本発明は、電波を送信または受信する機能を有する電子機器において、該電子機器の本体内部にアンテナを内蔵する場合に、前記アンテナを前記電子機器の本体内部に固定する構造、及び該構造を用いた電波修正時計に関する。
以下、図4と図5を用いて従来の技術を説明する。図4はアンテナの両端をネジで固定する場合を説明する組立分解図であり、図5は回路基板に接着剤でアンテナを固定する場合を示す説明図である。
図4において、電子機器の各種構成要素を固定して前記電子機器の骨格となる主要な部材である基台41は電波の送受信を妨げないために樹脂製であり、アンテナ43のコア部材431の両端を受ける凹部413、および414を設け、該凹部413および414の図中下方からブッシュ415および416を押し込む。
前記ブッシュ415および416は雄ねじ417および418と係合する雌ネジを有し、前記アンテナ43を固定するネジの固定力を確保するためのものである。
図4においては、すでに回路基板42が前記基台41に固定されており、図中上方より前記アンテナ43を前記基台41に組み込む。この時、前記コア部材431の両端と前記凹部413および414はゆるく係合して、前記アンテナ43の図中平面内の位置を規制する。
前記雄ねじ417および418はそれぞれ樹脂製のワッシャ435および436を介し、前記コア部材431の両端の穴433および434を通して前記ブッシュ415および416に締め付けて、前記アンテナ43を前記基台41に固定する。前記雄ねじ417および418は前記アンテナ43の図中鉛直方向への位置を規制し、前記ワッシャ435および436は前記雄ねじ417および418の締め付け力による前記コア部材431の破損を防止している。
上記に説明したアンテナをネジで固定する構造は、標準電波を受信して時刻を自動的に合わせる腕時計に用いられた例がある。(例えば非特許文献1参照)
図5において、アンテナ53はコア部材531の両端を接着剤523および524により回路基板52に接着して、前記アンテナ53を前記回路基板52に固定する。前記回路基板52を前記基台51に固定する事で前記アンテナ53の位置が規制される。
このように回路基板に直接アンテナを接着固定する構造は広く用いられている。(例えば特許文献2参照)
その他にアンテナを固定する構造として、回路基板の側方に配設したアンテナを2つの部材によって回路基板と同時に挟む構造も見られる。(例えば特許文献1参照)
実開平6−25792号公報(第2頁、第1図)
実開平6−25792号公報(第2頁、第6図)
"BestGear"徳間書店出版、第9巻第8号通巻95号、平成14年9月20日、p.132
しかしながら、図4に示したように前記アンテナ43をネジで固定する従来の構造では、電波を送信または受信するために重要な部位となる前記コア部材431の両端に、金属製の部材である前記雄ねじ417および418と前記ブッシュ415および416を配置するため、前記アンテナ43の性能に悪影響を及ぼす。
また、前記コア部材431の両端に前記穴433および434を設ける必要があり、これも前記アンテナ43の性能に悪影響を及ぼす要因になるとともに、前記コア部材431への穴加工も必要となる。また、アンテナ43の組み込み作業に於いて、ネジを強く締めすぎるとコア部材431が割れる可能性があり、アンテナの組み込み作業には細心の注意が必要となる。
図5に示したように前記アンテナ53を接着固定する従来の構造では、前記アンテナ53あるいは前記回路基板52のいずれかに故障が生じた場合に、前記アンテナ53と前記回路基板52の分解が非常に困難である。
また、アンテナを固定するために2つの部材で挟んだ例もあるが、アンテナを固定するための第2の部材を必要とする。
本発明の目的は、上記の、ねじによる固定はアンテナ性能に悪影響を及ぼし穴の加工も必要である課題、接着による固定では分解が困難である課題を解決し、特別な部品を追加せずに、アンテナを固定する構造を提供する事である。また更に、該アンテナを固定する構造を用いた電波修正時計を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明のアンテナを固定する構造は、
電波を送信または受信する機能を有する電子機器において、
該電子機器の本体内部に内蔵され、
磁性体材料によって成るコア部材と、
該コア部材の一部を覆う絶縁性部材と、
前記コア部材と前記絶縁性部材とを導線によって巻回した巻線部とを有し
前記絶縁性部材に第1の係合部を有するアンテナと、
前記電子機器の各種構成要素を固定して前記電子機器の骨格となる主要な部材であって、前記第1の係合部と係合する第2の係合部を有する基台と、を有し、
前記アンテナを前記基台に組み付け、前記第1の係合部と前記第2の係合部が係合することで、前記アンテナは基台に対して平面内の位置が規制され、
該平面に垂直な方向の位置の規制は、前記基台とは別部材である固定部材と前記基台との間に前記アンテナを挟むことで位置を規制するとともに、
前記絶縁性部材は表面から突出する略凸形状の支持部を備え、
前記固定部材は前記支持部を介して前記アンテナを前記基台と共に挟んで押圧し、
平面に垂直な方向の位置を規制することを特徴とする。
本発明のアンテナを固定する構造により、
アンテナの平面内の位置の規制は、基台とアンテナがアンテナの第1の係合部と基台の第2の係合部が係合することによって規制され、
アンテナの垂直方向の位置の規制は、基台と固定部材によってアンテナを挟むことで規制できるので、アンテナをネジ等で固定する必要が無く、アンテナの取り外しが容易で性能に優れ、且つ、アンテナの加工性が良くコストダウンを実現できる。
また、前記固定部材は電子回路が搭載される回路基板であり、該回路基板を前記基台に固定する際に該回路基板の一部と前記基台との間に前記アンテナの一部を挟むことで位置を規制することを特徴とする。
これにより、回路基板と基台によってアンテナを挟んで固定できるので、アンテナを固定するための別部材が不必要であり、部品点数が少なく組立性に優れ分解も容易で小型化
が可能なアンテナを固定する構造を提供できる。
また、前記回路基板が前記アンテナと平面的に重なる部位に、前記アンテナと前記回路基板上の前記電子回路とを電気的に接続する接続部材を配設する事を特徴とする。
これにより、回路基板とアンテナが平面的に重なる部位に接続部材を配設して電気的な接続が出来るので、接続が確実で、且つ、組立性に優れ分解も容易なアンテナを固定する構造を提供できる。
また、前記アンテナから離れた位置まで延長した導電部材で、前記アンテナと前記回路基板上の前記電子回路とを電気的に接続する事を特徴とする。
これにより、アンテナから離れた位置で電子回路と電気的に接続出来るので、アンテナと回路基板の電気的な接続位置に自由度が増し、各部品のレイアウトの制約が減り、レイアウトが最適化されたアンテナを固定する構造を提供できる。
また、前記アンテナから離れた位置まで延長した前記導電部材は、柔軟性を持つ材料で構成される事を特徴とする。
これにより、柔軟性を持つ導電部材でアンテナと電子回路を電気的に接続できるので、アンテナや回路基板を固定する基台の寸法誤差や組立誤差を吸収でき、また、衝撃にも強いアンテナを固定する構造を提供できる。
また、前記アンテナは、磁性体材料によって成るコア部材と、該コア部材の一部を覆う絶縁性部材と、前記コア部材と前記絶縁性部材とを導線によって巻回した巻線部とを有し、前記絶縁性部材は表面から突出する略凸部形状の支持部を備え、前記固定部材は前記支持部を介して前記アンテナを前記基台と共に挟んで押圧し、平面に垂直な方向の位置を規制することを特徴とする。
これにより、アンテナは支持部を介して固定部材と基台に挟まれて垂直方向の位置を規制できるので、アンテナをネジ等で固定する必要が無く、アンテナの取り外しが容易で性能に優れ、且つ、アンテナの加工性が良くコストの安いアンテナを固定する構造を提供できる。
また、前記絶縁性部材は、前記コア部材の片面、又は対となる両面を覆い、前記支持部は、前記絶縁性部材の少なくとも片面側に配設されることを特徴とする。
これにより、コア部材は絶縁性部材に覆われるので、該コア部材と前記巻線部が電気的に絶縁され、また、コア部材の耐衝撃性が向上する。
また、前記支持部は、弾性を有する樹脂材料によって成り、前記絶縁性部材と一体構造であることを特徴とする。
これにより、支持部は弾性を有するので、アンテナの耐衝撃性が向上し、また、アンテナ、基台、固定部材等の寸法誤差や組立誤差を吸収するアンテナを固定する構造を提供できる。
また、前記固定部材は、前記電子機器を覆う外装の一部であることを特徴とする。
これにより、アンテナを挟む固定部材は外装の一部であるので、アンテナを固定するた
めの別部材が不必要であり、部品点数が少なく組立性に優れ分解も容易で小型化が可能なアンテナを固定する構造を提供できる。
本発明の電波修正時計は前記アンテナを固定する構造を用いて、前記基台と前記固定部材によって前記アンテナを挟み固定することを特徴とする。
本発明の電波修正時計により、アンテナをネジ等で固定する必要が無いので、アンテナの取り外しが容易で性能に優れ、且つ、アンテナの加工性が良くコストダウンを実現できる。
また、前記電波修正時計の前記基台は地板であり、前記固定部材は前記地板に固定される回路基板であることを特徴とする。
これにより、地板と回路基板によってアンテナを挟んで固定できるので、アンテナを固定するための別部材が不必要であり、部品点数が少なく組立性に優れ分解も容易で小型化が可能な電波修正時計を提供できる。
また、前記電波修正時計の前記基台は地板であり、前記固定部材は外装の一部である裏蓋であることを特徴とする。
これにより、地板と裏蓋によってアンテナを挟んで固定できるので、アンテナを固定するための別部材が不必要であり、部品点数が少なく組立性に優れ分解も容易で衝撃に強い電波修正時計を提供できる。
上記のように本発明によれば、アンテナ性能に悪影響を与える事無く分解も容易で、アンテナを固定するための特別な部品を追加せず電子機器のサイズを小型化できるという効果のある、アンテナを固定する構造及びそれを用いた電波修正時計を提供できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。図1から図3および図6、図7は本発明の実施の形態に関わり、図1は本発明の一実施形態を示す説明図、図2は本発明によるアンテナ巻線と回路基板の電気的接続に関する説明図、図3は本発明によるアンテナ巻線と回路基板の電気的接続に関し、アンテナから離れた位置で電気的接続を行う場合の説明図、図6と図7は標準電波を受信して自動的に時刻を修正する電波修正時計に適用した本発明の一実施形態を示す説明図である。
図1を用いて本発明の実施例1としての一実施形態を説明する。図1において電子機器の各種構成要素を固定して前記電子機器の骨格となる主要な部材である基台1は電波の送受信を妨げない材料、例えば樹脂製であり、凹部12、13、および14を設ける。
アンテナ30をコア部材31と該コア部材31に巻かれた導線である巻線部32に大別する。
前記凹部13および14は前記コア部材31の両端にゆるく係合する形状および寸法であり、前記凹部12は、前記コア部材31の両端を前記凹部13および14に係合させた状態で前記巻線部32に接触しない形状および寸法である。
回路基板2は、該回路基板2が前記基台1に固定された時、前記コア部材31の両端部
と平面的に重なる突出部21および22を持つ。また、該突出部21および22は回路基板2が前記基台1に固定された時、それぞれ前記凹部13および14と平面的に重なる。
まず前記基台1に前記アンテナ30を取り付ける。前記コア部材31の両端をそれぞれ前記凹部13および14に係合させる事で、前記アンテナ30の図中水平方向の位置が規制される。
次に図中上方から前記回路基板2を前記基台1に図中表示していない既知の方法で水平方向および鉛直方向の位置を規制して固定する。この時前記突出部21および22が前記コア部材31の両端に対し図中上方から平面的に重なり合う事で前記アンテナ30の図中鉛直方向の位置を規制する。
前記アンテナ30は、前記凹部13および14と係合する事で図中水平方向の位置が規制され、前記基台1および前記回路基板2に挟まれる事で図中鉛直方向の位置が規制され、前記アンテナ30は前記基台1に固定される。
図2を用いて本発明の一実施形態を説明する。図2(a)が本発明によるアンテナ巻線と回路基板の電気的接続に関する説明図であり、図2(b)は図2(a)中のアンテナ230の構造を示す説明図である。
図2(b)において、前記アンテナ230はコア部材231に巻枠233を接着などの方法で固定し、該巻枠233の突出部235および236の間に導線を巻いて図2(b)中省略した巻線部232とする。
接続部材234は絶縁性の平面部材に金属箔等の電気導通部材で形成したパターン238と239を有する。該パターン238と239はそれぞれ、一方の端部が前記巻線部232の導線を接合する部分であり、もう一方の端部が後述する回路基板220と電気的接続をする部分である。
前記接続部材234の形状の一部と前記巻枠233の一端237は互いに係合する形状であり、該形状を一致させる事で前記接続部材234は前記アンテナ230に対して固定する。
図2(a)において電子機器の各種構成要素を固定して前記電子機器の骨格となる主要な部材である基台210は電波の送受信を妨げない材料、例えば樹脂製であり、凹部212、213、および214を設ける。
前記凹部213および214は前記コア部材231の両端にゆるく係合する形状および寸法であり、前記凹部212は、前記コア部材231の両端を前記凹部213および214に係合させた状態で前記巻線部232に接触しない形状および寸法である。
回路基板220は、該回路基板220が前記基台210に固定された時、前記コア部材231の両端部と平面的に重なる突出部221および222を持つ。また、該突出部221および222は回路基板220が前記基台210に固定された時、それぞれ前記凹部213および214と平面的に重なる。さらに図中は隠れて見えないが、前記突出部222の図中下方の面には前記パターン238と239の一部と平面的に重なる回路パターンが設けられている。
前記基台210に前記アンテナ230を取り付ける。前記コア部材231の両端をそれぞれ前記凹部213および214に係合させる事で、前記アンテナ230の水平方向の位
置が規制される。
次に図中上方から前記回路基板220を前記基台210に図中表示していない既知の方法で水平方向および鉛直方向の位置を規制して固定する。この時前記突出部221および222が前記コア部材231の両端に対し図中上方から平面的に重なり合う事で前記アンテナ230の図中鉛直方向の位置を規制する。
また、前記突出部222の下方の面に設けられた前記回路パターンが前記接続部材234に設けた前記パターン238と239と接して前記回路基板220に設けた電子回路(図示せず)と前記アンテナ巻線部232の導線とが電気的に接続する。
図3を用いて本発明の一実施形態を説明する。アンテナ330はコア部材331、巻き枠333、巻線部332、導電部材334より構成され、前述の図2(b)を用いて説明した前記アンテナ230と同様の構造であって、前記導電部材334の形状が前記接続部材234と異なるのみである。
前記導電部材334は図中右奥の方向に延長した部分があり、該延長部分の先端近傍に固定穴340を設ける。また、前記導電部材334の有する金属箔等の電気導通部材で形成したパターン338と339も前記固定穴340の近傍まで延長されている。
図3において電子機器の各種構成要素を固定して前記電子機器の骨格となる主要な部材である基台310は電波の送受信を妨げない材料、例えば樹脂製であり、凹部312、313、314、315およびブッシュ穴316を設ける。
前記凹部313および314は前記アンテナ330のコア部材331の両端にゆるく係合する形状および寸法であり、前記凹部312は、前記コア部材331の両端を前記凹部313および314に係合させた状態で前記アンテナ330の巻線部332に接触しない形状および寸法である。
また、前記凹部315は、前記コア部材331の両端を前記凹部313および314に係合させた状態で前記導電部材334の延長部に接触しない形状および寸法である。
前記ブッシュ穴316は固定穴340と同軸であり、該ブッシュ穴316は図中下方よりブッシュ317を取り付ける。
回路基板320は、該回路基板320が前記基台310に固定された時、前記コア部材331の両端部と平面的に重なる突出部321および322を持つ。また、該突出部321および322は回路基板320が前記基台310に固定された時、それぞれ前記凹部313および314と平面的に重なる。
前記回路基板320は前記固定穴340と同軸の位置にネジ穴323を有し、図中は隠れて見えないが、前記回路基板320の図中下方の面で前記ネジ穴323の周辺には前記パターン338と339の一部と平面的に重なる回路パターンが設けられている。
前記基台310に前記アンテナ330を取り付ける。前記コア部材331の両端をそれぞれ前記凹部313および314に係合させる事で、前記アンテナ330の図中水平方向の位置が規制される。
次に図中上方から前記回路基板320を前記基台310に図中表示していない既知の方法で水平方向および鉛直方向の位置を規制して固定する。この時前記突出部321および
322が前記コア部材331の両端に対し図中上方から平面的に重なり合う事で前記アンテナ330の図中鉛直方向の位置を規制する。
この時、前記ネジ穴323の下方の面に設けられた前記回路パターンが前記導電部材334に設けた前記パターン338および339と接して前記回路基板320に設けた電子回路(図示せず)と前記巻線部332の導線とが電気的に接続する。
さらに、上述の前記回路基板320に設けた電子回路と前記巻線部332との電気的な接続を確実にするために、ワッシャ318を介してネジ319をブッシュ317に締結する。該ネジ319の締結力によって前記ネジ穴323の下方の面に設けられた前記回路パターンが前記導電部材334に設けた前記パターン338および339との接触部に十分な接触圧を確保できる。
また、前記導電部材334を柔軟性のある素材で構成すれば、前記導電部材334自身のたわみによって、前記アンテナ330に前記導電部材334を取り付ける面の高さと前記アンテナ330を挟む前記回路基板320の下方の面との高の差や、前記アンテナ330や前記基台310等の寸法誤差や組立誤差を吸収できるとともに、前記電子機器が受ける衝撃によって発生する前記アンテナ330と前記基台との相対的な位置の変化も吸収でき、前記アンテナ330や前記導電部材334自身の損傷を防ぐ事ができる。このような柔軟性のある素材はポリイミド樹脂製のフレキシブル回路基板として広く知られている。
前記ネジ319や前記ブッシュ317が金属製の部材であっても、前記アンテナ330からは十分に離れた位置に配設できるため、前記アンテナ330の性能への悪影響は無視できる。
次に、実施例2として本発明のアンテナを固定する構造を用いた本発明の電波修正時計を図6と図7に基づいて説明する。図6は電波修正時計に本発明を適用した一実施形態に関し、アンテナを固定する方法を説明するための分解組立図であり、図7は図6の図中下方から見た場合を示す。図6と図7では本発明に関わる部分を明確にするために、説明に不要な部分は省略した。
アンテナ630は構成要素として、コア部材631、巻線部632、巻枠633、導電部材634を有し、前記コア部材631と密着した前記巻枠633の突出部635と636の間に導線を巻いて巻線部632とする。
前記巻枠633の図中下方への円柱形の突起641および642は前記アンテナ630全体の水平方向の位置を固定するための突起である。
前記巻枠633の図中右側の端部に配設した円柱状の突起637aと三角柱状の突起637bは前記導電部材634の位置を固定するための突起で、該導電部材634は前記2つの突起に係合する部分を有する。
前記導電部材634は図中右後方に延長した部分があり、該延長部分の先端近傍に固定穴640を設ける。前記導電部材634はポリイミド製のフレキシブル回路基板で作られており、前記導電部材634がたわむ事によって、該導電部材634が前記アンテナ630に取り付けられている面と後述する回路基板との接触面との段差や、前記アンテナ630や前記基台610の組立誤差や寸法誤差を吸収し、前記電波修正時計の受ける衝撃で発生する前記基台610と前記アンテナ630との相対的な位置の変化を吸収して前記導電部材634自身や前記アンテナ630の損傷を防ぐ。
また、前記導電部材634は巻線部632を構成するアンテナ巻線と回路基板620上に構成される電子回路(図示せず)とを接続するために、金属箔等の導電部材で形成したパターン638と639を有し、該パターン638と639は前記巻線部632の近傍から、前記固定穴640の近傍を繋いでいる。
略円板状の基台610は前記アンテナ630や回路基板620の他、前記電波修正時計を構成する各種の部品が組み付けられる主要な部材である。なお基台610は電波修正時計では地板である場合が多い。図中後方の約2/3は本発明と関係の無い部分のため省略した。
前記基台610はブッシュ穴616を有し、また前記基台610の前記アンテナ630が組み込まれる部分は、概略前記アンテナ630の形状にくり抜かれており、さらに前記巻線部632を避けるために凹部612がくり抜かれている。該凹部612は一部が裏側まで貫通している。
前記基台610に略円形の穴613および614を設ける。該穴613および614は前記アンテナ630の下方に突出した前記突起641および642にそれぞれ係合する。前記穴613および614は内面に互いに平行な平面部を有し、該平面部は前記突起641および642に対して位置精度を保ちながらゆるく係合するために設け、これは広く用いられている既知の方法である。
標準電波を受信して時刻を自動的に修正する電波修正時計を実現するための電子回路を構成する前記回路基板620は略円板状であるが、図中手前側は前記アンテナ630と干渉しない形状をしており、突出部621および622は前記アンテナ630の両端の一部と平面的に重なる形状である。
前記回路基板620はネジ穴623を有する。また前記回路基板620の図中後方の約2/3は本発明に関係の無い部分のため省略した。
本実施の形態による前記アンテナの固定について説明する。前記アンテナ630を前記基台610に組み付ける。この時前記アンテナ630の突起641および642がそれぞれ前記穴613および614に係合して、前記アンテナ630の図中水平方向の位置を規制する。
次に前記回路基板620を図中上方より前記基台610に組み付ける。前記回路基板620はネジ止め等既知の方法で前記基台610に固定されるものとする。この時前記回路基板620の前記突出部621および622が前記アンテナ630の両端の一部と平面的に重なり、該アンテナ630は前記回路基板620と前記基台610とに挟まれて図中垂直方向の位置を規制される。
前記導電部材634の図中右後方に延長した部分にある固定穴640と同心上に前記ブッシュ穴616および前記ネジ穴623を配設する。前記ブッシュ穴616は図中下方よりブッシュ617が取り付けられ、図中上方よりネジ619がワッシャ618を介して前記ネジ穴623と前記固定穴640を貫通して前記ブッシュ617に係合し締結する。
図中省略したが、前記回路基板620の前記パターン638および639と平面的に重なる位置に設けた回路パターンと、前記パターン638および639とが重なりあって接触する事で両者が電気的に接続し、さらに前記ネジ619の締結力によって接触圧を確保する事で両者の電気的な接続を確実なものにする。
前記ブッシュ617やネジ619は金属製であるが前記アンテナ630の両端からは十分に離れているため、該アンテナ630のアンテナ性能に与える影響は無視できる。また前記アンテナ630を固定するための特別な部品を使用しないため、部品点数を増やさずサイズも小さくできる。
特に、標準電波を受信して時刻を自動的に修正する電波修正時計では、寸法上の制約が大きく、微弱な電波を限られた電力で受信しなければならないため、本発明を適用して得られる、アンテナ性能に悪影響を与えず小型化できるという効果の果たす役割は大きい。
次に、実施例3として本発明のアンテナを固定する構造を用いた電波修正時計の一実施形態を図8〜図12に基づいて説明する。図8は本発明のアンテナの斜視図であり、図8(a)は導線を巻回する前のアンテナの斜視図であり、図8(b)は導線を巻回して巻線部を形成したアンテナの完成斜視図であり、図8(c)は断面線Aによるアンテナの部分断面図である。図9は本発明の電波修正時計と送信システムの概念図である。図10は本発明のアンテナを固定する構造を用いた電波修正時計の裏面分解図である。図11は図10の断面線Cによる本発明のアンテナを固定する構造を用いた電波修正時計の部分断面図である。図12は本発明のアンテナを固定する構造を用いた電波修正時計の回路ブロック図である。
まず、本発明の電波修正時計に組み込まれるアンテナの構造について説明する。図8(a)と図8(b)に於いて、70は標準電波を受信するアンテナである。71は磁性体材料によってなるコア部材であり、両端部が大きく中央がくびれた略円弧形状をしている。72は樹脂材料によって成る絶縁性部材としての上ハウジングであり、コア部材71に接着剤等(図示せず)によって固着され、コア部材71の略上面半分を覆う。72aは上巻枠であり、上ハウジング72の一部であって、前記コア部材71の中央のくびれた部分の略上面半分を覆う。73は樹脂材料によって成る絶縁性部材としての下ハウジングであり、コア部材71に接着剤等(図示せず)によって固着され、コア部材71の略下面半分を覆う。73aは下巻枠であり、下ハウジング73の一部であって、前記コア部材71の中央のくびれた部分の略下面半分を覆う。すなわち、上ハウジング72と下ハウジング73はコア部材71の対となる上下の両面を覆う。
72bと72cは略凸形状の支持部であり、上ハウジング72の両端上面に突出して1つずつ配設される。74は巻線部であり、前記コア部材71と該コア部材71を覆う上巻枠72aと下巻枠73aに導線を巻回して形成される。尚、上巻枠72aと下巻枠73aは、コア部材71と巻線部74を電気的に絶縁する機能を有している。75はアンテナ基板であり、図示しないが下ハウジング73の一部に固着され、後述する同調ICや外部と電気的に接続するための外部接続電極等を有している。また、前記巻線部74の両端子は、図示しないがアンテナ基板75に半田等によって電気的に接続される。
図8(c)は図8(b)で示す断面線Aによる支持部72bの断面図である。図示するように、支持部72bは上ハウジング72と一体成形されており、上ハウジング72の表面から突出した略凸形状を有している。また、該支持部72bは弾性を有する樹脂材料で形成されており、且つ、該支持部72bの真下に空隙(=たわみ代)を有しているので、矢印Bで示す上下方向に弾性を有する。また、支持部72cも支持部72bと同一の形態である。尚、アンテナ70は図8で示した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更できる。例えば、同調IC等(図示せず)を実装したアンテナ基板75は削除し、アンテナ基板75の機能は後述する電波修正時計の回路基板側に配置しても良い。また、コア部材71の下面を覆う下ハウジング73は、コア部材71と
巻線部74との絶縁を別手段で行えば無くても良い。
次に、前記アンテナ70を組み込んだ電波修正時計と送信システムの概念を図9に基づいて説明する。図9に於いて、80は本発明のアンテナを固定する構造を用いたアナログ表示方式の電波修正時計である。81は金属等によって成る外装であり、82は時刻等を表示する表示部であり、秒針82a、分針82b、時針82c、及び日付を表示する日付表示部82dによって構成される。70は図8で示した標準電波を受信するアンテナであり、外装81の内部の12時方向に配置されているが、この位置に限定されるものではなく、例えば9時方向に配置されてもよい。83aは入力手段の一部に相当する時刻や日付を修正するリューズであり、図示しないが複数の電気的なスイッチと連動している。83bと83cは入力手段の一部に相当する操作ボタンであり、図示しないがそれぞれ電気的なスイッチと連動している。84は使用者(図示せず)の腕に装着するためのバンドである。
85は標準時である時刻情報を含む標準電波を送信する送信局である。85aは標準電波を送信する送信アンテナであり、85bは標準時を高精度で計時する原子時計である。85cは送信アンテナ85aから送信される時刻情報としての標準時を搬送する標準電波である。標準電波85cは通常数十KHzの長波によってなり、半径900Km程度の範囲で受信することが出来る。尚、標準電波85cの送信周波数や時刻情報フォーマットは、各国又は各地域の送信局でそれぞれ個別に設定されている。
ここで、電波修正時計80で標準電波85cを受信するには、好ましくは電波修正時計80のアンテナ70が配置されている位置を、送信局85がある方向に向け、受信開始ボタン(例えば操作ボタン83c)を押下する。これにより、電波修正時計80は受信動作を開始し、標準電波85cを受信する。次に電波修正時計80は標準電波85cの時刻情報フォーマットに対応する解読アルゴリズムを用いて解読し、秒分時や日付等の時刻情報と必要に応じて閏年やサマータイムの有無データ等を取得し、取得した時刻情報を計時して表示部82によって時刻情報や日付を表示する。尚、標準電波の受信は深夜などのノイズが少なく受信環境の良い時刻に定期的に実行させることが好ましい。
次に、図9で示した本発明の電波修正時計80の内部構造を図10に基づいて説明する。図10は電波修正時計80を外装81から取り出し、説明の便宜上、電池や電池支持枠等を取り外して、アンテナ70の組み込み状態を裏側から示した電波修正時計80の分解図である。図10に於いて、86は基台としての地板であり、該地板86は各部品を組み付けて電波修正時計80の骨格として機能する。87は各電子部品を実装する回路基板であり、前記地板86に図示しないがネジによって固着される。87aは秒分モータであり、秒針82a(図9参照)と分針82b(図9参照)を駆動し、87bは時日モータであり、時針82c(図9参照)と日付表示部82d(図9参照)を駆動する。
尚、実際には、秒分モータ87aの巻線部分と時日モータ87bの巻線部分だけが、回路基板87より露出しているが、ここでは説明の便宜上、秒分モータ87a,時日モータ87bの全体を表示している。87c、87dは、それぞれ標準電波受信用の水晶振動子であり、回路基板87の上面に実装される。87eは時計用の水晶振動子であり、回路基板87の裏面に実装される。87fは受信ICであり、回路基板87の裏面に実装され、前記水晶振動子87c、87dが接続される。87gは電波修正時計80の全体を制御し、時刻修正を行う制御手段としてのマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略記)であり、回路基板87の裏面に実装される。
地板86は詳細は後述するが、アンテナ70と係合する凹部を有し、アンテナ70の平面内の位置が規制される。アンテナ70のアンテナ基板75は図示する如く回路基板87
の一部と部分的に重なって配置され、回路基板止め穴88によってネジ(図示せず)を用いて回路基板87と共に地板86にネジ止めし固着される。ここで、アンテナ基板75の裏面の回路基板止め穴88周辺には、接続部材としての外部接続電極75a〜75eが形成され、該外部接続電極75a〜75eの位置に対応して、回路基板87の上面には受信接続電極(図示せず)が形成されている。この結果、アンテナ基板75をネジ(図示せず)によって回路基板87と共に地板86に固着させると、回路基板87はアンテナ基板75と地板86の間に挟まれるので、回路基板87に形成されている前記受信接続電極(図示せず)とアンテナ基板75に形成されている外部接続電極75a〜75eはネジの締結力によって密着し電気的に接続される。
これにより、回路基板87とアンテナ70は電気的に結合して一体化され、アンテナ70で受信した標準電波の受信信号(後述)を回路基板87に伝達することが出来る。また、前述したリューズ83aは、図示しないが複数のスイッチと連動し、使用者が回転することによって時刻修正等の操作を行うことが出来る。また、回路基板87の下面には、秒分モータ87aと時日モータ87bの回転力を秒針82a、分針82b、時針82c等に伝達する輪列機構が配置されているが、本発明に直接関与しない為省略する。また、回路基板87には、様々な導電パターンが形成され、コンデンサ等、複数の電子部品が実装されているが、これらについても省略する。
次に、図10で示した断面線Cによる部分断面図である図11に基づいて、本発明のアンテナを固定する構造を用いた電波修正時計の構造を詳細に説明する。尚、図10では外装81は省略してあるが、図11では外装81の構造を含めて説明する。81aは電波修正時計80を覆う外装81の一部を成す固定部材としての裏蓋であり、Oリング81bを介して外装81と係合しはめ込まれる。81cは透明なガラスであり、外装81にはめ込まれ、表示部82を機械的に保護する。尚、表示部82は図示しないが前述した秒針、分針、時針、日付表示部等を有する。81dは見返しリングであり、ガラス81cの内側円周に配置される。81eは文字盤であり表示部82の後方に配置され、外装81の内側円周に配設されている外装突起部81fによって固定される。尚、電波修正時計80が後述するソーラセルを有する場合は、一般的に文字盤81eの後方に配置されるが、ここでは省略する。
電波修正時計80の骨格となる地板86は、前記文字盤81eの裏面と密着して配置される。また該地板86は、前記裏蓋81aの裏蓋先端部81gと密着される。この結果、地板86は文字盤81eを介して外装突起部81fと裏蓋先端部81gに挟まれて外装81に対して固定される。また、該地板86はアンテナ70と係合するために係合する部位としての凹部86aを有し、アンテナ70は該凹部86aに組み付けられることで地板86に対して平面内の位置が規制される。
また、該アンテナ70の下ハウジング73は下面にハウジング凸部73bを有し、該ハウジング凸部73bと係合するように地板86の凹部86aは底面に係合穴86bを有し、該ハウジング凸部73bと係合穴86bが係合することによって、アンテナ70の平面内の位置を更に精度良く規制することが出来る。また、逆に、凹部86aの底面からボスを出し、このボスと係合するために下ハウジング73の下面に係合穴を開け、地板86に対する平面内の位置を精度良く規制しても良い。但し、凹部86aによる平面内の位置の規制で十分である場合は、係合穴86bやハウジング凸部73bは必要なく、凹部86aの底面や下ハウジング73の下面は平面で良い。
アンテナ70の上面には前述した上ハウジング72が配設され、該上ハウジング72は、略凸形状の支持部72cを有している。ここで、支持部72cの先端は図示する如く裏蓋81aの下面と密着し、支持部72cは弾性を有しているので、裏蓋81aに押されて
わずかにたわんでいる。この結果、アンテナ70は、弾性を有する支持部72cを介して裏蓋81aと地板86の間に挟まれて押圧され、垂直方向の位置が規制される。尚、図示しないが他の支持部72bについても同様に裏蓋81aと密着し、アンテナ70の垂直方向の位置を規制する。また、回路基板87は地板86の上面に配設され、図示しないがネジ等で固着される。
以上のように、実施例3で示した本発明のアンテナを固定する構造によれば、アンテナ70は該アンテナ70と係合する部位である地板86の凹部86aに組み付けられることで平面内の位置が規制され、また、支持部72b、72cを介して裏蓋81aと地板86の間に挟まれて、垂直方向の位置が規制される。この結果、アンテナ70は、裏蓋81aが外装81にはめ込まれることよって自動的に電波修正時計80の内部に固定されるので、固定するための部品が不必要であり、部品点数が削減されコストダウンが可能となる。また、アンテナ70は、裏蓋81aを外装81から外し、前記回路基板止め穴88のネジを1つ外すだけで、電波修正時計80から取り外すことが出来る。この結果、アンテナ70の組み込み取り外し作業が非常に簡単に出来るので、組立工数の削減やアフターサービスでの迅速化等に大きな効果がある。
また、アンテナ70は、弾性を有する支持部72b、72cを介して裏蓋81aに密着しているので、電波修正時計80に落下等の原因によって衝撃が加わったとき、支持部72b、72cの弾性特性によって衝撃力が吸収され、アンテナ70を強い衝撃から守るので、耐衝撃性を向上させることが出来る。尚、本実施例では支持部72b、72cは、上ハウジング72だけに配設されているが、更に耐衝撃性を向上させるためにアンテナ70の下面、すなわち、下ハウジング73にも同様な弾性を有する支持部を配設しても良い。
また、従来では前述した如く、アンテナを固定するためにコア部材の両端に固定用の貫通穴の加工が必要であったが、この穴加工が不必要となりアンテナのコストダウンを実現できた。また更に、この貫通穴はコア部材の磁気特性を低下させアンテナ性能に悪影響を及ぼしていたが、本発明では固定用の貫通穴が不要であるので、アンテナの高性能化を実現出来る。
また、従来では前述した如く、金属製の部材であるネジによってアンテナを地板等に固定したために、この金属製のネジがアンテナの性能に悪影響を及ぼしていたが、本発明ではネジが不要であるので、アンテナの高性能化を更に向上させることが可能となる。尚、本実施例に於いて、アンテナ70を挟み込む固定部材として裏蓋81aを用いたが、固定部材は裏蓋に限定されるものではなく、例えば、裏蓋81aとアンテナ70の間に別部材を設け、該別部材によってアンテナ70を地板86と共に挟み込み固定しても良い。また、該別部材は、実施例2で示したように回路基板であっても良い。また、固定部材としての裏蓋81aは強度の面から金属材料が好ましいが、アンテナの感度特性を向上させるために、高分子樹脂材料等、非金属材料を用いても良い。
次に、図12に基づいてアンテナ70を組み込んだ本発明の電波修正時計80の回路構成の概略を説明する。図12に於いて、破線で大きく囲ったブロックが図10で示した回路基板87の回路構成であり、同じく破線で小さく囲ったブロックが電波修正時計80に組み込まれるアンテナ70の回路構成である。アンテナ70は、外部接続電極75a〜75eによって回路基板87と電気的に接続され、例えば、外部接続電極75aによってプラス電源Vddを入力し、外部接続電極75bによって制御信号P1を入力し、外部接続電極75cによってイネーブル信号P2を入力し、外部接続電極75dによって受信信号P3を出力し、更に、外部接続電極75eによってマイナス電源Vssを入力する。
次に、アンテナ70の回路構成の概略を説明する。巻線部74の一方の端子は前記外部
接続電極75dに接続されて受信信号P3となり、他方の端子はマイナス電源Vssに接続される。75fは同調ICであり、制御信号P1とイネーブル信号P2を入力して内蔵する複数のコンデンサ(図示せず)を切り替える。75gと75hは外付けのコンデンサであり、コンデンサ75gは同調IC75fによって切り替えられ、コンデンサ75hは巻線部74に並列接続される。この結果、巻線部74と外付けのコンデンサ75g、75h及び同調IC75fに内蔵される複数のコンデンサによって、標準電波を受信するための同調回路が形成される。
次に、回路基板87の回路構成の概略を説明する。受信IC87fは図示しないが内部に増幅回路、フィルタ回路、デコード回路等を有し、受信信号P3を入力して、デジタル信号に変換された復調信号P4を出力する。水晶振動子87c、87dは受信IC87fにそれぞれ接続され、標準電波を選択的に受信するためのフィルタ素子として機能する。例えば、電波修正時計80が日本国内用に出荷される場合は、福島局の40KHzと九州局の60KHzに等しい固有振動数を有する水晶振動子を接続すれば良い。また、受信IC87fには、電源としてプラス電源Vddとマイナス電源Vssが接続される。
制御手段としてのマイコン87gは図示しないが、発信回路、演算回路、制御回路、モータ駆動回路等を内蔵し、復調信号P4を入力して駆動信号P6を出力する。90はソーラセルであり、外部から光を入力して発電しソーラ電源P5をマイコン87gに供給する。91は二次電池であり、ソーラセル90からの電力を充電し、プラス電源Vddとマイナス電源Vssをマイコン87gと、他のIC等に供給する。時計用の水晶振動子87eは、マイコン87gに接続されて基準信号を発生する。また、マイコン87gは制御信号P1とイネーブル信号P2を出力し、アンテナ70に入力する。表示部82は、図9で示した秒針82a、分針82b、時針82c、日付表示部82d等を備え、マイコン87gより駆動信号P6を入力して図10で示した秒分モータ87a、時日モータ87bによって駆動される。
次に、電波修正時計80の動作を説明する。図12に於いて、ソーラセル90又は二次電池91によってプラス電源Vddとマイナス電源Vss間に一定の電圧が供給されると、マイコン87gは初期化処理を実行して各回路ブロックを初期化する。この結果、マイコン87gの内部の時刻情報は初期化されてAM00:00:00となり、この初期化された時刻情報に基づいて駆動信号P6が出力され、表示部82の秒針82a、分針82b、時針82cは基準位置であるAM00:00:00に移動し、また、日付表示部82dも基準位置に移動する。
次に、マイコン87gは水晶振動子87eによって得る基準信号を内部で分周して時刻情報の計時を開始し、該時刻情報に基づいて駆動信号P6を出力して表示部82を継続的に駆動する。また、マイコン87gは、外部からの使用者の操作や一定時間毎のタイマー等によって時刻修正モードに移行し、標準電波を受信して表示時刻の自動修正を実行する。
以降、時刻修正モードの動作を説明する。電波修正時計80が使用者の操作やタイマー等によって時刻修正モードに移行すると、マイコン87gは、制御信号P1とイネーブル信号P2をアンテナ70に対して出力する。アンテナ70の同調IC75fは入力された制御信号P1とイネーブル信号P2に従い、内蔵するメモリ回路(図示せず)に予め記憶されている同調データを読み出し、内蔵する複数のコンデンサ(図示せず)と外付けコンデンサ75gを切り替える。この結果、同調回路の同調周波数が可変され、目的の標準電波を選択的に受信することが出来る。
次に、目的の標準電波が受信されると同調IC75fは受信信号P3を出力し、回路基
板87の受信IC87fに入力する。受信IC87fは受信信号P3を入力して増幅し、水晶振動子87c、87dによるフィルタ回路によってノイズ成分等を除去し、更にデコード回路(図示せず)によってデジタル信号に変換し、復調信号P4を出力する。次に、復調信号P4を入力したマイコン87gは、内部に記憶している解読アルゴリズムを用いて復調信号P4を解読し、時分秒日付等の標準時情報を得てマイコン87gの内部に記憶している時刻情報を修正し記憶する。次にマイコン87gは標準時に修正された時刻情報に基づいて駆動信号P6を出力し、表示部82は該駆動信号P6を入力して表示時刻を正しく修正する。
尚、本発明の電波修正時計は図12で示す回路構成に限定されるものではなく、例えば、制御手段としてのマイコン87gを用いずに、それぞれの制御をハードウエアで実現しても良い。また、ソーラセル90によって二次電池91に充電する電源システムを採用しているが、この構成にも限定されず、ソーラセル90を用いずに電池を1次電池としても良い。また、表示部82はアナログ方式の表示部としたが、これにも限定されず、デジタル方式の表示部、または、アナログとデジタルの混合型の表示部でも良い。また、本発明のアンテナを固定する構造は電波修正時計に限定されるものではなく、電波を受信又は送信するさまざまな電子機器に組み込むことが可能であり、その応用範囲はたいへん広い。
本発明の一実施の形態を示し、回路基板2の一部と基台1との間にアンテナ30の一部を挟む事でアンテナ30を固定する構造を示す説明図である。
本発明の一実施の形態を示し、アンテナ230およびその周辺の部材である基台210、回路基板220の構造を示す説明図である。
本発明の一実施の形態を示し図2(a)のアンテナ230部分の拡大図であり、該アンテナ230と回路基板220との接続をとる接続部材234を配設した構造を示す説明図である。
本発明の一実施の形態を示し、アンテナ3から延長した接続部材334によりアンテナから離れた位置で電子回路と接続する構造を示す説明図である。
従来の技術によるアンテナを固定する構造を示し、アンテナをネジで固定する場合を示す説明図である。
従来の記述によるアンテナを固定する構造を示し、アンテナを接着剤で固定する場合を示す説明図である。
標準電波を受信して時刻を自動的に修正する電波修正時計に本発明を適用した構造を示す説明図で上方から見た場合を示す。
標準電波を受信して時刻を自動的に修正する電波修正時計に本発明を適用した構造を示す説明図で下方から見た場合を示す。
導線を巻回する前の本発明のアンテナの斜視図である。
導線を巻回して巻線部を形成した本発明のアンテナの完成斜視図である。
断面線Aによる本発明のアンテナの部分断面図である。
本発明の電波修正時計と送信システムの概念図である。
本発明のアンテナを固定する構造を用いた電波修正時計の裏面分解図である。
本発明のアンテナを固定する構造を用いた電波修正時計の部分断面図である。
本発明のアンテナを固定する構造を用いた電波修正時計の回路ブロック図である。
符号の説明
1 基台
2、87 回路基板
30、70 アンテナ
31、71 コア部材
32、74 巻線部
72 上ハウジング
72b、72c 支持部
73 下ハウジング
80 電波修正時計
81 外装
81a 裏蓋
82 表示部
86 地板