JP4483866B2 - 輸液安全装置 - Google Patents
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Description
前記輸液ポンプとしては、特許文献1および2に開示されているように、ペリスタルティック(peristaltic)式ポンプが広く用いられている。当該ペリスタルティック式ポンプは、フィンガー(突起)を複数備えるフィンガー式、又は円柱状のローラを複数備えて成るローラ式とがある。当該ポンプの使用時には、前記輸液チューブを前記フィンガー又は前記ローラと当接するように配設する。そして駆動に際し、上記フィンガーの蠕動運動又はローラの回転運動により、輸液チューブの側面を扱くように加圧して押し潰すことで変形させる。これにより蠕動運動がなされ、チューブ内の薬液を一定方向へ流通する。医療現場では輸液ポンプのフィンガーの蠕動運動又はローラの回転速度と駆動時間、点滴筒の点滴数、輸液チューブの径等を適宜設定することで、輸液チューブ内の薬液の流速を調節し、適切に薬液が患者や送液ラインに投与される。
この問題の対策として、特許文献1及び2では、輸液ポンプの一機構として、フリーフローの発生を防止する安全機構が備えられている。具体的には、輸液チューブの配設部分に近接して安全クランプを配設し、当該配設部分をポンプドアで保護する。そして、当該カバーが操作ミス等の理由で駆動時に開けられたときは、自動的に前記安全クランプを作動させて輸液チューブを閉塞させ、輸液がストップするようになっている。
以上のことから、輸液システムにおけるフリーフロー等の安全機構については、未だ改善の余地があると考えられる。
また第二の目的として、安全装置を備えていない既存の輸液ポンプに対して新たに付加することが可能な安全装置を提供する。
また前記クランプは、第一挿通口及び当該第一挿通口と連通する中空部を持つ筐体と、当該中空部で摺動可能に収納され、第二挿通口を有する可動体と、当該可動体を前記中空部内で摺動付勢する付勢手段とで構成されており、前記可動機構は、前記付勢手段により可動体を中空部で摺動させることで、前記第一及び第二挿通口をその各開口方向で重ねて前記挿通経路を形成し、当該重なりの程度を変化させて挿通経路の径を変化させる構成とすることもできる。
また、前記クランプには、前記筐体の側部から前記挿通経路に輸液チューブを案内するためのスリットを形成することもできる。
さらに前記クランプは、前記スリットをソケット側に向けて当該ソケットに収納することができる。
また本発明は、上記輸液安全装置が、輸液ポンプに装着されてなる輸液ポンプセットとした。
ここで、前記ソケットは、クランプの脱離に係る引っ張り力より大きい強度で輸液ポンプ側に装着することができる。
この構成によれば、ソケットを輸液ポンプに固定する一方、クランプに輸液チューブを装着し、これを前記ソケットに収納する。この状態でポンプ側に輸液チューブを装着することで通常駆動が行われ、万一輸液ポンプ側から輸液チューブが外れると、輸液チューブとともにクランプに外力が及んでソケットからこれらが脱離する。この脱離によってクランプが作動し、輸液チューブが押圧されることによって、フリーフロー等の問題が効果的に抑制されることとなる。
1 輸液安全装置(クランプセット)
2 輸液ポンプ
10、11、12、13、14 クランプ
20、25、26、27 ソケット
100、106、107、108 筐体
102、152 筐体スリット部
104 中空部
122 可動体スリット部
123 ストッパー
120、140、150 可動体
130 スプリング
170 係合部
171a、171b 割ピン
172a、172b ベベル部
180 ハサミ状クランプ
181a、181b アーム対
201、202 係止壁
205 固定壁
210 カバー
221 クランプ取付位置
221a ステージ
221b 凹部
1811a、1811b 操作部
1.輸液安全装置の構成
図1は、実施の形態1における輸液安全装置である、クランプセットの構成を示す図である。また図2は、クランプの詳細な構成と動作を説明するための図である。
本実施の形態1は図1に示すように、クランプ10と、これを収納するソケット20により構成される。
紙面奥側に位置する固定壁201の表面には、輸液ポンプに対する係止手段の一例として、両面テープ、接着剤等が配されることにより、図3に示すように輸液ポンプ2の取り付け内部221に後付で装着されるようになっている。このときの装着にかかる強さは、後述のソケット20からクランプ10が脱離する場合に耐えうる程度の強度(すなわちクランプ10とともにソケット20が輸液ポンプ側から脱離しない程度)とすることが必要である。なお前記係止手段としては、このほか、フックや面ファスナー、ネジ等が利用できるほか、当該ソケット20を磁性体を含む材料で構成すれば、当該磁力による固定方法も利用することができる。なお、当該磁性体を利用する場合、輸液ポンプの装着場所が金属等で構成される必要があるのはいうまでもない。
当図に示すようにクランプ10は、筐体100、可動体120、スプリング130等で構成される。
さらに、当該筐体100の中空部104には、図2(a)に示すように、スプリング130と可動体120が順次収納されている。
スプリング130は、ステンレス、ニッケル合金等の金属材料で構成されるコイルバネであり、通常は伸張力により筐体100の中空部104において可動体120を挿通口95側に押し上げているが、クランプ10のソケット20収納時には所定の圧力で圧縮される。
なお、当該可動体挿通口121の一端側には突起状のストッパー(爪)123が形成されており、A‘方向への移動時には当該ストッパー123が筐体挿通口101の周辺部と係止することで筐体100から脱落しないようになっている。
当該クランプ10は、ソケット20収納時においては、前記スリット102をソケット20側に向けて収納させる。このような収納方向とすることによって、輸液チューブ3がクランプ10から脱落するのを効果的に防止できるので望ましい。
次に示す図3は、輸液ポンプ2とクランプセット1、及び輸液チューブ3からなる輸液ポンプセットの構成例を示す図である。
当図3に示す輸液ポンプ2は、公知のペリスタルティック式であって、箱形の筐体220の内部にペリスタルティック式ローラが内蔵されている。また当該筐体220の正面部には表示部222、操作部227、ポンプ内部221、輸液セット部223、ポンプドア210、ドアレバー211等が備えられている。筐体220の内部には操作部227から入力されるユーザ情報を受け付け、設定通りに前記ローラを駆動するための不図示の制御回路が備えられている。
操作部227には電源ボタン、駆動開始/停止ボタン、設定入力ボタン等の主要なボタンのほか、メモリクリアボタン、設定切り替えボタン等の調整ボタン等が配設されている。入力された輸液条件は筐体220内部に配された制御回路に伝達され、当該回路内のマイクロコンピュータのメモリ部に格納されるようになっている。
ポンプ内部221には、その上部において、ソケット20の係止壁205の裏面が両面テープ等の手段により貼着されており、これによって本実施の形態1のクランプセット1が輸液ポンプ2に対して配設される。
輸液セット部223の下流側には、ドア安全クランプ226が配されている。これは、ポンプ駆動時において、ポンプドア210が何らかの理由により開いた場合、輸液セット部223から輸液チューブ3が脱落しないようにこれを把持する構成である。
上記構成を持つクランプセットによれば、ユーザ(看護師等)は使用に先立ち、まず輸液ポンプ2に輸液チューブ3を装着する。当該装着順の例としては、図3(a)のA−Eに示すように、溝部230、クランプ10、輸液セット部223、ドア安全クランプ226、溝部231の順に取り付ける。
そして、看護師の操作ミス(具体的には、輸液チューブに装着したクレンメの閉め忘れ)、或いは不意の応力等の何らかの原因によりある程度強い力が作用して輸液チューブ3が引っ張られると、図5に示すようにポンプドア210が開き、ソケット20からクランプ10が脱離する。ここで、引っ張り力が比較的弱い力であり、安全クランプ226に輸液チューブ3が装着された状態が保たれていれば、ポンプドア210が開くとともに当該クランプ226が作動し、従来と同様に輸液チューブ3の閉塞が行われる安全機構が作動する。しかしながら、安全クランプ226からも輸液チューブ3が脱離してしまうと、従来では輸液ポンプ2に設けられた安全装置が働かなくなるため、フリーフロー等の問題が発生する。
3.輸液装置のバリエーション
本発明の輸液安全装置としてのクランプセットは、上記実施の形態1の構成に限らず、ソケットに対してクランプが脱着する方式をとり、且つソケットから脱離したクランプが輸液チューブを閉塞する構成であれば、その他の構成とすることも可能である。
図6(a)は、ソケットの一部がクランプを貫通することでこれを係止する構成例(バリエーション1)である。
バリエーション1におけるクランプ11の構成は、基本的にはクランプ10と同様であるが、筐体106の中央側面には中空部104と連通し、筐体106の長手方向に沿って設けられたスリット111が配設され、直方体状の可動体140が爪101を露出された状態で収まった特徴を持つ。
当図に示すバリエーション2では、クランプ12の筐体107、可動体150がそれぞれ貫通孔1121、1531を備え、ソケット26は前記貫通孔1121、1531の径に合わせた一対のシャフト係止部261、262を備えている。
本バリエーション3によれば、実施の形態1の効果に加え、上記挿通口161、スリット162を設けていることから、輸液チューブ3の取り付け方法を変化させることができる。すなわち、図3に示す輸液ポンプ2に装着する場合は、スリット102を利用して輸液チューブ3を取り付ければよいが、輸液ポンプへの取り付け位置の制約、または輸液ポンプの形状の制約等により、ポンプ上下方向に輸液チューブ3を延長できない場合等には前記挿通口161、スリット162を利用して輸液チューブ3をUの字状に折り返すことが可能である。このような工夫により、バリエーション3では輸液チューブ3の取り回しにおいて、非常に優れているといえる。
4.その他の事項
上記実施の形態1では、クランプセットを輸液ポンプの装着位置より上流側に配置したが、輸液ポンプよりも下流側に装着してもよい。また、クランプの装着個数も1本の輸液チューブに対して複数個にわたり装着するようにしてもよい。
<実施の形態2>
以下、本発明の実施の形態2について、実施の形態1との差異を中心に説明する。
図7は、実施の形態2におけるソケット取付位置221付近の構成を示す部分拡大図である。当図では、ポンプを上から見下ろした様子を示す。本実施の形態2では、クランプセットはカバー210の裏側に装着される構成である。
以上の構成によれば、ユーザはまずクランプ14に輸液チューブ3を装着し、これをステージ221aに配設する。このとき、クランプ10の係合部170はステージ221aの凹部221bと係合し、安定した配置となる(図7(a))。この状態でカバー210を閉めると、クランプ14はベベル部172a、172bの作用により非常に滑らかな動作で、自動的にソケット20に装着される(図7(b))。ここれにより、輸液チューブ3の輸液状態はフリーとなる。
以上の動作を行う実施の形態2では、実施の形態1とほぼ同様の効果が奏される他、輸液チューブ3への直接の引っ張り力が働かなくてもカバー210の解放と連動してチューブ3を閉塞し、フリーフローの発生を防止できるので、実施の形態1に比して、より一層高い安全性を呈するものである。
係合後の係合部分については、割ピン171a、171bを側面より押すか、クランプ14をステージ221aに対して傾斜させることで、問題無くクランプ14を取り外すことが出来る。
また、図7ではソケット20をカバー210の内面に取り付ける構成を示したが、ソケット20を設ける位置はこれに限定されない。例えば、カバー210の上部側面にソケットを取付け、当該ソケットの位置に併せてクランプ14を係合部170、凹部221bにより係合させる構成とし、カバー210の開閉動作と連動してソケット20からクランプ14が脱離される構成としても、上記と同様の効果が奏されることとなる。
図8は、本発明の実施の形態3のクランプセットの構成を示す図である。実施の形態2との違いは、クランプセットを用いず、代わりにハサミ状クランプ(ハンドクランプとも称される)180を用いた点にある。
具体的には、クランプ取付位置221には公知のねじりバネ(不図示)によりハサミが閉状態の方向に付勢された一対のアーム181a、181bが備えられ、当該アーム181がリンク部182によりクランプ取付位置221に固定されている。一対のアーム181a、181bには、ユーザが指でアームを開くことができるように、操作部1811a、1811bが備えられている。一方、ハサミ状クランプ180と対向するカバー210の部分にはマグネットMG2が配設されている。クランプ180は、実施の形態2と同様の係合部170及び凹部221bを利用して配設される。
そして、この状態において、不意にカバー210が解放されると、マグネットMG1はカバー210のマグネットMG2と付着した状態が維持され、ハサミ状クランプ180のアーム181は輸液チューブ3が挿通されたまま閉じることとなる。これにより、輸液チューブ3は一対のアーム181a、181bにより強く閉塞される(図8(c))。
なお、本実施の形態3ではMG1、2を用いたが、上記実施の形態2と同様にこれに限定するものではなく、カバーが解放された場合にハサミ状クランプが閉じるように、当該クランプのアームに挟設された物体がカバーと係合する構成であればよい。すなわち、磁性のない物体をクランプに挟んでおき、これをカバー側と面ファスナー、両面接着テープ、割ピン状突起等により係合させる構成とすることもできる。
なお、カバー210はヒンジにより開閉する構成として説明したが、筐体に対しスライド開閉する構成であってもよい。この場合にも、カバーとこれに対向するクランプ取付位置にそれぞれソケット及びクランプの係合部を配設することができる。
Claims (7)
- 輸液チューブに装着されるクランプと、当該クランプを脱着自在に収納可能なソケットを備える輸液安全装置であって、
前記ソケットは、輸液ポンプ、輸液セット、薬液投与システムのいずれかに対し、クランプの脱着に係る引っ張り力より大きい強度で固定され、
前記クランプは、ソケットへ収納された状態では輸液チューブの流通を解放し、
輸液チューブが外力を受けると、当該輸液チューブとともに前記ソケットから脱離して輸液チューブの流通を制限する
ことを特徴とする輸液安全装置。 - 前記クランプは、輸液チューブが挿通される挿通経路を有し、
当該挿通経路の径を変化させて前記輸液の流通制限を行う可動機構を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の輸液安全装置。 - 前記クランプは、
第一挿通口及び当該第一挿通口と連通する中空部を持つ筐体と、
当該中空部で摺動可能に収納され、第二挿通口を有する可動体と、
当該可動体を前記中空部内で摺動付勢する付勢手段とを備え、
前記可動機構は、前記付勢手段により可動体を中空部で摺動させることで、前記第一及び第二挿通口をその各開口方向で重ねて前記挿通経路を形成し、当該重なりの程度を変化させて挿通経路の径を変化させる構成である
ことを特徴とする請求項2に記載の輸液安全装置。 - 前記クランプは、有底筒状体からなる筐体の側面において前記第一挿通口が少なくとも1対設けられ、
前記筐体の中空部に前記第二の挿通口を持つ可動体が前記付勢手段とともに収納されてなり、
前記筐体の長手方向に可動体が摺動することでクランプの長手方向長が変化するとともに前記挿通経路の径が変化する構成であって、
前記ソケットは、前記脱離状態のクランプ長よりも短い間隔で配された1対の係止壁を備え、
前記クランプは、付勢手段に逆らって可動体が筐体側に押圧され、且つ前記挿通口が開いた状態で前記ソケットの一対の係止壁の間に収納される
構成であることを特徴とする請求項3に記載の輸液安全装置。 - 前記付勢手段はバネ体である
ことを特徴とする請求項3または4に記載の輸液安全装置。 - 前記クランプには、前記筐体の側部から前記挿通経路に輸液チューブを案内するためのスリットが形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の輸液安全装置。 - 請求項1に記載の輸液安全装置が、輸液ポンプに装着されてなることを特徴とする輸液ポンプセット。
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