JP4486729B2 - 苦痛を減少させた突き刺し装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は皮膚を刺し通して（ｐｉｅｒｃｅ）血液サンプルを得る突き刺し装置（ｌａｎｃｉｎｇ ｄｅｖｉｃｅ）、更に詳しくは、使用者の苦痛をより少なくする突き刺し装置に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
突き刺し装置は一日に５回又はそれより多くの回数血液のグルコースレベルを試験しなければならない糖尿病を有する数百万の人々の人生の不幸な現実である。これらの人々は典型的にはこの装置を使用して指から血液滴を抜きとり、血液を使い捨てストリップに塗布しそして計器で血液のグルコース濃度を測定する。このような突き刺し装置の明白な最終目標は使用者にとっての苦痛、不便及び費用を最小にして血液の十分なサンプルを提供することである。
【０００３】
１９８５年３月１２日にコーネル（Ｃｏｒｎｅｌｌ）等に対して発行された米国特許第４５０３８５６号は、管状ハウジングと、ハウジング内の滑り可能なランセットホルダと、ホルダを皮膚刺し通し位置（ｓｋｉｎ ｐｉｅｒｃｉｎｇ ｐｏｓｉｔｉｏｎ）に線状に移動させ、その後それが中立位置に戻る力を与える圧縮可能なばねを有する突き刺し装置を開示している。
【０００４】
バーンズ（Ｂｕｒｎｓ）に対する１９８５年７月９日に発行された米国特許第４５２７５６１号は、ランセットが使用者の皮膚を透通した（ｐｅｎｅｔｒａｔｅｄ）後ランセットホルダを後退させるための第２ばねを含むランセット組立体を開示している。（米国特許第４５３５７６９号及び米国特許第４５５３５４１号も参照）。
【０００５】
ボディッキー（Ｂｏｄｉｃｋｙ）等に対する１９９０年１月２３日に発行された米国特許第４８９５１４７号は、透通深さセレクターと、皮膚が刺し通されて後真空を作り出して穿刺部位（ｐｕｎｃｔｕｒｅ ｓｉｔｅ）から血液を抜き取るのを助けるための機構を含むランセット装置を開示している。
【０００６】
ニエト（Ｎｉｅｔｏ）等に対する１９９０年１２月１１日に発行された米国特許第４９７６７２４号は、使用者が使用されたランセットをそれに触れることなく突き出す（ｅｊｅｃｔ）ことを可能とする機構を含むランセット装置を開示している。
【０００７】
ランゲ（Ｌａｎｇｅ）等に対する１９９４年６月７日に発行された米国特許第５３１８５８４号は、調節可能な且つ再現可能な透通深さ及びより少ない苦痛で穿刺を行うことができる回転／滑り伝達システムを含むランセット装置を開示している。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は血液サンプルを抜き取るための突き刺し装置を提供する。本発明の突き刺し装置は、全体として細長いハウジングを具備し、該ハウジングは前端に貫通穴を有するキャップを有し、そして
（ａ）ハウジング内に滑り可能に取り付けられたランセットホルダと、
（ｂ）ハウジングに支えられている（ｂｅａｒｓ ｏｎ）第１端部とホルダに支えられている第２端部を有する、ホルダを前方に強制するための第１ばねと、
（ｃ）ハウジングの壁に滑り可能に取り付けられたスライダであって、
（i）壁の外側の突起、及び
（ii）押し手段を具備し、ホルダと可逆的に係合可能であって、ホルダを発射準備位置（ｃｏｃｋｅｄ ｐｏｓｉｔｉｏｎ）へと後方に押すため及びランセットを装置から前方に押すためのスライダと、
（ｄ）ホルダに支えられている第１端部とスライダに支えられている第２端部を有する、ホルダを後方に強制するための第２ばねと、
（ｅ）装置が発射準備されるときホルダが拘束される第１位置と拘束が除去されて第１ばねがホルダを前方に押すことを可能とする第２位置との間で移動可能なボタンと、
（ｆ）後端の蓋であって、
（i）所定の位置にホルダの前方移動を止めるための複数の前方に延びている要素、及び
（ii）所定の位置を制御可能に変えそして再設定するための調節手段、
具備する蓋と
を含む。
【０００９】
本発明の装置は、先行技術の突き刺し装置と比べて針の振動及びノイズが減少しているので、突き刺し操作中の苦痛がより少なくなる。更に、装置の後部から透通深さを制御することは、深さの制御装置が前部にある装置に勝る利点を与える。それは本発明の装置が望ましい安価な前部キャップを有することを可能とし、これはキャップの汚染はそれを取り替えることを必要とすることがあるので望ましい。更に、装置の後部において透通深さを制御することによって、フィンガが装置を保持することにより深さの設定があいまいになる可能性は少なくなる。
【００１０】
【実施例】
本発明は突き刺し操作中苦痛を減少させるためのノイズ及び振動減少機構を与える突き刺し装置を提供する。図１はハウジングの一側が取り除かれていて内部を見ることができるようになっている本発明の突き刺し装置１０を示す。装置の前端は貫通穴１４を有するキャップ１２を有する。キャップ１２は例えばねじ山によりハウジング１６に取り外し可能に接合されており、ハウジング１６は便利には２つの部分から成る。１つの半部１６Ａが示されており、他の半部は除去されている。キャップ１２と反対側の装置の後端において、ハウジング１６はノブ１８に接合されている。ノブ１８は機械的止めを与えるカンチレバーフィンガ１８Ａを有しており、その位置はノブをハウジングに取り付ける螺旋ねじのようなねじ山により変えられることができる。
【００１１】
ランセットホルダ２０は装置の操作全体にわたって使い捨てランセットを保持及び案内する。駆動ばね２２はランセットを前方に駆動するために必要なエネルギーを貯蔵する。駆動ばね２２はホルダ２０内に入れられておりそしてハウジングのポスト２３に支えられている。やはりホルダ２０内に収容されている第２のばね、“後退”ばね（“ｒｅｔｒａｃｔｉｏｎ” ｓｐｒｉｎｇ）２４は皮膚が穿刺された後皮膚からランセット針を取り出すための機構を与える。後退ばね２４のばね定数は実質的に駆動ばね２２のそれより小さく、かくして駆動ばね２２は実質的に“より強い”。スライダ２６はハウジング１６上に滑り可能に取り付けられておりそしてハウジングの外側の突起２６Ａを有しており、突起２６Ａは、装置を発射準備する（ｃｏｃｋ）ために手で後方に移動させることができそしてランセットを突き出すために前方に移動可能である。装置が発射準備されると、スライダ２６はホルダ２０に係合する。ボタン３０がハウジングを通して取り付けられており、タブ３０Ａはハウジングの内側に突き出している。装置が発射準備された後、押しボタン３０はランセットホルダ２０に対する拘束を解いて、ばね２２がホルダを前方に押すことを可能とする。要素３０を“ボタン”といっているのは、図示された作動器要素が唯一の意図した物であることを示唆するものではない。本明細書及び特許請求の範囲において使用されたとおり、“ボタン”はランセットホルダに対する拘束を解放することができる当業界で周知の種類のいかなる作動器にも広範に適用されると理解されるべきである。
【００１２】
図２は突き刺し装置１０の後部の拡大図を示す。機械的止めの特徴の好ましい態様では、カンチレバーフィンガ１８Ａが示されており、このカンチレバーフィンガ１８Ａはノブ１８から前方に延びており、アンダーカットされた前方端部を有し、該前方端部は内側に延びている突起を形成する。ホルダ２０が、左に矢印により示された方向に前方に移動すると、ホルダ棚（ｌｅｄｇｅ）２０Ａは最終的にカンチレバー足１８Ａの突起に接触する。ホルダ棚２０の力はフィンガを曲げさせ、これは衝撃の振動を減衰又は吸収しそしてノイズを減少させる。これらの効果の両方共使用者の苦痛を軽減する。装置の前部に対する突起の位置はランセット針が皮膚をいかに深く透通するかを決定する。その位置は、ねじ山１８Ｂ上に載っているノブ１８を回転することにより調節することができる。ノブ上の指示器１８Ｃは、ハウジングのマーク（示されていない）と組み合わせられて、装置を所定の可変の且つ再現可能な穿刺深さ（ｐｕｎｃｔｕｒｅ ｄｅｐｔｈ）に調節することを可能とする。可変穿刺深さが好ましい。何故ならば使用者は、一般に特定の試験のために丁度十分な血液を提供することを望むからでありそして使用者の指の特性が異なるからである。７つのほぼ等しい段階で約１．８ｍｍの深さ範囲を与えることにより、殆どすべての潜在的な使用者の要求を適えることができる。
【００１３】
突き刺し装置の操作は、装置の操作中のシーケンスの装置の要素の配置を示す一連の図の助けにより理解することができる。
【００１４】
図３はスライダ２６の内部部分２６Ｂが取り外し可能なコネクタ２８の頂部２８Ａに支えられている（ｒｅｓｔｉｎｇ ａｇａｉｎｓｔ）、静止している装置の断面図を示す。駆動ばね２２及び後退ばね２４は互いに支えられて釣り合っている。両方のばねは圧縮されているが、駆動ばね２２は戻しばね２４よりはるかに少ない。何故ならばそのばね定数ははるかに大きいからである。ランセット４０及び針４２はキャップ１２の内側に見える。
【００１５】
図４は、スライダ２６を後方に移動させることにより（図４において右方に）装置が発射準備されるプロセスにある、中間位置における装置の断面を示す。スライダ２６の押し要素２６Ｃの後方への移動により及ぼされる力は後退ばね２４を図３におけるよりももっと圧縮させる。駆動ばね２２は、そのはるかに大きなばね定数のため、相対的に圧縮されないままである。
【００１６】
図５は突き刺し装置が“過発射準備”（ｏｖｅｒ−ｃｏｃｋｅｄ）位置にあるとき、即ち、スライダ２６がその移動（ｔｒａｖｅｌ）のはるか後方の位置に移動したときの突き刺し装置を示す。ランセットホルダ２０のカンチレバー延長部４４はハウジング止め４６を僅かに越えて（の右方に）移動している。駆動ばね２２は圧縮されそして後退ばね２４は図４におけるとほぼ同じ程度に圧縮されている。
【００１７】
図６は突き刺し装置が発射準備されそして静止しているときの突き刺し装置を示す。駆動ばね２２はランセットホルダ２０の延長部４４をハウジング止め４６に押し付けている。スライダ２６はその最初の位置（図３）に戻っている。後退ばね２４は図４及び図５におけるよりも少なく圧縮されている。ボタン３０が今押されると、タブ３０Ａは延長部４４を押して（下に）止め４６から自由にし、そして圧縮された駆動ばね２２により及ぼされる力に応答してランセットホルダ２０が前方に（左方に）押されることを可能とする。
【００１８】
そのシーケンスは図７に示された瞬間の状況をもたらす。図７においてはランセット４０はその最も左の位置に達しており、針４２はキャップ開口１４を通って突き出している。ランセットホルダ２０は、ノブ１８の内部要素であるカンチレバーフィンガ１８Ａの突起により前方への（左方への）移動を止められている。前記したとおり、カンチレバーフィンガは僅かに偏向し（ｄｅｆｌｅｃｔ）、それによりそれらはある振動を吸収しそしてノイズを減少させて使用者に対する苦痛を減少させる。これらの効果は、示された好ましい態様では、フィンガ１８Ａの突起及び棚２０Ａは合致する角度で切られており、その結果それらは大きな面積にわたり接触することにより高められる。スライダ２６はまだその最初の位置にある。駆動ばね２２はホルダ２０により前方に押しやられており（ｔｈｒｏｗｎ）、そして圧縮されていない。後退ばね２４は圧縮され、それによりそれはホルダ２０に対して後方に（右方に）力を及ぼし、その結果ランセット４０及び針４２は後退させられ、そして要素の配置は図３に示された配置に戻るであろう。
【００１９】
前記の説明及び図は本発明を実施することを説明するものであって限定するものではないことは当業者には理解されるであろう。本明細書に述べた詳細の変更は本発明の範囲及び精神から逸脱することなくなされうる。
【００２０】
本発明の主なる特徴及び態様は以下のとおりである。
【００２１】
１． 全体として細長いハウジングを具備し、該ハウジングは前端に貫通穴を有するキャップを有し、そして
（ａ）ハウジング内に滑り可能に取り付けられたランセットホルダと、
（ｂ）ハウジングに支えられている第１端部とホルダに支えられている第２端部を有する、ホルダを前方に強制するための第１ばねと、
（ｃ）ハウジングの壁に滑り可能に取り付けられたスライダであって、
（i）壁の外側の突起と、
（ii）押し手段を具備し、ホルダと可逆的に係合可能であって、ホルダを発射準備位置（ｃｏｃｋｅｄ ｐｏｓｉｔｉｏｎ）へと後方に押すため及びランセットを装置から前方に押すためのスライダと、
（ｄ）ホルダに支えられている第１端部とスライダに支えられている第２端部を有する、ホルダを後方に強制するための第２ばねと、
（ｅ）装置が発射準備されるときホルダが拘束される第１位置と拘束が除去されて第１ばねがホルダを前方に押すことを可能とする第２位置との間で移動可能なボタンと、
（ｆ）後端の蓋であって、
（i）所定の位置にホルダの前方移動を止めるための複数の前方に延びている要素と、
（ii）所定の位置を制御可能に変えそして再設定するための調節手段、
を具備する蓋と
を含むことを特徴とする血液を抜き取るための突き刺し装置。
【００２２】
２．前方に延びている要素が、ホルダの表面に係合するための内側に延びている突起を有するカンチレバーフィンガを具備する上記１の装置。
【００２３】
３．調節手段がハウジングに蓋を取り付けるための螺旋ねじ山を含み、それによりハウジング上の蓋を回転させて前方に延びている要素を前方に及び後方に位置づける上記１の装置。
【図面の簡単な説明】
【図１】ハウジングの半分が除去されている本発明の装置の斜視図である。
【図２】図１の装置の後ろ端部の拡大図である。
【図３】静止位置にある図１の装置の断面図である。
【図４】発射準備されている図１の装置の断面図である。
【図５】過発射準備位置にある図１の装置の断面図である。
【図６】発射準備されているときの図１の装置の断面図である。
【図７】発射される（ｆｉｒｅｄ）ときの図１の装置の断面図である。
【符号の説明】
１０ 突き刺し装置
１２ キャップ
１４ 貫通穴
１６ ハウジング
１８ ノブ
１８Ａ カンチレバーフィンガ
２０ ランセットホルダ
２２ 駆動ばね
２４ 後退ばね
２６ スライダ
２６Ａ 突起
３０ ボタン
３０Ａ タブ
４０ ランセット
４４ カンチレバー延長部
４６ ハウジング止め

Claims (1)

1. 全体として細長いハウジングを具備し、該ハウジングは前端に貫通穴を有するキャップを有し、そして
   （ａ）ハウジング内に滑り可能に取り付けられたランセットホルダと、
   （ｂ）ハウジングに支えられている第１端部とホルダに支えられている第２端部を有する、ホルダを前方に強制するための第１ばねと、
   （ｃ）ハウジングの壁に滑り可能に取り付けられたスライダであって、
   （i）壁の外側の突起、及び
   （ii）押し手段を具備し、ホルダと可逆的に係合可能であってホルダを発射準備位置へと後方に押すため及びランセットを装置から前方に押すためのスライダと、
   （ｄ）ホルダに支えられている第１端部とスライダに支えられている第２端部を有する、ホルダを後方に強制するための第２ばねと、
   （ｅ）装置が発射準備されるときホルダが拘束される第１位置と拘束が除去されて第１ばねがホルダを前方に押すことを可能とする第２位置との間で移動可能なボタンと、
   （ｆ）後端の蓋であって、
   （i）所定の位置にホルダの前方移動を止めるための複数の前方に延びている要素、及び
   （ii）所定の位置を制御可能に変えそして再設定するための調節手段、
   を具備する蓋と
   を含むことを特徴とする血液を抜き取るための突き刺し装置。

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