JP4491129B2 - ローカル・エリア情報を使用する色域マッピング方法及び装置 - Google Patents

ローカル・エリア情報を使用する色域マッピング方法及び装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オリジナル・ドキュメントが色域外にあるカラーを選ぶプリンタ・カラーの選定を改良することに関する。より詳しくは、本発明は、空間的にローカルな輝度差を保存する色域マッピング技術に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
印刷装置およびディスプレイ装置は、すべて、本質的に、作業領域(色域:ガマット(gamut)とも呼ばれる)を有する。このような画像再生装置は、理想的とはいえないので、人間が見ることのできるあらゆる可能性のあるカラーを再現できるというわけではない。或る装置(たとえば、ディスプレイ)で再生することができるカラー・レンジは、普通、別の装置(たとえば、プリンタ)で再生することができるカラー・レンジと異なっているので、しばしば、色域マッピングが使用される。こうすれば、ディスプレイおよびプリンタの両方が共に再生できるカラーを多数持つことができるが、どちらか一方の再生能力外にあるカラー値セットの或る種の組み合わせがあるかも知れない。しかしながら、ユーザは、初期の意味内容を留意した状態で、プリンタがディスプレイ上に作成されたあるいはそこに見える画像を再生するものと期待する。さらに問題なのは、異なった印刷技術および印刷材料は、本質的に、各装置クラスの中でさえ、異なる色域を与えることである。
【0003】
色域マッピングは、プリンタの印刷できないカラーあるいは初期画像処理からできないカラーによって構成されるピクセルを現実のプリンタによって印刷できるカラーにマッピングするのに役立つ。このとき、色域外の印刷できないカラーは、カラー意味内容および美的外観を維持するように設計されている或る種の方式に従って印刷できるカラーにマッピングされる。最も一般的な方式の1つは、任意の色域外ピクセルをそれに最も近い色域内隣接値にマッピングすることである。明らかに、これは満足すべきものではない。なぜならば、色域外のわずかなカラー変化でも、多数の類似したカラーが同じ色域内カラーにマッピングされてしまうからである。オリジナル画像における或る種のテクスチャ、ハイライトおよびシャドウが失われることになる。
【0004】
この問題は、伝統的な色域マッピング・プロセスの基本的問題が、近傍の影響を考慮しないピクセル単位の作業となるという結果になる。図1に示す1つの例に注目すると、青色テキストを黒色の背景に対して配置したとき、オリジナルのモニタまたはディスプレイが、青色領域と黒色領域とをはっきりと区別する画像を示すのになんら難しいことはない。しかしながら、高い飽和状態の青色が或る種のプリンタでは色域外となる可能性があり、そして、黒色は、普通、プリンタの最も黒い色の再生にマッピングされる。大きい面積の再生の場合、これは完全に許容できることであるかも知れない。しかしながら、図2におけるような輝度のプロファイル(特性)に注目すると、複数のカラーがほぼ並んでいる場合、輝度差は劇的に減少し、印刷ページ上の外観差が問題となる。
【0005】
図3に示す別の例では、JPEG圧縮、解凍で処理された飽和状態の赤色/緑色の縁には中間色の黄色が生じることになる。しかしながら、黄色のストライプは、その輝度がその緑色の隣接値と一致しているときには、見えにくい。しかしながら、図4に示すように、赤色/緑色の縁に適用された色域マッピングは、この縁の緑側の輝度を低下させる傾向があり、色域内にある黄色をその同じ輝度レベルで印刷する可能性があり、それをかなりはっきりとさせ、無視できなくする可能性がある。
【0006】
同様の問題が、アンチエイリアシングで生じる。この場合、飽和カラー縁のエッジ・ソフトニング処理が印刷できるカラーを生じさせ、飽和カラーの矛盾した色域外マッピングにより、ソフト処理を行った縁を背景および前景カラーから際だたせることになる。
【0007】
【従来の技術】
Liangの米国特許第5,579,031号が、較正でプリンタ・モデルを使用することを記載している。ここでは、モデルは反復して更新され、最終的なLUTを形成する。それ自体に記載されているLUTと同様の変換を使用すると、本質的に2つの考慮されている装置間の色合せを行えるが、プリンタ・モデルからの値範囲内に位置するように入力カラー値セットをマッピングする予め選択された数学的な操作を実施することによって、付加的な色域マッピングをLUTの発生時に使用してもよい。このような数学的な操作は、切捨てのように単純であってもよいし、または、データ圧縮のように複雑であってもよい。
【0008】
Dillingerの米国特許第5,883,632号は、「色相ページ」についての幾何学変換によって相対位置を保存することを記載している。2つのカラー・プレゼンテーション装置についての装置・スペース・カラー仕様が、少なくとも1つの知覚的なカラー・スペースを介して相互に関係付けられている。この相互関係付けは、作表あるいはリアルタイム・ソフトウェア処理によって実施される。そして、これは、一方の装置に関して(その装置の制御言語で)指定されたカラーおよびカラー変化が他方の装置の言語および実性能の両方で追跡されるように実施される。知覚的スペースを介してのこのマッピングは、2つの装置色域を互いに一致させる効果を生じるように使用され得る。その結果、両方の装置の全色域が実際に合併される。このように使用されたとき、この新しい種類のマッピングは、カラー・スペースにおける相対位置を保存する。したがって、追跡装置が、非常に密接に類似しているように見えるソース/入力装置上に見えるカラーの区別を維持することができる。隣接したカラー間のこのような判別は、両方の装置の色域のほぼ全体にわたって支援され得、特に、色相ページ上の明度極値および最大飽和ポイントに非常に近いことですらある。
【0009】
T. Morimoto等の論文、「Objects' Color Matchings Based on Image Clustering」(Japan Hardcopy '98 p. 371ff)が、異なったオブジェクトについての画像セツメンテーションおよびカラー・マッピングを教示している。
【0010】
Guayの米国特許第5,903,275号が、飽和カラー(すなわち、色域外カラー)を装置飽和値(装置印刷可能な飽和カラー)にマッピングする色域マッピングを記載している。色域内部のカラーは、「最も近いもの」にマッピングされ、他のカラーは、比色定量的に飽和状態で最も近い値間の混合値にマッピングされる。最初に、印刷できるカラーが、或る種の装置非依存カラー・スペース(たとえば、L*a*b*)において測定される。次に、黒色からのカラーからなる或る種の基準カラーCRTからモニタ飽和までのカラー、そして、飽和から白色までのカラー、そして、それらの間のカラーの範囲が計算される。飽和とは、ユーザが飽和CRTカラーを求めたとき、どんな印刷可能なカラーを得たいのかに基づく割り当てカラーである。これは、CRTの色域外範囲のプリンタ再生を可能にする。次に、指定されたカラー・スペースに利用できるすべてのカラーをサブサンプリングするテーブルが生成される。このテーブルは、目標プリンタの色域内のエントリを最も近い印刷可能なカラーで満たしている。プリンタの色域外のカラーは、印刷可能なカラーと飽和について割り当てられた外側カラー範囲を平均することによって表される。要求されたカラーは基準カラー・スペースに変換され、次いで、テーブルで調べられ、結果生じたカラー仕様がプリンタに送られる。
【0011】
Kassonの米国特許第5,450,216号が、装置非依存形態のカラー画像を知覚的なカラー・スペースにおける装置依存色域に色域マッピングすることを記載している。デジタル画像は、輝度と装置依存色域に色域外ピクセルを押し込むのに必要なクロミナンス変化との両方に対する人間の視覚的反応を最小限にするように任意の装置依存色域にマッピングされる。「近傍色域マッピング」技術は、各ピクセルのマッピングの際の近傍ピクセルの主観的な視覚効果を考慮している。低空間周波数では、画像輝度は、最大クロマの大きさが固定色相角度について利用できる装置依存色域における輝度に向かってバイアスされる。空間フィルタリングは、輝度およびクロミナンス変化の両方に対して鈍感な人間の視覚反応についての異なっている空間周波数領域を利用する。
【0012】
R. Rollestonの論文、「Using Shepard's Interpolation to Build Color Transformation Tables」(Proceedings of lS&T/SID's Color Imaging Conference, 1994, pp 74-77)が、シェパード補間法と呼ばれている技術を使用して多次元データを補間する方法を教示している。ここでは、既知の位置でのマッピング・ベクトルの距離加重平均を使用して、任意の入力位置でマッピング・ベクトルに近似させている。この技術は、装置非依存カラー、装置依存カラー間でマッピングを生成するのに使用される。
ここで引用した文献は、参考資料としてここに援用する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、カラーの変更を画像におけるピクセルのローカル隣接値で保存する色域マッピング方法が提供される。
【0014】
本発明によれば、最初に適用されたものと異なる出力システム色域を有するシステムで使用するに先立ってオリジナル・ドキュメントにおけるカラーを再マッピングする方法は、画像の少なくとも一部を構成する1セットのピクセルにおける目標ピクセルについて、この目標ピクセルを含む1セットの隣接ピクセルを記憶する段階と、前記隣接ピクセル・セットを分析し、任意のクラスタについて、前記クラスタについての少なくとも1つの距離を決定する段階と、前記セット内の少なくとも1つのキーカラーを決定する段階と、前記少なくとも1つのキーカラーを前記出力システム色域内の新しい再マッピングされたキーカラーにマッピングする段階と、前記再マッピングされたキーカラーからマッピング・ベクトルを決定する段階と、このマッピング・ベクトルを使用して目標ピクセルを再マッピングする段階とを包含することを特徴とする。
【0015】
本発明は、目標ピクセルを、オリジナル色域からの近傍情報を反映する新しいカラーにマッピングすることによって、オリジナル画像における空間的に局所的な輝度変更を保存しようとしている。このとき、ピクセル間のカラー差が、画像一部の中に維持される。
【0016】
次に、図面(本発明の実施例を説明することを目的とするものであって、発明を限定するものではない)を参照して、本発明を実施する基本的システムが、図5に示してある。このシステムにおいて、オリジナル画像源10(おそらくは、カラースキャナ、適当なドキュメントまたは画像の作成ソフトウェアを備えたパソコンまたはワークステーションあるいはカメラもしくはデータ記憶装置)が、普通は、装置非依存方法で画像を生成し、適当な電子画像を提供する。これらの画像は、ピクセルとして構成されており、各ピクセルは、CIEカラー・スペース(空間)L*、a*、b*または或る種の他の輝度・クロミナンス・スペース(L、C1、C2)あるいはその分析変換で構成されたカラーと関連付けられる。
【0017】
画像データ源10からの画像は画像処理ユニット(IPU)20に送られる。このIPU20は、説明の目的のために、オリジナルのデータ表現からプリンタ30で印刷するのに適したフォーマットへ画像を変換するためのデジタル処理要件のすべてを含むものとする。画像表現に依存して、PDLからの画像分解、グレイ・レベル画像からのハーフトーン処理、カラー変換、スケーリングおよび他の任意の必要なプロセスがIPU20によって行われる。IPU20は、種々の形態および作動項目を採用することができ、高速印刷装置と関連した専用およびハードワイヤード動作あるいはソフトウェア駆動式動作からパーソナル・プリンタを駆動するパソコンあるいはワークステーション上で稼働するプリンタ・ドライバまでに及ぶ。特に、色域マッピング機能部24が呼び出される。これについては、後にさらに詳しく説明する。ここで、カラーがRGBカラー・スペース(空間)に記述され、他の装置非依存カラー・スペースに容易に変換され得、ここにおいて、計算が容易に実施され得ることは、疑いもなく了解されよう。これは、容易にIPU20の機能の一部となり得る。
【0018】
プリンタ30は、重畳したときに、多色画像を形成する複数の区切りを印刷する任意のカラープリンタであり得る。本発明およびその説明のために、プリンタ機能は、ディスプレイまたはモニタと交換してもよいし、ディスプレイまたはモニタと並列に配置したものであってもよい。
【0019】
色域マッピング機能部24は、プリンタによって印刷できないカラーまたは初期画像処理から生じるカラーによって構成されたピクセルを現実のプリンタによって印刷できるカラーへマッピングするように作動する。このとき、色域外の印刷できないカラーは、ドキュメント内のカラー関係の保持を最適化しようとする或る種の方式に従って印刷できるカラーにマッピングされる。出力色域内に入るカラーも、マッピングされたカラーに対する関係を保持するように調節し得る。
【0020】
比色スペースまたは装置非依存スペースを参照すると、それは、CIE XYZスペース(1931)の変換であるカラー・スペース定義のことである。本発明者等が装置依存スペースに言及したとき、それは、これを使用している装置の動作によってのみ定義されるカラー・スペースのことである。多くのカラー・スペースは3次元であるが、二次元以下あるいは四次元以上のカラー・スペースも同様に可能であり、プリンタが2以下の着色剤あるいは5以上の着剤を使用することが可能である。
【0021】
以下の説明において、「輝度」という用語は、輝度(すなわち、XYZのY成分)および明度(すなわち、L*a*b*のL*成分)の厳しい定義を含むように包括的に使用されている。クロミナンス成分C1、C2も、同様に、対抗するカラー信号または同等の極性表現、クロマおよび色相の包括的な表現である。ここで、正確な入力輝度値が、他の属性、色相およびクロマにおける望ましくないトレードオフの結果となり得るので、常に色域マッピングを介して保存され得るわけではないことは了解されたい。装置色域、画像タイプおよびレンダリング意味内容の種々の組み合わせのためのこれらの属性における最適なトレードオフは、本発明の焦点ではないので、ここでは詳しく説明しない。
【0022】
一般的に、最初に適用されたものと異なる出力システム色域を有するシステムで使用するに先立ってオリジナル・ドキュメントにおけるカラーを再マッピングする本発明の方法は、各ピクセルについてのカラー・コンテキストを確立するのに、或る時点での或るピクセル・ブロックを調べ、そのカラー・コンテキストを使用して前記ブロックについて定義された少なくとも1つのキーカラーを再マッピングし、前記少なくとも1つのキーカラーについて定義された変化を使用して目標ピクセルを色域内カラーに移動させるプロセスを包含する。
【0023】
ここで図6を参照して、ステップ300で出発し、各入力ピクセルについて次のことが行われる。
i.コンテキストが、ローカル・エリア内に確立される。入力ピクセルを取り囲んでいるN×Mのピクセルのローカル・ブロックを取り上げる(ステップ302)。Nは、挿入図あたり、Mに等しくてもよいし、等しくてもよい。
ii.コンテキストが、ローカル・エリアについて測定される。ピクセルについてクラスタ分析を行い、重要なクラスタを抽出する(ステップ304)。クラスタ・サイズ、平均値および分散を保存する。他のクラスタ距離を使用して僅かにプロセスを変えてもよい。
iii.ローカル・エリアにおける少なくとも1つのキーカラーが識別される。オリジナルの入力ブロックにおけるクラスタ平均としてキーカラーを抽出する(ステップ306)。
iv.キーカラーに色域マッピング機能GTを適用する(ステップ308)。大きいクラスタ分散を有するこれらのキーカラーについて、キーカラーをさらに色域内部に移動させる(挿入図参照)。
v.マッピングしたキーカラーを調節して、キーカラー輝度の関係がステップiiiからステップivまで確実に保存されるようにする(ステップ310)。
vi.各々のキーカラーについてマッピング・ベクトルを生成する(ステップ312)。
vii.キーカラーの前記マッピング・ベクトルに基づいて目標ピクセルに変化を適用する。キー・マッピング・ベクトルの距離加重平均である方向に、目標ピクセルを移動させる。この距離は、カラー・スペースで測定する(ステップ314)(ステップ314の挿入図参照)。
viii.このワープした画像は、色域表面に色域マッピングする必要があるかも知れない。その理由は、(vii)に見出される方向が出力色域内にあるという保証がないからである(ステップ316)。
【0024】
基本色域マッピング・アルゴリズム(GT)は、所与の画像タイプおよびレンダリング意味内容について最良のピクセル単位プロセスであるように選ばれる。ここに提案した技術は、そのプロセスが何であるかに依存せず、新しいより良い色域マッピング・プロセスが発見されたならば、容易に適用することができる。いくつかのプロセスは、(ii)のクラスタ分析を行うのにも利用できる。そして、領域の数は、優先的に(管理(スーパバイズ)された分類)で選んでもよいし、そうでない方法(管理なし)で選んでもよい。適用できるクラスタ処理技術のいくつかの例として、k平均・ガウス最大推定法がある。(iv)において、キーカラーは色域表面からさらに中に移動させられ、この領域におけるより多くのカラーが色域内にマッピングされる。
【0025】
有用なマッピング機能GTは、次のことを含む。
図7を参照して、所与の入力カラーについて、それの色相角度が得られる。次いで、入力カラーが、入力色相角度についての色相範囲内で色域表面上の最も近いポイントにマッピングされる。ここで、範囲は、0より大きく、90度より小さい。所与のポイントPは、色相角度Hと共に、ラインW−H1およびW−H2によって境される領域内で色域表面上の最も近いポイントにマッピングされる。
【0026】
図8を参照して、縮小色域が、所定スケール・ファクタだけ各表面ポイントのクロマを減らすことによって定められる。所与の入力カラーについて、色域マッピング・ベクトルが、縮小色域に対する最短距離として定められる。このベクトルによって与えられる方向において入力カラーをオリジナルの色域表面にマッピングする。
【0027】
図9を参照して、ポイントCは、入力カラーの色相平面内の最大クロマのポイントとして定められる。2つのライン、白からCまでのWC、黒からCまでのKCを引く。陰影付きの領域(たとえばP3)内のすべてのポイントがポイントCにマッピングされる。陰影付きの領域の外側にある、輝度がC(例えば、P1)の輝度よりも大きいすべてのポイントが、黒Kに向かう方向で表面にマッピングされる。陰影付き領域の外側にある、輝度がC(例えば,P1)の輝度より小さい全ポイントは、白Wに向かう方向において表面にマッピングされる。
【0028】
キーカラーを決定する様々な方法を使用することができる。1つの可能性のある方法としては、キーカラーを、前記隣接ピクセル・セットおよび前記目標ピクセルにおける任意のクラスタについての平均値として決定する方法がある。キーカラーは、また、ユーザにとって重要なものとしてマニュアルで識別してもよいし、ピクセル・ブロックの他の統計的分析を用いて識別してもよい。
【0029】
ここで再び図6を参照して、2つ以上のキーカラーを所与のピクセルにおいて識別する場合、キーカラーのマッピングを調整して、輝度関係が、ステップ(v)におけるように維持されるようにする必要があるかも知れない。たとえば、色域マッピング作業GTを適用する前後でキーカラー1、2の差ベクトル(L1−L2およびL1′−L2′)を決定することができる。これらの2つのベクトル間の差が或る種の閾値を上回る場合、GTを修正してこれらのカラーについての明度保存変換に近似させる。このステップは、キーカラーが色相においてかなり異なる場合には、不要であるかも知れない。たとえば、赤色隣接領域と緑色隣接領域との間の明度差が減少した場合、情報のかなりの部分が、非常に異なった色相を原因として保存される。しかしながら、非常に異なったオリジナルの輝度値を有するオレンジ色および黄色が出力において同じ輝度にマッピングされる場合、これらの領域の区別は失われることになる。それ故、この場合、マッピングされたキーカラーは、色域マッピング作業GTの前に輝度差に近似するように調整されなければならない。
【0030】
キーカラーの(vii)における距離加重平均は、多くの技術を使用して決定することができる。シェパード補間法が効果的であると証明されている。この場合、重みは、当該ピクセル・カラーとキーカラーとの間の距離に反比例する。より具体的には、所与のピクセル・カラーCjについて、Ci(i=1・・・K)をピクセルCjのN×M空間近傍におけるKキーカラーとし、Viをこれらのキーカラーについての対応する色域マッピング・ベクトルとする。三次元のカラー・スペースにおけるCj、Ci間のユークリッド距離をdjiとする。当該ピクセルについての色域マッピング・ベクトルViは、次のように算出される。
【数1】
Figure 0004491129
jiが所定の閾値Tより小さい場合、Vj=Viとする。djiがTより大きい場合、前記式によってVjを計算する。
なお、前記式において、
【数2】
Figure 0004491129
閾値Tは、djiが0に近づくにつれて、wjiの計算における特異点を避けるように適切に選ばれる。ここで、重み(wi)が1つにまとめるように標準化される点に注意されたい。
【0031】
同じ入力カラーがその隣接値に依存して異なった出力カラーにマッピングできることが、本発明の重要な特徴である。
【0032】
図3、4、10を参照して、そして、図3、4に示される問題(赤色および緑色の領域間に黄色ライン・アーティファクトがある)に注目して、黄色をその周囲のカラーにマッピングし、それは暗くして、緑色領域と比較して見えないままとすることが望ましい。どんなカラーに黄色ピクセルをマッピングするべきかを決定するために、N×Mウインドウが、赤色および緑色の領域上で途中に着座させ、これら2つの領域のカラーをキーカラーとして抽出する。図10に示すように、マッピング・ベクトルが、基本アルゴリズムGTでこれらのカラーについて決定される。そして、共により暗いカラーにマッピングすることが決定される。次いで、黄色カラーにこれらの2つのマッピング・ベクトルの加重平均を適用し、より暗いカラーにマッピングする。これは、図4におけるよりもかなり見えにくい。提案技術の利点は、黄色がその隣接値に基づいてマッピングされるということである。同じ黄色が画像における大きくて重要な領域であるときには、この黄色を比較的濃い黄色にマッピングすることは好ましくない。本発明は、この場合、淡い黄色を保存する。
【0033】
本発明の利点の別の例においては、図11、12を参照して、テクスチャ化カラー領域を考え、カラーの「クラウド」がカラー・スペースに現れているものとする。もしこのカラー・クラウドが色域表面の角隅又は縁の近くに生じた場合、標準の最接近ポイント・アルゴリズムを使用して、多くのカラーを1つカラーにマッピングしてもよい。図11は、この標準の色域マッピング・プロセスで得たマッピングを示している。これらのカラーのうち任意のカラーがべたカラー領域である場合、表面上の最も近いポイントが、おそらく、再生カラーについての優れた選択であろう。しかしながら、この場合、テクスチャは、この多色一色マッピングにより、完全に消われる。提案プロセスにおいて、クラスタ処理(ベース・マッピング画像上で行われる)は、1つのクラスタとして選ばれつつあるテクスチャード領域を生じさせる。このクラスタの平均は、出力スペースにマッピングされる。平均でないピクセルは、平均とのその関係を保存する方向においてマッピングされる。図12は、このカラー領域について得たマッピングを示している。
【0034】
別の例において、図1、2および13、14を参照して、CRTディスプレイを使用してグラフィック・デザイナーは、青色ボックス上に黒色テキストを置くように選択する。背景の輝度値は、図1に示すように、テキストのそれよりもかなり高い。プリンタは、モニタが作ることができる明るい飽和した青色を作ることができない。多くの伝統的なアルゴリズムは、図13に示すように、この青色をかなり濃い青色にマッピングする。今や、黒色テキストの輝度は、図2に示すように、背景に非常に近く、もはや読みやすくない。提案方法では、ベース・アルゴリズムを使用して、2つのキーカラー間の輝度関係が維持されていないことを、段階(vi)において、決定する。したがって、輝度・保存クロマ・クリッピングをこれらのピクセルについて使用し、青色を、図14に示すように、明るいけれども飽和していない青色にマッピングする。今や、黒色テキストが読みやすくなっている。青色の不飽和は、テキストが重要な情報であるから、許容できることであるが、べたの青色領域については、もっと飽和したカラーが好ましい(これは、アルゴリズムによって予測される)。ここに説明した技術は、ピクセルを独立してマッピングすることよりもむしろ、ローカル隣接値におけるカラーの関係を保存するようにカラーをマッピングするので、テキスト情報は維持される。
【0035】
これらの例は、オリジナル画像からの情報を保存するように伝統的な色域マッピングによって予測されるカラーを変えることが望ましい場合を示している。それぞれの場合、提案アルゴリズムによって選ばれる出力カラー(単数または複数)は、カラーがべたカラーの大きいエリアである場合、異なっていることになる。画像のカラー再生における要求は、オリジナルに最も近いカラーを再生することではなく、オリジナルの情報および意味内容を再生することである。この情報は、画像の空間的内容に大きく依存し、そして、ここで説明したアルゴリズムは、その再生されるカラーを予測し、オリジナルにおける情報を保存するようにピクセルのローカル隣接値を使用する1つ技術である。
【0036】
提案アルゴリズムは、JPEGおよびアンチエイリアシング・アーティファクトの多く減らすかまたは除去する。
【0037】
ここで、疑いもなく、本発明が、ハードウェア回路を介して、あるいは、ソフトウェアおよびハードウェアの或る種の組み合わせを介して、ディジタル・コンピュータまたはマイクロプロセッサを作動させるように上記の機能を達成するアプリケーション・ソフトウェアを介して達成され得ることができることは了解されよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 色域外処理によって生成したアーティファクトを示す図である。
【図2】 色域外処理によって生成したアーティファクトを示す図である。
【図3】 色域外処理によって生成したアーティファクトを示す図である。
【図4】 色域外処理によって生成したアーティファクトを示す図である。
【図5】 本発明が利点を見出した印刷システムを示す図である。
【図6】 本発明の第2実施例を示す図を挿入したフローチャートである。
【図7】 本発明で使用するのに適したピクセル単位色域マッピング技術を示す図である。
【図8】 本発明で使用するのに適したピクセル単位色域マッピング技術を示す図である。
【図9】 本発明で使用するのに適したピクセル単位色域マッピング技術を示す図である。
【図10】 図1、3に示す問題を含む種々の問題についての本発明の影響を示す図である。
【図11】 図1、3に示す問題を含む種々の問題についての本発明の影響を示す図である。
【図12】 図1、3に示す問題を含む種々の問題についての本発明の影響を示す図である。
【図13】 図1、3に示す問題を含む種々の問題についての本発明の影響を示す図である。
【図14】 図1、3に示す問題を含む種々の問題についての本発明の影響を示す図である。
【符号の説明】
10 オリジナル画像源
20 画像処理装置
24 色域マッピング機能部
30 プリンタ

Claims (6)

  1. 最初に適用されたものと異なる出力システム色域を有するシステムにおいて使用するに先立って、オリジナル・ドキュメントにおけるカラーを再マッピングする方法であって、
    画像の少なくとも一部を構成する互いに隣接する複数の隣接ピクセルのセットであって、目標ピクセルを含む隣接ピクセルのセットを記憶することと、
    前記隣接ピクセルセットを分析し、そこにおけるピクセルについて少なくとも1つのクラスタを決定することと、
    前記クラスタの各々について、少なくとも1つのクラスタ距離を決定することと、
    前記隣接ピクセルセットにおける各前記クラスタ内の少なくとも1つのキーカラーを決定することと、
    前記少なくとも1つのクラスタ距離を使用して、前記少なくとも1つのキーカラーを前記出力システム色域内のカラーにマッピングすることと、
    前記少なくとも1つの再マッピングされたキーカラーから、その変化を表す少なくとも1つのマッピング・ベクトルを決定することと、
    前記少なくとも1つのマッピング・ベクトルを使用して前記目標ピクセルを再マッピングすることと
    を包含することを特徴とする方法。
  2. 請求項1記載の方法において、前記隣接ピクセルセットおよび前記目標ピクセルにおける任意のクラスタについての平均値として前記少なくとも1つのキーを決定することを特徴とする方法。
  3. 請求項1記載の方法において、前記クラスタ距離測定値を使用して、前記キーカラーを前記出力システム色域の新しいキーカラーに再マッピングし、前記キーカラーを取り囲んでいる任意のクラスタが実質的に前記出力システム色域内に確実に含まれるようにすることを特徴とする方法。
  4. 請求項1記載の方法において、前記目標ピクセルを再マッピングするのに続いて、前記目標ピクセルを前記出力システム色域の境界と比較して、前記目標ピクセルが確実にその中にあるようにすることを特徴とする方法。
  5. 最初に適用されたものと異なる出力システム色域を有するシステムにおいて使用するに先立って、オリジナル・ドキュメントにおけるカラーを再マッピングする方法であって、
    画像の少なくとも一部を構成する互いに隣接する複数の隣接ピクセルのセットであって目標ピクセルを含む隣接ピクセルのセットを記憶することと、
    前記隣接ピクセルセットにおけるカラー・コンテキストを識別することと、
    前記隣接ピクセルのセットにおける少なくとも一つのキーカラーを決定し、
    前記カラー・コンテキストを使用し、前記少なくとも1つのキーカラーを前記出力システム色域内のカラーにマッピングすることと、
    前記再マッピングされたキーカラーから、前記目標ピクセルに適用する変化量を決定することと、
    前記変化量を使用して前記目標ピクセルを再マッピングすることと
    を包含することを特徴とする方法。
  6. 最初に適用されたものと異なる出力システム色域を有するシステムにおいて使用するのに先立って、オリジナル・ドキュメントにおけるカラーを再マッピングするための装置であって、
    入力色域のカラーを有するピクセルによって構成される画像を受け取る、画像入力装置と、
    入力色域構成ピクセルを出力システム色域構成ピクセルに再マッピングする色域再マッピング機能部を含む画像処理システムとを包含し、
    前記画像処理システムが、受け取った画像における各ピクセルについて、以下の手順をプログラムに従って実行する計算装置を包含しており、
    前記手順が、
    画像の少なくとも一部を構成する互いに隣接する複数の隣接ピクセルのセットであって目標ピクセルを含む隣接ピクセルのセットを記憶することと、
    前記隣接ピクセル・セットを分析し、その中のクラスタについて少なくとも1つのクラスタ距離を決定することと、
    前記セット内の少なくとも1つのキーカラーを決定することと、
    前記少なくとも1つのクラスタ距離を使用して、前記少なくとも1つのキーカラーを前記出力システム色域内部のカラーにマッピングすることと、
    前記再マッピングされたキーカラーから、その変化を表しているマッピング・ベクトルを決定することと、
    前記マッピング・ベクトルを使用して目標ピクセルを再マッピングすることと
    を包含しており、
    さらに、前記画像処理システムが、前記再マッピングされた目標ピクセルを、ディスプレイ、プリントまたは保存のための出力装置に役立てるドキュメント出力部を包含する
    ことを特徴とする装置。
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