JP4488724B2 - 内圧埋設管変形部位の防護構造物 - Google Patents

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本発明は、埋設管の防護方法に関し、とくには、内圧管路の屈曲部などに作用し、水圧により管を動かそうとするスラスト(不平均)力に抵抗させるための、施工性、経済性、耐震性等に優れた内圧埋設管変形部位の防護構造物に関する。
上水道、ガスに代表されるライフラインや農業用パイプラインなどの内部に水圧が作用する内圧管路において、図1に示すように、屈曲部1のような直管部2から変形する部位に対して水圧により管を動かそうとするスラスト(不平均)力Pが作用する。とくに口径の大きい内圧管路におけるこのような変形部位においては大きなスラスト力が作用するため、適切な防護を行なわない場合には周辺地盤の崩壊や管路の損傷及び管路内部を流れる水などの漏洩により周辺環境への大きな被害をもたらす危険性がある。このような内圧管路の屈曲部等で安全性を確保したい場合には、従来、図2に示すようにコンクリート3による防護工法が施されていた。
しかしながらこのようなコンクリートによる防護構造物は、大規模な掘削や現地での長期の養生を必要とし、交通機能に大きな弊害をもたらすため、都市部で適用するにはかなりの制約がある。加えて屈曲部等のみに重量の大きなコンクリートによる防護構造物を施す場合、直管部との重量の違いによる不均一な荷重の作用により、周辺地盤や管路への悪影響をもたらすことや地震時における挙動の差異により管路に損傷を与えることが懸念されている。
そこで本発明の目的は、上記従来技術の欠点を解消するため、内圧埋設管路における屈曲部等の新規な防護構造を提供することにある。より詳細には、防護構造を容易かつ短時間に構築することができ、経済性、安定性、耐震性に優れた内圧埋設管路における屈曲部等の防護構造物を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなる。
すなわち本発明によれば、内圧埋設管の変形部位近傍に連接された網目状又はシート状の面状補強材で土質材料を囲みこむことで、内圧埋設管の変形部位と土質材料が一体化された構造体とすることを特徴とする内圧埋設管変形部位の防護構造物が提供される。
また本発明によれば、網目状又はシート状の面状補強材で内圧埋設管の変形部位と土質材料を囲みこむことで、内圧埋設管の変形部位と土質材料が一体化された構造体とすることを特徴とする内圧埋設管変形部位の防護構造物が提供される。
また本発明によれば、内圧埋設管の変形部位近傍に連接部材を取り付ける工程(1);
内圧埋設管を設置する工程(2);
内圧埋設管に取り付けた上記連接部材と面状補強材を連結する工程(3);
面状補強材を垂直方向に敷設し囲いを作る工程(4);
面状補強材で形成された囲いの中を土質材料で充填する工程(5);
により形成される内圧埋設管変形部位の防護構造物が提供される。
本発明によればまた、面状補強材を水平方向に敷設する工程(1);
内圧埋設管の変形部位近傍に連接部材を取り付ける工程(2);
水平方向に敷設した面状補強材上に内圧埋設管を設置する工程(3);
内圧埋設管に取り付けた上記連接部材と別の面状補強材を連結する工程(4);
その面状補強材を垂直方向に敷設して囲いを作る工程(5);
その面状補強材で形成された囲いの中を土質材料で充填する工程(6);
水平方向に敷設した面状補強材を巻き返し、内圧埋設管変形部位と土質材料を包み込む工程(7);
により形成される内圧埋設管変形部位の防護構造物が提供される。
本発明によればまた、面状補強材を水平方向に敷設する工程(1);
内圧埋設管の変形部位近傍に連接部材を取り付ける工程(2);
水平方向に敷設した面状補強材上に内圧埋設管を設置する工程(3);
内圧埋設管に取り付けた上記連接部材と面状補強材を連結する工程(4);
面状補強材上に土質材料を撒き出し、敷き均し、転圧する工程(5);
面状補強材を巻き返し、内圧埋設管変形部位と土質材料を包み込む工程(6);
により形成される内圧埋設管変形部位の防護構造物が提供される。
本発明によればまた、面状補強材を水平方向に敷設する工程(1);
水平方向に敷設した面状補強材上に内圧埋設管を設置する工程(2);
面状補強材上に土質材料を撒き出し、敷き均し、転圧する工程(3);
面状補強材を巻き返し、内圧埋設管変形部位と土質材料を包み込む工程(4);
により形成される内圧埋設管変形部位の防護構造物が提供される。
本発明によれば、引張抵抗性、可撓性に優れた網目状あるいはシート状の面状補強材と土砂や砕石などの土質材料を中詰め材料として用いることにより、内圧埋設管の変形部位に作用するスラスト力に抵抗する経済性、施工性、安定性に優れた柔軟な埋設管の防護構造物を提供することができる。とくに柔軟で強固な面状補強材を用いて、内圧埋設管と周辺地盤と類似の土質材料とを一体化することができるので、防護構造物の柔軟性、安定性が確保されており、地震による水平方向の作用に対しても、柔軟に応答することが期待できる。
本発明において対象とする内圧埋設管路としては、水圧により管を動かそうとするスラスト力が作用する、屈曲部、T字管のような枝分かれ部、レジューサーなど、直管部から変形する部位を有するもので、とくに上水道に代表されるライフラインや農業用パイプラインなどの内圧管路が挙げられる。とくに口径が200mm以上の内圧管路の屈曲部では大きなスラスト力が作用するため、このような屈曲部を有する内圧管は、本発明の対象物として好適である。かかる内圧管として、ヒューム管、ダクタイル管、樹脂製管などを挙げることができる。一般にこれらの内圧埋設管は、掘削した地盤面に砕石基礎などによる基床などの上に設置される。
本発明においては、このような内圧埋設管の変形部位と土質材料を網目状またはシート状の面状補強材で囲みこみ一体化することで、スラスト力に対応させるものである。そのため面状補強材としては、内圧埋設管及び中詰め土質材料を保持できる程度の剛性及び強度を有するものが好ましく使用される。また一般に掘削地盤上に敷設するため、施工時の表面の不陸に対応できる程度の可撓性を有するものが好ましい。面状補強材として例えば、少なくとも一方方向への引張強度が20kN/m以上、好ましくは50〜500kN/mの可撓性を有する面状素材を使用するのが好ましい。具体的には、金属ネット、合成樹脂シートあるいは合成樹脂ネット等があるが、地下水などによる腐蝕がないことまた軽量で取り扱いやすいことから、合成樹脂製のものが好ましく、さらに施工を考える上で、面に垂直な方向に水を遮断しない透水性構造にある合成樹脂製の網状物が最も好ましい。
かかる合成樹脂製の網状ネットとしては、延伸されたフィラメントあるいはテープ等を経緯に融着、結束あるいは編織したもの、あるいは網目部の交叉部が網目部と一体的に一軸又は二軸に延伸されて交叉部自体が延伸方向に配向しているもの等が挙げられる。とくに縦方向に大きな引張強度を示す後者の一軸延伸タイプのものが好適である。網目太さ及び網目の大きさは、上記のような引張特性を備えている限り任意であるが、網目を挟む両側の層の固化処理土が接触して一体化できる程度の網目大きさを有していることが好ましい。一般的には、縦0.5〜30cm、好ましくは2.5〜25cm、横0.5〜30cm、好ましくは2〜5cm程度の網目を有するものが好適である。
また面状補強材として使用可能な合成樹脂製シート状物としては、透水性を有する不織布であって、延伸テープの解繊糸の織布と積層して補強したものや不織布上にマルチフィラメントを定間隔で縫い付けたものなどの補強不織布を例示することができる。このような補強不織布は、一般の不織布に比較して、低伸度、高引張強度である。
このような面状補強材として使用される網状物あるいはシート状物を構成する合成樹脂としては、例えばポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等の周知の熱可塑性樹脂を利用することができる。とくに耐水性、耐薬品性等に優れ、安価なポリオレフィンは好適な材料である。
本発明においては、面状補強材により内圧埋設管の変形部位と土質材料を囲みこみ一体化することによって防護構造物を形成するものであるが、その際、面状補強材を内圧埋設管に連接しておいてもよく、あるいは連接せずに内圧埋設管の変形部位と土質材料を包み込んでもよい。また連接する場合には、内圧埋設管の変形部位近傍、例えば変形部位が屈曲部である場合には、屈曲部又は屈曲部の近傍直管部に連接部材を設けておき、これに面状補強材を連結することによって行なうことができる。
連接部材は、網目状あるいはシート状の面状補強材を直接あるいは連接治具を経由して連結する機能を有するもので、そのような連結機能を有する部位を備えている限りその形状を問わない。例えば埋設管に対して任意の角度で、かつ垂直又は水平方向の平板部を有するものであって、連接治具と連結するための溶接代やボルト孔を有するものを例示することができる。これら平板の代わりにリブ状のものを使用してもよい。また平板部が、平板2枚が蝶番となっている角度調整可能なものであってもよい。このような連接部材を内圧埋設管に設置するには、溶接による方法、管に締め付け固定する方法などによって行うことができる。
内圧埋設管路と網目状又はシート状の面状補強材の連結は、内圧管路に取り付けられた連接部材と面状補強材の側辺の耳部あるいはループジョイントベルト、連接治具、接続用布をロープ、ホックリンガー、ボルトなどにより接合する方法、あるいは網目状の面状補強材に使用するネットで連接部材のジョイントパイプなどを包み込み巻き返し、面状補強材の重なり部分を合成樹脂製あるいは金属性の連結用平板、FRP製あるいは金属製の丸棒、ロープ、ホックリンガーなどの連結治具で接続する方法、網目状面状補強材の網目に挿入できる形状の連接部材に面状補強材を挿入し、合成樹脂製あるいは金属製の連結用平板、FRP製あるいは金属製の丸棒、ロープ、ホックリンガーなどの連結治具で接続する方法などが例示できる。連結強度を考慮すると、後者の方法が有効である。
図3は、このような連接部材11を内圧埋設管屈曲部1へ取り付けた部分を示す図面であって、図3(a)は正面図、図3(b)は平面図、図3(c)は図3(a)のA−A’断面図である。連接部材11の内圧埋設管締め付け部であるフレーム12は、左フレーム12aと右フレーム12bに分割されており、右フレーム12bには、補強リブ17と連接治具との連結部位となるボルト通し18を備えた平板部13が設けられている。このような連接部材を内圧埋設管に取り付けるに際しては、埋設管1の両側から左右の両フレーム12a及び12bをかぶせ、連結ボルト15で締め付けることにより両者を連結する。次いで左右の両フレーム12a及び12bの周縁に一定間隔で設けられた雄ねじ部材16により、周方向から埋設管を押圧することによって連接部材11を埋設管に固定することができる。
連接部材11としては、管締め付け部であるフレームが図3のような二つ割り構造のものではなく、一体構造となったものを使用することができる。また図3における雄ねじ部材16による締め付け機構の代わりに、フレーム内周面に管体の外面を受けとめる複数のエッジ部を設けたものを使用し、左フレームと右フレームを連結ボルト15で連結したときに、エッジ部の管体への食い込み作用によって管に固定するものを使用することができる。
図4に埋設管に直接溶接によって連接部材21を設けた例を示す。図4(a)において、内圧埋設管屈曲部1の面状補強材を連結する側に、管径とほぼ同じ高さの平板状の連接部材21を溶接により取り付けている。図4(b)において、この連接部材21に、長尺の連結用平板を嵌挿するため、山高に作られた保持部24を有する連接治具22を溶接により取り付けている。このような連接部材21を用いて、図4(c)及び(d)に示すように、網目状面状補強材4の先端部を連接治具22の網目に挿入し、連結用平板23を連接治具22の保持部24に通すことにより、面状補強材を埋設管に連結することができる。
図5は、内圧埋設管屈曲部1近傍2箇所に連接された網目状面状補強材4で土質材料5を囲みこみ、内圧埋設管屈曲部1と土質材料5が一体となった防護構造物を示す図面である。図5(a)は平面図、図5(b)は右側面図、図5(c)は図5(a)のA−A’断面図、図5(d)は図5(a)のB−B’断面図である。このような防護構造体は次のようにして構築することができる。
掘削現場に載置された内圧埋設管の直管部2と曲管部1の結合部近傍に、管外径にほぼ等しい高さの連結部位6a及び7aを有する連接部材6及び7を溶接によりを取り付けている。網目状面状補強材4のシートの両先端を連結部材6a及び7aに連結し、面状補強材4を垂直方向に立てて図示するような囲いを作り、そこに土質材料5を充填することによって防護構造体が完成される。
図6は面状補強材8を用いて上下方向から、埋設管屈曲部1及び土質材料5を包み込んだ構造の防護構造体を示す図面であり、図6(a)は平面図、図6(b)は右側面図、図6(c)は図6(a)のA−A’断面図、図6(d)は図6(a)のB−B’断面図である。このような防護構造体は次のようにして構築することができる。
すなわち掘削現場に図6(a)の左右方向に充分な長さの面状補強材8を敷設し、その上に内圧埋設管の直管部2と曲管部1の結合部近傍に連接部材9a及び9bを取り付けた内圧埋設管を載置する。平板状の連接部位10a及び10bが、連接部材9a及び9bの管締め付け部の上下部に取り付けられており、両者は連結されている。面状補強材8と連接部材9a及び9bの下部連接部位10bとは、連結ボルト(図示しない)により連結されている。面状補強材8上、屈曲部1の前方及び後方に土質材料5を撒きだし、埋設管高さまで盛土し転圧する。ついで面状補強材8を巻き返して、内圧埋設管と土質材料5を包み込み、連接部材9a及び9bの上部連接部位10a上で重ね合わせ、連接部位10aに連結して固定し、防護構造体が構築される。
図6の態様においては、連接部材が使用されたが、連接部材を使用せずに同様な操作を行ない、巻き返して盛土上部で重ね合わされた面状補強材の端部網目同士をかみ合わせ、長尺状の連結用平板で固定することによって同様の防護構造体を構築することができる。また、図6における態様のように、充分な長さの面状補強材8を敷設し連接部材9a及び9bを取り付けた内圧埋設管を載置し、さらに図5における態様の様に連接部材9a及び9bに他の面状補強材4を垂直方向に敷設して囲いを作り、面状補強材8上の囲いの部分と埋設管屈曲部1の後方部に盛土し、さらに面状補強材8を巻き返して面状補強材4と8により土質材料5と管屈曲部1とを上下左右方向から包み込むような防護構造物とすることもできる。
上記のように充填して内圧埋設管との一体化に用いられる土質材料としては、砕石や現地発生土などを用いることができるが、単位体積重量が比較的大きな材料が望ましい。このような工程で構築される防護構造物は、主に現地発生土(掘削土砂)を用いて埋め戻される。
内圧埋設管屈曲部のスラスト力の方向を示す図面である。 内圧埋設管の屈曲部のコンクリートによる防護構造を示す図面である。 内圧埋設管の連接部材の一例を示す図面である。 内圧埋設管の屈曲部近傍に設けた連接部材に、連接治具を介して面状補強材を連結する例を示す図面である。 内圧埋設管屈曲部近傍に連接した網目状面状補強材により、内圧埋設管と土質材料を一体化して形成された防護構造物を示す図面である。 内圧埋設管屈曲部と土質材料を網目面状補強材により包み込んで一体化して形成された防護構造物を示す図面である。
符号の説明
1 内圧埋設管屈曲部
2 内圧埋設管直管部
3 コンクリート構造物
4 網目状面状補強材
5 土質材料
6 連接部材
7 連接部材
8 網目状面状補強材
9a、9b 連接部材
10a、10b 連接部位
11 管締め付け具
12 フレーム
21 連接部材
22 連接治具
23 連結用平板
24 保持部

Claims (2)

  1. 面状補強材を水平方向に敷設する工程(1);
    内圧埋設管の変形部位近傍に連接部材を取り付ける工程(2);
    水平方向に敷設した面状補強材上に内圧埋設管を設置する工程(3);
    内圧埋設管に取り付けた上記連接部材と別の面状補強材を連結する工程(4);
    その面状補強材を垂直方向に敷設して囲いを作る工程(5);
    その面状補強材で形成された囲いの中を土質材料で充填する工程(6);
    水平方向に敷設した面状補強材を巻き返し、内圧埋設管変形部位と土質材料を包み込む工程(7);
    により形成される内圧埋設管変形部位の防護構造物。
  2. 内接埋設管の変形部位が、屈曲部、枝分かれ部又はレジューサー部である請求項1に記載の内圧埋設管変形部位の防護構造物。
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