JP4492120B2 - マイクロリアクターチップの作製方法 - Google Patents

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本発明は、マイクロリアクター、すなわち、一般的に「微細加工を利用して作られ、等価直径が500μm以下の微小な流路(マイクロチャネル)で反応を行う装置」と定義されている微小な化学デバイスの作製方法に関し、さらに詳しくは、前記マイクロリアクターを構成するマイクロリアクターチップの作製方法に関する。
マイクロリアクターを構成するマイクロリアクターチップとしては、金属、セラミック、ガラス、シリコン、樹脂などの材質で作製されたものが知られている。そして、これらへの微小な流路を形成するための微細加工方法としては、例えば、X線を用いたLIGA技術を用いる方法、フォトリソグラフィー法によりレジスト部を構造体として使用する方法、レジスト開口部をエッチング処理する方法、マイクロ放電加工法、レーザー加工法、ダイアモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法などがある。これらの技術は単独、あるいは、組み合わせて用いられる。
前記マイクロリアクターは、これら微細加工された基板、部品を、種々の方法により接合し、基本的には内部に微小な流路を持つマイクロリアクターチップとして組み立てられ、使用される。上記接合に一般的に用いられる接合技術としては、ネジ止め、かしめなどの他、大別して固相接合と液相接合とがある。該固相接合には、陽極接合、直接接合、活性化直接接合、拡散接合等がある。また、上記液相接合には、融接、接着剤を用いた接合等がある。
一方、マイクロリアクターを構成する部品としては、安価、透明性、加工性などの観点から、ガラスを用いることが多く、近年では、さらに、成型性、耐衝撃性、安価などの観点から、樹脂を用いたものが多くなってきている。これらの材質からなる部品の接合には、一般的に、加圧しながら熱を加える融接が用いられる。しかしながら、この融接では、圧力が高過ぎる、あるいは加熱が大きすぎると、微小な流路が潰れてしまい、所望の内径あるいは流路形状のマイクロリアクターが得られない。逆に、前記圧力、加熱が不足すると接合が不十分となり、流路からの流体の漏れなどが発生してしまう。
したがって、前記融接における最適条件を得るには、材料種、マイクロリアクターチップの大きさなどを考慮して条件を細かく詰める必要がある。しかし、最適条件を得たとしても、実際には、接合面に気泡が残ることが多く、残留した気泡が流路と重なり、流体の漏れの原因となることが多い。
これらの課題を解決する方法として、接着剤を用いる方法が行われている。これは、低粘度で、基板と親和性の高い接着剤を用い、毛細管現象を使って、接合面界面に接着剤をしみ込ませ、均一に面と面とを接着させる方法である。この方法は、接着界面に気泡が入りにくいと思われるが、流路に接着剤が入るという大きな課題がある。
そこで、表面に凹部を有する部材と他の部材との間を、完全に密着させた状態で接着し、しかも接着剤が微小な空間を閉塞することなく接着一体化させる方法として以下が提案されている。
一つは、部材の凹部が形成された面と他方の部材の面とを、エネルギー線硬化性化合物を含有する組成物を介して接触させ、部材に形成された凹部を除く部分にエネルギー線を照射して組成物を硬化させた後、部材の凹部と他方の部材との間に形成された空間中に存在する未硬化の組成物を除去することを特徴とするマイクロケミカルデバイスの製造方法である(例えば、特許文献1参照)。
そして、もう一つは、部材に架橋重合性化合物を含有する組成物を塗布し、次いで、該架橋重合性化合物を含有する組成物が流動性を喪失し、かつ未反応の重合性基が残存する程度に半硬化させた状態で、部材の架橋重合性化合物を含有する組成物からなる塗布面と他方の部材の溝を有する面とを接触させ、その状態で架橋重合性化合物を含有する組成物を完全に硬化させることにより接着させることを特徴とする微小ケミカルデバイスの製造方法である(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、前記両製造方法ともに、毛細管現象を利用して接着剤を染み込ませることが難しいため、気泡の発生の可能性があった。また、前者の提案では、微小な流路に残留したエネルギー線硬化性化合物を完全には除去することが難しく、後者では、流路内壁の一面に架橋重合性化合物を含有する組成物が残ることになり、送液あるいは流路内の液体に影響を与える可能性もあった。
さらに、これらの方法も含め、従来の方法では、特に基板が薄い場合、気泡の発生がより多くなり、しかも、均一な接着が困難となるだけでなく、反りなどの発生の課題があった。
特開2000−246092号公報 特開2000−248076号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、接着剤を用いずに、対向する基板の少なくとも一方の面に、微小な流路が形成された複数の基板を接合させるマイクロリアクターチップの作製方法であって、接合界面に気泡が入らず均一に接合でき、流体の漏れなどが発生しないだけでなく、接合時に流路の内径変化、形状変化がなく、さらに、最終的なマイクロリアクターチップが薄い場合でも、前記接合不良の問題がなく、反りなどが発生しないマイクロリアクターチップ作製方法を提供することを課題とする。
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 対向する基板の少なくとも一方の面に、微小な流路が形成された複数の基板を、該微小な流路が形成された面が接合面となるようにして接合させるマイクロリアクターチップの作製方法であって、
前記基板がガラス転移点を有する素材からなり、前記接合面に、基板を溶解しない揮発性液体を介在させ、該揮発性液体を除去し基板同士を密着させた後、加熱及び加圧により接合させることを特徴とするマイクロリアクターチップの作製方法である。
<2> 前記揮発性液体が、アルコール類であることを特徴とする<1>に記載のマイクロリアクターチップの作製方法である。
<3> 前記揮発性液体の除去を、減圧下で行うことを特徴とする<1>または<2>に記載のマイクロリアクターチップの作製方法である。
<4> 前記接合面の算術平均粗さRaが0.001μm〜0.1μmの範囲であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれかに記載のマイクロリアクターチップの作製方法である。
本発明によれば、接合界面に気泡が入らず、均一に接着し、漏れなどが発生せず、流路の内径変化、形状変化がなく、さらに、マイクロリアクターチップが薄い場合でも接合不良の問題がなく、反りなどが発生しないマイクロリアクターチップ作製方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のマイクロリアクターチップの作製方法は、対向する基板の少なくとも一方の面に、微小な流路が形成された複数の基板を、該微小な流路が形成された面が接合面となるようにして接合させるマイクロリアクターチップの作製方法であって、前記接合面に、基板を溶解しない揮発性液体を介在させ、該揮発性液体を除去し基板同士を密着させた後、加熱及び加圧により接合させることを特徴とする。
本発明の作製方法は、マイクロリアクターチップを構成する基板を、接着剤を用いずに融接により接合するものである。前述のように、融接により基板の接合を行う場合、接合面における接合界面に気泡を残さない均一な接合を、微小な流路形状等を変形させることなく行うことはかなり困難である。その理由は、基板表面には微小な凹凸があり、流路形状等を変形させない程度の加圧で接合を行った場合、上記微小な凹凸に閉じ込められた空気を完全に追い出すことができないためである。
本発明においては、このような状況から、接合時に大きな圧力をかけなくても接合面の微小な空間に存在する空気を除去する方法について検討した。その結果、本発明者等は、基板の接合時に予め接合面に揮発性液体を介在させておき、実際の加熱・加圧による接合の前に、前記揮発性液体を除去させることにより、同時に接合面の微小空間に存在する空気も追い出せることを見出した。
さらに、上記揮発性液体は接合面に残存すると、液体であるため接合の際に発泡したり接着性を低下させたりして支障となるものであるが、揮発性の液体を用いることで、実際の加熱・加圧による接合の前に完全に接合面から消失させることができる。
本発明は、以上のような手法を、マイクロリアクターチップという微小な部材を作製するための接合に採り入れ、これを最適化することにより完成されたものである。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本発明におけるマイクロリアクターチップは、前述のマイクロリアクターを構成するものであるが、マイクロリアクターチップそのものがマイクロリアクターとして取り扱われる場合もある。
前記マイクロリアクターとは、マイクロスケールの複数の微小な流路(チャンネル)を有する反応装置である。マイクロリアクターには、ヒーターやポンプなどの微小な機能部品を組み込む場合があり、さらに、使用する流体が漏れないように、前記流路を基板内に内在させるための基板面の接合等を完全に行う必要がある。
本発明に用いる基板の材質としては、ガラス転移点を有するガラス、樹脂などが適している。該ガラスとしては、例えば、ソーダガラス、石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、クリスタルガラスなど一般的なものが使用できる。ガラスのガラス転移点は、500℃〜600℃の範囲であることが好ましい。
前記樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン・アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミド樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂等が挙げられるが、より好ましくは、メチルメタクリレート樹脂などのアクリル樹脂、スチレン樹脂である。樹脂のガラス転移点は、90℃〜150℃の範囲であることが好ましく、100℃〜140℃の範囲であることがより好ましい。
前記基板の大きさ(マイクロリアクターチップを作製する場合の大きさ)は、例えば正方形または長方形の面積で、1〜100cm2の範囲が好ましく、10〜40cm2の範囲がより好ましい。また厚さは、2〜30mmの範囲が好ましく、3〜15mmの範囲がより好ましい。特に本発明においては、厚さが2mm以下の基板を用いた場合であっても、接合時に反り等を生じさせることがなく、均一な接合を行うことができる。
本発明に用いる基板の表面は平滑であることが望ましい。特に、他の基板との接合面となる側の面は、一定以上の大きさの凹凸が存在すると接合時にそこに空気が残りやすくなるため好ましくない。
上記観点から、基板の少なくとも接合面となる面の表面粗さは、算術平均粗さRaで0.001〜0.1μmの範囲であることが好ましく、0.005〜0.05μmの範囲であることが好ましい。Raが0.001μmに満たない面は、実際の製造上得ることが困難であり、0.1μmを超えると、本発明の作製方法を用いても接合面に気泡が発生してしまう場合がある。
なお、上記Raは、表面粗さ測定機サーフコム1400(東京精密社製)により測定した。
本発明における基板の、対向する基板の少なくとも一方の面には、微小な流路が形成される。すなわち、本発明の作製方法は、基本的には2枚の基板を接合させて基板間に密閉した流路を設けるものであるが、3枚以上の複数の基板を同時に接合することもできる。
この場合、上記複数の基板の、対向させる少なくとも一方の面に微小な流路が形成されていればよい。例えば、3枚の基板を重ねて接合する場合には、3枚の基板の対抗させる面にすべて流路を形成してもよいし、中央に挟む基板の両面にのみ流路が形成されてもよい。
また、前記2枚の基板を接合させて基板間に密閉した流路を設ける場合にも、前記微小な流路は、2枚の基板の一方のみに形成されてもよいし、両方の基板の対向する面に形成されてもよい。
前記微小な流路はマイクロスケールである。すなわち、流路の幅(流路径)は、5000μm以下であり、好ましくは10〜1000μmの範囲であり、より好ましくは30〜500μmの範囲である。また。流路の深さは10〜500μmの範囲程度である。さらに、流路の長さは、形成される流路の形状にもよるが、好ましくは5〜400mmの範囲であり、より好ましくは10〜200mmの範囲である。
前記微小な流路は、基板上に微細加工技術により作製される。微小な流路を形成するための微細加工方法としては、例えば、X線を用いたLIGA技術を用いる方法、フォトリソグラフィー法によりレジスト部を構造体として使用する方法、レジスト開口部をエッチング処理する方法、マイクロ放電加工法、レーザー加工法、ダイアモンドのような硬い材料で作られたマイクロ工具を用いる機械的マイクロ切削加工法がある。これらの技術は単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
これらの中では、前記特定の樹脂を基板として用いる場合には、機械的マイクロ切削加工法を用いることが好ましい。
さらに、基板には必要に応じて、例えばマイクロリアクターに流体を送液するための送液口や、マイクロリアクターから流体を回収するための回収口などを設けてもよい。
本発明においては、実際の加熱・加圧による接合の前に、接合面に基板を溶解しない揮発性液体を介在させる。これにより、まず基板表面の微小な凹凸に存在する気体(空気)を揮発性液体によって置換する。次いで、後述するように、この揮発性液体を除去することにより、前記微小な凹凸には気体が存在しない状態とすることができる。
前記基板を溶解しない液体を用いるのは、基板を溶解する液体を用いると、接合面に介在させるだけで接合面、あるいは接合面に形成された微小な流路が変形してしまうからである。ここで、上記「基板を溶解しない」とは、液体が基板の表面に接触した場合でも、基板に何ら作用を及ぼさず(侵されず)、液体除去後でも、基板表面に全く曇り等が観察されないことをいう。
また、前述のように、上記液体としては揮発性液体を用いる必要があるが、本発明における揮発性液体とは、常温、常圧で液体であり、常圧での沸点が45〜150℃の範囲の液体をいう。本発明においては、該沸点が50〜100℃の範囲の揮発性液体を用いることがより好ましい。
したがって、本発明における揮発性液体としては、上記条件を満たすものであれば特に制限されないが、アルコール類であることが基板表面への濡れ性の良さ等の観点から好ましい。
上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、ブタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール等の脂肪族アルコール類などが使用可能である。好ましくは、エタノール、メタノールであり、基板を溶解せず、また気体を内包していないだけでなく、揮発除去後、不純物などの残留がほとんどなく、流路を汚染しないものが良い。
前記揮発性液体を接合面に介在させる量としては、特に制限されないが、少なくとも接合させる基板同士の面を合わせたときに、接合面全体に液体が広がる程度の量を介在させることが好ましい。
揮発性液体を接合面に介在させた後、該揮発性液体を除去して基板同士を密着させる。上記揮発性液体を除去する方法としては、接合面の揮発性液体を完全に除去できると共に、除去後に接合面に空気等が入り込めないようにすることができる方法であれば限定されないが、減圧下で行うことが空気等の気体の進入を妨げることができるため好ましい。
上記減圧の条件としては、100〜2000Paの範囲が好ましく、100〜1000Paの範囲がより好ましい。また、このとき基板の密着度を高めるために接合面を変形させない程度の荷重(2〜40Nの範囲程度)をかけてもよく、さらに、揮発性液体の除去を加速するため加熱してもよい。
揮発性液体を接合面から除去した後、前記のような密着された状態で、基板同士の接合が行われる。このときの接合は、前記のように接着剤を用いない融接であり、加熱及び加圧により接合面を溶融させて接合する。
このときの加熱条件としては、接合界面の温度が前記基板のガラス転移温度以上となるようにすることが好ましく、具体的には、例えば密着させた基板を加熱雰囲気中に放置してもよいし、後述する加圧と同時に行う加熱加圧プレスを行ってもよい。
上記加熱温度は80〜150℃の範囲が好ましく、100〜130℃の範囲がより好ましい。
また、前記加圧条件としては、接合界面の微小な流路等を変形させないように、通常の融接よりは緩やかな条件で行うことが好ましく、前記加熱加圧プレスを用い、好ましくは45110〜685500Paの範囲、より好ましくは228500〜457000Paの範囲で加圧することが好ましい。
接合に要する時間は、用いる基板の材質や加熱、加圧条件によって異なるが、通常1〜10時間の範囲程度である。なお、この接合は、前記揮発性液体の除去を減圧条件下で行った場合には、該減圧条件下で連続して行うこともできる。
以上のようにして、本発明の作製方法により、基板の接合面に気泡がなく均一に接合されたマイクロリアクターチップを得ることができる。
前述のように、本発明の作製方法では、融接時に大きな圧力をかける必要がないため、基板としても比較的薄いものを使用することができる。したがって、作製されたマイクロリアクターチップも、通常より薄いものを、反りなどの発生がなく、良好に接合されたものとして得ることができる。
本発明では、測定部分によって厚みが違うマイクロリアクターチップにおいて、特に薄い部分の厚みが全体の20%より多いときの厚みを最低厚みとした場合、作製されたマイクロリアクターチップの最低厚みが0.5〜2mmの範囲であっても反りなどがなく、良好に接合することができ、さらに、0.5〜1.5mmの範囲であっても同様に接合することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1>
本実施例では、2枚の基板を接合させて得られる本発明のマイクロリアクターチップについて説明する。
(マイクロリアクターチップの作製)
図1は、本実施例で用いた基板の正面図である。基板A、Bは、メタアクリル酸メチル樹脂板(クラレックスS(ノーマルタイプ)、日東樹脂社製、Tg:105℃、算術表面粗さRa:0.015μm)であり、図におけるL1、L3は約70mm、L2、L4は約30mm、厚さは共に約1mmである。
基板Aは、流路加工のない平坦な板であるが、基板Bの表面には、エンドミルにより、図に示すような、幅約100μm、深さ約40μm、長さ約60mmの微小な流路kを形成した。なお、流路kの両末端には、各々送液口a、b及び回収口c、dが設けられている。次いで、この基板A及び基板Bを、約100mlのエタノール(試薬一級:和光純薬工業社)中に入れ、超音波発生器(UT−53N、SHARP社製)により約5分間、洗浄を行った。
双方の基板を取り出したのち、基板Aを水平に置き、この面上に、エタノールを面全体を覆うように約5ml滴下した。ここに、基板Bを、前記微小な流路が形成された面が接合面となるように乗せ、L1とL3と、及びL2とL4と、を合わせた後、側面からこぼれたエタノールをウェスで拭き取り、軽く密着させた。
こうして、図2の側面図に示すような、基板Aと基板Bとが重ね合わされた密着体Cを得た。
次に、図3に示すように、上記密着体Cを金属板e2(銅製、90mm×60mm×8mm)の上に載せ、その上から金属板e1(e2と同材質、同形状)で図のように押え、その上に5kgのおもりf(まくら型分銅、80.5mm×90.0mm×140mm、村上衝器製作所製)を乗せ、密着体Cの接合面のエタノールを搾り出し、基板Aと基板Bとをより密着させる。次いで、これを真空乾燥機(DP−41:Yamato社製)に入れ、真空度約70Paで約1時間減圧乾燥し、エタノールを除去した。
その後、減圧した状態で、温度を約125℃とし、約4.5時間加熱を続け接合を行った。ヒーターオフ後、約5時間そのまま放置し、ほぼ室温まで冷却後、接合体(マイクロリアクターチップ)を真空乾燥機から取り出した。
(マイクロリアクターチップの性能確認)
得られた接合体(マイクロリアクターチップ)の厚さは、約2mmであった。この接合体の接合部分の断面を、実体顕微鏡(50倍)により確認したところ、図4の断面写真に示すように、基板Aと基板Bとの間には接合界面(厚さ:約2μm)が形成されており、基板Aと基板Bとはほぼ完全に接合していた。また、接合部分のどの部分にも気泡などの混入がなく、しかも、マイクロリアクターチップの反りや流路の変形などもないことが確認できた。
次に、図5に示すように、接合したマイクロリアクターチップ10を固定治具11で固定し、前記送液口a、b及び回収口c、dに、各々キャピラリーチューブ21及びキャピラリーチューブ22を接続し、該キャピラリーチューブ21の送液口a、bとは反対側の末端に接続されたマイクロシリンジ23内に装填された蒸留水を、図示しないポンプにより送液し、マイクロリアクターチップ10の微小な流路kにおける蒸留水(流体)の流れ等を確認した。
具体的には、図におけるマイクロリアクターチップ10の下側から光源30により光照射し、マイクロリアクターチップ10の上側から、パソコン32により制御されたCCDカメラ付の顕微鏡31により、図5の円内に示す流路kの各部分における流体の流れ、漏れを拡大して確認した。
その結果、微小な流路kのどの部分においても流体の詰まりや漏れがなく、また、送液の条件によっては2層の層流が形成され、回収口c、dから排出された流体が容器24に回収されることが確認された。
<比較例1>
実施例1のマイクロリアクターチップの作製において、基板Aと基板Bとを合わせる際に接合面にエタノールを滴下せず接合を行った以外は、実施例1と同様にしてマイクロリアクターチップを作製し、同様の評価を行った。
その結果、図6の断面写真に示すように、基板Aと基板Bとの間の接合界面には部分的に気泡が存在しており、また、マイクロリアクターチップに反りが生じた。さらに、前記図5に示した方法と同様にして流体の流れを調べたところ、微小な流路kから流路以外の部分に流体が漏れてしまうことが確認された。
本発明に用いる基板の一例を示す正面図である。 基板同士が重ね合わされた密着体を示す側面図である。 密着体を加圧する方法の一例を示す概略構成図である。 本発明のマイクロリアクターチップの接合面の拡大断面写真である。 マイクロリアクターチップの送液状態を確認している状態を示す概略図である。 マイクロリアクターチップの接合面の拡大断面写真である。
符号の説明
10 マイクロリアクターチップ
11 固定治具
21、22 キャピラリーチューブ
23 マイクロシリンジ
24 容器
30 光源
31 CCDカメラ付顕微鏡
32 パソコン
A、B 基板
C 密着体
a、b 送液口
c、d 回収口
e1、e2 金属板
k 微小な流路

Claims (4)

  1. 対向する基板の少なくとも一方の面に、微小な流路が形成された複数の基板を、該微小な流路が形成された面が接合面となるようにして接合させるマイクロリアクターチップの作製方法であって、
    前記基板がガラス転移点を有する素材からなり、前記接合面に、前記基板を溶解しない揮発性液体を介在させ、該揮発性液体を除去し基板同士を密着させた後、加熱及び加圧により接合させることを特徴とするマイクロリアクターチップの作製方法。
  2. 前記揮発性液体が、アルコール類であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロリアクターチップの作製方法。
  3. 前記揮発性液体の除去を、減圧下で行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマイクロリアクターチップの作製方法。
  4. 前記接合面の算術平均粗さRaが0.001μm〜0.1μmの範囲であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマイクロリアクターチップの作製方法。
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