JP4484005B2 - ポリカーボネートの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、エステル交換法によって製造されたポリカーボネート樹脂の熱安定性改良に関するものである。
【0001】
【従来の技術】
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、BPAと記す)等の芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンとを酸結合剤の存在下、界面重合により得られるポリカーボネートは、耐衝撃性等の機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性にも優れていることから、光学材料として各種レンズ、プリズム、光ディスク基板などに利用されている。
しかしながら、芳香族ジヒドロキシ化合物としてBPAだけを用いてなるポリカーボネートでは、光弾性定数が大きく、溶融流動性が比較的悪いために成形品の複屈折が大きくなり、また屈折率は1.58と高いものの分散の程度を表すアッベ数が30と低く、屈折率とアッベ数とのバランスが悪いため、広く光記録材料や光学レンズ等の用途に用いられるには十分な性能を有していない。このようなBPA型ポリカーボネートの欠点を解決する目的で、BPAとトリシクロ(5.2.1.02,6 )デカンジメタノール(以下、TCDDMと記す)の共重合ポリカーボネートが提案されている(特開昭64−66234号)。しかしながら、この共重合ポリカーボネートの製造方法は、▲1▼BPAのビスクロロホルメートとTCDDMあるいはTCDDM及びBPAとを重縮合する、▲2▼TCDDMのビスクロロホルメートとBPAあるいはBPA及びTCDDMとを重縮合する、▲3▼BPAのビスクロロホルメートとTCDDMのビスクロロホルメートとの混合物とBPA及び/またはTCDDMとを重縮合する方法が述べられているにすぎない。このような、脂肪族ジヒドロキシ化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物の共重合体の製造において、ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメートを製造し、その後ジヒドロキシ化合物と重縮合させるという2段階の反応では、製造工程も複雑になり、その結果として製造コストも高くなる欠点があった。
別の製造方法としては、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とを溶融状態で重縮合させるエステル交換法が知られている。しかし、この製造方法では高温長時間の重合条件となるため、着色しやすく、また、ポリマー中に残留する触媒がポリマー物性を低下させる原因となり、特に、脂肪族構造を含有するポリカーボネートではその傾向が顕著であった。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エステル交換法で製造されたポリカーボネートを安定化する方法を提供することを目的としている。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意検討を行った結果、特定の燐酸エステル化合物をエステル交換法で得たポリカーボネートに配合することにより、極めて優れた熱安定性を付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
すなわち本発明は、炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物とをアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属触媒の存在下、溶融重縮合により得られたポリカーボネートに下記一般式(I)で示される燐酸エステル化合物を所定量配合することにより、色相、熱安定性の優れたポリカーボネートの製造法を提供するものである。
【0005】
【化2】
Figure 0004484005
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、又は炭素数1〜8のオキシアルキル基を示す。mは1〜20の整数で、nは1または2を表す。)
【0006】
本発明に用いられる炭酸ジエステルとして、芳香族炭酸ジエステルが挙げられ、下記の一般式(II)で示される。
【0007】
【化3】
Figure 0004484005
(式中Arは1価の芳香族基であり、Arは同一であっても異なっていてもよい。)
【0008】
上記一般式(II)で示される芳香族炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ジキシリルカーボネート、ビスプロピルフェニルカーボネート、ビスオクチルフェニルカーボネート、ビスノニルフェニルカーボネート、ビスメトキシフェニルカーボネート、ビスエトキシフェニルカーボネート等が例示されるが、特に好ましくは、ジフェニルカーボネートが挙げられ、含有する塩素量は1ppm以下であることが好ましい。芳香族炭酸ジエステルは、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して0.97〜1.2モルの量で用いられることが好ましく、特に好ましくは、0.99〜1.10モルの量である。
【0009】
本発明の反応に用いられるジヒドロキシ化合物として、脂肪族ジヒドロキシ化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
【0010】
脂肪族ジヒドロキシ化合物として脂環構造を有するジヒドロキシ化合物が挙げられる。脂環構造を有するジヒドロキシ化合物として、トリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール、β,β,β',β'−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−3,9−ジエタノール(スピログリコール)、ペンタシクロ[9.2.1.13,9.02,10.04,8]ペンタデカンジメタノール、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノールあるいは1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。これらのうちで、特にトリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノールが好ましい。
これらの脂環構造を有するジヒドロキシ化合物は、不純物として含まれるカルボニル基含有量がKOH換算で1.0mg/g以下、好ましくは、0.5mg以下、さらに好ましくは、0.1mg以下であるものが用いられる。また、塩素や金属イオンの含有量がそれぞれ1ppm以下のものが好ましい。
また、これらのジヒドロキシ化合物を2種類以上併用して共重合ポリカーボネートを製造することも可能である。共重合ポリカーボネートとしては、芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物を原料とする芳香族ー脂肪族共重合ポリカーボネートが光学用途として適する。
【0011】
本発明の反応に用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は下記一般式(III)で示される化合物である。
【0012】
【化4】
Figure 0004484005
(式中、Xは
【0013】
【化5】
Figure 0004484005
であり、ここに、R3およびR4は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはフェニル基であり、R3とR4が結合し環を形成していてもよい。R1とR2は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基またはハロゲンであり、R1とR2は同じでも異なっていてもよい。また、mおよびnは置換基数を表し、0〜4の整数である。)
【0014】
一般式(III)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビスフェノール類;4,4'−ジヒドロキシジビフェニル、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェニル等のビフェノール類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらのうちで、特に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、BPZと記す)が好ましい。また、一般(III)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物を2種類以上併用して用いることもできる。
【0015】
本発明では、エステル交換法で製造したポリカーボネートに下記一般式(I)で示される燐酸エステル化合物を配合する。
【0016】
【化6】
Figure 0004484005
(式中、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜8のオキシアルキル基を示す。mは1〜20の整数で、nは1または2を示す。)
【0017】
一般式(I)で表される燐酸エステル化合物としては、燐酸ジ(ポリエチレングリコール4−ノニルフェニル)、燐酸モノ(ポリエチレングリコール4−ノニルフェニル)、燐酸ジ(ポリエチレングリコール4−ステアリルフェニル)、燐酸モノ(ポリエチレングリコール4−ステアリルフェニル)、燐酸ジ(ポリエチレングリコール4−nブチルフェニル)、燐酸モノ(ポリエチレングリコール4−nブチルフェニル)等があげられる。
【0018】
これらの燐酸エステル化合物の添加量は、ポリカーボネート100重量部に対して0.0001〜0.1重量部、好ましくは、0.0005〜0.08重量部、さらに好ましくは、0.01〜0.05重量であり、これより少ないと所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない。
【0019】
本発明では、触媒としてアルカリ金属化合物及び/またはアルカリ土類金属化合物が用いられる。このような化合物としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の有機酸塩類、無機塩類、酸化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコキシド等が好ましく用いられ、これらの化合物は、単独あるいは組み合わせて用いることができる。
【0020】
このようなアルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が挙げられる。
【0021】
また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0022】
これらの触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モル当たり10-9〜10-3モル、好ましくは、10-7〜10-5モルの量で用いられる。
【0023】
また、燐酸エステル化合物と併用して、芳香族スルホン酸ホスホニウム塩類の添加も有効であり、例えば、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、p−トルエンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ブチルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラエチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩等が挙げられる。
【0024】
これら芳香族スルホン酸ホスホニウム塩の添加量は、ポリカーボネート100重量部に対して0.0001〜0.03重量部、好ましくは、0.001〜0.01重量部であり、これより少ないと所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない。
【0025】
また、燐酸エステル化合物と併用して、p−トルエンスルホン酸のごとき芳香族スルホン酸、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸へキシル等の芳香族スルホン酸エステル類、ジメチル硫酸のごときアルキル硫酸、ホウ酸、リン酸、などの無機酸等の添加も有効である。
【0026】
これらの添加量は、ポリカーボネート100重量部に対して0.0001〜0.03重量部、好ましくは、0.001〜0.01重量部であり、これより少ないと所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない。
【0027】
また、用途、目的に応じて慣用の添加剤、例えば、熱安定剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材(強化剤)、離型剤、可塑剤、赤外線吸収剤、抗菌剤などを使用できる。これらの添加剤は、1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0028】
酸化防止剤として、例えば、リン化合物、ヒンダードフェノール化合物などが挙げられる。
【0029】
前記リン化合物として、例えば、トリエチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス−トリルホスファイト、フェニル−ビス(4−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(4−オクチルフェニル)ホスファイト、トリス[4−(1−フェニルエチル)フェニル]ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ペンタエリスリトール−ビス[(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト]、ペンタエリスリトール−ビス[(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト]などのホスファイト化合物;テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンジホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−(2,2−ジフェニルプロパン)ホスフォナイトなどのホスフォナイト化合物;フェニルホスフォン酸ジメチルなどのフェニルホスフォン酸エステル化合物などが挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上併用して用いてもよい。
これらリン化合物の添加量は、ポリカーボネート100重量部に対して0.005〜0.2重量部、好ましくは、0.01〜0.1重量部であり、これより少ないと所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない。
【0030】
ヒンダードフェノール化合物としては、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス[2−メチル−4−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]ブタン等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上併用して用いてもよい。
【0031】
これらのヒンダードフェノール化合物の添加量は、ポリカーボネート100重量部に対して0.005〜0.1重量部、好ましくは、0.01〜0.08重量部、さらに好ましくは、0.01〜0.05重量であり、これより少ないと所望の効果が得られず、過剰では耐熱物性、機械的物性が低下し適当ではない。
【0032】
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(5−メチル―2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2,4−ジヒドロキソベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン重縮合物、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。これらは、単独あるいは2種以上併用して用いてもよい。
【0033】
離型剤としては、一般的に使用されているものでよく、例えば、天然パラフィン類、合成パラフィン類、シリコーンオイル、ポリエチレンワックス類、蜜蝋、ステアリン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート等の脂肪酸エステル等が挙げられ、これらは、単独あるいは2種以上併用して用いてもよい。
【0034】
これら触媒失活剤、添加剤等の添加時期に制限はないが、一般には重縮合反応終了後、樹脂が溶融状態にあるうちに添加する方法、あるいは一端冷却ペレット化した後に再溶融混合する方法が採られる。
【0035】
また、添加方法にも制限はなく、例えば、重合装置に直接投入混合する方法、単軸あるいは2軸押出機等を用い混練する方法などが挙げられる。押出機を使用する場合においては、溶融樹脂の温度を230℃〜300℃、好ましくは、240℃〜270℃の範囲で制御するのが望ましい。この温度より低いと添加剤が十分に分散されないため効果が発揮されず、これより高いと樹脂の熱劣化が促進され着色の原因となる。
【0036】
また、減圧条件下でベント式押出機を用いた場合は、添加剤の添加混練と併せてポリマー中に残留するモノマー等の低沸点化合物の脱揮除去を行うこともできる。その場合、水等の脱揮助剤の添加も低沸点化合物の除去に有効である。
【0037】
添加剤の形態としては、希釈せずにそのまま添加する方法、可溶性溶媒に希釈し添加する方法、マスターバッチの形態で添加する方法などが挙げられるが特に制限はない。
【0038】
本発明に用いられるポリカーボネートの重量平均分子量は、20,000〜200,000であることが好ましく、さらに好ましくは、40,000〜120,000である。
【0039】
本発明に関わるエステル交換反応は、公知の溶融重縮合法により行うことができる。すなわち、前記の原料及び触媒を用いて、加熱下に常圧または減圧下でエステル交換反応により副生するモノヒドロキシ化合物を除去しながら重縮合反応を行うものである。
【0040】
反応は、一般には二段以上の多段工程で実施される。具体的には、第一段目の反応を120〜260℃、好ましくは、180〜240℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは、0.5〜3時間反応させる。次いで、反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めて芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物と芳香族炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には、1mmHg以下の減圧下、200〜300℃の温度で重縮合反応を行う。このような反応は、連続式、バッチ式のいずれでもよい。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置としては、槽型、押出機型あるいはパドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新性の優れた撹拌翼を備えた横型攪拌装置が使われる。
【0041】
また、本発明の樹脂を光学用途に使用する場合は、製品への異物混入を防止するため、クリーンルーム、クリーンブース等の環境下で製造することが望ましい。また、その場合は、原料用フィルターの設置やペレット化時に用いる冷却水用フィルターの装着あるいは押出機の出口にポリマーフィルターを装着することが異物混入を防止するのに有効である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何らの制限を受けるものではない。
【0043】
(1)重量平均分子量(Mw)
GPC(Shodex GPC system 11)を用い、スチレン換算分子量(重量平均分子量:Mw)として測定した。展開溶媒にはクロロホルムを用いた。
【0044】
(2)溶液色相(YI値)
サンプル9.0gを塩化メチレン90mlに溶解し、5.0cm石英ガラスセルを用いてYI値(Yellow Index)を測定した、色差計は日本電色工業(株)社製スペクトロカラーメーターSE−2000を使用した。
【0045】
(3)滞留安定性(dYI値)
サンプル2.0gを試験管にとり、SCINICS社製DRY BLOCK BATH AL−301を用いて120℃窒素フロー下で2時間乾燥させた後、260℃窒素フロー下で2時間滞留試験を行った。サンプルを室温に戻した後、塩化メチレン20mlに溶解し、5.5cm石英ガラスセルを用いてYI値を測定し、塩化メチレンのみのYI値との差(dYI)を評価した。色差計は日本電色工業(株)社製スペクトロカラーメーターSE−2000を使用した。
【0046】
合成例1
ニッケル張り製槽型反応器に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン4560g(20モル)、ジフェニルカーボネート4391.5g(20.5モル)、無水炭酸セシウム1303mg(4×10-3モル)を加え、窒素下160℃で融解後、1時間攪拌し、徐々に減圧しながら昇温させ、最終的に1トール、270℃で4時間重縮合させ、生成するフェノールを留去し、更にニ軸セルフクリーニング型反応機で50分反応させることにより、無色透明なポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネートの重量平均分子量は55,000、溶液色相YI値は1.10であった。また触媒を水酸化ナトリウム160mg(4×10-3モル)に代え同様に重合を行い無色透明なポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は56,000で溶液色相YI値は1.13であった。
【0047】
合成例2
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ )6038.0g、トリシクロ(5.2.1.02,6 )デカンジメタノール(TCDDM )4416.5g 、ジフェニルカーボネート10025.5g及び触媒として0.1wt%酢酸カルシウム水溶液を、BPZとTCDDMの合計モル量に対して2.0×10-6mol/molとなるようニッケル製の50L重合釜に仕込み、窒素置換を3回行った後、180℃に加熱し、常圧で30分間撹拌溶解した。
次いで、減圧度150mmHg、重合温度210℃の条件下で1時間反応させ、さらに減圧度を15mmHg、重合温度を230℃に変更し1時間反応させた後、最終的に0.2mmHg、240℃の条件で2時間反応を行った。反応終了後、窒素雰囲気下で生成ポリカーボネートを取り出しペレットとした。得られたポリカーボネートの重量平均分子量は56,500、溶液色相YI値は1.07であった。また触媒を炭酸水素ナトリウムに代え同様に重合を行い無色透明なポリカーボネート樹脂を得た。得られたポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は57,000で溶液色相YI値は1.11であった。
【0048】
実施例1
合成例1で製造したポリカーボネートペレットを真空乾燥機にて1mmHg、90℃の条件で12時間乾燥させた後、ペレット重量に対し50ppmの燐酸ジ(ポリエチレングリコール4−ノニルフェニル)と燐酸モノ(ポリエチレングリコール4−ノニルフェニル)の混合物(東京化成社製)とポリカーボネート100重量部に対して0.05重量部のビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(商品名アデカスタブPEP−36、旭電化社製)及び0.01重量部の5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン(商品名HP−136、チバスペシャリティケミカルズ社製)をマスターバッチの形態で添加混合した後、2軸混練押出機にて混練し再ペレット化した。得られたペレットの重量平均分子量は53,900、溶液色相はYI値1.00、滞留安定性dYI値は0.98であった。
【0049】
実施例2,比較例1〜4
添加剤の種類及び量を表1に示すように変えた以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネートを製造し物性評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0050】
実施例3〜4,比較例5〜8
添加剤の種類及び量を表2に示すように変え、合成例2で製造したポリカーボネートペレットを用いる以外は、実施例1と同様の方法でポリカーボネートを製造し物性評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリカーボネートに、燐酸エステルを所定量添加することにより、優れた耐熱安定性を有するポリカーボネートを製造することができ、色相に優れた光学材料用途など広範囲の用途に使用できる成形材料を得ることが可能となった。
【0052】
【表1】
Figure 0004484005
【0053】
【表2】
Figure 0004484005

Claims (3)

  1. 炭酸ジエステルとジヒドロキシ化合物をアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属触媒の存在下、溶融重縮合により得られたポリカーボネート100重量部に対して、下記一般式(I)式で示される燐酸エステル化合物を0.0001〜0.1重量部配合することを特徴とするポリカーボネートの製造法。
    Figure 0004484005
    (式中、Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜8のオキシアルキル基を示す。mは1〜20の整数で、nは1または2を示す。)
  2. 前記ポリカーボネートが、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物をアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属触媒の存在下、溶融重縮合により得られたものである請求項1記載のポリカーボネートの製造法。
  3. 前記ポリカーボネートが、炭酸ジエステルとトリシクロ(5.2.1.02,6 )デカンジメタノールと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンをアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属触媒の存在下、溶融重縮合により得られたものである請求項1記載のポリカーボネートの製造法。
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