JP4491757B2 - 炭化水素留分の側方の抜き出しを含む、反応帯域に組み合わされる蒸留帯域内での処理による炭化水素転換方法およびベンゼンの水素化におけるその使用 - Google Patents
炭化水素留分の側方の抜き出しを含む、反応帯域に組み合わされる蒸留帯域内での処理による炭化水素転換方法およびベンゼンの水素化におけるその使用 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭化水素の転換方法に関する。本発明による方法では、蒸留帯域と、蒸留帯域の外部に少なくとも一部がある炭化水素転換反応帯域とが組み合わされ、この蒸留帯域に、水素を含む流出物が導入される。従って、この方法により、蒸留帯域により炭化水素仕込原料から分離された炭化水素を、(蒸留帯域に)組み合わされた反応帯域において選択的に転換して、蒸留帯域から反応帯域の仕込原料を抜き出して、転換された仕込原料を蒸留帯域に再導入することが可能になる。
【0002】
より詳しくは、本発明による方法は、主として1分子当たり炭素原子数少なくとも5を有する炭化水素留分からの、ベンゼンと場合によっては少なくとも1つのオレフィンとを含む少なくとも1つの軽質の(すなわち1分子当たり炭素原子数多くとも6を含む)不飽和化合物の含有量の選択的削減にオクタン価の実質的な損失を伴わないで適用される。
【0003】
従って、不飽和化合物であるベンゼンおよびオレフィンの認められている有害性を考慮に入れると、一般的傾向は、ガソリン中のこれら成分の含有量を削減することである。
【0004】
【従来技術】
ベンゼンは発ガン性特性を有する。従って、ベンゼンを、特に自動車燃料から実質上除去することにより、大気を汚染するあらゆる可能性を最大限に抑制することが要求される。米国においては、改質された燃料は、ベンゼン1容積%以上を含んではならない。ヨーロッパにおいては、徐々にこの値を目指すような削減が推奨されている。
【0005】
オレフィンは、窒素酸化物との光化学反応のサイクルにおける最も反応性である炭化水素として認められていた。このサイクルは、大気中において起こりかつオゾンの形成を生じる。空気中でのオゾン濃度の上昇は、呼吸器系の障害の原因になるものである。従って、ガソリンのオレフィン含有量の削減、より詳しくは燃料を取り扱う際に気化する傾向を最も有する最も軽質であるオレフィンの含有量の削減が望まれる。
【0006】
ガソリン中のベンゼン含有量は、このガソリンのリフォーマット(改質ガソリン)の構成成分の含有量に非常に大きく依存する。リフォーマットは、芳香族炭化水素の製造を目的とするナフサの接触処理により生じる。この芳香族炭化水素は、その分子中に主として炭素原子数6〜9を有し、かつその非常に高いオクタン価によりガソリンにアンチノック性を付与するものである。
【0007】
従って、上述の有害性が理由で、リフォーマットのベンゼン含有量を最大限に削減する必要がある。
【0008】
リフォーマットのベンゼンは、シクロヘキサンに水素化され得る。従って、トルエンおよびキシレンをも含む炭化水素混合物からベンゼンを選択的に水素化することは不可能であるので、この混合物を予め分別して、ベンゼンのみを含む留分に単離する必要がある。この場合、ベンゼンは、水素化され得る。
【0009】
国際特許出願WO95/15934には、反応性蒸留が記載されている。この反応性蒸留は、ジオレフィンおよびC2〜C5アセチレン化合物を選択的に水素化することを目的とする。水素化の接触帯域は、完全に蒸留塔の内部にある。このことにより、仕込原料中への水素の十分な溶解が不可能であり、また圧力を上昇させ得ることが不可能である。
【0010】
ベンゼンの接触水素化帯域が、蒸留塔の内部にあり、この蒸留塔により、他の芳香族化合物からベンゼンが分離され、このことにより、装置の経済的節約を実現することが可能になるいくつかの方法が記載されている。そのような方法は、米国特許US−A−4232177、US−A−4307254およびUS−A−4336407、並びにUS−A−3629478、US−A−4471154およびUS−A−3629478に記載されている。これらの方法においては、単数または複数の触媒床を通過する仕込原料の圧力降下のため、液相と水素を含むガス流との均質混合物を得ることは不可能である。従って、反応と蒸留とが、同じ物理的空間内で同時に行われるこの型の技術によれば、液相は、止めどなく流れる細流状で、故に液体の細い流れ状で(糸状で)反応帯域のあらゆる触媒床を通って下降する。気化された仕込原料のフラクションと、水素を含むガス流とを含むガス・フラクションは、ガス塔内を前記触媒床を通過して上昇する。この配置により、系のエントロピーが大きく、単数(または複数)の触媒床を通る仕込原料の損失が小さい。その結果、この型の技術に従って操作を行うやり方により、単数または複数の不飽和化合物を含む液相中において水素の溶解を容易に促進させることは不可能である。
【0011】
反応帯域が蒸留塔の外部にあり、塔のレベルで転換すべき仕込原料の抜き出しが行われ、かつ塔内への転換された流出物の再導入が行われるいくつかの方法が記載されている。そのような方法は、アルキルエーテルの合成における応用について、米国特許US−A−4503265、並びに国際特許出願WO93/19031、WO93/19032およびWO94/13599に記載されている。同様に、米国特許US−A−5177283には、芳香族炭化水素のアルキル化について、この技術が記載されている。
【0012】
本出願人のヨーロッパ特許出願EP−0781830A1には、ベンゼンの水素化方法が記載されている。この方法においては、反応帯域に組み合わされた蒸留塔が使用される。反応帯域の少なくとも1つは蒸留塔の外部にある。反応帯域のための仕込原料は、蒸留帯域から反応帯域へ抜き出され、反応帯域の流出物は、蒸留帯域に再導入される。蒸留帯域の頂部の蒸留物と、蒸留帯域の底部のリフォーマットとが回収される。
【0013】
本発明による方法は、本出願人のヨーロッパ特許出願EP−0781830 A1の改善である。この特許出願のあらゆる特徴が、本明細書に含まれるものとして見なされている。
【0014】
【発明の構成】
本発明は、炭化水素仕込原料の転換方法に関する。この方法では、頂部における蒸留物および底部における流出物を生じる蒸留帯域と、蒸留帯域の外部に少なくとも一部がある反応帯域とが組み合わされる。少なくとも1つの炭化水素の少なくとも一部の少なくとも1つの転換反応が、触媒と水素を含むガス流との存在下に少なくとも1つの触媒床を含む反応帯域内で行われる。反応帯域のための仕込原料が、蒸留帯域の少なくとも1つの抜き出しレベルの高さで抜き出されかつ蒸留帯域内を流れる液体の少なくとも一部である。反応帯域からの流出物の少なくとも一部は、少なくとも1つの再導入レベルの高さで蒸留帯域に再導入されて、蒸留の継続性を確保するようにする。本発明は、さらに蒸留帯域から少なくとも1つの抜き出しレベルの高さで少なくとも1つの液体流出物を抜き出し、前記液体流出物の少なくとも一部が、ガス・液体側方分離帯域(スプリッター)内で少なくとも一部処理され、この分離帯域からのガス流出物は、少なくとも一部蒸留帯域内に再導入され、またこの分離帯域からの液体流出物は、中間留分として少なくとも一部回収される。
【0015】
従って、本発明の方法により、蒸留帯域の中間レベルで、すなわち蒸留帯域の底部と頂部との間のレベルで、炭化水素の少なくとも1つの留分を必要に応じて調整される所期物質の含有量で回収することが可能になる。前記留分は、最も軽質な化合物の大部分を除去したものである。これら最も軽質な化合物は、ガス・液体側方分離帯域内における分離後、蒸留帯域内に少なくとも一部再導入される。
【0016】
従って、蒸留帯域と反応帯域とを組み合わせることにより、本発明による方法により、蒸留帯域による生成物を分離することが可能になり、かつ温度および圧力の有利な条件下に、特にいくつかの化合物を転換することが可能になる。その結果、蒸留帯域の頂部において転換すべき炭化水素の大部分の転換が行われた蒸留物が回収され、また蒸留帯域のあらゆる箇所において、転換反応により生じた所期の組成を有する炭化水素を含む中間炭化水素の少なくともその一部のフラクション、蒸留帯域の仕込原料中に存在する炭化水素の少なくとも一部のフラクション、および転換反応のために導入される他の化合物の少なくとも1つのフラクションが回収される。
【0017】
炭化水素仕込原料のベンゼン含有量削減方法への本発明による方法の特別な適用により、ベンゼンに乏しい、あるいは必要な場合には、ベンゼンおよび1分子当たり炭素原子数多くとも6を含む他の不飽和炭化水素、例えば軽質オレフィンがほぼ完全に除去されたリフォーマットと、ベンゼンの所期量を含む少なくとも1つのリフォーマットと、他の不飽和炭化水素とを、粗リフォーマットから、収率の著しい損失を伴わないでC7+ 化合物(すなわち1分子当たり少なくとも炭素原子数7を有する化合物)の水素化を制限して、生成することが可能になる。ベンゼンの水素化に適用される本発明による方法は、例えば1分子当たり炭素原子数少なくとも5、好ましくは5〜9を含む炭化水素から大部分が構成されかつベンゼンと場合によってはオレフィンとを含む少なくとも1つの不飽和化合物を含む仕込原料の処理方法である。この処理方法では、蒸留帯域内で前記仕込原料が処理される。蒸留帯域には、少なくとも一部が蒸留帯域の外部にありかつ少なくとも1つの触媒床を含む水素化反応帯域が組み合わされる。この水素化帯域において、水素化触媒と、好ましくは大部分水素を含むガス流との存在下に、仕込原料中に含まれかつ1分子当たり炭素原子数多くとも6を含む、すなわち1分子当たり炭素原子数6まで(6は含まれる)を含む不飽和化合物の少なくとも一部の水素化が行われる。反応帯域のための仕込原料は、抜き出しレベルの高さで蒸留帯域から抜き出されかつ蒸留帯域内を流れる液体の少なくとも一部、好ましくは大部分である。反応帯域の流出物の少なくとも一部、好ましくは大部分は、少なくとも1つの再導入レベルの高さで蒸留帯域に再導入されて、蒸留の連続性を確保するようにする。前記方法は、さらに蒸留帯域から、少なくとも1つの抜き出しレベルの高さで少なくとも1つの液体流出物を抜き出し、前記液体流出物の少なくとも一部が、ガス・液体側方分離帯域(スプリッター)内で少なくとも一部処理される。この分離帯域のガス流出物の少なくとも一部は、蒸留帯域内に再導入され、またこの分離帯域の液体流出物の少なくとも一部は、中間留分として回収される。
【0018】
本発明による方法により、不飽和化合物中のベンゼンおよび軽質オレフィンのおおよその所期量を含む中間留分を抜き出すことが可能になる。例えば本発明による方法により、その実施の形態のうちの1つにおいて、ナフサ留分、すなわち1分子当たり炭素原子数5〜11を有する炭化水素を大部分含みかつベンゼンを軽減された炭化水素軽質留分を直接回収することが可能になる。この実施例においては、回収された中間留分は、1分子当たり炭素原子数4までを有する軽質炭化水素の大部分と、炭素原子数5を有する炭化水素の少なくとも一部とが除去されたものである。
【0019】
従って、リフォーマットのベンゼン含有量の削減に本発明の方法が適用される場合には、本発明により、ベンゼンのおおよその必要量を含みかつ最も軽質な構成要素を除去された使用可能な留分を、直接回収することが可能になる。またこれら軽質構成要素の損失は、前記化合物を蒸留帯域へ再循環することにより回避される。
【0020】
従って、本発明による方法は、蒸留帯域から少なくとも1つのガス・液体側方分離帯域への少なくとも1つの液体流出物を抜き出すことを含む。この分離帯域により、液体中間留分と、蒸留帯域に少なくとも一部再循環されるガス流出物とが生じる。
【0021】
上記分離帯域で分離すべき液体流出物は、蒸留帯域の少なくとも1つの抜き出しレベルで抜き出されてよい。分離すべき液体流出物の抜き出しレベルは、一般に蒸留帯域の仕込原料導入レベルの上方に位置しかつ蒸留帯域内への仕込原料導入レベルと、蒸留帯域の頂部レベルとの間のあらゆるレベルであってよい。前記抜き出しレベルは、反応帯域のための仕込原料の抜き出しレベルの上方または下方、反応帯域の流出物の蒸留帯域内への再導入レベルの上方または下方に位置してよい。
【0022】
側方分離帯域により生じるガス・フラクションの再循環レベルは、一般に蒸留帯域内への仕込原料導入レベルの上方に位置する。前記再循環レベルは、一般に側方分離帯域への液体蒸留物抜き出しレベルの上方に位置する。前記再循環レベルは、反応帯域のための仕込原料抜き出しレベルの上方または下方に位置してよいし、また反応帯域の流出物の蒸留帯域内への再導入レベルの上方または下方に位置してよい。
【0023】
好ましくは、本発明による方法は、ガス・液体側方分離帯域への液体流出物抜き出しのための1つのレベルを有する。
【0024】
蒸留帯域のあらゆるレベルで抜き出される中間留分の回収以外に、本発明による方法は、頂部蒸留物の回収を含む。この方法では、蒸留帯域に組み合わされる反応帯域を用いて炭化水素の転換の大部分が行われた。従って、前記蒸留物は、反応帯域において転換すべき化合物のより小さい部分を含む。この頂部蒸留物は、蒸気蒸留物形態で回収されてよい。蒸気蒸留物の少なくとも一部は、凝縮され、次いでそれの還流を確実に行うために蒸留帯域に再循環される。
【0025】
本発明による方法の好ましい実施の形態において、本方法は、安定化帯域を含む。この場合、蒸留帯域の頂部蒸留物の抜き出しレベルの下方に位置する抜き出しレベルで安定化液体蒸留物を蒸留帯域から抜き出す。従って、所期物質は、安定化液体蒸留物として(すなわち過剰水素の大部分と、蒸気蒸留物中に回収される軽質ガスの少なくとも一部とが除去されたものとして)回収される。この特異な液体蒸留物の回収により、転換反応を行うために反応帯域に導入される水素の大部分を含むガス流中に存在する水素以外のガスをガス蒸留物として除去することが可能になる。
【0026】
この好ましい実施の形態により、いくつかの蒸留物を回収することが可能になる。すなわち、少なくとも1つの安定化蒸留物および少なくとも1つの中間留分である。一般に、安定化蒸留物は、中間留分の抜き出しレベルの上方に位置するレベルで抜き出される。
【0027】
従って、例えば、この好ましい実施の形態により、ベンゼンの水素化へのその特別な適用において、安定化液体蒸留物を蒸留帯域からの抜き出しにより直接回収することが可能になる。この蒸留帯域では、C7+ 化合物(1分子当たり炭素原子数少なくとも7を有する)の水素化を制限して、ベンゼンと、場合によっては仕込原料中に存在する、ベンゼン以外の、1分子当たり炭素原子数多くとも6を含むあらゆる不飽和化合物との選択的水素化が少なくとも一部行われた。
【0028】
ベンゼンの水素化の場合には、安定化液体蒸留物は、主として1分子当たり炭素原子数少なくとも5を有しかつ気化燃料として直接使用可能な液体化合物を含む。
【0029】
蒸留帯域には、当業者に公知のように、一般に棚段、乱雑状装填物および構造化装填物からなる群から選ばれる少なくとも1つの蒸留内装物(接触手段)を備える少なくとも1つの塔が含まれる。その結果、あらゆる全体効率は、少なくとも理論棚段数5に等しい。従って、単一塔の使用が問題を起こすものである当業者に公知の場合には、前記帯域を分割して、最終的には少なくとも2つの塔を使用するようにすることが好ましい。2つの塔は、端と端とが合わせられて前記帯域を作成する。
【0030】
蒸留帯域への仕込原料は、反応帯域への液体抜き出しレベルの下方に位置する少なくとも1つの導入レベル、一般に前記反応帯域への液体抜き出しレベル下方の理論棚段数2〜40のレベル、好ましくは理論棚段数2〜20のレベルに導入される。検討中の前記抜き出しレベルは、最も低いものである。
【0031】
反応帯域は、一般に少なくとも1つの触媒床、好ましくは1〜4の触媒床を含む。少なくとも2つの触媒床が、蒸留帯域に組み込まれて存在する場合には、これら2つの床は、場合によっては少なくとも1つの蒸留内装物により分離される。
【0032】
炭化水素留分からの、ベンゼンと場合によってはオレフィンとを含む軽質不飽和化合物の含有量の選択的削減への本発明による方法の特別な適用において、反応帯域は、水素化帯域である。この場合、水素化反応帯域では、一般に頂部蒸留物の抜き出しレベル下方で抜き出される安定化液体蒸留物中のベンゼン含有量が、相当含有量に最大限に等しいように、仕込原料中に存在するベンゼンの水素化が少なくとも一部行われる。前記反応帯域では、1分子当たり炭素原子数多くとも6を含みかつ場合によっては仕込原料中に存在する、ベンゼン以外のあらゆる不飽和化合物の水素化が、少なくとも一部、好ましくは大部分行われる。
【0033】
反応帯域は、少なくとも部分的に蒸留帯域の外部にある。一般に本発明による方法は、蒸留帯域の外部へ供給する抜き出しレベルを1〜6、好ましくは1〜4含む。一定の抜き出しレベルにより供給される反応帯域の外側部分の一部は、反応帯域の外側部分が少なくとも2つの抜き出しレベルを含む場合には、一般に少なくとも1つの反応器、好ましくは単一反応器を含む。
【0034】
外部反応帯域内で少なくとも一部転換された仕込原料の再導入レベルは、一般に蒸留帯域からの仕込原料の少なくとも1つの抜き出しレベル、好ましくは前記抜き出しレベルのほぼ下方、あるいはほぼ上方、あるいはほぼ同じ高さに位置する。好ましくは再導入レベルは、抜き出しレベルの上方に位置する。
【0035】
反応器は、少なくとも部分的に蒸留帯域の外部にあるので、転換すべき仕込原料の抜き出しレベルの下方に位置する蒸留帯域における液体輸送量と同じか、あるいはそれより多い、あるいはそれより少ない液体流量が、塔から抜き出される。
【0036】
やや高いベンゼン含有量への、例えば約3容量%を越えるベンゼン含有量への蒸留帯域からの仕込原料の転換の特別な適用において、抜き出される液体流量は、好ましくは抜き出しレベルの下方に位置する蒸留帯域の液体輸送量以上である。
【0037】
やや低いベンゼン含有量への、例えば約3容積%未満の含有量への仕込原料の転換の特別な適用において、抜き出される液体流量は、好ましくは抜き出しレベルの下方に位置する蒸留帯域の液体輸送量以下である。
【0038】
本発明による方法により、場合によっては、蒸留帯域において使用される条件とは異なる圧力および/または温度条件下に、蒸留帯域の外部で転換すべき単数(または複数)の化合物の大部分を転換することが可能でなる。
【0039】
本発明による方法は、転換すべき液体の流れが、一般に、反応帯域の外側部分のあらゆる触媒床に対して、水素を含むガス流の流れに並流であるようなものである。
【0040】
本発明による方法の好ましい実施の形態によれば、反応帯域は、全体的に蒸留帯域の外部にある。反応帯域の外側部分が、少なくとも2つの触媒床を含む場合には、各触媒床は、好ましくは単一の再導入レベルに組み合わされる単一の抜き出しレベルにより供給される。前記抜き出しレベルは、他の触媒床を供給する抜き出しレベルから区別される。
【0041】
本発明による方法の好ましい実施の形態によれば、反応帯域への蒸留帯域から抜き出される転換すべき仕込原料は、反応器に導入される前に冷却される。反応器から排出される転換された仕込原料は、蒸留帯域に再導入される前に冷却されてよい。この冷却により、循環リフラックスを作り出すことができる。実際に、本明細書において、循環リフラックスとは、1つのレベルで蒸留帯域から抜き出されかつ抜き出しレベルでの液体温度よりも低い温度で上方のレベルに再導入される液体の循環を意味する。
【0042】
炭化水素留分のベンゼン含有量削減方法の特別な場合において、本発明の好ましい実施の形態のうちの1つは、塔内の水素含有仕込原料の再導入レベルが、ベンゼン含有量の最も低い帯域で水素化すべき仕込原料の抜き出しレベルの上方に位置するものである。好ましくは再導入レベルは、抜き出しレベルの少なくとも理論棚段数2段上方に位置する。より好ましくは仕込原料の再導入レベルは、前記仕込原料の抜き出しレベルの少なくとも理論棚段数4段上方に位置する。
【0043】
本発明の方法の特別な適用による水素化の実施において、ベンゼンの所期の転換に必要な水素の理論モル比は3である。水素化帯域前流にまたは水素化帯域内に分配される水素量は、場合によってはこの化学量論に対して過剰である。これは、仕込原料中に存在するベンゼンに加えて、1分子当たり炭素原子数多くとも6を含みかつ前記仕込原料中に存在するあらゆる不飽和化合物を少なくとも一部水素化しなければならないからである。
【0044】
一般に過剰水素は、それが存在する場合には、有利には、例えば後述される技術のうちの1つに従って回収されてよい。第一技術によれば、反応帯域から排出される過剰水素は、反応帯域の出口における流出物のレベルで直接回収されるか、あるいは蒸留帯域のガス蒸留物中において回収され、次いで圧縮され、リフラックスを作り出すために前記反応帯域で再使用される。第二技術によれば、反応帯域から排出される過剰水素は、回収され、次いで接触リフォーミング装置に組み合わされる圧縮工程の上流に、前記装置から来る水素との混合物状で注入される。前記装置は、好ましくは低圧力、すなわち一般に0.8MPa未満の絶対圧力で操作される。
【0045】
例えば1分子当たり炭素原子数多くとも6を含む不飽和化合物の水素化における本発明の特別な方法において使用される、ガス流中に含まれる水素は、あらゆる源に由来するものであってよい。これらの源は、純度少なくとも50容積%、好ましくは純度少なくとも80容積%、より好ましくは純度少なくとも90容積%の水素を製造する。例えば、接触リフォーミング方法、メタネーション方法、P.S.A.(圧力交換による吸着)方法、電気化学生成方法または蒸気クラッキング方法に由来する水素が挙げられる。
【0046】
本発明による方法の好ましい実施の形態のうちの1つは、先行の実施の形態とは無関係に、または関係して、蒸留帯域の底部流出物が、蒸気蒸留物の回収レベルの下方に位置する回収レベルで回収される安定化液体蒸留物に少なくとも一部混合されるものである。ベンゼン含有量の削減方法の特別な場合において、こうして得られた混合物は、気化燃料として直接使用されるか、あるいは気化燃料フラクションに組み込まれて使用されてよい。
【0047】
反応帯域が、蒸留帯域の内部にある場合には、蒸留帯域の内部にある反応帯域の部分の操作条件は、蒸留の操作条件に関連する。蒸留は、絶対圧力一般に0.1〜2.5MPa下に還流率0.1〜20で行われる。蒸留帯域の温度は、10〜300℃である。一般に、転換に付される液体は、水素を含むガス流に混合される。水素流量は、行われる転換反応の化学量論に少なくとも等しくかつ多くとも化学量論の10倍に一致する流量に等しい。反応帯域の外側部分において、触媒は、蒸留帯域の操作条件とは無関係であるか、または関係する、好ましくは無関係である操作条件(温度、圧力等)下に当業者に公知のあらゆる技術に従ってあらゆる触媒床内に配置される。蒸留帯域の外部にある反応帯域の部分において、操作条件は、一般に次の通りである。要求される絶対圧力は、一般に0.1〜6MPaである。操作温度は、一般に30〜400℃である。触媒に対して計算される、前記反応帯域内の空間速度は、一般に0.5〜60h-1である。実施される転換反応の化学量論に一致する水素流量は、前記化学量論の1〜10倍である。
【0048】
ベンゼンおよび他の不飽和化合物の水素化の特別な場合には、操作条件は、次の通りである。水素化帯域が蒸留帯域の内部にある場合には、蒸留帯域の内側にある水素化帯域の部分の操作条件は、蒸留の操作条件に関連する。蒸留は、絶対圧力一般に0.2〜2MPa、好ましくは0.4〜1MPa下に還流率0.1〜10、好ましくは0.2〜2で行われる。帯域の頂部温度は、一般に30〜180℃であり、帯域の底部温度は、一般に120〜280℃である。水素化反応は、蒸留帯域の頂部および底部で設定される条件の間の一般に最も中間である条件下に温度100〜200℃、好ましくは120〜180℃、絶対圧力0.2〜3MPa、好ましくは0.4〜2MPaで行われる。水素化に付される液体は、水素を含むガス流に混合される。水素の流量は、前記液体中のベンゼン濃度に依存し、より一般には蒸留帯域の仕込原料の1分子当たり炭素原子数多くとも6を有する不飽和化合物に依存する。水素流量は、一般に実施される水素化反応(水素化仕込原料中に含まれる、ベンゼンおよび1分子当たり炭素原子数多くとも6を有する他の不飽和化合物との水素化)の化学量論に一致する流量に少なくとも等しく、かつ化学量論の10倍に一致する流量に多くとも等しく、好ましくは化学量論の1〜6倍、より好ましくは化学量論の1〜3倍である。蒸留帯域の外部にある水素化帯域の部分において、操作条件は、一般に次の通りである。この水素化工程に要求される絶対圧力は、一般に0.1〜6絶対MPa、好ましくは0.2〜5MPa、より好ましくは0.5〜3.5MPaである。水素化帯域の温度は、一般に100〜400℃、好ましくは120〜350℃、より好ましくは140〜320℃である。触媒に対して計算される、前記水素化帯域内の空間速度は、一般に1〜60h-1、より詳しくは1〜40h-1(触媒1容積当たり仕込原料の容積流量)である。実施される水素化反応の化学量論に一致する水素流量は、前記化学量論の1〜10倍、好ましくは前記化学量論の1〜6倍、より好ましくは前記化学量論の1〜3倍である。しかしながら、温度および圧力の条件もまた、本発明の方法の枠内において、蒸留帯域の頂部および底部で設定される条件に含まれるものである。
【0049】
本明細書の意味において、還流率として塔の供給比流量に対する還流の比流量の比を示す。
【0050】
反応帯域が、ベンゼンおよび場合によってはオレフィンの水素化帯域である特別な場合には、水素化帯域において使用される触媒は、そのままで使用されるか、あるいは好ましくは担体上に担持される、一般に第VIII族から選ばれる、好ましくはニッケルおよび白金から選ばれる少なくとも1つの金属を含む。金属は、一般にその全体の少なくとも50重量%に対して還元された形態でなければならない。しかしながら、さらに当業者に公知のあらゆる他の水素化触媒も選ばれてよい。
【0051】
ニッケルを使用する場合、触媒の全体重量に対するニッケルの割合は、5〜70%、より詳しくは10〜70%、好ましくは15〜65%である。さらに、ニッケル晶子の平均サイズが、100×10-10 m未満、好ましくは80×10-10 m未満、より好ましくは60×10-10 m未満である触媒が、一般に使用される。
【0052】
担体は、一般に、アルミナ、シリカ・アルミナ、シリカ、ゼオライト、活性炭、粘土、アルミナ含有セメント、希土類酸化物およびアルカリ土類酸化物からなる群から選ばれ、単独であるいは混合物状で使用される。比表面積30〜300m2 /g、好ましくは90〜260m2 /gの好ましくはアルミナまたはシリカをベースとする担体が使用される。
【0053】
図1は、本発明による方法の実施の可能性の例証である。
【0054】
炭化水素仕込原料は、管路(1)を経て蒸留塔(2)に搬送される。蒸留塔は、蒸留の内装物(接触手段)を備えている。これら内装物は、例えば図1上に表示される場合には前記図上に点線により一部が表示される棚段あるいは装填物である。
【0055】
塔底部で、リフォーマットの最も非揮発性なフラクションは、管路(5)を経て回収される。一部は熱交換器(6)内で再沸騰され、一部は管路(7)を経て排出される。再沸騰蒸気は、管路(8)を経て塔内に再導入される。安定化液体蒸留物は、管路(18)を経て取り出される。蒸気蒸留物は、管路(9)を経てコンデンサ(10)内に搬送され、次いでタンク(11)内に搬送される。このタンクから、蒸気蒸留物は、管路(14)を経て取り出される。タンク(11)の液相は、一部については管路(12)を経て塔頂部に再送されその還流を確保する。液相の別の一部は、管路(13)を経て回収されてよい。
【0056】
蒸留帯域内に配置される抜き出し棚段を用いて、液体が管路(15)を経て抜き出される。この液体は、管路(4)を経る水素添加後に反応器(3)の頂部に搬送される。反応器の流出物は、熱交換器(16)内で冷却され、次いで管路(17)を経て塔に再循環される。
【0057】
分離すべき液体流出物は、管路(19)を経て蒸留帯域から抜き出され、次いでガス・液体側方分離帯域(20)に搬送される。この側方分離帯域から、ガス流出物が管路(21)を経て蒸留帯域に再循環され、中間留分が管路(23)を経て回収される。この留分の一部は、熱交換器(22)内で再沸騰される。
【0058】
【発明の実施の形態】
[ 実施例(本発明による)]
次の実施例は、本発明の特別な適用、すなわち炭化水素留分の不飽和化合物およびベンゼンの選択的削減を例証する。それらを、シミュレーション・サイエンス・インコーポレイティド社(Simulation Sciences Incorporated) のPRO/II(登録商標)コンピューター・ソフトウェアによる数値のシミュレーションにより行った。
【0059】
この方法は、ガス・液体側方分離帯域への液体流出物の抜き出しと、蒸留帯域へのガス流出物の再導入および中間留分としての液体流出物の回収とを含むものである。
【0060】
装置を図1に表す。
【0061】
この方法は、蒸気蒸留物の抜き出しの下方における安定化液体流出物の抜き出しと、抜き出し棚段の上方の棚段数9の水素含有仕込原料の再導入レベルとを備えたものである。
【0062】
塔は、理論棚段数57を含み(これには、コンデンサおよびリボイラが含まれる)かつ直径3.35mを有する。
【0063】
組み合わされる側方塔(スプリッター)は、理論棚段数7を有する(これには、リボイラが含まれる)。
【0064】
供給量に対する還流比(重量で表示される)は、1.02であった。再沸騰(リボイラ)の電力は、12800キロワット(kW)であった。側方塔(スプリッター)のリボイラの電力は、271キロワット(kW)であった。
【0065】
この方法を、触媒7m3 を含みかつ絶対圧力1.5MPaで作用する外部水素化反応器を用いて行った。ニッケル触媒は、商品名LD746でProcatalyse 社により販売されている。
【0066】
安定化液体流出物(軽質リフォーマット)を、棚段数3で管路(18)を経て回収し、蒸気蒸留物を、塔頂部で管路(14)を経て回収した。蒸留塔用の仕込原料を、管路(1)を経て棚段数37に注入した。反応器(3)用仕込原料を、管路(15)を経て棚段数30から抜き出した。水素を管路(4)を経て反応器に導入した。反応器は、下降流で絶対圧力1.5MPa下に稼動する。水素/ベンゼンのモル比は、2.63であった。反応器(3)の流出物を冷却し、次いで管路(17)を経て塔内に棚段数21で再注入した。還流タンクの絶対圧力は、0.75MPaであった。
【0067】
安定化液体フラクション(軽質リフォーマット)(18)、パージ用蒸気(14)、重質リフォーマット(7)および中間留分(23)のシミュレーションされた組成を、表1に記載した。
【0068】
側方分離帯域内で処理される液体蒸留物の抜き出しが存在する、本発明による方法により、直接使用可能な中間留分を回収することが可能になるのが証明された。この特別な実施例において、中間留分は、ベンゼン約3.8容積%を含むナフサ留分であった。
【0069】
軽質リフォーマット(18)は、ベンゼン0.35容積%を含み、重質リフォーマット(7)は、ベンゼン0.6容積%を含んでいた。ナフサの蒸気張力REIDは、0.086MPaであった。軽質リフォーマットおよび重質リフォーマットからなる混合物の蒸気張力は、0.022MPaであった。
【0070】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すフローシートである。
【符号の説明】
1,4,5,7,8,9,12,13,14,15,17,18,19,21,23:管路
2:蒸留塔
3:反応器
6,16,22:熱交換器
10:コンデンサ
11:タンク
20:ガス・液体側方分離帯域
Claims (13)
- 1分子当たり炭素原子数少なくとも5を有する炭化水素により大部分構成されかつベンゼンと場合によっては少なくとも1つのオレフィンとを含む少なくとも1つの不飽和化合物を含む炭化水素仕込原料を頂部における蒸留物と底部における流出物とを生成する蒸留帯域において処理し、この蒸留帯域は、少なくとも一部が蒸留帯域の外部にある反応帯域に組み合わされており、この反応帯域は少なくとも1つの触媒床を含み、この反応帯域が水素化帯域であり、この帯域において、水素化触媒の存在下に、1分子当たり炭素原子数多くとも6を有しかつ仕込原料中に含まれる不飽和化合物の少なくとも一部の水素化を行い、反応帯域のための仕込原料が、蒸留帯域から少なくとも1つの抜き出しレベルの高さで抜き出されかつ蒸留帯域内を流れる液体の少なくとも一部であり、反応帯域からの流出物の少なくとも一部が、少なくとも1つの再導入レベルの高さで蒸留帯域に再導入されて、蒸留の連続性を確保するようにし、反応帯域からの流出物の再導入レベルが、反応帯域のための仕込原料の抜き出しレベルの上方に位置する方法において、蒸留帯域から少なくとも1つの抜き出しレベルの高さで液体流出物を抜き出し、前記液体流出物の少なくとも一部は、ガス・液体側方分離帯域(スプリッター)内で少なくとも一部処理され、分離すべき液体流出物の抜き出しレベルは、蒸留帯域へ仕込原料を導入するレベルの上方に位置し、この分離帯域からのガス流出物は、少なくとも一部蒸留帯域に再導入され、またこの分離帯域からの液体流出物は、中間留分として少なくとも一部回収されることを特徴とする、炭化水素仕込原料の転換方法。
- ガス・液体側方分離帯域への液体流出物の1つの抜き出しレベルを含む、請求項1記載の方法。
- さらに安定化液体蒸留物を、蒸気蒸留物のレベルの下方に位置する抜き出しレベルで抜き出す、請求項1または2記載の方法。
- 反応帯域のための仕込原料の1つの抜き出しレベルを含む、請求項1〜3のうちのいずれか1項記載の方法。
- 反応帯域の流出物の再導入レベルが、反応帯域のための仕込原料の抜き出しレベルの上方にある少なくとも2番目の理論棚段である、請求項1〜4のうちいずれか1項記載の方法。
- 反応帯域が全体的に蒸留帯域の外部にある、請求項1〜5のうちのいずれか1項記載の方法。
- 蒸留が、絶対圧力0.1〜2.5MPa下に還流率0.1〜20、温度10〜300℃で行われる、請求項1〜6のうちのいずれか1項記載の方法。
- 蒸留帯域の外部での転換反応の一部において、絶対圧力が0.1〜6MPaであり、温度が30〜400℃であり、触媒に対して計算される転換帯域内での空間速度が0.5〜60h−1(毎時触媒1容積当たり仕込原料の容積)であり、水素流量は、生起する転換反応の化学量論に一致する流量の1〜10倍である、請求項1〜7のうちのいずれか1項記載の方法。
- ガス・液体側方分離帯域から生じた液体流出物が、ベンゼンを5重量%未満含む中間留分である、請求項1〜8のうちのいずれか1項記載の方法。
- 蒸留が、絶対圧力0.2〜2MPa下に還流率0.1〜10で行われ、蒸留帯域の頂部温度が30〜180℃であり、蒸留帯域の底部温度が120〜280℃である、請求項1〜9のうちのいずれか1項記載の方法。
- 蒸留帯域の外部での水素化反応の一部において、絶対圧力が0.1〜6MPaであり、温度が100〜400℃であり、触媒に対して計算される水素化帯域内での空間速度が1〜60h−1(毎時触媒1容積当たり仕込原料の容積)であり、水素流量は、生起する水素化反応の化学量論に一致する流量の1〜10倍である、請求項1〜10のうちのいずれか1項記載の方法。
- 蒸留帯域の内部での水素化反応の一部において、水素化反応が、温度100〜200℃、絶対圧力0.2〜3MPaで行われ、水素化帯域に供給される水素流量が、生起する水素化反応の化学量論に一致する流量の1〜10倍である、請求項1〜11のうちのいずれか1項記載の方法。
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