以下、本発明の実施の形態による液圧回転機用のシリンダブロックとして、可変容量型斜板式油圧ポンプのシリンダブロックを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図10は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は液圧回転機としての可変容量型斜板式油圧ポンプ(以下、油圧ポンプ1という)で、該油圧ポンプ1は、後述のケーシング2、回転軸7、シリンダブロック10、各ピストン12、斜板15、弁板17等により構成されている。
2は油圧ポンプ1の外殻をなすケーシングで、該ケーシング2は、図1に示すように筒状のケーシング本体3と、該ケーシング本体3の両端側を閉塞したフロントケーシング4、リヤケーシング5とから構成されている。そして、リヤケーシング5には、一対の給排通路6A,6Bが設けられ、これらの給排通路6A,6Bは、油液の吸込管,吐出管(いずれも図示せず)に接続されるものである。
7はケーシング2内に回転可能に設けられた回転軸で、該回転軸7は、フロントケーシング4とリヤケーシング5とに軸受8,9を介して回転可能に支持されている。そして、回転軸7は、フロントケーシング4から軸方向に突出する突出端7A側が、例えばディーゼルエンジン等の原動機(図示せず)により回転駆動されるものである。
10はケーシング2内に回転軸7を介して回転可能に設けられたシリンダブロックで、該シリンダブロック10は、回転軸7の外周側にスプライン結合され、回転軸7と一体に回転するものである。そして、シリンダブロック10は、その一方の端面が後述の斜板15に対向して配置され、他方の端面は後述の弁板17に摺接するものである。
11,11,…はシリンダブロック10に形成された複数のシリンダで、該各シリンダ11は、回転軸7を中心にしてシリンダブロック10の周方向に一定の間隔をもって離間し、シリンダブロック10の軸方向に延びている。そして、各シリンダ11は、後述の斜板15と対向する一端側が開口端11Aとなり、シリンダブロック10の端面に開口している。
また、シリンダ11の他端側には、シリンダポート11B,11B,…が形成され、これらのシリンダポート11Bは、後述の弁板17を介してリヤケーシング5の給排通路6A,6Bに連通,遮断されるものである。一方、シリンダ11の内周面には、後述の硬化処理部20,21、帯状熱処理部22等が形成されている。
12,12,…は各シリンダ11内に摺動可能に挿嵌された複数のピストンを示し、これらのピストン12には、シリンダ11から突出する突出端側にシュー13がそれぞれ揺動可能に設けられている。そして、これらのシュー13は、シュー押え14によって後述する斜板15の平滑面15Aに常に摺接するように支持されている。
ここで、ピストン12は、図2に示す如く同一の外径をもって軸方向に延びる円形部12Aと、該円形部12Aの先端側(軸方向一側)からテーパ状に漸次縮径して形成されシュー13が抜止め状態で揺動可能に取付けられた縮径部12Bとからなり、円形部12Aと縮径部12Bとの間は境界部12Cとなっている。
また、ピストン12の円形部12A内には、軸方向他側の端面から軸方向に延びる中ぐり穴12Dが有底穴として形成され、該中ぐり穴12Dの底部側には、シュー13の位置まで延びる小径の油路12Eが穿設されている。また、円形部12Aは、軸方向他側の端面との間が端縁部12Fとなっている。
そして、ピストン12は、シリンダ11内を往復動するように摺動変位し、その摺動範囲は、図3に示す如くシリンダ11の開口端11Aからシリンダ11の奥所側に向けて寸法L(以下、摺動範囲Lという)の位置に及ぶものである。なお、この摺動範囲Lとは、シリンダ11内でのピストン12のストローク長を示すもので、後述する斜板15の傾転角が最大となった場合に摺動範囲Lは最大長さとなり、傾転角が最小となったときには、摺動範囲Lは最小長さとなるものである。
また、ピストン12がシリンダ11内を摺動変位するときに、ピストン12の境界部12Cは、シリンダ11内を開口端11Aから寸法L1 の範囲(以下、摺動範囲L1 という)で摺動変位し、ピストン12の端縁部12Fは、シリンダ11の奥所側を寸法L2 の範囲(以下、摺動範囲L2 という)で摺動変位するものである。
15はケーシング2内に斜板支持部材16を介して傾転可能に設けられた斜板で、該斜板15は、その背面側が斜板支持部材16により傾転可能に支持され、後述の傾転アクチュエータ18,19により傾転駆動されるものである。また、斜板15は、シリンダブロック10と対向する面が斜めに傾斜した環状な平滑面15Aとなり、この平滑面15Aに沿って各シュー13が摺接する。そして、シュー13は、斜板15の平滑面15A上を円軌道を描くように摺動し、これによりピストン12がシリンダ11内を往復動するものである。
17はケーシング2内に位置してリヤケーシング5とシリンダブロック10との間に設けられた弁板で、この弁板17は、シリンダブロック10の端面に摺接し、シリンダブロック10を回転軸7と一緒に回転可能に支持している。また、弁板17には、眉形状をなす一対の給排ポートが形成され、これらの給排ポートは、リヤケーシング5の給排通路6A,6Bと連通している。
そして、弁板17の給排ポートは、シリンダブロック10の回転時に各シリンダ11のシリンダポート11Bと間欠的に連通し、例えば一方の給排通路6Aから各シリンダ11内に吸込んだ油液をピストン12により加圧させると共に、各シリンダ11内で高圧状態となった圧油を他方の給排通路6Bから吐出させる機能を有している。
18,19は斜板15を傾転駆動する一対の傾転アクチュエータで、該傾転アクチュエータ18,19は、外部から傾転制御圧が給排されることにより、この圧力に応じて斜板15の傾転角を可変に制御するものである。そして、シリンダ11内を摺動変位するピストン12のストローク長(図3に示す摺動範囲L)は、斜板15の傾転角に応じて増減されるものである。
次に、20,20,…はシリンダ11の内周面に形成された第1の硬化処理部で、該第1の硬化処理部20は、後述のレーザ照射装置31を用いてシリンダ11の内周面に焼入れ処理を施すことにより、シリンダ11の内周面に予め決められたパターンをもって複数個形成されている。
ここで、第1の硬化処理部20は、図3に示すようにシリンダ11の開口端11Aに近い位置から奥所側に向けて軸方向に直線状の縞模様をなして延び、シリンダ11の周方向では一定の間隔をもって離間するように配置されている。そして、第1の硬化処理部20は、シリンダ11内でのピストン12の摺動範囲Lのうち、少なくとも境界部12Cの摺動範囲L1 を越える範囲にわたって、シリンダ11の内面硬度を高めるものである。
21,21,…はシリンダ11の内周面に形成された第2の硬化処理部で、該第2の硬化処理部21は、後述のレーザ照射装置31を用いて第1の硬化処理部20よりもシリンダ11の奥所側に焼入れ処理を施すことにより、シリンダ11の内周面に予め決められたパターン(直線状の縞模様)をなすように形成されている。そして、第2の硬化処理部21は、第1の硬化処理部20からシリンダ11の軸方向に離間して配置され、これらの硬化処理部20,21間には、後述の帯状熱処理部22が形成されるものである。
ここで、第2の硬化処理部21は、シリンダ11内でのピストン12の摺動範囲Lのうち、端縁部12Fの摺動範囲L2 を越える長さをもってシリンダ11の奥所側を軸方向に延びている。そして、第2の硬化処理部21は、少なくとも端縁部12Fの摺動範囲L2 を越える範囲にわたって、シリンダ11の内面硬度を高めるものである。
22はシリンダ11の内周面に形成された帯状熱処理部で、該帯状熱処理部22は、後述のレーザ照射装置31を用いて第1,第2の硬化処理部20,21の間となる位置に焼入れ処理を施すことにより形成されている。そして、帯状熱処理部22は、シリンダ11の内周面を周方向に1周して帯状に延びるリング状の焼入れ処理部として構成されるものである。
ここで、帯状熱処理部22は、図3に示すようにシリンダ11の全長のうちほぼ中間となる位置に配置され、シリンダ11の軸方向に延びる第1,第2の硬化処理部20,21に対して垂直となる方向(即ち、シリンダ11の周方向)に延びて形成されている。そして、帯状熱処理部22は、シリンダ11の内周面で第1の硬化処理部20よりも奥所側(後側)となる位置に配置され、第2の硬化処理部21よりも前側(開口端11A寄り)となる位置に離間して配置されている。
かくして、帯状熱処理部22は、シリンダ11の内周面に全周にわたって延びるように形成されている。このため、シリンダ11とピストン12との間に後述の如く隙間23,24,25等が形成された場合でも、シリンダ11内の圧油が外部に漏洩するのを帯状熱処理部22により抑えることができるものである。
次に、31は本実施の形態で採用したレーザ照射装置で、該レーザ照射装置31は、図10に示すように後述の照射装置本体部32、レーザ制御装置46およびレーザ発振器47等により構成されている。そして、レーザ照射装置31から出射される後述のレーザビーム33は、図10に示すシリンダブロック10のシリンダ11内へと照射され、シリンダ11の内周面に前述した第1,第2の硬化処理部20,21と帯状熱処理部22とを形成するものである。
この場合、シリンダブロック10は、ワークテーブル(図示せず)上に固定して取付けられ、このワークテーブルと一緒に2軸方向(図10中のX軸方向とY軸方向)に移動される。これにより、シリンダブロック10に設けた複数のシリンダ11,11,…に対しても、前述の如きレーザ焼入れ(熱処理)が均等に施されるものである。
32はレーザ照射装置31の可動部分を構成する照射装置本体部で、該照射装置本体部32は、レーザビーム33の出射口34Aを有する昇降台34と、該昇降台34上に設けられた筐体35と、後述のコリメータレンズ38、焦光レンズ39、回転プーリ40および回転筒44等により構成されている。
ここで、昇降台34は、Z軸モータ36により昇降テーブル37に沿って上,下方向(Z軸方向)に昇降される。そして、筐体35は、昇降台34の上面から上向きに延びる筒状のカバー体として形成され、その上端側には、昇降台34の出射口34Aと上,下方向で対向する位置にレーザビーム33の入射口35Aが形成されている。
また、筐体35内には、入射口35Aからのレーザビーム33を平行なビームに補正するコリメータレンズ38と、該コリメータレンズ38により平行に補正されたレーザビーム33を焦光させる焦光レンズ39とが設けられている。そして、焦光レンズ39で焦光されたレーザビーム33は、昇降台34の出射口34Aから後述のミラー45に向けて出射されるものである。
40は昇降台34の下面側に回転可能に設けられた回転プーリで、この回転プーリ40は、昇降台34の出射口34A周囲に軸受等を介して取付けられている。そして、回転プーリ40は、後述の駆動モータ41により昇降台34の出射口34Aを中心にして図10中の矢示A方向に回転されるものである。
41は昇降台34上に設けられた駆動モータで、該駆動モータ41は、昇降台34の下側に配置した小径プーリ42を回転駆動する。そして、この小径プーリ42は、回転プーリ40との間にタイミングベルト43が巻回されている。これにより、駆動モータ41による小径プーリ42の回転は、タイミングベルト43を介して回転プーリ40に伝えられるものである。
44は回転プーリ40と一体に回転する回転筒で、該回転筒44は、その上端側が回転プーリ40に固定され、下向きに突出する下端側にはミラー45が設けられている。そして、昇降台34の出射口34Aから出射されたレーザビーム33は、回転筒44内を下向きに進みつつ、ミラー45によりほぼ90度分だけ偏向されて図10中の矢示B方向に照射されるものである。
46は照射装置本体部32から離間した位置に設置されるレーザ制御装置で、該レーザ制御装置46は、レーザ電源(図示せず)等を有し、後述のレーザ発振器47を制御するものである。
47はレーザ発振器で、該レーザ発振器47は、例えばCO2 レーザ、YAGレーザ、半導体レーザ等の発振器により構成され、前述したレーザビーム33を発生(発振)させる。そして、レーザ発振器47により発振されたレーザビーム33は、図10に示す光ファイバ48等を介して筐体35の入射口35Aに導かれるものである。
本実施の形態による油圧ポンプ1に用いるシリンダブロック10とレーザ照射装置31とは、上述の如き構成を有するもので、次に、レーザ照射装置31を用いたシリンダ11の内面への焼き入れ処理について説明する。
まず、レーザ発振器47から出力されたレーザビーム33は、図10に示す光ファイバ48等を介して筐体35の入射口35Aに導かれる。そして、筐体35の入射口35Aから発射されたレーザビーム33は、コリメータレンズ38により平行なビームに補正された後に焦光レンズ39によって焦光され、この焦光されたレーザビーム33が、昇降台34の出射口34Aから回転筒44を介してミラー45に向けて出射される。
この場合、昇降台34は、Z軸モータ36により昇降テーブル37に沿って上,下方向(Z軸方向)に昇降され、これに伴って筐体35、回転筒44も同様に上,下に昇降される。このため、回転筒44の下端側をシリンダブロック10のシリンダ11内へと適宜に挿入することができ、ミラー45により図10中の矢示B方向に反射(偏向)させたレーザビーム33を、シリンダ11の内周面に向けて照射することができる。
即ち、シリンダ11の内周面に第1の硬化処理部20,20,…を形成する場合には、回転筒44の下端側をシリンダ11内に挿入した状態で、この内周面にレーザビーム33を照射させつつ、回転筒44をZ軸方向に移動させることによりシリンダ11の内周面に沿って軸方向に直線状に延びる第1の硬化処理部20(例えば、図3参照)を形成する。
そして、1本の硬化処理部20を形成した後には、駆動モータ41により回転プーリ40と一緒に回転筒44を一定角度分だけ回転させ、次なる硬化処理部20を前回と同様に形成する。これにより、第1の硬化処理部20は、全体として直線状の縞模様なすパターンで図3、図6に示す如くレーザ焼入れされる。
次に、第2の硬化処理部21についても、シリンダ11の奥所側となる位置に第1の硬化処理部20とほぼ同様にレーザ照射装置31を用い、レーザビーム33を順次照射させることにより、全体として直線状の縞模様なすパターンで図3に示す如く形成することができる。
また、帯状熱処理部22をシリンダ11の内面に形成する場合には、回転筒44の下端側をシリンダ11内に予め決められた深さ位置(軸方向の中間位置)まで挿入し、この状態でシリンダ11の内周面にレーザビーム33を照射させつつ、回転筒44を図10中の矢示A方向に1周させるように回転させて、リング状をなす帯状熱処理部22をレーザ焼入れする。
ところで、シリンダ11の内周面に第1の硬化処理部20,20,…を形成した状態では、図6に示すように各硬化処理部20がマルテンサイト変態により部分的に膨脹するので、シリンダ11とピストン12との間に隙間23(図6中に二点鎖線で示す)を生じさせる原因となる。
このため、シリンダ11の内面には、例えばホーニング加工等の研摩処理が通常は行われ、このときに硬化処理部20は、マルテンサイト変態による膨脹部分が図7に例示するように研削される。この点は、第2の硬化処理部21についても同様である。また、帯状熱処理部22についてもマルテンサイト変態による膨脹部分が、図8、図9に例示するようにホーニング加工により研摩される。
しかし、このようなホーニング加工を行ってシリンダブロック10の各シリンダ11内にピストン12をそれぞれ挿嵌し、油圧ポンプ1としての稼働を続けたときには、ピストン12がシリンダ11内で摺動変位を繰返すために、両者の摺動面には徐々に摩耗が発生し、例えば第1の硬化処理部20,20,…の間に位置する未処理部分(相対的に硬度が低い部分)には、図4に示すように摩耗による隙間24,24,…が発生する。
また、第2の硬化処理部21,21,…側においても、各硬化処理部21の間に位置する未処理部分(相対的に硬度が低い部分)が早期に摩耗し易くなっているため、図5に例示するように摩耗による隙間25が形成される。そして、各シリンダ11内でピストン12により加圧される油液(圧油)は、このような隙間24,25を介して図5中の矢示C方向へと外部に漏洩し易くなり、油圧ポンプ1としての吐出性能を低下させる原因となる。
特に、このような摩耗による隙間24,25は、シリンダ11内でのピストン12の摺動範囲Lのうち境界部12Cが摺動変位する摺動範囲L1 の位置と、ピストン12の端縁部12Fが摺動変位する摺動範囲L2 の位置とで、より顕著に発生するものである。
そこで、本実施の形態にあっては、シリンダ11の内周面のうちピストン12の境界部12Cが摺動変位する摺動範囲L1 の位置には、第1の硬化処理部20,20,…を縞模様をなして形成し、ピストン12の端縁部12Fが摺動変位する摺動範囲L2 の位置には、第2の硬化処理部21,21,…を縞模様をなして形成すると共に、これらの硬化処理部20,21の中間位置には、シリンダ11の内面を周方向に1周して延びる帯状熱処理部22を設ける構成としている。
このため、ピストン12の摺動変位によるシリンダ11の摩耗を第1,第2の硬化処理部20,21と帯状熱処理部22とにより抑えることができ、シリンダ11の耐摩耗性を高めることができる。そして、シリンダ11とピストン12との間に図5に例示した隙間24,25等が形成された場合でも、シリンダ11内の圧油が外部に漏洩するのを帯状熱処理部22により抑えることができ、油漏れ量の抑制効果を発揮することができる。
従って、本実施の形態によれば、シリンダブロック10に設けた各シリンダ11の耐摩耗性を向上できると共に、シリンダ11内の圧油が外部に漏洩するのを抑えることができる。そして、このようなシリンダブロック10を油圧ポンプ1に設けることにより、シリンダブロック10からの油漏れ量を抑制することができ、油圧ポンプ1としての吐出性能を向上することができる。また、仮に油圧モータとして用いる場合でも、回転トルクを確実に増大させることができ、液圧回転機としての性能や信頼性を高めることができる。
また、帯状熱処理部22は第1,第2の硬化処理部20,21から離間した位置にレーザ焼入れを施すことにより形成しているので、第1,第2の硬化処理部20,21と帯状熱処理部22との焼入れ箇所が互いに接触したり、干渉したりすることがなく、それぞれの焼入れ箇所で十分な硬度を確保できると共に、耐摩耗性を向上することができる。
次に、図11は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、レーザ照射装置の先端部をシリンダ内に挿入することなく、レーザビームをシリンダの内面に向けて斜めに傾けて照射させる構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は本実施の形態で採用したレーザ照射装置で、該レーザ照射装置51は、第1の実施の形態で述べたレーザ照射装置31と同様に、後述の照射装置本体部52、レーザ制御装置46およびレーザ発振器47等により構成されている。そして、レーザ照射装置51から出射されるレーザビーム33は、シリンダブロック10のシリンダ11内へと照射されるものである。
52はレーザ照射装置51の可動部分を構成する照射装置本体部で、該照射装置本体部52は、レーザビーム33の出射口53Aを有する昇降台53と、該昇降台53上に設けられた筐体54と、後述の回転プーリ55および旋回筒56等により構成されている。そして、昇降台53は、第1の実施の形態で述べた昇降台34と同様に、Z軸モータ36により昇降テーブル37に沿って上,下方向(Z軸方向)に昇降される。
また、筐体54は、第1の実施の形態で述べた筐体35と同様に筒状のカバー体として形成され、その上端側には、昇降台53の出射口53Aと上,下方向で対向する位置にレーザビーム33の入射口54Aが形成されている。そして、筐体54内には、入射口54Aからのレーザビーム33を平行なビームに補正するコリメータレンズ38が設けられ、該コリメータレンズ38により平行に補正されたレーザビーム33は、昇降台53の出射口53Aから後述のミラー57に向けて出射されるものである。
55は昇降台53の下面側に回転可能に設けられた回転プーリで、該回転プーリ55は、第1の実施の形態で述べた回転プーリ40とほぼ同様に構成され、小径プーリ42との間がタイミングベルト43を介して連結されている。そして、回転プーリ55は、駆動モータ41からの回転力により昇降台53の出射口53Aを中心にして図11中の矢示A方向に回転されるものである。
56は回転プーリ55と一体に旋回される旋回筒で、該旋回筒56は、全体としてL字状に屈曲した筒体からなり、その上端側は回転プーリ55に固定して取付けられている。そして、旋回筒56の屈曲部には第1ミラー57が設けられ、この第1ミラー57は、昇降台53の出射口53Aから出射されたレーザビーム33を後述の第2ミラー59に向けて反射させるものである。
また、旋回筒56内には、第1ミラー57と第2ミラー59との間に位置して焦光レンズ58が設けられ、この焦光レンズ58は、第1ミラー57から第2ミラー59に向けて反射されたレーザビーム33を焦光させる。そして、旋回筒56の先端側に設けられた第2ミラー59は、焦光レンズ58で焦光されたレーザビーム33を斜めに反射させ、図11中に示す如く下向き偏向されたビームをシリンダ11の内面に向けて斜め(図11中の矢示D方向)に照射されるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様にシリンダ11の内面に向けてレーザビーム33を照射でき、シリンダ11の内周面に第1,第2の硬化処理部20,21および帯状熱処理部22等を形成することができる。
そして、この場合には旋回筒56を用いることにより、焦光レンズ58で焦光されたレーザビーム33を第2ミラー59で斜めに反射させ、シリンダ11の内面に向けて斜めに照射することができるため、旋回筒56の先端等をシリンダ11内に挿入する必要がなくなり、旋回筒56の先端側がシリンダ11の内面に誤って接触、干渉する等の問題を解消することができる。
また、この場合でも、シリンダブロック10をワークテーブル(図示せず)と一緒に2軸方向(図11中のX軸方向とY軸方向)に移動させることにより、シリンダブロック10に設けた複数のシリンダ11,11,…に対しても、前述の如きレーザ焼入れ(熱処理)を均等に施すことができる。
次に、図12は本発明の第3の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、シリンダ11の内面にレーザ焼入れしてなる硬化処理部61,61,…を円形のスポット状に形成したものである。この場合、各硬化処理部61は、帯状熱処理部22から離間した位置でシリンダ11の内周面にほぼ均一に分布して配置されている。
そして、これらの硬化処理部61は、シリンダ11内でのピストン12の摺動範囲L全体にわたり均等なパターンで多数のスポット模様をなすように形成されている。これにより、硬化処理部61は、境界部12Cの摺動範囲L1 と端縁部12Fの摺動範囲L2 とを含めてピストン12の摺動範囲L全体で、シリンダ11の内面硬度を高めるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態にあっても、例えば図10に示すレーザ照射装置31(または、図11に示すレーザ照射装置51)を用いてシリンダ11の内面に各硬化処理部61を形成でき、ピストン12の摺動変位によるシリンダ11の摩耗を硬化処理部61,61,…と帯状熱処理部22とにより抑えることができる。
そして、シリンダ11とピストン12との間に、各硬化処理部61の間に位置する未処理部分(相対的に硬度が低い部分)で早期摩耗等が発生して隙間等が形成される場合でも、シリンダ11内の圧油が外部に漏洩するのを帯状熱処理部22により抑えることができ、油漏れ量の抑制効果を発揮することができる。
次に、図13は本発明の第4の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、シリンダ11の内周面に沿って斜めに螺旋状をなして延びる3本の硬化処理部62,63,64を形成すると共に、これらの硬化処理部62,63,64から離間してシリンダ11の周方向に延びる帯状熱処理部65を形成する構成としたことにある。
ここで、硬化処理部62,63,64は、ピストン12の摺動範囲Lのうち境界部12Cの摺動範囲L1 を除いた部分にレーザビームをそれぞれ螺旋状に照射させることにより形成されている。そして、硬化処理部62,63,64は、合計3条の螺旋模様をなすようにシリンダ11の内面に均一のパターンで配置されている。
また、帯状熱処理部65は、第1の実施の形態で述べた帯状熱処理部22と同様に形成される。しかし、この場合の帯状熱処理部65は、ピストン12の摺動範囲Lのうち境界部12Cの摺動範囲L1 となる位置に配置されている点で、第1の実施の形態とは異なっている。
かくして、本実施の形態によれば、硬化処理部62〜64と帯状熱処理部65とにより、ピストン12の摺動範囲L(境界部12Cの摺動範囲L1 と端縁部12Fの摺動範囲L2 とを含めて)全体で、シリンダ11の内面硬度を高めることができ、第1の実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
そして、シリンダ11とピストン12との間に、硬化処理部62,63,64の間に位置する未処理部分(相対的に硬度が低い部分)で早期摩耗等が発生して隙間等が形成される場合でも、シリンダ11内の圧油が外部に漏洩するのを帯状熱処理部65により抑えることができ、油漏れ量の抑制効果を発揮することができる。
次に、図14は本発明の第5の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、シリンダ11の開口端11Aに近接した位置に他の帯状熱処理部66を形成したことにある。ここで、帯状熱処理部66は、第1の実施の形態で述べた第1の硬化処理部20,20,…に替えて設けられ、シリンダ11の内周面のうち境界部12Cの摺動範囲L1 となる位置に全周にわたってレーザビームを照射(レーザ焼入れ)することにより形成されている。
かくして、本実施の形態によれば、硬化処理部21,21,…と帯状熱処理部22,66とにより、ピストン12の摺動範囲L(境界部12Cの摺動範囲L1 と端縁部12Fの摺動範囲L2 とを含めて)全体で、シリンダ11の内面硬度を高めることができ、第1の実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
しかも、この場合には、2本の帯状熱処理部22,66がシリンダ11の内周に沿って互いに離間して形成されているので、シリンダ11内の圧油が外部に漏洩するのを2本の帯状熱処理部22,66によって抑えることができ、油漏れ抑制効果をより一層高めることができる。
次に、図15は本発明の第6の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、シリンダ11の内周面に沿って軸方向に直線状に縞模様をなして延びる複数の硬化処理部67,67,…を形成すると共に、これらの硬化処理部67よりも開口端11A(前側)よりに位置してシリンダ11の周方向に延びる帯状熱処理部68を形成する構成としたことにある。
ここで、帯状熱処理部68は、第1の実施の形態で述べた帯状熱処理部22と同様に形成される。しかし、この場合の帯状熱処理部68は、ピストン12の摺動範囲Lのうち境界部12Cの摺動範囲L1 よりも僅かに後側となる位置に配置されている点で、第1の実施の形態とは異なっている。
また、互いに縞模様をなす硬化処理部67,67,…は、帯状熱処理部68から後方に離間した位置からシリンダ11の奥所側に向けてレーザビームをそれぞれ軸方向に移動させて照射することにより形成されている。そして、これらの硬化処理部67は、ピストン12の摺動範囲Lのうち端縁部12Fの摺動範囲L2 に相当する部分等でシリンダ11の内面硬度を高めるものである。
かくして、本実施の形態によれば、各硬化処理部67と帯状熱処理部68とにより、ピストン12の摺動範囲Lのほぼ全体でシリンダ11の内面硬度を高めることができ、第1の実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
次に、図16および図17は本発明の第7の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ピストンの外周面に環状の凹溝等からなる周溝部を形成した場合の対策を取ったものである。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、71はシリンダ11内に挿嵌されるピストンで、該ピストン71は、第1の実施の形態で述べたピストン12とほぼ同様に構成され、円形部71A、縮径部71B、境界部71C、中ぐり穴71D、油路71Eおよび端縁部71F等を有している。しかし、この場合のピストン71には、円形部71Aの外周面に環状の凹溝等からなる周溝部72が全周にわたって形成されている。
そして、この周溝部72は、ピストン71がシリンダ11内を摺動変位するときに、ピストン71の軸線がシリンダ11の軸線に対して傾くような片当たり現象が発生し、シリンダ11とピストン71との間に形成される油膜(図示せず)が、両者の周方向で部分的に片寄った状態となるのを防ぐものである。
即ち、周溝部72は、ピストン71の円形部71Aに全周溝として形成されているので、シリンダ11とピストン71との間に全周にわたって潤滑用の油膜を形成することができる。これにより、ピストン71がシリンダ11内で片当たりする等の不具合を解消でき、シリンダ11内でピストン71を円滑に摺動変位させ、ピストン71の摺動特性を向上することができる。
また、ピストン71がシリンダ11内を摺動変位するときに、ピストン71の境界部71Cは、図17に示す摺動範囲L1 の位置を摺動変位し、ピストン71の端縁部71Fは、摺動範囲L2 の位置を摺動変位する。そして、ピストン71の周溝部72は、摺動範囲L3 の位置を摺動変位するものである。
73,73,…はシリンダ11の内周面に形成された第1の硬化処理部で、該第1の硬化処理部73は、第1の実施の形態で述べた硬化処理部20とほぼ同様に縞模様をなして形成されている。しかし、この場合の硬化処理部73は、後述の帯状熱処理部75と接触しないように、その軸方向長さが短くなっている。
74,74,…はシリンダ11の内周面に形成された第2の硬化処理部で、該第2の硬化処理部74は、第1の実施の形態で述べた硬化処理部21とほぼ同様に縞模様をなして形成されている。しかし、この場合の硬化処理部74は、後述の帯状熱処理部75と接触しない範囲で、その軸方向長さがより長く形成されているものである。
75はシリンダ11の内周面に形成された帯状熱処理部で、該帯状熱処理部75は、第1の実施の形態で述べた帯状熱処理部22と同様に形成されている。しかし、この場合の帯状熱処理部75は、ピストン71の周溝部72がシリンダ11内で摺動変位する摺動範囲L3 よりも前側(開口端11Aに近い位置)に配置されている点で、第1の実施の形態とは異なるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態にあっても、第1の実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができるが、特に本実施の形態では、帯状熱処理部75を周溝部72の摺動範囲L3 よりも前側となる位置に配置しているので、下記のような効果を奏するものである。
即ち、周溝部72をピストン71の円形部71Aに全周溝として形成することにより、シリンダ11とピストン71との間に全周にわたって潤滑用の油膜を形成することができ、両者の間の潤滑性能を高めることができる。そして、この周溝部72は、帯状熱処理部75を越える位置まで変位することはないので、シリンダ11内の油液(圧油)が外部に油漏れするのを帯状熱処理部75により防ぐことができる。
次に、図18は本発明の第8の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第7の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、シリンダ11の内面にレーザ焼入れしてなる硬化処理部76,76,…を円形のスポット状に形成したものである。この場合、各硬化処理部76は、帯状熱処理部75から離間した位置でシリンダ11の内周面にほぼ均一に分布して配置されている。
そして、これらの硬化処理部76は、シリンダ11内でのピストン71の摺動範囲L全体にわたり均等なパターンで多数のスポット模様をなすように形成されている。これにより、硬化処理部76は、境界部71Cの摺動範囲L1 と端縁部71Fの摺動範囲L2 とを含めてピストン71の摺動範囲L全体で、シリンダ11の内面硬度を高めるものである。
かくして、このように構成される本実施の形態にあっても、前記第7の実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができ、シリンダ11内の潤滑性能を高めることができると共に、油漏れ量の抑制効果を発揮することができる。
次に、図19は本発明の第9の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第7の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
然るに、本実施の形態の特徴は、シリンダ11の開口端11Aに近接した位置に他の帯状熱処理部77を形成したことにある。ここで、帯状熱処理部77は、第7の実施の形態で述べた第1の硬化処理部73,73,…に替えて設けられ、シリンダ11の内周面のうち境界部71Cの摺動範囲L1 となる位置に全周にわたってレーザビームを照射(レーザ焼入れ)することにより形成されている。
かくして、本実施の形態によれば、硬化処理部74,74,…と帯状熱処理部75,77とにより、ピストン71の摺動範囲L(境界部71Cの摺動範囲L1 と端縁部71Fの摺動範囲L2 とを含めて)全体で、シリンダ11の内面硬度を高めることができ、第7の実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
次に、図20および図21は本発明の第10の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、シリンダの軸方向に離間して帯状熱処理部を複数個形成し、これらの帯状熱処理部は、焼入れ処理の開始・終了位置をシリンダの周方向で互いに異なる位置に配置する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、81,81,…はシリンダ11の内周面に形成された硬化処理部で、該各硬化処理部81は、第1の実施の形態で述べた第2の硬化処理部21とほぼ同様に縞模様をなして形成されている。しかし、この場合の硬化処理部81は、後述の帯状熱処理部84と接触しない範囲で、その軸方向長さがより長く形成されているものである。
82,83,84はシリンダ11の内周面にそれぞれ形成された複数の帯状熱処理部で、該帯状熱処理部82〜84は、第1の実施の形態で述べた帯状熱処理部22と同様に形成されている。しかし、これらの帯状熱処理部82〜84は、シリンダ11の軸方向で互いに離間し、かつ焼入れ処理の開始・終了位置(後述の重複箇所82A,83A,84A)をシリンダ11の周方向で互いに異なる位置に配置しているものである。
即ち、これらの帯状熱処理部82〜84は、レーザビームをシリンダ11の周方向に1周させて焼入れ処理を行う場合に、焼入れ処理の開始位置と終了位置とが互いに重なり合うことにより、例えば図21に示すように重複箇所82Aが発生することがある。そして、他の帯状熱処理部83,84でも、焼入れ処理の開始位置と終了位置が同様に重複箇所83A,84Aとなる。
かくして、このように構成される本実施の形態にあっては、帯状熱処理部82〜84をレーザ焼入れするときに、焼入れ処理の開始・終了位置に重複箇所82A,83A,84Aが発生しても、これらの重複箇所82A,83A,84Aをシリンダ11の周方向で互いに異なった位置に配置する構成としているので、下記のような不具合を解消でき、油漏れの抑制効果を発揮することができる。
即ち、帯状熱処理部82〜84は、焼入れ処理の開始位置と終了位置とが互いに重なり合うことにより同一箇所を重複して焼入れ処理した場合に、その重複箇所82A,83A,84Aが逆に焼き鈍しされて硬度が低下する等の不具合を生じる虞れがある。しかし、このような帯状熱処理部82〜84は、それぞれの焼入れ開始・終了位置を互いに異なる位置に配置しているので、油漏れの経路を小さく抑える所謂ラビリンス効果を発揮することができ、油漏れの発生を防ぐことができる。
なお、前記第1の実施の形態では、第1,第2の硬化処理部20,21と帯状熱処理部22とをシリンダ11の内面に互いに離間して形成するものとして説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図22に示す第1の変形例のように、第2の硬化処理部21′を帯状熱処理部22に接触する位置まで延ばして形成してもよい。
また、前記第4の実施の形態では、シリンダ11の内周を3条の螺旋をなして延びる硬化処理部62,63,64を、帯状熱処理部65から離間させて形成するものとして説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図23に示す第2の変形例のように、硬化処理部62′,63′,64′を帯状熱処理部65に接触する位置まで延ばして形成してもよい。
また、前記第5の実施の形態では、硬化処理部21と帯状熱処理部22,66とをシリンダ11の内面に互いに離間して形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図24に示す第3の変形例のように、硬化処理部21′を帯状熱処理部22に接触する位置まで延ばして形成してもよい。
一方、前記第6の実施の形態では、硬化処理部67と帯状熱処理部68とをシリンダ11の内面に互いに離間させて形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図25に示す第4の変形例のように、硬化処理部67′を帯状熱処理部68に接触する位置まで延ばして形成してもよい。
また、前記各実施の形態では、硬化処理部と帯状熱処理部とをレーザ焼入れ等の手段で形成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば高周波焼入れ等の手段を用いてシリンダの内面に硬化処理部と帯状熱処理部とを形成する構成としてもよいものである。
さらに、前記各実施の形態では、液圧回転機として可変容量型斜板式油圧ポンプ1に用いられるシリンダブロック10を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば斜軸式油圧ポンプ、ラジアルピストン式油圧ポンプに適用してもよく、油圧モータに適用してもよいものである。しかも、液圧回転機としては固定容量型、可変容量型のいずれの型式であってもよいものである。