JP4482997B2 - 積層式熱交換器およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体として液体および相変化を伴う気液2相流の熱交換に用いる積層式熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱交換器の小型・軽量化を目的に、特開昭63−137793号公報に開示されているような積層式熱交換器が提案されている。この積層式熱交換器は、金属平板を打ち抜いて流路を形成したものを積み重ねて構成したもので、流体が流れる流路が平板の厚み内に形成されるものである。積層式熱交換器は、体積当たりの表面積が大きく、コンパクトであり、使用材料が少なくすむため、従来のシェルアンドチューブ式やプレート式の熱交換器に置き換わる特長を有する。
【0003】
図10は、この積層式熱交換器の内部構成が説明できるように、一部を切断して示したものである。積層式熱交換器は、板面を貫通する流路86が形成された流路プレート81と、同様に流路87が形成された流路プレート82とを、隔壁プレート83を介して交互に複数枚積み重ね、一対のエンドプレート84と85の間に配置した構成である。
【0004】
流路プレート81には流路86以外に貫通孔92aと92bが、流路プレート82には流路87以外に貫通孔95aと95bが、隔壁プレート83には貫通孔93a、93b、94aおよび94bが、それぞれ設けられている。また、エンドプレート84には、熱交換流体Aの入口管88と出口管89、熱交換流体Bの入口管90と出口管91が植立されている。ここで、流路86と流路87は、図10に示したように、隔壁プレート83を介して、流路内の流れが直交する位置関係にある。
【0005】
熱交換流体Aは、エンドプレート84に設置された入口管88より熱交換器内部に流入し、貫通孔94aおよび95aを経由して、流路プレート81に形成された流路86に入る。流路86を流れた熱交換流体Aは、貫通孔95bおよび94bを経由して、出口管89より熱交換器外部に流出する。一方、熱交換流体Bは、エンドプレート84に設置された入口管90より熱交換器内部に流入し、貫通孔92aおよび93aを経由して、流路プレート82に形成された流路87に入る。流路87を流れた熱交換流体Bは、貫通孔93bおよび92bを経由して、出口管91より熱交換器外部に流出する。このとき、流路86を流れる熱交換流体Aは、その上下に位置する2つの隔壁プレート83を介して、流路87を流れる熱交換流体Bと熱交換を行うことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の積層式熱交換器では、以下のような課題が生じている。
【0007】
まず、熱交換流体AとBとの伝熱形態が、一般的に対向流よりも伝熱性能に劣る直交流となっている。したがって、所定の伝熱特性を得るためには、対向流型の熱交換器よりも伝熱面積が多く必要となり、熱交換器の大型化を招く。また、例えば、熱交換器の熱交換流体A側の伝熱特性を向上するために、流路86を長くし伝熱面積を増大する場合、隔壁プレート83を介して対向する流路87は、流路数を増加するあるいは流路幅を拡大する必要が生じる。いずれの場合も、流路87の断面積が増加し、熱交換流体Bの流速が低減するため、熱交換流体Bの伝熱特性が劣化してしまうという課題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、板面を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路プレートを複数枚積層し、一対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられ、前記流路Aと前記流路Bとは折り返し部を有するとともに、前記流路プレート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間距離が、互いに隣り合う位置にある異なる流体の流路間距離よりも大きいことを特徴とする構成とするものである。
【0009】
上記発明によれば、熱交換流体AとBとが対向流の形態で熱交換を行うことができる。一般に、対向流は、従来の積層式熱交換器の伝熱形態である直交流や並行流に比べて、高い熱交換特性を有する伝熱形態である。したがって、熱交換流体AとBとが対向流の形態で熱交換を行う具体構成を提供できるため、積層式熱交換器の高性能化と小型化を実現できる。
【0010】
また、これによれば、隣接する同一流体の流路間の熱抵抗が、隣接する異なる流体の流路間の熱抵抗よりも大きくなり、同一流体間の熱の移動が低減されるため、積層式熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の積層式熱交換器は、各請求項に記載した具体的な形態とすることにより、所定の効果を実現するものである。
【0012】
すなわち、請求項1の積層式熱交換器は、板面を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路プレートを複数枚積層し、一対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられ、前記流路Aと前記流路Bとは折り返し部を有するとともに、前記流路プレート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間距離が、互いに隣り合う位置にある異なる流体の流路間距離よりも大きいことを特徴とする構成とするものである。これによれば、熱交換流体AとBとが対向流の形態で熱交換を行うことができるため、積層式熱交換器の高性能化と小型化を実現できる。また、これによれば、隣接する同一流体の流路間の熱抵抗が、隣接する異なる流体の流路間の熱抵抗よりも大きくなり、同一流体間の熱の移動が低減されるため、積層式熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0013】
また、請求項2の積層式熱交換器は、板面を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路プレートを複数枚積層し、前記流路プレートの複数枚おきに隔壁プレートを挿入し、一対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられ、前記流路Aと前記流路Bとは折り返し部を有するとともに、前記流路プレート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間距離が、互いに隣り合う位置にある異なる流体の流路間距離よりも大きいことを特徴とする構成とするものである。これによれば、流路プレートの積層枚数が多く流路高さが高くなる場合においても、複数枚の流路プレート間に隔壁プレートを挿入することにより、圧力容器としての機械強度が向上するため、請求項1の効果に加え、積層式熱交換器の信頼性向上を実現できる。また、これによれば、隣接する同一流体の流路間の熱抵抗が、隣接する異なる流体の流路間の熱抵抗よりも大きくなり、同一流体間の熱の移動が低減されるため、積層式熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0014】
また、請求項3の積層式熱交換器は、板面を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路プレートを隔壁プレートを介して交互に複数枚積層し、一対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられ、前記流路Aと前記流路Bとは折り返し部を有するとともに、前記流路プレート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間距離が、互いに隣り合う位置にある異なる流体の流路間距離よりも大きいことを特徴とする構成とするものである。これによれば、流路プレートの積層枚数が多く流路高さが高くなる場合においても、流路プレートを隔壁プレートを介して交互に積層することにより、圧力容器としての機械強度が向上するとともに、各流路が分割され熱交換流体の分流の均一化が図れるため、請求項1の効果に加え、積層式熱交換器のより一層の高性能化と信頼性向上を実現できる。また、これによれば、隣接する同一流体の流路間の熱抵抗が、隣接する異なる流体の流路間の熱抵抗よりも大きくなり、同一流体間の熱の移動が低減されるため、積層式熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0015】
また、請求項4の積層式熱交換器は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明に加え、流路Aと流路Bが略U字形状の折り返し部を有するものである。これによれば、流路長に対して熱交換器の縦方向あるいは横方向の長さを十分に小さくすることができるため、積層式熱交換器のより一層の小型化を実現できる。
【0016】
また、請求項5の積層式熱交換器は、請求項4に記載の発明に加え、流路Aと流路Bの少なくとも一方の流路の幅が、前記流路の長手方向で略同一であるものである。これによれば、各流体が流路内を円滑に流れることが可能になり、流体の滞留による伝熱性能の劣化が排除されるため、積層式熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0017】
また、請求項6の積層式熱交換器は、請求項4または5に記載の発明に加え、流路プレート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間に貫通孔を設け、他のプレート上にも前記貫通孔に対向する位置に前記貫通孔と連通する貫通孔を設けるものである。これによれば、互いに隣り合う流路における同一流体間の熱の移動が完全に遮断されるため、積層式熱交換器の格段の高性能化を実現できる。
【0018】
また、請求項7の積層式熱交換器は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明に加え、各プレートがプレス加工により成形され、前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層されるものである。これによれば、各プレートを積層する際、プレス加工により各プレートに発生するバリ同士の当接が回避され、プレート間の密着性が良好になるため、積層式熱交換器の製造時の歩留まりが向上する。
【0019】
また、請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層式熱交換器の製造方法に関するものであり、各プレートがプレス加工により成形される工程と、流路プレートがその両面に鍍金処理を施される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層される工程と、前記積層されたプレートが密着した状態で加熱される工程からなる製造方法である。これによれば、各プレートを積層する際、プレス加工により各プレートに発生するバリ同士の当接が回避され、プレート間の密着性が良好になるとともに、プレート間の接合が鍍金を使用したロウ付けにより確実に保証されるため、積層式熱交換器の製造時の歩留まりと信頼性が向上する。
【0020】
また、請求項9の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層式熱交換器の製造方法に関するものであり、各プレートがプレス加工により成形される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向の上流側の面にペースト状のロウ材を塗布される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層される工程と、前記積層されたプレートが密着した状態で加熱される工程からなる製造方法である。これによれば、鍍金に比べて安価なペースト状のロウ材を使用するため、プレート熱交換器の製造コストの低減が図れる。また、各プレートに対して、プレス加工の打ち抜き方向の上流側の面、つまり、バリの突出していない面にロウ材を塗布するため、ロウ材塗布に使用するマスク等の治具のバリによる損傷が低減され、積層式熱交換器の製造時の信頼性向上が実現される。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
【0022】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の積層式熱交換器の構成を示し、その内部構成が説明できるように一部を分解している。
【0023】
本実施例の積層式熱交換器は、図1に示したように、板面を貫通する複数の流路34と35が形成された流路プレート31を複数枚積層し、一対のエンドプレート32と33間に配置した構成である。このとき、流路34と35が互いに隣り合い並行する位置に設けられ、流路34を流れる熱交換流体Aと流路35を流れる熱交換流体Bとが対向して流れる構成としている。
【0024】
流路プレート31には、流路34の長手方向両端にこれと連通する入口ヘッダー部40および出口ヘッダー部41と、流路35の長手方向両端にこれと連通する入口ヘッダー部42および出口ヘッダー部43が、それぞれ設けられている。
【0025】
また、エンドプレート32には、熱交換流体Aの入口管36と出口管37、熱交換流体Bの入口管38と出口管39が植立されている。入口管38と出口管39は、それぞれ熱交換流体Aの入口ヘッダー部40と出口ヘッダー部41に連通している。同様に、入口管38と出口管39は、それぞれ熱交換流体Bの入口ヘッダー部42と出口ヘッダー部43に連通している。
【0026】
熱交換流体Aは、図中実線の矢印で示すように、エンドプレート32に設置された入口管36より入口ヘッダー部40に流入し、流路プレート31に形成された流路34に入る。流路34を流れた熱交換流体Aは、出口ヘッダー部41に集められ、出口管37より外部に流出する。一方、熱交換流体Bは、図中点線の矢印で示すように、エンドプレート32に設置された入口管38より入口ヘッダー部42に流入し、同じく流路プレート31に形成された流路35に入る。流路35を流れた熱交換流体Bは出口ヘッダー部43に集められ、出口管39より外部に流出する。このとき、流路34を流れる熱交換流体Aは、流路34と35の間に位置する仕切部44を介して、流路35を流れる熱交換流体Bと熱交換を行うことになる。
【0027】
図1に示すように、流路34と35が、仕切部44を介して各ヘッダー近傍を除いて全て対向する位置に設けられているため、熱交換流体AとBとが対向流の形態で熱交換を行うことができる。一般に、対向流は、従来の積層式熱交換器の伝熱形態である直交流や並行流に比べて、高い熱交換特性を有する伝熱形態である。また、従来例で示したような隔壁プレートを排除し、流路プレート31のみから構成することができるため、プレート構成を簡略化することができる。また、薄板状の流路プレート31を複数枚積層することにより流路を形成するため、厚板に比べて流路の成形加工が容易であり、製造コストが低減される。
【0028】
したがって、上記した構成により、積層式熱交換器の高性能化、小型化、製造コストの低減を実現できる。
【0029】
(実施例2)
図2は本発明の実施例2の積層式熱交換器の構成を示し、その内部構成が説明できるように一部を分解している。
【0030】
本実施例の積層式熱交換器は、図2に示したように、板面を貫通する複数の流路34と35が形成された流路プレート31を複数枚積層し、流路プレート31の複数枚おきに隔壁プレート59を挿入し、一対のエンドプレート32と33と間に配置した構成である。このとき、流路34と35が互いに隣り合い並行する位置に設けられ、流路34を流れる熱交換流体Aと流路35を流れる熱交換流体Bとが対向して流れる構成としている。
【0031】
流路プレート31には、流路34の長手方向両端にこれと連通する入口ヘッダー部40および出口ヘッダー部41と、流路35の長手方向両端にこれと連通する入口ヘッダー部42および出口ヘッダー部43が、それぞれ設けられている。
【0032】
一方、隔壁プレート59には、各プレートを積層したとき、流路34の入口ヘッダー部40および出口ヘッダー部41と連通する貫通孔60および61と、流路35の入口ヘッダー部42および出口ヘッダー部43と連通する貫通孔62および63が、それぞれ設けられている。
【0033】
また、エンドプレート32には、熱交換流体Aの入口管36と出口管37、熱交換流体Bの入口管38と出口管39が植立されている。入口管38と出口管39は、それぞれ熱交換流体Aの入口ヘッダー部40と出口ヘッダー部41に連通している。同様に、入口管38と出口管39は、それぞれ熱交換流体Bの入口ヘッダー部42と出口ヘッダー部43に連通している。
【0034】
熱交換流体Aは、図中実線の矢印で示すように、エンドプレート32に設置された入口管36より入口ヘッダー部40に流入し、貫通孔60を経由して、流路プレート31に形成された流路34に入る。流路34を流れた熱交換流体Aは、出口ヘッダー部41に集められ、貫通孔61を経由して、出口管37より外部に流出する。一方、熱交換流体Bは、図中点線の矢印で示すように、エンドプレート32に設置された入口管38より入口ヘッダー部42に流入し、貫通孔62を経由して、同じく流路プレート31に形成された流路35に入る。流路35を流れた熱交換流体Bは出口ヘッダー部43に集められ、貫通孔63を経由して、出口管39より外部に流出する。このとき、流路34を流れる熱交換流体Aは、流路34と35の間に位置する仕切部44を介して、流路35を流れる熱交換流体Bと熱交換を行うことになる。
【0035】
図2に示すように、流路34と35が、仕切部44を介して各ヘッダー近傍を除いて全て対向する位置に設けられているため、熱交換流体AとBとが対向流の形態で熱交換を行うことができる。一般に、対向流は、従来の積層式熱交換器の伝熱形態である直交流や並行流に比べて、高い熱交換特性を有する伝熱形態である。
【0036】
ここで、実施例1の構成において、積層式熱交換器の熱交換性能を拡大するために、流路プレート31の積層枚数を多くする場合を考える。このとき、流路プレートの積層高さが高くなり、流路34と35との間の仕切部44の伝熱方向の総面積が広くなる。仕切部44は、流路34と35とを流れる熱交換流体の伝熱面となると同時に、熱交換流体AとBとの間に圧力差がある場合においても流路の変形を防止するための圧力隔壁としての機能を有する。この仕切部44の面積が拡大すると、圧力を受ける面積も拡大するため、その機械強度は小さくなる。本実施例では、複数枚の流路プレート31間に隔壁プレート59を挿入することにより、仕切部44を積層高さ方向に細かく分割し、圧力を受ける面積を小さくすることにより、熱交換器の圧力容器としての機械強度を向上させる。
【0037】
したがって、上記した構成により、積層式熱交換器の高性能化に加え、信頼性向上を実現できる。
【0038】
(実施例3)
図3は本発明の実施例3の積層式熱交換器の構成を示し、その内部構成が説明できるように一部を分解している。
【0039】
本実施例の積層式熱交換器は、図3に示したように、板面を貫通する複数の流路34と35が形成された流路プレート31を隔壁プレート59を介して交互に複数枚積層し、一対のエンドプレート32と33間に配置した構成である。このとき、流路34と35が互いに隣り合い並行する位置に設けられ、流路34を流れる熱交換流体Aと流路35を流れる熱交換流体Bとが対向して流れる構成としている。
【0040】
流路プレート31には、流路34の長手方向両端にこれと連通する入口ヘッダー部40および出口ヘッダー部41と、流路35の長手方向両端にこれと連通する入口ヘッダー部42および出口ヘッダー部43が、それぞれ設けられている。
【0041】
一方、隔壁プレート59には、各プレートを積層したとき、流路34の入口ヘッダー部40および出口ヘッダー部41と連通する貫通孔60および61と、流路35の入口ヘッダー部42および出口ヘッダー部43と連通する貫通孔62および63が、それぞれ設けられている。
【0042】
また、エンドプレート32には、熱交換流体Aの入口管36と出口管37、熱交換流体Bの入口管38と出口管39が植立されている。入口管38と出口管39は、それぞれ熱交換流体Aの入口ヘッダー部40と出口ヘッダー部41に連通している。同様に、入口管38と出口管39は、それぞれ熱交換流体Bの入口ヘッダー部42と出口ヘッダー部43に連通している。
【0043】
熱交換流体Aは、図中実線の矢印で示すように、エンドプレート32に設置された入口管36より入口ヘッダー部40に流入し、貫通孔60を経由して、流路プレート31に形成された流路34に入る。流路34を流れた熱交換流体Aは、出口ヘッダー部41に集められ、貫通孔61を経由して、出口管37より外部に流出する。一方、熱交換流体Bは、図中点線の矢印で示すように、エンドプレート32に設置された入口管38より入口ヘッダー部42に流入し、貫通孔62を経由して、同じく流路プレート31に形成された流路35に入る。流路35を流れた熱交換流体Bは出口ヘッダー部43に集められ、貫通孔63を経由して、出口管39より外部に流出する。このとき、流路34を流れる熱交換流体Aは、流路34と35の間に位置する仕切部44を介して、流路35を流れる熱交換流体Bと熱交換を行うことになる。
【0044】
図3に示すように、流路34と35が、仕切部44を介して各ヘッダー近傍を除いて全て対向する位置に設けられているため、熱交換流体AとBとが対向流の形態で熱交換を行うことができる。一般に、対向流は、従来の積層式熱交換器の伝熱形態である直交流や並行流に比べて、高い熱交換特性を有する伝熱形態である。
【0045】
ここで、実施例1の構成において、積層式熱交換器の熱交換性能を拡大するために、流路プレート31の積層枚数を多くする場合を考える。このとき、流路プレートの積層高さが高くなり、熱交換流体が流れる流路の高さが極めて高くなる。この流路高さが高いと、流体の流れに偏りが生じ、熱交換特性を劣化させる原因となる。特に、熱交換流体が、熱交換を行う過程で、液体から気体もしくは気体から液体への相変化を伴う場合、その密度差により流体の流れに著しい偏りが生じる可能性がある。本実施例では、流路プレート31の間に隔壁プレート59を設け、流路高さを流路プレート31の1枚分の厚さとした構成であるため、特に相変化を伴う熱交換においても、流体の流れに偏りが生じにくく、各流路への熱交換流体の分流の均一化が図れる。
【0046】
したがって、上記した構成により、積層式熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0047】
(実施例4)
図4は本発明の実施例4の積層式熱交換器の構成を示し、その内部構成が説明できるように一部を分解している。本発明の積層式熱交換器は、図1と同様な構成を有し、特に、流路プレート31の流路34および35が、それぞれ略U字形状の折り返し部45および46を有するものである。
【0048】
流路に略U字形状の折り返し部を設けることにより、プレート上に直線状の流路だけではなく、矩形状や渦巻き状等の任意の形状の流路を構成することができる。これは、流路長の極めて長い流路に対して、熱交換器の縦方向あるいは横方向の長さを十分に小さくできることを意味する。
【0049】
したがって、上記した構成により、積層式熱交換器のより一層の小型化を実現できる。
【0050】
なお、図2および図3に示した構成の積層式熱交換器についても、流路34および35がそれぞれ略U字形状の折り返し部を有するものとすれば、同様の効果が得られる。
【0051】
(実施例5)
本発明の実施例5は、図4に示した構成の積層式熱交換器において、流路34および35が、それぞれ略U字形状の折り返し部45および46を有するとともに、流路34と35の少なくとも一方の流路の幅が、その長手方向で略同一であるものである。
【0052】
図5は、流路プレート31の構成図であり、流路34の形状を詳細に示すものである。流路34は、熱交換流体Aの入口および出口ヘッダーの一部を形成するヘッダー部40および41を両端に備え、これらと連通する直行部47および折り返し部45から構成される。この直行部47の流路幅T1と折り返し部45の流路幅T2はほぼ同一である。なお、熱交換流体Bの流路35についても、同様の形状を有する。
【0053】
流路幅が流路の長手方向で略同一ではない場合、特に、流路の折り返し部が矩形状となる場合を考えると、この流路には角部が存在することになる。熱交換流体がこの流路角部を通過するとき、角部近傍の流体は円滑な流れを阻害され、流体の滞留を引き起こしやすい。この流体の滞留は、仕切部44を介した流路間の熱交換を阻害し、熱交換器全体の性能を劣化させる要因となる。
【0054】
本実施例では、流路34の幅が、流路の長手方向、特に直行部47と折り返し部45においてほぼ同一となっているため、熱交換流体Aが流路34の折り返し部45を滞留することなく円滑に流れることが可能になる。流路34と対向する流路35についても、同様である。
【0055】
したがって、上記した構成により、積層式熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0056】
なお、図2および図3に示した構成の積層式熱交換器についても、流路34および35がそれぞれ略U字形状の折り返し部を有するとともに、流路34と35の少なくとも一方の流路の幅がその長手方向で略同一であるとすれば、同様の効果が得られる。
【0057】
(実施例6)
本発明の実施例6は、図4に示した構成の積層式熱交換器において、流路34および35が、それぞれ略U字形状の折り返し部45および46を有するとともに、流路プレート31上の互いに隣り合う位置にある同一流体、例えば熱交換流体Aの流路34間の距離が、互いに隣り合う位置にある異なる流体、熱交換流体AとBの流路34と35との距離よりも大きいものである。
【0058】
図6は、流路プレート31の構成図であり、流路34と35の形状を詳細に示すものである。例えば、流路34は折り返し部45を備えるため、同一流体の流路でありながら互いに隣り合う位置を流れる部分を有する。よって、熱交換流体Aは仕切部44を介して熱交換流体Bと熱交換するとともに、流路34の隣り合う部分を流れる同じ熱交換流体Aとも熱交換する可能性がある。本実施例は、この流路34間の距離T3を、流路34と35との距離T4よりも大きくするものである。これによれば、隣接する流路34間の熱抵抗が、隣接する流路34と35との間の熱抵抗よりも大きくなり、熱交換流体A同士の熱の移動が低減される。これは、同じく折り返し部46を備える流路35側についても、同様である。
【0059】
したがって、上記した構成により、熱交換流体の同一流路間での熱交換が低減されるため、積層式熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0060】
なお、図2および図3に示した構成の積層式熱交換器についても、流路34および35がそれぞれ略U字形状の折り返し部を有するとともに、流路プレート31上の互いに隣接する同一流体の流路間距離が、互いに隣接する異なる流体の流路間距離よりも大きいものとすれば、同様の効果が得られる。
【0061】
(実施例7)
図7は本発明の実施例7の積層式熱交換器の構成を示し、その内部構成が説明できるように一部を分解している。
【0062】
本実施例の積層式熱交換器は、図4で示した構成と同様に、流路34および35が、それぞれ略U字形状の折り返し部45および46を有するとともに、流路プレート31上の互いに隣り合う位置にある流路34の間に貫通孔48aを設けた点である。なお、エンドプレート32と33にも、貫通孔48aと対向する位置に、貫通孔48bと48cが設けられている。
【0063】
図7に示すように、流路34が略U字状の折り返し部45を有する場合、熱交換流体Aは仕切部44を介して熱交換流体Bと熱交換するとともに、流路34の隣り合う部分を流れる同じ熱交換流体Aとも熱交換する可能性がある。しかし、本実施例によれば、互いに隣り合う位置にある流路34の間に貫通孔48aが形成されるため、この部分における同一流路間の熱の移動が完全に遮断される。流路35側についても、流路35の互いに隣り合う位置にある同一流路間に貫通孔を設ければ、同様の効果が得られる。
【0064】
したがって、上記した構成により、熱交換流体の同一流路間での熱交換が完全に遮断されるため、積層式熱交換器の格段の高性能化を実現できる。
【0065】
なお、図2および図3に示した構成の積層式熱交換器についても、流路34および35がそれぞれ略U字形状の折り返し部を有するとともに、流路プレート31上の互いに隣り合う位置にある流路34の間に貫通孔を設け、さらに隔壁プレート59上にもこの貫通孔と対向する位置にこの貫通孔と連通する貫通孔を設ければ、同様の効果が得られる。
【0066】
(実施例8)
本発明の実施例8は、図1に示した積層式熱交換器において、流路プレート31の流路34と35、外周形状等がプレス加工により成形され、このプレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層されるものである。
【0067】
一般に、プレス加工によりプレートに貫通孔を成形すると、この貫通孔の輪郭部に突起状のバリが形成される。このバリはプレス加工の打ち抜き方向の下流側のプレート面に形成される。各プレートを積層する際、このバリ同士が当接すると、プレート間の密着性を損ない接合不良の原因となる。本実施例のように、各プレートをプレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層すれば、バリ同士が当接が回避され、プレート間の密着性が良好なものになる。
【0068】
したがって、上記した構成により、積層式熱交換器の製造時の歩留まりが向上する。
【0069】
なお、図2および図3に示した構成の積層式熱交換器についても、流路プレート31、隔壁プレート59の流路、貫通孔、外周形状がプレス加工により成形され、このプレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層すれば、同様の効果が得られる。
【0070】
(実施例9)
次に、実施例1から8で説明した積層式熱交換器の製造方法を具体的に説明する。本実施例は、特に各プレートが全てステンレス鋼、銅、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属材料からなることを想定している。
【0071】
図8は、図1に示した積層式熱交換器の矢印CCにおける断面を示しており、積層時のロウ材の設置状態をわかりやすく示したものである。上下のエンドプレート32と33の間に、ロウ材51に示す鍍金層を全面に設けた流路プレート31が順次積層されている。
【0072】
まず、流路プレート31への流路34と35、入口ヘッダー部40等の貫通孔の加工は、量産性に優れたプレス加工により行われる。
【0073】
次に、流路やヘッダー部等の貫通孔が形成された流路プレート31に対して、その表面に鍍金加工が施される。流路プレート31の材質が耐食性に優れたステンレス鋼である場合は、例えばニッケルとリンを主成分とした鍍金を施せばよい。この鍍金加工は、通常、無電解鍍金法により行われる。また、流路プレート31の材質が熱伝導率の高い銅である場合は、例えば銀を主成分とした鍍金を施せばよい。
【0074】
さらに、全てのプレートは、図中に矢印で示した方向にプレス加工の打ち抜き方向が一致するように、積層される。
【0075】
最後に、積層された各プレートを密着した状態で加熱することにより、鍍金層を溶融させ一体的に接合する。
【0076】
このとき、プレス加工された各プレートが、そのバリ方向を一致させるように積層されているため、バリ同士の当接による密着性の悪化が回避されるとともに、プレート間の接合が鍍金を使用したロウ付けにより確実に保証される。
【0077】
したがって、歩留まりに優れ、信頼性の高い積層式熱交換器を提供することができる。
【0078】
なお、本実施例では、全ての流路プレート31の表面に鍍金加工が施されるとしたが、鍍金加工を施した流路プレートと鍍金加工を施さない流路プレートとを交互に積層し、接合を行うものとしても良い。この場合、ロウ材としての鍍金加工量が低減されるため、熱交換器の製造コストが低減される。また、ロウ材量が過剰な場合に生じるロウ材による流路の閉塞が回避されるため、熱交換器の信頼性が向上する。
【0079】
また、図2および図3に示した構成の積層式熱交換器についても、流路プレート31および隔壁プレート59がプレス加工により成形される工程と、流路プレート31がその両面に鍍金処理を施される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層される工程と、前記積層されたプレートが密着した状態で加熱される工程からなる製造方法により製造を行えば、同様の効果が得られる。
【0080】
(実施例10)
次に、実施例1から8で説明した積層式熱交換器の製造方法を具体的に説明する。本実施例は、特に各プレートが全てステンレス鋼、銅、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属材料からなることを想定している。
【0081】
図9は、図1に示した積層式熱交換器の矢印CCにおける断面を示しており、積層時のロウ材の設置状態をわかりやすく示したものである。上下のエンドプレート32と33の間に、上面のみにロウ材52を塗布した流路プレート31が順次積層されている。
【0082】
まず、流路プレート31への流路34と35、入口ヘッダー部40等の貫通孔の加工は、量産性に優れたプレス加工により行われる。
【0083】
次に、流路プレート31に対してロウ材を塗布する。ロウ材としては、パウダー状のロウ材にバインダを配合させたペーストロウを用いる。ペーストロウの塗布は、例えばシルクスクリーンプロセス等の印刷方法により、塗布用のマスクを用いて行う。本実施例では、流路プレート31と略同一形状の開口部を有するマスクにより、流路プレート31の上面にロウ材52を塗布する。ここで、ロウ材の塗布は、各プレートのプレス加工の打ち抜き方向の上流側の面(図中では上面)に対して行う。なお、ロウ材としては、各プレートの材質がステンレス鋼である場合は例えばNi系のものを使用し、銅である場合は例えば銀あるいはリン銅系のものを使用することが望ましい。
【0084】
さらに、全てのプレートは、図中に矢印で示した方向にプレス加工の打ち抜き方向が一致するように、積層される。
【0085】
最後に、ロウ材を塗布され積層された各プレートを密着した状態で加熱することにより、ペーストロウのロウ材成分を溶融させ一体的に接合する。
【0086】
したがって、プレート間の接合がペーストロウを使用したロウ付けにより確実に保証される。また、鍍金に比べて安価なペースト状のロウ材を使用するため、熱交換器の製造コストの低減が図れる。さらに、各プレートのバリの突出していない面にロウ材を塗布するため、ロウ材塗布に使用するマスク等の治具のバリによる損傷が低減され、製造時の信頼性向上が実現される。
【0087】
なお、図2および図3に示した構成の積層式熱交換器についても、流路プレート31および隔壁プレート59がプレス加工により成形される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向の上流側の面にペースト状のロウ材を塗布される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層される工程と、前記積層されたプレートが密着した状態で加熱される工程からなる製造方法により製造を行えば、同様の効果が得られる。
【0088】
なお、本発明の実施例1、2、3では、流路34を流れる熱交換流体Aと流路35を流れる熱交換流体Bとが対向して流れるものとしたが、伝熱特性が著しく低減しない場合は、熱交換流体AとBとが互いに並行して流れるものとしても構わない。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1の積層式熱交換器は、板面を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路プレートを複数枚積層し、一対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられた構成とするので、熱交換流体AとBとが対向流の形態で熱交換を行うことができるため、積層式熱交換器の高性能化と小型化を実現できる。
【0090】
また、請求項2の積層式熱交換器は、板面を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路プレートを複数枚積層し、前記流路プレートの複数枚おきに隔壁プレートを挿入し、一対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられた構成とするので、流路プレートの積層枚数が多く流路高さが高くなる場合においても、複数枚の流路プレート間に隔壁プレートを挿入することにより、圧力容器としての機械強度が向上するため、請求項1の効果に加え、積層式熱交換器の信頼性向上を実現できる。
【0091】
また、請求項3の積層式熱交換器は、板面を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路プレートを隔壁プレートを介して交互に複数枚積層し、一対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられた構成とするので、流路プレートの積層枚数が多く流路高さが高くなる場合においても、流路プレートを隔壁プレートを介して交互に積層することにより、圧力容器としての機械強度が向上するとともに、各流路が分割され熱交換流体の分流の均一化が図れるため、請求項1の効果に加え、積層式熱交換器のより一層の高性能化と信頼性向上を実現できる。
【0092】
また、請求項4の積層式熱交換器は、請求項1ないし3のいずれか1項記載の発明に加え、流路Aと流路Bが略U字形状の折り返し部を有するので、流路長に対して熱交換器の縦方向あるいは横方向の長さを十分に小さくすることができるため、積層式熱交換器のより一層の小型化を実現できる。
【0093】
また、請求項5の積層式熱交換器は、請求項4記載の発明に加え、流路Aと流路Bの少なくとも一方の流路の幅が、前記流路の長手方向で略同一であるので、各流体が流路内を円滑に流れることが可能になり、流体の滞留による伝熱性能の劣化が排除されるため、積層式熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0094】
また、請求項6の積層式熱交換器は、請求項4または5記載の発明に加え、流路プレート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間距離が、互いに隣り合う位置にある異なる流体の流路間距離よりも大きいので、隣接する同一流体の流路間の熱抵抗が、隣接する異なる流体の流路間の熱抵抗よりも大きくなり、同一流体間の熱の移動が低減されるため、積層式熱交換器のより一層の高性能化を実現できる。
【0095】
また、請求項7の積層式熱交換器は、請求項4ないし6のいずれか1項記載の発明に加え、流路プレート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間に貫通孔を設け、他のプレート上にも前記貫通孔に対向する位置に前記貫通孔と連通する貫通孔を設けるので、互いに隣り合う流路における同一流体間の熱の移動が完全に遮断されるため、積層式熱交換器の格段の高性能化を実現できる。
【0096】
また、請求項8の積層式熱交換器は、請求項1ないし6のいずれか1項記載の発明に加え、各プレートがプレス加工により成形され、前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層されるので、各プレートを積層する際、プレス加工により各プレートに発生するバリ同士の当接が回避され、プレート間の密着性が良好になるため、積層式熱交換器の製造時の歩留まりが向上する。
【0097】
また、請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項記載の積層式熱交換器の製造方法に関するものであり、各プレートがプレス加工により成形される工程と、流路プレートがその両面に鍍金処理を施される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層される工程と、前記積層されたプレートが密着した状態で加熱される工程からなる製造方法であるので、各プレートを積層する際、プレス加工により各プレートに発生するバリ同士の当接が回避され、プレート間の密着性が良好になるとともに、プレート間の接合が鍍金を使用したロウ付けにより確実に保証されるため、積層式熱交換器の製造時の歩留まりと信頼性が向上する。
【0098】
また、請求項10の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項記載の積層式熱交換器の製造方法に関するものであり、各プレートがプレス加工により成形される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向の上流側の面にペースト状のロウ材を塗布される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層される工程と、前記積層されたプレートが密着した状態で加熱される工程からなる製造方法であるので、鍍金に比べて安価なペースト状のロウ材を使用するため、プレート熱交換器の製造コストの低減が図れる。また、各プレートに対して、プレス加工の打ち抜き方向の上流側の面、つまり、バリの突出していない面にロウ材を塗布するため、ロウ材塗布に使用するマスク等の治具のバリによる損傷が低減され、積層式熱交換器の製造時の信頼性向上が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1、8の積層式熱交換器の構成図
【図2】 本発明の実施例2の積層式熱交換器の構成図
【図3】 本発明の実施例3の積層式熱交換器の構成図
【図4】 本発明の実施例4、5、6の積層式熱交換器の構成図
【図5】 本発明の実施例5の積層式熱交換器の流路プレートの構成図
【図6】 本発明の実施例6の積層式熱交換器の流路プレートの構成図
【図7】 本発明の実施例7の積層式熱交換器の構成図
【図8】 本発明の実施例9の積層式熱交換器の断面図
【図9】 本発明の実施例10の積層式熱交換器の断面図
【図10】 従来の積層式熱交換器の構成図
【符号の説明】
31 流路プレート
32、33 エンドプレート
34、35 流路

Claims (9)

  1. 板面を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路プレートを複数枚積層し、一対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられ、前記流路Aと前記流路Bとは折り返し部を有するとともに、前記流路プレート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間距離が、互いに隣り合う位置にある異なる流体の流路間距離よりも大きいことを特徴とする積層式熱交換器。
  2. 板面を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路プレートを複数枚積層し、前記流路プレートの複数枚おきに隔壁プレートを挿入し、一対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられ、前記流路Aと前記流路Bとは折り返し部を有するとともに、前記流路プレート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間距離が、互いに隣り合う位置にある異なる流体の流路間距離よりも大きいことを特徴とする積層式熱交換器。
  3. 板面を貫通する複数の流路Aおよび流路Bが形成された流路プレートを隔壁プレートを介して交互に複数枚積層し、一対のエンドプレート間に配した構成を有し、前記流路Aと前記流路Bが互いに隣り合い並行する位置に設けられ、前記流路Aと前記流路Bとは折り返し部を有するとともに、前記流路プレート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間距離が、互いに隣り合う位置にある異なる流体の流路間距離よりも大きいことを特徴とする積層式熱交換器。
  4. 流路Aと流路Bが略U字形状の折り返し部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層式熱交換器。
  5. 流路Aと流路Bの少なくとも一方の流路の幅が、前記流路の長手方向で略同一である請求項4に記載の積層式熱交換器。
  6. 流路プレート上の互いに隣り合う位置にある同一流体の流路間に貫通孔を設け、他のプレート上にも前記貫通孔に対向する位置に前記貫通孔と連通する貫通孔を設けた請求項4または5に記載の積層式熱交換器。
  7. 各プレートがプレス加工により成形され、前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層された請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層式熱交換器。
  8. 各プレートがプレス加工により成形される工程と、流路プレートがその両
    面に鍍金処理を施される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層される工程と、前記積層されたプレートが密着した状態で加熱される工程からなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層式熱交換器の製造方法。
  9. 各プレートがプレス加工により成形される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向の上流側の面にペースト状のロウ材を塗布される工程と、前記各プレートが前記プレス加工の打ち抜き方向が一致するように積層される工程と、前記積層されたプレートが密着した状態で加熱される工程からなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層式熱交換器の製造方法。
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