JP4482210B2 - 天然ゴムの素練り方法及びその素練り方法により得られた天然ゴム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分子量を低下させずにゲル量を低減させ、更に加工性をも向上させることができる天然ゴムの素練り方法及びその素練り方法により得られた天然ゴムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、タイヤ、ベルト、ホースなどのゴム製品は、加硫剤、補強剤等の種々の配合剤が混合されているが、この混合作業やゴム製品の成型作業性を容易にするため、まず原料となる生ゴム(天然ゴム)の素練り工程が不可欠である。
一般に、素練りの意義は、原料ゴムに機械的なせん断力を与えることにより、充分な可塑性を与えることである。この素練りにより、加硫剤、充填剤等の各種配合剤を分散しやすくするなど混合練り作業(原料ゴムに各種の配合剤を均一に練り込む作業)を容易にし、更には後工程である圧延、押出しなどにおいて、寸法を安定にし、肌をきれいにし、スコーチをしにくくするなど、これらの作業をやりやすくする役目を果たしている。
【0003】
この素練りは、ロール機械、密閉型混練機等の単なる機械的な素練りによっても生ゴムの分子切断による分子量低下が生じてゴムが可塑化されるが、このような機械的な素練りは非常に大きな電力、労力、時間を要するものである。
従って、生ゴムの素練り工程で素練り促進剤(しゃっ解剤)が使用されることは、一般に良く知られているところである。
【0004】
従来において、素練り促進剤として芳香族環に置換されているチオフェノールやジスルフィド等が使用されている。
しかし、この素練り促進剤を使用すると可塑化が進み、ゴムの粘度は低下するがそれと同時に分子鎖を切断し、そのゴムを加硫して得られた加硫ゴムの破壊特性等が低下してしまう点に課題がある。
【0005】
一方、天然ゴム中には分子鎖の絡み合い、天然ゴムのイソプレン鎖中の官能基同士又はそのような官能基と天然ゴム中の非ゴム成分との反応によるゲルが存在し、このゲル分が生ゴムの粘度上昇(貯蔵硬化等)あるいはゴム配合剤の分散不良を引き起こす原因となっている。
通常の素練りにより、このゲル分は減少するが、同時に分子鎖を切断するために、前記同様の問題が起こっている。
【0006】
このように天然ゴムの分子量を低下させずに選択的にゲル量を低減する技術として、本願出願人は、特開平11−209406号公報に、特定の芳香族ポリカルボン酸誘導体の中から選択される少なくとも1種からなる天然ゴム素練り用添加剤等を開示している。
しかしながら、この公報に記載の天然ゴム素練り用添加剤等は、天然ゴムの分子量を低下させずに選択的にゲル量を低減する技術として従来にないものであったが、更に選択的にゲル量を低減する技術が求められているの現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、天然ゴムの分子量を低下させずにゲル量を更に低減させ、しかも、加工性をも向上させることができる天然ゴムの素練り方法及びその素練り方法により得られた天然ゴムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定の芳香族多価カルボン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体とのエステルが天然ゴムの分子量を低下させずにゲル量を著しく低減させ、さらに加工性をも向上させることができることを知見し、目的の天然ゴムの素練り方法及びその素練り方法により得られた天然ゴムを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(8)に存する。
(1) 分子中に芳香環に結合するカルボキシル基を少なくとも一つ有する、芳香族多価カルボン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体とのエステル(a)を天然ゴムに添加して行なうことを特徴とする天然ゴムの素練り方法。
(2) 前記(a)成分のエステルを固体に担持させ、天然ゴムに添加する上記(1)に記載の天然ゴムの素練り方法。
(3) 更に、(ポリ)オキシアルキレン誘導体、アルコール及びその脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種類(b)を添加する上記(2)に記載の天然ゴムの素練り方法。
(4) 前記(b)成分の融点が20℃以下であり、かつ、沸点が150℃以上である上記(3)に記載の天然ゴムの素練り方法。
(5) 前記(a)成分のエステルが下記一般式(I)で表わされる化合物である上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の天然ゴムの素練り方法。
【化2】
(6) 天然ゴム100重量部に対して、上記(1)又は(5)に記載のエステルを0.05〜20重量部添加する天然ゴムの素練り方法。
(7) 前記(b)成分の配合量が、前記(a)成分のエステルに対して、20重量%以下である上記(3)〜(6)の何れか一つに記載の天然ゴムの素練り方法。
(8) 上記(1)〜(7)の何れか一つに記載の天然ゴムの素練り方法により得られたことを特徴とする天然ゴム。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の天然ゴムの素練り方法(以下、「本発明方法」という)は、分子中に芳香環に結合するカルボキシル基を少なくとも一つ有する、芳香族多価カルボン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体とのエステル(a)を天然ゴムに添加して行なうことを特徴とするものである。
【0011】
本発明方法に用いる(a)成分のエステルは、芳香族多価カルボン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体とにより得られるものであり、分子中に芳香環に結合するカルボキシル基を少なくとも一つ有するものであれば、特に限定されないが、好ましくは、下記一般式(I)で表わされる化合物が望ましい。
【化3】
【0012】
前記一般式(I)において、より好ましくは、n+pが2又は3であり、Rlが炭素数2〜4のアルキレン基、R2が炭素数2〜28のアルキル基又はアルケニル基であり、更に好ましくは、n=1、p=1、Rlがエチレン基、R2が炭素数2〜28のアルキル基又はアルケニル基であり、特に好ましくは、mが1〜10、n=1、p=1、Rlがエチレン基、R2が炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基であることが望ましい。
【0013】
本発明方法に用いる(a)成分のエステルは、(i)2価以上の芳香族カルボン酸またはその無水物と、(ii)(ポリ)オキシアルキレン誘導体とを反応させることで得ることができる。
上記(i)の2価以上の芳香族カルボン酸としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの2価の芳香族カルボン酸またはその無水物、トリメリット酸、無水トリメリット酸などの3価の芳香族カルボン酸またはその無水物、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸などの4価の芳香族カルボン酸またはその無水物が挙げられるが、コストの面から2価または3価の芳香族カルボン酸またはその無水物が好ましく、特に、無水フタル酸であることが好ましい。
上記(ii)の(ポリ)オキシアルキレン誘導体としては、例えば、1以上の水酸基を持った平均重合度1以上の(ポリ)オキシアルキレン基を有する誘導体であり、好ましくは、1〜2の水酸基を持った(ポリ)オキシアルキレン基を有する誘導体であり、特に好ましくは1ヶの水酸基を持った(ポリ)オキシアルキレン基を有する誘導体である。(ポリ)オキシアルキレン誘導体としては、例えば、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル型;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸モノエステルなどのエステル型;(ポリ)オキシアルキレングリセリン脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸アミド、(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミンなど含窒素型などが挙げられるが、本発明の(ポリ)オキシアルキレン誘導体としてはエーテル型とエステル型が好ましく、エーテル型が特に好ましい。
【0014】
エーテル型の(ポリ)オキシアルキレン誘導体としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシアルキレン、不飽和を含むポリオキシアルキレン脂肪族エーテル、ポリオキシエチレンベンジルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンペンジル化フェニルエーテルなどのポリオキシエチレン芳香族エーテルなどが挙げられるが、ポリオキシアルキレン脂肪族エーテルが好ましい。
更に、ポリオキシエチレンアルキルまたはアルケニルエーテルであることが好ましく、特にポリオキシエチレンの平均重合度が10以下、アルキル基またはアルケニル基の炭素数が8から18であることが好ましい。
具体的には、以下に、ポリオキシエチレンをPOE(n)と略し、( )内には平均重合度を示して例示する。
POE(3)オクチルエーテル、POE(4)2−エチルヘキシルエーテル、POE(3)デシルエーテル、POE(5)デシルエーテル、POE(3)ラウリルエーテル、POE(8)ラウリルエーテル、POE(1)ステアリルエーテルなどが挙げられる。
【0015】
本発明方法では、前記エステル、すなわち、天然ゴム素練り用添加剤となるエステル、好ましくは、前記一般式(I)で表される化合物より選ばれる少なくとも一つを、天然ゴム100重量部に対して、0.05〜20重量部添加して素練りを行うことが望ましい。
このエステルの配合量を天然ゴム100重量部に対して、0.05〜20重量部と規定したのは、その配合量を0.05〜20重量部とすることにより、加硫ゴムの破壊特性の低下などの悪影響を生じることなく、本発明の目的とする効果を充分に得るためである。
【0016】
本発明方法では、使用する天然ゴムの種類、例えば、RSS(リブドスモークドシート)、TSR(Technical Standard Rubber)、グレード(等級)等により、上記エステルの配合量は上記範囲内で変動するものであるが、この範囲中では、コスト・ハンドリングの面、及び増量に見合った効果を発揮させる面などから、好ましくは、1〜5量部、更に好ましくは、1〜3重量部であることが望ましい。
【0017】
更に、本発明方法において、(a)成分のエステルを添加する際に工場作業性を良くするために固体に担持させることが好ましい。ここで用いられる固体としては、特に制限されず、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、炭酸カルシウム、タルクなどの無機化合物、カーボンブラック、ステアリン酸、ワックス、老化防止剤などの有機化合物を挙げることができる。これらの中でも、シリカまたはカーボンブラックが好ましい。
また、(a)成分を担持させた場合には、粉塵が舞うことがあるので、これを抑制するため、(b)成分として、(ポリ)オキシアルキレン誘導体、アルコール及びその脂肪酸エステルの中から選ばれる少なくとも一種類を含有することができる。
この(b)成分の配合量は、(a)成分のエステルに対して、好ましくは、20重量%以下、更に好ましくは、5〜10重量%であることが望ましく、それ以上加えても利点が少ない。
前記(b)成分の融点が20℃以下であり、かつ沸点が150℃以上であることが好ましい。(b)成分の融点は、素練り時の粉塵抑制の観点から20℃以下が好ましく、また沸点は、素練り時の安全性の観点から150℃以上であることが好ましい。
【0018】
上記(b)成分としての(ポリ)オキシアルキレン誘導体は、前記(ii)の(ポリ)オキシアルキレン誘導体と同様で、エーテル型、エステル型、エーテルエステル型、含窒素型などが挙げられ、エーテル型又はエステル型のポリオキシアルキレン誘導体が好ましい。また、(b)成分としてのアルコールは、特に制限されるものではないが、好ましくは、炭素数8〜20の脂肪族アルコールであり、例えば、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、カプリルアルコールなどが挙げられる。また、これらのアルコールの脂肪酸エステルが好適に用いられる。
【0019】
本発明方法で用いられる上記の(b)成分の中では、エーテル型又はエステル型のポリオキシエチレン誘導体またはエチレングリコール脂肪酸エステルが特に好ましい。具体的には、オリオキシエチレンをPOE(n)と略し、nには平均重合度を示すと、POE(3)ラウリルエ−テル、POE(5)デシルエーテル、POE(4)オレイルエーテル、POE(10)モノラウレート、POE(10)モノオレエート、エチレングリコールジオレエート、POE(9)ジカプリレートなどが挙げられる。
【0020】
また、本発明方法においては、上述のエステルを単独で又は2種以上で使用してもよく、また、通常、素練り促進剤(しゃっ解剤)として使用されているチオフェノールやジスルフィド等を本発明のエステルに置き換えて併用してもよい。
これらの素練り促進剤の配合量は、本発明のエステルの配合量の10重量%以下とする必要がある。これは10重量%を越えて配合すると、分子鎖切断の悪影響が大きくなり、加硫して得られた加硫ゴムの破壊物性等が低下してしまうこととなるので、好ましくない。
【0021】
本発明方法は、素練り機械を使用して上記各成分を天然ゴムに添加して行えば良く、素練り機械に対して、回転数、素練り温度、素練り時間など最適な範囲が選択される。
素練り機械としては、例えば、ロール機、密閉型混練機、ゴードンプラスチケーター等が挙げられ、例えば、ロール機を使用した場合には、ロール間隔、ロール回転比及びロール回転数等は最適な範囲が選択される。
ゴム用途等により異なるが、素練りスタート温度は、60〜85℃、好ましくは、70〜80℃とし、また、素練り時間を、60〜120秒、好ましくは、80〜100秒とすることが望ましい。
このように構成される本発明方法により、天然ゴムの分子量を低下させずにポリマーゲル量を低減することができ、かつ、分子間でのすべりを増加させることにより成型作業性を向上させることができ、未加硫ゴム又は加硫ゴムの物性低下が抑制されることとなる。
【0022】
本発明方法により得られた天然ゴムは、天然ゴム中の分子鎖の絡み合い、並びに、天然ゴムのイソプレン鎖中の官能基同士又はそのような官能基と天然ゴム中の非ゴム成分との反応によるゲルが除去されているので、天然ゴムの分子量を低下させずに選択的にゲル量が低減されたものとなっている。
従って、この天然ゴムを使用(塑性加工)することにより、加硫剤、充填剤等の各種配合剤を分散しやすくするなど混合練り工程での作業、すなわち、原料ゴムにカーボンブラック等の充填材、オイル類、老化防止剤等を配合して練るノンプロ練り、その後に、硫黄、加硫促進剤等を配合して練るプロ練りでの各種の配合剤を均一に練り込む作業をきわめて容易にし、更には後工程である圧延、押出しなどにおいて、寸法を更に安定にし、肌をきれいにし、スコーチをしにくくするなど、これらの作業をきわめて容易に、かつ効率的に行うことができ、更に加硫して得られた加硫ゴムの破壊特性も低下することがないものとなる。
また、得られた天然ゴムは、空気入りタイヤ以外に、例えば、コンベアベルト、ベルト、ホースなどのゴム製品に好適に使用することができるものである。
【0023】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び比較例により更に本発明を詳述するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0024】
〔実施例1〜6及び比較例1〜5、素練りゴム(天然ゴム)の調製〕
下記表1に示す配合内容(重量部)でバンバリーミキサーにて素練り条件をスタート温度80℃で90秒間として素練りした。
得られた素練りゴムのゲル量(%)、分子量及びムーニー粘度(加工性)を下記方法により測定した。これらの結果を下記表1に示す。
なお、天然ゴムはRSS3号を使用した。また、エステルは上記一般式(I)(表1の欄外に記載)の化合物を用いた。
【0025】
(素練りゴムのゲル量の測定)
素練りゴムのゲル量は、ゴム0.2gをトルエン60ccに浸漬し、室温下で24時間放置した。
その後、遠心分離機によりゲル分を分離し、減圧乾燥器にて溶媒を揮発させた後、ゲル重量を測定した。
ゲル量は、値が小さいほど、ポリマーゲル量が分解していることを示す。
【0026】
(素練りゴムの分子量の測定)
素練りゴムの分子量は、ゴム0.03gをTHF(テトラヒドロフラン)30ccに溶解させ、室温で24時間放置した後、TOSOH社製GPC(GEL PERMEATION CHROMATOGRAPH)により測定した。
【0027】
(素練りゴムのムーニー粘度(ML1+4、加工性)の測定)
素練りゴムの加工性(粘度)は、SHIMADZU社製 MOONEY VISCOMETER SMV201を用いて、100℃で測定し5分後の値とした。
【0028】
【表1】
【0029】
表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜6の素練りゴム(天然ゴム組成物)は、本発明範囲外となる比較例1〜5に較べて、分子量を低下させずにポリマーゲル量を低減させ、更に加工性をも改良することができることが判明した。
個別的にみると、比較例1は、素練りなしの天然ゴム組成物の場合であり、この場合はゲル量が多く、比較例2は、通常の素練りをした天然ゴム組成物の場合であり、この場合もゲル量が多く、分子量も低下することが判る。また、比較例3及び4は、通常のしゃっ解剤を添加して素練りをした天然ゴム組成物の場合であり、これらの場合は、ゲル量が減少するが、分子量も著しく低下することが判る。比較例5は、特開平11−209406号公報に記載の化合物(芳香族ポリカルボン酸誘導体)を使用した場合〔一般式(I)においてmが本発明の範囲から外れる場合〕であり、確かに比較例1〜3に較べゲル量は少なくなり、本発明と同質の効果は認められるが、本発明の方が同じ配合量(実施例2と参考例との比較)においては本発明の方が効果が大きいことが判る。
これに対し、実施例1〜6は、本発明の素練り用添加剤となるエステルを使用して素練りをした天然ゴムの場合であり、この場合は、分子量を低下することなく、ゲル量を著しく減少させ、更に加工性をも改良することができることが判明した。
【0030】
次に、(a)成分を担持させた場合の(b)成分の粉塵抑制効果を検証した。
(a)成分のエステルとして前記実施例2のA種を、固体としてシリカ(日本シリカ工業社製、商標「ニプシルAQ」)を、(b)成分としては、エチレングリコールジオレート(融点−6℃、沸点250℃以上)を用い、(1)として、(a)成分を等重量の固体に担持させたものを、(2)として、(a)成分の100重量部に対して8重量部の(b)成分を加えつつ、(a)成分に対して等重量の固体に担持させたものを作製し、これらを夫々天然ゴムに加えて、すなわち、(a)成分として天然ゴム100重量部あたり2重量部加えて、素練りを行い粉塵の様子を調べた。
この素練りの際の粉塵は、(2)を用いた場合、(1)を用いた場合に較べ、粉塵の量が大幅に減っており、(b)成分を添加することの粉塵抑制効果を確認することができた。
尚、ゲル量、分子量、及びムーニー値は上記いずれの場合も実施例2と同等であった。
【0031】
【発明の効果】
本発明方法によれば、天然ゴムの分子量を低下させずにゲル量を低減させ、更に加工性をも改良することができる天然ゴムの素練り方法が提供される。
本発明では、天然ゴムの分子量を低下させずにゲル量を低減させ、更に加工性をも改良することができる天然ゴムが提供される。
Claims (6)
- 更に、(ポリ)オキシアルキレン誘導体、アルコール及びその脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一種類(b)を添加する請求項1に記載の天然ゴムの素練り方法。
- 前記(b)成分の融点が20℃以下であり、かつ、沸点が150℃以上である請求項2に記載の天然ゴムの素練り方法。
- 前記一般式(I)で表わされる化合物を固体に担持させ、天然ゴムに添加する際の一般式(I)で表わされる化合物の配合量が天然ゴム100重量部に対して、0.05〜20重量部となる請求項1記載の天然ゴムの素練り方法。
- 前記(b)成分の配合量が、前記一般式(I)で表わされる化合物に対して、20重量%以下である請求項2〜4の何れか一つに記載の天然ゴムの素練り方法。
- 請求項1〜5の何れか一つに記載の天然ゴムの素練り方法により得られたことを特徴とする天然ゴム。
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