〔第1実施形態〕
先ず、本発明の情報表示制御装置を電子辞書に適用した場合の第1実施形態について図1〜図8を参照して詳細に説明する。
本実施形態の電子辞書1は、ディスプレイ3と、操作入力キー群5とを備えており、外観及び操作入力キー群5の構成は、従来の電子辞書100と同様である。
図1は、電子辞書1の機能構成を示すブロック図である。同図によれば、電子辞書1は、CPU(Central Processing Unit)10と、入力部20と、表示部30と、ROM(Read Only Memory)40と、RAM(Random Access Memory)50とがバス60に接続されて構成されている。
CPU10は、入力される指示に応じて所定のプログラムに基づいた処理を実行し、各機能部への指示やデータの入出力を行う。具体的には、CPU10は、入力部20から入力される操作信号に応じてROM40に格納されたプログラムを読み出し、当該プログラムに従って処理を実行する。そして、処理結果を表示するための表示データを表示部30に出力し、当該表示データに従った表示画面を表示部30に表示させる。
入力部20は、仮名、英字(アルファベット)等の文字入力や機能選択等に必要なキー群を備え、押下されたキーの押下信号等をCPU10に出力する。この入力部20におけるキー入力により、辞書種別の選択、文字入力、確定指示の入力等が実現される。尚、この入力部20は、操作入力キー群5に相当するものである。
表示部30は、CPU10から入力される表示データに基づいて各種画面を表示させるための表示装置であり、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される。尚、この表示部30は、ディスプレイ3に相当するものである。
ROM40は、各種初期設定、ハードウェアの検査、又は必要なプログラムのロード等を行うための初期プログラムを格納する。CPU10は、電子辞書1の電源投入時にこの初期プログラムを実行することにより、電子辞書1の動作環境を設定する。また、ROM40は、電子辞書1の動作に係る種々の機能を実現するためのデータやプログラムを格納する。
図1によれば、ROM40は、辞書テーブル42a及び成句テーブル42bを有して構成される英和辞書DB42と、国語辞書DB44と、百科事典DB46と、入力可能文字種別対応テーブル48と、第1辞書検索プログラム49とを格納する。
辞書テーブル42aは、英語の見出語と、当該見出語の説明情報とを対応付けたレコードを集合して記憶するデータテーブルである。図2(a)は、辞書テーブル42aのデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、例えば、見出語「ABC」に、説明情報「1アルファベット 2基本原則;初歩、いろは・・・」が対応付けられて記憶されている。
成句テーブル42bは、成句である成句見出語と、当該成句見出語の説明情報とを対応付けたレコードを集合して記憶するデータテーブルである。図2(b)は、成句テーブル42bのデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、例えば、成句見出語「easy as pie[anything,abc]」に、説明情報「とても安易な」が対応付けられて記憶されている。
国語辞書DB44は、日本語の見出語と、当該見出語の説明情報とを対応付けたレコードを集合して記憶するデータテーブルである。図3(a)は、国語辞書DB44のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、例えば、見出語「あい[藍]」に、説明情報「1タデ科の一年草。東南アジアの原産。・・・」が対応付けられて記憶されている。
百科事典DB46は、日本語の見出語と、当該見出語の説明情報とを対応付けたレコードを集合して記憶するデータテーブルである。図3(b)は、百科事典DB46のデータ構成の一例を示す図である。同図によれば、例えば、見出語「アイ[藍]」に、説明情報「濃青色。いわゆる藍色の染料を・・・」が対応付けられて記憶されている。
入力可能文字種別対応テーブル48は、辞書DBの種別(辞書種別)と、この辞書種別の辞書DBの辞書画面において入力可能な文字種別との対応を規定するデータテーブルである。図4は、入力可能文字種別対応テーブル48の、データ構成の一例を示す図である。同図によれば、例えば、辞書種別「英和辞書」には、入力可能な文字種別として「英語」が対応付けられている。これは、ユーザが英和辞書DBを選択しているときに英和辞書画面の入力欄に入力可能な文字列が「英語」であることを表している。CPU10は、入力可能文字種別対応テーブル48を参照することにより、選択されている辞書DBにおいて入力可能な文字種別を決定し、文字入力キー540が押下された際は、押下された文字入力キー540に対応する文字を当該文字種別の文字に変換した後に、入力文字列52として記憶させる。例えば、入力可能な文字種別を「英語」と決定して、「A」キーが押下された場合は、「a」を入力文字列52として記憶させる。また、入力可能な文字種別を「日本語」と決定した場合は、「a」を「あ」に変換した後に入力文字列52として記憶させる。
第1辞書検索プログラム49は、第1実施形態に係る第1辞書検索処理を実現するためのプログラムである。CPU10は、電子辞書1の電源が投入されると、第1辞書検索プログラム49をROM40から読み出して第1辞書検索処理を開始する。尚、第1辞書検索処理は、後述するサーチモードフラグ59がOFFのときのみに読み出されて実行される。
RAM50は、CPU10が実行する各種プログラムやこれらプログラムの実行に係るデータ等を一時的に保管するメモリ領域を備える。図1によれば、RAM50は、入力文字列52と、前回入力文字列54と、選択見出語56と、選択辞書種別58と、サーチモードフラグ59とを格納する。
入力文字列52は、ユーザの文字入力キー540の押下によって入力された文字列である。CPU10は、1文字入力される度に当該文字を入力文字列52に追加記憶して更新する。
前回入力文字列54は、入力文字列52を一時的に記憶するための記憶領域である。CPU10は、辞書選択キー580が押下されると、入力文字列52を前回入力文字列54として記憶させ、入力文字列52をクリアする。これにより、辞書選択キー580の押下時に、入力文字列52をクリアしても、所定の指示操作が為されたときに、前回入力文字列54を読み出して、入力文字列52とすることで、前回入力されていた入力文字列を再度入力欄に表示させることができる。
選択見出語56は、表示部30に表示させた見出語候補の中から、ユーザにより選択された見出語である。
選択辞書種別58は、辞書選択キー580の中の何れかのキーが押下されることにより選択された辞書DBの種別である。CPU10は、辞書選択キー580が押下される度に、押下された辞書選択キー580に対応する辞書DBの種別(例えば、英和辞書や国語辞書)を選択辞書種別58として記憶更新する。
サーチモードフラグ59は、背景技術においても説明した「すぐでるサーチ」が設定されているか否かを判別するためのフラグである。ユーザの所定の操作(例えば、初期設定画面(図示略)での設定操作)により「すぐでるサーチ」を使用するとする設定がされると、サーチモードフラグ59はONに設定され、「すぐでるサーチ」を使用しないとする設定がされると、OFFに設定される。尚、初期状態において、サーチモードフラグ59は、OFFに設定される。
次に、電子辞書1の第1辞書検索処理の具体的な動作についで、図5のフローチャートを用いて説明する。尚、CPU10は、第1辞書検索処理を終了させるための操作(例えば、電源キーの押下操作)が為されたことを検知した場合に、当該処理を終了する。
先ず、CPU10は、第1辞書検索処理を開始すると、初期画面として従来の英和辞書画面W101と同様の画面を表示部30に表示させる。そして、ユーザにより辞書選択キー580が押下されたか否かを判別し(ステップS1)、押下されたと判別した場合に(ステップS1:Yes)、RAM50に入力文字列52が記憶されていれば、入力文字列52を前回入力文字列54として記憶させた後、RAM50の入力文字列52をクリアする(ステップS3)。
ステップS3の処理後、又はステップS1において辞書選択キー580が押下されなかったと判別した場合、CPU10は、現在選択されている辞書種別を選択辞書種別58に設定し、選択辞書種別58の辞書画面と、選択辞書種別58の辞書DBで検索可能な検索モードに対する入力欄を当該辞書画面に表示させる(ステップS5)。
そして、CPU10は、選択されている検索モードの入力欄に入力文字列52を表示させて表示更新する(ステップS11)。具体的には、入力中の文字列(入力文字列52)がない状態で、左キー520aが押下され(ステップS7:Yes)、更に、前回に入力された文字列(前回入力文字列54)の文字種別と、選択されている辞書DB(選択辞書種別58)の文字種別とが同じ場合に(ステップS9:Yes)、前回入力文字列54を入力文字列52としてRAM50に記憶させ、入力欄に表示させる。
従って、入力中の文字がある場合に左キー520aが押下されても(ステップS7:No)、この押下操作は、カーソルCSを移動させる操作に相当し、前回入力された文字列(前回入力文字列54)を入力欄に表示させない。また、例えば、前回入力された文字列(前回入力文字列54)の文字種別が日本語であり、現在選択されている辞書DBの文字種別が英語の場合は、前回入力された文字列(前回入力文字列54)を入力欄に表示させたとしても、選択されている辞書DBでの検索はできないため、前回入力文字列54を入力欄に表示させない。
CPU10は、ステップS11の処理後、ステップS7においてRAM50に入力文字列52が記憶されていない或いは左キー520aが押下されなかったと判別した場合、又はステップS9において前回入力文字列54の文字種別と選択辞書種別58の文字種別とが異なると判別した場合に、ユーザにより文字入力が為されたのであれば、入力された文字列を追加することで入力文字列52を更新する(ステップS13)。このとき、CPU10は、入力可能文字種別対応テーブル48に従って、選択辞書種別58に対応する文字種別の文字列に変換してから、入力文字列52に追加する。
そして、上下キー520c又は520dが押下されたか否かを判別し(ステップS15)、押下されたと判別した場合(ステップS15:Yes)、CPU10は、上下キー520c、520dのキー操作に応じた入力欄に切り替えて入力文字列52を移動表示させ、検索モードを変更して表示部30を表示更新させる(ステップS17)。そして、ユーザにより更なる文字入力が為されたなら、入力された文字列を追加することで入力文字列52を更新する(ステップS19)。従って、上下キー520c、520dのキー操作が為された場合は、入力中の文字列を当該操作に応じた入力欄に表示させるため、ユーザに同じ文字列を再度入力させなくてもよい。
ステップS15において、上下キー520c、520dが押下されなかったと判別した場合(ステップS15:No)、又はステップS19の処理後、CPU10は、決定キー500が押下されたか否かを判別する(ステップS21)。押下されなかったと判別した場合は(ステップS21:No)、ステップS1へ処理を移行して、ステップS1〜S19の処理を繰り返す。従って、決定キー500が押下されるまでは、ユーザによる辞書選択キー580、左キー520a、上下キー520c及び520dの押下操作に応じて入力欄の表示を更新して、文字列の入力の待機状態となる。
ステップS15において、決定キー500が押下されたと判別した場合(ステップS21:Yes)、CPU10は、選択辞書種別58が英和辞書及び英英辞書の何れか一方であるか否かを判別する(ステップS23)。英和辞書及び英英辞書の何れか一方であると判別した場合(ステップS23:Yes)、CPU10は、更に選択されている検索モードが通常検索又はスペルチェックであるか否かを判別する(ステップS25)。
CPU10は、検索モードが通常検索又はスペルチェックであると判別した場合は(ステップS25:Yes)、当該検索モードに応じた検索を実行し、入力文字列52に適合する見出語を、選択辞書種別58の辞書DBから読み出して、読み出した見出語を見出語候補として表示部30に表示させる(ステップS33)。尚、通常検索、スペルチェック、成句検索及び例文検索の詳細な検索方法については、公知技術であるためその説明は省略する。
また、ステップS25において、検索モードが通常検索及びスペルチェックの何れでもないと判別した場合、すなわち、成句検索及び例文検索の何れかであった場合は(ステップS25:No)、CPU10は、入力文字列52内にワイルドカード文字等の特殊文字が含まれているか否かを判別する(ステップS27)。特殊文字が含まれていないと判別した場合は(ステップS27:No)、そのままステップS33の処理へと移行する。
また、含まれていると判別した場合は(ステップS27:Yes)、入力文字列52内に検索に不適な文字が含まれているとして、入力文字列52中に特殊文字が含まれているという旨のエラー表示(例えば、図6(b)のエラー表示画面W5)と、その特殊文字を識別させる反転表示とを一時的(例えば、3秒間)に実行する(ステップS29)。その後、当該特殊文字を入力文字列52中から削除して、入力文字列52を更新した後(ステップS31)、ステップS21の処理へ移行する。
尚、エラー表示と特殊文字の反転表示とを一時的に実行した後に、入力文字列52中の特殊文字を削除することとしたが、例えば、エラー表示と特殊文字の反転表示とを実行したままユーザの所定のキー操作(例えば、決定キー500の押下操作)を待機して、特殊文字を削除することとしてもよい。
このステップS27〜S31の処理により、成句検索又は例文検索に対する入力欄に入力された文字列中に特殊文字が含まれている場合は、当該特殊文字を使用した検索ができないということをユーザに視認させることができる。また、自動的に当該特殊文字を削除することで、ユーザに特殊文字を削除させる操作をさせる必要がない。
ステップS23において、選択辞書種別58が英和辞書及び英英辞書の何れでもない、すなわち、国語辞書及び百科事典の何れかであると判別した場合(ステップS23:No)、CPU10は、選択辞書種別58の辞書DBの通常検索を実行して、見出語候補を表示部30に表示させる(ステップS35)。
ステップS33又はS35の処理後、CPU10は、ユーザにより見出語候補の中の一の見出語が選択されたなら(ステップS37:Yes)、選択された見出語に対応する説明情報を選択辞書種別58の辞書DBから読み出して表示部30に表示させる(ステップS39)。そして、辞書選択キー580が押下されるまで待機して(ステップS41)、押下されたなら、ステップS3の処理へ移行する。従って、入力文字列52を前回入力文字列54として記憶して、RAM50の入力文字列52をクリアすることで、新たな文字列の入力が可能な状態とする。
次に、ユーザの具体的な操作例と、当該操作に伴う表示画面の遷移の様子を、図6〜8を用いて説明する。これら各図において各表示画面W1〜15の左側に示したキー(ボタン)は、当該表示画面を表示させるまでにユーザが押下操作するキーを表している。尚、以下の説明における電子辞書1は、サーチモードフラグ59がOFFに設定されていることとして説明する。
先ず、ユーザが、英和キー580aを押下すると、図6(a)のような英和辞書画面W1が表示部30に表示される。そして、文字入力キー540を「A」、「B」、「C」、「?」といった順に押下すると、当該押下に従って入力欄AR1に「abc?」と表示される。このとき、入力文字列52は「abc?」となる(図5のステップS13に相当)。
そして、下キー520dを2回押下すると、反転表示M1が当該押下操作に応じて「スペルチェック」→「成句検索」と移動して表示されると共に、入力欄AR1に表示されていた「abc?」が、入力欄AR3→AR5といった順に、当該押下操作に応じて移動して表示される(図5のステップS15→S17に相当)。そして、この状態で成句検索を行おうとして、決定キー500を押下すると、「「?」は入力できません。」というメッセージを表示したエラー表示画面W5が表示される。また、入力欄AR5内の文字列「abc?」中の「?」文字WD1が反転表示される(図6(b))。 そして、同図(b)の状態で、数秒経過すると、エラー表示画面W5が閉じられ、更に、先に反転表示されていた「?」文字WD1が自動的に入力欄AR5内から消去される(図6(c))。
このとき、検索モードが成句検索であるから、CPU10により、入力文字列52「abc?」中に特殊文字として「?」や「〜」といった文字が含まれているか否かの判断が為されている。図6(b)の場合は「?」が含まれているため、CPU10により「?」が含まれている旨のメッセージがエラー表示画面W5上に表示され、更に、入力欄AR5中の「?」が反転表示される。そして、入力文字列52中の「?」が削除されて更新されることで、入力欄AR5の文字列の表示が「abc」となって表示更新される(図5のステップS21→S23→S25→S27→S29〜S31に相当)。
従って、ユーザは、成句検索においては、「?」が使用できないことを知ることができると共に、成句検索には不適な文字「?」を削除するための操作を行う必要がない。そのため、図6(c)のまま、決定キー500を押下すると、「abc」を成句見出語内に含む成句見出語が成句テーブル42bから読み出されて、見出語候補LST1として表示される(図7(a))(図5のステップS21→S23→S25→S27→S33に相当)。また、見出語候補LST1から見出語「easy as pie・・・」を選択して、決定キー500を押下すると、選択した見出語の説明情報CT1が表示される(図7(b))(図5のステップS37→S39に相当)。
また、図6(a)の状態で、決定キー500を押下して、「abc」で始まる見出語のうち、「abc」の後ろに一文字付加した見出語を検索した際に、表示された見出語候補に所望の見出語がなかった場合は、ユーザは、入力した綴りが正しかったかどうかのチェックを行う。この場合、ユーザは、英和キー580aを押下し、更に、下キー520dを押下することで、図8(a)のように検索モードをスペルチェックにする。そして、左キー520aを押下すると、図8(b)のように、入力欄AR3には「abc?」と表示される。
このように見出語候補が表示された状態で、英和キー580aを押下したとき、CPU10により、入力文字列52「abc?」が前回入力文字列54としてRAM50に記憶されて、RAM50の入力文字列52がクリアされる(図5のステップS33〜S37→S41→S3に相当)。そして、左キー520aを押下すると、前回入力文字列54が入力文字列52としてRAM50に記憶されて、スペルチェックの入力欄AR3に入力文字列52「abc?」が表示される(図5のステップS7→S9→S11に相当)。従って、ユーザは、直前の辞書画面で入力した文字列を再度入力することなく、当該文字列の検索を再度行うことができる。
以上、第1実施形態によれば、文字列が入力されて、決定キー500が押下されたときに、選択辞書種別58が英和又は英英辞書であり、且つ検索モードが通常検索又はスペルチェックであった場合には、CPU10は、入力文字列52中に特殊文字が含まれているか否かを判別する。そして、特殊文字が含まれていた場合は、入力文字列52中に特殊文字が含まれているという旨のエラー表示と、表示中の当該特殊文字の反転表示とを一時的に実行した後、入力文字列52から当該特殊文字を削除して入力文字列52を更新する。ユーザは、表示されたエラー表示により、自分の入力した文字列の中に選択した検索モードには適さない文字が含まれていることを知ることができるだけでなく、具体的にどの文字が適さないかといったことも知ることができる。また、入力文字列52中の特殊文字が自動的に削除されるので、ユーザは、当該文字を削除するための操作を行う必要がないため、検索操作をスムーズに行うことができる。
また、CPU10は、左キー520aが押下されたときに、RAM50に入力文字列52が記憶されていなく、前回入力文字列54の文字種別と選択辞書種別58の文字種別が同じである場合は、前回入力文字列54を入力文字列52としてRAM50に記憶して、選択されている検索モードに対する入力欄に入力文字列52を表示させる。これにより、ユーザは、例えば、文字列の入力中に誤って辞書選択キー580を押下してしまったり、所望の検索結果が表示されなく他の検索モードで検索しようと辞書選択キー580を押下したりした場合に、表示された辞書画面の入力欄はクリアされているが、左キー520aを押下するといった簡単な操作により、前回に入力した文字列を入力欄に表示させることができるため、スムーズな検索を行うことができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明を電子辞書1に適用した場合の第2実施形態について、図9〜15を用いて説明する。第2実施形態における電子辞書1は、図1に示した第1実施形態のROM40をROM40−1に置き換えた構成である。尚、第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
図9は、ROM40−1のデータ構成を示すブロック図である。同図によれば、ROM40−1は、英和辞書DB42と、国語辞書DB44と、百科事典DB46と、入力可能文字種別対応テーブル48と、第2辞書検索プログラム49−1とを格納する。
第2辞書検索プログラム49−1は、第2実施形態に係る第2辞書検索処理を実現するためのプログラムである。CPU10は、電子辞書1の電源が投入されると、第2辞書検索プログラム49−1をROM40−1から読み出して第2辞書検索処理を開始する。尚、第2辞書検索処理は、サーチモードフラグ59がONのときのみに実行される。
次に、電子辞書1の第2辞書検索処理の具体的な動作について、図10のフローチャートを用いて説明する。図10において、ステップS101〜S113が図5のステップS1〜S13に、ステップS115〜S119が図5のステップS15〜S19に、ステップS127〜S131が図5のステップS27〜S31に、ステップS133が図5のステップS33に、ステップS139〜S141が図5のステップS39〜S41にそれぞれ相当する処理ステップである。従って、第1辞書検索処理との相違点となる太線で示したステップS114−1〜S114−2、S126、及びS138を中心に第2辞書検索処理の説明を行う。尚、第1辞書検索処理と同様に、CPU10は、第2辞書検索処理を終了させるための操作が為されたことを検知した場合に、当該処理を終了する。
CPU10は、第2辞書検索処理を開始し、第1辞書検索処理のステップS1〜S13と同様の処理(ステップS101〜S113)を行った後、検索モードが英和辞書、英英辞書、国語辞書又は百科事典の通常検索であるか否かを判別する(ステップS114−1)。通常検索であると判別した場合(ステップS114−1:Yes)、CPU10は、入力文字列52から始まる見出語と、その見出語以降の見出語を選択辞書種別58の辞書DBから読み出して、読み出した見出語を見出語候補として表示部30に一覧表示させる(ステップS114−2)。
そして、CPU10は、表示させた見出語候補の中から一の見出語が選択されたか否を判別する(ステップS138)。見出語が選択されたと判別した場合は、(ステップS138:Yes)、選択された見出語に対応する説明情報を選択辞書種別58の辞書DBから読み出して、表示部30に表示させる(ステップS139)。また、見出語が選択されなかったと判別した場合は(ステップS138:No)、ステップS108の処理へ移行する。そして、辞書選択キー580や左キー520aの押下が為されずに、文字入力が為されたら、入力された文字列を入力文字列52に追加した後、入力文字列52に適合する見出語を再度読み出して一覧表示させる。従って、検索モードが通常検索であれば、ユーザにより文字列が入力される度に、入力文字列52に適合する見出語を随時読み出し、見出語候補を更新表示させることとなる。これにより、「すぐでるサーチ」としての検索機能が実現される。
ステップS114−1において、検索モードが通常検索ではないと判別した場合は、第1辞書検索処理のステップS15〜S21と同様の処理(ステップS115〜S121)を行った後、検索モードがスペルチェックであるか否かを判別する(ステップS126)。尚、第1辞書検索処理において選択辞書種別58が英和及び英英辞書の何れかでもなければ、国語辞書DB44又は百科事典DB46の検索(ステップS35)を行ったが、第2辞書検索処理では、国語辞書及び百科事典が有する検索モードの通常検索での検索をステップS114−2において行うため、第1実施形態のステップS23に相当する辞書種別の判別処理は行わなくてもよい。
CPU10は、ステップS126において、検索モードがスペルチェックであると判別した場合は(ステップS126:Yes)、選択されている検索モードに応じた検索、すなわちスペルチェックを実行して、見出語候補を表示部30に一覧表示させる(ステップS133)。また、スペルチェックではないと判別した場合は、第1辞書検索処理のステップS27〜S31と同様の処理(ステップS127〜S131)を行う。
そして、CPU10は、ステップS133において表示させた見出語候補の中から一の見出語が選択されれば(ステップS138:Yes)、選択された見出語に対応する説明情報を選択辞書種別58の辞書DBから読み出して表示部30に表示させる(ステップS138)。
次に、ユーザの具体的な操作例と、当該操作に伴う表示画面の遷移の様子を、図11〜15を用いて説明する。これら各図において各表示画面W17〜W43の左側に示したキー(ボタン)は、当該表示画面を表示させるまでにユーザが押下操作するキーを表している。尚、以下の説明における電子辞書1は、サーチモードフラグ59がONに設定されていることとして説明する。
先ず、ユーザは、英和キー580aを押下して、英和辞書画面W17を表示させ、通常検索を選択して、入力欄AR11に「abc」と図11(a)のように入力すると、「abc」で始まる見出語LST11−1と、その見出語以降の見出語LST11−2とを含む見出語候補LST11が表示される(図10のステップS113→S114−1→S114−2に相当)。
このとき、所望の見出語が見出語候補LST11内に表示されなかった場合、ユーザは、英和キー580aを再度押下し、図11(b)のように下キー520dを1回押下することで、反転表示M10を移動して、スペルチェックを選択する。そして、左キー520aを押下すると、スペルチェックの入力欄AR13には、先に入力した文字列である「abc」が表示される(図11(c))。従って、スペルチェックを行うために画面を切り替えた際に、表示がクリアされている入力欄AR13に対して、左キー520aを押下するといった簡単な操作で、入力欄AR11に入力した文字列を呼び出すことができる。従って、同じ文字列を再度入力するといった手間を省くことができるため、検索操作をスムーズに行うことができる。
また、ユーザは、国語キー580cを押下して、国語辞書画面W23を表示させ、図12(a)のように「あい」と入力欄AR21に入力すると、当該入力に伴い「あい」で始まる見出語の見出語候補LST13が表示される。そして、下キー520dで反転表示M12を移動して、見出語候補LST13内の見出語「あい[藍]」を選択し、決定キー500を押下すると、「あい[藍]」の説明情報CT3が表示される(図12(b))。
そして、ユーザは、説明情報CT14中の「インジゴ」について検索するためにジャンプキー560aを押下すると、反転表示M14が表示される。そして、カーソルキー520を操作して、図12(b)のように「インジゴ」の「イ」まで反転表示M14を移動させて、決定キー500を押下すると、「インジゴ」の説明情報CT5が表示される(図12(c))。
電子辞書1は国語辞書DB44と百科事典DB46とを備えているので、ユーザは、両方の辞書DBで「藍」の意味を詳細に調べることができる。そのため、「インジゴ」の説明情報CT5を表示させた後、ユーザは、百科キー580dを押下して、図13(a)のように百科事典画面W29を表示させる。そして、入力欄AR31がクリアされている状態で、左キー520aを押下すると、入力欄AR31には「あい」という文字列が表示され、更に、「あい」で始まる見出語候補LST15が表示される(図13(b))。
ここで、図12(a)のように「あい」と入力したとき、CPU10により「あい」が入力文字列52としてRAM50に記憶される(図10のステップS113に相当)。そして、ユーザが「あい[藍]」の説明情報CT3や、「インジゴ」の説明情報CT5を表示させた後、百科キー580dを押下すると、CPU10により、入力文字列52「あい」が前回入力文字列54としてRAM50に記憶された後、RAM50の入力文字列52はクリアされる(図10のステップS114−1→S114−2〜S138→S139→S141→S103に相当)。
このため、百科事典画面W29の入力欄AR31はなにも入力されていない状態となる。そして、図13(a)のように、なにも文字列を入力しない状態で、且つ、前回に入力した文字列「あい」の文字種別(日本語)と、選択中の辞書DB(百科事典)の文字種別(日本語)とが同じ場合に、左キー520aを押下すると、CPU10により、前回入力文字列54「あい」が入力文字列52としてRAM50に記憶された後、入力文字列52が入力欄AR31に表示される(図10のステップS105〜S107→S109→S111に相当)。
従って、ユーザは、左キー520aを押下するといった簡単な操作で、前回に入力した文字列を入力欄に表示させることができるため、当該文字列と同じ文字列を再度入力する手間を省ける。そして、表示された見出語候補LST15から所望の見出語である「アイ[アイ(藍)]」を選択して決定キー500を押下すると、「アイ[アイ(藍)]」の説明情報CT5が図13(c)のように表示される(図10のステップS138→S139に相当)。
尚、図12のように国語辞書DB44の検索を行った後、百科キー580dを押下して、百科事典画面W29を表示させ、入力欄AR31に文字列を入力したとする。このときに、左キー520aを押下しても、この押下操作はカーソルCSの移動操作に相当し、また、RAM50には入力文字列52が既に記憶されているので、前回入力した文字列、すなわち前回入力文字列54が読み出されて表示されることはない(図10のステップS107→S113に相当)。
また、ユーザは、英和キー580aを押下して、英和辞書画面W35を表示させる。そして、入力欄AR11に文字列が入力されていない状態で、左キー520aを押下したとする。このとき、前回入力文字列54(「あい」)の文字種別(日本語)と、選択辞書種別58(英和辞書)の文字種別(英語)とは異なるから、左キー520aを押下しても、前回入力した文字列が表示されることはない(図10のステップS109→S113に相当)。
図14(a)の英和辞書画面W35において、入力欄AR11に「abc」と入力すると、「abc」から始まる見出語候補LST11が一覧表示され、その中の「ABC」を選択して、決定キー500を押下すると、「ABC」の説明情報CT9が表示される(図14(b))。そして、この入力した文字列「ABC」に関する成句を調べるために、英和キー580aを押下して、下キー520dを操作して、反転表示M10を成句検索に移動すると、入力欄AR15にカーソルCSが移動する(図15(a))(図10のステップS115→S117に相当)。
この状態で、ユーザが、左キー520aを押下すると、入力欄AR15には、前回に入力した文字列「abc」が表示される(図10のステップS107→S109→S111に相当)。これにより、ユーザは、一度入力した文字列の見出語を他の検索モードで検索する際にも、同じ文字列を入力することなく、簡単な操作で当該文字列を入力欄に表示させることができる。そして、決定キー500を押下すると、図15(c)のように「abc」を含む成句の説明情報CT11が表示される(図10のステップS114−1→S121→S126→S133〜S138→S139に相当)。
以上、第2実施形態によれば、サーチモードフラグ59がONに設定され、検索モードが通常検索である場合、CPU10は、入力文字列52に適合する見出語を辞書DBから読み出して、文字列が入力される度に見出語候補を更新表示させる。そして、見出語が選択されないままに、辞書選択キー580が押下されると、CPU10は、第1辞書検索処理と同様に、入力文字列52を前回入力文字列54としてRAM50に記憶させる。更に左キー520aが押下された場合、CPU10は、前回入力文字列54を入力文字列52としてRAM50に記憶させて、入力文字列52を入力欄に表示させる。従って、「すぐでるモード」を使用する場合においても、ユーザは、既に入力した入力文字列を、簡単な操作で直ちに入力することができる。
尚、上述した第1及び第2実施形態において、左キー520aが押下されたときに、前回入力文字列54を入力文字列52として記憶して、入力欄に表示させることとして説明したが、例えば、図16のように、入力復活キー560bを設け、当該キーが押下された場合に、前回入力文字列54を入力文字列52としてRAM50に記憶して、入力欄に表示させることとしてもよい。上述した第1及び第2実施形態における左キー520aは、カーソルCSの移動操作にも使用されるため、文字列が入力中であると、前回に入力された文字列を読み出すことができない。そこで、当該文字列を読み出すための専用のキーとして入力復活キー560bを設けることにより、文字列が入力中であっても、前回に入力された文字列を読み出して入力欄に表示させることが実現される。
また、辞書選択キー580が押下されると、入力文字列52を前回入力文字列54として記憶することとして説明したが、例えば、辞書選択キー580、上下キー520c及び520dが押下された場合に、入力文字列52を蓄積的に記憶していくこととしてもよい。具体的には、RAM50に記憶される前回入力文字列54の代わりに図17(a)の入力ヒストリテーブル51を利用することにより実現される。入力ヒストリテーブル51は、入力済文字列と文字列タイプとを対応付けて蓄積的に記憶するデータテーブルである。CPU10は、辞書選択キー580、上下キー520c又は520dが押下されると、入力文字列52を入力済文字列とし、この入力済文字列に文字列タイプを対応付けて入力ヒストリテーブル51に追加記憶させていく。
文字列タイプは、入力済文字列の文字種別であり、“A”、“B”及び“C”の3種に分類される。図17(b)は、文字列タイプを説明するための図である。文字列タイプが“A”の入力済文字列は、特殊文字を含む英字であり、“B”の入力済文字列は英字のみであり、また、“C”の入力文字列は仮名文字のみであることを表している。
図18〜19は、入力復活キー560bと、入力ヒストリテーブル51とを新たに設けた電子辞書1における、ユーザの操作例と当該操作例に対応する画面表示の画面遷移の一例である。
例えば、図18(a)のように、英和辞書画面W45において、入力欄AR11に「abc?」と入力すると、CPU10により「abc?」が入力文字列52として記憶される。そして、下キー520dを押下すると、「abc?」が入力欄AR13→AR15と移動して表示されると共に、入力文字列52「abc?」が入力済文字列として文字列タイプ“A”と対応付けられて入力ヒストリテーブル51に追加記憶され、入力ヒストリテーブル51は図17(a)のようなデータ構成になる。そして、決定キー500を押下すると、第1実施形態と同様に特殊文字である「?」文字WD1が入力文字列に含まれているという旨のエラー表示画面W5が表示され、当該文字が反転表示された後、当該文字が入力欄AR15から削除される(図18(c))。
そして、ユーザが、入力復活キー560bを押下すると、入力欄AR15には先に表示されていた「abc」が図19(a)のように「abe」に切り替わって表示更新される。このとき、選択辞書種別58は英和辞書であり、選択されている検索モードが成句検索である。成句検索において入力可能な文字は英字のみであるため、CPU10は、入力ヒストリテーブル51の先頭から文字列タイプが“B”である入力済見出語を検索して、当該検索の結果、入力欄AR15に「abe」を表示させる。また、図示しないが、更に入力復活キー560bが押下されると、CPU10は、「abe」の次に文字列タイプが“B”である入力済見出語を読み出して入力欄AR15に表示させる。
また、ユーザが、国語キー580cを押下した後に、入力復活キー560bを押下すると、国語辞書画面W53の入力欄AR21には、図19(b)のように「あいう」という文字列が表示される。このとき、選択辞書種別58は国語辞書であり、選択されている検索モードが通常検索である。国語辞書の通常検索において入力可能な文字は仮名文字のみであるため、CPU10は、入力ヒストリテーブル51の先頭から文字列タイプが“C”である入力済見出語を検索して、当該検索の結果である「あいう」を入力欄AR21に表示させる(図19(b))。
このように入力復活キー560bを設けることで、文字列の入力中であっても、従前に入力した文字列を呼び出すことができる。また、入力文字列52を蓄積的に記憶することで、過去に入力された入力文字列をさかのぼって表示させることができる。また、文字列タイプを対応付けて記憶することで、選択されている入力欄に入力可能な文字列のみを表示させることができるため、ユーザは、検索モードや、選択している辞書等を気にすることなく、入力復活キー560bを押下するといった簡単な操作で、従前に入力した入力文字列を呼び出して、再検索することができる。
尚、本実施形態では電子辞書等を含む電子辞書を適用例として説明したが、このような製品に限定されず、携帯電話、パソコン、電子時計、PDA(Personal Digital Assistants)等の電子機器全般に適用可能である。