JP4489362B2 - 不揮発性記憶素子、不揮発性記憶回路、不揮発性記憶カードおよび記録再生装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不揮発性記憶素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の不揮発性記憶素子として、図26に示すような、導電体パターン100の一部のパターン幅を狭くした切断部101を有するヒューズ素子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図26に示すヒューズ素子は、一様な膜厚を有する導電体パターン100と切断部101とを有しており、記録情報に対応して、導電体パターン100よりも狭い幅を有する切断部101の両端に電位差を形成し、切断部101を溶断することが可能な電流Iを流すことにより、情報の記録が行われる。また、切断部101の導通の有無を確認することにより、情報の再生が行われる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−197884号公報 (2002年7月12日公開)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の構成では、以下に記す要因により、個々の不揮発性記憶素子(ヒューズ素子)の寸法が大きくなり、単位面積あたりに形成し得る素子数が制限されるため、記憶容量が小さくなるという問題を有している。
【0006】
第1の理由としては、導電体パターン100において、正極性の電圧を印加する部分と負極性の電圧を印加する部分とが2次元的な広がりを持つからである。
【0007】
第2の理由としては、導電体パターン100がパターニングし得る最小線幅より広くなるからである。
【0008】
例えば、図26に示すヒューズ素子においては、該素子が平面的に設けられているため、導電体パターン100の膜厚と切断部101の膜厚とが等しくなっている。ここで、導電体パターン100の溶断を発生させず、切断部101のみで溶断を発生させるためには、切断部101の幅を導電体パターン100の幅よりも狭くして、切断部101における電気抵抗を高くすることが必要である。その結果、切断部101のみの温度が上昇し、導電体パターン100において溶断が発生せず、切断部101のみを溶断することが可能となる。
【0009】
ところで、導電体等のパターン寸法に関して実現可能な最小線幅は、パターニングプロセスにより決定されるものであり、パターニング装置の能力にもよるが、0.1μmから5μm程度の最小線幅を実現することが可能である。
【0010】
ここで、図26に示すヒューズ素子においては、切断部101の幅を最小線幅より狭くすることはできないので、この最小線幅を切断部101のパターン幅に決めることが必要となる。一方、導電体パターン100の幅は、電流Iが流れた際に、導電体パターン100の溶断が発生しないように、切断部101の幅よりも広い幅であることが必要である。従って、ヒューズ素子の配線である導電体パターン100の幅が、パターニングプロセスにより形成可能な最小線幅より広くせざるを得ないために、記憶容量の増大が阻害されることになる。
【0011】
また、図26に示すヒューズ素子においては、導電体パターン100と切断部101とが、同一材質であり、かつ、同一膜厚の材料で構成され、それらのパターン幅のみを調整することにより、溶断発生の有無を制御することが必要なので、ヒューズ素子設計の自由度が少ないという問題が存在する。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、不揮発性記憶素子設計において大きな自由度を有し、大容量であり、かつ、利便性に優れた不揮発性記憶素子、不揮発性記憶回路、不揮発性記憶カード、及び、それらを用いた記録装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決する本発明の不揮発性記憶素子、不揮発性記憶回路、不揮発性記憶カード、及び、記録装置は以下のようなものである。
【0014】
本発明に係る不揮発性記憶素子は、上記の課題を解決するために、絶縁膜を間に挟んで絶縁された第1導電体と第2導電体とを有し、第1導電体、絶縁膜及び第2導電体の積層構造における、第1導電体及び第2導電体の側端面同士が、第1導電体と第2導電体との間に与えた電位差によって溶断する第3導電体により電気的に接続されていることを特徴としている。
【0015】
上記の構成により、第1導電体と第2導電体とに積層構造を取らせたので、第1導電体と第2導電体とを平面的に配置する構成と比較して、不揮発性記憶素子の占有面積を小さくすることができる。従って、不揮発性記憶素子の単位面積あたりの記憶容量を増大させることができるので、本発明は、記憶容量の大きなヒューズ型の不揮発性記憶素子を提供することができる。
【0016】
また、接続材としての第3導電体の形成は、上記積層構造の側端面に対してなされるので、第1導電体、第2導電体等の積層とは別プロセスで行うことになる。この結果、第3導電体の素材選択や、パターン幅選択、あるいは膜厚選択に自由度を持たせることができる。さらに、第1導電体と第2導電体とに積層構造を取らせたことにより、第1導電体および第2導電体の膜厚についても互いの制約が緩和される。
【0017】
これにより、例えば、第1導電体及び第2導電体より融点が低く溶断し易い材料で、第3導電体を形成することができるので、消費電力を下げる等の設計が容易になる。さらに、各導電体の材質や膜厚を適宜選択することによって、一定の大きさの不揮発性記憶素子において記憶容量を増大させる設計も容易となる。
【0018】
本発明に係る不揮発性記憶素子は、上記の課題を解決するために、絶縁膜を間に挟んで絶縁された複数の第1導電体と複数の第2導電体と、第1導電体と第2導電体との間に与えた電位差によって溶断する第3導電体とを有し、該第1導電体と該第2導電体とがマトリクス状に互いに交差するように配置され、第1導電体、絶縁膜及び第2導電体の交差位置における積層構造における、第1導電体及び第2導電体の側端面同士が、上記第3導電体により電気的に接続されていることを特徴としている。
【0019】
上記の構成により、複数の第1導電体と複数の第2導電体とから、それぞれ1つずつ第1導電体と第2導電体とを選択して電位差を与えることにより、その交差位置に存在する第3導電体に対し、記録再生を実施することが可能となる。
【0020】
すなわち、選択された1つの第1導電体と、選択された1つの第2導電体とにより、溶断したい(情報を記録したい)第3導電体を特定し選択すること、または、第3導電体の断接状態を検出すること(情報の再生)が可能となる。従って、第1導電体と第2導電体とを特定することにより、記録再生を行うべき位置情報を特定することのできる不揮発性記憶素子を形成することが可能となる。
【0021】
情報を記録する場合には、選択した第1導電体と第2導電体とに電位差を与えることにより、第3導電体を溶断することが可能な電流を流せばよい。また、情報を再生する場合には、選択した第1導電体と第2導電体とに、第3導電体を溶断することのない程度の電位差を与えることにより、第3導電体の導通の有無を確認すればよい。
【0022】
従って、各交差位置に、1つの単位記憶素子が形成されているとみなすことができる。すると、各交差位置では、第1導電体と第2導電体とに積層構造を取らせているので、単位記憶素子の占有面積を小さくすることができる。
【0023】
しかも、既に説明したとおり、第3導電体の素材選択には自由度が有り、かつ第3導電体の形成を第1導電体及び第2導電体の形成と別工程で行うため、第3導電体のパターン幅が、第1導電体及び第2導電体のパターン幅から受ける制約を緩和することができる。
【0024】
このように、単位記憶素子の占有面積を小さくできる上に、各導電体のパターン幅をできるだけ細く設定しやすくなるので、複数の単位記憶素子を集積した不揮発性記憶素子の単位面積あたりの記憶容量を上げることができる。これにより、大容量の不揮発性記憶素子を実現することができる。
【0025】
また、例えば、帯状の第1導電体の配列上に絶縁膜を積層し、その上に帯状の第2導電体の配列を積層したとすると、第2導電体をマスクとした絶縁膜のエッチングを行うことにより、第1導電体と第2導電体との接続部分(側端面)を、その交差位置において露出させることが、絶縁膜のパターニングと同時に可能となる。この結果、不揮発性記憶素子形成プロセスの簡略化による低コスト化が実現する。
【0026】
本発明に係る不揮発性記憶素子は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記積層構造における第3導電体の配設部において、第1導電体、絶縁膜及び第2導電体の各側端面が略面一状に形成されていることを特徴としている。
【0027】
上記の構成により、第1導電体及び第2導電体を接続する第3導電体は、略面一状に形成された第1導電体、絶縁膜及び第2導電体の各側端面に対して設けられる。このため、第3導電体の接続面も略面一状となるので、第3導電体には段差(屈曲)が生じない。
【0028】
もし、各側端面の間に段差部分が有ると、段差部分への第3導電体の形成が正常に行われず、該段差部分において断線不良の発生する割合が相対的に高くなりやすいという問題が存在する。
【0029】
そこで、本発明の上記構成であれば、断線不良が発生するような段差部分が無いので、断線不良を抑制し、断線による初期不良素子の発生割合を相対的に低減することができる。
【0030】
なお、略面一状とは、平面状に限らず、段差部分の無い曲面状を含んでいる。
【0031】
本発明に係る不揮発性記憶素子は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記第3導電体の幅が、該第1導電体の幅、及び、該第2導電体の幅よりも狭いことを特徴としている。
【0032】
上記の構成により、電位差を与える第1導電体及び第2導電体の幅に対して、切断部である第3導電体の幅を狭くすることにより、第3導電体の抵抗を大きくすることが可能となる。従って、第1導電体と第2導電体との間に電位差を形成すると、第1導電体の側端面と第2導電体の側端面とを接続する第3導電体に電流が流れ、抵抗の大きい第3導電体のみにおいて、温度を上昇させることができる。この結果、第3導電体のみを安定して溶断することができるので、不揮発性記憶素子の信頼性を向上させることができる。
【0033】
なお、第1導電体の幅と該第2導電体の幅とを、概ね等しくすると、第1導電体と第2導電体の断線を抑制し、かつ、最大の記憶容量を得ることができるという効果が有る。第1導電体の幅と第2導電体の幅とが、概ね等しくない場合、より細い導電体において、断線不良が発生し易くなる。したがって、両者の幅を、断線不良が発生しない程度の幅で、概ね等しくすることにより、断線を抑制するとともに、最大の記憶容量を実現することができる。
【0034】
なお、本発明として記載した構成を、前記発明として記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0035】
本発明に係る不揮発性記憶素子は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記第3導電体の膜厚が、該第1導電体の膜厚、及び、該第2導電体の膜厚よりも薄いことを特徴としている。
【0036】
上記の構成により、電位差を与える第1導電体及び第2導電体の膜厚に対して、切断部である第3導電体の膜厚を薄くすることにより、第3導電体の抵抗を大きくすることが可能となる。従って、第1導電体と第2導電体との間に電位差を形成することにより、第1導電体の側端面と第2導電体の側端面とを接続する第3導電体に電流が流れ、抵抗の大きい第3導電体のみにおいて、温度を上昇させることができる。この結果、第3導電体のみを安定して溶断することができるので、不揮発性記憶素子の信頼性を向上させることができる。
【0037】
なお、上記第1導電体の膜厚と上記第2導電体の膜厚とを、概ね等しくすると、第1導電体と第2導電体の断線を抑制し、かつ、最大の記憶容量を得ることができるという効果が有る。
【0038】
なお、本発明として記載した構成を、前記発明として記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。特に、本発明として記載した構成を、第3導電体の幅に関して前記発明として記載した構成と組み合わせることにより、第3導電体のみの溶断をさらに安定化させることができる。
【0039】
本発明に係る不揮発性記憶素子は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記第3導電体の融点が、該第1導電体の融点、及び、該第2導電体の融点よりも低いことを特徴としている。
【0040】
上記の構成により、素材選択によって、第3導電体の融点を第1導電体及び第2導電体の融点より低くすることにより、第3導電体を溶断する確実性が増す。また、第3導電体を溶断するために、第1導電体及び第2導電体の間に設ける電位差を小さくすることもできる。これにより、安定した記録再生及び/または低消費電力を実現する不揮発性記憶素子を提供することができる。
【0041】
なお、本発明として記載した構成を、前記発明として記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。特に、本発明として記載した構成を、第3導電体の幅または膜厚に関して前記発明として記載した各構成と組み合わせることにより、本発明の効果をさらに増大させることができる。
【0042】
本発明に係る不揮発性記憶素子は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記各交差位置の少なくとも1箇所における第3導電体の切断により、情報が記録されていることを特徴としている。
【0043】
これにより、既に説明したとおり、大容量の情報を記録した不揮発性記憶素子を提供することができる。
【0044】
なお、本発明として記載した構成を、前記発明として記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0045】
本発明に係る不揮発性記憶素子は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、直線帯状の上記第1導電体が、互いに並列的に配置され、該第1導電体と交差する帯状の上記第2導電体が、第1導電体の延伸方向に平行な重なり部分を持って配され、該重なり部分において、該第1導電体の側端面と該第2導電体の側端面とが、上記第3導電体により電気的に接続されていることを特徴としている。
【0046】
上記の構成により、上記の効果に加えて、不揮発性記憶素子の製造プロセスを簡素化することが可能であるという効果が得られる。すなわち、絶縁膜を間に挟んで絶縁された第1導電体と第2導電体との積層構造を形成するにあたって、第2導電体の重なり部分をマスクとして利用することで、絶縁膜のエッチングを行うことができ、エッチングの結果、重なり部分において、第1導電体、絶縁膜、第2導電体の3層構造を形成することができる。
【0047】
したがって、その3層構造において露出された第1導電体の側端面と第2導電体の側端面とを電気的に接続する第3導電体を形成することにより、本発明の不揮発性記憶素子を形成することが可能である。
【0048】
これにより、第1導電体の側端面と第2導電体の側端面とを露出させる工程を、絶縁膜のパターニングプロセスにおいて同時に行うことができるので、不揮発性記憶素子の製造プロセスを簡素化することが可能である。
【0049】
本発明に係る不揮発性記憶素子は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、直線帯状の上記第1導電体が、互いに並列的に配置され、該第1導電体と交差する直線帯状の上記第2導電体が、互いに並列的に配置され、該第1導電体と該第2導電体との交差位置において、該第1導電体の側端面と該第2導電体の側端面とが、上記第3導電体により電気的に接続されていることを特徴としている。
【0050】
上記の構成により、上記の効果に加えて、不揮発性記憶素子の記憶容量をさらに大きくすることができる。すなわち、第1導電体、及び、第2導電体が、いずれも、直線帯状の導電体で構成され、屈曲部を有さないことにより、単位面積当たりにおける交差位置の数を、屈曲部を持つ構成に比べて増やすことができる。すなわち、交差位置に設けることが可能な第3導電体の数を増やすことができるので、不揮発性記憶素子の記憶容量をさらに増大させることができる。
【0051】
本発明に係る不揮発性記憶素子は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記第1導電体と第2導電体の各側端面を上記第3導電体により接続する箇所は、上記重なり部分毎に少なくとも2箇所有ることを特徴としている。
【0052】
上記の構成により、上記の効果に加えて、不揮発性記憶素子の断線不良を低減することが可能となる。
【0053】
すなわち、上記第1導電体と第2導電体とが、一箇所のみで、上記第3導電体により接続されている場合、形成プロセスにおいて存在する塵埃等に起因する第3導電体の断線等が発生すると、その第3導電体に対して記録を行うことができないので、不揮発性記憶素子自体が不良品になってしまう。これにより、該不揮発性記憶素子は初期不良の素子数が増加することになる。
【0054】
これに対して、上記第1導電体と第2導電体とが重なり部分毎に2箇所以上の部分で、該第3導電体により接続されている場合、一方の第3導電体が断線を発生した場合においても、他方の第3導電体が、第1導電体と第2導電体とを接続しているので、断線による初期不良素子を大幅に低減することができる。
【0055】
本発明に係る不揮発性記憶回路は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記不揮発性記憶素子が記録再生制御回路を有する半導体層上に設けられており、複数の上記第1導電体、及び、複数の上記第2導電体が、それぞれ、該記録再生制御回路に接続され、かつ、該記録再生制御回路が回路入出力端子に接続されていることを特徴としている。
【0056】
上記の構成により、上記の効果に加えて、回路入出力端子から入力されるアドレス情報、及び、記録情報に基づいて、記録再生制御回路が、第1導電体、及び、第2導電体を選択し、選択された第1導電体と第2導電体とを接続する接続体を選択し、情報の記録再生を実施することが可能となる。
【0057】
すなわち、本発明の不揮発性記憶回路においては、それぞれの第1導電体、及び、第2導電体を直接選択することなく、回路入出力端子に対して、アドレス情報と記録情報だけを入力することにより、第1導電体、及び、第2導電体が選択され、第3導電体に対する記録再生が行われる。従って、不揮発性記憶回路としての利便性に優れている。
【0058】
なお、本発明中に記載した不揮発性記憶素子の構成を、前記発明として記載した不揮発性記憶素子の各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0059】
本発明に係る不揮発性記憶回路は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、複数の上記不揮発性記憶素子が上記半導体層上に設けられており、該不揮発性記憶素子毎に記録再生制御回路を設けたことを特徴としている。
【0060】
上記の構成により、上記の効果に加えて、欠陥による記憶容量の低下を抑制することが可能となる。
【0061】
広い面積に渡って本発明の不揮発性記憶素子を構成する場合、長い配線長を有する第1導電体、及び、第2導電体を設けることが必要となる。ここで、長い配線長の一箇所が欠陥により断線すると、断線した導電体に接続された複数の第3導電体は、もはや、記憶素子として作動しなくなる。この場合、一箇所の欠陥により、多数の記憶素子が失われることになる。
【0062】
これに対して、本発明の不揮発性記憶回路は、不揮発性記憶回路上に、複数の不揮発性記憶素子を有しており、該不揮発性記憶素子毎に記録再生制御回路を設けたので、個々の不揮発性記憶素子における配線長が、相対的に短くなる。これにより、一箇所の断線により失われる記憶素子の数を低減することが可能となる。
【0063】
また、複数の不揮発性記憶素子に対して、唯一の記録再生制御回路を設けることも可能であるが、この場合、記憶再生制御回路から離れた位置に設けられる不揮発性記憶素子への配線長が長くなり、一箇所の欠陥により、多数の記憶素子が失われるおそれが高くなるという問題が発生する。さらに、唯一の記録再生制御回路から複数の不揮発性記憶素子に対し配線するので、1本当たりの配線の幅を細くせざるを得ない。
【0064】
従って、複数の不揮発性記憶素子が、それぞれに対応した記録再生制御回路を有する構成とすることで、それぞれの記録再生制御回路に対して、配線の幅を相対的に広げることができる。すなわち広い幅の配線により、アドレス情報や記録情報を入力し、記録再生制御回路の近くに配置された不揮発性記憶素子に対する記録再生を実施することができるので、配線欠陥による記憶素子の損失を低減することが可能となる。
【0065】
本発明に係る不揮発性記憶回路は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記記録再生制御回路を形成するための半導体層が、基板上に設けられた非晶質Si層、基板上に設けられた多結晶Si層、もしくは、基板上に設けられた非晶質Si層を局所的に温度上昇させることにより作製された多結晶Si層のいずれかであることを特徴としている。
【0066】
上記の構成により、上記の効果に加えて、基板材料が限定されることがなくなり、低価格で、かつ、記憶容量の大きい不揮発性記憶回路を形成することが可能となる。
【0067】
記録再生制御回路は、アドレス情報に応じて、第1導電体、及び、第2導電体を選択し、情報の記録再生のための電圧を、第1導電体、及び、第2導電体へと印加する回路であり、一般的に、Si単結晶基板上に形成された半導体回路で構成される。しかしながら、Si単結晶基板が高価であるため、Si単結晶基板上に形成された不揮発性記憶回路も高価なものとなってしまう。
【0068】
本発明の不揮発性記憶回路は、その記録再生制御回路として、プラスチック等の基板上に設けられた非晶質Si層、もしくは、多結晶Si層に形成された半導体回路を用いることが可能である。この場合、不揮発性記憶回路の低価格化が実現する。
【0069】
また、本発明の不揮発性記憶回路の記録再生制御回路として、上記非晶質Si層を局所的に温度上昇させることにより形成された多結晶Si層に設けられた半導体回路を用いることが可能である。もし、非晶質Si層に形成された半導体回路を用いるとすると、該非晶質Siにおける電子移動度が小さいため、記録再生制御回路の動作速度、すなわち記録再生速度を高速化することは難しい。しかしながら、上記多結晶Siは、大きな電子移動度を有しており、非晶質Siよりも高速な記録再生を実現することができる。従って、本発明の不揮発性記憶回路を、低価格で、かつ、記憶容量が大きく、かつ、高速記録再生可能な不揮発性記憶回路とすることができる。
【0070】
なお、本発明として記載した構成を、前記発明として記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0071】
本発明に係る不揮発性記憶回路は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記不揮発性記憶素子が、半導体層上に設けられた記録再生制御回路の上に、絶縁膜を介して設けられており、複数の上記第1導電体、及び、複数の上記第2導電体が、それぞれ、該記録再生制御回路に接続され、かつ、該記録再生制御回路が回路入出力端子に接続されていることを特徴としている。
【0072】
上記の構成により、上記の効果に加えて、不揮発性記憶回路の記憶容量を増大させることが可能となる。
【0073】
本発明の不揮発性記憶回路においては、上記記録再生制御回路上に、絶縁膜を介して、不揮発性記憶素子を立体的に設けたので、基板上の面を有効に活用することが可能となる。この結果、不揮発性記憶回路を小型化すること、または不揮発性記憶回路の記憶容量を増大させることができる。
【0074】
なお、記録再生制御回路と不揮発性記憶素子との電気的配線の干渉を避けるため、該記録再生制御回路と不揮発性記憶素子の第1導電体、及び、第2導電体とをビアホール等により垂直配線接続することが好ましい。
【0075】
また、複数の不揮発性記憶素子のそれぞれに対して、記録再生制御回路を有する場合においても、各記録再生制御回路の上に絶縁膜を形成し、該絶縁膜上に、対応する不揮発性記憶素子を設けることによって、同様な効果が得られる。
【0076】
なお、本発明中に記載した不揮発性記憶素子の構成を、前記発明として記載した不揮発性記憶素子の各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0077】
本発明に係る不揮発性記憶回路は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記不揮発性記憶回路が、複数積層されて設けられていることを特徴としている。
【0078】
上記の構成により、上記の効果に加えて、複数の不揮発性記憶回路が積層されることにより、積層数に応じて、その記憶容量を増大させることができる。
【0079】
なお、本発明として記載した構成を、前記発明として記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0080】
本発明に係る不揮発性記憶回路は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、複数の上記不揮発性記憶回路が有する回路入出力端子が、積層方向に重ならないように設けられていることを特徴としている。
【0081】
上記の構成により、上記の効果に加えて、積層された複数の不揮発性記憶回路が有するそれぞれの回路入出力端子に対して、アドレス情報や記録情報を直接入出力することが可能となる。すなわち、それぞれの不揮発性記憶回路の回路入出力端子が、積層方向に重ならないことにより、それぞれの回路入出力端子を全て露出させることができる。従って、露出した全ての回路入出力端子に対して、例えば記録再生装置内に設けられた接続ピンを接触させることにより、それぞれの不揮発性記憶回路に対する記録再生を行うことが可能となり、高速な記録再生動作を実現することができる。
【0082】
本発明に係る不揮発性記憶回路は、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、外部入出力端子に接続された記憶回路選択回路を有し、複数の上記不揮発性記憶回路の回路入出力端子が、該記憶回路選択回路に接続され、該記憶回路選択回路には、記録再生を行う不揮発性記憶回路を選択する第1の選択信号と、選択された不揮発性記憶回路の活性化すべき第1導電体及び第2導電体を選択する第2の選択信号と、記録再生すべき情報信号とが、外部入出力端子を介して入力されることを特徴としている。
【0083】
上記の構成により、複数の不揮発性記憶回路で構成された大容量の不揮発性記憶回路に対して、情報の記録再生を行うのに必要な情報の入出力を、簡便な構成で行うことが可能となる。
【0084】
すなわち、同じ外部入出力端子を介して、第1の選択信号、第2の選択信号及び情報信号が記憶回路選択回路に入力され、これによって記録再生すべき不揮発性記憶回路中の記録再生すべき第3導電体(記録材料)を選択して、情報を記録することができる。従って、例えば、記録再生装置は、各不揮発性記憶回路が備えている回路入出力端子に個別にアクセスして、記録再生すべき第3導電体を選択する信号や、記録再生信号の授受を行う構成を必要としない。
【0085】
従って、本発明の不揮発性記憶回路によれば、上記の効果に加えて、複数の不揮発性記憶回路が積層された不揮発性記憶回路において、外部入出力端子の数を低減することができる。すなわち、情報の記録再生を行うための入出力回路を簡素化することが可能となり、利便性に優れた不揮発性記憶回路を提供することができる。
【0086】
なお、第1の選択信号によって選択された不揮発性記憶回路の記録再生制御回路が、第2の選択信号によって選択された第1導電体及び第2導電体に対し、第3導電体が溶断するのに必要な電圧を情報信号に基づいて生成して印加し、記録を行う。
【0087】
また、情報再生を行う際にも、同様に、第1の選択信号によって選択された不揮発性記憶回路から、第2の選択信号によって選択された第3導電体の断接状態を検出した情報信号が回路入出力端子から取り出され、記憶回路選択回路により、外部入出力端子へと出力することが可能である。
【0088】
なお、本発明として記載した構成を、前記発明として記載した各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0089】
本発明に係る不揮発性記憶カードは、上記の課題を解決するために、上記の構成に加えて、上記不揮発性記憶回路が、カード状基板上に設けられたことを特徴としている。
【0090】
上記の構成により、大きな記憶容量の不揮発性記憶回路を有する可搬性及び利便性に優れた不揮発性記憶カードを実現することが可能である。
【0091】
なお、本発明中に記載した不揮発性記憶回路の構成を、前記発明として記載した不揮発性記憶回路の各構成と、必要に応じて任意に組み合わせてもよい。
【0092】
本発明に係る記録再生装置は、上記の課題を解決するために、上記不揮発性記憶素子、もしくは、上記不揮発性記憶回路、もしくは、上記不揮発性記憶カードに対して、情報の記録再生を行うことを特徴としている。
【0093】
上記の構成により、可動部を持たない信頼性に優れた大容量記録再生装置を実現することが可能である。従来の大容量記録再生装置は、ハードディスクや光ディスクのように、ディスク回転機構やヘッドアクセス機構等の可動部が必要なので、ヘッドクラッシュ等の駆動機構の故障により、装置の信頼性に問題が存在した。
【0094】
これに対して、本発明の記録再生装置は、不揮発性記憶素子の第1導電体及び第2導電体に記録用の電圧または再生用の電圧を印加することで、記録再生を行うことができるので、記録再生に固定的なコネクタ等を適用することができる。したがって、可動部を有さず、極めて信頼性の高い記録再生装置を実現することができる。
【0095】
また、従来の記録再生装置として、半導体回路で構成された記憶素子(フラッシュメモリー等)を用いた記録再生装置があるが、複雑な半導体回路をSi基板上に形成することが必要であり、記録素子が高価なものとなり、動画等の情報を長時間にわたり記憶する素子としては不適格であった。
【0096】
これに対して、本発明の不揮発性記憶素子、及び、不揮発性記憶回路は、配線パターンである第1導電体と第2導電体の交差点において、第1導電体の端部と第2導電体の端部とを接続する第3導電体を有するという、極めて簡単な構成により、情報の記録再生が可能であり、低価格かつ大容量な不揮発性記憶素子、及び、不揮発性記憶回路を提供することが可能である。また、該不揮発性記憶素子、及び、該不揮発性記憶回路を積層して配置することにより、さらに大容量の不揮発性記憶素子を提供することが可能である。
【0097】
従って、本発明に係る上記不揮発性記憶素子、もしくは、上記不揮発性記憶回路、もしくは、上記不揮発性記憶カードを用いた記録再生装置においては、動画等の大容量の情報を安価な不揮発性記憶素子に記憶することが可能となる。
【0098】
また、本発明の記録再生装置は、携帯可能な記録再生装置に適用することが可能である。この場合にも、上述と同様の作用効果を得ることができる。
【0099】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の不揮発性記憶素子、不揮発性記憶回路、及び、不揮発性記憶カードについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0100】
(本発明の技術的思想)
本発明の不揮発性記憶素子は、例えば図2に示すように、絶縁膜(3)を間に挟んで絶縁された第1導電体(2)と第2導電体(4)とを有し、第1導電体(2)、絶縁膜(3)及び第2導電体(4)の積層構造における、第1導電体(2)及び第2導電体(4)の側端面同士が、第1導電体(2)と第2導電体(4)との間に与えた電位差によって溶断する第3導電体(5)により電気的に接続されていることを特徴とするものである。
【0101】
すなわち、本発明の不揮発性記憶素子においては、第1導電体と第2導電体とに絶縁状態の積層構造を取らせることにより、第1に、不揮発性記憶素子の占有面積を縮小し、第2に、接続材としての第3導電体の形成プロセスを簡易化し、第3に、第3導電体の素材選択に自由度を持たせることにより、各導電体のパターン幅または膜厚が受ける制約を緩和することが、重要な狙いである。
【0102】
このように、本発明によれば、情報記録のために第3導電体が溶断される確実性を増したり、より低い電圧印加で第3導電体を溶断させたり、各導電体の材質や膜厚を適宜選択することによって、一定の大きさの不揮発性記憶素子において記憶容量を増大させたりすることが可能となる。
【0103】
(不揮発性記憶素子の構成例1)
図1は、本発明の不揮発性記憶素子の平面図を示しており、図2(a),(b)は、図1におけるA−A’断面の一部を説明する模式図である。
【0104】
本発明の不揮発性記憶素子は、図2(a)に示すように、基板1上に、第1導電体2、絶縁膜3、第2導電体4が順次積層された積層構造をなし、その積層構造における第1導電体2の側端面と第2導電体4の側端面とを、電気的に接続する第3導電体5が設けられている。
【0105】
ここで、第3導電体5は、第1導電体2と第2導電体4との間に、電位差を形成することにより、溶断するように構成されている。すなわち、第1導電体2と第2導電体4とを電気的に接続する部分の第3導電体5に、上記電位差に応じた電流が流れ、該接続部分の第3導電体5の温度が上昇する。上記電位差が十分に大きければ、該温度上昇により、第3導電体5の接続部分において、第3導電体5が溶断するので、図2(b)に示すように、第1導電体2と第2導電体4との電気的接続が断たれる。
【0106】
本発明の不揮発性記憶素子は、上記第3導電体5による電気的な接続の有無により情報を記録再生するものである。
【0107】
この場合、第3導電体5の溶断に関わるファクタは、第3導電体5の抵抗値であり、その抵抗値は第3導電体5の材質と、線幅または厚みとによって決まる。また、第3導電体5の材質によって決まる融点が、第1導電体2及び第2導電体4と比較して低い方が、溶断し易いため、消費電力の点で有利である。
【0108】
図1は、上記不揮発性記憶素子の一実施例を示すものであり、複数の直線帯状の第1導電体2(X1,X2,・・・,X8)が、互いに平行に配置され、複数の帯状の第2導電体4(Y1,Y2,・・・,Y5)が、第1導電体2の延伸方向と延伸方向に直交する方向とに、交互に繰り返して屈曲した蛇行形状で配置されている。
【0109】
これにより、第1導電体2(X1,X2,・・・,X8)と第2導電体4(Y1,Y2,・・・,Y5)との交差部のそれぞれにおいて、第1導電体2及び第2導電体4には、第1導電体2の延伸方向に平行な重なり部分6が形成されている。また、重なり部分6において、第1導電体2と第2導電体4とは、絶縁膜3を介することにより非接触の積層状態を維持して平行に配置されている。
【0110】
そして、上記重なり部分6における、第1導電体2の延伸方向に平行な両側部の一方において、第1導電体2の側端面と第2導電体4の側端面とを電気的に接続する第3導電体5が設けられている。
【0111】
すなわち、複数の第1導電体2と複数の第2導電体4とが、非接触状態で部分的な重なりを持って交差するように設けられており、それぞれの交差部分(重なり部分6)において、第1導電体2の側端面と第2導電体4の側端面とが、第3導電体5により電気的に接続された構成となっている。
【0112】
上記の構成において、特定の第1導電体2(X4)と特定の第2導電体(Y3)との間に、第3導電体5の溶断に必要な電位差を形成し、例えば第1導電体2(X4)から第2導電体(Y3)へ電流を流すことにより、第1導電体2(X4)と第2導電体(Y3)との交差部分(重なり部分6)に形成された第3導電体5が溶断され、情報が第3導電体5の溶断という形で記録される。
【0113】
また、上記第1導電体2(X4)、もしくは、上記第2導電体(Y3)のいずれかに、第3導電体5の溶断が発生しない電圧を印加し、他方の導電体に誘起される電位を測定することにより、第3導電体5の溶断の有無を、記録情報として再生することができる。
【0114】
すなわち、本発明の不揮発性記憶素子においては、選択された1つの第1導電体2と、選択された1つの第2導電体4との間に電位差を設け、該第1導電体2の側端面と該第2導電体4の側端面とを接続する第3導電体5を溶断することにより、情報の記録が実現し、該第1導電体2、もしくは、該第2導電体4のいずれか一方の導電体に電圧を印加し、他方の導電体の電位を検出することにより、第3導電体5の溶断の有無を判断し、情報の再生が実現する。
【0115】
(不揮発性記憶素子の構成例2)
次に、図3は、本発明の不揮発性記憶素子の他の構成を示す平面図であり、図4は、図3におけるA−A’断面の一部を示す断面図である。
【0116】
図1、及び、図2に示す不揮発性記憶素子においては、第1導電体2と第2導電体4との各交差位置(重なり部分6)において、第1導電体2と第2導電体4とが、一箇所のみで、第3導電体5により接続されていた。これに対し、図3、及び、図4に示す不揮発性記憶素子では、同じ構造の重なり部分6における、第1導電体2の延伸方向に平行な両側部の双方において、第1導電体2の側端面と第2導電体4の側端面とを電気的に接続する第3導電体5が設けられている。
【0117】
この構成においては、第1導電体2と第2導電体4との側端面同士が、少なくとも2箇所において第3導電体5により電気的に接続されていることにより、個々の不揮発性記憶素子の初期不良の数を低減することが可能となる。すなわち、不揮発性記憶素子の形成時に、塵埃等の欠陥が存在し、一方の接続箇所における第3導電体5に、電気的な接続が維持されないような事態が発生した場合においても、他方の接続箇所における電気的な接続が維持されることにより、1箇所の接続不良のために不揮発性記憶素子全体が不良となることを回避することができる。
【0118】
なお、図1または図3に示す構成の不揮発性記憶素子において、重なり部分6の両側に対して1箇所ずつ合計2箇所の接続箇所を設けるのみならず、片側の側端面に対して2箇所以上の接続箇所を設けてもよい。
【0119】
(記録再生方法の詳細)
次に、図5、図6、図7、及び、図8を用いて、本発明の不揮発性記憶素子に対する記録再生方法について説明する。
【0120】
図5は、図1及び図3に示す不揮発性記憶素子を、回路図として示したものであり、非接触状態にあるN本の第1導電体2(以降、第1導電体X1〜XNと言い換えて説明する)とM本の第2導電体4(以降、第2導電体Y1〜YMと言い換えて説明する)とが、交差位置において、第3導電体5(以降、第3導電体5を第3導電体Rijと言い換えて説明する)により接続されている。
【0121】
次に、図6は、不揮発性記憶素子に対する記録動作を実現する記録回路を示している。ここでは、第1導電体Xiと第2導電体Yjにより選択された第3導電体Rijに対する記録動作について説明する。
【0122】
後述する記録再生制御回路に含まれる素子選択用トランジスタ(Tri,Trj)のソース(S)は、それぞれ、電源電圧(+V)に接続される。次に、後述する素子選択回路により、素子選択用トランジスタ(以降、単にTriまたはTrjと略称する)のゲート(G)に印加されるゲート電圧(Vgi,Vgj)により、Tri,Trjのオンオフが選択され、Triに接続された第1導電体XiとTrjに接続された第2導電体Yjの電位が決定される。そして、第1導電体Xiと第2導電体Yjの電位差に基づき、第3導電体Rijに流れる電流が制御される。
【0123】
なお、第3導電体Rijが接続された第1導電体Xiには接地抵抗Riが接続され、第2導電体Yjが接続されたTrjのドレイン(D)には、接地抵抗Rjが接続されている。
【0124】
こうして、第3導電体Rijに電流を流し、第3導電体Rijを切断することにより情報が記録される。図7は、第3導電体Rijが溶断されることにより、情報が記録された状態を示している。
【0125】
下記の表1は、図6に示す回路におけるトランジスタ(Tri,Trj)の状態と、第1導電体Xiと第2導電体Yjにおける電位との関係を示している。
【0126】
【表1】
【0127】
状態1においては、Tri,TrjがともにON状態であり、Xi電位とYj電位がともに+Vとなるため、第3導電体Rijには電流が流れず、第3導電体Rijの溶断は発生しない。
【0128】
状態2においては、TriがON、TrjがOFFとなり、Xi電位のみが+Vとなるため、第3導電体Rijと第2導電体Yjに対する接地抵抗Rjとを通過する電流と、Xiに対する接地抵抗Riを通過する電流とが流れることになる。ここで、第3導電体Rijと接地抵抗Rjとの直列抵抗よりも接地抵抗Riを十分大きくしておくことにより、第1導電体Xiから第2導電体Yjへ向かって第3導電体Rijに、より大きな電流が流れ第3導電体Rijが溶断される。
【0129】
状態3においては、TriがOFF、TrjがONとなり、Xi電位が+V’、Yj電位が+Vとなる。ここで、Xi電位(+V’)は、Yj電位(+V)を第3導電体Rijと接地抵抗Riとで分圧した電位である。この場合、Xiに対する接地抵抗Riが、Yjに対する接地抵抗Rjよりも十分大きく成されているため、第3導電体Rijに流れる電流が小さくなる。この結果、第3導電体Rijの溶断は発生しない。
【0130】
状態4においては、Tri,TrjがともにOFF状態であり、Xi電位とYj電位がともに接地電位(0V)となるため、第3導電体Rijには電流が流れず、第3導電体Rijの溶断は発生しない。
【0131】
すなわち、特定の第1導電体Xiを駆動するトランジスタTriをON状態とし、それ以外の第1導電体2を駆動するトランジスタをOFF状態とし、第2導電体(Y1,Y2,・・・,YM)を駆動するトランジスタを、記録情報に従って、ON状態、もしくは、OFF状態とすることにより、特定の第1導電体Xiに接続されたM個の第3導電体Rijの接続状態を制御すること、すなわち、情報を記録することが可能となる。
【0132】
次に、図6と図7に示す状態を判別することにより、記録された情報を再生することが可能である。例えば、特定の第2導電体Yjを駆動するトランジスタTrjをON状態として、第1導電体X1〜XNを駆動するトランジスタTriを順次OFF状態としながら、第1導電体Xiの電位を順次測定することにより、特定の第2導電体Yjと第1導電体X1〜XNとの交差位置に設けられたN個の第3導電体5の状態、すなわち、記録情報を再生することが可能である。
【0133】
図6の場合、第3導電体Rijが接続状態にあるので、表1の状態3に示すように、第1導電体Xiの電位は+V’となる。一方、図7の場合、第3導電体Rijが溶断状態にあるので、第1導電体Xiの電位は接地電位(0V)となる。
【0134】
従って、第3導電体5の断接状態により、第1導電体2に誘起される電位が異なるため、第1導電体2の電位を検出することにより、記録された情報を再生することが可能となる。
【0135】
なお、上記の説明では、記録時に第2導電体Y1〜YMを順次選択すると共に、再生時に第1導電体X1〜XNを順次選択する例を説明したが、第1導電体X1〜XN及び第2導電体Y1〜YMのいずれを順次選択するかについては、適宜変更可能である。
【0136】
また、図6及び図7に示すトランジスタや接地抵抗は、後述する不揮発性記憶回路の記録再生制御回路(例えば図8)の一部であるXデコーダ19内およびYデコーダ20により駆動されるデータ入力回路22内に設けることが可能である。
【0137】
(不揮発性記憶回路の構成)
次に、本発明の不揮発性記憶素子7を用いた不揮発性記憶回路8について、図8に示す概略ブロック図を用いて説明する。
【0138】
不揮発性記憶回路8は、アドレス信号A0〜Ai(i:自然数)を受けるアドレス入力端子9と、外部から入力される、外部クロックCLK、Xアドレスストローブ信号XAS、Yアドレスストローブ信号YAS、ライトイネーブル信号WE、及び素子セレクト信号CS等を受ける制御信号入力端子10と、外部から電源電位VCC及び接地電位VSSをそれぞれ受ける電源端子11と、データD0〜Dj(j:自然数)の入出力を行なうデータ入出力端子12とを備えている。
【0139】
不揮発性記憶回路8は、さらに、アドレス入力端子9からアドレス信号A0〜Aiを受けて、XアドレスXA及びYアドレスYAを示す内部アドレス信号に変換するアドレスバッファ13と、制御信号入力端子10から制御信号群を受けてそれぞれに対応する内部制御信号を生成する制御信号バッファ14と、制御信号バッファ14から内部制御信号群を受けて不揮発性記憶回路8全体の内部動作を制御する制御回路15とを備えている。
【0140】
不揮発性記憶回路8は、さらに、行列状に配置された複数の第1導電体2及び第2導電体4と、第1導電体2と第2導電体4とを接続する第3導電体5とを有する不揮発性記憶素子7を備えている。
【0141】
不揮発性記憶回路8は、さらに、アドレスバッファ13が生成するXアドレスXAに従って不揮発性記憶素子7の第1導電体2の選択を実行するXデコーダ16と、アドレスバッファ13が出力するYアドレスYAに応じて第2導電体4の選択を実行するYデコーダ17と、後述するセンス回路18及びデータ入力回路19とを備えている。
【0142】
Xデコーダ16は、第1導電体2の選択時において、アドレスバッファ13が出力するXアドレスXAに応じて、不揮発性記憶素子7中の第1導電体2のうちの少なくとも1本を記録再生のために選択的に活性化する。具体的には、少なくとも、記録再生方法について説明した図6において示した第1導電体Xiに接続されたトランジスタTriと接地抵抗Riとが、Xデコーダ16内に設けられている。
【0143】
Yデコーダ17は、第2導電体4の選択時において、アドレスバッファ13が出力するYアドレスYAに応じて、不揮発性記憶素子7中の第2導電体4のうちの少なくとも1本を記録再生のために選択的に活性化する。具体的には、少なくとも、記録再生方法について説明した図6において示した第2導電体Yjに接続されたトランジスタTrjと接地抵抗Rjとが、Yデコーダ17内に設けられている。
【0144】
不揮発性記憶回路8は、さらに、データ入出力端子12との間でデータ授受を実行するためのデータ出力バッファ20及びデータ入力バッファ21を備えている。データ出力バッファ20及びデータ入力バッファ21は、制御回路15が生成するクロック信号に同期したタイミングでデータ入出力を実行する。
【0145】
データ入力バッファ21から送出されたデータは、データ入力回路19へと入力される。データ入力回路19は、Xデコーダ16とYデコーダ17の選択結果に対応して、第3導電体5に印加する電圧を入力されたデータに基づいて制御して、第3導電体5の溶断の実行、すなわち、不揮発性記憶素子の各交差位置に対するデータの記録を行う。
【0146】
また、センス回路18は、Xデコーダ16とYデコーダ17の選択結果に対応して、不揮発性記憶素子の各交差位置における記録状態、すなわち、第3導電体5の断接状態を検出し、記録データの再生を行う。例えば、Yデコーダ17により選択された第2導電体Yjに電圧を印加して、第1導電体X1〜XNに誘起される電圧をセンス回路18により順次測定することにより、記録情報を再生することが可能である。そして、センス回路18で検出された再生信号は、データ出力バッファ20へと送出される。
【0147】
不揮発性記憶回路8は、さらに、電源端子11に入力された外部電源電位VCC及び外部接地電位VSSに応じて、不揮発性記憶回路8内部で使用される電源電位+V、及び、接地電位を生成する電源回路22を備えている。電源電位+V及び接地電位は、不揮発性記憶回路8内部の各回路に供給される。
【0148】
本発明の上記不揮発性記憶回路を用いることにより、アドレスに対応して、本発明の不揮発性記憶素子に対する、情報の記録再生を実現することが可能となる。
【0149】
(不揮発性記憶素子の製造方法1)
次に、図9を用いて、本発明の不揮発性記憶素子の形成方法について説明する。
【0150】
図9の(a),(b),(c),(d)は、図1に示す本発明の不揮発性記憶素子の製造工程を説明する図である。図9においては、図1のA−A’断面で見たある時点での製造工程を示している。
【0151】
まず、図9(a)に示すように、上記した記録再生制御回路が設けられた基板23上に、該記録再生制御回路との電気的干渉を避けるための絶縁膜24を形成した後、図1に示す配線パターンで複数の第1導電体2を形成する。さらに、第1導電体2を覆うように絶縁膜3を形成した後、図1に示す配線パターンで複数の第2導電体4を形成する。
【0152】
なお、マスキングプロセスとエッチングプロセスを用いて導電性材料をパターニングすることにより、第1導電体2及び第2導電体4を形成することができるが、ダマシン法により形成する方法を採用してもよい。
【0153】
ここで、第1導電体2、及び、第2導電体4としては、電気抵抗の小さいAlやAl合金(AlTi,AlCu等)、もしくは、CuやCu合金(CuTi,CuAl等)を用いることが可能である。また、絶縁膜3,24としては、Si酸化膜(例えばSiO2),Si窒化膜(例えばSi3N4),Ta酸化膜(例えばTa2O3)等の誘電体膜を用いても良いし、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の有機系絶縁膜を用いることも可能である。
【0154】
次に、図9(b)に示すように、第1導電体2及び第2導電体3をマスクとして、絶縁膜3の選択的エッチングを行い、第1導電体2の側端面25と第2導電体4の側端面26とを露出させる。この段階で、絶縁膜3の側端面も含めて、第1導電体2の側端面25と第2導電体4の側端面26とは、略面一状になる。
【0155】
例えば、第1導電体2及び第2導電体4としてCuを用い、絶縁膜3としてSiO2を用いた場合、CF4ガスプラズマを用いたドライエッチングを行うことにより、Cuのエッチングは行われず、SiO2のエッチングのみが進行するため、第1導電体2及び第2導電体3をマスクとした絶縁膜3の選択的エッチングが実現する。
【0156】
ここでは、導電体をマスクとしたが、絶縁膜3および第2導電体4の上に、別途フォトレジスト等によりマスクを設けて、絶縁膜3のエッチングやイオンミリングを行うことによっても、第1導電体2と第2導電体4の側端面25・26を露出させることが可能である。この場合、フォトレジスト等のマスクに覆われていない部分のみの絶縁膜3のエッチングを行うことが可能であり、エッチング面積の低減により、高速エッチングが実現し、プロセス時間の短縮を図ることができる。
【0157】
また、図9(b)においては、絶縁膜24がエッチングされていない状態の図面となっているが、絶縁膜24に対して、絶縁膜24の機能が損なわれない程度のオーバーエッチングが行われた場合においても、第1導電体2の端部24と第2導電体4の端部25とが露出されるため、特に問題は無い。
【0158】
次に、図9(c)に示すように、パターニングされた第1導電体2、絶縁膜3、及び、第2導電体4の全露出面を覆うように、導電性薄膜27を形成した後、フォトプロセスを用いて、図1に示す第3導電体5の形成位置に対応したフォトレジストパターン28を形成する。
【0159】
ここで、図9(b)までのプロセスにより、第1導電体2の側端面25と第2導電体4の側端面26とは、エッチングガス等により汚染されているため、導電性薄膜27を形成する前に、Arガス等の不活性ガスを用いてスパッタエッチングを行い、側端面25・26の表面汚染層を除去することにより、各側端面25・26と導電性薄膜27との電気的接続をより確実なものとすることができる。
【0160】
最後に、図9(d)に示すように、上記フォトレジスト28をマスクとして、導電性薄膜27をエッチングした後、フォトレジスト28を除去することにより、第1導電体2の側端面25と第2導電体4の側端面26とが、第3導電体5により接続された不揮発性記憶素子が完成する。
【0161】
ここで、第3導電体5として、第1導電体2及び第2導電体4と同一の材料を用いることが可能である。例えば、全ての導電体として、Alを用いた場合、第3導電体5の膜厚及び/またはパターン幅の調整により、第3導電体5の抵抗値を大きくすることが望ましい。
【0162】
すなわち、第3導電体5の膜厚を第1導電体2及び第2導電体4の膜厚より薄くしてもよいし、さらに第3導電体5のパターン幅を第1導電体2及び第2導電体4のパターン幅より狭くしてもよい。これにより、第3導電体5において溶断を発生しやすくすることが可能となり、安定した記録を実現することができる。また、第1導電体2と第2導電体4とに与える溶断に必要な電位差を小さくすることができるので、消費電力を抑えることもできる。
【0163】
しかしながら、第3導電体5の材料としては、第1導電体2及び第2導電体4の材料よりも、融点の低い材料を用いることがさらに望ましい。例えば、第1導電体2及び第2導電体4としてCuを用い、第3導電体5としてAlを用いた場合、Cuの融点が1085℃であり、Alの融点が660℃なので、第3導電体5において溶断が発生する確実性を向上させることができる。
【0164】
このように、Al等の低融点材料からなる第3導電体5の膜厚を相対的に薄くし、かつ/または、第3導電体5のパターン幅を相対的に狭くすることにより、より確実な記録を実現することができる。
【0165】
このように、上記不揮発性記憶素子においては、第3導電体5は、第1導電体2および第2導電体4とは、異なる製造工程によって形成され、また、第1導電体2および第2導電体4は順次積層される構造であるため、各導電体2,4,5の膜厚や幅を種々に設定することが容易に可能となる。
【0166】
(不揮発性記憶素子の製造方法2)
次に、図10を用いて、図3に示す本発明の不揮発性記憶素子の製造方法を説明する。
【0167】
図10の(a),(b),(c),(d)は、図3のA−A’断面で見たある時点での製造工程を示している。
【0168】
図10に示す製造方法は、図9に示す製造方法と基本的には同一である。ただし、図10(c)に示すように、フォトレジストパターン28の形状を、図3に示す第3導電体5に対応させる点で、前記製造方法と異なっている。図10(c)に示すフォトレジストパターン28を用いることにより、第1導電体2の側端面25と第2導電体4の側端面26とを、少なくとも2箇所で接続することが可能となる。
【0169】
従って、不揮発性記憶素子の形成時に、塵埃等の欠陥が存在したために、2つの接続箇所の一方において第3導電体5による電気的な接続が維持されないような事態が発生した場合においても、他方の接続箇所では、電気的な接続が維持されている。従って、不揮発性記憶素子が不良となることを回避することができ、良品率を向上させることができる。
【0170】
(不揮発性記憶素子の構成例3)
次に、図11は、第1導電体2の側端面と第2導電体4の側端面とが、第3導電体5により電気的に接続された不揮発性記憶素子のさらに他の構成を示す平面図である。
【0171】
図11に示すように、第1導電体2(X1,X2,・・・,X8)及び第2導電体4(Y1,Y2,・・・,Y10)は、いずれも直線帯状で、それぞれが互いに平行に配置され、かつ第2導電体4は、第1導電体2と直交する方向に伸びている。そして、第3導電体5による接続箇所は、第1導電体2と第2導電体4との交差位置毎に設けられている。
【0172】
該不揮発性記憶素子の上記各交差位置には、第1導電体2と第2導電体4の側端面を露出させるためのエッチング領域29が、第1導電体2、絶縁膜3及び第2導電体4の積層方向に形成されている。すなわち、各交差位置には、4つの角部が存在するが、その内の1つの角部において、第1導電体2、絶縁膜3及び第2導電体4を積層方向にエッチングして削り取ることにより、エッチング領域29が形成されている。
【0173】
後述する図12(c),図13(c)に示すように、該エッチング領域29では、第1導電体2の側端面25と第2導電体4の側端面26とが、第3導電体5により電気的に接続されている。
【0174】
(不揮発性記憶素子の製造方法3)
図11に示す本発明の不揮発性記憶素子の製造方法を、図12・13を用いて説明する。図12(a),(b),(c)及び図13(a),(b),(c)は、図11のB−B’断面で見たある時点の製造工程を示している。なお、B−B’線は、上記各交差位置を通って、第1導電体2の延伸方向に対し45度斜めの方向に延びている。
【0175】
まず、図12(a)に示すように、図9の製造方法1と同様にして、上記した記録再生制御回路が設けられた基板23上に、該記録再生制御回路との電気的干渉を避けるための絶縁膜24を形成した後、図11に示す配線パターンで第1導電体2を形成する。さらに、第1導電体2を覆うように絶縁膜3を形成した後、図11に示す配線パターンで第2導電体4を形成する。
【0176】
ここで、第1導電体2、及び、第2導電体4としては、電気抵抗の小さい金属を用いることができ、また、絶縁膜3,24として、誘電体膜または有機系絶縁膜を用いることができるのは、製造方法1で説明したとおりである。
【0177】
次に、図12(b)に示すように、第1導電体2と第2導電体4の側端面を形成する位置、すなわち図11に示すエッチング領域29に対応する位置に、互いにほぼ直角をなす2つの立面で構成されたパターンエッジ30を有するフォトレジストパターン31を形成する。
【0178】
次に、図12(c)に示すように、フォトレジストパターン31をマスクとして、第2導電体4、絶縁膜3、及び、第1導電体2のスパッタエッチングを行い、第1導電体2の側端面25と第2導電体4の側端面26を露出させるエッチング領域29が形成される。
【0179】
また、図12(c)において、絶縁膜24に対するオーバーエッチングが行われても、特に問題が無い点は、製造方法1において説明したとおりである。
【0180】
次に、図13(a)に示すように、パターニングされた第1導電体2、絶縁膜3、及び、第2導電体4の全露出面を覆うように、導電性薄膜27を表面に形成しする。ここで、導電性薄膜27を形成する前に、Arガス等の不活性ガスを用いてスパッタエッチングを行うことにより、表面汚染層を除去することが好ましい点も、製造方法1において説明したとおりである。
【0181】
次に、図13(b)に示すように、図11の第3導電体5の形成位置に対応する部分を覆うフォトレジストパターン32を形成する。
【0182】
最後に、上記フォトレジストパターン32に覆われていない部分の導電性薄膜27をエッチングにより除去した後、フォトレジストパターン32を取り除くことにより、図13(c)に示すように、エッチング領域29において、第1導電体の側端面25と該第2導電体の側端面26とが、第3導電体5により電気的に接続されている不揮発性記憶素子が完成する。
【0183】
図11に示す構成の不揮発性記憶素子においては、第1導電体2及び第2導電体4のいずれもが、直線帯状の導電体であり、図1に示すように、導電体が重なり部分6を有していないため、第1導電体2及び第2導電体4の単位面積あたりの交差箇所を増やすことができる。従って、その記録密度を高めることが可能であり、より大容量の不揮発性記憶素子、不揮発性記憶回路を形成することができる。
【0184】
(不揮発性記憶回路の実施形態1)
次に、本発明の不揮発性記憶回路の具体的な実施形態について、図14から図17を用いて説明する
図14は、本発明の不揮発性記憶回路の一部を示す斜視図であり、図8に示すアドレス入力端子9、制御信号入出力端子10、電源端子11、及び、データ入出力端子12等で構成された回路入出力端子34と、アドレスバッファ13、制御信号バッファ14、制御回路15、Xデコーダ16、Yデコーダ17、センス回路18、データ入力回路19、データ出力バッファ20、データ入力バッファ21、及び、電源回路22等の半導体回路により構成された記録再生制御回路35が、単結晶シリコンウエハーからなるSi基板33(半導体層)上に形成された構成となっている。
【0185】
図15は、Si基板33上に形成された記録再生制御回路35の上に、本発明の不揮発性記憶素子36(図8に示す不揮発性記憶素子7に相当)を設けた構成の不揮発性記憶回路の斜視図である。ここで、記録再生制御回路35のXデコーダ16、及び、データ入力回路19等の入出力配線と、不揮発性記憶素子36の第1導電体2、及び、第2導電体4とは、それぞれ、図示しない絶縁膜を介して、立体配線技術を用いて配線されている。
【0186】
ここで、上記記録再生制御回路35と上記不揮発性記憶素子36とを重ならないように設け、水平配線により配線することも可能である。しかし、この場合、Si基板33上に、記録再生制御回路35を形成する領域と不揮発性記憶素子36を形成する領域とを別々に設けることが必要となり、記憶容量が減少することになる。大きな記憶容量を実現するためには、図15に示すように、記録再生制御回路35と不揮発性記憶素子36とを重ねて配置し、図示しない絶縁膜を介して、立体配線技術を用いて配線することが望ましい。
【0187】
なお、図示しない上記絶縁膜は、記録再生制御回路35と不揮発性記憶素子36との電気的な干渉を避けるために設けるものであり、記録再生制御回路35と不揮発性記憶素子36との間で、絶縁不良が発生しないように設けられることが望ましい。
【0188】
また、上記説明においては、記録再生制御回路35として、Si基板上に設けた半導体回路により構成された記録再生制御回路35を用いたが、これに限られるものではない。
【0189】
例えば、図16及び図17に示すように、Si基板以外の基板37、例えば、ガラス基板やプラスチック基板上に、半導体回路からなる記録再生制御回路39と回路入出力端子34とを設け、図14及び図15と同様にして、上記記録再生制御回路39上に、不揮発性記憶素子36を重ねて配置し、立体配線技術を用いて配線することが可能である。
【0190】
ここで、基板37としてガラス基板やプラスチック基板を用いる場合、半導体回路からなる上記記録再生制御回路39は、基板37上にスパッタリング法やCVD法により形成された非晶質Si薄膜38(半導体層)を用いて構成することが可能である。非晶質Si薄膜には、半導体回路を形成することが可能である必要があり、その膜厚を50nm〜200nmとすることが望ましい。なお、左記の上限値、下限値はおよその目安である。
【0191】
しかし、半導体回路として非晶質Si薄膜を用いた場合、非晶質Si薄膜の電子移動度が小さいため、高速での記録再生制御が困難となる。本発明の不揮発性記憶回路に対して、映像情報等の情報を記録再生するためには、その記憶容量のみならず、高速での記録再生を実現することが重要な課題となる。
【0192】
従って、本発明の不揮発性記憶素子36に用いる記録再生制御回路39としては、上記非晶質Si薄膜38に対して、レーザビーム等のエネルギービームを照射して、上記非晶質Si薄膜38を多結晶化した領域に、上記記録再生制御回路39を設けることが望ましい。上記非晶質Si薄膜38が多結晶化されることにより、半導体回路における電子移動度が大きくなる。従って、記録再生制御回路の高速動作が実現され、本発明の不揮発性記憶回路を、映像情報等の情報の高速記録再生に適用することができる。
【0193】
また、本実施例によれば、高価なSi基板を用いず、安価なガラス基板やプラスチック基板を使用することができるため、低価格な不揮発性記憶回路を提供することが可能である。さらに、プラスチック基板を用いることにより、割れによる破損を防止することが可能であり、ガラス基板に比べて、携帯性に優れた不揮発性記憶回路を提供することが可能である。
【0194】
(不揮発性記憶回路の実施形態2)
次に、本発明の不揮発性記憶回路の他の実施形態について、図18・19を用いて説明する
図18・19は、一つの基板37上に、複数の記録再生制御回路40と、それぞれの記録再生制御回路40に対応する複数の不揮発性記憶素子41とが設けられた構成を示している。ここで、基板37としては、図14及び図15に示すSi基板であっても良いが、不揮発性記憶回路の低価格化を実現するためには、図16・17と同様に、Si基板以外の基板を用いることが望ましい。
【0195】
また、図16・17の場合と同様に、レーザアニール処理により多結晶化された多結晶Siを用いて、記録再生制御回路40を形成することにより、記録再生制御回路40の高速動作が実現され、本発明の不揮発性記憶回路を、映像情報等の情報の高速記録再生に適用することができる。
【0196】
図18及び図19に示す不揮発性記憶回路においては、回路入出力端子34と、それぞれの記録再生制御回路40とが接続され、アドレス情報やデータ情報の授受が行われる。また、複数の上記記録再生制御回路40のそれぞれに対して、不揮発性記憶素子41が重ねて配置され、立体配線技術を用いて配線されている。
【0197】
図15及び図17に示す不揮発性記憶回路においては、基板上に一つの不揮発性記憶素子36が設けられた構成となっている。従って、不揮発性記憶素子36を構成する複数の第1導電体2及び複数の第2導電体4は、不揮発性記憶素子36の長さとほぼ同程度の長さを有することになる。ここで、複数の上記第1導電体2、もしくは、複数の上記第2導電体4の一箇所に、欠陥による断線、もしくは、短絡が発生した場合、断線の発生した導電体に接続された個々の不揮発性記憶素子(個々の交差位置に対応;単位記憶素子と呼ぶ)は、すべて欠陥素子となってしまう。すなわち、一箇所の欠陥が、極めて多くの欠陥素子を発生させることになる。
【0198】
これに対して、図18及び図19に示す不揮発性記憶回路においては、複数の不揮発性記憶素子41を複数の記録再生制御回路40に接続して設けることにより、欠陥素子の数を低減することが可能である。例えば、基板37のサイズが変わらないとすれば、図19の場合、図17の場合と比較して、不揮発性記憶素子41の記憶容量は小さくなるものの、それぞれの不揮発性記憶素子41が有する第1導電体2及び第2導電体4の長さを短くすることができる。このように、第1導電体2及び第2導電体4の長さが短くなると、一箇所の欠陥に起因する断線、もしくは、短絡により発生する欠陥素子の数を低減することが可能となる。
【0199】
(不揮発性記憶カードの実施形態1)
図14から図19に示す本発明の不揮発性記憶回路を、回路基板上に配置し、回路入出力端子34を用いて、記録再生情報の入出力が可能な不揮発性記憶回路として用いることも可能であるが、大容量であり、かつ、低価格であるという特徴を生かして、可換型の不揮発性記憶回路とすることも可能である。
【0200】
すなわち、図20に示すように、本発明の不揮発性記憶回路43を、カード状基板42の上に設け、不揮発性記憶カードとすることにより、大容量であり、かつ、低価格な記憶媒体を提供することができる。
【0201】
例えば、図20に示す不揮発性記憶カードは、回路入出力端子34に対して電気的に接触可能な接続ピンを有する記録再生装置に着脱可能に装着され、該接続ピンを通じて、該不揮発性記憶カードと記録再生装置との間で、情報の記録再生が行われる。
【0202】
図20は、カード状基板42の上に、図15または図17に示す不揮発性記憶回路、もしくは、図19に示す不揮発性記憶回路43を、接着剤により貼り付けた構成であるが、カード状基板42の上に、直接、記録再生制御回路35,39,40及び不揮発性記憶素子36,41を設けることも可能である。
【0203】
(不揮発性記憶カードの実施形態2)
次に、図21は、複数の不揮発性記憶回路43がカード上基板42の上に積層された不揮発性記憶カードを示している。ここでは、複数の不揮発性記憶回路43の回路入出力端子34が積層方向に重ならないように、それぞれの不揮発性記憶回路43が階段状に積層され、接着剤により張り合わせられている。
【0204】
該不揮発性記憶カードに対する記録再生は、記録再生装置に設けられた接続ピンを、露出した回路入出力端子34に対して同時にまたは選択的に電気的に接触させ、記録再生情報の入出力を行うことにより実現される。
【0205】
このように、複数の不揮発性記憶回路43を積層して設けることにより、さらに大容量の記憶容量を有する不揮発性記憶カードを提供することが可能となる。
【0206】
しかしながら、上記不揮発性記憶カードにおいては、複数の回路入出力端子34のそれぞれに対して、アドレス情報や記録再生情報を入出力することが必要であり、記録再生装置の接続ピンの数が、不揮発性記憶回路の積層数に応じて増加し、かつ、記録再生装置の記録再生制御システムが複雑になるという問題が発
生する。
【0207】
(不揮発性記憶カードの実施形態3)
図22及び図23は、回路入出力端子34の数を増やすことなく、複数の不揮発性記憶回路を積層させることが可能な不揮発性記憶カードについて説明する図である。
【0208】
本発明の不揮発性記憶カードは、図22に示すように、カード状基板42の上に、不揮発性記憶素子36(または41)と、図示しない記録再生制御回路と、外部入出力端子群48と、記憶回路選択回路45とを有する第1の不揮発性記憶回路44が、接着剤により貼り付けられている。さらに、図23に示すように、上記第1の不揮発性記憶回路44及び記憶回路選択回路45の上に、複数の第2の不揮発性記憶回路46が、順次積層された構造となっている。
【0209】
上記複数の第2の不揮発性記憶回路46は、それぞれ、入出力端子47を有しており、該入出力端子47は、それぞれ、該不揮発性記憶回路46を貫通する孔を通じて、第1の不揮発性記憶回路44が有する記憶回路選択回路45に接続されている。記憶回路選択回路45は、外部入出力端子群48から入力されたアドレス情報に基づき、特定の不揮発性記憶回路44または46を選択し、特定の不揮発性記憶回路44または46に対する記録再生を実施することが可能である。
【0210】
ここでは、第1の不揮発性記憶回路44として、外部入出力端子群48と記憶回路選択回路45と不揮発性記憶素子36とを有する構成について記載しているが、第1の不揮発性記憶回路44として、外部入出力端子48と記憶回路選択回路45とのみを有する構成とすることも可能である。
【0211】
図24と図25は、図23に示す不揮発性記憶カードの記録再生を実施する不揮発性記憶回路の概略ブロック図を示している。
【0212】
図24は、第1の不揮発性記憶回路44を示し、アドレス信号A0〜Ai(i:自然数)(第1の選択信号及び第2の選択信号)を受けるアドレス入力端子50と、外部から入力される、外部クロックCLK、Xアドレスストローブ信号XAS、Yアドレスストローブ信号YAS、ライトイネーブル信号WE、及び素子セレクト信号CS等を受ける制御信号入力端子51と、外部から電源電位VCC及び接地電位VSSをそれぞれ受ける電源端子52と、データD0〜Dj(j:自然数)(記録再生の情報信号)の入出力を行なうデータ入出力端子53とからなる上記外部入出力端子48とが設けられている。
【0213】
次に、外部入出力端子48は、記憶回路選択回路45へと接続されており、記憶回路選択回路45は、入力されたアドレス信号情報に応じて、選択すべき不揮発性記憶回路44または46を決定する。
【0214】
一方、図24・25に示すように、それぞれの不揮発性記憶回路44,46は、個々に、記憶回路選択回路45から送出されるアドレス信号A0〜Ai(i:自然数)を受けるアドレス入力端子60と、外部クロックCLK、Xアドレスストローブ信号XAS、Yアドレスストローブ信号YAS、ライトイネーブル信号WE、及び素子セレクト信号CS等を受ける制御信号入力端子61と、電源電位VCC及び接地電位VSSをそれぞれ受ける電源端子62と、データD0〜Dj(j:自然数)の入出力を行なうデータ入出力端子63とからなる上記回路入出力端子34を備えており、記憶回路選択回路45により決定された不揮発性記憶回路44,46の回路入出力端子34と外部入出力端子48との接続が、記憶回路選択回路45により行われる。
【0215】
上記回路入出力端子34から、それぞれの不揮発性記憶回路7への記録再生動作については、図8の場合と同様にして行われる。
【0216】
上記構成の不揮発性記憶カードにおいては、複数の不揮発性記憶回路が積層され、大容量の記憶容量を実現可能であるとともに、不揮発性記憶カードが有する外部入出力端子の数を必要最小限(記憶回路選択回路45の外部入出力端子48の数)とすることが可能である。従って、記録再生装置の入出力システムを簡略化でき、低価格な記録再生装置を提供することができる。
【0217】
また、上記実施形態においては、アドレスバッファ13、電源回路22、制御信号バッファ14、制御回路15、データ入力バッファ21、データ出力バッファ20が、それぞれの不揮発性記憶回路44,46に設けられた構成について説明したが、これらの回路(不揮発性記憶素子7のドライバ回路)を記憶回路選択回路45にまとめて設けることにより、個々の不揮発性記憶回路に含まれる記録再生制御回路の規模が小さくなり、不揮発性記憶回路の形成プロセスの簡略化と低コスト化を実現することができる。
【0218】
【実施例】
〔実施例1〕
本発明の実施例1として、図1及び図2に示す構成の不揮発性記憶素子を作製した。
【0219】
実施例1の不揮発性記憶素子は、ガラス基板1上に、幅が1μmであり、膜厚が50nmのAl配線からなる第1導電体2と第2導電体4とが、膜厚が50nmのSiO2からなる絶縁膜3を介して積層され、第2導電体4の重なり部分6において、第1導電体2の一方の側端面25と第2導電体4の一方の側端面26とを電気的に接続する第3導電体5が設けられている。
【0220】
第3導電体5は、第1導電体2及び第2導電体4と同じAlを用い、膜厚を25nmとし、第1導電体2及び第2導電体4の側端面と接触する部分の幅を0.5μmとした。
【0221】
次に、一本の第1導電体X4に、5Vの電圧を印加し、一本の第2導電体Y3を抵抗を介して接地することにより、第1導電体X4から第2導電体Y3へと電流を流した。その結果、第1導電体X4と第2導電体Y3とを接続する第3導電体5のみを溶断することができた。また、同様にして、第1導電体X7から第2導電体Y3へと電流を流すことにより、第1導電体X7と第2導電体Y3とを接続する第3導電体5のみを溶断することができた。
【0222】
次に、第2導電体Y3に、2.5Vの電圧を印加することにより、第2導電体Y3に接続された第3導電体5に、溶断が発生していない第1導電体X1,X2,X3,X5,X6,X8には、約2.5Vの電圧が誘起されることが確認できた。これに対し、第3導電体5に溶断の発生している第1導電体X4,X7には、電圧が誘起されなかった。
【0223】
以上のことから、実施例1の不揮発性記憶素子においては、選択された1つの上記第1導電体2と、選択された1つの上記第2導電体4との間に電位差を設け、該第1導電体2と該第2導電体4とを接続する上記第3導電体5を溶断することにより、情報を記録することが可能であり、さらに、上記第1導電体2、もしくは、上記第2導電体4のいずれか一方の導電体に、上記第3導電体5における溶断が発生しない程度の電圧を印加して、他方の導電体の電位を検出することにより、上記第3導電体5における溶断の有無を判断し、情報を再生することが可能であることがわかる。
【0224】
次に、同じ構成の不揮発性記憶素子における第3導電体5の寸法を変更して、溶断の発生の有無を調査した結果、第3導電体5の幅を狭くし、第3導電体5の膜厚を薄くする程、第3導電体5の溶断に必要な電圧が小さくなることが確認された。また、第3導電体5の幅と膜厚を、第1導電体2及び第2導電体4と同一にすると、第1導電体2もしくは第2導電体4における溶断の発生が確認された。
【0225】
従って、第3導電体5の幅と膜厚は、少なくとも、第1導電体2もしくは第2導電体4の幅と膜厚よりも小さくすれば、第1導電体3、及び、第2導電体5に溶断を発生させることなく、第3導電体6のみを溶断することが可能であると言える。また、低消費電力を実現するためには、低電圧での第3導電体5の溶断が望ましい。そのためには、第3導電体5の幅を0.8μm以下、または第3導電体5の膜厚を40nm以下とすることが望ましく、第3導電体5の幅及び膜厚を、それぞれ、0.8μm以下及び40nm以下とすることがさらに望ましい。
【0226】
また、第3導電体5の幅と膜厚を小さくし過ぎると、未記録状態の第3導電体5の断線が発生することになる。未記録状態における断線を使用可能な程度に避けるためには、第3導電体5の幅を0.1μm以上、または第3導電体5の膜厚を10nm以上とすることが望ましく、第3導電体5の幅及び膜厚を、それぞれ、0.1μm以上及び10nm以上とすることがさらに望ましい。
【0227】
さらに、未記録状態における断線を完全に避けるためには、第3導電体5の幅を0.2μm以上、または第3導電体5の膜厚を20nm以上とすることが望ましく、第3導電体5の幅及び膜厚を、それぞれ、0.2μm以上及び20nm以上とすることがさらに望ましい。
【0228】
〔実施例2〕
本発明の実施例2として、図3及び図4に示す構成の不揮発性記憶素子を作製した。
【0229】
実施例2の不揮発性記憶素子は、ガラス基板1上に、幅が1μmであり、膜厚が50nmのAl配線からなる第1導電体2と第2導電体4とが、膜厚が50nmのSiO2からなる絶縁膜3を介して積層され、第2導電体4の重なり部分6において、第1導電体2の両方の側端面と第2導電体4の両方の側端面とを、それぞれ、電気的に接続する第3導電体5が設けられている。
【0230】
第3導電体5は、第1導電体2及び第2導電体4と同じAlを用い、膜厚を12nmとし、第1導電体2及び第2導電体4の側端面と接触する部分の幅を0.15μmとした。膜厚及び幅を、実施例1より小さい値に設定したのは、1つの交差位置あたりの第3導電体5による接続箇所が実施例1より多いため、同じ設定では抵抗値が下がって溶断しにくくなるからである。
【0231】
次に、一本の第1導電体X5に、5Vの電圧を印加し、一本の第2導電体Y3を抵抗を介して接地することにより、第1導電体X5から第2導電体Y3へと電流を流した。これにより、第1導電体X5と第2導電体Y3とを接続する第3導電体5のみを溶断することができた。また、同様にして、第1導電体X7から第2導電体Y3へと電流を流すことにより、第1導電体X7と第2導電体Y3とを接続する第3導電体5のみを溶断することができた。
【0232】
次に、第2導電体Y3に、2.5Vの電圧を印加することにより、第2導電体Y3に接続された第3導電体5に溶断の発生していない第1導電体X1,X2,X3,X4,X6,X8には、約2.5Vの電圧が誘起されることが確認できた。これに対し、交差する位置の第3導電体5に溶断の発生している第1導電体X5,X7には、電圧が誘起されなかった。
【0233】
以上のことから、実施例2の不揮発性記憶素子においては、選択された1つの上記第1導電体2と、選択された1つの上記第2導電体4との間に電位差を設け、該第1導電体2と該第2導電体4とを接続する上記第3導電体5を溶断することにより、情報を記録することが可能であり、さらに、上記第1導電体2、もしくは、上記第2導電体4のいずれか一方の導電体に、上記第3導電体5における溶断が発生しない程度の電圧を印加し、他方の導電体の電位を検出することにより、上記第3導電体5における溶断の有無を判断し、情報を再生することが可能であることがわかる。
【0234】
第1導電体2及び第2導電体5の片側の側端面のみを接続した実施例1において、未記録状態における断線を完全に避けるためには、第3導電体5の幅及び膜厚を、それぞれ、0.2μm以上及び20nm以上とすることが最適であった。これに対して、第1導電体2及び第2導電体5の両側の端部を接続した実施例2においては、第3導電体5の幅を0.15μmとし、膜厚を12nmとした場合においても、未記録状態における断線を完全に避けることができた。これは、両側の側端面を接続することにより、片側の側端面で断線が発生しても、他方の側端面で接続が維持されたことによるものである。
【0235】
このように、第2実施例においては、第1導電体2と第2導電体4の両側の側端面が、それぞれ、電気的に接続されていることにより、断線による不揮発性記憶素子の初期不良を低減することができる。また、第3導電体5の膜厚を薄くすることが可能となり、第3導電体5の形成プロセス(成膜、エッチング)を簡略化できる。
【0236】
〔実施例3〕
本発明の実施例3として、図11に示す構成の不揮発性記憶素子を作製した。
【0237】
実施例11の不揮発性記憶素子は、ガラス基板1上に、幅が1μmであり、膜厚が50nmのAl配線からなる第1導電体2と第2導電体4とが、膜厚が50nmのSiO2からなる絶縁膜3を介して積層され、第1導電体2と第2導電体4の交差部における4つの角部の1つを中心として、1μm角のパターン除去領域29が形成されている。
【0238】
さらに、パターン除去領域29において、第1導電体2の側端面と第2導電体4の側端面とを、互いに電気的に接続する第3導電体5が設けられている。第3導電体5は、第1導電体2及び第2導電体4と同じAlを用い、膜厚を20nmとし、第1導電体2及び第2導電体4の端部と接触する部分の幅、つまり幅方向の接触長さが0.4μmとなるようにした。
【0239】
次に、一本の第1導電体X3に、5Vの電圧を印加し、一本の第2導電体Y6を抵抗を介して接地することにより、第1導電体X5から第2導電体Y6へと電流を流した。これにより、第1導電体X5と第2導電体Y6とを接続する第3導電体5のみを溶断することができた。また、同様にして、第1導電体X7から第2導電体Y6へと電流を流すことにより、第1導電体X7と第2導電体Y6とを接続する第3導電体5のみを溶断することができた。
【0240】
次に、第2導電体Y6に、2.5Vの電圧を印加することにより、第2導電体Y6に接続された第3導電体5に溶断の発生していない第1導電体X1,X2,X4,X5,X6,X8には、約2.5Vの電圧が誘起され、第3導電体5に溶断の発生している第1導電体X3,X7には、電圧が誘起されなかった。
【0241】
以上のことから、実施例3の不揮発性記憶素子においては、選択された1つの上記第1導電体2と、選択された1つの上記第2導電体4との間に電位差を設け、該第1導電体2と該第2導電体4とを接続する上記第3導電体5を溶断することにより、情報を記録することが可能であり、さらに、上記第1導電体2、もしくは、上記第2導電体4のいずれか一方の導電体に、上記第3導電体5における溶断が発生しない程度の電圧を印加し、他方の導電体の電位を検出することにより、上記第3導電体5における溶断の有無を判断し、情報を再生することが可能であることがわかる。
【0242】
実施例3においても、実施例1と同様に、第1導電体2と第2導電体4とは、それぞれの側端面において、第3導電体5により電気的に接続されているため、実施例1で説明したのと同様な膜厚及び幅の範囲を有する第3導電体5を用いることが可能である。
【0243】
〔実施例4〕
本発明の実施例4として、実施例1と同一の構成の不揮発性記憶素子を、第1導電体2及び第2導電体4を構成する材料の融点よりも低い融点を有する第3導電体5を用いて作製した。
【0244】
ここでは、第1導電体2及び第2導電体4として、融点が660℃のAlを用い、第3導電体5として、Al,Zn,Sn,Biを用いた実施例について説明する。Zn,Sn,Biの融点は、それぞれ、420℃,232℃,274℃であった。
【0245】
第1導電体2及び第2導電体4は、実施例1と同じく、その幅を1μmとし、その膜厚を50nmとした。また、第3導電体5については、それぞれ、その幅を0.8μmとし、その膜厚を40nmとした。
【0246】
一本の第1導電体X4に、実施例1よりも低い4Vの電圧を印加し、一本の第2導電体Y3を抵抗を介して接地することにより、第3導電体5の溶断発生について調べた。その結果、第3導電体5としてAlを用いた場合、実施例1と比較して印加する電圧が低いため、第3導電体5の溶断が発生しなかったのに対して、第3導電体5としてZn,Sn,Biを用いた場合、実施例1と比較して、印加する電圧が低いにもかかわらず、第3導電体5の溶断が発生した。
【0247】
すなわち、第3導電体5として、第1導電体2及び第2導電体4の融点よりも低い融点を有する材料を用いることにより、より低電圧での溶断、すなわち、情報の記録が可能であることが確認された。
【0248】
また、同様な実験を、AlZn合金(例えば融点510℃),AlSn合金(例えば融点320℃),AlBi合金,ZnSn合金を用いて行った結果、同様に、低電圧での溶断が可能であることが確認された。
【0249】
本発明は上述した各実施形態及び実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態及び実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態及び実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0250】
【発明の効果】
本発明に係る不揮発性記憶素子は、以上のように、絶縁膜を間に挟んで絶縁された第1導電体と第2導電体とを有し、第1導電体、絶縁膜及び第2導電体の積層構造における、第1導電体及び第2導電体の側端面同士が、第1導電体と第2導電体との間に与えた電位差によって溶断する第3導電体により電気的に接続されていることを特徴としている。
【0251】
それゆえ、第1導電体と第2導電体とに積層構造を取らせたので、不揮発性記憶素子の占有面積を小さくすることができるので、記憶容量の大きなヒューズ型の不揮発性記憶素子を提供することができる。
【0252】
また、第3導電体の素材選択や、パターン幅選択、あるいは膜厚選択に自由度を持たせることができ、さらに、積層構造の利点として、第1導電体および第2導電体の膜厚についても互いの制約が緩和されるので、消費電力を下げたり、記憶容量を増大させたりする等の設計が容易になるという効果を併せて奏する。
【0253】
また、本発明に係る不揮発性記憶素子は、以上のように、絶縁膜を間に挟んで絶縁された複数の第1導電体と複数の第2導電体と、第1導電体と第2導電体との間に与えた電位差によって溶断する第3導電体とを有し、該第1導電体と該第2導電体とがマトリクス状に互いに交差するように配置され、第1導電体、絶縁膜及び第2導電体の交差位置における積層構造における、第1導電体及び第2導電体の側端面同士が、上記第3導電体により電気的に接続されていることを特徴としている。
【0254】
それゆえ、複数の第1導電体と複数の第2導電体とから、それぞれ1つずつ第1導電体と第2導電体とを選択して電位差を与えることにより、その交差位置に存在する第3導電体に対し、記録再生を実施することが可能となる。
【0255】
また、各交差位置では、第1導電体と第2導電体とに積層構造を取らせているので、単位記憶素子の占有面積を小さくすることができる。
【0256】
しかも、第3導電体の素材選択には自由度が有り、かつ第3導電体のパターン幅が、第1導電体及び第2導電体のパターン幅から受ける制約を緩和することができる。
【0257】
したがって、複数の単位記憶素子を集積した不揮発性記憶素子の単位面積あたりの記憶容量を上げることができる。
【0258】
さらに、第2導電体をマスクとした絶縁膜のエッチングを行うことにより、第1導電体と第2導電体との接続部分(側端面)を、その交差位置において露出させることが、絶縁膜のパターニングと同時に可能となる。この結果、不揮発性記憶素子形成プロセスの簡略化による低コスト化が実現するという種々の効果を併せて奏する。
【0259】
また、本発明に係る不揮発性記憶素子は、以上のように、上記の構成に加えて、上記積層構造における第3導電体の配設部において、第1導電体、絶縁膜及び第2導電体の各側端面が略面一状に形成されていることを特徴としている。
【0260】
それゆえ、上記の効果に加えて、第3導電体の接続面も略面一状となるので、第3導電体には断線不良が発生するような段差(屈曲)が生じない。この結果、断線不良を抑制し、断線による初期不良素子の発生割合を相対的に低減することができるというさらなる効果を奏する。
【0261】
また、本発明に係る不揮発性記憶素子は、以上のように、上記の構成に加えて、上記第3導電体の幅が、該第1導電体の幅、及び、該第2導電体の幅よりも狭いことを特徴としている。
【0262】
それゆえ、上記の効果に加えて、第3導電体の抵抗を大きくすることができ、抵抗の大きい第3導電体のみにおいて、温度を上昇させることができる。この結果、第3導電体のみを安定して溶断することができるので、不揮発性記憶素子の信頼性を向上させることができるというさらなる効果を奏する。
【0263】
また、本発明に係る不揮発性記憶素子は、以上のように、上記の構成に加えて、上記第3導電体の膜厚が、該第1導電体の膜厚、及び、該第2導電体の膜厚よりも薄いことを特徴としている。
【0264】
それゆえ、上記の効果に加えて、第3導電体の抵抗を大きくすることができ、抵抗の大きい第3導電体のみにおいて、温度を上昇させることができる。この結果、第3導電体のみを安定して溶断することができるので、不揮発性記憶素子の信頼性を向上させることができるというさらなる効果を奏する。
【0265】
また、本発明に係る不揮発性記憶素子は、以上のように、上記の構成に加えて、上記の構成に加えて、上記第3導電体の融点が、該第1導電体の融点、及び、該第2導電体の融点よりも低いことを特徴としている。
【0266】
それゆえ、上記の効果に加えて、第3導電体の素材選択によって、第3導電体を溶断する確実性が増す。また、第3導電体を溶断するために必要な電位差を小さくすることもできる。これにより、安定した記録再生及び/または低消費電力を実現する不揮発性記憶素子を提供することができるというさらなる効果を奏する。
【0267】
また、本発明に係る不揮発性記憶素子は、以上のように、上記の構成に加えて、上記各交差位置の少なくとも1箇所における第3導電体の切断により、情報が記録されていることを特徴としている。
【0268】
これにより、既に説明したとおり、大容量の情報を記録した不揮発性記憶素子を提供することができる。
【0269】
また、本発明に係る不揮発性記憶素子は、以上のように、上記の構成に加えて、直線帯状の上記第1導電体が、互いに並列的に配置され、該第1導電体と交差する帯状の上記第2導電体が、第1導電体の延伸方向に平行な重なり部分を持って配され、該重なり部分において、該第1導電体の側端面と該第2導電体の側端面とが、上記第3導電体により電気的に接続されていることを特徴としている。
【0270】
それゆえ、上記の効果に加えて、第2導電体の重なり部分をマスクとして利用することで、第1導電体の側端面と第2導電体の側端面とを露出させる工程を、絶縁膜のパターニングプロセスにおいて同時に行うことができるので、不揮発性記憶素子の製造プロセスを簡素化することができるというさらなる効果を奏する。
【0271】
また、本発明に係る不揮発性記憶素子は、以上のように、上記の構成に加えて、直線帯状の上記第1導電体が、互いに並列的に配置され、該第1導電体と交差する直線帯状の上記第2導電体が、互いに並列的に配置され、該第1導電体と該第2導電体との交差位置において、該第1導電体の側端面と該第2導電体の側端面とが、上記第3導電体により電気的に接続されていることを特徴としている。
【0272】
それゆえ、上記の効果に加えて、第1導電体、及び、第2導電体が、いずれも、直線帯状の導電体で構成され、屈曲部を有さないことにより、単位面積当たりにおける交差位置の数を、屈曲部を持つ構成に比べて増やすことができる。従って、不揮発性記憶素子の記憶容量をさらに増大させることができるというさらなる効果を奏する。
【0273】
また、本発明に係る不揮発性記憶素子は、以上のように、上記構成に加えて、上記第1導電体と第2導電体の各側端面を上記第3導電体により接続する箇所は、上記重なり部分毎に少なくとも2箇所有ることを特徴としている。
【0274】
それゆえ、上記の効果に加えて、第3導電体による接続箇所が、重なり部分毎に2箇所以上有るため、一方の第3導電体が断線したとしても、他方の第3導電体が、接続を維持できる。この結果、断線による初期不良素子を大幅に低減することができるというさらなる効果を奏する。
【0275】
また、本発明に係る不揮発性記憶回路は、以上のように、上記の構成に加えて、上記不揮発性記憶素子が記録再生制御回路を有する半導体層上に設けられており、複数の上記第1導電体、及び、複数の上記第2導電体が、それぞれ、該記録再生制御回路に接続され、かつ、該記録再生制御回路が回路入出力端子に接続されていることを特徴としている。
【0276】
それゆえ、それぞれの第1導電体、及び、第2導電体を直接選択することなく、回路入出力端子に対して、アドレス情報と記録情報だけを入力することにより、第1導電体、及び、第2導電体が選択され、第3導電体に対する記録再生が行われる。従って、不揮発性記憶回路としての利便性が格段に改善されるという効果を奏する。
【0277】
また、本発明に係る不揮発性記憶回路は、以上のように、上記の構成に加えて、複数の上記不揮発性記憶素子が上記半導体層上に設けられており、該不揮発性記憶素子毎に記録再生制御回路を設けたことを特徴としている。
【0278】
それゆえ、上記の効果に加えて、欠陥による記憶容量の低下を抑制することが可能となる。すなわち、該不揮発性記憶素子毎に記録再生制御回路を設けたので、個々の不揮発性記憶素子における配線長が、相対的に短くなる。これにより、一箇所の断線により失われる記憶素子の数を低減することが可能となる。
【0279】
また、複数の不揮発性記憶素子が、それぞれに対応した記録再生制御回路を有することで、それぞれの記録再生制御回路に対して、配線の幅を相対的に広げることができる。従って、配線欠陥による記憶素子の損失を低減することが可能となるというさらなる効果を併せて奏する。
【0280】
また、本発明に係る不揮発性記憶回路は、以上のように、上記の構成に加えて、上記記録再生制御回路を形成するための半導体層が、基板上に設けられた非晶質Si層、基板上に設けられた多結晶Si層、もしくは、基板上に設けられた非晶質Si層を局所的に温度上昇させることにより作製された多結晶Si層のいずれかであることを特徴としている。
【0281】
それゆえ、上記の効果に加えて、基板材料が限定されることがなくなり、低価格で、かつ、記憶容量の大きい不揮発性記憶回路を形成することが可能となるというさらなる効果を奏する。
【0282】
さらに、上記非晶質Si層を局所的に温度上昇させて、多結晶Si層とすることにより、電子移動度を大きくすることが可能である。従って、本発明の不揮発性記憶回路を、低価格で、かつ、記憶容量が大きく、かつ、高速記録再生可能な不揮発性記憶回路とすることができるというさらなる効果を併せて奏する。
【0283】
また、本発明に係る不揮発性記憶回路は、以上のように、上記の構成に加えて、上記不揮発性記憶素子が、半導体層上に設けられた記録再生制御回路の上に、絶縁膜を介して設けられており、複数の上記第1導電体、及び、複数の上記第2導電体が、それぞれ、該記録再生制御回路に接続され、かつ、該記録再生制御回路が回路入出力端子に接続されていることを特徴としている。
【0284】
それゆえ、上記の効果に加えて、記録再生制御回路上に、絶縁膜を介して、不揮発性記憶素子を立体的に設けることができるので、不揮発性記憶回路を小型化すること、または不揮発性記憶回路の記憶容量を増大させることができるというさらなる効果を奏する。
【0285】
また、本発明に係る不揮発性記憶回路は、以上のように、上記の構成に加えて、上記不揮発性記憶回路が、複数積層されて設けられていることを特徴としている。
【0286】
それゆえ、上記の効果に加えて、複数の不揮発性記憶回路が積層されることにより、積層数に応じて、その記憶容量を増大させることができるというさらなる効果を奏する。
【0287】
また、本発明に係る不揮発性記憶回路は、以上のように、上記の構成に加えて、複数の上記不揮発性記憶回路が有する回路入出力端子が、積層方向に重ならないように設けられていることを特徴としている。
【0288】
それゆえ、上記の効果に加えて、積層された複数の不揮発性記憶回路のそれぞれの素子入出力端子に対して、アドレス情報や記録情報を直接入出力することが可能となり、高速な記録再生動作を実現することができるというさらなる効果を奏する。
【0289】
また、本発明に係る不揮発性記憶回路は、以上のように、上記の構成に加えて、外部入出力端子に接続された記憶回路選択回路を有し、複数の上記不揮発性記憶回路の回路入出力端子が、該記憶回路選択回路に接続され、該記憶回路選択回路には、記録再生を行う不揮発性記憶回路を選択する第1の選択信号と、選択された不揮発性記憶回路の活性化すべき第1導電体及び第2導電体を選択する第2の選択信号と、記録再生すべき情報信号とが、外部入出力端子を介して入力されることを特徴としている。
【0290】
それゆえ、上記の効果に加えて、同じ外部入出力端子を介して、第1の選択信号、第2の選択信号及び情報信号が記憶回路選択回路に入力され、これによって記録再生すべき不揮発性記憶回路中の記録再生すべき第3導電体を選択して、情報を記録することができる。
【0291】
従って、複数の不揮発性記憶回路で構成された大容量の不揮発性記憶回路に対して、情報の記録再生を行うのに必要な情報の入出力を、外部入出力端子の数を低減させた簡便な構成で行うことが可能となるので、利便性に優れた不揮発性記憶回路を提供することができるというさらなる効果を奏する。
【0292】
また、本発明に係る不揮発性記憶カードは、以上のように、上記の構成に加えて、上記不揮発性記憶回路が、カード状基板上に設けられたことを特徴としている。
【0293】
それゆえ、大きな記憶容量の不揮発性記憶回路を有する可搬性及び利便性に優れた不揮発性記憶カードを実現することが可能であるというさらなる効果を奏する。
【0294】
また、本発明に係る記録再生装置は、以上のように、上記不揮発性記憶素子、もしくは、上記不揮発性記憶回路、もしくは、上記不揮発性記憶カードに対して、情報の記録再生を行うことを特徴としている。
【0295】
それゆえ、本発明の記録再生装置は、不揮発性記憶素子の第1導電体及び第2導電体に記録用の電圧または再生用の電圧を印加することで、記録再生を行うことができるので、記録再生に固定的なコネクタ等を適用することができる。従って、本発明の記録再生装置は、可動部を有さず、極めて信頼性の高い記録再生装置を実現することができるという効果を奏する。
【0296】
さらに、本発明の不揮発性記憶素子、及び、不揮発性記憶回路は、配線パターンである第1導電体と第2導電体の交差点において、第1導電体の端部と第2導電体の端部とを接続する第3導電体を有するという、極めて簡単な構成により、情報の記録再生が可能であり、低価格かつ大容量な不揮発性記憶素子、及び、不揮発性記憶回路を提供することが可能である。
【0297】
また、該不揮発性記憶素子、及び、該不揮発性記憶回路を積層して配置することにより、さらに大容量の不揮発性記憶素子を提供することが可能である。
【0298】
従って、本発明に係る上記不揮発性記憶素子、もしくは、上記不揮発性記憶回路、もしくは、上記不揮発性記憶カードを用いた記録再生装置においては、動画等の大容量の情報を安価な不揮発性記憶素子に記憶することが可能となるというさらなる効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の不揮発性記憶素子の平面構成例を示す説明図である。
【図2】(a),(b)は、図1の単位記憶素子の積層構造を、図1のA−A’線に沿って示す説明図である。
【図3】本発明の不揮発性記憶素子の他の平面構成例を示す説明図である。
【図4】(a),(b)は、図3の単位記憶素子の積層構造を、図3のA−A’線に沿って示す説明図である。
【図5】本発明の不揮発性記憶素子の等価回路図である。
【図6】本発明の不揮発性記憶素子の記録再生に使用する半導体回路の回路図である。
【図7】上記半導体回路の記録状態を示す回路図である。
【図8】本発明の不揮発性記憶回路の構成を示す概略ブロック図である。
【図9】(a)〜(d)は、図1及び図2に示す不揮発性記憶素子の形成方法を示す工程説明図である。
【図10】(a)〜(d)は、図3及び図4に示す不揮発性記憶素子の形成方法を示す工程説明図である。
【図11】本発明の不揮発性記憶素子のさらに他の平面構成例を示す説明図である。
【図12】(a)〜(c)は、図11に示す不揮発性記憶素子の形成方法を示す工程説明図である。
【図13】(a)〜(c)は、図12(a)〜(c)の工程に後続する工程を示す工程説明図である。
【図14】本発明の不揮発性記憶回路における基板面の構成を説明する模式的な斜視図である。
【図15】本発明の不揮発性記憶回路の全体構成を示す模式的な斜視図である。
【図16】本発明の不揮発性記憶回路における基板面の他の構成を説明する模式的な斜視図である。
【図17】本発明の不揮発性記憶回路の他の全体構成を示す模式的な斜視図である。
【図18】本発明の不揮発性記憶回路における基板面のさらに他の構成を説明する模式的な斜視図である。
【図19】本発明の不揮発性記憶回路のさらに他の全体構成を示す模式的な斜視図である。
【図20】本発明の不揮発性記憶カードの一構成例を示す模式的な斜視図である。
【図21】本発明の不揮発性記憶カードの他の構成例を示す模式的な斜視図である。
【図22】本発明の不揮発性記憶カードのさらに他の構成例を示す模式的な斜視図である。
【図23】本発明の不揮発性記憶カードのさらに他の構成例を示す模式的な斜視図である。
【図24】図23に示す不揮発性記憶カードの最下層に搭載する不揮発性記憶回路の構成を示す概略ブロック図である。
【図25】図23に示す不揮発性記憶カードの下から2層目以上の層に搭載する不揮発性記憶回路の構成を示す概略ブロック図である。
【図26】従来の不揮発性記憶素子の平面構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板
2 第1導電体
3 絶縁膜
4 第2導電体
5 第3導電体
6 重なり部分
7 不揮発性記憶素子
8 不揮発性記憶回路
23 基板
25 側端面
26 側端面
33 Si基板
34 回路入出力端子
35、39、40 記録再生制御回路
36 不揮発性記憶素子
37 基板
38 非晶質Si薄膜(半導体層)
42 カード状基板
43、44、46 不揮発性記憶回路
45 記憶回路選択回路
48 外部入出力端子
Claims (18)
- 絶縁膜を間に挟んで絶縁された複数の第1導電体と複数の第2導電体と、第1導電体と第2導電体との間に与えた電位差によって溶断する第3導電体とを有し、
該第1導電体、該絶縁膜および該第2導電体がこの順で積層されており、
該第1導電体と該第2導電体とがマトリクス状に互いに交差するように配置され、少なくとも該第1導電体と該第2導電体との各交差位置において該絶縁膜が第2導電体の延伸方向と同じ方向に延びるように形成されており、
上記第3導電体は、第1導電体、絶縁膜及び第2導電体からなる積層構造における、該第1導電体と該第2導電体との各交差位置において、該第1導電体の側端面と、該第2導電体の側端面と、該第2導電体の上表面の少なくとも一部と、を電気的に接続しており、
上記各交差位置には、第1導電体と第2導電体とが平行となる部分が含まれ、当該平行となる部分の第1導電体と第2導電体との各側端面に上記第3導電体が接続されており、
上記積層構造における第3導電体の配設部において、第1導電体、絶縁膜及び第2導電体の各側端面が面一に形成されていることを特徴とする不揮発性記憶素子。 - 上記第3導電体の幅が、該第1導電体の幅、及び、該第2導電体の幅よりも狭いことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
- 上記第3導電体の膜厚が、該第1導電体の膜厚、及び、該第2導電体の膜厚よりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
- 上記第3導電体の融点が、該第1導電体の融点、及び、該第2導電体の融点よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
- 上記各交差位置の少なくとも1箇所における上記第3導電体の切断により、情報が記録されていることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
- 直線帯状の上記第1導電体が、互いに並列的に配置され、該第1導電体と交差する帯状の上記第2導電体が、第1導電体の延伸方向に平行な重なり部分を持って配され、該重なり部分において、該第1導電体の側端面と該第2導電体の側端面とが、上記第3導電体により電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
- 直線帯状の上記第1導電体が、互いに並列的に配置され、該第1導電体と交差する直線帯状の上記第2導電体が、互いに並列的に配置され、該第1導電体と該第2導電体との交差位置において、該第1導電体の側端面と該第2導電体の側端面とが、上記第3導電体により電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
- 上記第1導電体と第2導電体の各側端面を上記第3導電体により接続する箇所は、上記重なり部分毎に少なくとも2箇所有ることを特徴とする請求項6に記載の不揮発性記憶素子。
- 請求項1に記載の不揮発性記憶素子が記録再生制御回路を有する半導体層上に設けられており、
複数の上記第1導電体、及び、複数の上記第2導電体が、それぞれ、該記録再生制御回路に接続され、かつ、該記録再生制御回路が回路入出力端子に接続されていることを特徴とする不揮発性記憶回路。 - 複数の上記不揮発性記憶素子が上記半導体層上に設けられており、該不揮発性記憶素子毎に記録再生制御回路を設けたことを特徴とする請求項9に記載の不揮発性記憶回路。
- 上記記録再生制御回路を形成するための半導体層が、基板上に設けられた非晶質Si層、基板上に設けられた多結晶Si層、もしくは、基板上に設けられた非晶質Si層を局所的に温度上昇させることにより作製された多結晶Si層のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の不揮発性記憶回路。
- 請求項1に記載の不揮発性記憶素子が、半導体層上に設けられた記録再生制御回路の上に、絶縁膜を介して設けられており、
複数の上記第1導電体、及び、複数の上記第2導電体が、それぞれ、該記録再生制御回路に接続され、かつ、該記録再生制御回路が回路入出力端子に接続されていることを特徴とする不揮発性記憶回路。 - 請求項9に記載の不揮発性記憶回路が、複数積層されて設けられていることを特徴とする不揮発性記憶回路。
- 複数の上記不揮発性記憶回路が有する回路入出力端子が、積層方向に重ならないように設けられていることを特徴とする請求項13に記載の不揮発性記憶回路。
- 外部入出力端子に接続された記憶回路選択回路を有し、複数の上記不揮発性記憶回路の回路入出力端子が、該記憶回路選択回路に接続され、該記憶回路選択回路には、記録再生を行う不揮発性記憶回路を選択する第1の選択信号と、選択された不揮発性記憶回路の活性化すべき第1導電体及び第2導電体を選択する第2の選択信号と、記録再生すべき情報信号とが、外部入出力端子を介して入力されることを特徴とする請求項13に記載の不揮発性記憶回路。
- 請求項9に記載の上記不揮発性記憶回路が、カード状基板上に設けられたことを特徴とする不揮発性記憶カード。
- 請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の不揮発性記憶素子、もしくは、請求項9から請求項15のいずれか1項に記載の不揮発性記憶回路、もしくは、請求項16に記載の不揮発性記憶カードに対して、情報の記録再生を行うことを特徴とする記録再生装置。
- 上記第3導電体は、上記各交差位置において、上記第1導電体の側端面の片側と、上記第2導電体の側端面の、該第1導電体の側端面の片側と同じ側と、該第2導電体の上表面の少なくとも一部と、を電気的に接続していることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性記憶素子。
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