(阻害因子)の可能性を示す。この分析の化合物は同時に接触させることができる。あるいは、タンパク質を適当な長さの時間被験化合物と最初に接触させ、次いで受容体を反応混合物に添加することができる。化合物の有効性は、さまざまな濃度の被験化合物を用いて得られたデータから用量反応曲線を作成することによって評価することができる。さらに、比較のためのベースラインを提供する対照分析も実施することができる。タンパク質と受容体との間の複合体形成はさまざまな方法によって検出することができる。複合体の形成の調節は、たとえば、放射性標識、蛍光標識、または酵素標識されたタンパク質または受容体といった検出可能に標識されたタンパク質を用いて、イムノアッセイによって、またはクロマトグラフィー検出によって定量することができる。
典型的には、タンパク質または受容体のいずれかを固定化することが、それらのタンパク質の一方または両方の非複合型から複合体の分離を促進するため、ならびに分析の自動化に対応させるためには望ましい。タンパク質と受容体の結合は、反応物を閉じ込めるのに適当な任意の容器内で達成することができる。例は、マイクロタイタープレート、試験管、および超遠心チューブを含む。一実施形態では、タンパク質がマトリクスに結合するのを可能にする領域を付加する融合タンパ融合タンパク質はグルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical, St Louis, MO)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレートに吸着させることができ、それを次いでたとえば35S−標識受容体のような受容体、および被験化合物と結合させ、複合体形成を招く条件下で、たとえば塩およびpHについて生理学的条件で、わずかにそれより厳しい条件が望ましいが、混合物をインキュベートする。インキュベート後、ビーズを洗浄して結合していない標識を除去し、固定化したマトリクスおよび放射性標識を直接測定する(たとえばビーズをシンチレーション液に入れる)かまたは続いて複合体を解離させ上清中について測定する。あるいは、複合体をマトリクスから解離させ、SDS−PAGEによって分離し、ビーズ画分中に見られるタンパク質または受容体の濃度を、付属の実施例に記載のような標準的電気泳動技術を用いてゲルから定量することができる。タンパク質をマトリクス上に固定化する他の方法もまた本分析に利用することができる。たとえば、ビオチンとストレプトアビジンの結合を利用してタンパク質または受容体のいずれかを固定化することができる。
遺伝子導入動物を作製して、作用因子および拮抗因子を同定するかまたは、治療薬候補の安全性と有効性を確認することもできる。本発明の遺伝子導入動物は、適当な内因性プロモーターの調節下にあるかまたは異種プロモーターの調節下にある再狭窄原因突然変異を有する非ヒト動物を含むことができる。
遺伝子導入 動物はまた、適当な プロモーターまたはその断片の調節下にある、レポーター遺伝子のような導入遺伝子を含む動物であることができる。これらの動物は、たとえば、遺伝子発現を調節することによってIL−1タンパク質の産生を調節するような薬物を同定するのに有用である。遺伝子導入非ヒト動物を得る方法は当該分野でよく知られている。好ましい実施形態では、再狭窄 原因 突然変異の発現は、たとえば目的のパターンにおいて発現を調節するシス作用配列を利用して、細胞、組織または発生段階の特定の部分集合に限られている。本発明では、タンパク質のそのようなモザイク発現は多くの種類の系譜分析に必須となる可能性があり、また加えてたとえば、他の態様では正常な胚の中の組織の小さな区画において発生を大きく変化させうる発現レベルの影響を評価する手段を提供しうる。このような目的で、ある空間的パターンにおいて突然変異の発現を調節するために、組織特異的調節配列および条件的調節配列を用いることができる。さらに、発現の一時的パターンを、たとえば、条件的組み換え系または原核細胞転写調節配列によって提供することができる。遺伝子技術は、in vivoの部位特異的遺伝子操作を介して突然変異の発現が調節されうることを可能にし、当該分野の熟練者に既知である。
本発明の遺伝子導入動物はすべて、複数の細胞内に本発明の原因 突然変異 導入遺伝子を含み、その導入遺伝子は「宿主細胞」の表現型を変化させる。説明のための実施形態において、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼ系(非特許文献90;非特許文献91)またはSaccharomyces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼ系(非特許文献92;特許文献20)のいずれかを用いてin vivo部位特異的遺伝子組み換え系を作製することができる。Creリコンビナーゼは、loxP配列の間に位置する介在する標的配列の部位特異的組み換えを触媒する。loxP配列はCreリコンビナーゼが結合する34塩基対ヌクレオチド反復配列であり、Creリコンビナーゼに媒介される遺伝子組み換えに必要である。loxP配列の向きは、Creリコンビナーゼが存在する場合に介在する標的配列が切り取られるか反転するかを決定する(非特許文献93);loxP配列が順方向反復の向きである場合は標的配列の切り取りを触媒し、loxP配列が逆方向反復の向きである場合は標的配列の反転を触媒する。したがって、標的配列の遺伝子組み換えはCreリコンビナーゼの発現に依存する。当該リコンビナーゼの発現は、たとえば組織特異的、発生段階特異的、外部から添加された物質によって誘導可能または抑制可能な、調節的制御を受けるプロモーター配列によって調節することができる。この調節された制御は、リコンビナーゼ発現が当該プロモーター配列によって媒介される細胞においてのみ標的配列の遺伝子組み換えを結果として生じる。このように原因突然変異導入遺伝子の発現の活性化は、リコンビナーゼ発現の制御を介して調節することができる。
原因突然変異導入遺伝子の発現を調節するためのcre/loxPリコンビナーゼ系の使用は、Creリコンビナーゼと対象タンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含む遺伝子導入動物の作製を必要とする。Creリコンビナーゼおよび再狭窄原因突然変異導入遺伝子の両方を含む動物は、「二重」遺伝子導入動物の作製を通じて提供することができる。そのような動物を提供する便利な方法は、それぞれ一つの導入遺伝子を含む2種類の遺伝子導入動物を交配することである。
同様の条件的導入遺伝子は、導入遺伝子の発現を促進するために原核細胞タンパク質が同時に発現することを必要とする原核細胞プロモーター配列を用いて提供することができる。典型的なプロモーターおよび対応する転写促進原核細胞タンパク質が特許文献21で与えられている。
さらに、条件的導入遺伝子の発現は、たとえばリコンビナーゼまたは原核細胞タンパク質のような転写促進タンパク質をコードする遺伝子が、たとえば細胞型特異的な方法で組織へ送達され発現させられる、遺伝子療法的な方法によって誘導することができる。この方法によって、転写活性化因子の導入によって「スイッチが入る」まで、導入遺伝子は成体になるまでサイレントのままに留まることができる。
典型的な一実施形態では、本発明の「遺伝子導入非ヒト動物」は、非ヒト動物の生殖細胞系列に導入遺伝子を導入することによって作製される。さまざまな発生段階にある胚の標的細胞を、導入遺伝子を導入するのに用いることができる。胚の標的細胞の発生段階によってさまざまな方法が用いられる。本発明を実施するために用いられる任意の 動物の特定の系統は、良好な全身の健康、良好な胚収率、胚の中で前核がよく見えること、および良好な繁殖適性について選択される。さらに、ハプロタイプは重要な要因である。たとえば、遺伝子導入マウスを作製する場合、C57BL/6またはFVB系といった系統がしばしば用いられる(Jackson Laboratory, Bay Harbor, ME)。好ましい系統は、C57BL/6またはDBA/1のようにH−2b、H−2dまたはH−2qハプロタイプを持つものである。本発明を実施するために用いられる系統は、それ自体が遺伝子導入動物であることができ、および/またはノックアウト動物(すなわち、一個以上の遺伝子を部分的にまたは完全に抑制された動物から得られた)であることができる。
一実施形態では、導入遺伝子構築体は一細胞期胚に導入される。接合子はマイクロインジェクションのための最適の標的である。マウスでは、雄性前核は直径約20マイクロメートルの大きさに達し、DNA溶液1−2pLの再現性のある注入を可能にする。遺伝子導入の標的としての接合子の使用は、ほとんどの場合で注入されたDNAは最初の分裂の前に宿主遺伝子に組み込まれるという大きな長所を有する(非特許文献94)。結果として、その遺伝子導入動物のすべての細胞が、組み込まれた導入遺伝子を持つことになる。生殖細胞の50%が導入遺伝子を持つようになるため、このことはまた一般に、創始者の子孫への導入遺伝子の効率的な伝達にも反映される。
通常、受精した胚は前核が現れるまで適当な培地中でインキュベートされる。この頃に、導入遺伝子を含むヌクレオチド配列が雌性または雄性前核に下記の通り導入される。マウスのような一部の種では、雄性前核が好ましい。外因性遺伝物質は、接合子の雄性DNA補集合に、それが卵核または接合子の雌性前核によって処理される前に加えるのが非常に好ましい。卵核または雌性前核は、おそらく雄性DNAのプロタミンをヒストンに交換することによって、雄性DNA補集合に影響を与える分子を放出し、それによって雌性および雄性DNA補集合が結合して2倍体接合子を形成するのを促進すると考えられている。このように、外因性遺伝物質は、DNAの雄性補集合またはDNAの任意の他の補集合へ、それが雌性前核に影響を受ける前に添加されるのが好ましい。たとえば、外因性遺伝物質は雄性前核の形成後できるだけ早く、初期雄性前核に添加され、その時は雄性および雌性前核がよく分離していて両方とも細胞膜の近くに位置する。あるいは、外因性遺伝物質は、精子の核に、それが脱凝縮するよう誘導された後に、添加することができる。外因性遺伝物質を含む精子はその後卵子に加えることができ、またはその脱凝縮した精子は導入遺伝子構築体を加えられた卵子にその後できるだけ早く加えることができる。
導入遺伝子ヌクレオチド配列の胚への導入は、たとえば、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、またはリポフェクションといった、当該分野で既知の任意の方法によって達成することができる。導入遺伝子ヌクレオチド配列の胚への導入後、胚はさまざまな長さの時間in vitroでインキュベートでき、または代理母に再移植することができ、またはその両方である。満期までのin vitro培養も本発明の範囲内である。一つの一般的方法は、胚をin vitroで、種によって約1〜7日間インキュベートし、次いでそれらを代理母に再移植することである。
本発明の目的のためには、接合子は本質的に、完全な生物体に発生する能力を有する二倍体細胞の形成である。一般に、接合子は一個の配偶子または複数個の配偶子に由来する二個の半数体核の融合によって、自然にまたは人工的に形成された核を含む卵から成る。このように、配偶子核は自然に適合するもの、すなわち、分化して機能する生物体に発生する能力を有する、生存力のある接合子を生じるものでなければならない。一般に、正倍数性の接合子が好ましい。異数性の接合子が得られた場合は、染色体の数はどちらか一方の配偶子が由来する生物の正倍数に関して1より大きく異なるべきでない。
同様の生物学的検討事項に加えて、物理的検討事項もまた、接合子の核にまたは接合子核の一部を形成する遺伝物質に加えることのできる外因性遺伝物質の量(たとえば、容積)を支配する。遺伝物質が除去されない場合、加えることのできる外因性遺伝物質の量は、物理的に破壊を起こさせずに吸収される量によって制限される。一般に、挿入される外因性遺伝物質の容積は、約10ピコリットルを超えない。添加の物理的影響は、接合子の生存能力を物理的に破壊するほど大きくてはならない。結果として生じる接合子の遺伝物質は、外因性遺伝物質を含め、機能する生物への接合子の分化および発生を開始および維持する能力を生物学的に有しなければならないため、DNA配列の数および種類の生物学的限界は、その特定の接合子および外因性遺伝物質の機能に依存して変化し、また当該分野の熟練者には容易に明らかとなる。
接合子に加えられた導入遺伝子構築体のコピー数は、加えられた外因性遺伝物質の総量に依存し、形質転換が起こることが可能な量となる。理論的には一コピーだけが必要である;しかし一般に、一つのコピーが機能することを保証するために、たとえば導入遺伝子構築体の1,000〜20,000コピーといった多数のコピーが使用される。本発明に関しては、外因性DNA配列の表現型発現を促進するためには、挿入された外因性DNA配列のそれぞれの機能するコピーを一より多く有することの利点がしばしばある。
外因性遺伝物質の核遺伝物質への添加を可能にする任意の方法を、それが細胞、核膜または他の既存の細胞構造または遺伝子構築体にとって破壊的でない限り利用することができる。外因性遺伝物質は、マイクロインジェクションによって優先的に核遺伝物質に挿入される。細胞および細胞構造のマイクロインジェクションは当該分野で既知であり使用されている。
再移植は標準的方法を用いて達成される。通常は、代理母は麻酔し、胚は卵管に挿入される。特定の代理母に移植する胚の数は種によって異なるが、通常はその種が自然に生じる産仔数に相当する。
代理母の遺伝子導入した子は、導入遺伝子の存在および/または発現について任意の適当な方法によってスクリーニングすることができる。スクリーニングはしばしば、導入遺伝子の少なくとも一部と相補的なプローブを用いてサザンブロットまたはノーザンブロット分析によって達成される。導入遺伝子によってコードされたタンパク質に対する抗体を用いたウェスタンブロット分析を、導入遺伝子産物の存在についてのスクリーニングに、代替または追加の方法として用いることができる。典型的には、DNAは尾部組織から調製され、導入遺伝子についてサザン分析またはPCRで分析される。あるいは、この分析には任意の組織または細胞型を用いることができるが、導入遺伝子を最高のレベルで発現すると信じられている組織または細胞が、導入遺伝子の存在および発現についてサザン分析またはPCRを用いて分析される。
導入遺伝子の存在について評価するための代替または追加の方法は、制限無しに、酵素および/または免疫学的分析といった適当な生化学分析、特定のマーカーまたは酵素活性についての組織学的染色、フローサイトメトリー分析、などを含む。血液中の導入遺伝子産物の存在を検出するため、ならびにさまざまな種類の血球細胞および他の血液成分の濃度に及ぼす導入遺伝子の影響を評価するために、血液の分析もまた有用でありうる。
遺伝子導入動物を適当なパートナーと交配することによって、または遺伝子導入動物から得られた卵および/または精子のin vitro受精によって、遺伝子導入 動物の子孫を得ることができる。パートナーとの交配を実施する場合は、パートナーは遺伝子導入および/またはノックアウト動物であってもなくてもよい;遺伝子導入動物である場合は、同一かまたは異なる導入遺伝子、または両方を含みうる。あるいは、パートナーは親系統であることができる。in vitro受精が用いられる場合、受精胚は代理母に移植するかまたはin vitroで培養するか、または両方であることができる。いずれかの方法を用いて、子孫は導入遺伝子の存在について上記の方法または他の適当な方法を用いて評価することができる。
本発明に従って作製された遺伝子導入動物は外因性遺伝物質を含む。さらに、そのような実施形態では、配列は、たとえば好ましくは導入遺伝子産物の発現を特定の種類の細胞で可能にする、転写調節配列たとえばプロモーターと結合される。
レトロウイルス感染もまた、導入遺伝子を非ヒト動物に導入するために用いることができる。発生中の非ヒト胚はin vitroで胚盤胞期まで培養することができる。この間に、割球はレトロウイルス感染の標的となることができる(非特許文献95)。割球の効率的な感染は、透明体を取り除く酵素的処理によって得られる(非特許文献96)。導入遺伝子を導入するのに用いられるウイルスベクター系は典型的には、導入遺伝子を有する非増殖型レトロウイルスである(非特許文献97;非特許文献98)。割球をウイルス産生細胞の単層上で培養することによって、遺伝子導入は容易にかつ効率的に得られる(非特許文献98; 非特許文献99)。あるいは、感染はより後期で実施することができる。ウイルスまたはウイルス産生細胞は、胞胚腔に注入することができる(非特許文献100)。遺伝子導入非ヒト動物を形成する細胞の部分集団においてのみ組み込みが起こるため、創始者の大部分は導入遺伝子に関してモザイクとなる。さらに、創始者は、導入遺伝子のさまざまなレトロウイルス挿入を、一般的に子孫で分離するゲノム中のさまざまな位置に含みうる。加えて、妊娠中の胚の子宮内レトロウイルス感染によって生殖細胞系に導入遺伝子を導入することもまた可能である(非特許文献100)。
導入遺伝子導入のための別の種類の標的細胞は胚性幹細胞(ES)である。ES細胞はin vitroで培養された移植前胚から得られ、胚と融合される(非特許文献101;非特許文献102;非特許文献103;および非特許文献104)。導入遺伝子は、DNA遺伝子導入によってまたはレトロウイルス媒介形質導入によって効率的にES細胞に導入することができる。そのような形質転換ES細胞は、その後非ヒト動物由来の胚盤胞と一体化させることができる。ES細胞はその後、胚にコロニーを形成し、結果として生じるキメラ動物の生殖細胞系に寄与する。総説は非特許文献105を参照。
本発明は、いかなる方法でも制限的と理解されるべきでない以下の実施例によってさらに説明される。引用されたすべての参考文献の内容は(本明細書の全体にわたって引用された参照文献、発行済み特許、公開特許公報を含む)ここに明示的に参照によって開示に含まれる。本発明の実施は、別に指定されない限り、当該分野の技術の範囲である従来技術を使用する。そのような技術は文献に完全に説明されている。たとえば、非特許文献106;非特許文献107;非特許文献108;特許文献22;特許文献23;および非特許文献109を参照。
1.IL−1B(−3737)多型の分子的解析
この実施例では、我々はIL−1B遺伝子の以前は未知であった上流の多型の対立遺伝子をクローンし、配列決定し、転写への影響を分析した。我々は以前に、IL−1遺伝子群に分布するマーカーの間の高度の連鎖不平衡を示し、この−3737位の新しい多型は、IL−1β産生速度の変化ならびに炎症性疾患および感染症に対する感受性と以前に関連づけられている−511、−31、および+3954位の多型と連鎖している。この新しい、機能性の多型における遺伝子型の確認は、IL−1産生が病因に寄与する場合に、疾患に対する感受性のより直接的な遺伝子検査を提供する。
我々は、インターロイキン−lB(IL−1B)遺伝子のさまざまな対立遺伝子の転写活性を調べた。北ヨーロッパ人集団では、IL1B対立遺伝子状態は歯周炎(非特許文献110)、および胃がん(非特許文献111)を含む多数の慢性炎症性疾患に関連しているため、これは興味あるものである。
これらの関連の基礎となる分子機構の解明は、病因の機構を調節するための介入の合理的な設計を可能にしまた予測診断的遺伝子検査の性能を改善するので、重要である。IL1遺伝子群全体の広範囲の連鎖不平衡 (非特許文献112を参照)は、現在知られている「マーカー」多型が、疾患過程の原因となる関係がある別の多型(「病因多型」)と連鎖していることを可能にする。「マーカー」と「病因」多型間の連鎖の程度は、人種間で差がありうるが、「マーカー」多型を利用する遺伝子検査の全体的な性能の重要な決定因子となる。この状況は、市販の「TST検査」の有用性が北ヨーロッパ人集団以外では低いことを説明しうる(非特許文献110; 非特許文献113)。
慢性炎症性疾患(心臓血管疾患、歯周炎および胃がんを含む)に対する感受性の増大の原因である機能性IL−1 SNPの同定は、これらの疾患過程を調節する介入の合理的設計、ならびに予測診断的遺伝子検査の改良のために、決定的に重要である。我々の研究は、IL1B転写に及ぼす多型の影響を調べるために設計された。IL1B−31(TATAボックス)多型と胃がんとの関連を記載したEl−Omarと共同研究者らは(非特許文献111を参照)、そのTATAボックスへの転写因子の結合の変化が、IL1B遺伝子の転写の違いの原因である可能性があり、彼らが観察した疾患(胃がん)の原因となる関係がありうることを示唆した。転写分析は、しかし、彼らの論文の中には示されなかった。本研究はIL−1Bの現在知られているSNPならびに(−3737)IL−1B多型の転写活性を調べた。
我々はIL1BmRNA延長を測定する転写速度(核ランオン)アッセイを実施した。これらの実験は、末梢血単核細胞(PBMC)についてex vivoで実施された。白血球はLPS 1ug/ mLで刺激し、核抽出物を2時間後に調製した。細胞は、IL1B群にわたって異なる遺伝子型に基づいて選択されたさまざまな個人から抽出された。
各個人は3回の別々の機会に試験し、個人毎に平均転写活性を計算した。この実験は、+3953IL1B多型の影響を調査するために設計された;この多型に関連してIL1B活性に有意差は観察されなかった。しかし、データを再分析して−511多型の影響を調べた場合、対立遺伝子特異的な転写の違いは明らかであった(図2を参照)。
図2中のデータは、IL1B転写と−511多型状態との間の関連を支持する。それらは他の、連鎖した多型の寄与を除外しない。そのデータセットはおそらく小さすぎてハプロタイプによる再分析はできないが(非特許文献112を参照)、個々の多型でなくハプロタイプが、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患重症度、および結核を含むいくつかの疾患に関連すると報告されている(たとえば非特許文献112;非特許文献114;非特許文献115;非特許文献116を参照)。
IL1Bプロモーター構造
IL1Bプロモーターは広範囲にわたる構造であり、転写イニシエーターの少なくとも4kb上流に達する。IL1Bプロモーターを下記に図式的に示す(図3)。1990年代初めのいくつかの研究は、その機能を突然変異誘発によって調べた。戦略はすべての例で同様であり、プロモーター断片をレポーター遺伝子に連結することを含んだ。エクソン1は非コードでありATGはエクソン2に存在する;NcoI制限部位(CCATGG)は最初のコドンを含み、エクソン1と天然のスプライスシグナルを保持しながらIL1Bコード配列をレポーター遺伝子で簡単に置換するのを可能にする。
これらの研究は、2つの主要なプロモーター領域、+547(ATG)から約−1000bpまでに及ぶ近位のもの、および−4000から−2757の領域に存在する遠位プロモーター、の存在を実証した(図2)。この遠位プロモーターは幅広く文献で「エンハンサー」として言及されているが(たとえば非特許文献117;非特許文献84[正誤表は非特許文献85に掲載];非特許文献118;非特許文献119、方向の独立性は実験的には確立されていない。
近位プロモーター
近位プロモーターは複数の可能な転写因子結合部位を含む;NF−kB様要素が重要であることが実験的に示されている(非特許文献120;非特許文献121;非特許文献122;非特許文献123;非特許文献124、NF−IL6(C/EBP)、非特許文献119;非特許文献122;非特許文献125;非特許文献126、およびPU−1様要素、非特許文献127[正誤表は非特許文献128に掲載];非特許文献129;非特許文献130;非特許文献131を参照)。
遠位プロモーター
遠位プロモーターはコア領域 (−2982→−2729)を含み(非特許文献117を参照)それは複数の転写因子結合部位を含む(非特許文献119を参照)。この領域は単核球におけるIL1B 遺伝子のLPSまたはPMA誘導に必要である(非特許文献117; 非特許文献119)。−2982→−2729 領域中のC/EBPおよびNF−kB 結合部位は機能的に重要であることが実験的に示されている(非特許文献118; 非特許文献119; 非特許文献132を参照)。欠失 突然変異誘発は、遠位 プロモーターの短い−2982 → −2729 領域は遠位 プロモーター 領域全体の活性の約60〜70%を担うことを示す(非特許文献118; 非特許文献119)残りの約30%の活性を担う−3753から−2982位の領域中の配列は定義されていない。
下記の実験は:上記に示す対立遺伝子特異的転写の変異はレポーター構築体を用いて実証できるかどうか; −3 1 または −5 1 1 多型は転写の変異の原因となる関係があることを示せるかどうか;そして転写の違いに伴う別の多型を見出すことができるかどうか、を扱う。試験した領域中のそのような調節多型の存在は、試験した領域の外に位置し生理的調節に関連する他の、連鎖した多型の存在を排除しないということが認められた。
方法
IL1Bを含むコスミド
このコスミド、pCOS−IL1 Bus1は、我々の研究室のDr M. Nicklinによって提供された。それはDr Nicklinによって1993年にEMBL ゲノムDNAライブラリからハイブリダイゼーションによって単離された。このライブラリの構築に用いられた個人の民族的起源は不明である。制限地図がDr Nicklinによって提供された。それはDH5alpha E. coli中に導入され、カナマイシン50ug/ml LB寒天平板培地上で維持された。増幅は単コロニーから37度で、5ug/mLカナマイシン含有2xYT培地20mL中であった。
IL1Bを含むコスミドに由来するレポーター構築体
一連のこれらのプラスミドが構築された。予備実験は、pGL3−enhancerでなくpGL3−basicベクター(共にPromega)が、計画したトランスフェクション実験に適当であることを示した。最初に、ベクターpGL3−basicをNcoIおよびBamHIで切断し、コスミドPCOS−IL1Bus1に由来し近位IL1Bプロモーター(−1815→+547)を含むNcoI−BamHI断片を連結して、プラスミドpILG−A1を生じた。続いて、同様に遠位プロモーターを含む別のプラスミドを作製した。これは、コスミドpCOS−EL1Bus1およびpILG−A1をAsp718IおよびHindIIIで消化し、遠位プロモーター−4000〜−1815を切断されたpILG−A1ベクターに連結して構築し、pILG−S1を生じた。独特の内部制限部位を持つpILG−SlおよびpILG−A1の消化、次いでKlenowDNAポリメラーゼを用いた平滑化と、分子間連結を用いて、IL1Bプロモーターの一連の欠失突然変異を生成した。このように作製されたプラスミドは下記の表4に示す。
Figure 0004492849
IL1Bプロモーターの突然変異誘発
クローンS1について二重鎖自動配列決定を実施した。得られた配列情報を用いて、オリゴヌクレオチドは−511および−31残基を別の塩基へ変化させるように設計された(非特許文献111;および非特許文献133を参照)。これらのオリゴヌクレオチドは「−31プローブ1」および「−511プローブ1」で表す。これらのオリゴヌクレオチドの配列は下記に示す(図1で下線)。それらは、GeneEditorシステム(Promega)を取扱説明書に従って使用してpILG−A1プラスミドを突然変異誘発するのに用いられた。−31および−511の状態のすべての可能な組み合わせを生じるために、オリゴヌクレオチドは個別におよび一緒に使用した。突然変異誘発の成功、および二次突然変異の非存在は、二重鎖DNA配列決定によって確認された。
pILG−A1誘導体はIL1Bプロモーターの−1815→+547断片だけを含むので、これらの挿入部を含むベクターはAsp718IとXmaI(SmaI)で消化され、pILG−S1Asp718I→Xmal断片は、タイプ2遠位プロモーターを含むが、突然変異近位プロモーターに連結された。結果として生じるベクターは下記の表5に示す。
Figure 0004492849
ヒト血液および細胞株からのDNA抽出、および遺伝子型解析
これはCentra PureGene血液キットを取扱説明書に従って使用して実施した。DNAは50ul の TE 緩衝液に再懸濁し、−20で保存した。細胞株はATCCの推奨に従って培養し、下記の通りであった:HL60、A549細胞、U937、MonoMac6、EHEB−1。これらの細胞株のすべてはコーカサス人起源であった。1 x 10 7 個の細胞を抽出した。DNAはボランティア1名のPBMCから抽出した。使用した唯一のボランティア、Dr. Ken Komman (R&D Director, Interleukin Genetics, Inc.)は、実験についてのインフォームド・コンセントを与えた。細胞株の遺伝子型は、以前に記載された通り、TaqMan法によって決定した。得られた遺伝子型は表6に示す。
Figure 0004492849
ヒトIL1BプロモーターのPCRクローニング
ヒトIL1BプロモーターのPCRクローニングのための条件を最適化した。プルーフリーディング酵素単独(PfiiとPfx)を調べたが、プルーフリーディング/Taqの組み合わせでだけ産物が観察された。最終的に使用した条件は、Trioblockサーモサイクラー、薄肉試験管、油、25ulの反応、500pgのテンプレート、200nMのdNTPs、1mMのプライマーILG−9およびILG−18、市販の1xHerculaseポリメラーゼ緩衝液(Stratagene)。HerculaseはPfu−turboとTaqDNAポリメラーゼの混合物である。サイクル反応は下記の通りであった:94度2分間、次いで0.5ul Herculaseポリメラーゼを用いて高温開始、次いで30サイクル(94度30秒間、66度30秒間、72度6分間)。産物は希釈して50ulとし、ポリメラーゼと緩衝液はChromospin 200ゲル濾過カラム(Clontech)を取扱説明書通りに使用して除去した。溶出した産物は下記の酵素で消化した:10UのAsp718I、0.02UのNcoI。これは内部および3'のNcoI部位の部分消化を達成した。混合物は加熱して不活性化し、適当な比率でAsp718I−NcoI消化pGL3−basicベクターに連結し、Library efficiency DHSalpha細胞(Life Technologies)に導入した。陽性コロニーは、遠位エンハンサーに対するPCRスクリーニングによっておよび/または制限分析によって同定した。
各遺伝子型の少なくとも2つのクローンを各テンプレートから得た。PCR突然変異は、PCRサイクルの初期に生じた場合でさえ、それが複数の単離物に見られることに基づいて多型から識別できるように、これらのクローンは完全に独立したPCR反応に由来した。
プラスミドはLB培地中で培養した。Maxipreparation(商標)には、150mlの培養物を用いた。nと保存にはエンドトキシンフリーTE緩衝液(Qiagen)および試験管(Cryovials)を用いた。ElutioPlasmid maxipreparationは転写分析に用いたすべてのプラスミドについて実施し、Qiagen Endofree maxipreparation系を使用し、最後のイソプロパノール沈澱段階を、優れた沈澱を生じた手順である、50mlエンドトキシンフリー使い捨て遠沈管を用いて3,500rpmにてSanyoスイングアウト組織培養遠心分離機で実施した以外は取扱説明書通りに実施した。Nalgene)。濃度はUV分光測光法によって少なくとも2回の機会に測定し、制限分析とゲル定量によって確認した。
多型の同定
クローンは単離され、その目的のために設計された一連の内部プライマーを用いて自動化配列決定によって配列決定された。配列はFactura塩基判定アルゴリズム(ABI)で評価して2%より大の曖昧さが存在した場合は受容されなかった。Factura 1.1を用いた曖昧さの表示後、AutoAssembler 2.1(ABI)の1パスを用いて配列トレースを組み立てて一つのコンティグとした。組立および塩基判定の不良な領域は手動で編集した。得られたコンティグ、および注釈付きクロマトグラムは、CDに付属してある。共通配列はAutoAssemberによってデフォルトパラメータを用いて計算し、得られた配列は、Genetyx−Mac 7.3 (Software Development Corp.)および/または、独立のMac実行可能ファイルとして http://www.ncbi.nlm.nih.govから入手したClustalXを用いて揃え点検した。多型は揃えた配列中で目視により探し、同一位置で1つより多い配列に生じていれば配列間の違いと考えられた。1つの配列だけに見出された一塩基対の違いは、おそらくPCR誘導性突然変異と考えられ、そのように表示された。
細胞株
RAW264.7 細胞 (ECACC 91062702)はペニシリン−ストレプトマイシンおよび10%加熱不活性化ウシ胎児血清を含むRPMI1640中で培養した。低エンドトキシン(<10mIU/ml)血清を使用した(Life Technologies)。細胞は1:6(面積:面積)を3〜4日毎に削ぎ取って分割した。
トランスフェクションおよび転写分析
RAW264.7細胞は96ウェルプレートに2.5x104細胞/ウェルの密度で100ulの完全培地に播種した。24時間後、細胞にホタルルシフェラーゼを発現させる発現ベクター400ng、および構成性プロモーターの下でウミシイタケルシフェラーゼを発現させるpTKrLuc(Promega)100ngをトランスフェクションした。これを実施するのに、2.5 ulの Superfect (Qiagen)を取扱説明書に従って使用した。培地/ DNA /リポソーム混合物は添加の2.5時間後に吸引除去し、予め加温した完全培地150 ulに交換した。24時間後、作用因子を添加し、作用因子の添加の6時間後に両方のルシフェラーゼ活性の分析(Dual−Luciferase, Promega)を実施した。正規化したルシフェラーゼ活性はホタル/ウミシイタケルシフェラーゼ光産生として表した。
結果および考察
RAW細胞−IL1B研究に適当な細胞株
本研究は、分化したマクロファージ様細胞株であり、IL1Bプロモーターの研究に適当なモデルであることが以前に示されている、RAW264細胞を使用した。非特許文献119。結果は、プラスミドに導入されたIL1Bプロモーターの効率的な誘導には遠位プロモーターが必要であったことを示す(図参照)。
タイプ2プロモーターの活性に及ぼす−31または−511多型の突然変異の影響
IL1Bプロモーターの−31TATAボックス多型は、対立遺伝子間の転写の差異、およびその結果生じる、IL1B表現型に関連する病因的効果の原因であると提案されている(非特許文献111を参照)。そのような機構がいくつかの他の遺伝子について記載されている(たとえば非特許文献134;非特許文献135;非特許文献136;非特許文献137を参照)。ゲノムDNAライブラリから、方法に記載した通り得られた−511プロモーター構築体は、部位指定突然変異誘発によって突然変異させ、−31位および−511位の多型の可能なすべての組み合わせでタイプ2構築体を得た。これらの多型のそれぞれまたは組み合わせに起因する転写活性は、この技術によって識別可能となる。タイプ1プロモーターがこれらの部位を突然変異した逆実験は、タイプ2プロモーターについて示されたデータを補完する(図4を参照)。
図4は実施した3つの実験のうち代表的なものを示し、その3つで−31または−511対立遺伝子状態に関連する転写の変動は見られなかった。左図で、加えたLPSの濃度とプロモーター反応との間の用量−反応関係を突然変異(−31=2、−511=2)および野生型(−31=1、−511=1)プロモーターについて示す。試験したすべての濃度で、2つのプロモーターの転写が同等であることが明らかであった。
異なる起源に由来するIL1B対立遺伝子のクローニング
長距離PCRを用いてIL1Bプロモーターを増幅した。これは最適化を必要としたが、しかし特異的増幅が達成された。最初の試みは、プルーフリーディングポリメラーゼのみを使用したが、不成功であった(図5を参照)。産物をクローンするため、PCR産物をAsp718IおよびNcoIで消化し、レポーターベクターpGL3−basicに連結した。配列非依存性クローニング法は、挿入部について陽性選択を行う選択系が無ければ収量が非常に低いため、使用しないことにした。このことは好ましくない配列中の奇妙な突然変異に有利となる可能性があり、また調節が困難である。
PCRによって得られたクローン
試したPCRテンプレートすべてから産物を得たにもかかわらず、クローニングはある割合でしか成功しなかった。2つの独立した反応が、KKテンプレートおよびEHEB−1テンプレートからの産物について得られた;そして1つがMonoMac6 DNAから得られた。それぞれの反応から1つのクローンを選定した。表4に得られたクローンを示す。要約すると、2つのタイプ1クローン(共にEHEB−1細胞株由来)、KK DNAに由来する2つのタイプ2クローン、MonoMac6DNAに由来する1つのタイプ2クローンがあった。
Figure 0004492849
−511タイプ1および2プロモーター間での転写変動の評価
RAW264細胞を上記の構築体でトランスフェクションし、さまざまな用量のリポ多糖の添加後、転写活性を測定した。2つの調製物を試験した−市販の調製物、およびDr S.Vogelよりの寄贈品である高度に再精製された調製物。両方の調製物について同様の結果が、pILG−S1およびその突然変異を用いた以前の実験で得られており、これらの実験では、高度に再精製された調製物だけを用いた。IL1B対立遺伝子の転写を調べるため、3組の実験を実施した。3つの実験すべてが、タイプ1とタイプ2のプロモーター活性の間に差を示した。
図6は3つの実験のうちの1つを示す。ウェルは異なる対立遺伝子でトランスフェクションした。3つのウェルは各々のプロモーターをトランスフェクションした。各ウェルについてトランスフェクション混合物は個別に作った。左図は、細胞を300pg/mlのLPSで刺激した場合の各ウェルの転写活性を示す。タイプ2プロモーターと比較してタイプ1で転写活性の上昇が見られる。タイプ2プロモーターと比較したタイプ1の相乗平均の差には有意差があった(P<0.01、Kruskall−Wallis)。右図はこの現象がLPSの低用量でだけ明らかであることを示す。この図は各用量でトランスフェクションした3連の3つのウェルの平均を示す。誤差範囲は示していない(明瞭性のため)が、各点で誤差は平均値の約15〜20%である。より高い用量では(この実験で使用した時点である6時間目に)低用量で見られる差は明らかでない。
別の実験では(図7)、用量と遺伝子型の間の関係をより詳細に試験した。クローンpILG−AJ2(タイプ2、KK由来)およびpILG−AMl(タイプ1、EHEB−1由来)だけを試験した(図6参照)。結果は、上記の実験と全く同じパターンを示した。特に、新規なIL−lB(−3737)多型の1つを含むプラスミドは、対立遺伝子1と対立遺伝子2の間で転写速度に2〜3倍の差を示し、対立遺伝子1がより速い転写速度に関連していた。この効果は10ng/ml未満のLPS用量で有意であった。プロモーター活性について差を生じる効果は、その新規SNPの対立遺伝子の特異的突然変異によって確認された。したがって、IL−1B遺伝子の遠い上流エンハンサー領域にあるこの新規IL−1B(−3737)多型は、LPSに反応した転写に機能的な違いを引き起こすように見える。
3つめの実験では(図8)、分析の時間と観察された差との間の関係のように、用量反応関係を再び試験した。この実験では、AM1とAJ2(タイプ1とタイプ2)クローンの間にも差があったが、しかし用量反応曲線の形はいくぶん異なった。この差の原因は不明である。すべての実験は見かけ上同じ方法で実施されたが、しかし正確な細胞密度といった技術的な差が細胞の挙動を変化させる可能性がある。
図8の下図は、他のすべての実験で用いた時間である6時間目に観察された差に及ぼすサンプリング時間の影響を示す。時間は観察された差の重大な決定因ではなかった。ベクターを対照ウェルに平行して加えた:これらの実験ではレポーター誘導は観察されなかった(データ記載せず)。要約すると、実験は、転写活性に、実施したすべての実験で示すことのできる明瞭で再現性のある差(タイプ1>タイプ2)が存在することを実証する。
クローンの配列決定および新しい多型の潜在的機能性の評価
観察された機能上の違いを考慮して、得られたゲノムクローンを方法に記載の通りに配列決定し解析した。5つの多型が検出された;2つは既知であり、−31多型および−511多型であった。3つは新規であった。
これらの新規多型の約20bp上流および下流のゲノムを、BLAST検索(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast)によって重複の無いヒトDNAデータベースと比較した。転写結合部位を、使用した同じ断片内で、TRANSFAC4.0データベースを用いて(http://transfac.gbfbraunschweig.de/TRANSFAC/index.html)のバイオインフォマティクスサーバーを使用して検索した。
使用した配列を下記に示す:
−3737位の多型には:
5' TCTAGACCAGGGAGGAGAATGGAATGT(C/T)CCTTGGACTCTGCATGT 3'
示した配列は、IL−1Bプロモーターの−3737位のC/T多型にかかる。対立遺伝子1はCで、対立遺伝子2はTである。
−1469位の多型には:
5'ACAGAGGCTCACTCCCTTG(C/T)ATAATGCAGAGCGAGCACGATACCTGG3'
示した配列は、IL−1Bプロモーターの−1469位のC/T多型にかかる。対立遺伝子1はCで、対立遺伝子2はTである。
−999位の多型には:
5'GATCGTGCCACTgcACTCCAGCCTGGGCGACAG(G/C)GTGAGACTCTGTCTC3'
示した配列は、IL−1Bプロモーターの−999位のG/C多型にかかる。対立遺伝子1はGで、対立遺伝子2はCである。
−3737断片および−1469断片はヒトIL−1B遺伝子でだけ見出される。−999断片は200個を超える遺伝子で見出され、それが繰り返し配列の一部であることを示唆する。−999繰り返し配列中には転写因子結合部位は確認されなかったが、しかし残りの断片の両方は、炎症促進性転写因子のための共通配列を含んだ。−3737多型はNF−kB共通結合配列内にあり、一方、−1469はNF−IL6(C/EBP)共通結合配列内にあった。両方の場合で、整列は−鎖を用いた。検索エンジンの出力を示す。左側の記号はTransfac登録へのリンクである。示した確率は一致の良好さを反映し、2つの異なるアルゴリズムを用いて計算されており、良好な一致を表す。
Figure 0004492849
これらの結果は下記の表9に要約されている:
Figure 0004492849
結論
以前は未知であった−3737多型はNF−kB結合部位候補内に、プロモーター全体の活性の最大30%の原因であることが突然変異誘発によって以前に示された遠位プロモーターの領域中に存在する。このプロモーターの異なる対立遺伝子がレポーター遺伝子の上流に置かれた場合、再現性がある有意な差が見出された。この領域にわたる連鎖不平衡は、これらの実験でレポーター遺伝子の転写について検出可能な独立した影響を有しないことが示された、−31位および−511位の以前から知られたSNPと、ハプロタイプを作り出す。結果は、これらの近位上流多型との疾患関連はこれらの多型自体によって引き起こされる機能的変化によっては機構的に説明できないこと、および遠位上流プロモーター中の−3737位の新規に発見された、機能を変化させる多型とのそれらの連鎖が、より可能性の高い説明であることとを示す。
実験の要約
1. RAW264.7マクロファージ様細胞はヒトI−L1Bプロモーターの断片に反応する。最大の反応性のためには、Asp718I(−4000)→NcoI(+547)断片を含む断片が必要である。この結果は公表されたデータと一致する。
2.ヒトIL1Bプロモーターのこの領域は、長距離PCRによってクローニングすることができる。
3.タイプ1(−511位)のIL−1B対立遺伝子の2つの対立遺伝子およびタイプ2(−511位)の3つが、コーカサス人起源のDNAをテンプレートとして使用した、独立したPCR反応から得られた。
4.これらのクローンの転写分析は、LPSを用いた誘導後の転写速度に統計的に有意な鎖を示した。これらの差は実施したすべての実験で見られた。
5. IL−1BプロモーターのLPS誘導は、用量−反応関係がトランスフェクション毎に異なった。このことの原因は不明であった。一部の実験では、最大下のLPS用量でタイプ1とタイプ2対立遺伝子間の差が明瞭であり、タイプ1とタイプ2対立遺伝子間の転写速度の差は約2〜3倍であった。
6. −31位および−511位でのタイプ2対立遺伝子の突然変異誘発は、プロモーターの転写活性に影響を与えなかった。
7.タイプ1とタイプ2プロモーター間の転写の差は、したがって、現在までに発見されているもの以外の多型が原因でなければならない。その未知の多型を同定するため、得られたクローンの自動化二重鎖配列決定を実施した。
8. 多型は、異なるクローンの同じ位置で生じる変異と定義された。1つのクローンだけに観察される一塩基対変化は、PCR誘導性突然変異と考えられた。この一続きのDNA(IL−1B Asp718I(−4000)→NcoI(+547)内に5つの多型が検出された。その多型のうち2つ、−511および−31は既知であり、残りの3つは文献に記載されたことは無い。
Figure 0004492849
9. 以前は未知であった−3737多型はNF−kB結合部位候補内に、プロモーター全体の活性の最大30%の原因であることが突然変異誘発によって以前に示された遠位プロモーターの領域中に存在する。
2. IL−1B(−3737)多型は中国系人口において歯周炎に関連している
ある種のIL−1遺伝子多型、たとえばIL−1A (+4845)およびIL−lB(+3954)が、コーカサス人で歯周病の重症度に関連づけられている一方、それらは中国人を含むある民族集団では見出される頻度が低い。新規の一塩基多型(SNP)である、IL−1bの遺伝子の遠い上流エンハンサー領域に存在するIL−1B(−3737)は、この文脈では研究されたことがない。特に、IL1B(−3737)多型の対立遺伝子1は転写速度を上昇させることが示されている(上記参照)。本研究では、IL−1B(−3737)遺伝子型の人口分布を評価し、中国系の人々における疾患との関連を判定した。
方法
IL−1B(−3737)および他のIL−1 SNPについての遺伝子型解析を、TaqMan法によって実施した。IL−1B(−3737)の分布を、歯周状態が不明であるコーカサス系の成人500名の集団(年齢27〜77歳)、および中国系の300名(年齢21〜69歳)で評価した。被験者は、その生物学的な父方および母方の祖父母および曾祖父母が元は中国本土、台湾、マカオ、または香港の出身である場合、中国系であると考えられた。研究対象となるためには、被験者は全身的健康状態が良好でありまた少なくとも14本の天然歯を有しなければならなかった。IL−1B(−3737)と歯周病との関連を、中国系集団において多変量ロジスティック回帰モデルを用いて判定した。
結果
IL−1B(−3737)遺伝子型は下記の表のように分布していた:
Figure 0004492849
コーカサス人では、低転写遺伝子型を持つ被験者,IL−1B(3737)=2.2(n=97)のうち、88.3%が、IL−1A(+4845)とIL−1B(+3954)の両方で対立遺伝子2を含む.合成IL−1遺伝子型(PST(登録商標))についても陰性であった。合成IL−1遺伝子型について陽性であった被験者(n=201)のうち、94%がIL−1B(−3737)に高転写対立遺伝子である対立遺伝子1を有した。非喫煙者であった中国系被験者(n=163)では、IL−1B(−3737)遺伝子型は疾患と有意に関連していて(観察比=3.027;95%信頼区間:1.139〜8.046;p=0.026)、高転写遺伝子型1.1を有する人でリスクが高かった。
結論
コーカサス人では、合成IL−1遺伝子型について陽性であった人の大部分は、転写速度を上昇させる新たに発見されたIL−1B(−3737)遺伝子型について陽性であった。IL−1B(−3737)遺伝子多型は中国人に高頻度で存在することが見出され、遺伝子型の分布は中国人とコーカサス人で同様であった。中国人の間では、IL−1B(−3737)高転写遺伝子型は歯周病と有意に関連していた。
3. −3737および他のIL−1機能性多型へのNF−kB結合のBiacore結合分析
p50 ホモ二量体のDMAとの相互作用の動力学的分析
NF−κBp50の結合をBIAcoreを用いて試験し、そのタンパク質と、ストレプトアビジンセンサーチップに結合したDNA基質との相互作用に関する動力学的パラメータを得た。二重鎖1は共通NF−κB結合部位を含み、二重鎖2と3は共通配列内の一塩基多型で異なる(表6参照)。ある範囲の濃度のタンパク質を、低塩濃度条件(75mM NaCl)および高塩濃度条件(150mM NaCl)の両方でセンサーチップ表面上に通した。(非特許文献138)。
塩濃度はDNA認識の親和性および特異性の両方に影響することが以前に示されている。低塩濃度でのNF−κBp50のDNA基質への結合を図9Aに示す。図9はNF−κBp50ホモ二量体のDNA基質への結合を示す。(A)NF−κBp50(17.5nM)のNaCl75mMでの異なる二重鎖DNA基質への結合を示すセンサーグラム。(B)NF−κBp50(17.5nM)のNaCl150mMでの異なる二重鎖DNA基質への結合を示すセンサーグラム。結合は3つすべてのDNA基質について観察されるが、しかし解離速度定数(解離の勾配)は3つの複合体で異なることがセンサーグラムから明らかに見られる。結合および解離速度定数はセンサーグラムの結合および解離期から別々に計算され、表7に示す。これらの結果は、NF−κBp50が異なるDNA基質に1〜5×106(M−1s−1)のオーダーの同様の結合速度定数で結合することを示す。しかし、さまざまなDNA−タンパク質複合体についての解離定数は有意に異なる。NF−κBp50−共通DNA複合体(二重鎖1)は最低の解離速度定数を持つ(最も安定した複合体)。平衡解離定数はkとkの実験値を用いて計算され、表7に示す。NF−κBp50はその共通配列に、15pMの親和性で(塩75mMにて)結合することが示され、これは以前のSPR分析と合致する(非特許文献138)一方、二重鎖2の親和性は130pMで二重鎖3は2000pMであった。
SPR分析をその後、生理的条件により類似した、より高い塩濃度で繰り返した(0.15M NaCl)。NF−κBp50のDNA基質への結合を図9Bに示す。結果は、これらの条件下では二重鎖3への結合が見られないことを示す。ここでも二重鎖1と2は結合は似ているが解離は異なる動力学を示し、また二重鎖2へのタンパク質結合のレベルは(反応のレベルによって見られる通り)75mM NaClでの結合と比較してずっと低い。150mM NaClでの結合についての動力学的データは表7に示す。結果は再び、同様の結合速度定数、しかし有意に異なる解離速度定数を示す。両方のタンパク質−DNA複合体についての解離速度定数は75mM NaClでの速度に比べて高く、より高い塩濃度での複合体の安定性の低下を示す。さらに、より低い塩濃度で見られる4倍の差と比較して、ここでは二重鎖1/2−NF−κBp50複合体の解離速度定数には36倍の差がある。共通配列−NF−κBp50結合についての平衡解離定数はそれぞれ0.2nMおよび12nMであり、より低い塩濃度条件下で見られる親和性の9倍の差と比較して、親和性の60倍の鎖を示す。これらの結果は、より高い塩濃度ではDNA基質への全体の親和性は低下するが、しかしDNA認識の特異性は上昇することを示し、二重鎖3との結合は見られずまた共通配列を二重鎖2と比較して親和性に60倍の差がある。
IF−KB結合部位の分子認識
DNA基質と結合したNF−κBp50ホモ二量体の相互作用について2つの結晶構造が得られている(非特許文献139;非特許文献140を参照)。2つの共結晶構造は異なる長さと配列のDNA基質を含んだが、多くの類似がある。p50ホモ二量体のサブユニットそれぞれで、2つのArg側鎖が1対の水素結合を2つの中心部グアニン(G2とG3、表6参照)に提供する。これらの接触はDNA認識の最も重要な成分であると予測される(非特許文献139)。1つのLys残基も最内部のG4と特異的接触を形成することが示されているが、その特異性はLys側鎖の相対的に制約されない性質のために予測可能性がより低い。最外部のG1もまた非特許文献139からの構造中でHis側鎖と接触することが同定された。側鎖と塩基との間には多数の他の特異的相互作用が存在し、それは2つの共結晶構造でわずかに異なる。これは、DNA結合要素の一部は柔軟でありしたがって共通配列の可変部分内の異なる配列を認識できることを示唆する。p50ホモ二量体のDNA認識に対するSNPの影響を、二重鎖2と3を用いてSPR実験で得られた動力学的データを比較することによって検討した。二重鎖3は、二重鎖2のG/C塩基対と比較して、+4位にA/T塩基対を含む。G4は結晶構造中でLys(241番、非特許文献140から)と重要な相互作用を形成することが示されている(図9B参照)。しかし、グアニンのアデニンでの置換はこの相互作用を無くし、Lys側鎖とアデニンのN6アミノ基との間に立体的衝突の可能性を与える。この相互作用の効果は、低塩濃度条件下では親和性に15倍の低下を見せるここに示す親和性データ中に明瞭に実証されている。より高い塩濃度下では、非常に速い分離速度とタンパク質−DNA複合体の不安定性のために二重鎖3とは結合が見られないので、この差はずっと大きいことが予測される。これらの結果は、NF−κBp50の分子認識に対するSNPの劇的な影響を実証する。結果はまた、共通配列中のG1位置の変化の影響を示す。二重鎖1(共通配列)と比較して、二重鎖2は1位および12位にA/T塩基対を含む。結晶構造(非特許文献139)は、それぞれのp50サブユニットでHis67がG1と接触することを示し(図9D参照)、G1のアデニンでの置換はここでもこの相互作用を無くす。再びこの効果は親和性データで証明される。低塩濃度条件下では親和性に9倍の低下があり、高塩濃度下では、これは60倍の差に上昇する。結論として、ここに示す親和性データは、G4のA4への変更が、NF−κBp50のDNA相互作用の親和性に対して、G1のAへの変更と比較してずっと大きな影響を引き起こすことを示す。親和性に対するこれらの影響は、構造データと容易に一致する。
材料および方法
オリゴヌクレオチド基質
オリゴヌクレオチド合成はApplied Biosystems 394 DNAシンセサイザーでシアノエチルホスホアミダイト化学を用いて実施した。ビオチンホスホアミダイトはGlen Researchから入手した。鎖の1本の5'末端がビオチン化した長さ23塩基の相補的オリゴヌクレオチドをアニーリングさせることによって、3種類の二重鎖DNA基質を作製した。アニーリングは、DNAの終濃度1μMで、10mM Tris−HCl(pH. 7.4)、0.1M NaCl、3mM EDTA中で、95℃に5分間加熱し35分間にわたって25℃へ冷却することによって実施した。二重鎖DNAの構築に用いた配列は下記の通りであった: 二重鎖1 5'−ビオチン−AGTTGAGGGGACTTTCCCAGGCおよび相補鎖5'−GCCTGGGAAAGTCCCCTCAACT。二重鎖2、5 ' −ビオチン−GAGAATGGAATGTCCCTTGGACTおよび相補鎖5'−AGTCCAAGGGACATTCCATTCTC。二重鎖3、5'−ビオチン−GAGAATGGAATGTTCCTTGGACTおよび相補鎖5'−AGTCCAAGGAACATTCCATTCTC。下線の領域はp50 結合 部位であり、太字は本研究で分析したSNPを示す。
表面プラズモン共鳴
表面プラズモン共鳴(SPR)を、BIAcore 2000(商標)(Uppsala, Sweden)を用いて実施した。オリゴヌクレオチドはHBS緩衝液(10mM HEPES pH 7.4, 75〜150 mM NaCl, 3 mM EDTA, 0.05% (v/v) 界面活性剤P20)で希釈して終濃度1 ng/mlとし、流速20μl/minで、約50反応単位(RU)のオリゴヌクレオチドがセンサーチップ表面に結合するまで、ストレプトアビジンセンサーチップ(SA)上を流した。組み換え(ヒト)NF−κBp50(Promega)もまた150mMまたは75mMのNaClを含むHBS緩衝液で希釈し、ある範囲の濃度(2〜100nM)を、流速20μl/minで3分間、DNA−負荷センサーチップ上に注入し、5分間解離させた。結合したタンパク質は10μlの1M NaClを注入して除去した。この再生手順はNF−κB p50のDNAに対する能力を変化させなかった。データの解析はBIAevaluationソフトウェアを用いて実施した。注入の最初と最後の全体の屈折率変化の影響を除去するため(洗浄緩衝液と注入したタンパク質の組成の違いの結果として起こる)、ストレプトアビジン表面全体について得た対照センサーグラムを個々のタンパク質注入から差し引いた。分析はすべて25℃で実施した。
動力学的分析
2成分結合において複合体形成の速度は次式によって説明される:
dR / dt = kC(Rmax−R)−kR (1)
ここでdR/dtはSPRシグナルの変化速度であり、Cは分析対象の濃度であり、RmaxはRUにおける分析対象結合の最大容量であり、RはRUにおける時間tでのSPRシグナルである。
この式を変形して次式を得ることができる:
dR / dT = kCRmax − (kC+k)R
センサーグラムは分析対象の少なくとも5つの異なる濃度で記録し、Rに対するdR/dTを各濃度についてプロットした。これらの直線のそれぞれの傾き(kC+k)は観察された結合速度−kobsを表す。Cに対する−kobsのプロットによって、kを次式から決定することができる。
−kobs = kC+k
検体注入の最後に、タンパク質は洗浄緩衝液で置換し、結合したタンパク質はDNAから解離させた。洗浄緩衝液中のタンパク質はゼロであるため、再結合は無視できるとすると、解離速度定数はゼロオーダーの解離を仮定して直線回帰分析を用いて、次式を使用して計算することができる:
dR/dt = −k−kd (t−t )
ここでdR/dtはSPRシグナルの変化速度であり、RとRは時間tおよびtでの反応である。Kは解離速度定数である。
平衡解離定数(K)は速度定数の比から求めることができる:
=k/k
Figure 0004492849
Figure 0004492849
4.別の機能性多型の発見
遺伝学発見グループはIL−1B4 SNP(−3737)が機能性であることをRAW細胞でのトランスフェクション分析によって確認し(図10を参照)、さらに、この分析でやはり機能性である他の多型を下記の通り見出した。機能性SNP分析のための構築の戦略と配列情報は、作製し分析したすべての構築体の名称を表す図11に示す。
IL−1B3、IL−1B7、IL−1B15と称する3つの別の機能性SNPが同定された(これらのSNP名称は、図11に示す各対立遺伝子1多型の命名方式を利用している)。
IL−1B3対立遺伝子2とIL−1B15対立遺伝子−2は、RAW(マウスマクロファージ細胞)およびTHP−1細胞(ヒト単球細胞)において転写の速度を低下させる(図11の配列データおよび図10と12の実験データを参照)。IL−1B7対立遺伝子−2(遺伝子型TGCATGGGTC)はRAW細胞で転写速度を低下させ(図10参照)IL−1B7対立遺伝子−2はTHP−1細胞で転写速度を上昇させる(図12参照)(対立遺伝子1 SNP)。図10はまた、IL−1B3(遺伝子型TCATAGGGTC)とIL−1B15(遺伝子型TGCATAGGGT)はIL−1Bの発現をRAW細胞で有意に低下させることを示す。
文献の引用
ここで引用したすべての特許および刊行物は参照により本明細書に含まれる。
同等物
通常の実験しか用いずに、ここに記載の本発明の特定の実施形態の多数の同等物を、当該分野の熟練者は認識するかまたは確認することができる。そのような同等物は下記の請求項によって包含されることが意図される。
図1はIL−1B遺伝子の配列を示す図であり、上流プロモーター領域を含み、−3737対立遺伝子1は太字で示し、対応する検出オリゴヌクレオチドは下線で示し(GenBank登録番号X04500およびAC04500を参照);−1469および−999多型検出オリゴヌクレオチドとそれぞれの多型部位もまた下線と太字で示す。 図2はIL1B遺伝子型に伴うIL−1B転写速度の変異を示す図である。 図3はIL−1B近位プロモーターおよび遠位エンハンサーゲノム領域の図解を示す図である。 図4は、−31および−511多型状態はIL1Bプロモーターの転写活性に影響しないことを示す図である。 図5はIL−1B上流プロモーター領域をクローニングするための戦略を示す図である。 図6は−511タイプ1およびタイプ2プロモーターの間の転写の違いを示す図である。 図7はタイプ1対タイプ2クローンの用量反応関係を示す図である。 図8はタイプ1およびタイプ2 IL−1Bクローンの用量および時間反応性を示す図である。 図9はNF−κB p50ホモ二量体のDNA基質への結合を示す図である。 図10は−3737(SNP発見結果の注にしたがってIL−1B4ともいう)SNPのRAW細胞(マウスマクロファージ細胞)内へのトランスフェクション分析を示す図である。 図11は、機能性多型トランスフェクション分析で試験したIL−1B構築体の配列を示す図である。 図12は、THP−1細胞での別の機能性SNPの機能性分析からの結果を示す図である。

Claims (12)

  1. ヒトインターロイキン−1B(IL−1B)遺伝子のプロモーター領域の位置−3737のヌクレオチドを包含するIL−1B遺伝子のプロモーター領域の少なくとも18個の連続ヌクレオチドを含む、18から80ヌクレオチド長の単離核酸。
  2. 18から20ヌクレオチド長であることを特徴とする請求項1記載の単離核酸。
  3. 20から30ヌクレオチド長であることを特徴とする請求項1記載の単離核酸。
  4. 前記少なくとも18個の連続ヌクレオチドが、配列:TCTAGACCAGGGAGGAGAATGGAATGTCCCTTGGACTCTGCATGT(−3737 IL−1B対立遺伝子1)を含むことを特徴とする請求項1記載の単離核酸。
  5. 前記少なくとも18個の連続ヌクレオチドが、配列:TCTAGACCAGGGAGGAGAATGGAATGTTCCTTGGACTCTGCATGT(−3737 IL−1B対立遺伝子2)を含むことを特徴とする請求項1記載の単離核酸。
  6. 請求項1から5いずれか1項記載の単離核酸の相補配列を含む単離核酸。
  7. 前記ヒトIL−1B遺伝子のプロモーター領域の位置−3737のヌクレオチドが、該単離核酸分子の3'末端に位置することを特徴とする請求項1記載の単離核酸。
  8. 検出可能な標識をさらに含むことを特徴とする、請求項1から7いずれか1項記載の核酸。
  9. ヒト被験者におけるIL−1産生増加に関連する炎症性疾患または状態を発症する可能性の上昇を特定する方法であって:
    ヒト被験者から得た核酸試料において、ヒトインターロイキン1B(IL−1B)遺伝子の位置−3737の対立遺伝子を検出する工程を含み、
    IL−1B遺伝子の位置−3737がシトシン(C)である−3737 IL−1B対立遺伝子1の存在が、炎症性疾患または状態を発症する可能性の上昇を示唆することを特徴とする方法。
  10. 炎症性疾患が歯周病であることを特徴とする請求項9記載の方法。
  11. 炎症性疾患がアルツハイマー病であることを特徴とする請求項9記載の方法。
  12. 炎症性疾患が、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、コラーゲン誘導性関節炎、若年性慢性関節炎、若年性慢性関節リウマチ、変形性関節炎、喘息、心臓血管疾患、自己免疫性糖尿病、インシュリン依存性(タイプ1)糖尿病、糖尿病性歯周炎、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、腹腔疾患、慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、胃潰瘍、肝炎、コレステロール胆石、肝線維症、川崎病、多発性硬化症、腎症、神経変性疾患、眼疾患、膵小葉炎、歯周病、肺疾患、再狭窄、慢性関節リウマチ、甲状腺炎、円形脱毛症、自己免疫性心筋炎、およびグレーブス病より成る群から選択されることを特徴とする請求項9記載の方法。
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