JP4485427B2 - 低降伏比高張力鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、耐ガス切断割れ性に優れると共に、約100KJ/mmまでもの超大入熱溶接での継手靭性に優れ、且つ音響異方性が小さく、塑性変形能が大きく、しかも引張強さが590MPa以上の溶接構造用低降伏比高張力鋼板に関するものである。
近年、建築物の超高層化や橋梁の少数主桁化が進む中で、溶接施工時の予熱低減とともに、大入熱溶接の適用および溶接継手部への超音波探傷試験の適用、地震に対する終局耐力設計の適用が設計・施工サイドで進められつつある。これに伴い、それらに供用される鋼材サイドとしては、下記(1)〜(4)の各項目について検討されている。
(1)予熱低減要求に対しては、溶接低温割れ感受性組成(PCM)の低減、
(2)大入熱溶接の適用に対しては、入熱量の増大に耐えうる溶接継手部全部位の高靭性化、
(3)溶接継手部への超音波探傷試験(UT)への適用に対しては、斜角UTに用いられる横波の鋼材とSTB試験片での音速比が、例えば、板厚25mm超え、公称屈折角度70°で探傷する場合においては、V/VSTB0.995〜1.015の範囲内にあることによって音響異方性が小さいこと(日本建築学会における鋼構造建築溶接部の超音波検査基準の定義に従う)、
(4)地震に対する終局耐力設計の適用に対しては、降伏比(降伏点/引張強さ×100%)が小さいこと(即ち、塑性変形能が高いこと)が要求されると共に(建築用途の場合、80%以下)、使用される鋼材の板厚・引張強さについても厚肉・高強度化(最大100mm厚で、建築用途の場合、590MPa以上、橋梁の場合、570MPa以上)されつつある。
建築用鋼に要求される低降伏比を満足する590MPa級鋼の製造方法の一つとして、例えば特許文献1に示されるような技術が提案されている。この技術では、C:0.10〜0.18%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.70〜1.50%、P:0.010%以下、S:0.002%以下、Nb:0.005〜0.030%およびCa:0.0010〜0.0030%を夫々含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、且つ炭素当量Ceq(JIS)が0.45%の鋼片を、再結晶温度域で圧延を完了し、5〜30℃/秒の冷却速度で400℃以下まで冷却後、Ac3点以上の温度からなる再加熱焼入れ(RQ)、二相域(Ac1点以上Ac3点未満)からの焼入れ(Q’)およびAc点未満の温度での焼戻し(T)を施すQ−Q’−T法を用いて、降伏比80%以下、引張強さ590MPa以上を得るものである。
また極低炭素系のベイナイト組織を活用し、音響異方性を改善すると共に、引張強さが570MPa級または590MPa級の鋼材を製造する方法としては、例えば特許文献2〜5のような各技術も提案されている。
このうち特許文献2の技術では、C:0.001%以上0.030%未満、Si:0.60%以下、Mn:0.20〜3.00%、Ni:2.0%以下、Cu:0.7〜2.0%およびAl:0.10%以下を夫々含む組成になる鋼素材を、860℃以上の温度に加熱して冷却した後、500℃以上800℃未満の温度域に再加熱して冷却することによって、材質ばらつきが少なく、且つ音響異方性の小さい570MPa級の高強度鋼材を製造する方法について開示されている。
また特許文献3の技術では、C:0.005〜0.025%、Si:0.60%以下、Mn:0.4〜1.6%、P:0.025%以下、S:0.010%以下、Al:0.1%以下、Cu:0.6〜2%、Ni:0.25〜2.0%、Ti:0.001〜0.050%およびB:0.0002〜0.0030%からなる化学成分組成で、且つ重量比Mn/Cu:2.0以下且つ117Mn(%)+163Cu(%):250〜350%で含有し、残部がFeおよび不可避不純物から成る鋳片を、1050〜1250℃に再加熱後、950℃以下の温度域における累積圧下率が50%以下で仕上げ圧延温度が800℃以上の熱間圧延を施すことによって、圧延ままで鋼板の厚み方向の靭性および音響異方性に優れる590MPa級の溶接用極厚鋼板を製造する方法について開示されている。
更に、特許文献4には、C:0.025〜0.045%、Nb:0.005〜0.1%でMoを含まない、音響異方性が小さく、溶接性に優れた引張強さ590MPa以上の非調質型の低降伏比高張力鋼板の製造方法が示されている。
特許文献5では、C:0.015〜0.045%、B:0.0004〜0.003%、Cu:0.5〜0.95%、Ni:0.7〜5.0%(但し、Ni含有量[Ni]とCu含有量[Cu]の比[Ni]/[Cu]≧1)、Ti:0.005〜0.03%を夫々含有し、且つ下記(2)式で示されるCE値が0.27〜0.33%の範囲内にある化学成分組成を有し、0.5〜3.5体積%の島状マルテンサイト相と4×1020〜26×1020個/m3のε−Cu相クラスターがベイナイト地に分散したものとすることによって、耐ガス切断割れ性および大入熱溶接継手靭性に優れ且つ音響異方性の小さい低降伏比高張力鋼板が開示されている。
CE=[C]+A(c)・{[Si]/24+[Mn]/6+[Cu]/15+[Ni]/20+([Cr]+[Mo]+[Nb]+[V])/5+5[B]}
‥(2)
但し、A(c)= 0.75+0.25・tanh{20([C]-0.12)}であり、[C],[Si],[Mn],[Cu],[Ni],[Cr] ,[Mo],[Nb],[V]および[B]は、夫々C,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,Mo,Nb,VおよびBの含有量(質量%)を示す。
しかしながら、これまで提案されている極低炭素系ベイナイト組織の高張力鋼板においては夫々次に示すような問題が指摘される。まず上記特許文献1の技術では、提案されている中炭素鋼の590MPa級鋼板は、建築用として使用されているものの、ポリゴナルフェライトの生成によって、母材および継手部において所定の強度を確保するための炭素当量がQT型の590Pa級鋼板よりも高くなるので、適用溶接入熱も17KJ/mmと少なくなり、100KJ/mmもの大入熱溶接継手部での靭性が低位のものとなる。また、上記特許文献2の技術では、得られる鋼材の音響異方性は小さいものの、降伏比は80%を超えており、建築用途に供用できない。
特許文献3の技術では、得られる鋼板の音響異方性は小さく、降伏比も建築用鋼板に対する要求値(80%以下)を満足するものの、Cuの析出による強度上昇効果を、圧延後の冷却過程に依っているため、冷却速度が速い場合には上記効果が安定して得られるとは限らず、しかもこうした効果は板厚に依存することになる。大入熱HAZ靭性についても、入熱50KJ/mmの熱サイクルシャルピー(0℃での吸収エネルギーvE)で52〜71J程度であり(実施例の表2)、本発明で目標とする平均70J以上を安定して達成できるものではない。またこの技術では、CuおよびNiを必須成分として含むものであるが、これらの適切な配合割合については何ら考慮されていないので(実施例の表1でNi/Cuが0.47〜0.95)、ガス切断面の表面に平行方向に、Cuの液化に起因する割れの感受性を有するものとなる。
特許文献4の技術は、空冷ままで小さい音響異方性と低降伏比を実現させることによって建築用鋼板としての要求特性を満足させたものであるが、大入熱溶接継手の入熱量が20KJ/mm程度と比較的小さいので(例えば実施例の表3)、本発明の目標とする約100KJ/mmまでの溶接入熱において、高HAZ靭性を確保できる保証はない。
特許文献5の技術では、DQ(直接焼入れ)−Q’−TおよびRQ−Q’―Tを適用することによって、ベイナイト地に島状マルテンサイトを分散させ、これによって板厚45〜100の範囲において建築用590MPa級鋼の目標降伏比である80%以下を満足する高強度鋼板が開示されている。この技術は、比較的厚い鋼板においては、極めて有用な技術といえるのであるが、板厚が45mm未満では板厚が薄くなるにつれて降伏比が急激に増大して80%を超えてしまうことがあり、適用する板厚に限界があった。
一方、引張強さ590MPa級で入熱20KJ/mm以上における大入熱溶接継手靭性に優れた鋼材として、例えば特許文献6〜8のような技術も提案されている。
このうち特許文献6には、C:0.001〜0.03%、Mn:0.8〜3.0%、B:0.0003〜0.0050%を含み、且つTi/Alが5.0以上を満足し、かつTi酸化物:20〜90%、Al23:70%以下、Ca酸化物,REM酸化物のいずれか1種または2種の合計:5〜50%、MnO:15%以下からなる酸化物系介在物を分散させた引張強さ570MPa級鋼材の製造方法が開示されている。
また特許文献7には、C:0.02%以下、Mn:0.5〜2.0%、Nb:0.010〜0.10%、B:0.0003〜0.0040%で、且つB/Nが0.3〜1.0の組成を有する引張強さ552〜605MPaの非調質型低温用鋼材について開示されている。
更に、特許文献8には、C:0.01〜0.06%、Mn:1.25〜2.5%、Cr:0.1〜2.0%、Mo:1.5%以下(0%を含む)、Ti:0.005〜0.03%、B:0.0006〜0.005%、O:0.0025〜0.015%を含有し、([Mn]+1.5×[Cr]+2×[Mo])で定義されるパラメータKPが2.4質量%以上である高張力鋼板について開示されている。またこうした高張力鋼板を製造する工程として、850〜950℃で圧延を完了し、その後冷却し、次いで750〜800℃に再加熱後水焼入れを行い、最終的に550〜600℃で焼戻しすることについて示されている(例えば、実施例の表3、4)。
しかしながら、上記特許文献6の技術では、0.005〜0.10%程度のNbを含むものであり(実施例で0.04〜0.05%)、圧延終了温度を800℃以上(実施例で820〜850℃)と規定しており、建築用途の溶接構造用鋼材に要求される音響異方性を安定して満足し得ないものである(この点については後述する)。
特許文献7の技術では、上記特許文献6と同様にNb:0.010〜0.10%を含有しており、こうした鋼材に対して750℃以上で圧延を終了し、空冷あるいは加速冷却が施されることによって引張強さ590MPa級を満足させるものであるが、降伏比は82%以上となって建築用途に適用できないものである。
特許文献8の技術では、低炭素鋼(C含有量0.03ベース)において、Cu,NbおよびMoを無添加としたものも示されているが(実施例の表1のNo.1)、この鋼材におけるMn量はJIS G 3106のSM570および建設大臣一般認定の高性能鋼SA440におけるMn量の規定量(1.6%以下)を超えるものである。またMn量を1.60%以下としたものも示されているが(表1のNo.12)、この鋼材ではCuおよびNbの無添加による強度低下をMoの添加によって補償するものであり、こうした鋼材では靭性がvE-40(−40℃における吸収エネルギー)で71Jと低位であり、しかもガス切断性に劣るものとなる。即ち、こうした鋼材では、ガス切断面の表面粗度がWES2801を満足するのは困難であり、ノッチが生成されて破壊の起点となるため、構造用部材としては適さない。
ところで、Cuを含有する鋼材において、Cuに起因する表面割れを抑制し、且つ溶接熱影響部の靭性をも優れたものとした技術として、例えば特許文献9に示される技術も知られている。この技術は、Si:0.05〜0.5%、Cr:0.1〜0.6%、B:0.0005%以下を含有する溶接構造用Cu含有鋼であり、圧延時の割れを防止すると共に、12KJ/mmのCO2溶接における溶接熱影響部の靭性vEが良好であるとしている。またNiを添加する場合は、鋼中Cu量の1/3未満に規定することが望ましいことが示されている。
しかしながら、この技術で圧延時の割れが防止できたとしても、ガス切断時に鋼成分がスラグ化する過程において鋼中のCuやCu合金が低温まで溶融状態で残存する場合には、圧延の加熱時に比較して鋼が一旦溶融する程に格段に入熱量が大きいため、溶融状態のCuのガス切断面の粒界に容易に侵入し易くなることによって、ガス切断割れを防止できないこともあり、そのままの状態では破壊の起点を内在したものとなり、割れが開口する方向の軸応力が作用する部位への適用はできない。
特公平7−47774号公報 特許請求の範囲等 特開平9−256042号公報 特許請求の範囲等 特開平11−193445号公報 特許請求の範囲、実施例の表1、2等 特開2002−53912号公報 特許請求の範囲、実施例の表3等 特開2005−36295号公報 特許請求の範囲 特開2000−345239号公報 特許請求の範囲等 特開2001−20034号公報 特許請求の範囲等 特開2001−335883号公報 特許請求の範囲、実施例の表3、4等 特開2002−371337号公報 特許請求の範囲
本発明は、こうした従来技術における課題を解決するためになされたものであって、その目的は、耐ガス切断割れ性および大入熱溶接継手靭性に優れ、且つ音響異方性が小さく、しかも塑性変形能が大きい、薄鋼板でも適用できるような引張強さ590MPa級の低降伏比高張力鋼板を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の低降伏比高張力鋼板とは、C:0.015〜0.045%(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.4%以下(0%を含む)、Mn:0.8〜1.6%、Cr:0.5〜1.3%、sol.Al:0.08%以下(0%を含む)、B:0.0004〜0.003%、Cu:0.5〜0.95%、Ni:0.7〜5.0%(但し、Ni含有量[Ni]とCu含有量[Cu]の比[Ni]/[Cu]≧1)、Ti:0.005〜0.03%および下記(1)式を満足するNを夫々含有すると共に、実質的にNbおよびMoを含まず、且つ下記(2)式で示されるCE値が0.27〜0.33%の範囲内にあり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学成分組成を有し、板厚方向断面における旧オーステナイト粒径の平均アスペクト比(主圧延方向の平均粒径/板厚方向の平均粒径)が1.0〜1.2であると共に、10〜40体積%の擬ポリゴナルフェライト、0.5〜3.5体積%の島状マルテンサイト相、残部が擬似パーライト相の組織を有し、この組織中には4×1020〜26×1020個/m3のε−Cu相クラスターが分散したものである点に要旨を有するものである。
[Ti]×14.0/47.9−0.001≦[N]≦[Ti]×14.0/47.9+[B]×14.0/10.8 ‥(1)
但し、[Ti],[N],および[B]は、夫々Ti,NiおよびBの含有量(質量%)を示す。
CE=[C]+A(c)・{[Si]/24+[Mn]/6+[Cu]/15+[Ni]/20+([Cr]+[Mo]+[Nb]+[V])/5+5[B]}
‥(2)
但し、A(c)= 0.75+0.25・tanh{20([C]-0.12)}であり、[C],[Si],[Mn],[Cu],[Ni],[Cr] ,[Mo],[Nb],[V]および[B]は、夫々C,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,Mo,Nb,VおよびBの含有量(質量%)を示す。
本発明の低降伏比高張力鋼板には、必要によって、(a)V:0.005〜0.10%、(b)Ca:0.0005〜0.01%、(c)La:0.002〜0.02%,Ce:0.0003〜0.0050%,Mg:0.0005〜0.0030%およびZr:0.002〜0.02よりなる群から選ばれる1種または2種以上、等を含有することも有効であり、これら含有される成分に応じて高張力鋼板の特性を更に向上させることができる。
本発明の高張力鋼板は、低降伏比で予熱を必要とせず、且つ約100KJ/mmまでもの大入熱溶接を施しても平均70J以上の高HAZ靭性を確保でき、歪み速度の大きな地震に対しても溶接継手部の脆性破壊を防止でき、しかもガス切断割れの欠陥を内在せず、音響異方性も小さいので、超高層建築物の主要溶接構造部材として極めて信頼性の高い、薄鋼板でも適用できる引張強度590MPa級高張力鋼板である。
超高層建築物に供せられる引張強さ590MPa級高張力鋼板に対して、従来の降伏比80%以下の塑性変形能に加えて、溶接継手の厚肉化に対応して、溶接入熱50〜100KJ/mmの超大入熱化を実現すると共に、大地震のように大きい歪み速度を有する外力に抵抗するために、溶接継手の全部位において、ダイアフラム溶接部に対する溶接施工指針に示される平均15J以上より遥かに高位な平均70J以上の要求靭性が要望されるようになってきた。
一方、橋梁の場合においても、大入熱溶接化に加えて、溶接継手部を従来の放射線透過試験から超音波斜角探傷試験に切り替わる趨勢にあることから、高層建築物の場合と同様に、横波に対する音響異方性が小さいことが求められるようになっている。
本発明者らが、建築用590MPa級高張力鋼板において低降伏比、音響異方性が小さいことに加え、約100KJ/mmまでものエレクトロスラグ溶接が施された強度部材において、溶接熱影響部に平均70J以上の靭性を持たせることについて鋭意検討した。
その結果、1350〜1400℃に昇温した後、冷却速度の極めて小さい熱影響部に対してはTiNによる結晶粒粗大化の抑制効果に加えて、(i)溶融線近傍の熱影響部の結晶粒界へのフェライト析出および粒界からのフェライトサイドプレートの生成を抑制すること、更には(ii)同結晶粒内を微細ベイナイト組織にすることが有効であることを知見した。
そして上記(i)に対しては、冷却速度が極めて小さい場合においても、固溶Bを結晶粒界に偏析させることが効果的であることが判明した。またそのためには、BNの生成を抑制するためにフリーNをTiで固定すると共に、Ar3変態点を上昇させるMoを無添加とし、Ar3変態点を低下させるCrを積極的に適量添加することが有効であることが分かった。
また上記(ii)に対しては、前記(2)式で規定される炭素当量CENを0.27〜0.33%に制御すると共に、構成するCを極低化し、加えてNbを無添加とすることによって、熱影響部の旧オーステナイト結晶粒内のミクロ組織を大傾角化させた微細ベイナイトブロックの集合体とできることが効果的であることが判明した。また上記CENが0.27〜0.33%の範囲では、小入熱溶接時の予熱フリー化も実現できることも分かった。尚、これらの方策による母材の強度低下を補償するために、ε−Cu相による析出強化を積極的に活用する必要がある。
ところで、析出強化が発現するCuを過剰添加すると、ガス切断時に溶融した低融点のCuやCu合金が選択的に結晶粒界に侵入することによって、約0.2mm深さに及ぶヘアクラックが多数発生することから、Cu含有量を0.5〜0.95%に制限すると共に、Ni含有量[Ni]とCu含有量[Cu]の比[Ni]/[Cu]を1以上として、溶融時に共晶化させて、凝固温度の高温化を図ることで割れ感受性を小さくする必要がある。
また、母材の音響異方性については、日本建築学会の「鋼構造建築溶接部の超音波検査基準」の付則表1にあるSTBとの音速比がないと判定される範囲を満足させるためには、母材の旧オーステナイト粒径の平均アスペクト比(圧延方向の平均粒径/板厚方向の平均粒径)が1〜1.2の範囲に制御するによって実現できる。
更に、薄肉化につれて高くなる降伏比を低減(80%以下)させる方策として、前記特許文献5に開示されたようなベイナイト基地に島状マルテンサイト相を分散させたミクロ組織では、目標とする降伏比を達成し得なかったのに対し、擬ポリゴナルフェライト・擬似パーライトとC(炭素)の二相分離化を促進させた基地に、島状マルテンサイトを分散させることによって、薄肉化に伴う旧オーステナイト粒の微細化に起因する降伏比の上昇代を吸収し得るような低降伏比が実現できることを見出した。尚、擬ポリゴナルフェライトとはポリゴナル化が不完全なままフェライト変態が完了した相であり、擬似パーライトとは非平衡な状態でパーライト変態が完了した相を意味する。
以上の方策を総合して適用することによって、50〜100KJ/mmの大入熱溶接が施されてもvEで平均70J以上を有し、且つガス切断割れ感受性のない建築用590MPa級高性能鋼(SA440)に適合した鋼板が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下に、本発明の特性を得るための化学組成およびミクロ組織の限定理由を、その経緯に沿って説明する。
本発明者らは、前記CEN値が約0.30%の一定となるようにMn含有量を可変にして調整した5鋼種(0.035C−1.45Mn−0.95Cu−1Ni−0.7Cr−0.015Ti−0.0012B−0.0040N系の基本鋼,0.4Mo添加鋼,0.01Nb添加鋼,0.4Mo−0.01Nb添加鋼および0.05C系鋼)のスキンプレート材と、SN490B−TMC(0.14C−0.3Si−1.25Mn−0.008Nb−0.012Ti系,60mm厚)のダイアフラム材を組合せし、ギャップ25mmを設けて入熱100KJ/mmのエレクトロスラグ溶接を行ない、溶接継手部のスキンプレート側の熱影響部(HAZ)の靭性(切欠き位置:大入熱溶接HAZで最も低靭性を示すボンド+0.5mm)を比較調査した(後記表4,7の実験No.2〜6参照)。
この結果から、上記CEN値が約0.30%と同レベルを示す化学成分組成であっても、Mo無添加,Nb無添加,Cr増量およびC低減によって、夫々大入熱HAZ靭性を大幅に向上させること、およびこれらの要件を複合化させることにより、最もHAZ靭性が低くなるボンド+0.5mm位置近傍においても、vE70J以上を初めて保証できることが分かる。また、MoおよびNbの無添加による強度低下をCuの析出強化とMn,Crによる固溶強化によって補償できることも分かる。
また、大入熱溶接HAZ靭性が高位な鋼種(後記表1の鋼種B)を基本成分として、CuやNiの含有量を変化させてLPガス(LPG)切断によって、ガス切断面から鋼板表面に平行方向に進展する割れの最大深さを比較調査した(後記表7の実験No.2,7〜16参照)。
この結果から、Cu含有量が0.95%以下でかつ、前記比[Ni]/[Cu]を1.0以上に制御することにより、ガス切断割れ感受性が小さくなることが判明したのである。
更に、本発明者は、0.035C−1.45Mn−0.95Cu−1Ni−0.7Cr−0.015Ti−0.0012B−0.0040N系の基本成分(後記表1の鋼種B)のC含有量を変化させた鋼種を用い、連続鋳造スラブを1050〜1100℃に加熱後、44mm厚に900℃で熱間圧延後、930℃に加熱後空冷し(焼ならし)、引き続き840℃での焼入れ処理(Q’処理)と500℃での焼戻し処理(T処理)を実施して、強度,降伏比およびミクロ組織および100KJ/mmでのHAZ靭性に及ぼすC含有量の影響を調査した(後記表7の実験No.2,6,17〜21参照)。
この結果から、C:0.015%以上で降伏比80%以下と強度を両立できることが分かったのである。また、これらの鋼種における大入熱HAZ靭性の調査結果から、vEで平均70J以上を確保するためには、C含有量の上限を0.045%とする必要があることが分かった。
次に、本発明の高張力鋼板における化学成分組成の限定理由について説明する。まず本発明では、上記のようにC:0.015〜0.045%、Si:0.4%以下(0%を含む)、Mn:0.8〜1.6%、Cr:0.5〜1.3%、sol.Al:0.08%以下(0%を含む)、B:0.0004〜0.003%、Cu:0.5〜0.95%、Ni:0.7〜5.0%(但し、Ni含有量[Ni]とCu含有量[Cu]の比[Ni]/[Cu]≧1)、Ti:0.005〜0.03%および上記(1)式を満足するNを夫々含有すると共に、実質的にNbおよびMoを含まないものとする必要があるが、これら元素の範囲限定理由は、次の通りである。
C:0.015〜0.045%
Cは擬ポリゴナルフェライト相および擬似パーライト相を形成させて高張力鋼の強度と低降伏比の確保に有効な元素であり、0.015%以上含有させる必要がある。しかしながら、Cを過剰に含有させると、ベイナイト相を形成して降伏比を上昇させると共に耐溶接低温割れ性を劣化させ、また大入熱溶接HAZで島状マルテンサイト相を増大させて靭性を劣化させることになる。こうしたことから、その上限は0.045%とする必要がある。尚、母材強度と大入熱溶接HAZ靭性の両立の観点から、好ましい下限は0.02%であり、好ましい上限は0.04%である。
Si:0.4%以下(0%を含む)
Siは脱酸剤および強化元素として有効な元素であるが、過剰に含有させると大入熱溶接HAZでの島状マルテンサイト相を増加させて靭性を劣化させる。こうしたことから、その上限を0.4%とし、また含有量はできるだけ少ない方が良いことからその下限を0%とする。Siを含まない場合には、脱酸はMn,Al,Ti等で任意に代替可能である。尚、Si含有量の好ましい上限は0.3%である。
Mn:0.8〜1.6%
Mnはフェライト変態を低温,長時間側に移行させ、擬ポリゴナルフェライト相を形成させて鋼板を強化するのに有効な元素である。そのためには、Mnは0.8%以上含有させる必要がある。しかしながらMnを過剰に含有させると、母材および大入熱溶接HAZの靭性の劣化および耐溶接低温割れ性の劣化を引き起こすので上限を1.6%とする。Mn含有量の好ましい下限は1.0%であり、好ましい上限は1.5%である。
Cr:0.5〜1.3%
Crは焼入性を向上させることによって、擬ポリゴナルフェライト相の形成および同一強度レベル比較での降伏比の低減に有効な元素である。また、大入熱溶接HAZの粒界へのポリゴナルフェライト相の析出を抑制して、低温でベイナイト相を形成させ易くして靭性向上に有効である。こうした効果を発揮させるためには、Crは0.5%以上含有させる必要がある。しかしながら、Crを過剰に含有させると大入熱溶接HAZでの島状マルテンサイト相の増大を招くことから、その上限は1.3%とする必要がある。尚、Cr含有量の好ましい下限は0.6%であり、好ましい上限は1.1%である。
sol.Al:0.08%(0%を含む)
sol.Al(可溶能Al)は脱酸に有効な元素であるが、大入熱溶接HAZでTiオキサイドを核とする粒内のベイナイトを形成させることで靭性を向上させるには、含有量はできるだけ少ない方がよく、下限を0%とする。その場合の脱酸はMn,Si,Ti等で任意に代替可能である。またsol.Alは、TiによるN固定を補うことによって母材の焼入性確保に有効に作用するが、過剰に含有されると非金属介在物を増加させて靭性劣化を招くことになる。こうしたことから、sol.Alを含有させるときにはその上限を0.08%とする必要がある。尚、sol.Alの好ましい上限は0.06%程度である。
B:0.0004〜0.003%
Bは焼入性を向上させて焼ならし時の低冷却速度でもポリゴナル形態のフェライト変態を抑制し、擬ポリゴナルフェライトの生成を促進するため、母材強度の向上に有効である。またBはNと結合してBNを形成し、このBNは粒内ベイナイト変態核として作用するため、大入熱溶接HAZの粒界フェライト相の生成抑制と微細な粒内ベイナイト相の生成による靭性向上に有効に作用する。そのためには、Bは0.0004%以上含有させる必要がある。しかしながら、Bを過剰に含有させると鋼の焼入性が高くなり過ぎて、島状マルテンサイト相を増加させ、母材および大入熱溶接HAZの靭性を劣化させると共に、耐溶接低温割れ性を劣化させる。こうしたことから、B含有量の上限は0.003%とする必要がある。尚、B含有量の好ましい下限は0.006%、好ましい上限は0.002%である。
Cu:0.5〜0.95%
Cuは固溶強化およびε−Cu相のクラスターの析出により、母材の強度を向上させるのに有効な元素である。これらの効果を発揮させるためには、Cuは0.5%以上含有させる必要がある。しかしながら、Cuを過剰に含有させると、ガス切断面にCu濃縮相を形成し、熱膨張時に旧オーステナイト粒界に侵入して割れを誘発させることから、その上限を0.95%とする。Cu含有量の好ましい下限は0.7%であり、好ましい上限は0.9%である。
Ni:0.7〜5.0%
Niは、焼入性を向上させると共に、母材および大入熱溶接HAZの基地の靭性を向上させる元素であり、これらの効果を作用させるには、0.7%以上含有させる必要がある。しかしながら、Niを過剰に含有させると、焼入性が高くなり過ぎて島状マルテンサイト相が増加して靭性劣化を招くばかりか不経済でもあるので、その上限を5.0%とする。尚、Ni含有量の好ましい下限は0.9%であり、好ましい上限は3%である。
但し、[Ni]/[Cu]≧1
本発明の高張力鋼においては、Ni含有量[Ni]とCuの含有量[Cu]の比[Ni]/[Cu]で1以上とする必要がある。こうした要件を満足させることによって、ガス切断面に濃縮するCu−Ni合金相の融点を高温化でき、高温割れを防止できる。
Ti:0.005〜0.03%
Tiは固溶NをTiNとして固定して固溶B量を増加させ、母材の焼入性を向上させるのに有効な元素である。またTi脱酸でTi酸化物を生成させる場合には、大入熱溶接HAZにおいて粒内ベイナイト相の生成核として作用して靭性を向上させる。こうした効果を発揮させるためには、Ti含有量は0.005%以上とする必要がある。しかしながら、Tiを過剰に含有させるとTiCの析出によって母材およびHAZの靭性を劣化させるので、その上限を0.03%とする。尚、Ti含有量の好ましい下限は0.008%であり、好ましい上限は0.02%である。
N:前記(1)式を満足する量
大入熱溶接HAZにおいて靭性を高位に確保するためには、旧オーステナイト粒内にTiNを微細析出させること、およびBNを複合的に析出させることで、粒内ベイナイトの生成核となすことが有効である。こうした観点から、N含有量の下限を(Tiの化学量論的当量)−0.001%とし、その上限をTiとBの化学量論的当量の総量とした。これを超えると、固溶NによるHAZの靭性劣化や母材の焼入性低下を惹き起こすことになる。
Nb:実質的に含まない
Nbは固溶して焼入性を向上させるが、大入熱溶接HAZにおいて旧オーステナイト粒内に板状の粗大な上部ベイナイト相を形成させ、結晶方位が揃うことになるので破壊経路の障壁とならず、靭性を大きく劣化させる。こうした観点から、本発明の高張力鋼においては実質的に含有しないことが必要である。尚、「実質的に含まない」とは、不純物程度(例えば、0.005%以下)として混入することは許容する趣旨である。
Mo:実質的に含まない
Moは焼入性を向上させて強度向上に有効な元素であるが、Ar3変態点を上昇させて大入熱溶接HAZで高温ベイナイト相や島状マルテンサイト相の生成を促進させて靭性を劣化させる。こうした観点から、本発明の高張力鋼においては実質的に含有しないことが必要である。尚、「実質的に含まない」とは、不純物程度(例えば、0.05%以下)として混入することは許容する趣旨である。
本発明の低降伏比高張力鋼板には、必要によって、(a)V:0.005〜0.10%、(b)Ca:0.0005〜0.01%、(c)La:0.002〜0.02%,Ce:0.0003〜0.0050%,Mg:0.0005〜0.0030%およびZr:0.002〜0.02%よりなる群から選ばれる1種または2種以上、等を含有することも有効であるが、これらの成分を含有させるときの範囲限定理由は、次の通りである。
V:0.005〜0.10%
Vは母材強度の向上に有効な元素である。こうした効果を発揮させるためには、Vは0.005%以上含有させることが好ましいが、0.10%を超えて過剰に含有させると大入熱溶接HAZ靭性が低下することになる。尚、V含有量のより好ましい下限は0.03であり、より好ましい上限は0.06%である。
Ca:0.0005〜0.01%
CaはSをCaSとして固定すると共に、粒状の非金属介在物として形態を制御することにより、板厚中央部に存在するS偏析部に柱角継手溶接時に発生するZ方向引張応力が作用する場合においても、絞りおよび靭性を向上させて、偏析部からの破壊を防止するのに有効である。また、[O]と化合してCaOとして、大入熱溶接後のベイナイト変態の核を旧オーステナイト粒内に分散させて、ベイナイトブロックサイズを微細化させて大入熱HAZ靭性を向上させる作用も発揮する。これらの効果を発揮させるためには、Caは0.0005%以上含有させることが好ましいが、0.01%を超えて過剰に含有させてもこれらの効果は飽和するばかりか、母材の靭性が却って劣化する。尚、Ca含有量のより好ましい下限は0.01%であり、より好ましい上限は0.05%である。
La:0.002〜0.02%、Ce:0.0003〜0.0050%、Mg:0.0005〜0.0030%およびZr:0.002〜0.02%よりなる群から選ばれる1種または2種以上
LaおよびCeは希土類元素(REM)の1種であり、硫化物としてSを固定し、偏析部の絞りおよび靭性を向上させるのに有効に作用する。またCe、MgおよびZrは、大入熱溶接後の冷却時においてCeO2、MgO、ZrO2の低融点酸化物を旧オーステナイト粒内に析出させて、それを核にベイナイト変態するため、ベイナイトブロックを微細化させて、破壊経路を複雑化させることにより、大入熱溶接HAZ靭性を向上させる。La,Ce,Mg,Zrが上記各下限よりも少ない場合にはこれらの効果が発揮されず、上限よりも多くなると過剰な非金属介在物の存在により、母材靭性を却って劣化させることになる。より好ましい下限は夫々La:0.005%、Ce:0.0005%、Mg:0.001%、Zr0.005%であり、より好ましい上限は夫々La:0.01%、Ce:0.002%、Mg:0.0020%、Zr0.01%である。
本発明の高張力鋼板において、上記成分の他は、Feおよび不可避的不純物からなるものであるが、その特性を阻害しない程度の微量成分(許容成分)も含み得るものであり、こうした高張力鋼板も本発明の範囲に含まれるものである。
本発明の高張力鋼板においては、上記(2)式で規定されるCE値、平均アスペクト比(主圧延方向/板厚方向の平均粒径比)、擬ポリゴナルフェライトや島状マルテンサイト相の割合、および組織中のε−Cu相のクラスターの分散率、等も適切な範囲に制御する必要があるが、これらの範囲限定理由は、次の通りである。
CE N :0.27〜0.33%
上記(2)式で規定されるCENは、溶接HAZの硬化性を表現する炭素当量である。このCENの値が0.27%未満では、厚肉材では引張強さ590MPa級を満足できなくなる。またCENの値が0.33%を超えると、耐溶接低温割れ性が劣化して、予熱が必要となるばかりでなく、島状マルテンサイト相が増加して大入熱溶接HAZの靭性が低位となり、入熱100KJ/mmで目標とする平均vE:70Jを安定して確保することが困難となる。よって、本発明の高張力鋼においては、上記(2)式で規定されるCEN値が0.27〜0.33%の範囲内とする必要がある。尚、CEN値の好ましい下限は0.28%であり、好ましい上限は0.32%である。
板厚方向断面における旧オーステナイト粒径の平均アスペクト比(主圧延方向/板厚方
向の平均粒径比):1.0〜1.2
板厚方向断面における旧オーステナイト粒径のアスペクト比(主圧延方向の平均粒径/板厚方向の平均粒径)が1.2を超えると、結晶方位が特定の方向に配向した、いわゆる集合組織が多く形成されるため,音響異方性が「日本建築学会の鋼構造建築溶接部の超音波検査規準」の付則表1にあるSTBとの音速比がないと判定される範囲(例えば、板厚25mm超えを公称屈折角70°の探触子で探傷する場合、0.995≦V/VSTB≦1.015)を超えることになり、超音波探傷試験で欠陥位置を正しく表示できなくなり、施工上問題となる。従って、旧オーステナイトの平均アスペクト比(主圧延方向の平均粒径/板厚方向の平均粒径)が1.0から1.2までの範囲に制御する必要がある。好ましくは、平均アスペクトを1.0〜1.1の範囲内とするのが良い。
10〜40体積%の擬ポリゴナルフェライト、0.5〜3.5体積%の島状マルテンサイト相、および残部が擬似パーライト相からなる組織を有し、この組織中には4×10 20 〜26×10 20 個/m 3 のε−Cu相クラスターが分散したものであること
本発明に係る高張力鋼において、低CENで降伏比(降伏強度/引張強度×100%)の薄肉材(例えば、板厚45mm未満)が耐震設計の観点から建築の主要部材に要求される降伏比80%以下を具備させるには、ベイナイト相よりもC(炭素)の二相分離化を促進させた場合に発現する擬ポリゴナルフェライト相・擬似パーライト相からなる基地を基本とすることに加えて、基地中により硬質の島状マルテンサイト相を微細分散させる必要がある。島状マルテンサイト相の分散率が0.5体積%未満の場合には、降伏比が80%を超えることになる。一方、島状マルテンサイト相の分散率が3.5体積%を超える場合には、降伏比が80%以下となるものの、母材の靭性が低位となる。従って、島状マルテンサイトを0.5〜3.5体積%とする必要がある。好ましくは1〜3体積%とするのが良い。
また基地中の擬ポリゴナルフェライト相が10体積%未満になると、降伏比が高くなり、40体積%を超えると引張強度が低くなる。こうしたことから、基地中の擬ポリゴナルフェライト相の割合は10〜40体積%の範囲とする必要がある。
本発明の鋼板の組織は、上記のように擬ポリゴナルフェライト相、擬似パーライト相および島状マルテンサイト相からなるものである(従って、擬似パーライト相の存在率は56.5〜89.5体積%の範囲)。こうした鋼板において、低CENで引張強さ:590MPa以上を確保するには、上記基地中に時効によるε−Cu相の析出強化を加える必要がある。ε−Cu相のクラスターが4×1020個/m3未満で分散すると引張強度が不足する。一方、ε−Cu相のクラスターが26×1020個/m3を超えて存在すると靭性が劣化する傾向を呈するようになると共に、ガス切断時に低融点のCu合金を多量に形成するようになってガス切断面に粒界割れを引き起こす。従って、組織(基地)中にε−Cu相のクラスターを4×1020〜26×1020個/m3分散させる必要がある。好ましくは7×1020〜22×1020個/m3である。
本発明の鋼板を製造するには、基本的には連鋳法あるいは造塊法により作製されたスラグを用いて、熱間圧延−冷却−熱処理の通常の方法により製造できるが、上記の各要件を満足させるためには、圧延温度域をオーステナイト(γ)未再結晶温度より高温とし、その後焼きならし処理(N処理)を行い、更に二相域焼入れ、焼戻しの熱処理をすれば良い。即ち、旧オーステナイト粒径の平均アスペクト比は圧延温度域によって制御でき、擬ポリゴナルフェライトの分率は圧延後の焼ならしおよびその後のQ’処理によって制御でき、島状マルテンサイト相やε−Cu相のクラスターの分散率は、圧延或は二相域熱処理の冷却速度や焼戻し温度等によって制御できる。
本発明の高張力鋼板は、板厚が45mm未満の比較的薄い鋼板を想定したものであり、こうした薄鋼板においても、低い降伏比(80%以下)が実現できるものであるが、本発明で対象とする高張力鋼板の厚さは45mm未満のものに限らず、板厚が45mm以上となるような厚鋼板においても有効に適用できるものであり、こうした鋼板であっても上記のような各特性を満足したものとなる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変形することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
下記表1〜3に示す化学成分組成の鋼を用い、下記表4〜6に示す製造条件にて鋼板を製造した。尚、表1〜3には、本発明で規定する(1)式の範囲、CEの値および[Ni]/[Cu]の値についても示した。また、表4〜6中、QはAc3点以上の温度からなる再加熱焼入れ、Nは焼きならしの際の加熱温度(Ac3点以上の温度)、Q’は二相域(Ac1点以上Ac3点未満)からの焼入れ、TはAc点未満の温度での焼戻しを夫々示す。
Figure 0004485427
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得られた各鋼板について、旧オーステナイト(γ)粒径のアスペクト比、島状マルテンサイトの体積率、基地組織(第2相種類および割合、ベース)、ε−Cu相クラスターの個数等を下記の方法によって測定した。
[旧オーステナイト(γ)粒径のアスペクト比]
主圧延方向の板厚断面における旧オーステナイト粒界は、(5ml塩酸+1gピクリン酸+100mlエタノール)からなる腐食液を用いて現出させ、主圧延方向の平均粒径と板厚方向の平均粒径を測定して、それらの比を平均アスペクト比として求めた。
[島状マルテンサイトの体積率]
島状マルテンサイト相は、主圧延方向および主圧延方向に直角方向の板厚断面を、レペラー試薬を用いて現出させて撮影し、画像解析装置によって分率(体積率)を算出した。
[基地組織]
基地相はおよび第2相種類は、光学顕微鏡によって判断し、析出相の割合は画像解析処理によって算出した。
[ε−Cu相のクラスターの個数]
ε−Cu相のクラスターについては、板厚断面から薄膜を採取して、分析電子顕微鏡を用いて、ε−Cu相の固定および本クラスター分布の撮影を行ない、画像解析装置によって単位面積当りの個数を算出した。
また得られた各鋼板について、ガス切断割れ感受性、音響異方性、母材の引張特性(降伏強度,引張強度,降伏比)、母材靭性、耐溶接低温割れ性および大入熱溶接HAZ靭性について夫々下記の方法によって評価した。
[ガス切断割れ感受性]
鉄骨製作過程において鋼板切断に汎用されるLPガスの板厚に応じた適正切断条件(例えば、100mm厚の場合、#5火口)で酸素圧:0.6MPa(6kgf/cm2)、LPガス圧:0.06MPa(0.6kgf/cm2)、切断速度:210mm/分で切断した後、切断面に直角な方向の断面を光学顕微鏡観察して、切断表面からの最大割れ深さを測定した。「割れ無し」を合格とした。
[音響異方性]
日本建築学会の鋼構造建築溶接部の超音波検査規準に定義されたSTB音速比(V/VSTB)を主圧延方向(L方向)および主圧延方向に直角方向(C方向)について測定し、付則表1に従ってSTBとの音速差の有無の判定を行った。付則表1のV/VSTBの範囲を合格とした。例えば板厚:25mm超えを公称屈折角度70°の探傷子で探傷する場合、0.995≦V/VSTB≦1.015を音響異方性がないものと判定した。
[母材の引張特性]
鋼板のt/4(tは板厚)からC方向(圧延方向に対して直角の方向)にJIS Z 22014号試験片を採取してJIS Z 2241の要領で引張試験を行ない、降伏強度(0.2%耐力:σ0.2)、引張強度(TS)、降伏比(降伏強度/引張強度×100%:YR)を測定した。降伏強度σ0.2:440〜540MPa、引張強度TS:590〜740MPaおよび降伏比YR:80%以下を合格とした。
[母材靭性]
鋼板のt/4からL方向(圧延方向)にJIS Z 2202 4号試験片を採取してJIS Z 2242に準拠して衝撃試験を行ない、破面遷移温度(vTrs)を測定した。vTrsが−20℃以下を目標として合格とした。
[耐溶接低温割れ性]
JIS Z 3158のy形溶接割れ試験法に従い、入熱量:1.7KJ/mmで被覆アーク溶接を行ない、ルート割れ防止予熱温度を測定した。25℃以下を合格とした。
[大入熱溶接HAZ靭性]
入熱量100KJ/mmのエレクトロスラグ溶接により、柱・ダイアフラム溶接継手を作製して、柱(スキンプレート)側から、吸収エネルギーが最も低位となることが多いとされるボンド+0.5mm位置にZ−T方向の切欠きを入れたシャルピー衝撃試験片(JIS Z 2204 4号)をn=3で採取し、0℃における平均衝撃吸収エネルギーvEを求めた。平均70J以上を合格とした。
これらの結果を、下記表7〜9に示すが、これらの結果から、次のように考察できる。まず、実験No.1は従来型の中C系のSA440鋼であり、CENが高いため、溶接低温割れ防止予熱温度が100℃と高く、入熱量100KJ/mmのエレクトロスラグ溶接のHAZ靭性も低位である。
実験No.2は本発明の基本成分系であり、母材の強靭性は目標を満足し、溶接性は予熱不要と良好であり、入熱量100KJ/mmものエレクトロスラグ溶接のHAZ靭性も目標平均70J以上を十分満足するものである。
実験No.3〜6のものは、実験No.2と同CENであるものの、それぞれ0.4Mo系、0.01Nb系、0.4Mo−0.01Nb系、0.05C系であり、大入熱HAZ靭性が低位である。
実験No.7〜12のものは、Niを1%と一定とした上で、Cu量を変化させてNi/Cu比を変化させたものである(表1の鋼種H〜L)。また、実験No.13〜16は、Cu:0.95%とした上で、Ni量を変化させたものである。Cu:0.95%を超えたもの(実験No.7,8)は、Ni/Cu比が1以下であってもガス切断割れ感受性を有することが分かる。また、Cuが0.5%未満のもの(実験No.11)では、降伏強度および引張強度が目標値を下回っている。
実験No.17〜20は、C量を除いて本発明成分で一定とし、C量のみ変化させたものである(表1の鋼種R〜U)。C量が0.015%未満のもの(実験No.17)では、降伏強度、引張強度とも目標値を下回っていることが分かる。
実験No.21は、母材のミクロ組織を構成する島状マルテンサイトの体積率が本発明で規定する範囲を下回ったものであり、降伏比が目標値(80%以下)を満足しないことが分かる。
実験No.22,23は母材の旧オーステナイト粒のアスペクト比(主圧延方向の粒径/板厚方向の粒径)を変化させたものであり、アスペクト比が1.2を超えると、音響異方性を有するようになる。
実験No.24〜26はSi量以外本発明で規定する範囲内とし(表1の鋼種V〜X)、Si量のみ変化させたものである。Siが0.4%を超えると(実験No.26)、島状マルテンサイト体積率が増大して、降伏比が目標値を上回り、母材靭性は目標値を満足しない。
実験No.27,28,30,31は、Mn量を除いて本発明で規定する範囲内とし、Mn量のみ変化させたものである(表1の鋼種Y,Zおよび表2の鋼種A1,B1)。Mnが1.6%を超えてCENが0.33%を上回る実験No.31のものでは(鋼種B1)、降伏比が高く、耐溶接低温割れ性、大入熱HAZ靭性とも目標値を下回ることが分かる。
実験No.29は、鋼種Bを用いてQ―Q’―T処理したものであり、板厚44mmでも降伏比が80%以下を満足しないものとなっている。
実験No.32〜36は、Cr量以外本発明で規定する範囲内とし、Cr量のみ変化させたものである(表2の鋼種C1〜G1)。Crは同一引張強度比較で降伏比の低減に有効に作用するものの、Cr量が1.3%を超え、CENも0.33%を上回る実験No.36のものでは(鋼種G1)、母材靭性、耐溶接低温割れ性および大入熱HAZ靭性が目標値を満足しない。
実験No.37〜40はAl量以外本発明で規定する範囲内とし、Al量のみ変化させたものである(表2の鋼種H1〜K1)。Alが0.08%超えの実験No.40のものでは(鋼種K1)、母材靭性が目標値を下回ることが分かる。
実験No.41〜44は、B量を除いて本発明で規定する範囲内とし、B含有量を変えたものである(表2の鋼種L1〜O1)。B量が0.003%を超えた実験No.44のものでは(鋼種O1)、降伏強度、降伏比が目標値を上回り、母材靭性、耐溶接低温割れ性、大入熱溶接HAZ靭性が目標値を満足しないことが分かる。
実験No.45〜47は、Ni量を除いて本発明で規定する範囲内とし、Ni量を上限
側に変化させたものである(表2の鋼種P1〜R1)。Ni量が5%を超えた実験No.47のものでは(鋼種R1)、母材靭性および耐溶接低温割れ性に劣っている。
実験No.48〜51は、TiNの量バランスを変化させたものである(表2の鋼種S1〜V1)。実験No.48のTi無添加のものでは、降伏強度および大入熱溶接HAZ靭性が目標値を下回る。また実験No.51のものでは、N含有量が本発明で規定する(1)式の上限を上回っており(鋼種V1)、母材靭性および大入熱溶接HAZ靭性が目標値を下回ることになる。
実験No.52〜55は、V量を除いて本発明で規定する範囲内とし、V量を変化させたものである(表2の鋼種W1〜Z1)。実験No.55のものでは、V量が0.10%を超えたものであり(鋼種Z1)、大入熱HAZ靭性が目標値を下回っていることが分かる。
実験No.56〜59は、本発明の基本成分をベースにCa含有量を変化させたものである(表3の鋼種A2〜D2)。Ca量が0.01%を超えると(実験No.59)、大入熱溶接HAZ靭性が劣化する傾向を呈し、目標値を満足しないことが分かる。
実験No.60〜63は、本発明の基本成分に希土類元素であるLaの量を変化させて含有させたものである(表3の鋼種E2〜H2)。La含有量が0.02%を超えると(実験No.63)、大入熱HAZ靭性が却って劣化して目標値を下回ることが分かる。
実験No.64〜67は、本発明の基本成分をベースにMg含有量を変化させたものである(表3の鋼種I2〜L2)。Mgが0.0030%を超えると(実験No.67)、大入熱溶接HAZ靭性が却って劣化して、目標値を下回る。
実験No.68〜71は、Caの添加に加えて、Ce量を変化させて含有させたものである(表3の鋼種M2〜P2)。Ceが0.0050%を超えた実験No.71のものでは、大入熱溶接HAZ靭性が却って劣化して、目標値を下回っていることが分かる。
実験No.72、73は、Ca添加をベースにZr量を変化させて本発明範囲内で添加したものであり、母材の強靭性、耐溶接低温割れ性、大入熱溶接HAZ靭性とも目標値を満足することが分かる。
実験No.74,75は40mm厚、または20厚のN−Q’−T材の本発明例でエレクトロスラグのダイアフラム材には60mm厚のSN490B(0.16%C−0.34%Si−1.34%Mn−0.034%V系)を使用したもので、全ての特性において目標値を満足する。
実験No.76は、実験No.75と同一の化学成分組成の20mm厚材に、圧延後Q−Q’−T処理を加えたものであり、基地がベイナイト相となって降伏比YRが80%を超えるものとなる。
実験No.77は実験No.75と同一の化学成分組成の20mm厚材に、圧延後Q’−T熱処理を施したものであり、実験No.75の圧延後N−Q’−T熱処理を加えたものに比べて、降伏比がやや上昇し、母材靭性がやや劣化するものの、目標値を十分満足するものとなる。
これらの結果から明らかなように、本発明で規定する要件を満足した高張力鋼板においては、母材の強靭性,降伏比が目標値を満足し、ガス切断割れ感受性および音響異方性がない。しかも、耐溶接割れ性が良好で、大入熱溶接HAZ靭性は全て部位においてvEが平均70J以上を有することが分かる。尚、柱同士の1RUNサブマージ溶接の角継手においてもエレクトロスラグ溶接と同等の大入熱溶接であるため、HAZ靭性もあらゆる部位において平均70J以上を確保できることは言うまでもなく、溶接方法を問わず、本発明鋼の特性を満足できるものである。尚、本発明の高張力鋼板のガス切断性については、実施例には示していないが、いずれもWES2801(1980)の2級以上を十分満足するガス切断面の品質を有するものであった。
Figure 0004485427
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Claims (4)

  1. C:0.015〜0.045%(質量%の意味、以下同じ)、Si:0.4%以下(0%を含む)、Mn:0.8〜1.6%、Cr:0.5〜1.3%、sol.Al:0.08%以下(0%を含む)、B:0.0004〜0.003%、Cu:0.5〜0.95%、Ni:0.7〜5.0%を含有し、Ni含有量[Ni]とCu含有量[Cu]の比[Ni]/[Cu]≧1の関係を満たし、Ti:0.005〜0.03%および下記(1)式を満足するNを夫々含有すると共に、Nb:0.005%以下、Mo:0.05%以下であり、且つ下記(2)式で示されるCEN値が0.27〜0.33%の範囲内にあり、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学成分組成を有し、板厚方向断面における旧オーステナイト粒径の板厚方向の平均粒径を分母として主圧延方向の平均粒径を分子とする平均アスペクト比が1.0〜1.2であると共に、10〜40体積%の擬ポリゴナルフェライト、0.5〜3.5体積%の島状マルテンサイト相、残部が擬似パーライト相の組織を有し、この組織中には4×1020〜26×1020個/m3のε−Cu相クラスターが分散したものであることを特徴とする低降伏比高張力鋼板。
    [Ti]×14.0/47.9−0.001≦[N]≦[Ti]×14.0/47.9+[B]×14.0/10.8 ‥(1)
    但し、[Ti],[N],および[B]は、夫々Ti,NiおよびBの含有量(質量%)を示す。
    CEN=[C]+A(c)・{[Si]/24+[Mn]/6+[Cu]/15+[Ni]/20+([Cr]+[Mo]+[Nb]+[V])/5+5[B]}
    ‥(2)
    但し、A(c)= 0.75+0.25・tanh{20([C]-0.12)}であり、[C],[Si],[Mn],[Cu],[Ni],[Cr],[Mo],[Nb],[V]および[B]は、夫々C,Si,Mn,Cu,Ni,Cr,Mo,Nb,VおよびBの含有量(質量%)を示す。
  2. 更に、V:0.005〜0.10%を含有するものである請求項1に記載の低降伏比高張力鋼板。
  3. 更に、Ca:0.0005〜0.01%を含有するものである請求項1または2に記載の低降伏比高張力鋼板。
  4. 更に、La:0.002〜0.02%,Ce:0.0003〜0.0050%,Mg:0.0005〜0.0030%およびZr:0.002〜0.02%よりなる群から選ばれる1種または2種以上を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の低降伏比高張力鋼板。
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