JP4487352B2 - 通信端末装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報通信機能及びストレージ機能を小型モジュール内に集約した新規な通信端末装置に関するものであり、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話、ビデオ機器、オーディオ機器等のホスト機器とネットワークとを接続するための着脱自在な超小型通信端末装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、音楽や、音声、画像などのデータがデジタル化され、パーソナルコンピュータやモーバイルコンピュータで容易に扱える様になってきた。また、音声コーデックや画像コーデックにより帯域が圧縮され、デジタル通信やデジタル放送を利用してそれらのデータを容易に配信できる環境が整ってきている。
【0003】
これらオーディオ−ビデオ(AV)データの通信においては、セルラー電話やコードレスフォン等により戸外での送受信が可能になってきている他、家庭内でも様々なホームネットワークが提案されている。
【0004】
上記通信のためのネットワークとしては、例えばIEEE802.11において提案されているような5GHz帯のホームネットワーク、2.45GHz帯のLAN、さらには“Bluetooth ”と呼ばれる小規模ネットワーク、ワイヤレスコミュニケーション方式等が提唱されており、次世代ワイヤレスネットワークとして期待されている。
【0005】
家庭内や戸外でこれらのワイヤレスネットワークを用いることにより、シームレスに様々なデータのやり取り、インターネットへのアクセス、インターネット上へのデータの送受信等が可能になる。
【0006】
ただし、このような環境を実現するためには、音楽やビデオを再生、記録するいわゆるAV機器も通信機能を装置に装着する必要が生ずる。
【0007】
一方、AVデータのデジタル化は、データの記録、蓄積の面から見たとき、ハードディスクや光磁気(MO)ディスク、あるいは半導体メモリ等、コンピュータのストレージへの記録、蓄積が可能であることを意味し、それぞれ独自のフォーマットを持った従来のアナログ記録方式(例えばオーディオコンパクトカセット、VHS方式ビデオカセット、いわゆるレーザディスク等)に取って代わる様相を呈している。
【0008】
特に、フラッシュメモリ等の半導体メモリは、記録容量当たりの体積が非常に小さく、着脱可能なメモリモジュールとして独自のインターフェースを持ったものが、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、携帯型音響機器、ノート型パソコン等に採用されはじめており、このメモリモジュールを用いて、音楽、画像等のデータの機器から機器への移動や移植、記録、蓄積が行われるようになってきている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、個人用のAV機器にも、あらゆるネットワークへの接続のためのインターフェースが必要になってきているが、例えば個人用に携帯性を重視して作られる,いわゆるモバイル機器においては、複数の通信ポートを設けたり、複数の通信ハードウエアを内蔵するのは非常に負担が大きく、普及の妨げになっている。
【0010】
また、様々なワイヤレスコミュニケーション手段を装着することも、携帯機器には非常に重荷であり、特に無線通信方式を用いる複数の異なる通信手段の同時搭載は、同一の帯域や、異なる帯域でも混信やお互いの干渉などの問題を引き起こす可能性があり、好ましくない。
【0011】
一方で、前述のメモリモジュールは、通常はモジュール自体を抜き差しして、データの移動、移植、蓄積を行うが、これらの作業は非常に煩雑であり、その改善が待たれるところである。
【0012】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、AV機器等のホスト機器に大きな負担を強いることなく簡単に通信機能を付与することができ、各種データをこの通信機能を利用してモジュールを抜き差しすることなく送受信することが可能な新規な通信端末装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
通常、ネットワークを用いての通信、特に無線通信手段においては、装置の置かれる環境に応じて1つの機能を使用できれば良く、複数を同時に使用することは殆ど無いといって良い。
【0014】
そこで、いわゆるメモリモジュールの中に通信機能を搭載すれば、メモリモジュールの有するホスト側のAV機器とのインターフェースを利用して、着脱可能な通信モジュールを提供することが可能になるものと考えられる。
【0015】
本発明は、このような考えに基づいて案出されたものであり、ホスト機器と着脱自在に接続されるコネクタ部を有し、アンテナ素子と、高周波信号処理を行う素子と、ベースバンド信号処理を行う素子と、ストレージ機能用メモリ素子とが筐体に実装され、上記高周波信号処理を行う素子と上記ベースバンド信号処理を行う素子との間、並びに上記筐体を構成する上蓋及び下蓋の間の空間を埋めるように電波吸収体が配されており、上記高周波信号処理を行う素子、ベースバンド信号処理を行う素子及びストレージ機能用メモリ素子は、上記電波吸収体により覆われ、上記高周波信号処理を行う素子、ベースバンド信号処理を行う素子及びストレージ機能用メモリ素子は、フレキシブル配線基板上に実装されており、上記フレキシブル配線基板のうち少なくとも高周波信号処理を行う素子と対向する領域には接地電極パターンが形成され、上記電波吸収体は、ペースト状のものが塗布されて、熱処理を行うことにより形成され、上記フレキシブル配線基板の全面に充填され、上記アンテナ素子は、上記筐体の表面に形成されることを特徴とする。
【0016】
上記の構成を有する通信端末装置(通信モジュール)を用いることで、ホスト機器に簡単に通信機能が付与される。具体的には、コネクタ部を介してホスト機器との間のデータの授受が行われるとともに、アンテナ素子を介して無線送受信網との間のデータの送受信が行われ、その結果、ホスト機器と無線通信網とが接続されることになる。
【0017】
したがって、例えば様々な通信方式に対応する通信モジュールを複数種類用意しておき、環境や目的、状況に応じて各通信方式に対応したモジュールに交換すれば、あらゆる通信手段を利用することが可能である。
【0018】
また、本発明の通信端末装置をメモリモジュールとして見た場合には、通信機能を通じて、他の機器やパーソナルコンピュータ等、様々なものと通信が可能であることから、無限のストレージを手に入れたのと同様な機能が付加されたことを意味する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した通信端末装置(通信モジュール)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
これまで提案されているメモリモジュールは、いずれも厚さが3.5mm以下である。このような超小型メモリモジュール内に通信機能を実現するための素子を実装することで、情報通信機能とストレージ機能を集約し、全く新たな超小型通信モジュールとして提供するというのが本願発明の基本的な考えである。
【0021】
以下、いわゆるメモリスティック(商品名)と同様の筐体内にストレージ機能や通信機能を実現するための素子を実装した通信モジュールを例に、その具体的構造を説明する。
【0022】
メモリスティックは、全体の厚さが2.8mmであり、ストレージ機能用メモリが50.0mm×21.45mmの矩形状の筐体内に収められている。筐体も含めた体積は3ml以下である。筐体は、ABS樹脂や液晶ポリマー(LCP)等の成形体よりなり、上蓋と下蓋に二分割されている。
【0023】
本例では、このような限られた空間内にストレージ機能、通信機能を付加するための素子を高密度実装している。
【0024】
図1は、本発明を適用した通信モジュールの外観を示すものであり、長方形状の筐体1の一端側には、ホスト機器との接続を図るためのコネクタ部となる端子列2が設けられている。
【0025】
したがって、本発明の通信モジュールは、ホスト機器との間のデータの授受を行うための入出力インターフェースを有していることが必要である。
【0026】
この入出力インターフェースには、任意のものを採用することができるが、先のも述べたように本発明はこれまで提案されているメモリモジュールに通信機能を集約するというのが基本的な考えであるので、この場合には市販メモリモジュールの入出力インターフェースをそのまま流用する。したがって、本例では、メモリスティックの入出力インターフェースをそのまま流用して用いる。
【0027】
上記筐体1内には通信機能及びストレージ機能を有する各種素子が実装されており、この実装状態を示すのが図2及び図3である。実装される素子は、主に、ストレージ機能用メモリ素子3と、ベースバンド信号処理を行うための素子(ベースバンドLSI)4、高周波信号処理を行う素子(RFモジュール)5、アンテナ素子6である。
【0028】
これらの素子は、本例では、厚さ0.2mm以下のフレキシブル配線基板7に実装され、全体の厚さが2.8mm以下という筐体1内の限られた空間に収められている。
【0029】
上記フレキシブル配線基板7の一端側には、上記筐体1に設けられた端子列2と対応して接続端子部7aが設けられており、この接続端子部7aを端子列2と電気的に接続することで、端子列2を介してホスト機器との間のデータの授受が可能である。
【0030】
上記筐体1は長方形であるので、本例では、接続端子部7a側から順に、ストレージ機能用メモリ素子3,ベースバンドLSI4、RFモジュール5、アンテナ素子6が配列されている。
【0031】
これは、損失を極力少なくするとの観点から決定されたものであり、配列を変えた場合には配線が複雑になり、その結果損失が増大し、またRFモジュール5による干渉、アンテナ素子6の機能低下等が問題となる。
【0032】
各素子は、いわゆるチップ部品とされており、図4に示すように、各種配線パターンや接続端子が形成されたフレキシブル配線基板7に他の一般部品8とともに実装されている。
【0033】
また、ベースバンドLSI4とRFモジュール5の間、及び筐体1内の空間を埋める形で、電波吸収体9が設けられている。
【0034】
次に各素子の構成及び機能について説明する。
【0035】
先ず、RFモジュール5であるが、これはアンテナ素子6より入った高周波信号を検波再生し、ベースバンド信号に変換するという機能を有する。
【0036】
RFモジュール5を構成する機能素子としては、共振器、フィルタ、キャパシタ、インダクタ等が挙げられ、通常、これらはチップ部品として実装されるが、ここでは上述のような限られた空間に収容するため、これらを多層基板内に内蔵し、素子全体の厚さを極力小さくするように設計されている。
【0037】
図5は、このRFモジュール5の一例を示すものである。このRFモジュール5では、セラミック基板(あるいは有機基板)51の内層あるいは外層に、共振器(フィルタ)52、キャパシタ53、インダクタ54等が多層化技術により組み込まれ、内蔵化されている。各機能素子間は、これらを繋ぐ配線パターン、スルーホール等により電気的に接続されており、セラミック基板51自体が一つの機能部品として動作する。
【0038】
そして、これら機能素子が内蔵されたセラミック基板51に、その他のチップ部品55やRF半導体LSI56を実装することで、一つのチップ部品としてRFモジュール5が構成されている。
【0039】
ここで、RF半導体LSI56は、フリップチップ接続によりセラミック基板51に搭載されており、接続による厚さの増加が抑えられている。フリップチップ接続は、半導体チップ表面の電極上にバンプと呼ばれる突起電極を形成し、表裏逆にして配線基板の電極とバンプとを位置合わせし、いわゆるフェースダウンボンディングで接続する実装方法である。本例でも、RF半導体LSI56にバンプ(例えばはんだバンプ)57に形成し、これをセラミック基板51の電極と位置合わせし、これを加熱溶融することでフェースダウンボンディングされている。このフリップチップ接続によれば、例えばワイヤボンディングと比べてワイヤの引き回し空間が不要となり、特に高さ方向の寸法を大幅に削減することができる。
【0040】
ベースバンドLSI4は、通信の信号処理及び、後述するメモリ機能をコントロールするコントローラ、あるいは通信モジュールがホスト側インターフェイスに挿入された際のインターフェイス機能を司る機能等を有するLSIである。また、場合によっては、本例の通信モジュールに搭載の通信機能を用いて、インターネット接続を行った場合の個人情報やプロバイダ情報を格納しておくことで、半自動的に特定のサイトへの接続や情報の発信、受信を可能にせしめるような機能も有する。
【0041】
上記ベースバンドLSI4は、単一のLSIチップとして構成することができれば理想的であるが、様々な機能を盛り込む必要があるため、通常は複数のLSIチップを組み合わせることにより構成される。
【0042】
このとき、スペースファクタ等を考慮すると、先のRFモジュール5の場合と同様、フリップチップ接続を利用した縦積み構造とすることが有利である。
【0043】
図6は、2つのLSIチップを縦積みしたベースバンドLSI4の一例を示すものである。
【0044】
このベースバンドLSI4は、第1の半導体LSI41の上に第2の半導体LSI(例えばフラッシュROM)42が載置され、さらにこれらが中間基板(インターポーザ基板)43に搭載された縦積み状態のチップサイズパッケージとして構成されている。
【0045】
上記第1の半導体LSI41と第2の半導体LSI42とは、フリップチップ接続されており、高さ方向の寸法を抑える構造とされている。具体的には、第2の半導体LSI42にバンプ42aが形成され、第1の半導体LSI41の電極と位置合わせして、フェースダウンボンディングされている。
【0046】
上記第2の半導体LSI42を搭載した第1の半導体LSI41は、さらに中間基板43に実装されている。この場合、第1の半導体LSI41と中間基板43とは、ワイヤ44を利用したワイヤボンディングにより電極間が電気的に接続されている。3つ以上の半導体チップを縦積みする場合にも、フリップチップ接続とワイヤボンディングとを適宜組み合わせることで、高さ方向の寸法を抑えながら電気的に接続することが可能である。
【0047】
そして、これら第1の半導体LSI41、第2の半導体LSI42は、樹脂45によりモールドされ保護され、上記中間基板43をはんだボール46を用いてはんだ付けすることで、フレキシブル配線基板7に電気的、機械的に固定されている。
【0048】
ストレージ機能用メモリ素子3は、いわゆる半導体メモリであり、通信を介して得た様々なデータの一時蓄積や、ホスト機器から送られる音楽、音声、画像データ等の一時蓄積を行う。
【0049】
このストレージ機能用メモリ素子3は、メモリバス(Memory Bus)をインターポーザを介して互いに接続することで、3次元的に容量増加が可能である。
【0050】
図7は、4層構造として容量増加を図ったストレージ用メモリ素子3の構成例を示すものである。
【0051】
各半導体メモリチップ31は、それぞれ中間基板(インターポーザ基板)32にバンプ31aを介してフリップチップ接続され、これが4段積み重ねられている。中間基板32間の接続及び最下層の中間基板32とフレキシブル配線基板7との接続は、はんだボール33を用いたはんだ付けにより行われる。
【0052】
半導体メモリチップ31には、研磨加工等により例えば100μm以下程度まで薄くしたチップを用い、全体の厚さを抑えるようにする。また、中間基板32には、非常に薄いフレキシブル配線基板等を用い、やはり全体の厚さを抑えるようにする。これにより、全体の厚さを大きく増加することなく、大容量化を図ることができる。
【0053】
アンテナ素子6は、当然のことながらアンテナとして機能するもので、各種形態のものを使用することができるが、ここではチップアンテナを使用した。
【0054】
チップアンテナは、アルミナ等の酸化物やSiO2 等のガラス質の単体、もしくは混合物からなるグリーンシートにパンチング等の手法によりビアを形成し、これを積層後、焼成を行う、いわゆる多層同時焼成プロセスにより作製することができ、材料の誘電率も5程度から300程度まで比較的自由に設定することが可能である。したがって、アンテナ素子6の実効波長を、いわゆる「ルートεのファクター」で短くすることができ、アンテナの小型化に非常に有効となる。
【0055】
図8に、チップアンテナの構造の概要とフレキシブル配線基板7からの給電の様子を示す。
【0056】
アンテナ素子(チップアンテナ)6は、ホスト機器とのコネクタとなる端子列2とは反対側の端部に実装されている。また、アンテナ素子6への受給電の損失を最低限に抑える構造として、RFモジュール5に隣接してアンテナ素子6が実装されている。
【0057】
ここで、アンテナ素子6として用いたチップアンテナは、いわゆる逆F構造を有しており、実効的にλ/4の長さを有するチップアンテナ内部配線を有し、その一端部がフレキシブル配線基板7の表面のグランド(接地)配線パターン71とショートした構造とされている。また、アンテナ素子6は、その中間点に給電点61を有し、この給電点からチップアンテナ内部配線へのRF信号の給電・配電が行われる。
【0058】
アンテナ素子6は、図9に示すように、逆F構造の先端部に容量性スタブ(メタル短冊状パターン)62を設けてもよく、これによりアンテナ素子のさらなる実効長低減が可能となる。
【0059】
アンテナ素子6を実装するフレキシブル配線基板7は、全面がベタのグランド配線パターン72からなる裏面と、信号線の引き回しを行う表層面の2層構造(両面構造)を有しており、RFモジュール5から入出力される信号がインピーダンスコントロールされた線路によってアンテナ素子6に供給されるようになっている。
【0060】
具体的には、図8に示すように、表層に設けられたRFモジュール5までの信号線73が、同一平面上に形成されたグランド配線パターン71に形成されたギャップ内に両側のグランド配線パターン71に対して等間隔のギャップを介して配線されており、いわゆるコプレーナ線路を構成している。高周波用線路としては、このコプレーナ線路に限らず、例えばマイクロストリップ線路等を採用することも可能である。
【0061】
また、表層側のグランド配線パターン71は、例えばビアホール74等によって裏面側のグランド配線パターン72と導通されており、グランドとしての機能を確実に果たすようになっている。
【0062】
なお、裏面のグランド配線パターン72は、アンテナ素子6が実装される位置までは形成されていない。裏面のグランド配線パターン72がアンテナ素子6の実装位置に掛かるまで形成されていると、アンテナ素子6が機能しなくなる虞れがある。
【0063】
図10及び図11は、フレキシブル配線基板7の高周波線路の例を示すものである。
【0064】
本発明の通信モジュールにおいては、アンテナとしての機能発現のために、実際にアンテナ素子6が形成(実装)される面を除いて、ほぼ全面がグランドである必要があり、それを配慮して高周波線路を構成する必要がある。
【0065】
図10に示すのは、いわゆるグランデッドコプレーナ線路と呼ばれるもので、基材7bの裏面及び表面にそれぞれグランド配線パターン71,72が形成され、表面のグランド配線パターン71間に信号線73が所定のギャップG1,G2をもって形成されている。
【0066】
このような構成を採用することにより、例えば基材7bの厚さH及び誘電率、信号線73の幅W、及び2つのギャップG1,G2の設定によって無限の組み合わせで一定インピーダンスの線路を作製することができる。
【0067】
もうひとつは、図11に示すマイクロストリップ線路と呼ばれるものである。マイクロストリップ線路は、基材7bの裏面にグランド配線パターン72,表面に信号線73という構成である。この場合、基材7bの厚さH及び誘電率、信号線73の幅Wによって一定インピーダンスの線路を作製することができる。
【0068】
以上のように、超小型の通信モジュールを実現するためには、ほぼベタのグランド層と信号層の少なくとも2つの配線層を有する配線基板が必要であるが、両面構造のフレキシブル配線基板に限らず、様々な種類の多層配線基板や、セラミック等、他の種類の材料を基材に用いた配線基板等も十分に使用することが可能である。
【0069】
また、例えば多層配線基板の場合、必ずしもグランド配線パターンは裏面に露出している必要はなく、内層等に形成することも可能である。
【0070】
さらには、フレキシブル配線基板7自体にグランド配線パターンを設けるのではなく、例えばフレキシブル配線基板7と対向する筐体1の内面にグランド面を形成することも可能である。
【0071】
以上が本発明の通信モジュールを構成する主な構成要素(素子)であるが、先にも述べたように、ベースバンドLSI4とRFモジュール5の間、及び筐体1内の空間を埋める形で、電波吸収体9が設けられている。
【0072】
この電波吸収体9は、図示のように配線部や空間の一部に形成することにより、デジタル部(RFモジュール5)の不要輻射を防止したり、空洞共振と呼ばれる空間的電磁的共振を抑制するよう作用する。
【0073】
図2及び図3に示す電波吸収体9のうち、RFモジュール5とベースバンドLSI4の間に配される電波吸収体9は、主にデジタル部であるRFモジュール5の不要輻射の防止を目的に設けられている。空間に設置された電波吸収体9は、空間的電磁的共振を抑制することを目的に設けられている。
【0074】
上記電波吸収体9の材料としては、フェライトや金属等のように透磁率の高い磁性体を微粉化して接着樹脂等と混合したもの等が用いられ、ここでは所定の形状に成形したものが他の素子と同様、フレキシブル配線基板7に実装するような形で取り付けられている。
【0075】
電波吸収体9は、上記成形品に限らず、シート化したもの、ペースト状のもの等、任意の形態のものを使用することが可能である。
【0076】
以上、本発明を適用した通信モジュールの一例について説明してきたが、本発明はこの例に限られるものではなく、様々な変形が可能である。
【0077】
例えば、先の例では各素子をフレキシブル配線基板7に実装して筐体1内に収容するようにしたが、図12に示すように、筐体1のうちの下蓋1bの内側壁面に配線パターンPを形成し、ここにRFモジュール5やベースバンドLSI4、ストレージ機能用メモリ素子3やその他の一般部品8等を直接実装するようにしてもよい。
【0078】
ただし、この場合には、筐体1はリフロー等の熱処理工程に耐え得る耐熱性が必要であり、液晶ポリマー(LCP)等を用いることが好ましい。
【0079】
また、電波吸収体9については、先の例においては、フレキシブル配線基板7上に成形体を配置した構成を示したが、図13及び図14に示すように、ペースト状のものを全面に充填するような形としてもよい。
【0080】
この場合、ペースト状の電波吸収体を塗布し、筐体1である下蓋1b上に上蓋1aを被せ、熱処理を行うことで、筐体1の組み立て封止と電波吸収体の形成を一度に行うことも可能である。
【0081】
また、RFモジュール5やベースバンドLSI4,ストレージ機能用メモリ素子3等も全面電波吸収体によりコーティングされることになり、特に耐湿信頼性や耐静電破壊性を高めることが可能である。
【0082】
さらに、アンテナ素子6についても、先の例ではチップアンテナとしたが、図15に示すように、筐体1の表面に、MID(Molded Interconnect Device)等の2段成形法を用いたメッキパターン形成により、例えばλ/2のダイポールアンテナDPを形成するようにしてもよい。先の例のように、電波吸収体を全面に充填する場合、アンテナ素子6を筐体1内に入れることはできず、本例のようなアンテナ形成との組み合わせが好適である。
【0083】
なお、アンテナ素子を筐体1表面に形成した場合、同軸ケーブル等によりフレキシブル配線基板7のRF入出力端子とダイポールアンテナDPの間を接続し、給電し得るように構成することが必要である。
【0084】
あるいは、アンテナ素子を筐体1に設けた突出部1cに形成することも可能である。
【0085】
図16は、通信モジュールをホスト機器に差し込んだ際に、ホスト機器本体から突出する突出部1cを筐体1に設け、ここにダイポールアンテナDPを形成した例である。
【0086】
アンテナ素子としては、上記のダイポールアンテナに限られず、例えば図17に示すようなBow−tieアンテナBTとすることも可能である。その他、逆Fアンテナ、パッチアンテナ等、公知のアンテナを形成することも可能であり、さらにはチップアンテナをこの部分に実装することも可能である。
【0087】
これにより、アンテナからの放射電磁界がホスト機器に閉じこめられることがなくなり、アンテナ本来の放射特性が出せるようになる。
【0088】
以上のように超小型通信モジュールを形成し、そのコネクタ部分をホスト側(例えばAV機器、電話、パーソナルコンピュータ等)に挿入する事で、通信機能を用いて、インターネットへアクセスしたり、これとは反対に、インターネット上から、音楽や画像データを取りこみ一時的にモジュール内部のメモリに蓄えたりすることで、あらゆるデータ、情報の通信と記録機能をホスト側機器に簡単に付与することが可能となる。
【0089】
また、ベースバンドLSIのフラッシュROMやEPROM等に、ユーザー個人の情報、例えば、インターネットプロバイダのアカウント情報やパスワード、携帯電話のPINコード等を書き込んでおいたり、良く使うインターネット上のサイト情報等を入れておく事で、半自動的にユーザーの意図する情報の取得や発信が可能となる。
【0090】
具体的には、本発明の通信モジュールは、例えば図18に示すように構成された無線LAN(Local Area Network)システムに適用される。
【0091】
図18に示すように、公衆通信網140と接続される無線LANシステム101において、ゲートウェイとなる通信機器102(102a〜102e)、通信モジュール103及び通信モジュール103が装着されるホスト機器104との間のデータ通信を実現するためにBluetooth 方式を採用している。
【0092】
このBluetooth 方式とは、日欧5社が1998年5月に標準化活動を開始した近距離無線通信技術の呼称である。このBluetooth 方式では、最大データ伝送速度が1Mbps(実効的には721Kbps)、最大伝送距離が10m程度の近距離無線通信網を構築してデータ通信を行う。このBluetooth 方式では、無許可で利用可能な2.4GHz帯のISM(Industrial Scientific Medical )周波数帯域に帯域幅が1MHzのチャネルを79個設定し、1秒間に1600回チャネルを切り換える周波数ホッピング方式のスペクトラム拡散技術を採用して通信モジュール103とホスト機器104(104a〜104d)との間で電波を送受信する。
【0093】
このBluetooth 方式を適用した近距離無線通信網に含まれる各ホスト機器104は、スレーブマスター方式が適用され、処理内容に応じて、周波数ホッピングパターンを決定するマスタ機器と、マスタ機器に制御される通信相手のスレーブ機器とに別れる。マスタ機器では、一度に7台のスレーブ機器と同時にデータ通信を行うことができる。マスタ機器とスレーブ機器とを加えた計8台の機器で構成するサブネットは“piconet(ピコネット)”と呼ばれる。ピコネット内、すなわち無線LANシステム101に含まれるスレーブ機器となされたホスト機器104は、同時に2つ以上のピコネットのスレーブ機器となることができる。
【0094】
図18に示す無線LANシステム101は、例えばインターネット網等の公衆通信網140とデータの送受信を行う通信機器102(102a〜102e)と、近距離無線通信網である近距離無線通信網130を介してBluetooth 方式でユーザデータ等を含む制御パケットの送受信を通信機器102との間で行う通信モジュール103と、通信モジュール103との間でユーザデータ等を含む制御パケットの入出力を行うホスト機器104(104a〜104e)で構成される。
【0095】
ホスト機器104は、通信モジュール103と機械的に接続され、ユーザにより操作される電子デバイスである。ホスト機器104としては、例えばPDA(Personal Digital Assistant)104a、ディジタルカメラ104b、メール処理端末104c、EMD(Electronic Music Distribution)端末104d等がある。
【0096】
通信機器102は、近距離無線通信網130を介して通信モジュール103と制御パケット接続されるとともに公衆通信網140に接続され、通信モジュール103と公衆通信網140とを接続するためのゲートウェイである。この通信機器102としては、公衆通信網140と接続するためのモデム等を備えたパーソナルコンピュータ102a、例えばcdmaOne(Code Division Multiple Access )方式やW−CDMA(Wide Band−Code Division Multiple Access)方式を採用した携帯電話102b、TA/モデム102c、STB(Set Top Box)102d、例えばBluetooth 方式に準じた通信モジュール103と公衆通信網140とを接続するための基地局等の準公衆システム102eがある。
【0097】
公衆通信網140としては、例えばパーソナルコンピュータ102aと電話回線を介して接続されるインターネット(Internet)網、携帯電話102bとて接続される移動体通信網(Mobile Network)、TA/モデム102cと接続されるISDN(Integrated Services Digital Network)/B(broadband)−ISDN、STB102dと接続される衛星通信網(Broadcasting)、準公衆システム102dと接続されるWLL(wireless local loop )等がある。公衆通信網140に含まれるインターネット網には、さらに、情報提供サーバ141、メールサーバ142、EMDサーバ143、コミュニティサーバ144が接続される。情報提供サーバ142では、ホスト機器104からの要求を通信モジュール103、通信機器102を介して受信し、要求に応じた各種情報をホスト機器104に送信する。また、メールサーバ142では、電子メールを管理し、通信機器102、通信モジュール103を介してホスト機器104との間で電子メールを送受信する。さらに、EMDサーバでは、通信機器102及び通信モジュール103を介してホスト機器104のEMD端末104dに音楽情報を送信して、音楽提供サービスを管理する。さらにまた、コミュニティサーバでは、例えばホスト機器104のディジタルカメラ104bに例えば街角情報、ニュース情報ダウンロードサービス等を提供するとともに、ホスト機器4からの情報のアップロード等を管理する。
【0098】
上述の無線LANシステムに用いられる通信モジュール103は、先に説明した本発明の通信モジュールであり、図19に示すような内部構成となっており、これら制御システムが通信モジュール103を構成するアンテナ素子6、RFモジュール5、ベースバンドLSI4、ストレージ機能用メモリ素子3に割り当てられ、単一の筐体1内に収容されている。例えば、RFモジュール5には、スイッチ部(SW)、受信部、送信部、ホッピングシンセサイザ部が格納される。また、ベースバンドLSI4には、ベースバンド制御部、インターフェース部、個人情報記憶部、ネットワーク設定記憶部、RAM(Random Access Memory)、無線通信CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory )、メモリーコントローラが格納されている。
【0099】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、メモリモジュールの中に無線通信機能を盛り込むことで、インターネットなどの外部のネットワーク接続が容易に可能になり、その結果、メモリモジュールとしては無限大のメモリ容量を確保したのと同等な効果が得られる他、あらゆる音楽、画像、データ等の情報が、機器間でシームレスな環境でやり取りが可能になる。
【0100】
また、メモリモジュールのインターフェースを共通インターフェースとして用いることで、2.4GLAN、5Gホームネットワーク、IEEE802.11、Bluetooth 等、あらゆる通信方式に対応した通信モジュールを作成可能、または交換利用可能で、その結果、機器側には何種類もの通信インターフェースを用意する必要はなく、形状的、重量的、コスト的にもユーザーサイドの負担を軽減することが可能である。
【0101】
また、モジュール自体の小型化、薄型化が可能であり、モバイルタイプの機器には、携帯性、機動性に優れたネットワーク環境を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した通信モジュールの一例を示す概略平面図である。
【図2】通信モジュールを構成する各素子の実装状態の一例を示す概略平面図である。
【図3】通信モジュールを構成する各素子の実装状態の一例を示す概略断面図である。
【図4】フレキシブル配線基板への素子の取り付け状態を示す分解平面図である。
【図5】RFモジュールの断面構造を示す模式図である。
【図6】ベースバンドLSIの断面構造を示す模式図である。
【図7】ストレージ機能用メモリ素子の断面構造を示す模式図である。
【図8】チップアンテナのフレキシブル配線基板への取り付け構造を一部破断して示す概略斜視図である。
【図9】容量性スタブを設けたチップアンテナの一例を示す概略斜視図である。
【図10】グランデッドコプレーナ構造の配線基板の一例を示す要部概略断面図である。
【図11】マイクロストリップ構造の配線基板の一例を示す要部概略断面図である。
【図12】筐体に配線形成した場合の素子の取り付け状態を示す分解平面図である。
【図13】電波吸収体により被覆した実装例を分解して示す模式図である。
【図14】電波吸収体により被覆した実装例における封止状態を示す模式図である。
【図15】アンテナ素子を筐体に形成した例を示す概略平面図である。
【図16】ダイポールアンテナを筐体の突出部分に形成した例を示す概略平面図である。
【図17】Bow−tieアンテナを筐体の突出部分に形成した例を示す概略平面図である。
【図18】無線LANシステムを含むネットワークを示す図である。
【図19】通信モジュールの内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 筐体、2 コネクタ部、3 ストレージ機能用メモリ素子、4 ベースバンドLSI、5 RFモジュール、6 アンテナ素子
Claims (14)
- ホスト機器と着脱自在に接続されるコネクタ部を有し、アンテナ素子と、高周波信号処理を行う素子と、ベースバンド信号処理を行う素子と、ストレージ機能用メモリ素子とが筐体に実装され、
上記高周波信号処理を行う素子と上記ベースバンド信号処理を行う素子との間、並びに上記筐体を構成する上蓋及び下蓋の間の空間を埋めるように電波吸収体が配されており、
上記高周波信号処理を行う素子、ベースバンド信号処理を行う素子及びストレージ機能用メモリ素子は、上記電波吸収体により覆われ、
上記高周波信号処理を行う素子、ベースバンド信号処理を行う素子及びストレージ機能用メモリ素子は、フレキシブル配線基板上に実装されており、上記フレキシブル配線基板のうち少なくとも高周波信号処理を行う素子と対向する領域には接地電極パターンが形成され、
上記電波吸収体は、ペースト状のものが塗布されて、熱処理を行うことにより形成され、上記フレキシブル配線基板の全面に充填され、
上記アンテナ素子は、上記筐体の表面に形成されることを特徴とする通信端末装置。 - 上記コネクタ部側から、ストレージ機能用メモリ素子、ベースバンド信号処理を行う素子、高周波信号処理を行う素子、アンテナ素子の順に配列されていることを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。
- 上記筐体の少なくとも一部に配線パターンが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の通信端末装置。
- 上記アンテナ素子は、上記筐体の表面の上記コネクタ部とは反対側の位置に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の通信端末装置。
- 上記高周波信号処理を行う素子は、機能素子が内蔵された配線基板に半導体チップがフリップチップボンディングされてなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の通信端末装置。
- 上記機能素子が、共振器、フィルタ、キャパシタ、インダクタから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載の通信端末装置。
- 上記ベースバンド信号処理を行う素子は、複数の半導体チップが積層されボンディングされてなることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の通信端末装置。
- 上記ストレージ機能用メモリは、複数の半導体メモリが中間基板を介して積層されてなることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の通信端末装置。
- 各半導体メモリ素子は中間基板に対してフリップチップボンディングされていることを特徴とする請求項8記載の通信端末装置。
- 上記フレキシブル配線基板は少なくとも両面配線基板であり、上記接地電極パターンは上記各素子が実装される面とは反対側の面に形成されていることを特徴とする請求項9記載の通信端末装置。
- 上記コネクタ部を介してホスト機器との間のデータの授受が行われ、上記アンテナ素子を介して無線送受信網との間のデータの送受信が行われることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の通信端末装置。
- 上記ホスト機器との間のデータの授受を行うための入出力インターフェースを有することを特徴とする請求項11記載の通信端末装置。
- 上記入出力インターフェースには、市販メモリモジュールの入出力インターフェースが使用されていることを特徴とする請求項12記載の通信端末装置。
- 上記ベースバンド信号処理を行う素子に使用者の個人情報が格納されていることを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の通信端末装置。
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