JP4487178B2 - スポット溶接機 - Google Patents

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Description

この発明はスポット溶接機に係り、なかでも、下部電極として働く板状の電極板と溶接電源とを一体として昇降自在に構成して電極板の昇降により上部電極として働く溶接ガンとの間の間隔を調整でき、併せて、電極板の昇降に伴うインピ−ダンスなどの抵抗に起因する電力ロスを軽減できるスポット溶接機に係る。
一般に、金属板などの溶接において、溶接すべき金属板や金属箱又は金属枠など(以下、被溶接材又は被溶接物という)を重ね合わせ、この部分を加圧通電して接合する溶接が抵抗溶接であって、抵抗溶接の中で最っとも広く用いられているのがスポット溶接である。抵抗溶接の熱源は重ね合わせ部分の通電によって生じる抵抗熱であることから、被溶接材を加圧接合する溶接熱源として利用するには、熱源温度が不安定なため必ずしも好ましくない面があり、被溶接物をはさんで加圧することから打こんが残るという面もある。しかし、自動車ボディの製造や板金加工の分野では、スポット溶接やシ−ム溶接として実用化され、利用されている。
この主たる理由は、ア−ク溶接法などに較べると、抵抗溶接は溶接棒やフラックスなどの添加剤を必要としないからであって、現在最っとも利用されている溶接法の一つである。このため、現在では、その用途は多方向にわたり、自動車ボディの組立や金属函、枠組物などの組立てのほかに、広く板金加工一般に広く用いられている。
すなわち、広く普及かつ利用されているスポット溶接などの抵抗溶接は、先にのべたとおり、溶接熱源は被溶接物間に発生するジュ−ル熱である。このジュ−ル熱は被溶接物の物性に左右される欠点をもっている。しかし、抵抗溶接は被溶接物をとかす融接法でなく、元来が圧接法であり、溶接条件を左右するのは溶接電流や溶接時間、さらに溶接時の加圧力であって、これらを制御調和させると、熱源温度は相当制御できるものでもある。
このようなところから、スポット溶接は自動車ボディを含めて数多くの分野で利用され、その用途に応じて種々の型式の溶接機が実用化されている。しかし、いずれの用途に適用する場合でも、スポット溶接機は被溶接物に強大な電流と加圧力を与えることが必要である。したがって、スポット溶接機はこの溶接条件を調和させる構造になっており、ほとんど直上型の定置型といわれる加圧方式がとられ、プレス機器と同様に加圧する構造になっている。
すなわち、スポット溶接の原理は、重ね合わされた2枚の被溶接物を上下の電極の間ではさみ、各電極の先端に取付けた溶接チップによってはさみ込んだ領域、つまり、スポット又は点の被溶接部を加圧通電して溶接するものである。
この接合原理からして、直上加圧式のスポット溶接機は、上下の電極で対向する端部には溶接チップが設けられ、上部電極を下部電極に向けて下降させ被溶接物の被溶接部を局部的に加圧して溶接するという、プレス機器と同様な構造をとるものである。下部電極は上部電極による加圧力を直接受けることになるため、強固に支持装置で支持される。上部電極は下部電極の上に設けられ、下部電極に向って下降し、高い加圧力が加えられるよう構成される。このため、通常、上下の電極はプレス機器のように加圧装置や支持装置と一体に構成され、この一体化されたスポット溶接機が一定の場所に据付けられて使用され、この意味からも定置式と云われている。
定置式溶接機で溶接するときには、被溶接物を据付けられた溶接機のところまで移動させて保持し、そこで溶接すべきところ、すなわち、被溶接点を順次に溶接する。平たくいうと、被溶接物を溶接機の設置場所まで移動させ、そのところで被溶接物を作業員などが保持しながら被溶接点のところを順次に送って溶接する。このため、大型の被溶接物、例えば自動車ボディや大型金属箱であると、その運搬や被溶接点の順次の送りおよび移動位置での保持は大変な重筋作業となる。とくに、組立作業や治具設備が合理化されている自動車ボディの組立作業を除くと、このところがほとんどの板金加工では共通して解決されない問題点になっている。
この点を改善するものとして、定置型スポット溶接機に代ってポ−タブル型のスポット溶接機も提案されている。すなわち、ポ−タブル型は上下の電極を溶接電源その他の溶接機本体から分離して持ち運びできるように構成し、この間をフレキシブルな導電ケ−ブルで接続している。この溶接機は、上下の電極を自由に移動できるが、これら電極がプレス機器のような加圧機構によって加圧できるよう構成されていないため、大きな加圧力が加えることができない。このため、圧接としての特徴が十分にいかせないところが弱点であって、強固な溶接継手の形成には不適当である。さらに、上下の電極が導電ケ−ブルで接続され、導電ケ−ブルはきわめて長くなるため、通電の間の電磁誘導により大きなリアクタンスが生じ、電流量を大きくできない欠点があって、強固な接合強度が要求される被溶接物には不適当である。
要するに、可搬式として構成した上部電極には一体として機械的な加圧機構を設けることができないため、溶接時の加圧力が制限され所定の強度の溶接継手が得られないほか、この面からも溶接継手の強度が高められない。
このようなところから、本発明者らは、先に、特願平5−139543号(特許第3445636号)明細書に示す構造のスポット溶接機を提案した。
このスポット溶接機は、上下から被溶接物をはさんで加圧通電してスポット溶接する上下一対の電極において上部電極は先端に溶接チップを具える棒状の溶接ガンとして構成する一方、下部電極は従来例の如く棒状に構成することなく板状の導電性材料から成る板状の電極板から構成する溶接機である。この溶接機は下部電極として働く板状の電極板の表面のいずれのところでも電極として働くことができるため、上部電極として働く溶接ガン先端の溶接チップによって加圧されるところが下部の点弧電極となり、このところの局部的な通電によってスポット溶接が達成できる。このところは板状の電極板のいずれのところも電極として働くことができるため、板状の電極板の上で置いたままで被溶接物は移動させることなく溶接できることになる。
また、板状の電極板の下部電極に対し、上部電極として働く溶接ガンは板状の電極板上で自由に移動できる構造をとっている。横向き姿勢で用いる溶接ガンは、その中間点で支持ポストを介して回転自在に支持され、てこ方式によって後端に加えた上向きの引張り力によって先端の溶接チップが下向きに旋回され、被溶接物に高い加圧力を加えることができる構造に構成され、溶接ガンは支持ポストとともに板状の電極板の全面にわたって自由に平面移動できる構造に構成されている。このため、板状の電極板上に置いたままの被溶接物上の各被溶接点のところに上部電極として働く溶接ガンを順次に移動させて被溶接点のところに位置決めすると、連続的に溶接できる。
また、この溶接機であると、支持ポストには横向き姿勢の溶接ガンの後端に上向きの引張り力を加えるためにエア−シリンダなどの加圧機構を支持ポストに塔載すると、プレス機器と同様な方式をとって加圧させることもでき、先端の溶接チップによって加えられる加圧力はてこの倍力機構の原理を利用して高めることもでき、電流を通し易いアルミニウム合金材なども溶接できる。
しかしながら、このように表面がきわめて広い板状の電極板として下部電極が構成されているため、電極の表面全体が溶接時に通電されている状態になり、その上におかれた被溶接物の電磁誘導によりインピ−ダンスが増加するとともに、電極板や溶接ガンと溶接電源との間を連結する通電ケ−ブルによる電磁誘導によってもインピ−ダンスが増加する。
要するに、下部電極を板状の電極板として構成し、それを昇降自在に構成すると、スポット溶接機を含め、抵抗溶接機では致命的と云われ、電極板の寸法に左右される、ふところが広いと云われる現象がどうしても生ずることになり、この問題をどの程度緩和できるかという問題がつきまとうことになる。これに併せ、電極板を昇降させると、これに応じて溶接機の周りに設置した溶接電源からの通電ケ−ブルをフレキシブルでしかも長く構成することになって、インピ−ダンスがさらに増加するという問題がある。
特願平5−139543号(特許第3445636号)明細書
本発明は上記欠点を解決することを目的とし、具体的には、下部電極として構成され、しかも、昇降自在の板状の電極板の上で上部電極として構成される溶接ガンにより、上下から被溶接物をはさんでスポット溶接する溶接機であって、この溶接機において下部電極としての電極板の全面にわたることに起因する電磁誘導、上下部の電極への通電ケ−ブルの影響も小さくして、溶接時の通電量のロスをおさえることができるスポット溶接機を提案する。
すなわち、本発明に係るスポット溶接機は、被溶接物を上下からはさんで通電加熱してスポット溶接する上部および下部電極のうちの下部電極を平坦な導電性材料の電極板から構成すると共に、この電極板の裏側に一体として溶接電源を配設し、この溶接電源を電極板と共に昇降させ昇降機構を設ける一方、この昇降機構に台形ねじを具える昇降棒とこの台形ねじに螺合して昇降棒の回転により昇降し溶接電源がのせられる受けプレ−トと昇降棒の下端に連結するギヤモ−タ−とを設けてなることを特徴とする。
以上のように、下部電極として働く電極板を昇降させて上部電極として働く溶接チップの昇降ストロ−クや昇降軌跡を調整制御できる。また、下部電極として働く電極板に一体として溶接電源が取付けられているために、電極板の昇降とともに溶接電源も昇降するため、通電ケ−ブルを用いることによる不都合がない。このため、電磁誘導などの影響からの出力の低下が極力避けられる。このところから、ステンレス鋼やアルミニウム材などのようにその熱的性質から高加圧、高電流を要求されるものでも、良好なスポット溶接機が達成できる。
そこで、上記のところの手段たる構成ならびにその作用について図面に示すところを通じてさらに具体的に示すと、つぎのとおりである。
なお、図1は本発明の一つの実施例に係るスポット溶接機の構造の一部を示す側面からみた説明図である。
図2は図1に示すスポット溶接機の側面からみた一部を示す説明図である。
図3は図1に示すスポット溶接機における電極板の昇降機構の説明図である。
図4は図1に示すスポット溶接機における溶接電源の設置態様を示す説明図である。
図5は図1に示すスポット溶接機全体の一例の説明図である。
まず、図1、図2、図3、図4および図5において、符号100は本発明の一つの実施例に係るスポット溶接機を示し、このスポット溶接機において符号10は下部電極、20は上部電極、30は支持ア−ム、40は溶接電源、50はハウジングを示す。このスポット溶接機100において、上部電極20は図5に示す通り、被溶接物Wに点接触する溶接ガンとして構成されるが、下部電極10は図2および図3に示す通り板状に構成され、その電極板は平坦な板状の導電性材料から成っている。
すなわち、上部電極20は下部電極10との間で被溶接物Wをはさんでスポット溶接するものである。これら上下の電極10、20のうち、上部電極20は溶接ガン21、溶接チップ22、エア−シリンダ60およびこれらを支持する支持ポスト80から成って、溶接のときに上部の電極として働く棒状の溶接ガン21が横向き姿勢に保持されるかあるいは図示は省略するが、棒状の溶接ガンを縦向き姿勢で保持することもできる。下部電極10として働く電極は板状の電極板11であって、電極面は板状の電極板11上に形成され、その上で溶接ガン21が平面方向に移動できるよう、支持ポスト80によって平面方向に移動できるよう支持される。
下部電極10として働く電極板11は、図4に示すように平坦な導電性板状材から成って、この電極板11が表面に設けられ、全体にわたって電極面として用いられるよう構成されている。このため、溶接のときには電極板11上に被溶接物W(図5参照)が置かれると、電極板11は全面にわたって通電されているため、被溶接物Wはそのまま移動させることなく、所望の被溶接点のところを溶接ガン21の先端の溶接チップ22と電極板11との間ではさむと、所望の被溶接点は点弧状にスポット溶接できる。このような溶接機であるから、上部電極20の溶接ガン21を所望の被溶接点まで移動させて位置決めするだけで被溶接物Wを移動させることなく溶接できる。
更にくわしくのべると、電極板11の全面は、図に示す通り、例えば溶接電源40、なかでも、変圧器の一方の極41に接続され、表面のいずれのところでも下部電極10として働かすことができる。このため、溶接のときには電極板11の上に工作物や加工物などの被溶接物Wがおかれ(図5参照)、上部電極20として働く溶接ガン21により上からはさまれて加圧されると、電極板11上の加圧区域が下部電極10として働く。要するに、下部電極10を電極板11の全面として構成するものであるから、被溶接物Wは移動させることはなく電極板11上で所望の被溶接点を順次に溶接できる利点を持つ。
しかしながら、このように電極板11の全面が通電されているため、所謂ふところが大きく溶接時に被溶接物Wなどの電磁誘導により抵抗やリアクタンス、つまり、インピ−ダンスが増加し、電流量が減少する欠点が生ずる。さらに、電極板11は後に示す通り、昇降自在に構成するため、それに応じて通電ケ−ブルはフレキシブルでかつ長く構成するため、これに応じてのインピ−ダンスが生じ、インピ−ダンスは通電ケ−ブルが長くなればなるほど大きくなる。このため、溶接電源により高い電圧をかけても電流が流れにくく、溶接時の電流量を大きくできない。このために後にのべる通り、溶接電源は電極板11とともに昇降自在に構成する。
一方、上部電極20として働く溶接ガン21はどのような加圧方式をとることもできるが、図5に示すように溶接ガン21を支持ポスト80によって横向き姿勢に支持し、てこ方式によって加圧することができる。
すなわち、支持ポスト80は、図4および図5に示すように、下端部を折り曲げて折り曲げ部81を構成し、その先端の回転ピン82によって溶接ガン21を中間点で回転自在に支承する。このため、溶接ガン21の後端を例えばエア−シリンダ60によって引張ると(なお、手動のときは手動ハンドル25によって上向きに引張ることもできる)、先端の溶接チップ22は回転ピン82を中心として下向きに旋回して下降することになり、溶接チップ22により板状の電極板11上の被溶接物Wの被溶接点を局部的に加圧できスポット溶接できる。
また、下部電極10は、図1および図2に示すように、表面の電極板11と介在する絶縁層(図示せず)とそれらを支持するベ−ス台12とから構成する。この場合、ベ−ス台12上に絶縁層を貼り付ける。その上に電極板11を重ねて、これらを裏面から植込みボルトによって一体に結合する。電極板11の表面はその上にのせた被溶接物Wを加圧したところが溶接点として働く。このため、被溶接物Wには電極板11の表面がどこにおいても平均して接触することが必要である。このところから、電極板11の表面には植込みボルトの先端が突出することなく、電極板11にはメクラ孔を裏側から形成して植込みボルトによりベ−ス台12と一体に結合する。
介在させる絶縁層は、ある程度の耐久性を持ち、絶縁性にすぐれているものであれば、いずれのものでも用いることができる。シリコンテ−プ、樹脂テ−プあるいはガラスファイバ−テ−プなどを用いることができる。これを介在させるときには予め、ベ−ス台12の上に凹凸なくシリコンテ−プなどを貼り付け、その上に電極板11を積層して植込みボルトにより一体化する。
このように構成される下部電極10においては、ベ−ス台12の一部を切欠くと、その切欠き16を通して、後記のように電極板11と一体に配置される溶接電源40の一方の極41を連結でき、全体にわたって通電され、電極として働かすことができる。
以上の通り、下部電極10を平坦な導電性材料から成る電極板11から構成し、この電極板11を溶接電源40とともに上下に昇降自在に構成する。
このように下部電極として働く電極板11を溶接電源40とともに昇降自在に構成すると、上部電極20として働く溶接ガン21を横向き姿勢のままに保持して例えば先端の溶接ガン21をてこ機構により加圧するように構成する場合にも、電極板11の昇降によって溶接チップ22は電極板11に対してほぼ垂直の状態に維持でき、この状態で加圧できる。
一般に云って、スポット溶接の場合は上下の電極がほぼ垂直に加圧されることにより被溶接物Wを溶接することがきわめて重要である。しかしながら、溶接ガン21の中間点を支点として先端の溶接チップ22に対してこ機構により加圧すると、溶接チップ22は中間の支点を中心にして下向きに旋回するため、どうしても溶接チップ22の先端は円弧状の軌跡を通って下降することになる。厳密に云うと、被溶接物Wに対し溶接チップ22の先端がまっすぐに当たらないことになる。
したがって、溶接チップ22の上下の昇降ストロ−クはあまり長くない方が好ましい。つまり、昇降ストロ−クをなるべく小さく保持して溶接チップ22がなるべくまっすぐに近い状態で被溶接物Wに当接するようにするのが好ましい。溶接ガン21が横向き姿勢のときにはどうしても昇降ストロ−クが小さくなり、これによって溶接できる被溶接物Wの大きさやとくに高さが制限を受けることになる。
このところから下部電極10を成す電極板11そのものを昇降自在に構成してそれにより溶接チップ22の昇降ストロ−クをあまり大きくしないように構成することが好ましい。
しかしながら、このように電極板11を昇降自在に構成すると、必然的に周辺に設置された溶接電源40からの通電ケ−ブルは電極板11の昇降とともに昇降するためフレキシブルに構成することになる。このように構成すると、通電ケ−ブルの長さは非常に長くなる。なかでも、通電ケ−ブルそのものがその周囲が冷却するものとして構成しなければならないため、きわめて重くなり、さらに、この通電ケ−ブルが溶接機の外部に露出するため、それによる作業者などの使い勝手が悪く事故が起こり易い。
また、通電ケ−ブルが昇降とともに移動し、それが長くなることはインピ−ダンスが大幅に増え、高い電圧をかけても入熱量を上げることができない。つまり、溶接性の劣化を招来する。
また、インピ−ダンスの増加は元来が下部電極10を板状の電極板11として構成するため、溶接機としてのふところが大きくなるためであって、このようなインピ−ダンスの増加は避けられない。その上でさらに通電ケ−ブルによりインピ−ダンスの増加が加わると一層電流量が減少し、入熱量は極限まで低減することになる。
このところから本発明は昇降する電極板11と一体に溶接電源40を取付けて昇降板とともに溶接電源40そのものを昇降自在に構成する。このように構成すると、先に示した通り、電極板11の裏側から直接、溶接電源40の一方の極41を連結でき、少なくとも一方の極41に連結する通電ケ−ブルそのものをはぶくことができる。この通電方式を用いると、インピ−ダンスは大幅に減少し、ちなみに、入熱量で比べて通電ケ−ブルを用いて通電した場合よりも入熱量の減少は20〜30%程度節約でき、大入熱を必要とする被溶接物W、例えば、構造物や枠体などであっても十分に溶接でき、素材がステンレスであっても溶接できるようになる。
しかしながら、このように電極板11と一体に溶接電源40を構成し、それらを昇降させると、その昇降機構90そのものが電極板11とともにある程度の重量を持つ溶接電源40も昇降することになり、それに耐えるような昇降機構90を構成する必要がある。
このところから昇降機構90そのものは、図2に示すとおり、好ましくは台形ねじのついた昇降棒91を用い、その昇降棒91を介して昇降するように構成する。
すなわち、その昇降機構90は昇降棒91の回転により昇降度合を調整するように構成するが、昇降棒91に設けるねじ機構は大きな荷重が受けられる台形ねじとして構成する。この台形ねじに受けプレ−トを螺合させて昇降できるように構成し、台形ねじの下端にはギヤモ−タ−92を連結する。
このように構成すると、回転数が制御し易いギヤモ−タ−92であるから、ギヤモ−タ−92の回転を適切に調整すると、電極板11やそれと一体の溶接電源40の昇降リフトは相当高い精度で調整できる。
さらにくわしく説明すると、台形ねじ付き昇降棒91は電極板11のほぼ中心付近で受けプレ−ト93を介して支持する。この場合、中心付近で支持するため、電極板11の中心から離れたところで溶接が行なわれたときなどにはどうしても昇降棒91に曲げやねじりなどの外力がかかり、これにより溶接部における上下の電極による垂直性が失なわれることが起こり易い。このようなところから、昇降棒91は強固に垂直に保持されていることが必要である。
この点から昇降棒91は玉軸受95、96とカラ−94とを交互に組み合わせてその周囲から支承し、これらはオイルシ−ル98を介してケ−ス97で包囲する。例えば、図3に示す例のように、カラ−を玉軸受の間に介挿し、とくに、スラストなどを受けるスラスト軸受95と垂直性を保持する深溝玉軸受96とを組み合わせてこれら玉軸受の間にカラ−を介在させ、このような支承機構をナットなどの締結部材70で締付け、その締付け力を調整できるように構成する。
このように構成すると、電極板11表面の当たりによりこの締結部材70の締結度合を適度に調整することにより電極板11上における被溶接物Wに対する上下の電極の当たりを調整することができる。
なお、ギヤモ−タ−との結合はキ−などを用いれば十分にできる。
さらに加えると、電極板11と溶接電源40とを一体に昇降される場合、どのようにしても一体にすることができるが、好ましいのは次のようにして一体化することである。
図1および図2に示す通り、電極板11の裏側に3つの側面プレ−ト51、52、53をコの字状に組み合わせたハウジング50を構成し、そのハウジング50の内部に溶接電源40の収容空間を構成する一方、ハウジング50そのもので電極板11を支持するように構成する。
したがって、電極板11はハウジング50とともに昇降でき、さらに、ハウジング50内の収容空間には受けプレ−ト93を取付けてその受けプレ−ト93によって溶接電源40を受け、受けプレ−ト93の昇降により電極板11と溶接電源40が昇降できるように構成することもできる。このように構成する場合、受けプレ−ト自体はハウジング50の底面に固定することもできるが、受けプレ−トそのものに回転防止止め54を設けて、受けプレ−トの回転範囲、つまり、昇降リフトを調整できるように構成することもできる。
このようにハウジング50により溶接電源40を包囲する場合、溶接電源40そのものは電極板11の裏面からある程度を間隔を取って離間して配置することができ、溶接電源40そのものの性能も十分発揮でき、一体化するのにもかかわらず安全性も確保される。
また、ハウジング50は一つの側面において案内レ−ルに係合するすべり具72によって上下に摺動できるように構成し、案内レ−ルそのものは何んらかの支柱71に取付けることもできる。また、支柱71は支持ア−ムなどを介して上部電極20の溶接ガン21を支持することができる。この場合、溶接電源40の他方の極42は抜差自在にジョイント43を介して通電ケ−ブル73により上部電極20の溶接ガン21に接続することもできる。この上部電極20の接続も通電ケ−ブル73に接続するだけであるから、通電ケ−ブル自体もフレキシブルに構成しかつきわめて短かくでき、この点からもインピ−ダンスにより影響を少なくでき、入力量のロスのない入熱量の大きいスポット溶接が達成できる。
以上のとおり、一方が板状の昇降自在の電極板、他方が棒状溶接ガンから成って、この他方の溶接ガンが上部電極として移動して溶接するスポット溶接機であって、溶接電源からの通電ケ−ブルによる影響を極力低減でき、板金加工を中心とする溶接作業を広く用いることができる。
本発明の一つの実施例に係るスポット溶接機の構造の一部を示す側面からみた説明図である。 図1に示すスポット溶接機の側面からみた一部を示す説明図である。 図1に示すスポット溶接機における電極板の昇降機構の説明図である。 図1に示すスポット溶接機における溶接電源の設置態様を示す説明図である。 図1に示すスポット溶接機全体の一例の説明図である。
符号の説明
10 下部電極
11 電極板
20 上部電極
40 溶接電源
41 極
42 極
100 スポット溶接機

Claims (3)

  1. 被溶接物を上下からはさんで通電加熱してスポット溶接する上部および下部電極のうちの下部電極を平坦な導電性材料の電極板から構成すると共に、この電極板の裏側に一体として溶接電源を配設し、この溶接電源を前記電極板と共に昇降させ昇降機構を設ける一方、この昇降機構に台形ねじを具える昇降棒とこの台形ねじに螺合して前記昇降棒の回転により昇降し前記溶接電源がのせられる受けプレ−トと前記昇降棒の下端に連結するギヤモ−タ−とを設けてなることを特徴とするスポット溶接機。
  2. 前記電極板を支持するハウジングを設け、このハウジング内に前記受けプレ−トを取付けて成ることを特徴とする請求項1記載のスポット溶接機。
  3. 前記昇降機構において前記昇降棒を深溝玉軸受とスラスト玉軸受を組み合わせこれら玉軸受の間にカラ−を介挿して支承することを特徴とする請求項1記載のスポット溶接機。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102785019A (zh) * 2012-05-21 2012-11-21 东莞市嘉龙皮革机械有限公司 后桥半轴套管压装点焊机

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