JP2011502510A - 老化に関係がある皮膚疾患の診断 - Google Patents

老化に関係がある皮膚疾患の診断 Download PDF

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Abstract

本発明により、内因性老化に伴う皮膚の変化または紫外線による老化のような外因性老化によって引き起こされる皮膚の損傷を含む、老化に関係がある皮膚の症状の早期予測のための方法が提供される。本発明によってはまた、そのような障害および症状を発症する傾向の早期決定のためのキットも提供される。本発明の方法は、IL−1ハプロタイプまたはパターン、特に、IL−IRN(+2018)およびEL−IB(−511)遺伝子座についての1種類以上の対立遺伝子の存在を決定することからなる。IL−IRN(+2018)およびEL−IB(−511)遺伝子座の対立遺伝子2の存在は、早発型の老化に関係がある皮膚の症状についてのリスクが低いことを示す。

Description

(関連する出願)
本願は、2007年11月8日に出願された米国特許出願第60/986,331号の利益を主張する。米国特許出願第60/986,331号は、その全体が参考により本明細書中に援用される。
(発明の分野)
本出願は、IL−1遺伝子クラスターの多型に基づく予想方法に関する。
IL−1遺伝子クラスターの遺伝的特徴
IL−1遺伝子クラスターは2番染色体の長腕上(2q13)にあり、430Kbの領域内に少なくともIL−1α(IL−1A)、IL−1β(IL−1B)、およびIL−1受容体アンタゴニスト(IL−1RN)の遺伝子を含む(非特許文献1)。アゴニスト分子であるIL−1αとIL−1βは、多くの炎症カスケードを開始させる強力なプロ炎症活性を持つ。それらの作用は、多くの場合は他のサイトカイン(例えば、IL−6およびIL−8)の誘導を介して、損傷を受けた組織への白血球の活性化および動員、血管作用薬の局所的な生産、脳および肝臓での急性期応答における発熱反応を導く。3種類のIL−1分子は全て、異なる親和性でI型およびII型のIL−1受容体に結合するが、I型受容体だけがシグナルを細胞の内部に伝達する。対照的に、II型受容体は細胞膜から脱落し、デコイ受容体として作用する。したがって、受容体アンタゴニストとII型受容体はいずれも、それらの作用に関しては抗炎症性である。
IL−1遺伝子クラスターに由来する特定の対立遺伝子は、特定の疾患状態に関係していることがすでに知られている。例えば、IL−1RN対立遺伝子2は、冠動脈疾患(PCT/US/98/04725および米国特許出願番号08/813,456)、骨粗鬆症(特許文献1)、糖尿病の腎症(非特許文献2)、円形脱毛症(非特許文献3;非特許文献4)、グレーヴス病(非特許文献5)、全身性エリテマトーデス(非特許文献6)、硬化性苔癬(非特許文献7)、および潰瘍性大腸炎(非特許文献8)と関係があることが示されている。
加えて、マーカーである−889由来のIL−1A対立遺伝子2と、マーカーである+3954由来のIL−1B(TaqI)対立遺伝子2は、歯周病と関係があることが明らかにされている(特許文献2;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12)。マーカーである−889由来のIL−1A対立遺伝子2は、若年性慢性関節炎(特に、慢性虹彩毛様体炎)と関係があることも明らかにされている(非特許文献13)。IL−1Bのマーカーである+3954由来のIL−1B(TaqI)対立遺伝子2はまた、DR3/4患者において乾癬とインシュリン依存性糖尿病と関係があることが明らかにされている(非特許文献14;非特許文献15)。さらに、IL−1RN(VNTR)の対立遺伝子1は、糖尿病性網膜症と関係があることが明らかにされている(米国特許出願番号09/037,472およびPCT/GB97/02790を参照のこと)。さらに、IL−1RN(VNTR)の対立遺伝子2は、北米およびヨーロッパの白人において潰瘍性大腸炎と関係があることが明らかにされている(非特許文献8)。この関係が民族的に関係があるアシュケナージ系ユダヤ人の集団において特に強いことは興味深い(特許文献3)。
遺伝子型スクリーニング
遺伝子性疾患のスクリーニングのための従来の方法は、異常な遺伝子産物(例えば、鎌状赤血球貧血)または異常な表現型(例えば、知能発育不全)のいずれかの同定に依存する。これらの方法は、遅発性の表現型、および例えば、早期老化の素因のような容易に同定することができない表現型を持つ遺伝性疾患については有用性が限られている。簡単で安価な遺伝子スクリーニング方法の開発により、現在は、疾患が多遺伝子起源である場合でも、疾患を発症する傾向を示す多型を同定することが可能である。分子生物学的方法によってスクリーニングすることができる疾患の数は、多因子疾患の遺伝学的根拠についての理解が深まるに伴い増え続けている。
遺伝子スクリーニング(遺伝子型決定または分子スクリーニングとも呼ばれる)は、患者が、疾患状態を引き起こすかもしくは変化させるか、あるいは疾患状態を引き起こすかもしくは変化させる変異と「連鎖する」かのいずれかである変異(または対立遺伝子もしくは多型)を有しているかどうかを決定するための試験として広く定義することができる。連鎖は、ゲノムの中で互いに近い位置にあるDNA配列が一緒に遺伝される傾向を有している現象をいう。2つの配列は、共遺伝についてのいくつかの選択的利点の理由から、連鎖し得る。しかし、より一般的には、2つの多型配列は、2つの多型の間の領域内に減数分裂性組み換え事象が起こる頻度が比較的低いという理由から共遺伝する。共遺伝した多型対立遺伝子は、任意のヒト集団においては、これらは、集団の任意の特定のメンバーにおいて、両方が一緒に存在するか、または全く一緒には存在しないかのいずれかの傾向があるので、互いに連鎖不均衡といわれる。実際、任意の染色体領域の中に複数の多型が互いに連鎖不均衡の状態で見られる場合には、これらは、擬似安定である遺伝的「ハプロタイプ」を定義する。対照的に、2種類の多型遺伝子座の間で起こる組み換え事象は、これらを異なる相同染色体上に分ける。2種類の物理学的に連鎖している多型の減数分裂性組み換えが十分に頻繁に起これば、2種類の多型は別々に分かれて現れ得、連鎖均衡と言われる。
2種類のマーカーの間での減数分裂性組み換えの頻度は、一般的には、染色体上でのそれらの間の物理的な距離に比例する一方で、「ホットスポット」の発生、ならびに染色体組み換えが抑制された領域が、2種類のマーカーの物理的距離と組み換え距離との間に矛盾を生じ得る。したがって、特定の染色体領域では、広い染色体ドメインにまたがる複数の多型遺伝子座が、互いに連鎖不均衡の状態で存在し得、それによって広範囲にわたる遺伝的ハプロタイプが定義される。さらに、疾患を引き起こす突然変異がこのハプロタイプの中またはこのハプロタイプとの連鎖の中に見られる場合は、このハプロタイプの1種類以上の多型対立遺伝子を、疾患を発症する可能性についての診断指標または予想指標として使用することができる。他の良性の多型と疾患を引き起こす多型との間でのこの関係は、疾患変異が最近起こり、結果として、組み換え事象の全てが行われて平衡状態になるまでの十分な時間が過ぎていない場合に生じる。したがって、疾患を引き起こす突然変異による変化に及ぶかまたは疾患を引き起こす突然変異による変化に連鎖するヒトのハプロタイプの同定は、個体についてのその疾患を引き起こす突然変異が遺伝している可能性の予測測定となる。そのような予想または診断手順は、実際の疾患を引き起こす病変を同定および単離する必要なく利用できる点が重要である。これは、疾患のプロセスに関係している分子の異常の正確な決定が、特に炎症性疾患のような多因子疾患の場合に、難しく、面倒であり得るので、重要である。
実際、障害とIL−1多型との間での統計学的相関関係は、この多型が直接障害を引き起こすことを必ずしも示してはいない。むしろ、関係がある多型は、最近のヒトの進化において起こり、結果として、介在する染色体セグメントの中での組み換え事象全てが行われて平衡状態になるまでの十分な時間が経過していない、疾患を引き起こす突然変異と連鎖している(すなわち、連鎖不均衡の状態にある)良性の対立遺伝子変異体であり得る。したがって、特定の疾患についての診断および予想アッセイの目的については、その疾患と関係がある多型対立遺伝子の検出を、その多型がその疾患の病因に直接関係しているかどうかを考慮することなく利用することができる。さらに、任意の良性の多型遺伝子座が、明らかな疾患を引き起こす多型遺伝子座と連鎖不均衡の状態にある場合は、良性の多型遺伝子座と連鎖不均衡の状態にあるなお他の多型遺伝子座もまた、この疾患を引き起こす多型遺伝子座と連鎖不均衡の状態にある可能性がある。したがって、これらの他の多型遺伝子座もまた、疾患を引き起こす多型遺伝子座が遺伝している可能性の予測または診断であろう。実際、広範囲に及ぶヒトハプロタイプ(連鎖している多型マーカーのセットの対立遺伝子の共遺伝の典型的なパターンを表している)は、一旦、特定の疾患または症状と対応するヒトハプロタイプとの間で関係が示されると、診断目的のための標的とすることができる。したがって、特定の疾患状態を発症する個体の可能性の決定は、1種類以上の疾患と関係がある多型対立遺伝子(またはさらには、1種類以上の疾患が関係しているハプロタイプ)を特性決定することによって、必ずしも原因である遺伝子のバリエーションを決定または特性決定することなく行うことができる。
皮膚機能および恒常性におけるIL−1
IL−1遺伝子クラスターのタンパク質産物(2種類のアゴニストであるIL−1α、IL−1β、そして受容体アンタゴニストであるIL−1RNの両方)は、哺乳動物の皮膚において炎症の状態と応答の制御において極めて重要な役割を担っている(Kupper and Groves,1995)。それらの調節もまた、皮膚の創傷治癒のプロセスにおいて直接明らかにされている(Bryanら、2005)。培養したヒトの皮膚の角質細胞を利用したインビトロでの実験により、UV線の照射が3種類の主要なIL−1遺伝子クラスター産物の全ての発現を調節することが明らかにされており、これは、老化した皮膚の出現の重要な因子に応答するそれらの役割を示している(Garmynら、1992:Luoら、2004)。他の実験では、皮膚の透過性バリアが老化に伴って変化すること、およびIL−1遺伝子産物がこのバリア機能の異常を決定付ける役割を担うことが示された(Yeら、2002)。したがって、老化に伴って起こるサイトカインのIL−1ファミリーの選択的変化は、このバリア特性が摂動に反応する方法に影響を及ぼし、したがって、IL−1シグナル伝達の欠損が老化した皮膚の皮膚透過性バリアの異常に寄与し得る。スジおよびシワの出現にほぼ直接影響を及ぼすのは、皮膚の結合組織(主にコラーゲン)の完全性である。これらの結合組織タンパク質の合成と分解は、主に、固有の皮膚線維芽細胞によって調節される。外因性のIL−1αまたはIL−1βのいずれかに対するインビトロでのこれらの細胞の暴露により、I型コラーゲンとIII型コラーゲンのそれらによる合成が増加することが示されている(Goldring and Krane 1987)。
皮膚のシワにおけるコラーゲン/MMPの役割
コラーゲンの合成と分解の統合的な調節(マトリックスメタロプロテイナーゼ、すなわちMMPによって制御される)は、しわの発生と重篤度を決定するこの皮膚の結合組織層の健康状態と堅さを決定する。証拠は、皮膚のコラーゲンの完全性の崩壊が太陽光(UV線)への暴露により加速される自然な老化プロセス(紫外線による老化)の一部であることを示唆している。自然な皮膚の老化に関係がある要因は、紫外線による老化の要因とは若干異なり得る。複数の実験により、自然な老化のプロセスはコラーゲンの合成が減少し、MMPの発現が増大するが、紫外線による老化では、コラーゲンの合成の増加が生じ、MMPのさらなる増加も生じることが示されている(Chungら、2001)。MMP−1とMMP−2(コラーゲンを分解する)のレベルは、自然に老化した(ごく普通に太陽光から保護した)皮膚の中よりも、紫外線によって老化した皮膚の真皮の中で高かった。マウスモデルシステムを使用して、研究者達によって、特異的なMMP阻害剤(MMP−2、MMP−9)の局所塗布により、UVBに誘導される基底膜の破壊とシワの形成を防ぐことができることが示されている(Inomataら、2003)。このように、皮膚のシワの形成におけるこれらのMMPの役割は十分に確立されている。
IL−1は皮膚においてMMPの発現/生産の増大を誘導する
多数の研究により、皮膚において、IL−1とMMPの生産および活性の刺激との間での関係が明らかにされている。Mauvielら(1993)によっては、サイトカインであるIL−1β、TNF−α、リンホトキシン(LT)、PDGF、およびbFGFは全て、線維芽細胞をコラーゲンを生産するように刺激するが、IL−1β、TNF−α、およびLTだけが92kDaのゼラチナーゼを刺激できることが明らかにされた。コラゲナーゼ(MMP−1)とゼラチナーゼ(MMP−2、MMP−9)はいずれも、皮膚の結合組織の完全性についての重要な調節因子であることが公知である。インビトロでの他者による皮膚線維芽細胞の実験によって、IL−1βがMMP−1タンパク質のレベルを刺激することが確認されたが、内因性のMMP阻害剤であるTIMP−1のそれに対応する刺激はないことが示された(Dasuら、2003)。このように、IL−1は、コラーゲンの分解状態を促進する方向へ皮膚をシフトさせる能力を有する。複数の実験によって、IL−1αとIL−1βがいずれもMMP−1の強力な刺激因子であること(Rutterら、1997)、そしてIL−1αがヒトの皮膚においてMMP−9の活性化を誘導できることが示されている(Hanら、2005)。IL−1とMMPの両方の統合性の役割が、単回または繰り返しの1最小紅斑量(MED)のUV線量に曝されたヒトの皮膚において明らかにされている(Seiteら、2004)。これらの研究者らによっては、単回の照射または繰り返しの照射のいずれの後にも、MMP−2の発現の3倍の誘導が見られ(持続反応)、そして単回の1MEDの照射後の、IL−1αとIL−1βの両方の有意な増大も明らかにされている。
関連分野についての上記の記載を含む本明細書全体を通じて、本明細書中に記載される任意のおよび全ての公に入手することができる文献(任意のおよび全ての米国特許を含む)は、それらの全体が引用により本明細書中に具体的に組み入れられる。関連分野についての上記記述は、係属中の米国特許出願を含む本明細書中に記載される文献の全てが本発明の先行技術であることの了解とは決して意図されない。さらに、記載される生成物、方法、および/または装置に付随する任意の欠点についての本明細書中での記述は、本発明を限定するようには意図されない。実際、本発明の複数の態様に、それらの記載される欠点がない、記載される生成物、方法、および/または装置の特定の特徴が含まれ得る。
セクションの見出しは、構成の目的だけのために本明細書中で使用され、記載される対象事項を限定するとは決して解釈されない。
米国特許第5,698,399号明細書 米国特許第5,686,246号明細書 国際公開第97/25445号
Nicklinら(1994)Genomics,19:382−4 Blakemoreら(1996)Hum.Genet.97(3):369−74 Corkら(1995)J.Invest.Dermatol.104(補遣5):15S−16S Corkら(1996)Dermatol Clin 14:671−8 Blakemoreら(1995)J.Clin.Endocrinol.80(1):111−5 Blakemoreら(1994)Arthritis Rheum.37:1380−85 Clayら(1994)Hum.Genet.94:407−10 Mansfieldら(1994)Gastoenterol.106(3):637−42 Komman and diGiovine(1998)Ann Periodont 3:327−38 Hart and Kornman(1997)Periodontol 2000 14:202−15 Newman(1997)Compend Contin Educ Dent 18:881−4 Kornnanら(1997)J.Clin Periodontol 24:72−77 McDowellら(1995)Arthritis Rheum.38:221−28 di Giovineら(1995)Cytokine 7:606 Pociotら(1992)Eur J.Clin.Invest.22:396−402
一般的には、本発明は、特定のIL−1遺伝子型が老化に対する遺伝的影響の指標であるという観察に関する。特定の態様では、本出願は、老化に関係がある皮膚の症状(ARDD)の早期発症または進行に対する被験体のかかりやすさを決定するための方法に関する。1つの態様では、本発明の方法には、被験体から核酸試料を得る工程、ならびに少なくとも1つのARDD関連対立遺伝子の存在および/もしくはIL−1ハプロタイプの少なくとも1つのARDD関連対立遺伝子の存在、または対立遺伝子パターンについて試験する工程が含まれる。特定の実施形態では、本発明の老化に関係がある皮膚の症状には、内因性老化に伴う皮膚の変化、または紫外線による老化のような外因性の老化によって引き起こされる皮膚の損傷を含む皮膚疾患が含まれる。
一般的には、皮膚疾患についての高いリスクを予測する方法は、IL−1B(−511)対立遺伝子2およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子2からなる群より選択される対立遺伝子の少なくとも1コピーの存在を検出することからなる。これらの対立遺伝子を1つ以上有していることは、炎症による皮膚疾患(例えば、太陽光への暴露に対する有害な反応)についての低いリスクを示す。対立遺伝子の検出は、IL−1領域由来のDNAを分析することによって直接、またはRNAもしくはDNAのタンパク質産物を分析することによって間接的に行われ得る。
別の実施形態では、本発明は以下のように記載することができる:患者から核酸を単離すること、IL−1遺伝子クラスター中に1種類以上の対立遺伝子が存在することを同定すること、および対照試料に対してこの1種類以上の対立遺伝子を比較すること。対照試料には、皮膚疾患と関係があることが公知であるIL−1遺伝子クラスターに由来する少なくとも1つの対立遺伝子が含まれる。好ましい実施形態では、対照試料には、IL−1B(−511)対立遺伝子2とIL−1RN(+2018)対立遺伝子2とが含まれる。対照試料に対する被験体から同定された対立遺伝子の類似性は、皮膚疾患に対する被験体の素因を示す。
本発明の別の実施形態は、皮膚疾患の予測となる対立遺伝子の検出のためのキットである。このキットには、通常は、IL−1遺伝子ファミリーの中のDNA配列に相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチド;および対照試料が含まれる。対照試料は、上記のような、皮膚疾患と関係があることが公知の対立遺伝子である。キットにはまた、DNAのサンプリング手段、DNAの精製手段、およびPCR試薬も含まれ得る。さらに、オリゴヌクレオチドには検出標識が含まれ得る。さらに、キットには、皮膚疾患の処置のための医薬品または化粧品が含まれ得る。
さらなる態様においては、本発明によって、早発型の老化に関係がある皮膚の症状を防ぐかまたは軽減する可能性がある試験物質を同定するための、試験物質のスクリーニング方法が提供される。本発明の方法には、少なくとも1種類のARDD関連対立遺伝子または対立遺伝子パターンを含むDNAを含む細胞を試験物質と接触させる工程;および上記被験体の中で少なくとも1種類の生体マーカーを観察する工程が含まれる。ここでは、ARDDと関係がある表現型からARDDには関係がない表現型への生体マーカーの変化によって、早発型の老化に関係がある皮膚の疾患および症状を防ぐかまたは軽減する可能性がある試験物質が同定される。
さらなる態様では、本発明によって、被験体において早発型の老化に関係がある皮膚の症状を防ぐかまたは軽減する可能性がある遺伝子を同定するための、遺伝子のスクリーニング方法が提供される。上記方法には、少なくともARDD関連対立遺伝子または対立遺伝子パターンを含むDNAを含む細胞を、上記細胞の1つ以上への試験遺伝子の進入を生じる条件下で、試験遺伝子と接触させる工程;および上記被験体の中で少なくとも1種類の生体マーカーを観察する工程が含まれる。ここでは、ARDDと関係がある表現型からARDDには関係がない表現型への生体マーカーの変化によって、早発型の老化に関係がある皮膚の疾患および症状を防ぐかまたは軽減する可能性がある試験物質が同定される。
なお別の態様では、本発明によって、早発型の老化に関係がある皮膚の症状を処置する(予防的処置を含む)かまたは軽減する方法が提供される。1つの実施形態では、被験体を、上記方法にしたがって同定された物質または遺伝子と接触させる。
別の態様では、本発明によって、被験体において、老化に関係がある皮膚の症状の病期を決定するための方法が提供される。この方法には、上記方法にしたがって同定された少なくとも1種類の生体マーカーを観察する工程、および生体マーカーが老化に関係がある皮膚科学的表現型を明示する程度を決定する工程が含まれる。生体マーカーが老化に関係がある皮膚科学的表現型を明示する程度が大きければ大きいほど、老化に関係がある皮膚の症状の病期は後ろにある。
本発明の他の実施形態および利点は、以下の記載の一部に示され、本明細書から明らかであるか、または本発明の実施から学ばれる場合もある。
図1は、IL−1Aの核酸配列を示す(GEN X03833;配列番号1)。 図1は、IL−1Aの核酸配列を示す(GEN X03833;配列番号1)。 図1は、IL−1Aの核酸配列を示す(GEN X03833;配列番号1)。 図1は、IL−1Aの核酸配列を示す(GEN X03833;配列番号1)。 図2は、IL−1Bの核酸配列を示す(GEN X04500;配列番号2)。 図2は、IL−1Bの核酸配列を示す(GEN X04500;配列番号2)。 図2は、IL−1Bの核酸配列を示す(GEN X04500;配列番号2)。 図3は、分泌型のIL−1RNの核酸配列を示す(GEN X64532;配列番号3)。 図3は、分泌型のIL−1RNの核酸配列を示す(GEN X64532;配列番号3)。 図3は、分泌型のIL−1RNの核酸配列を示す(GEN X64532;配列番号3)。 図3は、分泌型のIL−1RNの核酸配列を示す(GEN X64532;配列番号3)。 図4は、細胞内のIL−1RNの核酸配列を示す(GEN X77090;配列番号4)。
インターロイキン−1と皮膚科学的老化
本発明は、一部、個体のIL−1遺伝型がその個体の皮膚科学的老化の遺伝的および細胞性の局面に影響を与えることの発見に基づく。例えば、IL−1対立遺伝子は老化に関係がある皮膚の症状と関係がある。老化に関係がある皮膚の症状には、内因性老化に伴う皮膚の変化または紫外線による老化のような外因性老化によって引き起こされる皮膚の損傷を含む皮膚疾患が含まれる。
特定の態様では、本発明の方法は、個体について老化に関係がある皮膚疾患を発症する可能性を予測するために使用され得る。特定の実施形態では、本発明は、特定のIL−1遺伝子型を有している被験体の集団については、平均して、皮膚疾患を発症する傾向がより大きく認められるであろうこと、そして、特定の場合には、皮膚疾患のより迅速な進行が認められるであろうことの観察に関する。他の態様では、被験体のIL−1遺伝子型は、予防的治療または積極的治療、あるいは初期治療の候補であろう被験体を同定するために使用され得る。
特定の実施形態では、皮膚疾患には、内因性老化に伴う皮膚の変化または紫外線による老化のような外因性老化によって引き起こされる皮膚の損傷が含まれる。好ましい実施形態では、皮膚疾患には以下が含まれる:角質化の妨害、構造的完全性、または炎症を伴う皮膚疾患;シワ;乾燥肌;魚鱗癬;掌蹠角化症(;フケ;ダリエー病;慢性単純性苔癬;角化症;ニキビ;乾癬;湿疹;掻痒;毛孔性角化症(毛孔性紅色角化症(赤色の炎症をおこした隆起)、アルバ(刺激を伴わないザラザラした凸凹のある皮膚)、rubra faceii(頬の赤みがかった発疹)を含む);扁平苔癬;日光性角化症(日光角化症またはAKとも呼ばれる);脂漏性角化症;ならびに皮膚ガン(基底細胞ガンおよび扁平上皮ガンを含む)。
特定の実施形態では、皮膚疾患には、以下を含む化粧品による症状または皮膚科学的症状が含まれる:乱れた角質化、皮膚の構成成分の合成欠損、および皮膚、爪、および毛髪の老化に伴う変化;ならびに、皮膚、爪、および毛髪の乾燥または完全性の喪失を含むそのような適応症;乾燥症;魚鱗癬;掌蹠角化症;皮膚、爪、および毛髪の均一ではない凸凹の表面;フケ;ダリエー病;慢性単純性苔癬;角化症;ニキビ;鬚毛部仮性毛包炎;湿疹;乾癬;頭皮および皮膚の痒み;掻痒;疣贅;ヘルペス;皮膚の染み;色素斑;胆斑;皮膚の傷;過角化症;色素沈着過剰皮膚;コラーゲン、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、およびエラスチンの合成の異常または減少、ならびに真皮の中でのそのような成分のレベルの低下;妊娠線;皮膚のシワ;小ジワ;シワ;皮膚、爪甲、および毛髪の菲薄化;紫外線による老化の弾性線維症、皮膚、爪、および毛髪の弾力性、弾性、および反発性の喪失または低下が原因である皮膚肥厚;皮膚、爪、および毛髪の滑らかさおよび艶が足りないこと;くすんで、歳をとったように見える皮膚、爪、および毛髪;爪および毛髪のもろさおよび割れ;あるいはそれらの組み合わせ。
定義
便宜上、明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において使用される特定の用語がここにまとめられる。他の場所で明白に定義されない限りは、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。
冠詞「a」と「an」は、その冠詞の文法上の対象の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)をいうように本明細書中で使用される。例えば、「エレメント」は、1つのエレメントまたは2つ以上のエレメントを意味する。
用語「異常な活性」は、IL−1のようなポリペプチドの活性に対して適用される場合は、野生型すなわち天然のポリペプチドの活性とは異なるか、または健常な被験体の中でのそのポリペプチドの活性とは異なる活性をいう。ポリペプチドの活性は、それがその天然の対応物の活性よりも強いことが原因で、異常であり得る。あるいは、活性は、その天然の対応物の活性と比較して弱いか、または活性がないとの理由から異常であり得る。異常な活性はまた、活性の変化でもあり得る。例えば、異常なポリペプチドは異なる標的ペプチドと相互作用し得る。細胞は、IL−1遺伝子座のポリペプチドをコードするIL−1遺伝子座の遺伝子の過剰発現または低発現が原因で、異常なIL−1活性を有し得る。
「老化に関係がある皮膚疾患と関係がある表現型」すなわち「ARDDと関係がある表現型」は、老化に関係がある皮膚疾患と関係があるか、または老化に関係がある皮膚疾患の高い可能性と関係がある、被験体あるいは細胞の表現型である。ARDDと関係がある表現型はまた、ARDDと関係がある対立遺伝子を持つ被験体または細胞の中で見られる任意の表現型でもあり、ここでは、そのような表現型は、ARDDと関係がある対立遺伝子を持たない被験体または細胞の中で見られる表現型とは異なる。そのような表現型には、原則として、1つの生体マーカーの任意の特徴が含まれる。ARDDと関係がある表現型は、ARDDに直接は関係していない場合があるが、それでもなお、ARDDの指標となり得る。「ARDDとは関係ない表現型」は、老化に関係がある皮膚疾患とは関係がないか、または老化に関係がある皮膚疾患を発症する高い可能性とは関係がない表現型である。
「ARDD治療薬」は、早発型の老化に関係がある皮膚の症状の発症を防ぐもしくは遅らせる、またはそのような症状の症候を緩和する任意の薬剤をいう。ARDD治療薬は、ポリペプチド、ペプチド模倣物、核酸、他の無機もしくは有機分子、または栄養補助食品であり得、「低分子」であることが好ましい。ARDD治療薬は、少なくとも1つのARDDと関係がある表現型を調節できることが好ましい。例えば、ARDD治療薬は、IL−1ポリペプチドの活性(例えば、IL−1受容体との相互作用)を、自然界に存在しているIL−1ポリペプチドの作用を模倣するか、または強化する(アゴナイズする)か、または阻害する(アンタゴナイズする)ことによって調節することができる。IL−1アゴニストは、野生型IL−1タンパク質、または野生型IL−1の少なくとも1つの生体活性(例えば、受容体結合活性)を有しているその誘導体であり得る。IL−1アゴニストはまた、IL−1遺伝子の発現をアップレギュレートさせるか、またはIL−1タンパク質の少なくとも1つの生体活性を増大させる化合物でもあり得る。アゴニストはまた、IL−1ポリペプチドの別の分子(例えば、インターロイキン受容体)との相互作用を増大させる化合物でもあり得る。IL−1アンタゴニストは、IL−1タンパク質と別の分子(例えば、IL−1受容体のような受容体)との間での相互作用を阻害するかまたは減少させる化合物であり得る。したがって、好ましいアンタゴニストは、IL−1受容体に対する結合を阻害するかまたは減少させ、それによって続いて起こるIL−1受容体の活性化をブロックする化合物である。アンタゴニストはまた、IL−1遺伝子座の遺伝子の発現をダウンレギュレートさせるか、または存在するIL−1タンパク質の量を減少させる化合物でもあり得る。IL−1アンタゴニストは、IL−1ポリペプチドの優性阻害形態(例えば、標的ペプチド(例えば、IL−1受容体)と相互作用することができるが、IL−1受容体の活性化を促進することはできないIL−1ポリペプチドの形態)であり得る。IL−1アンタゴニストはまた、IL−1ポリペプチドの優性阻害形態をコードする核酸、IL−1アンチセンス核酸、またはIL−1 RNAと特異的に相互作用することができるリボザイムでもあり得る。なお他のIL−1アンタゴニストは、IL−1ポリペプチドに結合し、その作用を阻害する分子である。そのような分子には、ペプチド(例えば、生物学的活性を持たない、IL−1受容体に対するIL−1の結合を阻害するIL−1標的ペプチドの形態が含まれる。したがって、そのようなペプチドはIL−1の活性部位に結合し、標的ペプチド(例えば、IL−1受容体)とのその相互作用を妨げるであろう。なお他のIL−1アンタゴニストには、結合によってIL−1遺伝子座のポリペプチドの生物学的機能が妨害されるようにIL−1分子のエピトープと特異的に相互作用する抗体が含まれる。なお別の好ましい実施形態では、IL−1アンタゴニストは低分子、例えば、IL−1ポリペプチドと標的IL−1受容体との間での相互作用を阻害することができる分子である。あるいは、低分子は、IL−1受容体結合部位以外の部位と相互作用することによってアンタゴニストとして機能することができる。アンタゴニストは任意のクラスの分子であり得、これには、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質、それらの組み合わせが含まれるが、治療目的のためには低分子が好ましい。
用語「対立遺伝子」は、様々な多型領域で見られる様々な配列変異体をいう。例えば、IL−1RN(VNTR)は、少なくとも5種類の対立遺伝子を持つ。配列変異体は、挿入、欠失、または置換を含む(これらに限定されない)1塩基変化または多塩基変化であり得、あるいは、配列の繰り返し回数が異なる場合もある。
用語「対立遺伝子パターン」は、1つ以上の多型領域での1つまたは複数の対立遺伝子の実体をいう。例えば、対立遺伝子パターンは、IL−1RN遺伝子の遺伝子座のVNTRに少なくとも1コピーのIL−1RN対立遺伝子1を持つ対立遺伝子パターンであるIL−1RN(VNTR)対立遺伝子1のように、1つの多型部位が1つの対立遺伝子からなる場合がある。あるいは、対立遺伝子パターンは、1つの多型部位が、ホモ接合型またはヘテロ接合型のいずれかの状態からなり得る。例えば、IL−1RN(VNTR)対立遺伝子2,2は、IL−1RNのVNTRマーカーに2コピーの第2の対立遺伝子が存在しており、ホモ接合型IL−RN(VNTR)対立遺伝子2の状態に相当する、対立遺伝子パターンである。あるいは、対立遺伝子パターンは、2つ以上の多型部位にある対立遺伝子の実体からなり得る。
用語「抗体」は、本明細書中で使用される場合は、IL−1Bポリペプチドと特異的に反応する抗体全体またはその結合断片を含む、結合因子をいうように意図される。抗体は従来技術を使用して断片化させることができ、断片は、抗体全体について上記に記載された方法と同じ方法で、有用性についてスクリーニングすることができる。例えば、F(ab)断片は、抗体をペプシンで処理することによって作製することができる。得られるF(ab)断片をジスルフィド結合を還元するように処理すると、Fab断片を得ることができる。本発明の抗体は、さらに、抗体の少なくとも1つのCDR領域から付与されたIL−1Bポリペプチドに対する親和性を有している、二重特異的分子、単鎖分子、ならびにキメラおよびヒト化分子を含むように意図される。
「生物学的活性」または「生体活性」または「活性」または「生物学的機能」は互換的に使用され、本明細書中での目的については、IL−1ポリペプチド(その天然の立体構造であるか、もしくは変性させられた立体構造であるかは問わない)によって、またはその任意のサブ配列によって直接あるいは間接的に行われる、エフェクターまたは抗原性の機能をいう。これらの用語はまた、IL−1タンパク質および遺伝子の特性(例えば、発現レベルおよび翻訳後修飾)を含むように意図される。生物学的活性には、標的ペプチド(例えば、IL−1受容体)に対する結合が含まれる。IL−1の生体活性は、IL−1ポリペプチドに直接影響を与えることによって調節することができる。あるいは、IL−1の生体活性は、IL−1ポリペプチドのレベルを調節することによって(例えば、IL−1遺伝子の発現を調節することによって)調節することができる。
本明細書中で使用される場合は、用語「IL−1ポリペプチドの生体活性断片」は、全長のIL−1ポリペプチドの断片をいう。ここでは、断片は、野生型IL−1ポリペプチドの活性を特異的に模倣するかまたはアンタゴナイズする。生体活性断片は、インターロイキン受容体と相互作用することができる断片であることが好ましい。
用語「生体マーカー」は被験体または細胞の表現型をいう。生体マーカーには、広範囲の細胞内および細胞外事象、ならびに生物体全体の生理学的変化が含まれる。生体マーカーはこれらのいずれかであり得、炎症反応には必ずしも関係していない。細胞に関しては、生体マーカーは、原則的には、例えば以下のような細胞機能のいずれかの局面であり得る:シグナル伝達分子、転写因子、中間体代謝物、サイトカイン、プロスタノイド、ステロイドホルモン(例えば、エストロゲン、プロゲステロン、アンドロステンジオン、またはテストステロン)、性腺刺激ホルモン(例えば、LHおよびFSH)、遺伝子転写物、タンパク質の翻訳後修飾、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、カテコールアミン(例えば、ドーパミンまたはノルエピネフィリン)、オピオイド、アクチビン、インヒビンの生産レベルあるいは速度、ならびにIL−1の生体活性。生体マーカーには、転写物のレベルについての全ゲノム分析、あるいはタンパク質レベルおよび/または修飾についての全プロテオーム分析が含まれ得る。さらに、生体マーカーはレポーター遺伝子であり得る。例えば、IL−1プロモーターまたはARDD関連対立遺伝子を含むIL−1プロモーターを、レポーター遺伝子に動作可能であるように連結させることができる。別の方法では、プロモーターは、IL−1によって調節されるプロモーター(例えば、IL−8)であり得る。この方法では、レポーター遺伝子の活性はプロモーターの活性を反映する。適切なレポーター遺伝子としては、GUS、LacZ、緑色蛍光タンパク質(GFP)(およびその変異体、例えば、赤色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、および青色蛍光タンパク質)、またはその産物が容易に検出される原則的にあらゆる他の遺伝子が挙げられる。他の好ましい生体マーカーとしては、免疫応答および炎症応答に関与している因子、ならびに、以下に記載されるような、IL−1の生産とシグナル伝達に関与している因子が挙げられる。被験体の中では、生体マーカーは、例えば、上記のいずれか、ならびに心電図のパラメーター、肺機能、IL−6活性、尿のパラメーター、または組織のパラメーターであり得る。「ARDDと関係がある生体マーカー」は、ARDDと関係があることが明らかにされているか、またはARDDと関係がある対立遺伝子を含む被験体または細胞の中で優先的に見られる、上記のいずれかである。
「細胞」、「宿主細胞」、または「組み換え宿主細胞」は、本明細書で互換的に使用される用語であり、特定の被験体細胞だけではなく、そのような細胞の子孫または潜在的子孫もいう。なぜなら、特定の修飾が突然変異または環境の影響のいずれかによって継代されて生じる可能性があり、そのような子孫は、実際には、親細胞とは同一ではない場合があるが、本明細書で使用される場合には、それでもなおこの用語の範囲内に含まれる。
「キメラ」、「モザイク」、「キメラ哺乳動物」などは、そのゲノムを含む細胞の少なくともいくつかの中にノックアウトまたはノックイン構築物を持つトランスジェニック哺乳動物をいう。
用語「含む」および「含まれている」は包括的な開かれた意味で使用され、さらなるエレメントが含まれ得ることを意味している。
用語「対照」または「対照試料」は、使用される検出技術に適している任意の試料をいう。対照試料には、使用される対立遺伝子検出技術の産物または試験される材料が含まれ得る。さらに、対照はポジティブ対照またはネガティブ対照であり得る。例えば、対立遺伝子検出技術がPCR増幅と、その後に行われる大きさによる分画である場合は、対照試料には、適切な大きさのDNA断片が含まれ得る。同様に、対立遺伝子検出技術に突然変異したタンパク質の検出が含まれる場合は、対照試料には、突然変異体タンパク質の試料が含まれ得る。しかし、対照試料に試験される材料が含まれることが好ましい。例えば、対照は、ゲノムDNAの試料またはIL−1遺伝子クラスターのクローニングされた部分であり得る。しかし、試験される試料がゲノムDNAである場合は、対照試料は高度に精製されたゲノムDNA試料であることが好ましい。
「臨床兆候」は、疾患の臨床的に認められる兆候、または疾患の臨床的に報告できる症候の発生である。「臨床的に認められる」は、その兆候を医療技術提供者が認識できることを示す。「臨床的に報告できる」は、その症候が医療技術提供者が記載できる現象のタイプであることを示す。臨床兆候には、これらが医療技術提供者にとって患者によって通常は記載できる現象のタイプである限りは、たとえ特定の患者が患者自身はそれを報告できなくても、臨床的に報告することができる症候が含まれ得る。
「皮膚の症状」または「老化に関係がある皮膚の症状」または「皮膚疾患」は、老化または炎症と関係がある任意の皮膚疾患をいう。これには、内因性老化に伴う皮膚の変化または紫外線による老化のような外因性老化によって引き起こされる皮膚の損傷が含まれる。皮膚疾患の例としては以下が挙げられる:乱れた角質化または炎症を伴う皮膚疾患;シワ;乾燥肌;魚鱗癬;掌蹠角化症;フケ;ダリエー病;慢性単純性苔癬;角化症;ニキビ;乾癬;湿疹;掻痒;毛孔性角化症(毛孔性紅色角化症(赤色の炎症をおこした隆起),アルバ(刺激を伴わないザラザラした凸凹のある皮膚)、rubra faceii(頬の赤味がかった発疹)を含む);扁平苔癬;日光性角化症(日光角化症またはAKとも呼ばれる);脂漏性角化症;日光黒子;ならびに皮膚ガン(基底細胞ガン、扁平上皮ガン、および黒色腫を含む)。
「疾患関連対立遺伝子」または「疾患と関係がある対立遺伝子」は、被験体の中でのその存在が、被験体が特定の疾患を有しているか、または特定の疾患を発症する素因があることを示す対立遺伝子をいう。疾患関連対立遺伝子の1つのタイプは「皮膚疾患関連対立遺伝子」であり、被験体中でのその存在は、その被験体が老化に関係する皮膚疾患にかかりやすいことを示す。
表現「遺伝子の破壊」および「標的化された破壊」または任意の同様の表現は、遺伝子の野生型のコピーと比較して、細胞中でのその遺伝子の発現を妨げるような天然のDNA配列の部位特異的遮断をいう。遮断は、遺伝子の欠失、挿入、または修飾、あるいはそれらの任意の組み合わせによって引き起こされ得る。
「早発型の老化に関係がある皮膚の症状」または「老化に関係がある皮膚の症状の早期発症または進行」は、老化に関係がある皮膚の症状が、別な方法で特定の個体および特定の症状について予想されているよりも早く起こるかまたは速く進行する状況をいう。予想される発症年齢は、その個体について判っている情報の量に応じて様々であり得る。
用語「老化に関係がある症状の初期進行」または「老化に関係がある皮膚の症状の初期進行」または「EPA」は、被験体において老化に関係がある皮膚の症状が進行する速度が、全体としてその集団の中での進行よりも迅速である状況を示すために使用される。早期発症と初期進行は強く重複し、関連する状況であり、状況によって明白に示されない限りは、早期発症に関して記載される実施形態のそれぞれは初期進行にも適用することができる。
用語「ハプロタイプ」は、本明細書中で使用される場合は、統計学的に有意なレベル(pcorr<0.05)で、1つのグループとして(連鎖不均衡の状態で)一緒に遺伝する対立遺伝子の1つのセットをいうように意図される。本明細書中で使用される場合は、表現「IL−1ハプロタイプ」は、IL−1遺伝子座にあるハプロタイプをいう。少なくとも3種類のIL−1プロ炎症性ハプロタイプが公知である。IL−1(44112332)(本明細書中ではパターン2とも呼ばれる)ハプロタイプは、IL−受容体アンタゴニスト活性の低下と関係があり、一方、IL−1(33221461)(本明細書中ではパターン1とも呼ばれる)ハプロタイプは、IL−1αおよびβアゴニスト活性の増大と関係がある。IL−1(44112332)ハプロタイプには以下の対立遺伝子が含まれる:IL−1RN(+2018)対立遺伝子2;IL−1RN(VNTR)対立遺伝子2;IL−1A(222/223)対立遺伝子4;IL−1A(gz5/gz6)対立遺伝子4;IL−1A(−889)対立遺伝子1;IL−1B(+3954)対立遺伝子1;IL−1B(−3737)対立遺伝子1;IL−1B(−511)対立遺伝子2;gaat.p33330対立遺伝子3;Y31対立遺伝子3;IL−1RN exon lic(1812)対立遺伝子2;IL−1RN exon lic(1868)対立遺伝子2;IL−1RN exon lic(1887)対立遺伝子2;Pic(1731)対立遺伝子2;IL−1A(+4845)対立遺伝子1;IL−1B(+6912)対立遺伝子1;IL−1B(−31)対立遺伝子2。IL−1(33221461)ハプロタイプには以下の対立遺伝子が含まれる:IL−1RN(+2018)対立遺伝子1;IL−1RN(VNTR)対立遺伝子1;IL−1A(222/223)対立遺伝子3;IL−1A(gz5/gz6)対立遺伝子3;IL−1A(−889)対立遺伝子2;IL−1B(+3954)対立遺伝子2;IL−1B(−3737)対立遺伝子1;IL−1B(−511)対立遺伝子1;gaat.p33330対立遺伝子4;Y31対立遺伝子6;IL−1RN exon lic(1812)対立遺伝子1;IL−1RN exon lic(1868)対立遺伝子1;IL−1RN exon lic(1887)対立遺伝子1;Pic(1731)対立遺伝子1;IL−1A(+4845)対立遺伝子2;IL−1B(+6912)対立遺伝子2;IL−1B(−31)対立遺伝子1。第3のハプロタイプ(パターン3)には以下の対立遺伝子が含まれる:IL−1A(+4845)対立遺伝子1;IL−1A(−889)対立遺伝子1;IL−1B(+3954)対立遺伝子1;IL−1B(−511)対立遺伝子1;IL−1B(−3737)対立遺伝子2;IL−1RN(+2018)対立遺伝子1;IL−1RN(VNTR)対立遺伝子1。
「IL−1アゴニスト」は、本明細書中で使用される場合は、IL−1の生体活性またはIL−1の生物学的経路の中の遺伝子の生体活性を模倣する、アップレギュレートする(強める、または補う)、あるいは別の方法で増大させる物質をいう。IL−1アゴニストは、任意の多種多様なレベルで作用し得、これには、プロモーター領域でのIL−1遺伝子の発現の調節、mRNAスプライシング機構の調節、mRNAの安定化、翻訳のためのタンパク質のリン酸化、proIL−1の成熟IL−1への変換、およびIL−1の分泌が含まれる。IL−1の合成を増加させるアゴニストとしては以下が挙げられる:リポ多糖類、IL−1B、cAMP誘導因子、NFκKB活性化因子、AP−1活性化因子、TNF−α、酸化型LDL、終末糖化産物(AGE)、剪断応力、低酸素症、酸素過剰症、虚血再潅流傷害、ヒスタミン、プロスタグランジンE2(PGE2)、IL−2、IL−3、IL−12、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、単球コロニー刺激因子(M−CSF)、幹細胞因子、血小板由来成長因子(PDGF)、補体C5A、補体C5b9、フィブリン分解産物、プラスミン、トロンビン、9−ヒドロキシオクタデカエノン酸、13−ヒドロキシオクタデカエノン酸、血小板活性化因子(PAF)、H因子、レチノイン酸、尿酸、ピロリン酸カルシウム、ポリヌクレオシド、C反応性タンパク質、抗トリプシン、タバコ抗原、コラーゲン、インテグリン、LFA−3、抗HLA−DR、抗IgM、抗CD3、CD40連結、フィトヘマグルチニン(CD2)、sCD23、紫外線Bの照射、γ線の照射、サブスタンスP、イソプロテレノール、メタンフェタミン、およびメラトニン。IL−1 mRNAを安定化させるアゴニストには細菌の内毒素およびIL−1が含まれる。利用できる1型IL−1受容体の数を増やすことによって機能する他のアゴニストとしては、IL−1、PKC活性化因子、デキサメタゾン、IL−2、IL−4、およびPGE2が挙げられる。他の好ましいアンタゴニストは、IL−1によって活性化されるか、またはIL−1のシグナル伝達経路において利用されるシグナル伝達因子を妨害するかあるいは阻害する(例えば、NFκBおよびAP−1、P13キナーゼ、ホスホリパーゼA2、プロテインキナーゼC、JNK−1、5−リポキシゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ2、チロシンリン酸化、iNOS経路、Rac、Ras、TRAF)。さらに他のアゴニストは、以下を含むその発現がIL−1によって誘導される遺伝子の生体活性を増大させる:IL−1、IL−1Ra、TNF、IL−2、IL−3、IL−6、IL−12、GM−CSF、G−CSF、TGF、フィブリノーゲン、ウロキナーゼプラスミノーゲン阻害剤、1型および2型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、p−セレクチン(CD62)、フィブリノーゲン受容体、CD−11/CD18、プロテアーゼネキシン−1、CD44、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、MMP−3、エラスターゼ、コラゲナーゼ、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤−1(TIMP−1)、コラーゲン、トリグリセリドを増加させるApo CIII、アポリポタンパク質、ICAM−1、ELAM−1、VCAM−1、L−セレクチン、デコリン、幹細胞因子、白血病阻止因子、IFNa,b,g、L−8、IL−2受容体、IL−3受容体、IL−5受容体、c−kit受容体、GM−CSF受容体、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)、2型ホスホリパーゼA2、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、エンドセリン−1,3、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、Mnスーパーオキシドジスムターゼ、C反応性タンパク質、フィブリノーゲン、血清アミロイドA、メタロチオネイン、セルロプラスミン、リゾチーム、キサンチンデヒドロゲナーゼ、キサンチンオキシダーゼ、血小板由来成長因子A鎖(PDGF)、黒色腫増殖刺激活性(gro−a,b,g)、インシュリン様成長因子−i(IGF−1)、アクチビンA、プロ−オピオメラノコルチオトロピン、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、Bアミロイド前駆体、基底膜タンパク質−40、ラミニンB1およびB2、構成的な熱ショックタンパク質p70、P42分裂促進因子、活性化プロテインキナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ、ヘムオキシゲナーゼ、Gタンパク質aサブユニット)。
「IL−1アンタゴニスト」は、本明細書中で使用される場合は、IL−1の生体活性をダウンレギュレートさせるかまたは別の方法で低下させる物質をいう。IL−1アンタゴニストは、プロモーター領域でのIL−1遺伝子の発現の調節、mRNAスプライシング機構の調節、mRNAの安定化、翻訳のためのタンパク質のリン酸化、proIL−1の成熟IL−1への変換、およびIL−1の分泌を含むがこれらに限定されない、任意の多種多様なレベルで作用し得る。IL−1の生産のアンタゴニストとしては以下が挙げられる:コルチコステロイド、リポキシゲナーゼ阻害剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、γ−インターフェロン、IL−4、IL−10、IL−13、形質転換成長因子β(TGF−β)、ACE阻害剤、n−3多価不飽和脂肪酸、抗酸化物質、および脂質還元物質。IL−1mRNAを不安定化させるアンタゴニストとしては、脱アセチル化を促進する物質が挙げられる。翻訳のためのIL−1タンパク質のリン酸化を阻害するかまたは妨害するアンタゴニストとしては、ピリジニル−イミダゾール化合物(例えば、テブフェロン)および微小管の形成を阻害する化合物(例えば、コルヒチン、ビンブラスチン、およびビンクリスチン)が挙げられる。proIL−1の成熟IL−1への変換を阻害するかまたは妨害するアンタゴニストとしては、インターロイキン変換酵素(ICE)阻害剤、CXrm−A、トランスクリプトX、内因性のテトラペプチド競合基質阻害剤、トリプシン、エラスターゼ、キモトリプシン、キマーゼ、および他の非特異的プロテアーゼが挙げられる。IL−1の分泌を妨害するかまたは阻害するアンタゴニストとしては、陰イオンの輸送をブロックする物質が挙げられる。IL−1受容体の相互作用を妨害するアンタゴニストとしては以下が挙げられる:I型のIL−1受容体のグリコシル化を阻害する物質、IL−1 RIに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、IL−1RIに対する抗体、およびIL−1RacPに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド。利用することができる1型IL−1受容体の数を減らすことによって機能する他のアンタゴニストとしては、TGF−α、COX阻害剤、II型IL−1受容体を増加させる因子、デキサメタゾン、PGE2、IL−1、およびIL−4が挙げられる。他の好ましいアンタゴニストは、IL−1によって活性化されるか、またはIL−1シグナル伝達経路において利用されるシグナル伝達因子を妨害するかあるいは阻害する(例えば、NFκBおよびAP−1、P13キナーゼ、ホスホリパーゼA2、プロテインキナーゼC、JNK−1、5−リポキシゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ2、チロシンリン酸化、iNOS経路、Rac、Ras、TRAF)。さらに他のアンタゴニストは、以下を含むがこれらに限定されない、その発現がIL−1によって誘導される遺伝子の生体活性を妨害する:IL−1、IL−1Ra、TNF、IL−2、IL−3、IL−6、IL−12、GM−CSF、G−CSF、TGF−、フィブリノーゲン、ウロキナーゼプラスミノーゲン阻害剤、1型および2型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤、p−セレクチン(CD62)、フィブリノーゲン受容体、CD−11/CD18、プロテアーゼネキシン−1、CD44、マトリックスメタロプロテイナーゼ−1(MMP−1)、MMP−3、エラスターゼ、コラゲナーゼ、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤−1(TIMP−1)、コラーゲン、トリグリセリドを増加させるApo CIII、アポリポタンパク質、ICAM−1、ELAM−1、VCAM−1、L−セレクチン、デコリン、幹細胞因子、白血病阻止因子、IFNα,β,γ、L−8、IL−2受容体、IL−3受容体、IL−5受容体、c−kit受容体、GM−CSF受容体、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)、2型ホスホリパーゼA2、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、エンドセリン−1,3,ガンマグルタミルトランスフェラーゼ、Mnスーパーオキシドジスムターゼ、C反応性タンパク質、フィブリノーゲン、血清アミロイドA、メタロチオネイン、セルロプラスミン、リゾチーム、キサンチンデヒドロゲナーゼ、キサンチンオキシダーゼ、血小板由来成長因子A鎖(PDGF)、黒色腫増殖刺激活性(gro−a,b,g)、インシュリン様成長因子−1(IGF−1)、アクチビンA、プロ−オピオメラノコルチオトロピン、副腎皮質刺激ホルモン放出因子、Bアミロイド前駆体、基底膜タンパク質−40、ラミニンB1およびB2、構成的な熱ショックタンパク質p70、P42分裂促進因子、活性化プロテインキナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ、ヘムオキシゲナーゼ、およびGタンパク質aサブユニット)。他の好ましいアンタゴニストとしては以下が挙げられる:ヒメニアルジシン、ヘルビマイシン(例えば、ヘルバマイシンA)、CK−103Aおよびその誘導体(例えば、4,6−ジヒドロピリダジノ[4,5−c]ピリダジン−5(1H)−オン)、CK−119、CK−122、ヨードメタシン、アフラトキシンB1、レプチン、ヘパリン、ニ環式のイミダゾール(例えば、SB203580)、PD15306HC1、ポドカルプ酸誘導体、M−20、ヒト[Gly2]グルカゴン様ペプチド−2、FR167653、ステロイド誘導体、グルココルチコイド、ケルセチン、テオフィリン、NO−合成酵素阻害剤、RWJ68354、ユーカリプトール(Euclyptol)(1.8−シネオール)、マグノサリン、N−アセチルシステイン、A−メラトニン−刺激ホルモン(a−MSH)、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシルジフェニルエーテル)、プロスタグランジンE2および4−アミノピリジンエタクリン酸および4,4’−ジイソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸(DIDS)、グルコース、リポホスホグリカン、アスピリン、異化遮断因子、ジアセレイン、チオール調節因子、亜鉛、モルヒネ、ロイコトリエン生合成阻害剤(例えば、MK886)、血小板活性化因子受容体アンタゴニスト(例えば、WEB2086)、アミオダロン、トラニラスト、S−メチル−L−チオシトルリン、B−アドレナリン受容体アゴニスト(例えば、プロカテロール、クレンブテロール、フェノテロール、テルブタリン、ヒアルロン酸、抗TNF−α抗体、抗−IL−1α自己抗体、IL−1受容体アンタゴニスト、IL−1R関連キナーゼ、可溶性TNF受容体、および抗炎症性サイトカイン(例えば、IL−4、IL−13、IL−10、IL−6、TGF−β、アンギオテンシンII、II型の可溶性IL−1受容体、I型の可溶性IL−1受容体、組織プラスミノーゲン活性化因子、亜鉛フィンガータンパク質A20 IL−1ペプチド(例えば、(Thr−Lys−Pro−Arg)(Tuftsin)、(Ile−Thr−Gly−Ser−Glu)IL−1−α、Val−Thr−Lys−Phe−Tyr−Phe、Val−Thr−Asp−Phe−Tyr−Phe、インターフェロンα2b、インターフェロンβ、IL−1−βアナログ(例えば、IL−1−βトリペプチド:Lys−D−Pro−Thr)、グリコシル化IL−1−α、およびIL−1raペプチド。
「IL−1遺伝子クラスター」および「IL−1遺伝子座」には、本明細書中で使用される場合は、2番染色体の2q13領域にあるかまたはその近くにある全ての核酸が含まれる。これには、少なくとも、IL−1A、IL−1B、およびIL−1RN遺伝子と、任意の他の連結された配列が含まれるが、これらに限定されない。用語「IL−1A」、「IL−1B」、および「IL−1RN」は、本明細書中で使用される場合は、それぞれ、IL−1α、IL−1β、およびIL−1受容体アンタゴニストすなわちIL−1raをコードする遺伝子をいう。この領域にあるDNAはマップされている。Nicklinら、Genomics 19:382−84,1994;Nothwang H.G.ら、Genomics 41:370,1997;Clarkら、Nucl.Acids.Res.14:7897−914,1986,(Nucleic Acids Res.15:868,1987の訂正表)。IL−1AおよびIL−1Bについての遺伝子登録番号(GEN)は、それぞれ、X03833およびX04500である。一般的には、IL−1RNについてのヌクレオチド位置の言及は、いくつかの状況において明らかに示されるかまたは状況から暗に意味されるかのいずれかで、GEN X77090の番号を持つ細胞内形態について記載される場合を除き、分泌型タンパク質であるGEN X64532のヌクレオチド配列について記載される。IL−1RAの2つの形態は、2種類の第1のエキソンが選択肢として使用されることによって、単一遺伝子によってコードされる。一般的には、Lennardら、Crit.Rev.Immuno.15:77−105,1995を参照のこと。
「IL−1の機能性突然変異体」は、表現型の変化を生じる(すなわち、IL−1遺伝子またはタンパク質の機能に影響を与える)、IL−1遺伝子クラスター内での突然変異をいう。例としては、IL−1B(−511)対立遺伝子2、およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子2が挙げられる。
「IL−1X(Z)対立遺伝子Y」は、遺伝子X中のIL−1遺伝子座多型部位で起こる特定の対立遺伝子形態(Yと記載される)をいう。ここでは、Xは、IL−1A、B、またはRN、あるいはIL−1遺伝子の遺伝子座の中のいくつかの他の遺伝子であり、ヌクレオチドZに、またはその近くに存在し、ここではヌクレオチドZは、特定のIL−1遺伝子Xの+1位のヌクレオチドである主要な転写開始部位に対して番号付けされる。さらに、本明細書中で使用される場合は、用語「IL−1X対立遺伝子(Z)」は、ヌクレオチドZにあるかまたはその近くにある遺伝子X中のIL−1多型部位の全ての対立遺伝子をいう。例えば、用語「IL−1RN(+2018)対立遺伝子」は、マーカー+2018にあるIL−1RN遺伝子の別の形態をいう。「IL−1RN(+2018)対立遺伝子1」は、センス鎖の+2018位にチミン(T)を含むIL−1RN遺伝子の1つの形態をいう。Clayら、Hum.Genet.97:723−26,1996。「IL−1RN(+2018)対立遺伝子2」は、プラス鎖の+2018位にシトシン(C)を含むIL−1RN遺伝子の1つの形態をいう。被験体が2つの同じIL−1RN対立遺伝子を持つ場合は、この被験体はホモ接合型である、またはホモ接合型状態を有すると言われる。被験体が2つの異なるIL−1RN対立遺伝子を持つ場合は、この被験体は、ヘテロ接合型である、またはヘテロ接合型状態を有すると言われる。用語「IL−1RN(+2018)対立遺伝子2,2」は、ホモ接合型のIL−1RN(+2018)対立遺伝子2の状態をいう。逆に、用語「IL−1RN(+2018)対立遺伝子1,1」は、ホモ接合型のIL−1RN(+2018)対立遺伝子1の状態をいう。用語「IL−1RN(+2018)対立遺伝子1,2」は、ヘテロ接合型の対立遺伝子1および2の状態をいう。
「IL−1関連」は、本明細書中で使用される場合は、ヒトの2番染色体上(2q12−14)にあるヒトIL−1遺伝子座遺伝子に関係がある全ての遺伝子を含むように意味される。これらには、2番染色体(2q13−14)にあるヒトIL−1遺伝子クラスターのIL−1遺伝子が含まれる。これには、インターロイキン−1aをコードするIL−1A遺伝子、インターロイキン−1βをコードするIL−1B遺伝子、およびインターロイキン−1受容体アンタゴニストをコードするIL−1RN(またはIL−1ra)遺伝子が含まれる。さらに、これらのIL−1関連遺伝子には、ヒトの2番染色体上(2q12)に位置するI型およびII型のヒトIL−1受容体遺伝子、ならびに、マウスの1番染色体上の19.5cMの位置にあるそれらのマウスホモログが含まれる。インターロイキン−1、インターロイキン−1、およびインターロイキン−1RNは、これらは全て1型IL−1受容体に結合するが、インターロイキン−1とインターロイキン−1だけがI型IL−1受容体を活性化させるアゴニストリガンドであり、一方、インターロイキン−1RNは自然界に存在しているアンタゴニストリガンドであるという理由から、関係がある。用語「IL−1」が遺伝子産物またはポリペプチドの言及に使用される場合は、これは、ヒトの2番染色体上(2q12−14)のインターロイキン−1遺伝子座によってコードされる全ての遺伝子産物と、他の種に由来するそれらの対応するホモログまたはそれらの機能的変異体をいうように意味される。したがって、用語IL−1には、炎症反応を促進する分泌型のポリペプチド(例えば、IL−1およびIL−1β)、ならびに炎症反応をアンタゴナイズする分泌型のポリペプチド(例えば、IL−1α受容体アンタゴニスト、およびII型のIL−1(デコイ)受容体)が含まれる。
「IL−1受容体」または「IL−1R」は、IL−1遺伝子座にコードされるリガンドに結合するおよび/またはIL−1遺伝子座にコードされるリガンドからシグナルを伝達することができる、様々な細胞膜結合型のタンパク質受容体をいう。この用語は、インターロイキン−1(IL−1)分子に結合することができ、哺乳動物の血漿膜タンパク質としてのそれらの自然な立体配置で、おそらく、IL−1によって提供されるシグナルの細胞への伝達において役割を担うであろうあらゆるタンパク質に適用される。本明細書中で使用される場合は、この用語には、IL−1結合活性またはシグナル伝達活性を持つ天然のタンパク質のアナログが含まれる。例として、米国特許第4,968,607号に記載されているヒトおよびマウスのIL−1受容体が挙げられる。用語「IL−1核酸」は、IL−1タンパク質をコードする核酸をいう。
「IL−1ポリペプチド」および「IL−1タンパク質」は、図1、2、および3に示されるIL−1のゲノムDNA配列によってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはそれらの断片、ならびにそれらのホモログを含むように意図され、そしてこれには、アゴニストおよびアンタゴニストポリペプチドが含まれる。
「免疫系」は、ウイルス、細菌、寄生生物、寄生蠕虫、真菌、昆虫、原生生物などによる感染を防ぐように、および異物、すなわち一般的には、非自己の物質から保護するように機能する、細胞と因子の複雑なシステムである。免疫系はまた、体内の損傷を受けた細胞または罹患した細胞(ガン細胞を含むがこれに限定されない)を破壊するようにも機能する。免疫系はさらに、自己と非自己を識別し、炎症および全身性のショックを媒介するように機能する。免疫系の機能の損傷は、これらの活性のいずれかの異常をいう。
用語「含む(including)」は、本明細書中では、「含むが限定されない」を意味するように使用される。「含む」および「含むが限定されない」は互換的に使用される。
「高いリスク」または「かかりやすい」は、特定の多型対立遺伝子を持たない集団のメンバーにおける疾患または症状の発生頻度と比較して、特定の多型対立遺伝子を持つ個体における疾患または症状の発生の頻度が統計学的に高いことをいう。
用語「相互作用する」は、本明細書中で使用される場合は、分子間での検出可能な関係または会合(例えば、生化学的相互作用)(例えば、実際は、タンパク質−タンパク質間、タンパク質−核酸間、核酸−核酸間、およびタンパク質−低分子間、または核酸−低分子間での相互作用)を含むように意味される。
用語「単離された」は、核酸(例えば、DNAまたはRNA)に関して本明細書中で使用される場合は、巨大分子の自然界の供給源の中に存在する、それぞれ他のDNAまたはRNAと分けられた分子をいう。例えば、本発明のIL−1ポリペプチドのうちの1つをコードする単離された核酸には、自然界においてゲノムDNA中のIL−1遺伝子にすぐ隣接している10キロ塩基(kb)を超えない核酸配列、より好ましくは、5kbを超えないそのような自然界に存在している隣接配列、および最も好ましくは、1.5kb未満のそのような自然界に存在している隣接配列が含まれることが好ましい。用語単離されたは、本明細書中で使用される場合はまた、細胞性の物質、ウイルス性の物質、または組み換えDNA技術によって生産された場合には培養培地、または化学合成された場合には化学的前駆体もしくは他の化合物が実質的には含まれない核酸あるいはペプチドをいう。さらに、「単離された核酸」は、自然界では断片としては存在しない、自然な状態では見られないであろう核酸断片を含むように意味される。用語「単離された」はまた、他の細胞性タンパク質から単離されたポリペプチドを言うように本明細書中で使用され、精製されたポリペプチドと組み換え体ポリペプチドの両方を含むように意味される。
「ノックイン」トランスジェニック動物は、そのゲノムに修飾された遺伝子が導入されており、上記修飾された遺伝子が外来性または内因性の起源のものであり得る動物をいう。
「ノックアウト」トランスジェニック動物は、内因性遺伝子の発現が部分的または完全に抑制されている動物をいう(例えば、遺伝子の少なくとも一部分の欠失、遺伝子の少なくとも一部の第2の配列での置換、終止コドンの導入、重要なアミノ酸をコードする塩基の突然変異、またはイントロン連結部の除去などに基づく)。
「ノックアウト構築物」は、細胞中の内因性DNA配列によってコードされるタンパク質発現を減少させるかまたは抑制するために使用することができる核酸配列をいう。単純な例では、ノックアウト構築物は、それから活性のあるタンパク質を発現することができないような欠失を遺伝子の重要な部分に持つ遺伝子(例えば、IL−1RN)を含む。あるいは、いくつかの終止コドンを天然遺伝子に付加してタンパク質の早期終結を起こさせること、またはイントロン連結部を不活性化させることができる。典型的なノックアウト構築物では、遺伝子を以下のように表すことができるように、遺伝子の一部が選択的マーカー(例えば、neo遺伝子)で置換される:IL−1RN 5’/neo/IL−1RN 3’。ここでは、遺伝子IL−1RN5’とIL−1 RN3’は、それぞれIL−1RN遺伝子の部分に対して上流および下流にあるゲノム配列またはcDNA配列を示し、そしてneoはネオマイシン耐性遺伝子を示す。別のノックアウト構築物では、遺伝子を以下のように表すことができるように、第2の選択的マーカーが隣接位置に付加される:IL−1RN/neo/IL−1RN/TK。ここでは、TKは、上記構築物のIL−1RN5’またはIL−1RN3’配列のいずれかに付加することができ、さらに適切な培地中で選択することができる(すなわち、ネガティブ選択的マーカーである)チミジンキナーゼ遺伝子である。この2つのマーカーを持つ構築物によって、隣接するTKマーカーが脱落する相同組み換え事象を、通常はTK配列が保持される非相同組み換え事象から選択することが可能となる。遺伝子欠失および/または遺伝子置換は、エキソン、イントロン(特に、イントロン連結部)、および/または調節領域(例えば、プロモーター)からであり得る。
「連鎖不均衡」は、所定の対照集団において個々の対立遺伝子が発生する個別の頻度から予想されるよりも大きい頻度での、2種類の対立遺伝子の共遺伝をいう。別々に遺伝する2種類の対立遺伝子について予想される発生頻度は、第2の対立遺伝子についての頻度を掛け算した第1の対立遺伝子についての頻度である。予想された頻度で同時に生じる対立遺伝子は、「連鎖均衡」の状態にあるといわれる。連鎖不均衡の原因は、多くの場合は明らかではない。これは、特定の対立遺伝子の組み合わせが選択されたこと、または遺伝子が非相同である集団が最近混合したことが原因であるとすることができる。加えて、疾患遺伝子と極めて密接な関係にあるマーカーの場合においては、対立遺伝子(または関係がある対立遺伝子のグループ)と疾患遺伝子との組み合わせが、その疾患がごく最近に生じ、結果として特定の染色体領域内での組み換え事象が十分な平衡状態に達するための十分な時間が経過していない場合に、予想される。2種類以上の対立遺伝子を含む対立遺伝子パターンについて言及される場合は、第1の対立遺伝子パターンを含む全ての対立遺伝子が第2の対立遺伝子パターンの少なくとも1種類の対立遺伝子と連鎖不均衡の状態にある場合に、第1の対立遺伝子パターンは第2の対立遺伝子パターンと連鎖不均衡の状態にある。連鎖不均衡の一例は、IL−1RN(+2018)およびIL−1RN(VNTR)多型部位にある対立遺伝子間で起こる連鎖不均衡である。IL−1RN(+2018)にある2種類の対立遺伝子は、IL−1RN(VNTR)についての2種類の最も頻繁に存在する対立遺伝子(これらは対立遺伝子1と対立遺伝子2である)と、100%の連鎖不均衡の状態にある。IL−1B(−511)と連鎖不均衡の状態にある関連する多型性のマーカーの例としては以下が挙げられる:IL−1Aの222/223マーカー、IL−1Aのgz5/gz6マーカー、IL−1Aの−889マーカー、L−1Bの+6912マーカー、IL−1Bの+3953マーカー、IL−1B/IL−1RN遺伝子間領域のgaat.p33330マーカー、IL−1B/IL−1RN遺伝子間領域のY31マーカー、IL−1RNの+2018対立遺伝子、またはIL−1RNのVNTRマーカー。これらの多型性マーカーについての特異的対立遺伝子は、IL−1B(−511)の対立遺伝子1または対立遺伝子2と連鎖不均衡の状態にある。例えば、これらの対立遺伝子のペアワイズコンビネーション(pair−wise combination)の間での連鎖不均衡の分析により、IL−1B(−511)の対立遺伝子2が以下と連鎖不均衡の状態にあることが立証された: IL−1A 222/223の対立遺伝子4、IL−1A gz5/gz6の対立遺伝子4、IL−1A −889の対立遺伝子1、IL−1A +3953の対立遺伝子1、gaat.p3330マーカーの対立遺伝子3、Y31マーカーの対立遺伝子3、IL−1B +2018の対立遺伝子2、およびIL−1RN VNTRの対立遺伝子2。他の関係がある多型の例としては、IL−1RN遺伝子における4種類の多型が挙げられる(Clayら(1996)Hum.Genet.97:723−26)。これらの多型についての連鎖不均衡の分析は、それぞれの対立遺伝子2がIL−1B(−511)の対立遺伝子2と連鎖不均衡の状態にあることを示している。
用語「マーカー」は、個体間で変化することが公知であるゲノム中の配列をいう。例えば、IL−1RN遺伝子は、異なる数のタンデムな反復(VNTR)から構成されるマーカーを有する。所定のマーカーでの異なる配列変異体は、対立遺伝子、突然変異体、または多型と呼ばれる。例えば、VNTRマーカーは少なくとも5種類の対立遺伝子を有し、そのうちの3種類は稀である。異なる対立遺伝子は、置換、挿入、または欠失を含む1塩基変化を有し得るか、あるいは、置換、挿入、欠失、反復、反転、およびそれらの組み合わせを含む、複数の塩基に影響を及ぼす変化を有し得る。
「調節」は、生体活性を調節する物質の能力をいう。IL−1の生体活性に適用される場合は、アゴニストまたはアンタゴニストは、例えば、IL−1の合成、受容体の相互作用、またはIL−1に媒介されるシグナル伝達機構をアゴナイズまたはアンタゴナイズすることによって、生体活性を調節することができる。
「突然変異した遺伝子」または「突然変異」または「機能性突然変異体」は、突然変異した遺伝子を持たない被験体と比較して突然変異した遺伝子を持つ被験体の表現型を変えることが可能である遺伝子の対立形質をいう。突然変異によって引き起こされる表現型の変化は、特定の薬剤によって修正することができるか、または補うことができる。変化した表現型を有するためには被験体がこの突然変異についてホモ接合型でなければならない場合は、この突然変異は劣性と言われる。被験体の表現形を変化させるためには、突然変異した遺伝子の1コピーで十分である場合には、この突然変異体は優性と言われる。被験体が突然変異した遺伝子を1コピー有し、(その遺伝子に関して)ホモ接合型およびヘテロ接合型被験体の中間の表現型を有する場合は、突然変異体は相互優性と言われる。
本発明の「ヒト以外の動物」としては、哺乳動物、例えば、齧歯類、ヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ヤギなどが挙げられる。好ましいヒト以外の動物は、ラットおよびマウスを含む齧歯類のファミリーから選択され、マウスが最も好ましい。しかし、トランスジェニック両生類(例えば、Xenopus genusのメンバー)およびトランスジェニックであるニワトリも、例えば、胚発生および組織形成等に影響を及ぼし得る薬剤の理解および同定のための重要なツールを提供し得る。用語「キメラ動物」は、その中で組み換え遺伝子が見いだされた動物、または動物の細胞の全てではなくいくつかの中で組み換え遺伝子が発現される動物をいうように本明細書で使用される。用語「組織特異的キメラ動物」は、いくつかの組織の中に組み換えIL−1遺伝子のうちの1つが存在する、および/または発現されるかもしくは破壊されるが、他の組織の中ではそうではないことを示している。用語「ヒト以外の哺乳動物」は、ヒトを除く哺乳動物のクラスの任意のメンバーをいう。
本明細書で使用される場合は、用語「核酸」とは、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド(例えば、デオキシリボ核酸(DNA))をいい、そして適切である場合には、リボ核酸(RNA)をいう。この用語は、等価物として、ヌクレオチドアナログから作られたRNAまたはDNAいずれかのアナログ(例えば、ペプチド核酸)と、記載されている実施形態に適用可能なものとして、一本鎖(センスまたはアンチセンス)および二本鎖のポリヌクレオチドを含むと理解されるべきである。
「栄養補助食品」は、ビタミン、ミネラル、タンパク質、アミノ酸、糖類、植物性エストロゲン類、フラボノイド類、フェノール成分、アントシアニン、カロテノイド、上記のポリマー、および上記の混合物を含む物質と定義される。
用語「または」は、本明細書中で使用される場合は、他の場所に状況が明白に示されていない限りは、「および/または」を意味すると理解されるべきである。
用語「多型」は、遺伝子またはその一部について2種類以上の形態(例えば、対立遺伝子変異体)が共存することをいう。少なくとも2つの異なる形態(すなわち、2種類のヌクレオチド配列)が存在する遺伝子の部分は、「多型領域」と呼ばれる。本明細書中で使用される場合は、用語「多型領域」は、1ヌクレオチドからなる多型部位(例えば、1ヌクレオチド多型(SNP))が含まれるが、これに限定されない。多型領域の特異的な遺伝子配列は対立遺伝子である。多型領域は、1ヌクレオチドであり得、その実体は異なる対立遺伝子で異なる。多型領域は2以上のヌクレオチドの長さでもあり得、おそらくは有意に長い長さであり得る。
用語「傾向」は、症状または疾患についての「傾向」のように症状または疾患の状態に関して本明細書中で使用される場合は、表現「かかりやすさ」または「素因」と互換的に使用される。用語「傾向」は、1つの症状または疾患の状態の言及において使用される場合は、個体が1つの症状または疾患を将来発症するリスクが高いことを示す。例えば、対立遺伝子が特定の疾患または症状の指標と関係があることが発見されている場合は、その対立遺伝子を持つ個体は、その特定の疾患または症状を発症する傾向が大きい。
「低分子」は、本明細書中で使用される場合は、分子量が約5kD未満であり、最も好ましくは約4kD未満である組成物をいうように意味される。低分子は、核酸、ペプチド、ペプチド模倣薬、炭水化物、脂質、または他の有機もしくは無機分子である。
本明細書中で使用される場合は、用語「特異的にハイブリダイズする」または「特異的に検出する」は、試料核酸の少なくともおよそ6個の連続するヌクレオチドにハイブリダイズする本発明の核酸分子の能力をいう。
「転写調節配列」は、開始シグナル、エンハンサー、およびプロモーターのようなDNA配列をいうように、明細書全体を通じて使用される一般的な用語であり、これらは、それらと作動可能に連結させられたタンパク質コード配列の転写を誘導するか、または制御する。
本明細書で使用される場合は、用語「導入遺伝子」は、細胞に導入された核酸配列(例えば、IL−1ポリペプチドのうちの1つ、またはそれに対するアンチセンス転写物をコードする核酸配列)を意味する。導入遺伝子は、導入遺伝子が導入されたトランスジェニック動物もしくは細胞に対して、部分的または全体的に非相同、すなわち外来であり得るか、あるいは、導入遺伝子が導入されたトランスジェニック動物もしくは細胞の内因性遺伝子に相同であり得るが、導入遺伝子は、導入遺伝子が導入される細胞のゲノムを変化させる(例えば、天然の遺伝子の位置とは異なる位置に導入遺伝子が挿入されるか、またはその挿入によりノックアウトが生じる)ように、動物のゲノムに挿入されるように設計されるか、あるいは挿入される。導入遺伝子をエピソームの形態で細胞内に存在させることもできる。導入遺伝子には、選択された核酸の最適発現に必要と思われる1つ以上の転写調節配列と任意の他の核酸、例えばイントロンが含まれ得る。
「トランスジェニック動物」は、その動物の1つ以上の細胞が、人為的な方法によって(例えば、当該分野で周知のトランスジェニック技術によって)導入された非相同の核酸を含む、任意の動物、好ましくは、ヒト以外の哺乳動物、鳥類または両生類をいう。核酸は、慎重な遺伝子操作により(例えば、マイクロインジェクションによる、または組み換えウイルスでの感染による)、その細胞の前駆細胞に直接または間接的に導入される。用語遺伝子操作には、古典的な異種交配またはインビトロ受精は含まれず、むしろ組み換えDNA分子の導入をいう。この分子は、染色体内に組み込まれ得るか、または染色体外で複製するDNAであり得る。本明細書中に記載される典型的なトランスジェニック動物では、導入遺伝子によって細胞は、IL−1ポリペプチドの1つの組み換え形態(例えばアゴニスト形態またはアンタゴニスト形態のいずれか)を発現するようにさせられる。しかし、例えば以下に記載されるFLPまたはCREリコンビナーゼ依存型構築物のような、その中では組み換え遺伝子がサイレントであるトランスジェニック動物もまた考えられる。さらに、「トランスジェニック動物」には、組み換えおよびアンチセンス技術の両方を含む人為的操作によって1つ以上の遺伝子の遺伝子破壊が引き起こされた組み換え動物も含まれる。この用語は、全ての子孫世代を含むように意図される。したがって、創始動物、および全てのF1、F2、F3、など、その子孫が含まれる。
用語「処置する」は、本明細書中で使用される場合は、1つの疾患の少なくとも1つの症候または1つの障害に伴う少なくとも1つの異常を治癒させること、ならびに緩和することを含むように意図される。
用語「ベクター」は、それに連結させられた別の核酸を輸送することができる核酸分子をいう。好ましいベクターの1つのタイプは、エピソープ、すなわち染色体外複製することができる核酸である。好ましいベクターは、それに対してベクターが連結させられた核酸の自律複製および/または発現が可能なベクターである。動作可能であるようにそれに対してベクターが連結させられた遺伝子を発現させることができるベクターは、本明細書中では「発現ベクター」といわれる。一般的に、組み換えDNA技術で有用な発現ベクターは、多くの場合は、「プラスミド」の形態であり、「プラスミド」は、一般的には、環状の二重鎖DNAループをいい、これは、それらのベクターの形態においては、染色体とは結合していない。本明細書中では、プラスミドが最も一般的に使用されるベクター形態であるので、「プラスミド」と「ベクター」は互換的に使用される。しかし、本発明は、同等の機能を担い、そして今後、当該分野で公知となる他の形態の発現ベクターも含むように意図される。
用語「野生型対立遺伝子」は1つの遺伝子の対立遺伝子をいい、これは、被験体において2コピーが存在する場合は、野生型の表現型を生じる。特定の遺伝子についてはいくつかの異なる野生型対立遺伝子がいくつか存在し得る。なぜなら、1つの遺伝子内で特定のヌクレオチドが変化しても、そのヌクレオチド変化を持つ遺伝子を2コピー持つ被験体の表現型には影響がない場合があるからである。
予測用の薬
過剰炎症反応に対する遺伝的素因と関係がある多型
本発明は、老化に関係がある皮膚の症状の発症に関係がある対立遺伝子の同定に、少なくとも一部基づく。したがって、これらの対立遺伝子の検出は、単独でまたは被験体における別の手段と組み合わせて、その被験体が老化に関係がある皮膚の症状を有しているかまたはその素因があることを示す。例えば、老化に関係がある皮膚の症状と関係があるIL−1多型対立遺伝子としては、以下のマーカーのそれぞれについての対立遺伝子2が挙げられる:IL−1B(−511)対立遺伝子2およびIL1RN(+2018)対立遺伝子2、または上記対立遺伝子のうちの1つと連鎖不均衡の状態にある対立遺伝子。したがって、IL−1B(−511)対立遺伝子2およびIL1RN(+2018)対立遺伝子2の検出は、被験体について、老化に関係がある皮膚の症状を早期発症するまたは老化に関係がある皮膚の症状が進行する素因が低いことを示す。
特定の実施形態では、上記IL−1多型遺伝子座の1つ以上についての特定の対立遺伝子パターンの存在が、個体についての老化に関係がある皮膚の症状を発症しやすいことを予測するために使用され得る。特に、IL−1遺伝子クラスター中の遺伝子座には3種類の対立遺伝子パターンがあり、これらは、老化に関係がある皮膚の症状と様々な関係を示す。これらのパターンは、本明細書中ではパターン1、2、および3といわれる。
パターン1には、IL−1A(+4845)対立遺伝子2、IL−1B(+3954)対立遺伝子2、IL−1B(−511)対立遺伝子1、IL−1B(−3737)対立遺伝子1、およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子1が含まれる。パターン1には、IL−1A(+4845)対立遺伝子2(ホモ接合型/ヘテロ接合型)、IL−1B(+3954)対立遺伝子2(ホモ接合型/ヘテロ接合型)、IL−1B(−511)対立遺伝子1(ホモ接合型)、IL−1B(−3737)対立遺伝子1(ホモ接合型/ヘテロ接合型)、およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子1(ホモ接合型)が含まれ得る。
パターン2には、IL−1A(+4845)対立遺伝子1、IL−1B(+3954)対立遺伝子1、IL−1B(−511)対立遺伝子2、IL−1B(−3737)対立遺伝子1、およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子2が含まれる。パターン2には、IL−1A(+4845)対立遺伝子1(ホモ接合型)、IL−1B(+3954)対立遺伝子1(ホモ接合型)、IL−1B(−511)対立遺伝子2(ホモ接合型)、IL−1B(−3737)対立遺伝子1(ホモ接合型)、およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子2(ホモ接合型/ヘテロ接合型)が含まれ得る。
パターン3には、IL−1A(+4845)対立遺伝子1、IL−1B(+3954)対立遺伝子1、IL−1B(−511)対立遺伝子1、IL−1B(−3737)対立遺伝子2、およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子1が含まれる。パターン3には、IL−1A(+4845)対立遺伝子1(ホモ接合型)、IL−1B(+3954)対立遺伝子1(ホモ接合型)、IL−1B(−511)対立遺伝子1(ホモ接合型)、IL−1B(−3737)対立遺伝子2(ホモ接合型)、およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子1(ホモ接合型)が含まれ得る。
好ましい実施形態では、この、これらのパターンのいずれかの検出により、被験体が将来、老化に関係がある皮膚の症状を発症する可能性についての情報が提供される。パターン2の検出は、被験体について、老化に関係がある皮膚の症状を早期発症するかまたは老化に関係がある皮膚の症状を進行させる素因が低いことを示す。パターン1および3は、被験体について、老化に関係がある皮膚の症状を早期発症するかまたは老化に関係がある皮膚の症状を進行させる素因が高いことを示す。
IL−1遺伝子座多型は、IL−1A/IL−1B/IL−1RN遺伝子クラスター内に1塩基のバリエーションを示す(図4を参照のこと)。IL−1A(+4845)多型は、炎症性サイトカインIL−1aをコードするIL−1A遺伝子のExon V内の+4845位にある1塩基のバリエーション(対立遺伝子1についてはGであり、対立遺伝子2についてはTである)である(Gublerら(1989)Interleukin,inflammation and disease(Bbmford and Henderson編)p.31−45,Elsevier publishers;およびVan den velden and Reitsma(1993)Hum Mol Genetics 2:1753−50)。IL−1A(+4845)多型は遺伝子のコード領域中にあり、コードされるタンパク質において1アミノ酸のバリエーションを生じる(Van den Velden and Reitsma(1993)Hum Mol Genet.2:1753)。
IL−1B(+3954)多型は、TaqI制限酵素断片の長さの多型(RFLP)として最初に記載され(Pociotら(1992)Eur J Clin Invest 22:396−402)、その後、IL−1B遺伝子のExon V中の+3954位にある1塩基のバリエーションとして特性決定されている(対立遺伝子1についてはCであり、対立遺伝子2についてはTである)(di Giovineら(1995)Cytokine 7:600−606)。IL−1Bのオープンリーディングフレームの中にあるこの1ヌクレオチドの変化は、コードされるIL−1βポリペプチドの配列に定性的な影響は及ぼすとは見られていない。なぜなら、これは、対立遺伝子1のTTCフェニルアラニンコドン(F)の3位にあり、したがって対立遺伝子2は、IL−1B遺伝子産物の105位のアミノ酸をコードするこの位置でTTTフェニルアラニンコドンに置き換わるだけであるからである。
加えて、IL−1RN(+2018)多型(Clayら(1996)Hum Genet 97:723−26)は、1塩基のバリエーション(対立遺伝子1についてはTであり、対立遺伝子2についてはCである)であり、これはまたexon 2(8006)とも呼ばれる(GenBank:X64532、8006位)。最後に、IL−RNのタンデムな繰り返しの数が異なる(VNTR)多型は、IL−1受容体アンタゴニストをコードする遺伝子の2番目のイントロンの中に生じる(Steinkasserer(1991)Nucleic Acids Res 19:5090−5)。IL−1RN(VNTR)多型の対立遺伝子2は、86塩基対の配列の2回の繰り返しに対応し、一方、対立遺伝子1は4回の繰り返しに対応し、対立遺伝子3は3回の繰り返しに、対立遺伝子4は5回の繰り返しに、そして対立遺伝子5は6回の繰り返しに対応する(Tarlowら(1993)Hum Genet 91:403−4)。また、IL−1RN(+2018)多型の対立遺伝子2は、IL−1RN(VNTR)多型の対立遺伝子2と強い連鎖不均衡の状態にある(その全体が引用により本明細書中に組み入れられる、Duffら、米国特許第6,746,839号)。
2種類の2対立遺伝子の多型を、対立遺伝子中の自然界で起こる部位での対立遺伝子特異的切断を使用して2種類のPCR産物に分類することができる。対立遺伝子の同定は、制限酵素消化とアガロースゲル中での分離後の断片の大きさによる。遺伝子は、IL−1Bと呼ばれ、一方、生成物(サイトカイン)はIL−1βと呼ばれる。1塩基のバリエーションが存在する部位が複数あり:−511位(IL−1B(AvaI)と呼ばれる)および+3953(IL−1B(TaqI)と呼ばれる)での(C/T)、そしてこれらは制限酵素を使用した対立遺伝子特異的切断によって同定される。それぞれの多型について、対立遺伝子1はCであり、対立遺伝子2はTである。
用語IL−1B(−511)対立遺伝子2は、IL−1B遺伝子の−511マーカーの対立遺伝子2を記載する。この対立遺伝子にはBsu361部位が含まれ、本明細書中に記載されるプライマーを用いて増幅させられ、Bsu361で消化された場合には、190bpの断片と114bpの断片が生じる。de Giovineら、「Single base polymorphism at −511 in the human interleukin−1.β.遺伝子(IL1.β.)」Human Molecular Genetics 1,No.6:450(1992)。
上記に記載される対立遺伝子パターンに加えて、当業者は、本明細書を考慮して、老化に関係がある皮膚疾患と関係がある対立遺伝子と連鎖不均衡の状態にある他の対立遺伝子(多型と突然変異体を含む)を容易に同定することができる。例えば、老化に関係がある皮膚疾患と関係があることが明らかになっている対立遺伝子を持たない被験体の第1のグループに由来する核酸試料を採取することができ、さらに、老化に関係がある皮膚疾患と関係がある対立遺伝子を1つ以上持つ被験体の第2のグループ由来のDNAを採取することもできる。その後、核酸試料を、第1のグループと比較して第2のグループにおいて過剰に提示される対立遺伝子を同定するために比較することができる。ここでは、そのような対立遺伝子は、おそらく、老化に関係がある皮膚疾患と関係がある。あるいは、老化に関係がある皮膚疾患と関係がある対立遺伝子と連鎖不均衡の状態にある対立遺伝子は、例えば、どの対立遺伝子が予想されるよりも一般的に一緒に出現するかを決定するための、大きな集団を遺伝子型決定すること、および統計分析することによって、同定することができる。好ましくは、グループは、遺伝的に関係がある個体からなるように選択される。遺伝的に関係がある個体には、同じ人種、同じ民族、またはさらには同じ家族由来の個体が含まれる。対照グループと試験グループとの間での遺伝的関連性の程度が高ければ高いほど、疾患を引き起こす対立遺伝子に対してさらに距離を隔てて連鎖している多型対立遺伝子の予測値も高くなる。これは、創始集団中の染色体と連鎖している多型が遺伝子の交差事象を十分に再分配するためには進化的な時間が短すぎることが原因である。したがって、人種特異的、民族特異的、そしてさらには家族特異的な診断用の遺伝子型決定アッセイを、ヒトの進化において極最近に(例えば、主要な人種の分岐後、ヒト集団が異なる民族へと分かれた後、およびさらには、特定の家系において最近)起こった疾患対立遺伝子を検出できるように開発することができる。
2種類の多型マーカーの間、または1種類の多型マーカーと疾患を引き起こす突然変異との間での連鎖不均衡は、準安定の状態である。突然変異事象の根底にある、選択圧がないことまたは散発的な連鎖の再発である多型は、最終的には、染色体組み換え事象によって関係が切り離され、それによってヒトの進化の過程で連鎖平衡に達するであろう。したがって、1つの疾患または1つの症状と連鎖不均衡の状態にある多型対立遺伝子を見つける可能性は、少なくとも2つの要因の変化に伴って増大し得る:多型マーカーと疾患を引き起こす突然変異との間での物理的距離の縮小、および連鎖している対の切り離しに利用される減数分裂の世代数の減少。後者の要因を考慮することは、より密接な関係にある2つの個体が、おそらくは、これらが連鎖している多型を含む共通の親染色体または染色体領域を共有しているであろうこと、およびこの連鎖している対が、それぞれの世代を生じる減数分裂による交差事象を通じて連鎖しなくなるであろう可能性が低いことを示唆する。結果として、より密接な関係にある2つの個体は、広い間隔があいている多型が共遺伝され得る可能性がより高い。したがって、同じ人種、民族、または家族として関係がある個体については、なおさらに間隔があいている多型遺伝子座の信頼性は、関連する疾患を引き起こす突然変異の遺伝的指標として信頼することができる。
IL−1B(−511)と連鎖不均衡の状態にある連鎖している多型マーカーの例としては以下が挙げられる:IL−1Aの222/223マーカー、IL−1Aのgz5/gz6マーカー、IL−1Aの−889マーカー、L−1Bの+6912マーカー、IL−1Bの+3953マーカー、IL−1B/IL−1RN遺伝子間領域のgaat.p33330マーカー、IL−1B/IL−1RN遺伝子間領域のY31マーカー、IL−1RNの+2018対立遺伝子、またはIL−1RNのVNTRマーカー。これらの多型性マーカーについての特異的対立遺伝子は、IL−1B(−511)の対立遺伝子1または対立遺伝子2と連鎖不均衡の状態にある。例えば、これらの対立遺伝子のペアワイズコンビネーションの間での連鎖不均衡の分析により、IL−1B(−511)の対立遺伝子2が以下と連鎖不均衡の状態にあることが立証された:IL−1A 222/223の対立遺伝子4、IL−1A gz5/gz6の対立遺伝子4、IL−1A −889の対立遺伝子1、IL−1A +3953の対立遺伝子1、gaat.p3330マーカーの対立遺伝子3、Y31マーカーの対立遺伝子3、IL−1B+2018の対立遺伝子2、およびIL−1RN VNTRの対立遺伝子2。他の連鎖している多型の例としては、IL−1RN遺伝子における4種類の多型が挙げられる(Clayら(1996)Hum.Genet.97:723−26)。これらの多型についての連鎖不均衡の分析は、それぞれの対立遺伝子2がIL−1B(−511)の対立遺伝子2と連鎖不均衡の状態にあることを示している。
適切なプローブは、IL−1遺伝子座の特異的な遺伝子(例えば、IL−1A、IL−1B、またはIL−1RN)あるいは関連する遺伝子にハイブリダイズするように設計することができる。これらのゲノムDNA配列は、それぞれ、図1、2、および3に示され、さらにそれぞれ、公式の配列番号15、16、および17に対応する。あるいは、これらのプローブは、関連するゲノム遺伝子座(遺伝子間配列を含む)の他の領域に組み込まれる場合もある。実際、ヒト2番染色体のIL−1領域は、およそ400,000塩基対にまたがり、平均して1,000塩基対ごとに1つの単一ヌクレオチド多型と仮定すると、これには、およそ400のSNP遺伝子座が単独で含まれる。本発明と組み合わせての使用に利用することができるなお他の多型は、様々な公の供給源から得ることができる。例えば、ヒトゲノムデータベースには、遺伝子内SNPがまとめられており、これを配列によって検索することができ、これには現在はおよそ2,700の項目が含まれる。Massachusetts Institute of Technologyによって維持されているヒト多型データベース(MIT SNPデータベース)もまた利用することができる。このような供給源から、SNPならびに他のヒト多型を見つけることができる。
例えば、これらのデータベースのうちのいずれか1つの中でのヒトゲノムのIL−1領域の試験により、IL−1遺伝子座の遺伝子には、127.4cM(センチモルガン)にマイクロサテライトマーカーAFM220ze3と命名されたセントロメア近位多型マーカー(GenBank登録番号Z17008を参照のこと)と、127.9cMにマイクロサテライトアンカーマーカーAFMO87xa1と命名された遠位多型マーカー(GenBank登録番号Z16545を参照のこと)が隣接していることが明らかになっている。これらのヒト多型遺伝子座はいずれも、CA2ヌクレオチド反復マイクロサテライト多型であり、それ自体はヒトの集団において高い割合でヘテロ接合性を示す。例えば、AFM220ze3の1つの対立遺伝子は、配列TGTACCTAAGCCCACCCTTTAGAGC(配列番号23)の5’プライマーと配列TGGCCTCCAGAAACCTCCAAの3’プライマー(配列番号19)を用いた場合には、211bpのPCR増幅産物を生じる。さらに、AFM087xa1の1つの対立遺伝子は、配列GCTGATATTCTGGTGGGAAA(配列番号20)の5’プライマーと配列GGCAAGAGCAAAACTCTGTC(配列番号21)の3’プライマーを用いた場合には、177bpのPCR増幅産物を生じる。これらのヒト2番染色体CA2ヌクレオチド反復多型に対して5’および3’に存在する特有の配列に相当する同等のプライマーは、当業者に明らかであろう。妥当な同等のプライマーとしては、約1kbの設計されたプライマーの内部にハイブリダイズし、そしてさらに、約17bpから約27bpのいずれかの長さであるプライマーが挙げられる。特有のヒト染色体のゲノム配列の増幅用のプライマーを設計するための一般的な指針は、これらが少なくとも約50℃の融点を有することであり、この場合、適切な融点は、式Tmelt=[2×(AまたはTの#)+4×(GまたはCの#)]を使用して概算することができる。
多数の他のヒト多型遺伝子座が、これらの2種類のCA2ヌクレオチド反復多型の間で存在し、これらは、遺伝的に関係がある個体の1つのファミリーまたは他のグループの中でのARDD予想対立遺伝子の決定のためのさらなる標的を提供する。例えば、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトには、IL−1遺伝子座の領域内にある多数の多型マーカーが列挙されており、これらのマーカーの増幅および分析のための適切なプライマーを設計する指針が提供されている。
したがって、本発明のヌクレオチドセグメントは、ヒト染色体2q12−13もしくはこの領域由来のcDNAの相補的なストレッチを持つ二本鎖の分子を選択的に形成させるそれらの能力について、またはこの領域に由来するDNAもしくはcDNAの増幅のためのプライマーを提供するために使用することができる。この目的のための適切なプローブの設計には多数の要因を考慮することが必要である。例えば、10、15、または18ヌクレオチドから約20ヌクレオチド、または約30ヌクレオチドの間の長さを持つ断片について特に有用性があることは明らかであろう。さらに長い配列、例えば、40、50、80、90、100、さらには全長までが、特定の実施形態についてはさらに好ましい。少なくとも約18〜20ヌクレオチドのオリゴヌクレオチドの長さが、分子プローブとして有用であるために充分に特異的なハイブリダイゼーションを可能にするために充分であることは、当業者によく理解されている。さらに、想定される用途に応じて、当業者は、標的配列に対するプローブの選択性の様々な程度を達成するために、様々なハイブリダイゼーション条件を使用することを所望するであろう。高い選択性が必要な用途については、当業者は、通常は、ハイブリッドを形成させるためには、比較的高ストリンジェントな条件を使用することを所望するであろう。例えば、比較的低い塩濃度および/または高温の条件は、例えば、約50C〜約70Cの温度での0.02M〜0.15MのNaClによって提供される。そのような選択的条件は、プローブと鋳型または標的鎖との間に不適合が少し存在するとしても、わずかしか容認し得ない。
老化に関係がある皮膚疾患の他の対立遺伝子または他の兆候は、上記の対立遺伝子の検出と組み合わせて、被験体の中で検出またはモニターされ得る。
SNPのリスト
Figure 2011502510
対立遺伝子の検出/ハプロタイプの決定
多くの方法を、ヒトの多型遺伝子座にある特異的な対立遺伝子を検出するために利用することができる。特異的な多型対立遺伝子を検出するための好ましい方法は、一部、多型の分子的性質に依存するであろう。例えば、多型遺伝子座についてのさまざまな対立形質は、DNAの1塩基対が異なる場合がある。そのような1ヌクレオチド多型(すなわち、SNP)は、遺伝子のバリエーションの主要原因であり、全ての公知の多型のうちのおよそ80%を占める。そしてヒトゲノムにおけるそれらの密度は、平均で1000塩基対あたり1と推測される。SNPは、2種類の形態でのみ生じる、最も高頻度の2対立遺伝子である(しかし、DNA中に存在する4つの異なるヌクレオチド塩基に対応するSNPの最多で4種類の異なる形態が、理論的には可能である)。それにもかかわらず、SNPは、他の多型よりも突然変異に対して安定であり、それによりこれらは、マーカーと未知の変異体との間での連鎖不均衡が疾患を引き起こす突然変異をマップするために使用される関連する研究に適している。加えて、SNPは通常は、2種類しか対立遺伝子を持たないので、これらは、長さの測定よりも簡単なプラス/マイナスアッセイによって遺伝子型決定することができ、これにより、自動化により適している。
個体において特定の1ヌクレオチド多型対立遺伝子の存在を検出するためには、様々な方法を利用することができる。この分野の発展により、正確であり、簡単であり、そして安価な大規模なSNP遺伝子型解析技術が提供されている。例えば、最近では、いくつかの新しい技術が記載されており、これには、例えば、動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、マイクロプレートアレイ対角線ゲル電気泳動(MADGE)、ピロシーケンシング、オリゴヌクレオチド特異的ライゲーション、TaqManシステム、ならびに、様々なDNA「チップ」技術、例えばアフィメトリックス(Affymetrix)SNPチップが含まれる。これらの方法には、通常はPCRによる、標的遺伝子領域の増幅が必要である。さらに他に、侵襲的な切断による小さいシグナル分子の生成、それに続く質量スペクトル分析または固定化パッドロックプローブ、および、ローリングサークル増幅をベースとする方法が新しく開発されており、この方法は、最終的にはPCRの必要性を省くこともできる。特異的な1ヌクレオチド多型を検出するための当該分野で公知の方法のうちのいくつかを以下に概説する。本発明の方法は、利用できる方法をすべて含むと理解される。
1ヌクレオチド多型の分析を容易にするいくつかの方法が開発されている。1つの実施形態では、1塩基多型は、特定のエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを使用することにより、例えば、Mundy,C.R.(米国特許第4,656,127号)に開示されているように検出することができる。この方法によれば、多型部位に対してすぐ3’側にある対立遺伝子配列に相補的なプライマーを、特定の動物またはヒトから得られた標的分子にハイブリダイズさせることができる。標的分子上の多型部位に、存在する特定のエキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド誘導体に相補的なヌクレオチドが含まれる場合は、その誘導体は、ハイブリダイズしたプライマーの末端に組み込まれるであろう。このような組込みにより、プライマーはエキソヌクレアーゼに対して耐性となり、これによって、その検出が可能となる。試料のエキソヌクレアーゼ耐性誘導体の実体がわかっているので、プライマーがエキソヌクレアーゼ耐性となったことが明らかになることによって、標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドが、この反応で使用されたヌクレオチド誘導体の多型部位に相補的であることが明確にされる。この方法には、大量の外部の配列データの決定が必要ないという利点がある。
本発明の別の実施形態では、溶液をベースとする方法が、多型部位のヌクレオチドの実体を決定するために使用される。Cohen.D.ら(フランス国特許第2,650,840号;PCT出願番号WO91/02087)。米国特許第4,656,127号のMundyの方法にあるように、多型部位に対してすぐ3’側にある対立遺伝子配列に相補的なプライマーが使用される。この方法は、標識されたジデオキシヌクレオチド誘導体(これは、多型部位のヌクレオチドに相補的であれば、プライマーの末端に取り込まれる)を使用してその部位のヌクレオチドの実体を決定する。
その代わりの方法として、遺伝子ビット解析すなわちGBA(登録商標)として知られており、これは、Goelet,P.ら(PCT出願番号92/15712)に記載されている。Goelet,P.らの方法では、標識された終結因子と、多型部位に対して3’側にある配列に相補的なプライマーの混合物が使用される。従って、取り込まれた標識終結因子は、評価される標的分子の多型部位に存在するヌクレオチドによって決定され、それらに相補的である。Cohenら(フランス国特許2,650,840号;PCT出願番号W091/02087)の方法とは対照的に、Goelet,P.等の方法は、好ましくは、不均一相アッセイであり、この方法では、プライマーまたは標的分子は固相に固定される。
最近、DNA中の多型部位をアッセイするための、プライマーに誘導されるヌクレオチドの取り込み方法がいくつか記載されている(Komher,J.S.ら、Nucl.Acids.Res.17:7779−7784(1989);Sokolov,B.P.,Nucl.Acids Res.18:3671(1990);Syvanen,A.−C.ら、Genomics 8:684−692(1990);Kuppuswamy,M.N.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(U.S.A.)88:1143−1147(1991);Prezant,T.R.ら、Hum.Mutat.1:159−164(1992);Ugozzoli,L.ら、GATA 9:107〜112(1992年);Nyren.P.ら、Anal.Biochem.208:171〜175(1993年))。これらの方法は、これらの方法が全て、多型部位にある塩基を識別するための標識されたデオキシヌクレオチドの取り込みを利用する点でGBA(登録商標)とは異なる。このような様式では、シグナルは、取り込まれたデオキシヌクレオチドの数に比例するので、同じヌクレオチドの配列で生じる多型は、配列の長さに比例するシグナルを生じることができる(Syvanen,A.−C.ら、Amer.J.Hum.Genet.52:46〜59(1993))。
タンパク質翻訳の早期終結を生じる突然変異については、プロテイン・トランケーション・テスト(PTT)が効率的な診断アプローチを提供する(Roestら(1993)Hum.Mol.Genet.2:1719〜21;van der Luijt等(1994年)Genomics 20:1〜4)。PTTのためには、RNAが、最初に利用可能な組織から単離され、逆転写され、そして目的のセグメントがPCRによって増幅させられる。次に、この逆転写PCRの産物が、RNAポリメラーゼプロモーターと、真核生物による翻訳を開始させるための配列を含むプライマーを用いるネステッドPCR増幅の鋳型として使用される。目的の領域が増幅させられた後、プライマーに取り込まれた特有のモチーフにより、PCR産物の連続的なインビトロでの転写および翻訳が可能になる。翻訳産物がドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動された場合の、短縮型のポリペプチドの出現は、翻訳の早期終結を引き起こす突然変異の存在を示す。この技術のバリエーションにおいては、目的の標的領域が、単一のエキソンから得られる場合は、PCR鋳型としてDNA(RNAと反対向きである)が使用される。
任意の細胞のタイプまたは組織を、本明細書中に記載される診断方法において使用される核酸試料を得るために利用することができる。好ましい実施形態では、DNA試料は、体液(例えば、公知の技術(例えば、静脈穿刺)によって得られた血液または唾液)から得られる。あるいは、核酸試験は、乾燥試料(例えば、毛髪または皮膚)について行うことができる。RNAまたはタンパク質が使用される場合は、利用することができる細胞または組織は、IL−1遺伝子を発現していなければならない。
診断方法は、核酸の精製が必要ないように、生検または切除によって得られた患者の組織の組織切片(固定されたもの、および/または凍結されたもの)について、直接、インサイチュで行うこともできる。核酸試薬は、そのようなインサイチュでの方法のためのプローブおよび/またはプライマーとして使用され得る(例えば、Nuovo,G.J.,1992,PCR In situ hybridization:protocols and applications,Raven Press,NYを参照のこと)。
1つの核酸配列の検出に主に焦点をあてる方法に加えて、プロファイルもまたそのような検出方法において評価され得る。フィンガープリントプロファイルが、例えば、ディファレンシャルディスプレイ法、ノーザン分析、および/またはRT−PCRを利用することによって作製され得る。
好ましい検出方法は、IL−1プロ炎症性ハプロタイプの少なくとも1つの対立遺伝子の領域と重複しており、そして突然変異または多型領域のまわりの約5、10、20、25、もしくは30ヌクレオチドを有しているプローブを使用する、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーションである。本発明の好ましい実施形態では、老化に関係がある皮膚疾患と関係がある他の対立遺伝子変異体に特異的にハイブリダイズすることができるいくつかのプローブが、固相支持体(例えば、「チップ」(これには、約250,000個までのオリゴヌクレオチドを持たせることができる)に固定される。オリゴヌクレオチドは、リソグラフィーを含む様々な方法によって固体支持体に結合させることができる。「DNAプローブアレイ」とも呼ばれる、オリゴヌクレオチドを含むこれらのチップを使用する突然変異の検出技術は、例えば、Croninら(1996)Human Mutation 7:244に記載されている。1つの実施形態では、チップには、1つの遺伝子の少なくとも1つの多型領域の対立遺伝子変異体が全て含まれる。その後、固相支持体が試験核酸と接触させられ、特異的プローブに対するハイブリダイゼーションが検出される。したがって、1つ以上の遺伝子の多数の対立遺伝子変異体の実態を、簡単なハイブリダイゼーション実験において同定することができる。
これらの技術にはまた、分析の前に核酸を増幅する工程が含まれる場合もある。増幅技術は当業者に公知であり、以下が挙げられるがこれらに限定されない:クローニング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、特異的対立遺伝子のポリメラーゼ連鎖反応(ASA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、ネステッドポリメラーゼ連鎖反応、自家持続配列複製法(Guatelli,J.C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)87:1874−1878)、転写増幅システム(Kwoh,D.Y.ら、1989 Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)86:1173−1177)、および、Q−Bレプリカーゼ(Lizardi,P.M.ら、1988,Bio/Technology 6:1197)が挙げられる。
増幅産物は、以下を含む様々な方法でアッセイすることができる:サイズ分析、制限酵素消化とそれに続いて行われるサイズ分析、反応産物中の特定のタグを持つオリゴヌクレオチドプライマーの検出、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)ハイブリダイゼーション、対立遺伝子特異的5’エキソヌクレアーゼ検出、配列決定、ハイブリダイゼーションなど。
PCRをベースとする検出手段としては、同時に行われる複数のマーカーの多重増幅が挙げられる。例えば、大きさが重複していない、同時に分析することができるPCR産物を生じるPCRプライマーを選択することは、当該分野で周知である。あるいは、区別できるように標識されており、そのためそれぞれ別々に検出できるプライマーを用いて、異なるマーカーを増幅させることが可能である。もちろん、ハイブリダイゼーションをベースとする検出手段により、試料中で複数のPCR産物を区別して検出することが可能である。複数のマーカーの多重分析を可能にする他の技術が当該分野で公知である。
例示にすぎないが、1つの実施形態では、この方法には以下の工程が含まれる(i)患者から細胞の試料を採取する工程、(ii)上記試料の細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNA、またはそれらの両方)を単離する工程、(iii)上記核酸試料を、IL−1プロ炎症性ハプロタイプの少なくとも1つの対立遺伝子の5’および3’に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーと、対立遺伝子のハイブリダイゼーションと増幅が起こる条件下で接触させる工程、ならびに、(iv)増幅産物を検出する工程。これらの検出方法は、そのような分子が極めて少量しか存在しない場合の核酸分子の検出に特に有用である。
このアッセイの好ましい実施形態では、IL−1プロ炎症性ハプロタイプの対立遺伝子は、制限酵素切断パターンの変化によって同定される。例えば、試料と対照DNAが単離され、(必要に応じて)増幅させられ、1種類以上の制限エンドヌクレーアゼで消化され、そして断片の長さ、大きさが、ゲル電気泳動によって決定される。
なお別の実施形態では、当該分野で公知の任意の様々な配列決定反応を、対立遺伝子を直接配列解析するために使用することができる。例示的な配列決定反応としては、MaximおよびGilbert((1977)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)74:560)、または、Sanger(Sangerら(1977)Proc.Nat.Acad.Sci USA 74:5463)によって開発された技術に基づく配列決定反応が挙げられる。本発明のアッセイが行われる場合は、任意の様々な自動配列決定方法(例えば、Biotechniques(1995)19:448を参照のこと)が利用されるとも考えられ、これには、質量スペクトル分析による配列決定(例えば、PCT公報番号WO94/16101;Cohenら(1996)Adv Chromatogr 36:127〜162;および、Griffinら(1993)Appl Biochem Biotechnol 38:147〜159を参照のこと)が含まれる。特定の実施形態については、シーケンス反応では、1つだけ、2つ、または3個の核酸塩基しか決定する必要がないことは、当業者に明らかであろう。例えば1つの核酸だけが検出されるA−トラックなどを行うことができる。
さらなる実施形態では、切断因子(例えばヌクレアーゼ、ヒドロキシルアミン、または四酸化オスミウム、および、ピペリジン)からの保護を、RNA/RNAまたはRNA/DNAまたはDNA/DNAヘテロ二本鎖の中の不適合な塩基を検出するために使用することができる(Myersら(1985)、Science 230:1242)。一般的には、「不適合の切断」技術は、まず、野生型の対立遺伝子を含む(標識された)RNAまたはDNAを試料とハイブリダイズさせることによって形成させたヘテロ二本鎖を提供することによって開始される。対照鎖と試料鎖との間での塩基対の不適合が原因で存在するであろう二本鎖の一本鎖領域を切断する物質で、二本鎖の二重螺旋が処理される。例えば、RNA/DNA二本鎖はRNaseで処理され、DNA/DNAハイブリッドはS1ヌクレアーゼで処理されて、不適合領域を酵素消化することができる。他の実施形態では、不適合領域を消化するために、DNA/DNAまたはRNA/DNA二本鎖のいずれかをヒドロキシルアミンまたは四酸化オスミウムで、および、ピペリジンで処理することができる。不適合領域が消化された後、次に、得られた材料は、変性ポリアクリルアミドゲル上で大きさサイズによって分離させられ、突然変異部位が決定される。例えば、Cottonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:4397;および、Saleebaら(1992)Methods Enzymol.217:286−295を参照のこと。好ましい実施形態では、対照DNAまたはRNAを検出のために標識することができる。
さらに別の実施形態では、不適合の切断反応では、二本鎖DNA中の不適合塩基対を認識する1つ以上のタンパク質(いわゆる「DNA不適合修復」酵素)が使用される。例えば、E.coliのmutY酵素は、G/A不適合でAを切断し、HeLa細胞由来のチミジンDNAグリコシラーゼは、G/T不適合でTを切断する(Hsuら(1994)Carcinogenesis 15:1657−1662)。例示的な実施形態によれば、ハプロタイプであるIL−1遺伝子座の対立遺伝子に基づくプローブが、試験細胞(単数または複数)由来のcDNAまたはその他のDNA産物にハイブリダイズさせられる。この二本鎖はDNA不適合修復酵素で処理され、切断産物が存在すれば、これは電気泳動プロトコールなどによって検出することができる。例えば、米国特許第5,459,039号を参照のこと。
他の実施形態では、電気泳動の移動度の変化が、IL−1遺伝子座対立遺伝子を同定するために使用されるであろう。例えば、一本鎖の立体構造多型(SSCP)を、突然変異体核酸と野生型核酸との間での電気泳動の移動度の差を検出するために使用することができる(Oritaら(1989)Proc Natl.Acad.Sci.USA 86:2766、Cotton(1993)Mutat Res 285:125−144;およびHayashi(1992)Genet Anal Tech Appl 9:73−79もまた参照のこと)。試料および対照のIL−1遺伝子座対立遺伝子の一本鎖のDNA断片は変性させられ、復元される。一本鎖核酸の二次構造は配列によって異なり、それによって生じる電気泳動の移動度の変化によって、1塩基の変化でさえも検出することができる。DNA断片は、標識されたプローブを用いて標識または検出することができる。アッセイの感度は、RNA(DNAではない)を使用することによって高めることができる。この場合、二次構造は、配列の変化により敏感である。好ましい実施形態では、この方法では、電気泳動の移動度の変化に基づいて二本鎖のヘテロ二本鎖分子を区別するためにヘテロ二本鎖分析が利用される(Keenら(1991)Trends Genet.7:5)。
なお別の実施形態では、変性剤の濃度勾配を持つポリアクリルアミドゲル中での対立遺伝子の移動が、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)を使用してアッセイされる(Myersら(1985)Nature 313:495)。DGGEが分析方法として使用される場合は、DNAは、例えば、PCRによっておよそ40bpの融点が高いGCを多く含むDNAのGCクランプを付加することによって、これが完全には変性してしなわないことを確実にするように修飾されるであろう。さらなる実施形態では、温度勾配が、対照DNAと試料DNAの移動度の差を明らかにするために、変性剤の濃度勾配の代わりに使用される(Rosenbaum and Reissner(1987)Biophys Chem 265:12753)。
対立遺伝子を検出するための他の技術の例としては、選択的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション、選択的増幅、または、選択的プライマー伸長が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、公知の突然変異またはヌクレオチドの差(例えば対立遺伝子変異体中のもの)が中心に配置され、完全な一致が見られる場合にのみハイブリダイゼーションが可能な条件下で標的DNAにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを調整することができる(Saikiら(1986)Nature 324:163);Saikiら(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)86:6230)。このような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション技術は、オリゴヌクレオチドが、PCRで増幅された標的DNAにハイブリダイズさせられる場合に、1回の反応あたり1つの突然変異または多型領域を試験するために、あるいは、オリゴヌクレオチドが、ハイブリダイズ膜に付着させられ、標識された標的DNAとハイブリダイズさせられる場合は、多数の様々な突然変異または多型領域を試験するために使用することができる。
あるいは、選択的PCR増幅による対立遺伝子特異的増幅技術を本発明と組み合わせて使用することができる。特異的増幅のためのプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドには、目的の突然変異または多型領域を分子の中心に(その結果、増幅はディファレンシャルハイブリダイゼーションによって行われる)(Gibbsら(1989)Nucleic Acids Res.17:2437−2448)、または、一方のプライマーの3’末端の最も端に(この場合は、適切な条件下で、不適合がポリメラーゼによる伸長を妨げるか、または減少させることができる)(Prossner(1993)Tibtech 11:238)持たせることができる。加えて、切断に基づく検出が行われるように突然変異の領域内に新規の制限酵素部位を導入することが所望される場合がある(Gaspariniら(1992)Mol.Cell Probes 6:1)。特定の実施形態では、増幅はまた、増幅用のTaqリガーゼを使用して行うことができると予想される(Barany(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)88:189)。このような場合は、連結は、5’配列の3’末端が完全に一致する場合にのみ起こり、増幅の有無を検索することによって特異的部位にある既知の突然変異の存在を検出することが可能となるであろう。
別の実施形態では、対立遺伝子変異体の同定は、例えば、米国特許第4,998,617号およびLandegren,U.ら((1988)Science 241:1077−1080)に記載されているように、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)を使用して行われる。OLAプロトコールでは、標的の一本鎖の隣接配列にハイブリダイズできるように設計された2つのオリゴヌクレオチドが使用される。これらのオリゴヌクレオチドのうちの一方は、分離用マーカーに連結させられ(例えば、ビオチニル化される)、そして他方は検出できるように標識される。正確な相補配列が標的分子中に見られる場合には、オリゴヌクレオチドは、それらの末端が隣接し、そして連結物質が生じるようにハイブリダイズするであろう。その後、連結によって、標識されたオリゴヌクレオチドを、アビジンまたは別のビオチンリガンドを使用して回収することができる。Nickerson,D.A.らは、PCRとOLAの特性を組み合わせた核酸検出アッセイを記載している(Nickerson,D.A.ら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:8923−27)。この方法では、PCRは、標的DNAの指数的増幅を行うために使用され、標的DNAは、その後、OLAを使用して検出される。
このOLA法をベースとするいくつかの技術が開発されており、IL−1遺伝子座ハプロタイプの対立遺伝子を検出するために使用することができる。例えば、米国特許第5,593,826号には、ホスホロアミデート結合を持つ結合体を形成させるための、3’−アミノ基と5’−リン酸化オリゴヌクレオチドを有しているオリゴヌクレオチドを使用するOLAが開示されている。Tobeら((1996)Nucleic Acids Res 24:3728)に記載されているOLAの別のバリエーションでは、PCRと組み合わせられたOLAによって、1つのマイクロタイターウェルの中で2種類の対立遺伝子を遺伝子型決定することができる。特有のハプテン(すなわち、ジゴキシゲニンおよびフルオレセイン)を持つ対立遺伝子特異的プライマーをそれぞれ作製することにより、個々のOLA反応を、異なる酵素レポーターであるアルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されたハプテン特異的抗体を使用することによって、検出することができる。このシステムにより、2種類の異なる色を生じるように導く高スループット形式を使用して、2種類の対立遺伝子を検出することができる。
本発明の別の実施形態は、皮膚疾患を発症する素因を検出するためのキットに関する。このキットには、IL−1遺伝子座ハプロタイプの少なくとも1つの対立遺伝子の5’および3’にハイブリダイズする5’オリゴヌクレオチドと3’オリゴヌクレオチドを含む、1つ以上のオリゴヌクレオチドが含まれ得る。PCR増幅用オリゴヌクレオチドは、その後の分析に便利な大きさのPCR産物が得られるように、25塩基対から2500塩基対離れて、好ましく、約100塩基から約500塩基離れてハイブリダイズするべきである。
本発明の診断方法での使用に特に好ましいプライマー対には、以下が含まれる:5
Figure 2011502510
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本発明の方法によるIL−1多型対立遺伝子の増幅と検出に使用されるさらなるオリゴヌクレオチドの設計は、ヒト染色体2q13(ヒトIL−1遺伝子座を含む)からの最新の配列情報と、この遺伝子座について利用できる最新のヒトの多型についての情報の両方を利用できることから容易である。例えば、IL−1A、IL−1B、およびIL−1RNについてのDNA配列は、それぞれ、図1(GenBank登録番号X03833)、図2(GenBank登録番号X04500)、および図3(GenBank登録番号X64532)に示されている。これらの遺伝子の中のヒト多型の検出に適しているプライマーは、この配列情報と、プライマー配列の設計と最適化のための当該分野で公知の標準的な技術を使用して容易に設計することができる。そのようなプライマー配列の最適な設計は、例えば、Primer 2.1、Primer 3、またはGeneFisherのような市販されているプライマー選択プログラムを使用して行うことができる(Nicklin M.H.J.,Weith A.Duff G.W.,「A Physical Map of the Region Encompassing the Human Interleukin−1,interleukin−1,and Interleukin−1 Receptor Antagonist Genes」Genomics 19: 382(1995);Nothwang H.G.ら、「Molecular Cloning of the Interleukin−1 gene Cluster: Construction of an Integrated YAC/PAC Contig and a partial transcriptional Map in the Region of Chromosome 2q13」Genomics 41:370(1997);Clarkら(1986)Nucl. Acids. Res., 14:7897−7914 [Nucleic Acids Res.,15:868(1987)の中で公開された訂正表、およびURL http://www.gdb.orgでのGenome Database(GDB)プロジェクト]もまた参照のこと)。
キットでの使用については、オリゴヌクレオチドは、様々な天然の組成物および/または合成の組成物(例えば、合成のオリゴヌクレオチド)、制限酵素断片、cDNA、合成のペプチド核酸(PNA)などのいずれかであり得る。このアッセイキットおよび方法は、このアッセイにおいて容易に同定することができる標識されたオリゴヌクレオチドを使用することができる。使用できる標識の例としては、放射性標識、酵素、蛍光化合物、ストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、磁性部分、金属結合部分、抗原または抗体部分などが挙げられる。
キットには、状況に応じてDNAサンプリング手段も含まれ得る。DNAサンプリング手段は当業者に周知であり、これには、基体(例えば、濾紙、AmpliCard(登録商標)(University of Sheffield,Sheffield,England S10 2JF;Tarlow,JWら、J.of Invest.Dermatol.103:387−389(1994))など;DNA精製試薬(例えば、Nucleon(登録商標)キット、溶解緩衝液、プロテイナーゼ溶液など);PCR試薬(例えば、10×反応緩衝液、熱安定性ポリメラーゼ、dNTPなど);および対立遺伝子検出手段(例えば、HinfI制限酵素、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド、乾燥させられた血液からのネステッドPCRのための縮重オリゴヌクレオチドプライマー)が含まれ得るが、これらに限定されない。
個々のハプロタイプの解析には、対立遺伝子が母系染色体上に存在するのか、親染色体上に存在するのか、両方の染色体上に存在するのか、またはいずれの染色体上にも存在しないのかを決定あるいは推測することが含まれる。ハプロタイプの情報には、複数の連鎖している対立遺伝子についてのそのような決定の結果が含まれる。ハプロタイプについてのデータを得、そして使用するための方法は、米国特許第6,931,326号、同第6,920,398号、同第7,141,373号、および同第6,951,721号(これらの開示は引用により本明細書中に組み入れられる)の中に以前に開示されている。
老化に関する治療学および薬理ゲノム学
患者を迅速に遺伝子型決定する能力は、治療薬または疾患を予防する物質の試験を基礎から変えること、およびそれらの開発を保障する。現在、疾患を処置または予防することについての物質の有効性は、患者のプールに対してそれを試験することによって評価されている。患者のプールにおいては多くの変数が制御されるが、遺伝的変数の影響は通常は試験されない。結果として、薬物は、遺伝的に異なる患者のプールの中で試験される場合には、統計学的には無効であることが明らかになっていても、特定の遺伝的特徴を持つ患者のグループを選択することについてはなおも非常に有効である場合がある。患者が遺伝子型決定されていなければ、多くの薬物は、選択された集団について大きな可能性があっても、全体としてのその集団についての有用性が低いためにおそらく受け入れられないであろう。
老化に関係がある皮膚疾患と関係がある特定の対立遺伝子についての知見は、単独で、または老化に関係がある皮膚疾患に寄与している他の遺伝的障害についての情報(老化に関係がある皮膚疾患の遺伝的プロファイル)と組み合わせて、個体の遺伝的プロファイル、「薬理ゲノム学」の目的のために治療をカスタマイズすることができる。例えば、本明細書中に示されるように、老化に関係がある皮膚疾患と関係がある対立遺伝子(例えば、IL−1RN(+2018)対立遺伝子2)を持つ被験体は、老化に関係がある皮膚疾患の素因がある。したがって、被験体のIL−1プロファイルの、その疾患についての集団のプロファイルとの比較により、特定の患者または患者の集団(すなわち、同じ遺伝的変化を持つ患者のグループ)について安全であり、有効であると予想される薬物の選択あるいは設計が可能となる。
IL−1の遺伝的プロファイルまたは老化に関係がある皮膚疾患の遺伝的プロファイルに基づいて最も高い臨床的有益性を示すと予想される集団を標的化する能力により、以下が可能となり得る:1)販売の結果が期待はずれであった発売されている薬を再び市場にだすこと;2)その臨床開発が、患者のサブグループに特異的な安全性または効力による制限の結果として中断されている薬物候補をレスキューすること(rescue);および3)薬物の候補およびより最適な薬物の標識の、加速的なさらにコストがからない開発(例えば、老化に関係がある皮膚疾患の原因である突然変異に対する1種類の薬剤の様々な用量の効果を測定することが、有効用量を最適化するために有用であるからである)。
1つの実施形態では、被験体のIL−1遺伝子型と老化に関係がある皮膚疾患の素因を、推奨される生活様式(例えば、運動療法および食事療法の変更を含む)に合わせるために使用することができる。IL−1遺伝子型はまた、特定のIL−1遺伝子型と老化に関係がある皮膚疾患の素因を有している被験体に利益があると予想される栄養補助食品を推奨するためにも使用され得る。
別の実施形態では、本発明の遺伝子型と老化に関係がある皮膚疾患の素因は、治療のコストを管理するために、1種類以上の治療レジュメがおそらく有効であるグループ、またはおそらく有効ではないグループに患者を分けることによって使用され得る。被験体についての適切な治療レジュメの決定は、被験体のグループ分けを考慮して行われ得、そしてそのような手順によって、不要な、効果のない、または適切ではない治療レジュメを受けている患者の数を減らすことができる。患者は、単純に遺伝子型に基づいて、あるいは、他の形態の情報(例えば、生活様式、年齢、体格指数、病歴、他のリスクファクターなど)と組み合わせた遺伝子型に基づいて、分けることができる。患者は2つ以上のグループに分類することができる。
IL−1の生産と分子シグナル伝達経路
治療的介入についての可能性のある標的と、老化に関係している可能性がある皮膚疾患についての生体マーカーをさらに理解するためには、IL−1のシグナル伝達と生産についてのおおまかな機構を理解することが必要である。IL−1は、細胞間および細胞内シグナル伝達事象の複雑な交錯の一部である。通常は、多くのタンパク質が、炎症反応に、そしてまた免疫応答にも関係している。リストの一部には、インターロイキン、TNF、NF−κB、免疫グロブリン、凝固因子、リポキシゲナーゼ、ならびに付随する受容体、アンタゴニスト、および上記のためのプロセシング酵素が含まれる。
IL−1ポリペプチドであるIL−1αとIL−1βは、細菌のリポ多糖類(LPS)、TNF、IL−1自体、他のマクロファージ由来のサイトカインで刺激されたか、またはCD4T細胞と接触させられた、活性化されたマクロファージによって豊富に生産される。IL−1プロモーターには、cAMP応答エレメント、AP−1結合部位、およびNF−κB結合部位を含むいくつかの調節エレメントが含まれている。これらの両方とAP−1(JunとFos)は、転写を調節するためには、活性化され、核に局在化させられなければならない。NF−κBは、通常は、IκBとの結合を介して細胞質の中に保持される。NF−κB−IκB複合体は、IkBのリン酸化によって崩壊させられる。IkBのリン酸化は、分裂促進因子によって活性化されるプロテインキナーゼ(MAPキナーゼ)経路および他のキナーゼ経路の活性化を通じて、細胞表面受容体からのシグナル伝達によって調節することができる。JunおよびFosはまた、Junの場合には、調節型のキナーゼ(例えば、JNK)の基質でもある。
IL−1A転写物とIL−1B転写物は、MAPキナーゼ経路によっても調節され得るプロセスによってプロタンパク質に翻訳される。MAPキナーゼのリン酸化の阻害因子(例えば、トレブフェロン)は、IL−1転写物の翻訳を減少させる。IL−1αおよびIL−1β前駆体タンパク質には、膜への局在化のためのミリストイル化と、インターロイキン変換酵素(ICE)またはカスパーゼIによる成熟IL−1への変換が必要である。他の細胞外プロテアーゼもまた、IL−1の成熟において小さいが役割を担っており、これには、トリプシン、エラスターゼ、キモトリプシン、および肥満細胞キマーゼが含まれる。ICEは、eICEイソ型、ICEα、β、およびγイソ型に対する抗体、牛痘によって生産されるCrm−Aタンパク質、ならびに内因性のテトラペプチド競合阻害剤を含むいくつかの物質によって阻害することができる。
成熟IL−1αとIL−1βは類似する活性を有しており、同じ受容体と相互作用する。これらの因子についての主要な受容体はI型のIL−1受容体である。活性のあるシグナル伝達複合体は、IL−1リガンド、I型受容体、およびIL−1受容体アクセサリータンパク質からなる。II型受容体、ならびにI型およびII型受容体の可溶性形態は、生体利用することができるIL−1と競合するデコイ受容体として作用するようである。加えて、IL−1のシグナル伝達についての天然の阻害剤であるIL−1受容体アンタゴニストは、単球によって生産される。IL−1raはまた、肝細胞によっても生産され、これは、免疫応答および炎症応答を調節するために肝臓で生産され、循環の中に分泌される急性期タンパク質の主要な構成成分である。
IL−1シグナル伝達複合体は、上記に記載されるNF−κBおよびAP−1の活性化を含む、いくつかの細胞内シグナル伝達経路を活性化させる。シグナル伝達においては、IL−1は、以下を含む因子の宿主の活性に影響を与える:PI−3キナーゼ、ホスホリパーゼA2、プロテインキナーゼC、JNK経路、5−リポキシゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ2、p38 MAPキナーゼ、p42/44 MAPキナーゼ、p54 MAPキナーゼ、Rac、Ras、TRAF−6、TRAF−2など。IL−1はまた、以下を含む多数の遺伝子の発現にも影響を与える:IL−1遺伝子クラスターのメンバー、TNF、他のインターロイキン遺伝子(2、3、6、8、12、2R、3R、およびSR)、TGF−β、フィブリノーゲン、マトリックスメタロプロテアーゼ1、コラーゲン、エラスターゼ、白血病阻止因子、IFNα、β、γ、COX−2、誘導型一酸化窒素合成酵素、メタロチオネインなど。
老化に関係がある皮膚疾患と関係がある生体マーカー
老化に関係がある皮膚疾患についての遺伝的試験を持つことに加えて、老化に関係がある皮膚疾患へ、またはその間の被験体の進行をモニタリングするための試験を持つことも所望されるであろう。言い換えると、特定の生体マーカーは、早発型の老化に関係がある症状のタイミングおよび/または進行の指標であり得る。これらの生体マーカーを同定できること、ならびに、これらを、老化に関係がある症状の発症および進行についての情報が得られるようにモニターできることが所望されるであろう。被験体の遺伝子型に合う生体マーカーを見つけることが特に所望される。
好ましい実施形態では、老化に関係がある皮膚疾患と関係がある可能性がある生体マーカーは、異なるIL−1遺伝子型を含む被験体または細胞を使用することによって同定することができる。生体マーカーの1つのセットが、老化に関係がある皮膚疾患と関係がある対立遺伝子(例えば、IL−1RN(+2018)対立遺伝子2、IL−1B(−511)対立遺伝子2)を持つ被験体または細胞の中で試験され得る。同じ生体マーカーのセットを、老化に関係がある皮膚疾患と関係がある対立遺伝子を持たない別の被験体または細胞の中で試験することができる。IL−1遺伝子型に様々な依存性を示す生体マーカーは、おそらく、老化に関係がある皮膚疾患の予測に有用である。これらの差は、ARDDと関係がある表現型に寄与する。
特定の生体マーカーと老化に関係がある皮膚疾患との間での関係は、特定の生体マーカーを様々な年齢の被験体の集団(その一部は、老化に関係がある症状がすでに明らかになり始めている場合がある)の中で測定される試験を行うことによって、さらに確立され得る。状況に応じて、複数回の測定が、被験体の年齢とともに経時的に行われ得る。ARDD関連対立遺伝子の有無が被験体の中で決定されることが好ましい。標準的な統計学的方法が、特定の生体マーカーと早発型の老化に関係がある症状との間での関係を決定するために使用され得る。
ARDDに関係がある生体マーカーの測定は、ARDDを発症することについての被験体の現在のリスクの指標として、または老化プロセスへと進行するかもしくは老化プロセス中であることの指標として使用され得る。
細胞に関しては、生体マーカーは、原則的には、例えば以下のような細胞機能の任意の態様であり得る:シグナル伝達分子、転写因子、中間体代謝物、サイトカイン、プロスタノイド、ステロイドホルモン(例えば、エストロゲン、プロゲステロン、アンドロステンジオン、またはテストステロン)、性腺刺激ホルモン(例えば、LHおよびFSH)、遺伝子転写物、タンパク質の翻訳後修飾、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、カテコールアミン(例えば、ドーパミンまたはノルエピネフィリン)、オピオイド、アクチビン、インヒビンの生産レベルあるいは速度、ならびにIL−1の生体活性。生体マーカーには、転写物のレベルについての全ゲノム分析、あるいはタンパク質レベルおよび/または修飾についての全プロテオーム分析が含まれ得る。さらに、生体マーカーはレポーター遺伝子であり得る。例えば、IL−1プロモーターまたはARDD関連対立遺伝子を含むIL−1プロモーターを、レポーター遺伝子に動作可能であるように連結させることができる。別の方法では、プロモーターは、IL−1によって調節されるプロモーター(例えば、IL−8)であり得る。この方法では、レポーター遺伝子の活性はプロモーターの活性を反映する。適切なレポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ(luc)、GUS、LacZ、緑色蛍光タンパク質(GFP)(およびその変異体、例えば、RFP、CFP、YFP、およびBFP)、または容易に検出される原則的にあらゆる他の遺伝子が挙げられる。被験体の中では、生体マーカーは、例えば、上記のいずれか、ならびに心電図のパラメーター、肺機能、IL−6活性、尿のパラメーター、または組織のパラメーターであり得る。他の好ましい生体マーカーとしては、免疫応答および炎症応答に関与している因子、ならびに、上記に記載されたような、IL−1の生産とシグナル伝達に関与している因子が挙げられる。
老化に関係がある皮膚疾患の治療薬
老化に関係がある皮膚疾患の治療薬、すなわちARDD治療薬には、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物、低分子、核酸、または栄養補助食品を含む、任意のタイプの化合物が含まれ得る。好ましい実施形態では、ARDD治療薬は、IL−1の生産またはシグナル伝達に関係している因子の調節因子である。特定の好ましい実施形態では、ARDD治療薬は、IL−1の生体活性の調節因子(例えば、IL−1α、IL−1β、またはIL−1受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト)である。好ましいアゴニストには、核酸(例えば、IL−1タンパク質をコードする核酸、またはIL−1タンパク質によってアップレギュレートされるかもしくはダウンレギュレートされる遺伝子)、タンパク質(例えば、IL−1タンパク質、またはIL−1タンパク質によってアップレギュレートされるかもしくはダウンレギュレートされるタンパク質)、あるいは低分子(例えば、IL−1タンパク質の発現を調節する低分子)が含まれる。例えば、本明細書中に記載されるアッセイを使用して同定することができる好ましいアンタゴニストとしては、IL−1の転写および/もしくはIL−1の活性を抑制するかまたは阻害するように作用する、核酸(例えば、一本鎖(アンチセンス)もしくは二本鎖(三本鎖)DNAまたはPNAおよびリボザイム)、タンパク質(例えば、抗体)、および低分子、あるいは栄養補助食品が挙げられる。
ARDD治療薬はまた、老化に関係がある皮膚疾患の処置に有用な任意の化粧品または医薬品でもあり得る。これらの薬剤には以下が含まれ得る:皮膚の染み、角化症、およびシワを改善するかまたは取る物質;局所麻酔薬および麻酔剤;抗ニキビ薬;抗菌剤;抗酵母薬;抗真菌剤;抗ウイルス剤;フケ防止剤;抗皮膚炎剤;抗ヒスタミン剤;かゆみ止め薬;抗嘔吐剤;乗り物酔い予防薬;抗炎症薬;抗過角質分解剤;発汗抑制剤;乾癬治療薬;抗脂漏薬;ヘアーコンディショナーおよびヘアートリートメント剤;老化防止剤およびしわ取り剤;日焼け止めおよび日焼け防止剤;皮膚美白剤;脱色剤;ビタミン類;コルチコステロイド;日焼け剤;ホルモン類;レチノイド類;局所心血管作動薬;ヒドロキシ酸、ケト酸、および関連する化合物;フェノールαアシルオキシアルカン酸およびその誘導体;ならびに、N−アセチル−アルドサミン、N−アセチルアミノ酸、および関連するN−アセチル化合物。老化に関係がある皮膚疾患の処置に有用なさらなる化粧品または医薬品は、米国特許公開番号2002/0028227(これはその全体が引用により本明細書中に組み入れられる)に開示されている。
さらに具体的には、ARDD治療薬は、以下のうちの1種類以上を含む任意の化粧品または医薬品であり得る:アクロベート、アシクロビル、アセチルサリチル酸、アダパレン、アルブテロール、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、クロロ水酸化アルミニウム、アマンタジン、アミナクリン、アミノ安息香酸(PABA)、アミノカプロン酸、アミノサリチル酸、アミトリプチリン、アントラリン、アスコルビン酸、アスコリルパリメート、アトロピン、アゼライン酸、バシトラシン、ベメグリド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベンゾフェノン、過酸化ベンゾイル、ジプロピオン酸βメタゾン、吉草酸βメタゾン、ブロムフェニラミン、ブピバカイン、ブトコナゾール、カルシポトリエン、ショウノウ(樟脳)、カプサイシン、カルバミドペルオキシド、キトサン、クロルヘキシジン、クロロキシレノール、クロルフェニラミン、シクロピロックス、クレマスチン、クリンダマイシン、クリオキノール、プロピオン酸クロβゾール、クロトリマゾール、コールタール、クロモリン、クロタミトン、シクロセリン、デヒドロエピアンドロステロン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフェンヒドラミン、ドキシピン、ドキシルアミン、ジクロニン、エコナゾール、エリスロマイシン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、5−フルオロウラシル、グリセオフルビン、グアイフェネシン、ハロプロギン、ヘキシルレゾルシノール、ホモサラート、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン21−酢酸塩、ヒドロコルチゾン17−吉草酸塩、ヒドロコルチゾン17−酪酸塩、過酸化水素、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノエーテル、ヒドロキシジン、イブプロフェン、イクタモール、イミキモド、インドメタシン、ケトコナゾール、ケトプロフェン、コウジ酸、リドカイン、メクリジン、メクロサイクリン、メントール、メピバカイン、ニコチン酸メチル、サリチル酸メチル、メトロニダゾール、ミコナゾール、ミノサイクリン、ミノキシジル、モノベンゾン、ムピロシン、ナフチフィン、ナプロキセン、ネオマイシン、ナイスタチン、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、オキシコナゾール、オキシメタゾリン、パジメートO、ペルメスリン、フェニラミン、フェノール、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、ピペロニルブトキシド、ポドフィリン、ポドフィロックス、ポビドンヨウ素、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロピオン酸プロメタジン、プロプラノロール、シュードエフェドリン、ピレトリン、ピリラミン、レゾルシノール、レチナール、13−シスレチノイン酸、レチノイン酸、レチノール、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、サリチルアミド、サリチル酸、硫化セレン、頁岩タール(shale tar)、スルコナゾール、硫黄、スルファジアジン、タザロテン、テルビナフィン、テルコナゾール、テトラカイン、テトラサイクリン、テトラヒドロゾリン、チモール、チオコナゾール、トルナフテート、トリアムシノロン二酢酸、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンヘキサアセトニド、トリクロサン、トリプロリジン、ウンデシレン酸、尿素、酢酸ビタミンE、木タール、ピリチオン亜鉛、グリコール酸、乳酸、メチル乳酸、4−ヒドロキシマンデル酸、マンデル酸、グルコノラクトン、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルプロリン、フェニル2−アセトキシエタン酸およびジフェニル2−アセトキシエタン酸。
インビボでの細胞をベースとするスクリーニングアッセイ
老化に関係がある皮膚疾患を引き起こすかまたは老化に関係がある皮膚疾患に寄与しているIL−1突然変異の同定に基づいて、本発明はさらに、例えば、ARDD治療薬を同定するための、インビボでの細胞をベースとするアッセイを特徴とする。1つの実施形態では、ARDD関連対立遺伝子を持つ細胞が試験化合物と接触させられ、少なくとも1つの生体マーカーが測定される。少なくとも1つの生体マーカーが、その細胞の表現型が、ARDDと関係がある対立遺伝子を持たない細胞の表現型に今よりも似るように変化する場合は、試験物質はARDD治療薬として有効である可能性がある。
説明のための例として、ARDDと関係があるIL−1対立遺伝子が、その対立遺伝子を持つ細胞にIL−1ポリペプチドの過剰な生産を生じさせると想定される。IL−1ポリペプチドのレベルが、この場合には生体マーカーとして使用される。試験物質での処理により、細胞は、IL−1ポリペプチドを低いレベルで生産するように誘導され、これにより、ARDDと関係がある対立遺伝子を持たない細胞の中でのIL−1ポリペプチドの生産により似ることになる。したがって、試験物質はおそらくARDD治療薬として有効である。この方法では、対立遺伝子特異的作用を持つ試験物質を同定することができる。IL−1シグナル伝達経路に関する化合物の特異性は、所望される場合には、様々な対照分析によって、例えば、1種類以上の対照遺伝子の発現を測定することによって確認することができる。特に、このアッセイは、IL−1アンチセンス、リボザイム、および三重鎖化合物の効力を決定するために使用することができる。
別のバリエーションでは、細胞は試験化合物およびIL−1タンパク質と接触させられ、試験化合物とIL−1受容体との間での相互作用、またはIL−1タンパク質(好ましくは、タグが付けられたIL−1タンパク質)とIL−1受容体との間での相互作用が、例えば、マイクロフィジオメーターを使用することによって検出される(McConnellら(1992)Science 257:1906)。IL−1受容体と、試験化合物またはIL−1タンパク質のいずれかとの間での相互作用は、培地の酸性度の変化としてマイクロフィジオメーターによって検出される。したがって、このアッセイシステムにより、分子アンタゴニスト(これは、例えば、IL−1タンパク質−IL−1受容体相互作用を妨害することによって機能する)ならびに分子アゴニスト(これは、例えば、IL−1受容体を活性化させることによって機能する)を同定するための手段が提供される。
原則として培養することができるあらゆるタイプの細胞を、細胞をベースとするアッセイに使用することができる。具体的には、細胞は、免疫細胞(例えば、単球、マクロファージ、または胸腺細胞)または他のタイプの細胞(例えば、線維芽細胞、角化細胞、メラニン形成細胞、または女性の生殖器由来の細胞)であり得る。細胞がIL−1受容体を発現することが好ましいであろう。
別のバリエーションでは、ARDD関連対立遺伝子を持つ被験体が試験化合物と接触させられ、少なくとも1つの生体マーカーが測定される。少なくとも1つの生体マーカーが、その細胞の表現型が、ARDDと関係がある対立遺伝子を持たない細胞の表現型に今よりも似るように変化する場合は、試験物質はARDD治療薬として有効である可能性がある。被験体は、ヒトまたはヒト以外のトランスジェニック動物であり得る。
好ましい実施形態では、細胞アッセイまたはインビボアッセイが、IL−1遺伝子の発現を調節するか、IL−1 mRNAの翻訳を調節するか、あるいは、IL−1 mRNAもしくはタンパク質の安定性または活性を調節する化合物を同定するために使用される。したがって、1つの実施形態では、IL−1タンパク質を生産することができる細胞が試験化合物とともにインキュベートされ、細胞培地中で生産されたIL−1タンパク質の量が測定され、試験化合物と接触させられなかった細胞から生産された量と比較される。別のバリエーションでは、IL−1の生体活性が測定され、試験化合物と接触させられなかった細胞中で測定された生体活性と比較される。さらに、様々なIL−1対立遺伝子を含む様々な細胞に対する試験物質の効果が比較され得る。
細胞を含まないアッセイ
細胞を含まないアッセイもまた、IL−1タンパク質と相互作用することができ、それによってIL−1タンパク質の活性を変化させることができる化合物を同定するために使用することができる。そのような化合物は、例えば、IL−1タンパク質の構造を変化させ、それによってIL−1受容体に結合するその能力に影響を与えることができる。好ましい実施形態では、そのような化合物を同定するための細胞を含まないアッセイは、原則として、IL−1タンパク質と試験化合物または試験化合物のライブラリーを、結合パートナーの存在下または結合パートナーが存在しない条件の中に含む反応混合物からなる。試験化合物は、例えば、IL−1結合パートナーの誘導体、例えば、生物学的に不活性な標的ペプチド、または低分子であり得る。
したがって、本発明の1つの例示的なスクリーニングアッセイには、IL−1タンパク質またはその機能的断片を、試験化合物または試験化合物のライブラリーと接触させる工程、および複合体の形成を検出する工程が含まれる。検出の目的のためには、分子を特異的なマーカーで標識することができ、試験化合物または試験化合物のライブラリーを異なるマーカーで標識することができる。次いで、試験化合物のIL−1タンパク質またはその断片との相互作用を、インキュベーション工程と洗浄工程の後、2種類の標識のレベルを決定することによって検出することができる。洗浄工程後に2種類の標識が存在することは、相互作用の指標となる。
分子間の相互作用はまた、リアルタイムBIA(Biomolecular Interaction Analysis,Pharmacia Biosensor AB)(これは、光学現象である表面プラズモン共鳴(SPR)を検出する)を使用することによって同定することもできる。検出は、生物特異的界面での巨大分子の質量濃度の変化に依存し、これには反応体の標識は全く必要ない。1つの実施形態では、試験化合物のライブラリーをセンサー表面(例えば、これは、マイクロフローセルの1つの壁を形成する)に固定することができる。IL−1βタンパク質またはその機能的断片を含む溶液は、その後、センサー表面に連続して流される。シグナルの記録上に示される共鳴角の変化は、相互作用が起こったことを示す。この技術は、例えば、PharmaciaによるBIAtechnology Handbookにさらに記載されている。
本発明の別の例示的なスクリーニングアッセイには以下の工程が含まれる:(a):(i)IL−1タンパク質、(ii)IL−1受容体、および(iii)試験化合物を含む反応混合物を形成させる工程;ならびに、(b)IL−1タンパク質とIL−1受容体の相互作用を検出する工程。試験化合物が存在しない条件下での相互作用と比較した、試験化合物の存在下でのIL−1タンパク質とIL−1受容体の相互作用における統計学的に有意な変化(強化または阻害)は、試験化合物についての、IL−1生体活性のアンタゴニスト(阻害剤)である可能性を示す。このアッセイの化合物は、同時に接触させることができる。あるいは、IL−1タンパク質は、最初に、適切な時間の間、試験化合物と接触させることができ、その後、IL−1β受容体が反応混合物に添加される。化合物の効力は、様々な濃度の試験化合物を使用して得られたデータから用量応答曲線を作製することによって評価することができる。さらに、対照アッセイも、比較のためのベースラインを得るために行われ得る。
IL−1タンパク質とIL−1受容体との間での複合体の形成は、様々な技術によって検出することができる。複合体の形成の調節は、例えば、検出できるように標識されたタンパク質(例えば、放射性標識された、蛍光標識された、もしくは酵素標識されたIL−1タンパク質またはIL−1受容体)を使用して、免疫アッセイによって、あるいはクロマトグラフィー検出法によって定量することができる。
典型的には、複合体を形成していない一方または両方のタンパク質からの複合体の分離を容易にするために、ならびに、アッセイの自動化に順応させるために、IL−1タンパク質またはIL−1受容体のいずれかを固定することが所望されるであろう。IL−1タンパク質とIL−1受容体の結合は、反応物質を含めるために適している任意の容器の中で行うことができる。例としては、マイクロタイタープレート、試験管、および微量遠心分離管が挙げられる。1つの実施形態では、タンパク質がマトリックスに結合できるようにするドメインが付加された融合タンパク質が提供され得る。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/IL−1β(GST/IL−1β)融合タンパク質を、グルタチオンセファロースビーズ(Sigma Chemical,St.Louis,Mo.)またはグルタチオン誘導体化マイクロタイタープレート上に吸着させることができ、これはその後、IL−1受容体(例えば、35Sで標識されたIL−1受容体)および試験化合物と混合され、この混合物が複合体の形成を促す条件(例えば、塩およびpHについての生理学的条件)下でインキュベートされるが、わずかによりストリンジェントな条件が所望され得る。インキュベーション後、ビーズは、結合していない標識を全て除去するために洗浄され、マトリックスが固定され、そして放射性標識が直接決定されるか(例えば、ビーズがシンチラントの中に置かれている)、あるいは続いて複合体が解離させられた後に上清中で決定される。あるいは、複合体がマトリックスから解離させられ、SDS−PAGEによって分離され、そしてビーズ画分の中に見られるIL−1タンパク質またはIL−1受容体のレベルが、添付の実施例に記載されるような標準的な電気泳動技術を使用してゲルから定量される。マトリックス上にタンパク質を固定するための他の技術も、本発明のアッセイでの使用に利用できる。例えば、IL−1タンパク質またはIL−1受容体のいずれかを、ビオチンとストレプトアビジンの結合を利用して固定することができる。
トランスジェニック動物
上記のように、トランスジェニック動物は、例えば、ARDD治療薬のスクリーニングの手助けとなるように作製することができる。本発明のトランスジェニック動物には、ヒトの老化に関係がある皮膚疾患の原因であるIL−1突然変異を、適切なIL−1プロモーターの制御下に、または異種プロモーターの制御下に含むヒト以外の動物が含まれ得る。本発明のトランスジェニック動物にはまた、ARDD表現型を生じるレベルで発現されるIL−1遺伝子も含まれ得る。様々なIL−1対立遺伝子の効果を比較するために、トランスジェニック動物を様々なIL−1対立遺伝子を用いて作製することができ、ARDD表現型の差を同定することができる。様々な対立遺伝子と様々な発現レベルを試験することによって、候補の薬物の試験に最適なARDD表現型を持つ動物を作製し、同定することができる。
トランスジェニック動物はまた、レポーター遺伝子のような導入遺伝子を、IL−1プロモーターまたはその断片の制御下に含む動物でもあり得る。これらの動物は、例えば、IL−1の生産を(例えば、遺伝子発現を調節することによって)調節する薬物を同定するために有用である。特定のバリエーションにおいては、IL−1対立遺伝子は、プロモーターの突然変異であり得る。この場合、適切なレポーター遺伝子に対して変化したプロモーターを動作可能であるように融合させることが具体的に所望される。
ヒト以外のトランスジェニック動物を得るための方法は当該分野で周知である。好ましい実施形態では、ARDDを引き起こす突然変異体の発現は、例えば、所望されるパターンで発現を制御するシス作用性配列を利用して、細胞、組織、または発達段階の特定のサブセットに限定される。本発明では、そのようなIL−1タンパク質のモザイク発現が、多くの形態の系統分析に不可欠であり得、そして例えば、他の正常な胚の中の組織の小片の発生を大幅に変化させる可能性がある発現レベルの影響を評価するための手段をさらに提供し得る。この目的のためには、組織特異的調節配列および条件的調節配列を、特定の空間的パターンでのIL−1突然変異体の発現を制御するために使用することができる。さらに、一時的な発現パターンは、例えば、条件的組み換えシステムまたは原核生物の転写調節配列によって提供され得る。インビボでの部位特異的遺伝子操作によって調節することができるIL−1突然変異体を発現させることができる遺伝子技術は、当業者に公知である。
本発明のトランスジェニック動物には全て、それらの複数の細胞の中に、本発明のARDDを引き起こす突然変異体導入遺伝子が含まれており、この導入遺伝子は「宿主細胞」の表現型を変える。例示的な実施形態では、バクテリオファージP1のcre/loxPリコンビナーゼシステム(Laksoら(1992)PNAS 89:6232−6236;Orbanら(1992)PNAS 89:6861−6865)またはSaccharomyces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼシステム(O’Gormanら(1991)Science 251:1351−1355;PCT公開番号WO92/15694)のいずれかを、インビボでの部位特異的遺伝子組み換えシステムを作製するために使用することができる。Creリコンビナーゼは、loxP配列の間に挟まれるように配置されている標的配列の部位特異的組み換えを触媒する。loxP配列は34塩基対のヌクレオチドの反復配列であり、これに対してCreリコンビナーゼが結合し、これは、Creリコンビナーゼに媒介される遺伝子の組み換えに必要である。loxP配列の方向は、挟まれている標的配列が、Creリコンビナーゼが存在する場合に切り出されるか、または反転させられるかを決定する(Abremskiら(1984)J.Biol.Chem.259:1509−1514);loxP配列がそのまま繰り返される方向で存在する場合には、標的配列の切り出しを触媒し、そしてloxP配列が逆向きに繰り返される方向で存在する場合には、標的配列の反転を触媒する。
したがって、標的配列の遺伝子組み換えはCreリコンビナーゼの発現に依存する。リコンビナーゼの発現は、調節的な制御(例えば、組織特異的、発生段階特異的、外部から加えられた物質によって誘導することがかまたは抑制することができる)を行うことができるプロモーターエレメントによって調節することができる。この調節された制御は、リコンビナーゼの発現がプロモーターエレメントによって媒介される細胞の中でのみ、標的配列の遺伝子組み換えを生じるであろう。したがって、皮膚疾患を引き起こす突然変異体導入遺伝子の発現の活性化は、リコンビナーゼの発現の制御によって調節することができる。
ARDDの原因である突然変異体導入遺伝子の発現を調節するためのcre/loxPリコンビナーゼシステムの使用には、Creリコンビナーゼと目的のタンパク質の両方をコードする導入遺伝子を含むトランスジェニック動物の構築が必要である。CreリコンビナーゼとARDDの原因である突然変異体導入遺伝子の両方を含む動物は、「二重」トランスジェニック動物の構築によって提供され得る。そのような動物を提供するための便利な方法は、それぞれの導入遺伝子を含む2つのトランスジェニック動物を交配させることである。
同様の条件的導入遺伝子は、原核生物のプロモーター配列を使用して提供することができる。これには、導入遺伝子の発現を促進するために、原核生物のタンパク質を同時に発現させることが必要である。例示的なプロモーターと対応するトランス活性化原核生物タンパク質は、米国特許第4,833,080号に記載されている。
さらに、条件的導入遺伝子の発現は、トランス活性化タンパク質(例えば、リコンビナーゼまたは原核生物タンパク質)をコードする遺伝子が組織に送達され、そして例えば、細胞のタイプに特異的な様式での発現を生じる、遺伝子治療と同様の方法によって誘導することができる。この方法によっては、導入遺伝子を、トランス活性化因子の誘導によって「オン」にされるまで、成人になるまでサイレントなままとすることができる。
例示的な実施形態では、本発明の「ヒト以外のトランスジェニック動物」は、ヒト以外の動物の生殖系列細胞の中に導入遺伝子を導入することによって生成される。様々な発生段階にある胚性の標的細胞を、導入遺伝子を導入するために使用することができる。胚性の標的細胞の発生段階に応じて様々な方法が使用される。本発明を実施するために使用される任意の動物の特異的な株(単数または複数)は、良い健康状態、良好な胚の収量、胚の中での良好な前核の可視性、および生殖適応度が優れていることについて選択される。加えて、ハプロタイプが有意な要因である。例えば、トランスジェニックマウスが生成される場合は、C57BL/6またはFVB株のような株が、頻繁に使用される(Jackson Laboratory,Bar Harbor,Me.)。好ましい株は、H−2b、H−2d、またはH−2qハプロタイプを持つ株、例えば、C57BL/6またはDBA/1である。本発明を実施するために使用される株(単数または複数)は、それ自体がトランスジェニックである場合も、そして/またはノックアウトされる場合(すなわち、1つ以上の遺伝子が部分的または完全に抑制された動物から得られる)もある。
1つの実施形態では、導入遺伝子構築物が1つの期にある胚に導入される。接合子はマイクロインジェクションのための最良の標的である。マウスでは、雄の前核はおよそ20マイクロメートルの直径の大きさに達し、これにより、1〜2plのDNA溶液の繁殖を可能にする注入が可能である。遺伝子導入の標的としての接合子の使用には、ほとんどの場合に、注入されたDNAが最初の切断の前に宿主遺伝子に取り込まれるであろうという重要な利点がある(Brinsterら(1985)PNAS 82:4438−4442)。結果として、トランスジェニック動物の細胞は全て、取り込まれた導入遺伝子を持つであろう。これは、生殖系列細胞のうちの50%が導入遺伝子を持つであろうとの理由から、一般的には、創始細胞の子孫への導入遺伝子の効率的な遺伝において反映されるであろう。
通常は、受精した胚は、前核が現れるまで適切な培地の中でインキュベートされる。ほぼこの時間になれば、導入遺伝子を含むヌクレオチド配列が、以下に記載されるように雌または雄の前核に導入される。マウスのようないくつかの種では、雄の前核が好ましい。外因性の遺伝的材料が、卵核または接合性の雌の前核によってそれが処理される前に、接合子の雄のDNA相補物に付加されることが最も好ましい。卵核または雌の前核が、雄のDNA相補物に影響を及ぼす分子を、おそらくは、雄のDNAのプロタミンをヒストンで置き換えることによって放出し、それによって二倍体である接合子を形成するように雌のDNA相補物と雄のDNA相補物を組み合わせることが容易になると考えられる。
このように、外因性の遺伝的材料が、雄のDNA相補物または任意の他のDNA相補物に対して、それが雌の前核による影響を受ける前に付加されることが好ましい。例えば、外因性の遺伝的材料は、初期の雄の前核に対して、雄の前核の形成後可能な限り早く(これは、雄の前核とメスの前核が十分に分離されている状態にあり、いずれも細胞膜に近い位置に存在している時間である)付加される。あるいは、外因性の遺伝的材料は、脱凝縮を受けるように誘導された後に、精子の核に対して付加することができる。その後、外因性の遺伝的材料を含む精子を卵子に付加することができ、また脱縮合した精子を、その後可能な限り早く、付加される導入遺伝子を持つ卵子に付加することができる。
導入遺伝子のヌクレオチド配列の胚への導入は、例えば、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、またはリポフェクションのような当該分野で公知の任意の手段によって行うことができる。導入遺伝子のヌクレオチド配列の胚への導入後、胚は、様々な時間の間、インビトロでインキュベートされるか、または代理宿主に再度移植され得るか、あるいはそれらの両方であり得る。成熟させるためのインビトロでのインキュベーションは本発明の範囲に含まれる。インビトロで約1〜7日間、胚をインキュベートするための1つの一般的な方法は種に応じてさまざまであり、その後、それらが代理宿主に再度移植される。
本発明の目的のためには、接合子は、原則として、完全な生物体に発生することができる二倍体の細胞の形態である。一般的には、接合子は、配偶子(単数または複数)に由来する2つの一倍体の融合によって自然に、または人工的に、のいずれかで形成された1つの核を含む卵からなるであろう。したがって、配偶子の核は、自然な状態で適応性がある、すなわち、分化を受けることができ、機能性の生物体に発生することができる生存可能な接合子を生じるものでなければならない。一般的には、正倍数体の接合子が好ましい。異数体の接合子が得られた場合には、その染色体の数は、いずれかの配偶子が由来した生物体の正倍数体の数と比べて、2以上の差はないはずである。
同様の生物学的考察に加えて、物理的考察もまた、接合子の核に、または接合子の核の一部を形成する遺伝的材料に付加することができる外因性の遺伝的材料の量(例えば、容積)を決定する。遺伝的材料が除去されない場合は、付加させることができる外因性の遺伝的材料の量は、物理的に崩壊を起こさずに吸着させられるであろう量によって制限される。一般的には、挿入される外因性の遺伝的材料の容積は、約10ピコリットルを超えないであろう。付加の物理的影響は、接合子の生存性が物理的に破壊するほどに大きいものであってはならない。DNA配列の数および多様性についての生物学的制限は、得られる接合子の遺伝的材料(外因性の遺伝的材料を含む)が接合子の機能的な生物体への分化および発生を生物学的に開始させ、維持することができなければならないので、特定の接合子と外因性の遺伝的材料の機能に応じて様々であり、当業者には容易に明らかであろう。
接合子に付加される導入遺伝子構築物のコピー数は、付加された外因性の遺伝的材料の総量に依存し、そして遺伝的形質転換を起こすことができる量であろう。理論的には必要なのは1コピーのみであるが、通常は、多コピーの導入遺伝子構築物(例えば、1000〜20000コピー)が、機能的なものが1コピーあることを確実にするために用いられる。本発明に関しては、挿入された外因性のDNAのそれぞれについての2以上の機能性のコピーを持つことが、外因性DNA配列の表現型発現を増強するためには有利であることが多いであろう。
核の遺伝的材料への外因性遺伝的材料の付加を可能にする任意の技術を、それが細胞、核膜、または他の既存の細胞構造または遺伝子構造に対して破壊的でない限りは、利用することができる。外因性の遺伝的材料は、マイクロインジェクションによって核の遺伝的材料の中に選択的に挿入される。細胞および細胞構造のマイクロインジェクションは、当技術分野で公知であり、そして使用されている。
再移植は、標準的な方法を使用して行われる。通常は、代理宿主が麻酔され、胚が卵管に挿入される。特定の宿主に移植される胚の数は種によって異なるが、通常は、その種が自然に生む子孫の数に匹敵する数であろう。
代理宿主のトランスジェニック子孫は、任意の適切な方法によって、導入遺伝子の存在および/または発現についてスクリーニングすることができる。スクリーニングは、導入遺伝子の少なくとも一部に相補的なプローブを使用して、サザンブロット分析またはノーザンブロット分析によって行われることが多い。導入遺伝子によってコードされるタンパク質に対する抗体を使用するウエスタンブロット分析は、導入遺伝子産物の存在に関するスクリーニングの代替または追加の方法として利用することができる。通常は、尾組織からDNAが調製され、導入遺伝子についてのサザン分析またはPCRによって分析される。あるいは、導入遺伝子が最も高いレベルで発現されていると考えられる組織または細胞が、サザン分析またはPCRを使用して、導入遺伝子の存在および発現について試験されるが、任意のタイプの組織または細胞をこの分析に使用することができる。
導入遺伝子の存在を評価する代替または追加の方法としては、適切な生化学アッセイ(例えば、酵素アッセイおよび/または免疫学的アッセイ)、特定のマーカーおよび酵素活性についての組織学的染色、フローサイトメトリー分析などが挙げられるが、これらに限定されない。血液の分析もまた、血液中の導入遺伝子産物の存在を検出するため、さらには、様々なタイプの血球および他の血液成分のレベルに対する導入遺伝子の影響を評価するのに有用であり得る。
トランスジェニック動物の子孫は、トランスジェニック動物を適切なパートナーと交配させることによって、またはトランスジェニック動物から得られた卵子および/または精子のインビトロでの受精によって得ることができる。パートナーとの交配が実施される場合は、このパートナーは、トランスジェニックおよび/またはノックアウトであってもよく、あるいはトランスジェニックおよび/またはノックアウトでなくてもよい。パートナーがトランスジェニックである場合は、このパートナーには、同じ導入遺伝子が含まれる場合も、また異なる導入遺伝子が含まれる場合もあり、あるいは両方が含まれる場合もある。あるいは、パートナーは、親株である場合もある。インビトロでの受精が使用される場合は、受精した胚は、代理宿主に移植される場合があり、また、インビトロでインキュベートされる場合もあり、あるいは、その両方が行われる場合もある。いずれかの方法を使用して、子孫は、上記の方法または他の適切な方法を使用して導入遺伝子の存在について評価され得る。
本発明に従って産生されたトランスジェニック動物には、外因性の遺伝的材料が含まれるであろう。さらに、このような実施形態においては、この配列は、好ましくは、特定の細胞のタイプの中で導入遺伝子産物の発現を可能にする転写制御エレメント(例えば、プロモーター)に連結されるであろう。
レトロウイルス感染もまた、ヒト以外の動物に導入遺伝子を導入するために使用することができる。発生中の非ヒト胚は、インビトロで胚盤胞段階になるように培養することができる。この時間の間、割球が、レトロウイルス感染の標的となり得る(Jaenich,R.(1976)PNAS 73:1260−1264)。透明帯を除去するための酵素処理によって、効率的な割球の感染が得られる(Manipulating the Mouse Embryo,Hogan編(Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,1986)。導入遺伝子を導入するために使用されるウイルスベクター系は、通常は、導入遺伝子を持つ複製欠損レトロウイルスである(Jahnerら(1985)PNAS 82:6927−6931;Van der Puttenら(1985)PNAS 82:6148−6152)。トランスフェクションは、ウイルスを産生する細胞の単層上で割球を培養することによって、容易に、かつ効率的に得られる(Van der Putten,前出;Stewartら(1987)EMBO J.6:383−388)。あるいは、感染は、より後の段階で行うこともできる。ウイルスまたはウイルスを産生する細胞は、胞胚腔に注入され得る(Jahnerら(1982)Nature 298:623−628)。組み込みは、トランスジェニックであるヒト以外の動物を形成した細胞のサブセットにおいてのみ生じるので、創始細胞のほとんどは導入遺伝子についてモザイクであろう。さらに、創始細胞は、ゲノム中の異なる位置で導入遺伝子の様々なレトロウイルスの挿入を含み得、これらは、一般的に、子孫の中で分離する。さらに、妊娠中期の胚の子宮内レトロウイルス感染によって、生殖細胞系に導入遺伝子を導入することも可能である(Jahnerら(1982)前出)。
導入遺伝子の導入のための第3のタイプの標的細胞は、胚性幹細胞(ES)である。ES細胞は、インビトロで培養された移植前の胚から得られ、そして胚と融合させられる(Evansら(1981)Nature 292:154−156;Bradleyら(1984)Nature 309:255−258;Gosslerら(1986)PNAS 83:9065−9069;およびRobertsonら(1986)Nature 322:445−448)。導入遺伝子は、DNAトランスフェクションまたはレトロウイルス媒介形質導入によってES細胞に効率的に導入され得る。その後、このような形質転換されたES細胞は、ヒト以外の動物に由来する胚盤胞と合わせられ得る。その後、これらのES細胞は、胚にコロニー形成し、そして得られるキメラ動物の生殖細胞系列に寄与する。概説については、Jaenisch,R.(1988)Science 240:1468−1474を参照のこと。
有効量
そのような化合物の毒性および治療薬効は、細胞培養または実験動物において、例えばLD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%に治療上有効な用量)を決定するための標準的な薬学的手順によって、決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比が治療指数であり、これは比LD50/ED50として表すことができる。大きい治療指数を示す化合物が好ましい。毒性の副作用を示す化合物が使用される場合があるが、感染していない細胞を傷つける可能性を最少にし、それにより副作用を少なくするためには、罹患組織の部位に対してそのような化合物を標的化させる送達システムを設計することに注意を払う必要がある。
これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトに使用される投与量の範囲を策定するために使用することができる。そのような化合物の投与量は、好ましくは、ほとんど毒性がないか、または全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。この投与量は、使用される投薬形態、および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変えることができる。本発明の方法において使用されるあらゆる化合物について、治療有効量は、最初は細胞培養アッセイから見積もることができる。用量は、細胞培養で決定されたIC50(すなわち現象の最大値の半分の阻害を達成する該試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度の範囲に達するように動物モデルにおいて策定され得る。そのような情報は、ヒトについて有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿中のレベルは、例えば、高性能液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
処方物および使用
本発明にしたがって使用される薬学的組成物は、1種類以上の生理的に許容される担体または賦形剤を使用して、通常の方法で処方され得る。したがって、本発明の化合物およびそれらの生理学的に許容される塩および溶媒和物は、例えば、注射、(口もしくは鼻のいずれかを通す)吸入または通気による投与、あるいは経口投与、頬側投与、非経口投与、または直腸投与による投与のために処方することができる。
そのような治療のためには、本発明の化合物を、全身投与および局所投与または限局投与を含む、様々な投与経路のために処方することができる。技術および処方物は、一般的には、Remmington’s Pharmaceutical Sciences,Meade Publishing Co.,Easton,Paの中に見ることができる。全身投与には、注射(筋肉内注射、静脈内注射、腹腔内注射、および皮下注射を含む)が好ましい。注射のためには、本発明の化合物を、溶液(好ましくは、生理学的に適合する緩衝液(例えば、ハンクス溶液またはリンガー溶液)の中に処方することができる。さらには、化合物が固体形態に処方され、使用の直前に再度溶解させられるまたは懸濁させられる場合もある。凍結乾燥形態も含まれる。
経口投与のためには、薬学的組成物は、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、またはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、またはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)のような薬学的に許容される賦形剤を用いる従来の手段によって調製された錠剤またはカプセル剤の形態とすることができる。錠剤は、当該分野で周知の方法によってコーティングすることができる。経口投与のための液体調製物は、例えば、溶液、シロップ、または懸濁液の形態とすることができ、また、使用前に水または他の適切なビヒクルで構成するための乾燥産物とすることもできる。そのような液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または水素化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性媒体(例えば、アチオンド油、油性エステル、エチルアルコール、または分留植物油);および防腐剤(例えば、メチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸)のような薬学的に許容される添加剤を用いる従来の手段によって調製することができる。調製物にはまた、必要に応じて、緩衝塩、香味剤、着色剤、および甘味剤を含めることができる。
経口投与用の調製物は、活性のある化合物の徐放を生じるように適切に処方することができる。口腔投与のためには、組成物は、従来の様式で処方された錠剤またはロゼンジの形態とすることができる。吸入による投与のためには、本発明に従って使用される化合物は、適切な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガス)を使用して、加圧パックまたはネブライザーからエアゾールスプレー調製物の形態で送達されることが便利である。加圧エアゾールの場合は、投薬単位を、定量を送達させるためのバルブを設けることによって決定することができる。カプセルおよびカートリッジ(例えば、吸入器または注入器で使用されるゼラチン)を、化合物と適切な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプン)との粉末混合物を含めて処方することができる。
化合物は、注射(例えば、ボーラス注射または連続注入)による非経口投与のために処方することができる。注射用処方物は、防腐剤が加えられた単位投薬形態(例えば、アンプルまたは複数回投与用の容器)の形態とすることができる。組成物は、懸濁液、溶液、または油性または水性ビヒクル中の乳濁液のような形態とすることができ、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤のような配合剤を含めることができる。あるいは、有効成分は、使用前に適切な媒体(例えば、滅菌された発熱物質を含まない水)で構成するための粉末形態でもあり得る。
化合物はまた、従来の坐剤用基剤(例えば、ココアバターまたは他のグリセリド)を含む坐剤または停留浣腸剤のような直腸組成物に処方することもできる。
化合物はまた、局所投与のためにも処方することができる。ARDD治療薬を含む組成物は、溶液、ゲル、ローション、クリーム、軟膏、シャンプー、スプレー、スティック、パウダー、マスク、マウスリンスまたはマウスウオッシュ、膣用ゲルまたは膣用調製物、あるいは、皮膚、爪、毛髪、口腔粘膜、膣粘膜、口内または歯肉に使用できる他の形態として処方することができる。
先に記載された処方物に加えて、化合物はまた、デポー調製物としても処方することもできる。このような長期作用処方物を、移植(例えば、皮下移植もしくは筋肉内移植)または筋肉内注射によって投与することができる。したがって、例えば、化合物を、適切な高分子材料もしくは疎水性材料(例えば、許容される油を含む乳濁液)、またはイオン交換樹脂を用いて処方することができる、また、難溶性誘導体(例えば、難溶性の塩)として処方することもできる。
全身投与は、経粘膜手段または経皮手段によっても行うことができる。経粘膜または経皮投与のためには、透過しなければならないバリアに適している浸透剤が処方物中で使用される。そのような浸透剤は、当該分野で一般に公知であり、これには例えば、経粘膜投与用の胆汁塩およびフシジン酸誘導体が含まれる。加えて、界面活性剤を透過を促進するために使用することができる。経粘膜投与は、鼻内噴霧によるか、または坐剤を使用して行われ得る。局所投与のためには、本発明のオリゴマーが、当該分野で一般に公知の軟膏(ointment)、蝋膏(salve)、ゲル、またはクリームに処方される。洗浄液が、損傷または炎症を処置し、治癒を加速させるために局所的に使用され得る。
臨床状況では、ARDD治療薬遺伝子についての遺伝子送達システムが、多数の方法(これらはそれぞれが当該分野でよく知られている)のうちの任意の方法によって、患者に導入され得る。例えば、遺伝子送達システムの薬学的調製物は、全身的に(例えば、静脈内注入により)導入され得、そして標的細胞中でのタンパク質の特異的な変換が、遺伝子送達ビヒクル、受容体遺伝子の発現を制御する転写制御配列が原因で起こる細胞型発現または組織型発現、あるいはそれらの組み合わせによってもたらされる感染の特異性によって特異的に起こる。他の実施形態では、組換え遺伝子の最初の送達は、確実に局在される動物に誘導することにより、より限定される。例えば、遺伝子送達ビヒクルは、カテーテル(米国特許第5,328,470号を参照のこと)または定位注入(例えば、Chenら(1994)PNAS 91:3054−3057)によって導入することができる。ARDD治療薬遺伝子は、遺伝子治療構築物の中で、例えば、Devら((1994)Cancer Treat Rev 20:105−115)に記載されている技術を使用してエレクトロポレーションによって送達することができる。
本発明の遺伝子治療用の構築物または化合物の薬学的調製物は、原則として受容される希釈剤中の遺伝子送達システムからなる場合があり、また、遺伝子送達ビヒクルまたは化合物がその中に取り込まれている遅延放出型マトリックスを含む場合もある。あるいは、完全な遺伝子送達システムを組み換え細胞から完全な状態で生産することができる(例えば、レトロウイルス)場合は、薬学的調製物には、その遺伝子送達システムを生産する1つ以上の細胞が含まれ得る。
組成物は、所望される場合には、有効成分を含む1つ以上の単位投薬形態を含むことができるパックあるいはディスペンサーデバイスの形態とすることができる。このパックには、例えば、金属またはプラスチックホイル(例えば、ブリスターパック)が含まれ得る。パックまたはディスペンサーデバイスには、投与についての説明書が添付され得る。
以下の実施例は、本発明の方法および組成物の説明であるが、これらに限定されない。様々な条件およびパラメーターの他の適切な変更および適用に、治療中に通常、遭遇するが、これらは当業者に明らかであり、本実施形態の精神および範囲内にある。
(実施例1)
特定のIL−1対立遺伝子の検出のための例示的な方法
血液を静脈穿刺によって採血し、−20℃で凝固させないように保存し、その後、DNA抽出した。10ミリリットルの血液を、40mlの低張赤血球(RBC)溶解溶液(10mMのTris、0.32のスクロース、4mMのMgCl2、1%のTriton X−100)に添加し、室温(RT)で4分間、反転させることによって混合した。その後、試料を15分間1300gで遠心分離し、上清を吸引して廃棄し、別の30mlのRBC溶解溶液を細胞ペレットに添加した。遠心分離後、ペレットを2mlの白血球(WBC)溶解溶液(0.4MのTris、60mMのEDTA、0.15MのNaCl、10%のSDS)の中に再度懸濁し、新しい15mlのポリプロピレンチューブに移した。過塩素酸ナトリウムを1Mの最終濃度で添加し、チューブを、最初はRTで15分間、回転式混合機上で反転させ、その後、65℃で25分間、定期的に反転させながらインキュベートした。2mlのクロロホルム(−20℃で保存)の添加後、試料を室温で10分間混合し、その後、800Gで3分間遠心分離した。この段階で、かなり明白な相分離が、300 1 Nucleon Silica suspension(Scotlab,UK)と1400Gで5分間の遠心分離を使用して得ることができた。得られた上部の水層を新しい15mlのポリプロピレンチューブに移し、冷却したエタノール(−20℃で保存)を添加してDNAを沈殿させた。これを、硝子製のフックに巻き取り、500 1のTEまたは滅菌水を含む1.5mlのエッペンドルフチューブに移した。TE中に再度懸濁して一晩置いた後、ゲノムDNAの収量を260nmでの分光光度によって計算した。試料のアリコートを100ug/mlに希釈し、マイクロタイター容器に移し、そして4℃で保存した。ストックを、後学のために−20℃で保存した。
一般的には、対立遺伝子は、PCR、その後の制限酵素消化またはプローブとのハイブリダイゼーションによって検出される。例示的なプライマーのセットと分析を、例示的な遺伝子座について示す。
IL−1RN(+2018)。PCRプライマーを、RFLP分析ができるように2種類の対立遺伝子上にある複数の部位を2種類の酵素が切断するように操作して設計した(ゲノム配列とは一致しない)。この遺伝子の登録番号はX64532である。オリゴヌクレオチドプライマーは以下のとおりである:
Figure 2011502510
サイクルは、[96℃、1分];[94℃、1分;57℃、1分;70℃、2分]×35;[70℃、5分]×1;4℃で行った。それぞれのPCR反応物を2つの25ulのアリコートに分けた:3ulの特異的10×制限酵素用緩衝液に加えて、一方には5単位のAlu1を、他方には5単位のMsp1を添加した。インキュベーションを37℃で一晩行った。電気泳動は9%のPAGEによって行った。
それぞれ2種類の酵素によって2種類の異なる対立遺伝子を切断した。Alu1は、対立遺伝子1については126bpの断片と28bpの断片を生じるが、対立遺伝子2は消化することはできない(154bp)。Msp1は、対立遺伝子2については125bpと29bpを生じるが、対立遺伝子1を切断することはできない(154bp)。したがって、(PAGEにおいて並べて分離させた)2つの反応物は、ホモ接合体については逆の消化パターンを、そしてヘテロ接合体については同じパターンを生じる。対立遺伝子の頻度は0.74および0.26であった。
IL−1RN(VNTR)。IL1−RN(VNTR)マーカーは以下の手順にしたがって遺伝子型決定することができる。上記に示したように、IL1−RN(+2018)マーカーの2種類の対立遺伝子は、>97%が、IL−1RN(VNTR)の最も高頻度で存在する2種類の対立遺伝子(これらは対立遺伝子1と対立遺伝子2である)に関して連鎖不均衡の状態にある。この遺伝子の登録番号はX64532である。PCR増幅に使用したオリゴヌクレオチドプライマーは以下のとおりである:
Figure 2011502510
サイクルは、[96℃、1分]×1;[94℃、1分;60℃、1分;70℃、2分]×35;[70℃、5分]×1;4℃で行った。電気泳動は90Vで30分間、2%のアガロース中で行った。
PCR産物の大きさは、反復回数の直接の指標である。最も高頻度で存在する対立遺伝子(対立遺伝子1)は412bpの産物を生じる。隣接領域が66bpの長さであるので、残りの344bpは86bpの4回の繰り返しということになる。同様に、240bpの産物は2回の繰り返しを示し(対立遺伝子2)、326bpの産物は3回の繰り返しを示し(対立遺伝子3)、498bpの産物は5回の繰り返しを示し(対立遺伝子4)、584bpの産物は6回の繰り返しを示す(対立遺伝子6)。最も高頻度で存在する4種類の対立遺伝子についての頻度は、0.734、0.241、0.021、および0.004であった。
IL−1A(−889)。IL−1A(−889)マーカーは、以下の手順にしたがって遺伝子型決定することができる。McDowellら、Arthritis Rheum.38:221−28,1995。PCRプライマーのうちの一方は、RFLP分析ができるように、対立遺伝子1を増幅した際にNco I部位を生じる1塩基変化(−889位のC)を持つ。この遺伝子の登録番号はX03833である。PCR増幅に使用したオリゴヌクレオチドプライマーは以下のとおりである:
Figure 2011502510
MgClは1mMの最終濃度で使用し、PCRプライマーは0.8μMで使用した。サイクルは、[96℃、1分]×1;[94℃、1分;50℃、1分;72℃、2分]×45;[72℃、5分]×1;4℃で行った。それぞれのPCR反応物に対して、3μlの特異的10×制限酵素緩衝液に加えて、6単位のNcoIを添加した。インキュベーションは37/一晩行った。電気泳動は6%のPAGEによって行った。NcoIでの消化によっては83bpと16bpの長さの断片が生じるが、この制限酵素は対立遺伝子2を切断することはできない。これにより、ヘテロ接合体は3本のバンドを有する。2種類の対立遺伝子の頻度は、0.71および0.29であった。
IL−1A(+4845)。IL−1A(+4845)マーカーは、以下の手順にしたがって遺伝子型決定することができる。PCRプライマーは、RFLP分析ができるように、対立遺伝子1の中にFnu4H1制限酵素部位をつくる。この遺伝子の登録番号はX03833である。PCR増幅に使用したオリゴヌクレオチドプライマーは以下のとおりである:
Figure 2011502510
MgClは1mMの最終濃度で使用し、PCRプライマーは0.8μMで使用した。DMSOを5%で添加し、DNA鋳型は150ng/50μlのPCRとした。サイクルは、[95℃、1分]×1;[94℃、1分;56℃、1分;72℃、2分]×35;[72℃、5分]×1;4℃で行った。それぞれのPCR反応物に対して、2μlの特異的10×制限酵素用緩衝液に加えて、2.5単位のFnu4H1を添加した。インキュベーションは37℃で一晩行った。電気泳動は9%のPAGEによって行った。
Fnu4H1での消化によって、76bpの一定のバンド(対立遺伝子には関係なく存在する)と、対立遺伝子1については29bpと124bpの2つのさらなるバンド、そして対立遺伝子2については153bpのさらに1つのバンドが生じるであろう。2種類の対立遺伝子の頻度は、0.71および0.29であった。
IL−1B(−511)。IL−1B(−511)マーカーは、以下の手順にしたがって遺伝子型決定することができる。この遺伝子の登録番号はX04500である。PCR増幅に使用したオリゴヌクレオチドプライマーは以下のとおりである:
Figure 2011502510
MgClは2.5mMの最終濃度で使用し、PCRプライマーは1PMで使用した。サイクルは、[95℃、1分]×1;[95℃、1分;53℃、1分;72℃、1分]×35;[72℃、5分]×1;4℃で行った。それぞれのPCR反応物を2つのアリコートに分けた:一方のアリコートには3単位のAvaIを添加し、他方のアリコートには3.7単位のBsu36Iを添加した。両方のアリコートに3μlの特異的10×制限酵素用緩衝液を添加した。インキュベーションを37℃で一晩行った。電気泳動は9%のPAGEによって行った。
2種類の制限酵素のそれぞれによって、2種類の対立遺伝子のうちの一方を切断した。これにより、RFLP分析が可能となった。AvaIは対立遺伝子1については190bpと114bpの2つの断片を生じ、そしてこれは対立遺伝子2を切断することはできない(304bp)。Bsu36Iは、対立遺伝子2については190塩基対と11塩基対の2つの断片を生じ、これは対立遺伝子1を切断することはできない(304bp)。2種類の対立遺伝子の頻度は、0.61および0.39であった。
IL−1Bの−511位の塩基での1塩基バリエーション(C/T)多型を同定するための手順は、米国特許第5,686,246号および同第6,140,047号に記載されており、これらの開示は、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。
IL−1B(+3954)。IL−1B(+3954)マーカーは、以下の手順にしたがって遺伝子型決定することができる。この遺伝子の登録番号はX04500である。PCR増幅に使用したオリゴヌクレオチドプライマーは以下のとおりである:
Figure 2011502510
MgClは2.5mMの最終濃度で使用し、DNA鋳型は150ng/50μlのPCRで使用した。サイクルは、[95℃、2分]×1;[95℃、1分;67.5℃、1分;72℃、1分]×35;[72℃、5分]×1;4℃で行った。それぞれのPCR反応物に対して、3μlの特異的10×制限酵素緩衝液に加えて、10単位のTaqI(Promega)を添加した。インキュベーションは、65/一晩行った。電気泳動は9%のPAGEによって行った。
制限酵素での消化により、12bpの一定のバンドと、対立遺伝子1に対応する85bpと97bpの2つのさらなるバンド、または対立遺伝子2に対応する182bpの1つのバンドのいずれかが生じた。2種類の対立遺伝子についての頻度は、0.82および0.18であった。
IL−1B(−3737):この対立遺伝子の検出のための方法は、Wyllieらの米国特許公開番号2003/0235890(その開示は、その全体が引用により本明細書中に組み入れられる)の中で詳細に記載されている。
(実施例2)
外部刺激に対する皮膚の炎症反応は、IL−1遺伝子型の変化による影響を受ける。以下の実施例は、低炎症性の遺伝子型を持つ個体には、炎症誘発性の遺伝子型を持つ被検体よりも、炎症反応を誘発するために強い刺激が必要であることの証拠を提供する。
本実施例では、段階的な線量での皮膚の特定の領域に影響を与えるUV線刺激による反応を、最小紅斑量(皮膚の発赤)を引き起こすために必要なエネルギー量(最小紅斑量、MED;「較正された標準化されたUV線源に対する照射の秒数」として表される)によって測定した。これは、皮膚科学/化粧品の分野の研究において標準的な試験である。この実験では、被検体を、「遺伝子型特異的グループ」を示す選択した遺伝子型(1、2、3)についてスクリーニングし、その後、彼らのMEDを決定した(それぞれのグループに含まれる遺伝子型(IL−1 SNP)については添付の図面(spread sheet)を参照のこと)。グループI、2、および3のそれぞれについてのIL−1対立遺伝子パターンを以下の表1に提供する。簡単に説明すると、グループ1の遺伝子型にはIL−1A(+4845)対立遺伝子2、IL−1B(+3954)対立遺伝子2、IL−1B(−511)対立遺伝子1、IL−1B(−3737)対立遺伝子1、およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子1の対立遺伝子パターンが含まれる;グループ2の遺伝子型には、IL−1A(+4845)対立遺伝子1、IL−1B(+3954)対立遺伝子1、IL−1B(−511)対立遺伝子2、IL−1B(−3737)対立遺伝子1、およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子2の対立遺伝子パターンが含まれる;そしてグループ3の遺伝子型には、IL−1A(+4845)対立遺伝子1、IL−1B(+3954)対立遺伝子1、IL−1B(−511)対立遺伝子1、IL−1B(−3737)対立遺伝子2、およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子1の対立遺伝子パターンが含まれる。
それぞれの被験体の最小紅斑量(MED)を、臀部について決定した。隣接する保護していない皮膚の部位上に7回までの照射曝露を行った。各回の照射は、直前の回の照射のエネルギーよりも25%大きいエネルギーで行った。これらの部位を、各回の照射の終了後に、直後の赤み(IE)と即時型の黒化反応(IPD)について病期決定した。7回の照射は約7cm×4cmの臀部(buttock cheek)の領域に行った。照射は、色が一様であり、これまでほとんどUV線照射を受けていないと見られる皮膚に対して行った。
UV線照射は、自然の太陽光スペクトルに匹敵する範囲の紫外線をスペクトル出力する人工光源によって供給した。150ワットのキセノンアークランプ(xenon arc lamp)を備えたシングルポートソーラーシミュレーター(Model 16S,Solar UV Simulator,Solar Light Co.,Philadelphia,Pa.)を照射に使用した。UVA+UVB照射は、ソーラーシミュレーターの紫外線照射経路の中に配置したUG−5またはUG−11フィルターとWG−320フィルター(Schott Glass Technologies)の組み合わせ使用することによって得た。このプロトコールを以下にまとめる。
1cmの直径の紫外線照射光線を、ランプの覆いから3インチの距離にある皮膚にあてた。キセノン球の紫外線照射出力を3D−600メーター(Solar Light Co.)を使用して測定した。測定は、ランプを少なくとも30分間温めた後で行った。UVA/UVB照射出力を、MEDの決定前と、照射の各日に、MED/hr/cmおよびJ/cmで記録した。必要であれば、照射出力とスペクトル出力を、この実験期間全体を通じて一定に保つように調整することができる。必要に応じて、各照射日に開始して、このシステムのスペクトル出力を測定し、調整し、そしてスポンサーに文書で報告した。ソーラーシミュレーターが2つ以上必要な場合は、これらを同じ照射出力およびスペクトル出力が得られるように調整した。この紫外線出力とスペクトル出力は、全てのシミュレーターが同じ値となり、この実験期間全体を通じて一定なままであるように調整した。このシステムのスペクトル出力を、必要に応じて、各照射日に開始して測定し、調整し、そしてスポンサーに文書で報告した。
MEDの決定/スクリーニングは以下のように行った。一連のMED照射の24時間後に、全ての部位を紅斑について臨床的に病期決定した。データは、それぞれ8個の部位(1箇所は照射しなかった部位、7箇所は照射した部位)について、記録者がそれぞれの部位に割り当てた病期として得た。データを、グループの被験体の数とUVR線量によって分類した。同じUVR線量を照射した照射部位についての平均スコアをそれぞれのグループについて計算した。その後、グループ内で同じUVR線を照射した複数の部位についての平均スコアを、FisherのLSDを用いてANOVAを使用してグループ1、2、および3の間で比較した。統計学的有意性はp≦0.05で決定した。
結果は、グループ#2のMEDが、グループ#1または#3のMEDのいずれとも有意に異なることを示しており;このグループは、最小紅斑反応を生じるために必要なUV照射(MED)がより高い線量(秒数)であるので、hypo−炎症反応パターンを示す。
Figure 2011502510
Figure 2011502510
(実施例3)
実施例2により、IL−1多型遺伝子型決定に基づく3種類の遺伝子型のグループのうちの1つに分けられた若い女性の間でのUV線(ソーラーシミュレーター)に対する反応の差を同定した。彼らの反応(MEDによって測定した)は、グループ#2の女性には、グループ#1または#3のいずれの女性よりも、最小の目で見ることができる紅斑(炎症)反応を生じさせるためにより多量のエネルギー量が必要であることを示していた。
MEDと特異的な遺伝子型によって定義される被験体のグループとの間での関係の分析に加えて、基準となる皮膚の色の定量的測定値(以下に説明するように、Lおよびa値として表す)とUV線に対する反応(MED)との1つのSNPの関係についての分析を行った。個体の皮膚のタイプ(Fitzpatrick皮膚分類尺度によって測定した)もまた、UV線に対する反応とのこれらのSNPの関係の交絡変数として試験した。
本実施例で使用したように、最小紅斑量(MED)は、皮膚の発赤の最初の兆候を誘導するために必要なUV線の照射量の指標となる。この値が大きければ大きいほど、皮膚を赤くするためにより多くのエネルギーが必要である。したがって、より高いMED値を持つ皮膚は、UV後に炎症を起こしにくい。この値が低ければ低いほど、その皮膚はUVに対して敏感に炎症反応を起こす。
平均L値は、皮膚の色の尺度である;この値が高ければ高いほど、色は明るい(色素沈着形成);この値が低ければ低いほど、色は暗い。平均L値は、調整係数(adjustment factor)として使用することができる。なぜなら、色素沈着形成が多ければ(L値が低い)皮膚をUV線から保護することができるからである。高炎症性の遺伝子型は皮膚の高い色素レベル(皮膚の色の濃さ)と関係があると予想することができる。
平均a値は、皮膚の色の尺度である。この値が高ければ高いほど、皮膚の色は赤みが増す(紅斑の尺度)。hyper−炎症性のIL−1遺伝子型は、UV線照射されなくても高い値(赤み)を持つと予想することができる。
以下の表3に示すように、IL−1B −511多型とL変数またはa変数との間には相関関係は見られなかった。しかし、IL−1B −511多型とMEDとの間には興味深い相互関係が見られた。1,1(または11)遺伝子型(CC)を持つ被験体は、2,2(または(22))遺伝子型)を持つ被験体(45.15)よりもMED値が統計学的に低かった(38.76);P=0.004。1,2(または、12)遺伝子型の被験体についてはMEDは決定しなかった。
IL−1B−511多型について2.2(C/C)遺伝子型である被験体は、UV線照射後に皮膚に軽度の炎症反応があった。IL−1B−511多型について1.1(T/T)遺伝子型である被験体はUVに対してより大きな炎症反応があった。
Figure 2011502510
以下の表に示すように、IL−1RN +2018多型とL変数またはa変数との間に関係は明らかにならなかった。しかし、この多型とMEDとの間の関係が明らかになった。1,1遺伝子型(CC)を持つ被験体は、他の被験体よりも統計学的に低いMED値(38.76)を有していた。ANOVA P:0.005。
しかし、複数の遺伝子型の間で統計学的に有意な傾向は見られなかった。1,2遺伝子型の被験体については、驚くほど高いMED値(47.90)が見られた。IL−RN +2018多型について1,1(TT)遺伝子型の被験体は、UV照射後の皮膚において大きな炎症反応があった。IL−RN+2018多型について2種類の対立遺伝子を持つ被験体は高いMED値を有しており、結果として、UV線に対して低い炎症反応を示した。
Figure 2011502510
L値をさらに調整した後でもなお、−511C>T多型とMEDレベルとの関係は依然、統計学的に有意であり(p=0.025)、この関係の依存性を示していた。フィッツパトリック皮膚タイプについてのこの関係のさらなる調整によっても、−511C>T多型の統計学的有意性は変わらなかった(P<0.05)。
(実施例4)
皮膚の炎症反応に対するハプロタイプの影響。グループ#2についての遺伝子型の定義は、表5(以下)に、IL1RN(+2018)対立遺伝子が珍しい変異体(「2」またはヌクレオチド「C」)であるというさらなる条項を用いて、「B2」として示される、ハプロタイプ(IL−1多型対立遺伝子の1つの染色体アラインメント)に基づく。さらに具体的に言うと、グループ#2を、以下の表6にB2/B2およびB2/B4として示す特異的なハプロタイプ対(両方の染色体または遺伝子型)を含むと定義した。同様に、グループ#1の個体は、IL−1RN(+2018)対立遺伝子が1.1遺伝子型であるという条項を用いてハプロタイプB3、および主にB3/B3ハプロタイプ対によって定義した。グループ#3は、IL−1RN(+2018)対立遺伝子が1.1遺伝子型であるという条項を用いて、B1ハプロタイプおよびB1/B1ハプロタイプ対によって定義した。
Figure 2011502510
Figure 2011502510
(実施例5)
これらのIL−1プロモーターハプロタイプの機能的有意性を明らかにするために、IL−1遺伝子型であることがわかっている個体(白人;イタリア人)由来の末梢血単核細胞について別の実験を行った。そのような細胞によって放出されたIL−1B タンパク質の量を、内毒素(LPS)による刺激の前後にインビトロで測定した。刺激(UV線)に対する皮膚の炎症反応において重要な差を示したハプロタイプの対は、このモデルシステムにおいてIL−1Bタンパク質の生産において重要な差を示した対でもあった(表7、下記)。
Figure 2011502510
これらの結果は、炎症の外部誘導因子(UV線)に対する反応に関する皮膚の試験において複数の遺伝子型グループの間で見られた遺伝的な差が、(試験したような)白人集団のみならず、上記の表6に示したような優性なハプロタイプに注目した場合には、他の世界中の集団においても見られる、優性な複数のハプロタイプ間でそれらが識別されるので、特に関連性が高い。
Figure 2011502510
参考文献の引用
本明細書中に記載される全ての刊行物および特許は、それぞれの個々の刊行物または特許が引用によって具体的かつ個別に組み入れられることが示されているかのように、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。矛盾する場合は、本明細書中のあらゆる定義を含む本明細書が決定するであろう。
等価物
本発明の特異的な実施形態についての上記の詳細な説明から、特有の方法が記載されていることは明らかなはずである。特定の実施形態が本明細書中に詳細に開示されてきたが、これは説明の目的だけのために例示されており、以下の添付の特許請求の範囲に関する限定とは意図されない。具体的には、様々な置き換え、変更、あるいは改変を、特許請求の範囲に定義されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく本発明に対して行うことができることが、本発明者らによって意図される。
本発明は、特に好ましい実施形態および実施例に関して記載されてきたが、当業者は、その精神および範囲から逸脱することなく本発明に対して様々な改変を行うことができることを理解する。
本明細書中で言及されたおよび/または添付のデータシートに列挙された上記の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物は全て、それらの全体が引用により本明細書中に組み入れられる。

Claims (19)

  1. 被験体について皮膚疾患を発症する傾向を予測する方法であって:
    (a)患者からゲノムDNAを単離する工程;
    (b)該ゲノムDNA中のIL−1BおよびIL−1RNについて遺伝子多型パターンを決定する工程;ならびに
    (c)遺伝子多型パターンを対照試料と比較する工程
    が含まれ、ここで、前記対照試料には、IL−1RN(+2018)対立遺伝子2とIL−1B(−511)対立遺伝子2とが含まれ、該対照試料に対する該遺伝子多型パターンの類似性が皮膚疾患を発症しにくいことを示す、方法。
  2. 前記対照試料が民族的に一致している対照試料である、請求項1に記載の方法。
  3. IL−1BおよびIL−1RNについての遺伝子多型パターンを決定する前記方法の工程に、IL−1B(−511)対立遺伝子2およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子2と連鎖不均衡の状態にある少なくとも1つの対立遺伝子を検出する工程がさらに含まれる、請求項1に記載の方法。
  4. IL−1BおよびIL−1RNについて遺伝子多型パターンを決定する前記方法の工程に、IL−1A(+4845)対立遺伝子1、IL−1B(+3954)対立遺伝子1、およびIL−1B(−3737)対立遺伝子1からなる群より選択される少なくとも1つの対立遺伝子を検出する工程がさらに含まれる、請求項1に記載の方法。
  5. 被験体について皮膚疾患を発症する傾向を予測する方法であって:
    a)患者からゲノムDNAを単離する工程;ならびに
    b)該ゲノムDNA中のIL−1BおよびIL−1RNについて対立遺伝子パターンを決定する工程
    が含まれ、ここで、少なくとも1コピーのIL−1RN(+2018)対立遺伝子2および少なくとも1コピーのIL−1B(−511)対立遺伝子2の対立遺伝子パターンが、炎症をベースとする皮膚疾患を発症しにくいことを示す、方法。
  6. 対立遺伝子パターンを決定する前記工程に、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)と少なくとも1つのPCRプライマーとを用いる増幅が含まれ、ここで、前記PCRプライマーは:5’CTCAGCAACACTCCTAT 3’(配列番号11);5’TCCTGGTCTGCAGGTAA 3’(配列番号12)、5’TGG CAT TGA TCT GGT TCA TC 3’(配列番号7);および5’GTT TAG GAA TCT TCC CAC TT 3’(配列番号8)からなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 対立遺伝子パターンを決定する前記工程に、AvaIおよびBsu36Iからなる群より選択される少なくとも1種類の制限酵素での消化が含まれる、請求項5に記載の方法。
  8. ゲノムDNA中で、IL−1B(−511)対立遺伝子2またはIL−1RN(+2018)対立遺伝子2を持つ優性なハプロタイプの中に見られる少なくとも1つのさらなる対立遺伝子の存在を決定する工程がさらに含まれ、ここで、該少なくとも1つのさらなる対立遺伝子が、IL−1A(−3737)の対立遺伝子1、IL−1B(+3954)の対立遺伝子1、IL−1B(+3877)の対立遺伝子1、IL−1B(−1464)の対立遺伝子2、およびIL−1B(−3737)の対立遺伝子1からなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
  9. ゲノムDNA中で、IL−1B(−511)対立遺伝子2またはIL−1RN(+2018)対立遺伝子2を持つ優性なハプロタイプ対の中に見られる少なくとも1つの対立遺伝子対の存在を決定する工程がさらに含まれ、ここで、該少なくとも1つの対立遺伝子対が:IL−1A(−3737)の対立遺伝子1およびIL−1A(−3737)の対立遺伝子1;IL−1B(+3954)の対立遺伝子1およびIL−1B(+3954)の対立遺伝子1;IL−1B(+3877)の対立遺伝子1およびIL−1B(+3877)の対立遺伝子1;IL−1B(−1464)の対立遺伝子1およびIL−1B(−1464)の対立遺伝子2;ならびにIL−1B(−3737)の対立遺伝子1およびIL−1B(−3737)の対立遺伝子1からなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
  10. ゲノムDNA中で、IL−1B(−511)対立遺伝子2またはIL−1RN(+2018)対立遺伝子2を持つ優性なハプロタイプ対の中に見られる少なくとも1つの対立遺伝子対の存在を決定する工程がさらに含まれ、ここで、該少なくとも1つの対立遺伝子対が:IL−1A(−3737)の対立遺伝子1およびIL−1A(−3737)の対立遺伝子1;IL−1B(+3954)の対立遺伝子1およびIL−1B(+3954)の対立遺伝子1;IL−1B(+3877)の対立遺伝子1およびIL−1B(+3877)の対立遺伝子1;IL−1B(−1464)の対立遺伝子2およびIL−1B(−1464)の対立遺伝子2;ならびにIL−1B(−3737)の対立遺伝子1およびIL−1B(−3737)の対立遺伝子1からなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
  11. 炎症をベースとする皮膚疾患を発症しにくいことを示す対立遺伝子パターンに、IL−1炎症性ハプロタイプと連鎖不均衡の状態にあることが見い出されるIL−1多型対立遺伝子が含まれ、ここで、該IL−1炎症性ハプロタイプに、IL−1A(−3737)の対立遺伝子1、IL−1B(+3954)の対立遺伝子1、IL−1B(+3877)の対立遺伝子1、IL−1B(−1464)の対立遺伝子2、およびIL−1B(−3737)の対立遺伝子1からなる群より選択される対立遺伝子が含まれる、請求項5に記載の方法。
  12. 炎症をベースとする皮膚疾患を発症しにくいことを示す対立遺伝子パターンに、IL−1炎症性ハプロタイプ対と連鎖不均衡の状態にあることが見い出されるIL−1多型対立遺伝子が含まれ、ここで、該IL−1炎症性ハプロタイプ対に:IL−1A(−3737)の対立遺伝子1およびIL−1A(−3737)の対立遺伝子1;IL−1B(+3954)の対立遺伝子1およびIL−1B(+3954)の対立遺伝子1;IL−1B(+3877)の対立遺伝子1およびIL−1B(+3877)の対立遺伝子1;IL−1B(−1464)の対立遺伝子2およびIL−1B(−1464)の対立遺伝子2;ならびにIL−1B(−3737)の対立遺伝子1およびIL−1B(−3737)の対立遺伝子1からなる群より選択される対立遺伝子対が含まれる、請求項5に記載の方法。
  13. 炎症をベースとする皮膚疾患を発症しにくいことを示す対立遺伝子パターンに、IL−1炎症性ハプロタイプ対と連鎖不均衡の状態にあることが見い出されるIL−1多型対立遺伝子が含まれ、ここで、該IL−1炎症性ハプロタイプ対に:IL−1A(−3737)の対立遺伝子1およびIL−1A(−3737)の対立遺伝子1;IL−1B(+3954)の対立遺伝子1およびIL−1B(+3954)の対立遺伝子1;IL−1B(+3877)の対立遺伝子1およびIL−1B(+3877)の対立遺伝子1;IL−1B(−1464)の対立遺伝子1およびIL−1B(−1464)の対立遺伝子2;ならびにIL−1B(−3737)の対立遺伝子1およびIL−1B(−3737)の対立遺伝子1からなる群より選択される対立遺伝子対が含まれる、請求項5に記載の方法。
  14. 患者について皮膚疾患に対するかかりやすさを予測するためのキットであって:
    (a)DNA試料の採取手段;
    (b)IL−1BおよびIL−1RNについて遺伝子多型パターンを決定するための手段であってポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマーの1つのセットを含む手段、ならびに
    (c)IL−1RN(+2018)対立遺伝子2およびIL−1B(−511)対立遺伝子2を含む対照試料
    が含まれている、キット。
  15. 被験体について皮膚疾患を発症する傾向を予測する方法であって:
    (a)患者からゲノムDNAを単離する工程;
    (b)該ゲノムDNA中のIL−1BおよびIL−1RNについて遺伝子多型パターンを決定する工程;ならびに
    (c)該遺伝子多型パターンを対照試料と比較する工程
    が含まれ、ここで、前記対照試料には、IL−1RN(+2018)対立遺伝子1およびIL−1B(−511)対立遺伝子1が含まれ、そして該対照試料に対する該遺伝子多型パターンの類似性が、皮膚疾患を発症しやすいことを示す、方法。
  16. 前記対照試料が民族的に一致している対照試料である、請求項1に記載の方法。
  17. IL−1BおよびIL−1RNについて遺伝子多形パターンを決定する前記方法の工程に、IL−1B(−511)対立遺伝子1およびIL−1RN(+2018)対立遺伝子1と連鎖不均衡の状態にある少なくとも1つの対立遺伝子を検出する工程がさらに含まれる、請求項1に記載の方法。
  18. IL−1BおよびIL−1RNについて遺伝子多型パターンを決定する前記方法の工程に、IL−1A(+4845)対立遺伝子2、IL−1B(+3954)対立遺伝子2、およびIL−1B(−3737)対立遺伝子1からなる群より選択される少なくとも1つの対立遺伝子を検出する工程がさらに含まれる、請求項1に記載の方法。
  19. IL−1BおよびIL−1RNについて遺伝子多型パターンを決定する前記方法の工程に、IL−1A(+4845)対立遺伝子1、IL−1B(+3954)対立遺伝子1、およびIL−1B(−3737)対立遺伝子2からなる群より選択される少なくとも1つの対立遺伝子を検出する工程がさらに含まれる、請求項1に記載の方法。
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