JP4486298B2 - ポリメトキシフラボン類の分離方法 - Google Patents

ポリメトキシフラボン類の分離方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然物由来のポリメトキシフラボン類の簡便な分離方法に関する。
詳しくは、みかん属植物の果皮油を蒸留もしくは減圧蒸留によりテルペン類等の揮発性成分を除去した後の残渣から、アルコール水溶液を用いた抽出法によりポリメトキシフラボン類を効率的に、しかも人体に有害な有機溶剤を使用することなく、低コストで短時間に分離する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から下記一般式(1)の構造式で表されるポリメトキシフラボン類は、みかん属植物、すなわち柑橘類に多く含まれていることが知られており、特にノビレチンに関しては、発ガン抑制作用等の生理活性が明らかにされている(日本農芸化学会誌75巻、12号、(2001)、第1283〜1290頁)物質である。
【0003】
【化2】
Figure 0004486298
【0004】
さらにポリメトキシフラボン類は食品の分野において、呈味改善剤及び呈味改善方法(特許第2615345号公報)や、香味劣化抑制剤(特開平11−169148公報)など、様々な有用な効果が見出され注目されている。
【0005】
みかん属植物の果皮油にはポリメトキシフラボン類以外に、非常に性質の異なる多種多様な数多くの成分が含まれている(例えば「香料化学総覧(I)」第232頁、廣川書店、昭和42年;「果実の科学」第130頁、朝倉書店、1991年を参照)。
例えば、テルペン類等の炭化水素化合物、アルデヒド、エステル等のカルボニル化合物、アルコール類等の揮発性成分および通常の条件では揮発しないワックス類、カロテノイド色素等の不揮発性成分が含まれており、簡便な方法でポリメトキシフラボン類を選択的に分離することは困難を有すると考えられる。
【0006】
みかん属植物の果皮油からポリメトキシフラボン類を精製する従来技術としては、前掲の特許第2615345号公報や特開平11−169148号公報に開示されている方法が挙げられる。
具体的には、ミカン科植物の果実、果皮、果皮油、葉部等の原料をメタノール、エタノールまたはクロロホルム等の有機溶剤を用いて加熱抽出する方法、または超臨界流体溶媒を用いて抽出する方法が記されている。
【0007】
しかし、これらの方法ではポリメトキシフラボン類以外に原料由来のリモネン、リナロール、ゲラニオール、ネロール、α−タピネオール、シトラール等の炭化水素化合物類、カルボニル化合物類、エステル類、アルコール類、その他香気成分、およびカロチノイド等の色素成分が含有され、純度の高いポリメトキシフラボン類を得ることができなかった。
従って、呈味改善剤または香味劣化抑制剤等の用途に使用する場合、夾雑物による香味、異臭、着色等の問題が生じるので極めて用途が制限されていた。
【0008】
そのため、さらに純度の高いポリメトキシフラボン類を得るため、従来技術においては、ポリメトキシフラボン類を含有する抽出物をシリカゲル、アルミニウムオキシド、アルキルシリル化シリカゲル、アリルシリル化シリカゲル等の担体を充填したカラムに担持させ、例えば酢酸エチル−ヘキサンまたは水−アセトニトリル等の展開溶剤を用いたカラムクロマトグラフィー法または高速液体クロマトグラフィーにより分離精製されている。
また、ヘキサン又はペンタン等と含水メタノール又はエタノールによる液液分配クロマトグラフィー、ヘキサン又はペンタン等と含水メタノール又はエタノールによる液液向流抽出法クロマトグラフィーが用いられることもある。
【0009】
しかしながら、これらの方法で得られるポリメトキシフラボン類は、非常に純度が高い反面、一度に多量のポリメトキシフラボン類を分離精製することが困難である。
また、多量のポリメトキシフラボン類を調製するには非常に時間がかかり、さらには大量の高価な有機溶媒、特別な装置を必要とすることから、非常にコストがかかるという欠点は避けられず工業的生産には適していない方法であるとされている。
【0010】
さらに、上記方法においては、n−ヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどの人体に悪影響を与える可能性のある有機溶媒を使用するので、得られたポリメトキシフラボン類を食品に用いることは安全性の面からも適切でない方法である。
【0011】
以上のように、みかん属植物の果皮油から、安全性を懸念することなく食品に使用可能であり、なおかつ簡便で経済的に有利な方法でポリメトキシフラボン類を分離する方法の開発に成功した例は未だ知れていないのが現状であり、新たな分離方法の提供に多大な期待が寄せられている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の従来技術における問題点を解決し、みかん属植物の果皮油から、ポリメトキシフラボン類を他の成分から一度に大量に分離でき、かつ安価で食品に使用可能な安全性の高いポリメトキシフラボン類の分離方法を提供することである。
【0013】
また、原料であるみかん属植物の果皮油、特にオレンジ果皮油に関しては、工業的にリモネン等のテルペン類や、テルペン類を除いた精油(テルペンレスオイル)等の香料原料として大量に利用されており、その残渣はほとんど有効利用されないまま廃棄されているのが現状である。しかしながら、リモネン等の香料採取後の残渣には大量のポリメトキシフラボン類が含まれており、無償に近い安価な原材料として本発明を適用することができ、廃棄物の有効利用という目的にも資する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリメトキシフラボン類が生理活性、呈味改善効果など様々な効果を有することに着目し、その効率的な分離方法について鋭意研究を行った結果、みかん属植物の果皮油からテルペン化合物等の揮発性成分を除去した後の残渣からアルコール水溶液で抽出することにより、安全性の高いポリメトキシフラボン類を低コストかつ極めて選択的に分離する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、みかん属植物の果皮油から揮発性成分を蒸留によって除去した後の残渣からアルコール水溶液で抽出することを特徴とする下記一般式(I)
【0016】
【化3】
Figure 0004486298
【0017】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は各々独立して水素又はメトキシ基である)で表されるポリメトキシフラボン類の分離方法である。
【0018】
また、みかん属植物が、スイートオレンジ(Citrus sinensis)、サワーオレンジ(Citrus aurantium)、マンダリンオレンジ(Citrus reticulate)からなる群より選ばれた少なくとも1種であること、さらに、ポリメトキシフラボン類がペンタメトキシフラボン、ノビレチン、テトラメトキシフラボン、タンゲレチン、ヘプタメトキシフラボンからなる群より選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。
【0019】
また、みかん属植物の果皮油から揮発性成分を蒸留によって除去する方法が、圧力1〜100Pa、且つ温度120〜220℃の条件下における蒸留であること、さらに薄膜蒸留装置を用いる蒸留であることを特徴とする。
また、抽出に用いるアルコールが、エタノール、プロパノールまたはブタノールからなる群より選ばれた少なくとも1種であり、さらにアルコール水溶液のアルコール濃度が、10〜50%であることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
要するに、本発明は、
(a)みかん属植物の果皮油から揮発性成分を蒸留によって除去する工程、及び
(b)前記工程における蒸留除去後の残渣(以下「蒸留残渣」という)をアルコール水溶液で抽出する工程、
からなるポリメトキシフラボン類の分離方法である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0021】
(1)ポリメトキシフラボン類およびその原材料
本発明で抽出・分離されるポリメトキシフラボン類は、下記一般式(1)
【0022】
【化4】
Figure 0004486298
【0023】
(式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は各々独立して水素又はメトキシ基である)で表わされる化合物であり、具体的には、ペンタメトキシフラボン、ノビレチン、テトラメトキシフラボン、ヘプタメトキシフラボン、タンゲレチンが該当する。
【0024】
上記ポリメトキシフラボン類は、ミカン属植物の外果皮に含まれる果皮油中に多く含有されている。中でも、入手の容易さの観点から特にスイートオレンジ(Citrus sinensis)、サワーオレンジ(Citrus aurantium)、マンダリンオレンジ(Citrus reticulate)の果皮油を原材料として用いることが好ましい。
果皮油の採取方法は特に限定されるものではないが、例えば、果皮を冷時又は常温下で圧搾して果皮油(コールドプレスオイル)を得る方法が挙げられる。また、オレンジ果皮油から工業的に生産されている天然リモネンの残渣も使用可能である。
【0025】
(2)揮発性成分を除去する工程(a)
揮発性成分は蒸留によって除去されるが、なるべく低い温度で揮発性成分を除去するという観点から減圧蒸留が好ましい。減圧蒸留は、単蒸留、精留、分子蒸留等一般的な方法で行うことができる。
また、リモネン等の低沸点成分を除去する前処理を行って、得られる残液をさらに高真空の条件で蒸留して残存する揮発性成分を十分に除去することが望ましい。
【0026】
本工程における蒸留は、圧力が1〜100Paで蒸留温度が120〜220℃が好ましく、特に圧力が10〜50Paで蒸留温度が160〜200℃が好ましい。120℃未満では揮発性成分が十分に除去できない傾向にあり、一方、220℃を超えるとポリメトキシフラボン類が一部留出してしまうためである。
また、蒸留は薄膜蒸留で行うことが好ましい。薄膜蒸留とは、ある一定の温度に加熱された面上に被蒸留物(前記残液)を連続的に供給して均一な薄膜を形成させ、該被蒸留物をその面上にある間だけ加熱し、揮発性成分を蒸発させることにより揮発性成分と不揮発性成分を分離する蒸留方法である。
ここで、本発明において揮発性成分とは、果皮油中に含まれるリモネン、リナロール、ゲラニオール、ネロール、α−タピネオール、シトラール等の炭化水素化合物類、カルボニル化合物類、エステル類、アルコール類、その他香気成分であり、前記ポリメトキシフラボン類よりも揮発度の高い、すなわち沸点のより低い成分をいう。
【0027】
(3)アルコール水溶液で抽出する工程(b)
本工程において用いられるアルコールは、人体への安全性と取扱性の観点から、炭素数2〜4の脂肪族アルコール、すなわちエタノール、プロパノール、ブタノールが好ましい。中でも、特に食品に多用され安全性が高いエタノールが好ましい。
また、アルコール水溶液中のアルコール濃度は、好ましくは10〜50%であり、特に好ましくは20〜40%である。アルコール濃度が50%を超える場合には、ポリメトキシフラボン類と共に多くの夾雑物が抽出されてしまう傾向となり、一方、10%未満ではポリメトキシフラボン類の回収率が低下するため不適切である。
【0028】
本工程において用いられるアルコール水溶液の量は、前工程(a)で揮発性成分を除去した後の蒸留残渣の1〜50倍量が好ましく、特に5〜30倍量が好ましい。
本工程において用いられる抽出方法は、浸漬法や加熱還流法などの一般的な方法が挙げらるが、特に60〜80℃の温度条件が好ましい。
【0029】
上記の分離方法によって得られるポリメトキシフラボン類は、ポリメトキシフラボン各種の混合物のままであっても食品の呈味改善剤又は香味劣化抑制剤等として使用することができる。従って、みかん属植物の果皮油からポリメトキシフラボン類だけを他の成分から分離できればよい場合が多く、必ずしもポリメトキシフラボン類の個々の成分を単離精製する必要はない。
【0030】
ただし、純度の高いポリメトキシフラボン類、若しくはヘプタメトキシフラボン等の単品が必要な場合は、再結晶法またはカラムクロマトグラフィー法により容易に精製することが可能であり、必要に応じて適切な精製法を使用できる。
【0031】
【実施例】
本発明を以下の実施例を用いてさらに詳細に説明するが、以下の実施例は例示の目的にのみ用いられ、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0032】
〔実験例〕
市販のオレンジ果皮油を酢酸エチルで5倍希釈し、以下の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてポリメトキシフラボン類の含有成分量について定量した。定量した結果を以下の表1に示す。
なお、本実験例で用いたHPLCの条件を以下に示す:
装置:日立製作所「HITACHI D-700 HPLCシステム」
カラム:ナカライテスク社製「コスモシール5C18−AR−11」(カラム温度:40℃)
Figure 0004486298
流速:1ml/分間
検出波長:325nm
【0033】
各成分の含有量は、予め単離した純品で作成した検量線を用いて算出した。
表1のポリメトキシフラボン類の含量は、ペンタメトキシフラボン、ノビレチン、テトラメトキシフラボン、ヘプタメトキシフラボン、タンゲレチンの含有量の総和を示す。
【0034】
【表1】
Figure 0004486298
【0035】
〔前処理〕
実験例で用いた市販のオレンジ果皮油1000kgを圧力1330Pa、釜温度150℃にて減圧蒸留を行い、リモネン等の低沸点成分が除去された釜残液50kgを得た。得られた釜残液を酢酸エチルで100倍に希釈し、実験例と同条件で測定した。その結果を表2に示す。
なお、回収率とは、オレンジ果皮油中に含まれるポリメトキシフラボン類の釜残液への回収率を示し、下記計算式(I)を用いて算出した。
回収率(%)=(c×d)/(a×b)×100(%) (I)
〔式中a:蒸留に使用した油の重量(kg)
b:蒸留に使用した油のポリメトキシフラボン(類)の含量(%)
c:釜残液の重量(kg)
d:釜残液のポリメトキシフラボン(類)の含量(%)〕
【0036】
【表2】
Figure 0004486298
【0037】
表2に示したように、前処理ではポリメトキシフラボン類は損失することなく、オレンジ果皮油から釜残液中に回収された。
以下に示す実施例1〜5は、前処理で得られた釜残液を用いて行った。
【0038】
〔実施例1〕
前処理で得られた釜残液50gを圧力10Pa、温度160℃で薄膜蒸留を行い、揮発性成分を除去した。
このようにして得られたオレンジ果皮油蒸留残渣27.5gに30%エタノール水溶液を700g加え、1時間かけて加熱還流し抽出を行った。25℃まで冷却後、上層のオイル部とエタノール水溶液層を分液した。エタノール水溶液層を濾過後、減圧濃縮乾固することにより固形分を2.48g得た。
このようにして得られた固形分を50%アルコール水溶液で1万倍希釈し、実験例と同条件で固形分中のポリメトキシフラボン類の含量を測定した結果を表3に示す。なお、回収率とは前処理で得られた釜残液からのポリメトキシフラボン(類)の回収率を示しており、前処理における回収率の計算と同様にして算出した。
【0039】
【表3】
Figure 0004486298
【0040】
表3に示したように容易にかつ高純度(不純物が少なく)のポリメトキシフラボン類を高い回収率で分離することが可能であった。
【0041】
〔実施例2〕
前処理で得られた釜残液100gを各種条件で減圧蒸留を行った。このようにして得られた留分及び蒸留残渣を、前処理と同条件で分析した結果を表4に示す。なお、収率は減圧蒸留で得られた留分および蒸留残渣の重量を前処理の釜残液重量の百分率で表し、ポリメトキシフラボン類の回収率は前処理における回収率と同様な方法を用いて算出した。
また、蒸留により得られた蒸留残渣25gに30%エタノール水溶液を500g加え、1時間かけて加熱還流し抽出を行った。25℃まで冷却後、上層のオイル部とエタノール水溶液層を分液した。エタノール水溶液層を濾過後、減圧濃縮乾固することにより得られたポリメトキシフラボン類を50%エタノール水溶液で1%に希釈し、希釈液をグルコースの10%水溶液に0.1%添加することにより異味異臭の有無を評価した結果を表4に示す。
【0042】
【表4】
Figure 0004486298
【0043】
表4に示したように、蒸留温度が200℃を超える場合は、留分にポリメトキシフラボン類が流出してしまい、蒸留残渣のポリメトキシフラボン類の回収率が低下してしまう。
一方、蒸留温度が160℃以下ではオレンジ様の香気が残ってしまう。
【0044】
〔実施例3〕
前処理で得られた釜残液を圧力40Pa、温度190℃で薄膜蒸留を行い、揮発性成分を除去した。このようにして得られたオレンジ果皮油蒸留残渣50gをエタノール水溶液1000gで1時間かけて加熱還流して抽出し、25℃まで冷却後、上層のオイル部とエタノール水溶液層を分液した。
エタノール水溶液層を濾過後、減圧濃縮乾固して得られた固形分を実施例1と同条件で分析することにより固形分中のポリメトキシフラボン類の含有率と回収率を算出した結果を表5に示す。なお、固形分収率(%)は、得られた固形分重量を前処理の釜残液重量の百分率で表した値である。
【0045】
【表5】
Figure 0004486298
【0046】
また、得られた固形分の状態、色調の評価結果及び、得られた固形分を50%エタノール水溶液で1%に希釈し、希釈液をグルコースの10%水溶液に0.1%添加することにより異味異臭の有無を評価した結果を表6に示す。
【0047】
【表6】
Figure 0004486298
【0048】
表5から抽出に使用するアルコール濃度が0%と10%の場合には分離されるポリメトキシフラボン類の純度は高いものの、回収率が4〜35%と低く非効率であった。
一方、アルコール濃度が60%と80%の場合には、分離されるポリメトキシフラボン類の回収率は90〜98%と高いものの、純度は49〜63%と低く、また異味異臭及び着色がみられた。
アルコール濃度が20%と40%の場合には、分離されるポリメトキシフラボン類の純度が97〜98%と高く、さらに回収率も80〜85%と非常に効率よく異味異臭のないポリメトキシフラボン類を得ることができた。
また、アルコール濃度が60%と80%の場合には、得られた固形分は褐色の粘性の高い液体であるのに対して、0〜40%の場合は淡黄色の固体であることから、得られた固形分の取り扱いが容易であった。
【0049】
〔実施例4〕
前処理で得られた釜残液200gを圧力50Pa、温度180℃で薄膜蒸留を行い、揮発性成分を除去した。
このようにして得られたオレンジ果皮油蒸留残渣105gに40%プロパノール水溶液を1200g加え、1時間かけて80℃で抽出を行った。25℃まで冷却後、上層のオイル部とプロパノール水溶液層を分液した。
エタノール水溶液層を濾過後、減圧濃縮乾固することにより固形分を2.74g得た。
得られた固形分を実施例1と同条件で分析し、ポリメトキシフラボン類の含量及び回収率を算出した結果を表7に示す。
【0050】
【表7】
Figure 0004486298
【0051】
表7に示したようにポリメトキシフラボン類を損失することなく容易にかつ純度よく(不純物が少なく)分離することが可能であった。
【0052】
〔実施例5〕
前処理で得られた釜残液500gを圧力10Pa、温度160℃で薄膜蒸留を行い、揮発性成分を除去した。
このようにして得られたオレンジ果皮油蒸留残渣250gに15%エタノール水溶液を7000g加え、1時間かけて60℃で抽出を行った。25℃まで冷却後、上層のオイル部とエタノール水溶液層を分液した。エタノール水溶液層を濾過後、減圧濃縮しエタノールを除去後、5℃、24時間放置し、沈殿物を濾過することにより、淡黄色の結晶としてヘプタメトキシフラボンを2.35g得た。
この結晶を実施例1と同条件で分析した結果、純度は99.6%であり、非常に高純度なヘプタメトキシフラボンを容易に分離することができた。
【0053】
〔実施例6〕
市販のオレンジ果皮油から香料の原料となるリモネン等のテルペン類及びテルペン類を除いた精油(テルペンレスオイル)を蒸留で分離した後の釜残液1000gを圧力50Pa、温度160℃で薄膜蒸留を行い、揮発成分を除去した。このようにして得られたオレンジ残渣550gに20%エタノール水溶液を1200g加え、1時間かけて加熱還流し抽出を行った。25℃まで冷却後、上層のオイル部とエタノール水溶液層を分液した。エタノール水溶液層を濾過後、減圧濃縮乾固することによりポリメトキシフラボン類を4.1g得た。
得られたポリメトキシフラボンを実施例1と同条件で分析した結果を表8に示す。
【0054】
【表8】
Figure 0004486298
【0055】
実施例6に示したようにポリメトキシフラボン類を容易にかつ純度よく(不純物が少なく)分離することが可能であった。
上記実施例4〜6で得られたポリメトキシフラボン類は、異味、異臭が少なく淡黄色の固形もしくは結晶であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明により、蒸留(特に減圧蒸留)及びアルコール水溶液による抽出法を組み合わせたことにより、みかん属植物の果皮油から不純物が少なく異味異臭のないポリメトキシフラボン類を簡便にしかも非常に効率よく分離することができる。
また、本発明により食品に使用可能な安価で且つ安全性の高いポリメトキシフラボン類を工業的に得ることが可能となる。
さらに、本発明を適用すれば、これまで廃棄されていたリモネン等のテルペン類及びテルペン類を除いた精油(テルペンレスオイル)採取後のオレンジ果皮油残渣を利用することも可能となり、資源の有効利用に多大な貢献をすることができる。

Claims (5)

  1. みかん属植物の果皮油から蒸留によってリモネンを含む低沸点成分を除去した残液を得ること、当該残液から薄膜蒸留装置を用い圧力が1〜100Paで温度が120〜220℃の条件下における減圧蒸留によって揮発性成分を除去して残渣を得ること、および、当該残渣から、エタノール濃度が10〜50%のエタノール水溶液で、下記一般式(I)
    Figure 0004486298
    (式中、R1、R2、R3、R4、及びR5は各々独立して水素又はメトキシ基である)で表されるポリメトキシフラボン類を抽出すること、からなるみかん属植物由来ポリメトキシフラボン類の分離方法。
  2. みかん属植物が、スイートオレンジ(Citrus sinensis)、サワーオレンジ(Citrus aurantium)、マンダリンオレンジ(Citrus reticulate)からなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項1記載の分離方法。
  3. ポリメトキシフラボン類が、ペンタメトキシフラボン、ノビレチン、テトラメトキシフラボン、タンゲレチン、ヘプタメトキシフラボンからなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項1又は請求項2記載の分離方法。
  4. 圧力が10〜50Paで温度が160〜200℃の条件下において減圧蒸留を行なう請求項1〜3のいずれか1項に記載の分離方法。
  5. エタノール水溶液のエタノール濃度が20〜40%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の分離方法。
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