JP4481537B2 - 角膜手術装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、角膜を切除することにより角膜表面形状を変える角膜手術装置及びそのための測定データを得る眼科装置に関する。
【0002】
【従来技術】
レーザビームの照射により角膜を切除(アブレーション)し、角膜表面形状を変化させることにより眼の屈折異常を矯正する角膜手術装置が知られている。この種の手術では、手術前の術眼の角膜形状や屈折力分布(あるいは波面収差の分布)等の特性を測定し、その測定データに基づいて角膜の切除データを算出することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような眼特性の測定時の体位は、通常、立位の状態(患者の顔を立てた状態)であるのに対し、角膜手術時の体位はベットに横臥位なった状態で行われる。立位の状態に対して横臥位の状態では眼球回転が発生することが知られており、患者にもよるが、角度にして5度以上回転するケースもある。従来の角膜手術では、この体位の違いによる眼球の回転を十分に考慮できていないとう問題があった。
本発明は、上記従来技術に鑑み、角膜手術をより精度良く行える角膜手術装置及び眼科装置を提供することを技術課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 術眼の角膜にレーザビームを照射して角膜を部分的に切除し、角膜の形状を変える角膜手術装置において、術眼の切除量を決定する要因となる術眼の測定データ及び測定時の状態で撮像された瞳孔を含む前眼部像の第1画像データを単数又は複数の測定手段から通信線又は記憶媒体を介して受け取るためのデータ受信手段と、前記測定手段の測定データに基づき角膜の切除データを決定する切除量決定手段と、手術を受ける状態に置かれた術眼の瞳孔を含む前眼部を撮像する撮像光学系と、該撮像光学系により撮像された前眼部像の第2画像データを異なる撮影倍率の前記第1画像データと対比し、撮影体位の違いによる眼の回転ずれを検出する検出手段であって、前記第1画像データ及び第2画像データから画像処理によりそれぞれの瞳孔中心を求めると共に、前記第1画像データ及び第2画像データから抽出された共通の前眼部像の特徴点と瞳孔中心とを結ぶ線分の方向をそれぞれ求め、求められた線分方向に基づいて瞳孔中心を基準とした眼の回転ずれを検出する検出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る角膜手術装置システムの構成を示す図である。1は角膜形状及び屈折力分布を測定する眼科測定装置、200はレーザビームを患者眼(術眼)に照射する角膜手術装置である。眼科測定装置1では角膜切除量を決定する要因となる角膜形状及び屈折力分布の測定データを得た後、その測定データに基づき切除量データを算出する。その切除量データは角膜手術装置200のコンピュータ209に有線通信又は電子記録媒体を介して転送される。
【0006】
図1には眼科測定装置1の側面外観を示している。固定基台1aには被検者の頭部を固定するための頭部支持部2が固設されている。この頭部支持部2に患者(被検者)の顔を垂直に立てた状態で測定が行われる。5は測定光学系やアライメント光学系等が収納された測定部である。測定部5を搭載する本体部3はジョイスティック4を前後左右に倒すことにより、固定基台1a上を前後左右(Z、X方向)に移動する。また、ジョイスティック4に設けられた回転ノブ4aを回転操作することにより、モータ等からなるY(上下)方向駆動装置が作動し、測定部5は本体部3に対して上下(Y方向)に移動する。
39はカラーのモニタであり、観察用の被検眼像やアライメント情報、測定結果等の検者への報知情報が表示される。
【0007】
図2は測定部5に収納される光学系を示す図である。101は角膜形状測定用の光束を投光する光学系である。102は中央部に開口を持つ略半球状のプラチド板であり、光軸L1を中心にした同心円の多数の透光部と遮光部を持つリングパターンが形成されている。103はLED等の照明光源で、光源103を発した光は反射板104で反射され、プラチド板102を背後からほぼ均一に照明するようになっている。被検眼角膜にはリングパターン像が投影される。プラチド板102の外周には近赤外光を発する前眼部照明光源105が設けられている。
【0008】
反射板104の背後には、光源111とレンズ112を備える作動距離検出用の指標投影光学系110、レンズ116と位置検出素子117を備える指標検出光学系115が配置されている。光源111からの光はレンズ112によって略平行光束にされ、反射板104及びプラチド板102に設けられた開口を通って患者眼角膜に斜め方向から照射され、角膜に光源111の指標像が投影される。角膜に形成された指標像の光束はプラチド板102及び反射板104に設けられた開口を通り、指標検出光学系115のレンズ116を介して位置検出素子117に入射する。位置検出素子117に入射した指標像の位置から装置に対する被検眼の作動距離のアライメント状態が検出される。
【0009】
光軸L1の後方には眼屈折力測定光学系120が設けられている。眼屈折力測定光学系120は、スリット投影光学系121とスリット像受光光学系131から構成される。スリット投影光学系121の光源122を発した近赤外光束は、回転セクター123に設けられたスリット開口を照明する。回転セクター123の回転により走査されるスリット光束は、投影レンズ124、制限絞り125を経た後、ビームスプリッタ126で反射される。その後、固視光学系及び観察光学系の光軸を同軸にするビームスプリッタ25を透過して、被検眼Eの角膜近傍で集光した後、眼底に投光される。
【0010】
スリット像受光光学系131は、光軸L1上に設けられた受光レンズ132、ミラー133、ミラー133により反射される光軸L2上に設けられた絞り134及び受光部135を備える。絞り134は受光レンズ132の後側焦点位置に配置される。受光部135はその受光面に、受光レンズ132に関して被検眼角膜と略共役な位置に位置する8個の受光素子136a〜136hを有している。この内の受光素子136a〜136fは受光面の中心(光軸L2)を通る直線上に位置し、受光素子136aと136b、受光素子136cと136d、受光素子136eと136fがそれぞれ受光面の中心に対して対称になるように設けられている。この3対の受光素子は、角膜の経線方向の各位置に対応した屈折力を検出できるように、その配置距離が設定されている(図4上では、角膜上における等価サイズとして示している)。一方、受光素子136gと136hは、光軸L2を中心にして受光素子136a〜136fと直交する直線上で対称になるように設けられている。
【0011】
この眼屈折力測定光学系120では、モータやギヤ等から構成される回転機構により、回転セクター123と受光部135がそれぞれ光軸回りに同期して回転するようになっている。
【0012】
ビームスプリッタ25により光軸L1と同軸にされる光軸L3上には、ハーフミラー26、27、レンズ28、固視標29、可視の照明光源30が配置されている。固視標29は中央に固視点を持ち、その周りは可視光を透過する構成としている。また、レンズ28は光軸L3方向に移動可能であり、被検眼に固視させる固視標29の位置を変更し、眼屈折力測定時に被検眼に雲霧をかけたり、調節負荷を与える。
【0013】
ハーフミラー27により光軸L3と同軸にされる光軸L4上にはレンズ33、アライメント用光源34が配置されており、光源34の点灯により被検眼角膜に上下左右方向のアライメント用の指標光束が投光される。
【0014】
また、ハーフミラー26により光軸L3と同軸にされる光軸L5上には、レンズ35、撮像素子であるCCDカメラ38が配置されており、CCDカメラ38は被検眼からの反射光を受光する。CCDカメラ38からの出力はモニタ39に入力され、撮影像が表示される。CCDカメラ38は前眼部観察用及びアライメント指標像の検出用として使用される他、プラチドリング像の検出用として兼用され、アライメント光学系及び角膜形状測定光学系の一部を構成する。また、CCDカメラ38は前眼部撮影用の撮影光学系を構成する。
【0015】
次に、角膜手術装置200の構成を図5〜8に基づいて説明する。図5は角膜手術装置200の外観図である。
201は手術装置本体であり、エキシマレーザ光源等が内蔵されている。エキシマレーザ光源からのレーザ光は後述するレーザ照射用光学系を通り、アーム部202に導かれる。アーム部202の内部はレーザ光の光路を持ち、ミラー等の光学素子が配置されている。アーム部202のアーム先端部205には、患者眼を観察するための双眼の顕微鏡部203、照明部204等が設けられている。
【0016】
アーム部202は、図6に示すように、X方向アーム駆動部251によりX方向(術者に対して左右方向)に、Y方向駆動部252によりY方向(術者に対して前後方向)に移動可能である。また、アーム先端部205はZ方向先端駆動部253によりZ方向(上下方向)に移動可能である。各駆動部251,252,253はモータやスライド機構から構成される。
【0017】
206はコントローラであり、アーム部202をXY方向に駆動するための信号を与えるジョイスティック207や、Z方向のアライメントを行うためのフォーカス調整スイッチ、撮影スイッチ等の操作スイッチを備える。208はレーザ照射信号を送るためのフットスイッチ、209は必要な手術条件の各種データ入力やレーザ照射制御データの演算、表示、記憶等を行うコンピュータである。コンピュータ209は、本体290、モニタ291、キーボード292、マウス293等により構成される。300は患者用のベットであり、患者は横臥位の状態で手術を受ける。患者眼は顕微鏡部203の顕微鏡下に置かれる。
【0018】
手術装置本体201の光学系及び制御系の概略構成を図7に基づいて説明する。210は193nmの波長を持つエキシマレーザを出射するレーザ光源である。レーザ光源210から水平方向に出射されたレーザビームは、ミラー211、212により反射され、平面ミラー213でさらに90度方向に反射される。平面ミラー213はミラー駆動部214により図における矢印方向に移動可能であり、レーザビームをガウシアン分布方向に平行移動して対象物を均一に切除できる。この点は、特開平4−242644号に詳細に記載されているので、詳しくはこれを参照されたい。
【0019】
215はイメージローテータであり、イメージローテータ駆動部216により中心光軸を中心にして回転駆動され、レーザビームを光軸周りに回転させる。217はミラーである。
【0020】
218はアブレーション領域を円形に制限する可変円形アパーチャであり、アパーチャ駆動部219によりその開口径が変えられる。220はアブレーション領域をスリット状に制限する可変のスリットアパーチャであり、アパーチャ駆動部221により開口幅とスリット開口の方向が変えられる。222、223はビームの方向を変えるミラーである。224は円形アパーチャ218およびスリットアパーチャ220を患者眼の角膜Ec上に投影するための投影レンズである。
【0021】
また、スリットアパーチャ220とミラー222との間の光路には、分割アパーチャ板260が挿脱可能に配置され、分割アパーチャ板260は分割シャッタ265との組み合わせにより、レーザビームの長手方向を選択的に分割するようになっている。この分割アパーチャ板260と分割シャッタ265は、角膜の非対称成分をアブレーションするときに使用する。分割アパーチャ板260を光源210側から見ると、図8に示すように、同じ大きさの円形小アパーチャ261が6個並んでいる。これらの円形小アパーチャ261を分割シャッタ265が持つシャッタ板266によって選択的に開閉することにより、矩形レーザビームの長手方向を選択的に分割して照射することができる。なお、各円形小アパーチャ261には、その開口を通過する際に起こる回折によるレーザビームの強度分布を補正する補正光学系が設けられている。分割アパーチャ板260及び分割シャッタ265は駆動部268により、レーザ光軸の垂直な平面内で移動可能となっている。
【0022】
225は193nmのエキシマレーザビームを反射して可視光及び赤外光を通過する特性を持つダイクロイックミラーであり、投影レンズ224を経たレーザビームはダイクロイックミラー225により90°偏向されて角膜Ecへと導光される。
【0023】
ダイクロイックミラー225の上方には固視灯226、対物レンズ227、顕微鏡部203が配置される。230は顕微鏡部203の双眼光路の間(対物レンズ227の光軸上)に配置されたミラーであり、ミラー230の反射側光路には結像レンズ231、ミラー232、赤外透過フィルタ235、CCDカメラ233が配置されている。対物レンズ227、ミラー230、ミラー232、赤外透過フィルタ235、CCDカメラ233は患者の前眼部を撮像する光学系を構成する。CCDカメラ233の出力はコンピュータ209に接続されている。
【0024】
ダイクロイックミラー225の下方には、照明部204内に配置されるスリット投影光学系240a,240bが、対物レンズ227の光軸を挟んで左右対称に配置されている。各スリット投影光学系240a,240bは、可視光を発する照明ランプ241a,241b、コンデンサレンズ242a,242b、十字スリットを持つスリット板243a,243b、投影レンズ244a,244bから構成される。スリット板243a,243bは投影レンズ244a,244bに対して角膜Ecと共役な位置関係にあり、その十字スリットの像は対物レンズ227の光軸上のピント位置に常に結像するようになっている。また、246a,246bは前眼部照明用の赤外光源である。
なお、CCDカメラ233による前眼部撮影は、スリット投影光学系240a又は240bの光軸方向から行う構成であっても良い。
【0025】
250はレーザ光源210や各駆動部等を制御する制御部である。また、制御部250にはコンピュータ209、フットスイッチ208、コントローラ206が接続されている。
【0026】
なお、実施形態では図示を省略したが、装置にはアイトラッキング機能(アライメント中やレーザ照射中に患者眼が動いた場合に、その動きを追尾してレーザ照射位置を合せる機能)を搭載することが好ましい。これは本出願人による特開平9−149914号公報に記載したものを使用できる。
【0027】
次に、以上のような構成を持つ装置システムの動作を説明する。まず、眼科測定装置1の測定動作を図3に示す制御系のブロック構成図を使用して説明する。
測定に当たり、被検者の両眼が水平状態になるように、頭部を頭部支持部2により固定する。被検者の顔は立位の測定状態とされる。角膜形状を測定する場合、モード切替スイッチ40によって角膜形状測定モードを選択する。検者は光源105に照明された被検眼の前眼部像をモニタ39により観察しながら、ジョイスティック4等の操作で測定部5のXYZ移動によってアライメントを行う。XY方向のアライメントは、光源34により角膜光学系で定まる光学中心に形成される指標像を、モニタ39に表示される照準マーカー(図示せず)の中心に位置するようにする。Z方向のアライメントは、位置検出素子117によって得られる作動距離方向の偏位情報に基づき、制御部50の制御によってモニタ39上に位置合わせのためのインジケータが表示されるので、検者はインジケータにしたがって本体部3をZ方向に移動して調整する。
【0028】
アライメントを完了させた後、測定スイッチ41が押されると、照明光源103が所定時間点灯されてプラチドリングが被検眼角膜に投影され、CCDカメラ38によって撮像された前眼部像が画像メモリ43に記憶される。角膜形状演算部53は画像メモリ43に記憶された画像を画像処理して、プラチドリング像のエッジ検出を行う。そして、所定の角度(1度)ステップ毎に角膜中心に対する各エッジ位置を得ることより角膜曲率分布を求める。角膜曲率分布データは前眼部像の撮像データと共にハードディスク等の記憶部45に記憶される。
【0029】
眼屈折力を測定する場合は、屈折力測定モードにする。前述と同様にアライメントをした後、測定スイッチ41が押されると、CCDカメラ38で撮像された前眼部像が一旦画像メモリ43に記憶されると共に、眼屈折力測定光学系120による眼屈折力測定が実行される。前眼部像の撮影は測定中であっても良い。眼屈折力演算部52は、受光部135が持つ各受光素子からの出力信号の位相差に基づいて経線方向で変化する眼屈折力の分布を求める。得られた測定データは前眼部像の撮像データと共に記憶部45に記憶される。このとき、屈折力分布の測定データは方向成分を持つので、制御部50は測定前又は測定中に撮影された前眼部撮像との位置関係を対応付けて記憶させる。なお、屈折力分布測定は、本出願人による特開平10−108837号公報と基本的に同じであるので、詳細はこれを参照されたい。
【0030】
以上のようにして同一被検眼における角膜曲率分布の測定データと眼屈折力分布の測定データが得られたら、モニタ39に表示される指示に従って、制御部50に接続されたキーボード58やマウス57を操作することにより、各測定データがアブレーション量解析部54に入力される。アブレーション量解析部54は、眼屈折力分布データと角膜曲率分布データから屈折矯正手術のためのアブレーション量(角膜切除量)を求める。以下、その概略を説明する。なお、角膜形状及び屈折力分布の測定を連続的に行うことにより、通常、両者の測定では被検眼に回転ずれ及び照準ずれが発生しいてないものとして扱うことができる。
【0031】
まず、測定した角膜曲率から角膜三次元形状を求め、スネルの法則を用いて、角膜屈折力に変換する。次に、測定された眼屈折力分布のデータを角膜位置での眼屈折力分布のデータに変換する。これらにより、被検眼を正視とするに必要な屈折力を角膜屈折力の形式で表した値を求める。そして、この屈折力の分布データを、スネルの法則を用いて角膜曲率の分布データ、すなわち、角膜の三次元形状データに変換する。最後に、手術領域のデータを与え、角膜形状測定による角膜曲率から求まる三次元形状に対して、屈折力分布を変換した角膜曲率分布から求まる三次元形状データを差引くことによりアブレーション量が算出される。このアブレーション量のデータとしては、球面成分(回転対称成分)、柱面成分(線対称成分)、非対称成分に分割して求められ、各アブレーション量は鳥瞰図等の3次元形状で図形表示される。
【0032】
なお、測定は屈折力分布を求めるものとしたが、これは波面収差分布を測定するものでも良い(USP.6,086,204に示された測定)。屈折力分布は波面収差の形に置きかえることができるので、両者は等価と言える。アブレーション量の算出は、単に波面収差データからでも求められるが、角膜形状の測定データとの関係で求める方がより精度が確保される。
【0033】
求められたアブレーション量データと画像メモリ43に記憶された前眼部の画像データはセットにされ、通信ポート59bやフロッピィディスクドライブ59aに入れられたフロッピィディスクを介して角膜手術装置200側に出力する。データの受取りはコンピュータ209が受け持つ。なお、アブレーション量解析部53は角膜手術装置200側のコンピュータ209に持たせ、測定データと前眼部画像データをセットにしてコンピュータ209に出力する送りことでも良い。
【0034】
次に、角膜手術装置200の動作を説明する。患者をベット300に寝かし、ベット300に対して患者の顔を所定の位置関係に整える。すなわち、ベット300とアーム先端部205が移動するXYの方向を所定の関係に調整されているので、眼科測定装置1の測定部5に対する患者の顔の位置関係をアーム先端部205に対しても略同じ状態にすることとなる。次に、術者は顕微鏡部203を介して介して図示なきレチクルと瞳孔とが所定の関係になるようにXY方向のアライメントを行う。Z方向のアライメントはスリット投影光学系240a,240bから投影されるスリット像を観察し、両者のスリット像が中心で重なるようにする。アライメントを完了させた後は、コントローラ206に配置された撮影スイッチを押してCCDカメラ233により前眼部像を撮像する。撮像された前眼部像はコンピュータ209に入力され、コンピュータ209が持つ記憶部に記憶される。
【0035】
横臥位にある患者眼の前眼部像が得られたら、これと眼科測定装置1の測定時に得た前眼部像とから、体位の違いによる測定データの補正処理をコンピュータ209により行う。以下、この補正処理を説明する。
【0036】
まず、眼科測定装置1の測定時に得た前眼部画像データと、CCDカメラ233により得られた前眼部画像データを読み出す。図9はこのときのモニタ291に表示される画面例を示す。画面左側に眼科測定装置1の測定時に得られた前眼部画像310aが表示され、画面右側に手術装置200側で得られた前眼部画像310bが表示されている。コンピュータ209が持つ画像解析部により、前眼部画像310a、310bについて瞳孔エッジが抽出され、瞳孔中心が求められる。311aは前眼部画像310aに対する瞳孔中心を示し、311bは前眼部画像310bに対する瞳孔中心を示し、それぞれの前眼部上にマーク表示される。瞳孔中心の求め方は、瞳孔エッジに接する左右2本の縦ラインと上下2本の横ラインとで囲まれる矩形を定め、その対角線の交点とする。その他、瞳孔の重心から求める方法でもよい。なお、前眼部画像310aにおいて319はアライメント用光源34により形成された輝点像を示す。
【0037】
次に、術者は前眼部画像310a、310bを観察し、虹彩の文様から両者に共通に現われる特徴点を見つけ、その点をそれぞれマウス293でクリックして特定する。例えば、各画像上の点313a、313bをクリックする。コンピュータ209の画像解析部は、前眼部画像310aにおける瞳孔中心311aと特徴点313aとを結ぶ線分315aを算出し、この線分315aと水平基準線317aと成す角度θ1aを求める。同様に、前眼部画像310bにおける瞳孔中心311bと特徴点313bとを結ぶ線分315bを算出し、この線分315bと水平基準線317bと成す角度θ1bを求める。そして、角度θ1aと角度θ1bを比較することにより、体位の違いによる眼球の回転ずれ(Torsion)を、Δθ=θ1b−θ1aにより求める。この回転ずれΔθは瞳孔中心を基準としたデータであり、角膜手術時の補正データとして使用する。なお、回転ずれの検出においては、特徴点を多く抽出することにより、水平基準線となす線分の角度を複数得て、これらを平均化することが好ましい。
【0038】
両画像の特徴点313a、313bの特定が完了すると、画面に下には両画像の線分315aと線分315bとを同じ基準点で合成したグラフィック図形320が表示される。この表示により、回転ずれΔθの程度が視覚的に分かり易くなる。
【0039】
なお、通常、眼科測定装置1で測定する時と角膜手術時とでは、その部屋の照明、および各装置による前眼部照明の違いにより瞳孔径は異なる。虹彩の特徴的パターンと瞳孔中心とを結ぶ線分の、基準線からの角度であれば瞳孔径に影響されずに回転ずれを求めることができる。また、上記の方法では両装置の撮像倍率の差にも影響されない。前眼部画像からの特徴抽出は、虹彩の文様に限らず、強膜の血管、瞳孔縁等に特徴が見つかれば、これを使用することもできる。
【0040】
また、上記では術者が2つの画像を観察して特徴点を特定するものとしたが、コンピュータ209の画像解析部が2つの前眼部画像をそれぞれ画像処理することにより眼の特徴データを抽出し、両者の比較から回転ずれを自動検出する構成とすることもできる。前眼部の特徴データを画像処理により抽出する機能は、眼科測定装置1側に持たせても良く、この場合はその特徴データと測定データをセットにして角膜手術装置200側に送る。
【0041】
コンピュータ209は眼球の回転ずれデータを得ると、瞳孔中心を基準としてアブレーションデータを回転ずれ分だけ補正する。このとき、眼科測定装置1で得られた前眼部画像310aにおいて、測定時の照準とした輝点像319と瞳孔中心311aがずれているときは、そのずれに基づいて瞳孔中心を基準にしたアブレーションデータに補正する。そして、補正処理したアブレーションデータを基に角膜手術装置200が持つ照射光学系の各駆動部を制御する制御データを求め、その制御データを制御部250に出力する。
【0042】
角膜手術装置200による矯正手術について説明する。ここでは、近視矯正を行うものとする。前述にように瞳孔中心を基準にしてアライメントを行った後、フットスイッチ208を押してレーザビームを照射する。球面成分のアブレーションデータに基づく球面の近視矯正の場合、制御部250は円形アパーチャ218によりレーザビームを制限し、平面ミラー213を順次移動してレーザビームをガウシアン分布方向に移動する。そして、レーザビームが1面を移動し終わる(1スキャンする)ごとに、イメージローテータ215の回転によりレーザビームの移動方向を変更して(例えば、120度間隔の3方向)、円形アパーチャ218により制限された領域を略均一にアブレーションする。これを円形アパーチャ218の開口領域の大きさを順次変えるごとに行うことにより、角膜の中央部を深く、周辺部を浅くした球面成分のアブレーションが行える。
【0043】
円柱成分の切除データに基づく乱視矯正の場合、制御部250は円形アパーチャ218の開口領域の大きさはオプチカルゾーンに合わせて固定し、スリットアパーチャ220の開口幅を変えていく。また、スリットアパーチャ220はそのスリット開口幅が強主経線方向(回転ずれΔθが補正された方向)に変化するように駆動部221によりスリット開口の方向を調整しておく。レーザビームの照射は、前述の近視矯正の場合と同様に、平面ミラー213を順次移動してレーザビームをガウシアン分布方向に移動し、レーザビームを1スキャンするごとに、イメージローテータ215の回転によりレーザビームの移動方向を変更して、スリットアパーチャ220により制限された領域を略均一にアブレーションする。そして、スリットアパーチャ220の開口幅を順次変えながら、これを繰り返すことにより、部分的な柱面成分のアブレーションが行える。
【0044】
部分的な非対称成分のアブレーションは、分割アパーチャ板260を光路に配置し、補正処理された非対称成分のアブレーションデータに基づき、分割アパーチャ板260が持つ円形小アパーチャ261の位置を調整すると共に、分割シャッタ265の駆動により円形小アパーチャ261を選択的に開放・遮蔽する。平面ミラー213の移動によるレーザビームをスキャンさせることにより、開放された円形小アパーチャ261を通過する小領域のレーザビームのみが角膜上に照射されるようになる。各位置でのアブレーション量は照射時間を制御することにより行う。これにより、非対称成分のアブレーションが行える。
【0045】
以上の実施形態の角膜手術装置200ではアパーチャ制御によりアブレーションを行う装置を例にとって説明したが、小スポットのレーザビームを2次元的に走査するタイプの装置であっても本発明を適用できる。
【0046】
また、眼科測定装置1による角膜形状及び屈折力分布の測定時に両者の回転ずれがある場合は、それぞれの測定時に前眼部像を撮影し、上記と同様に虹彩文様等の特徴点抽出の対比により回転ずれを検出し、その回転ずれ分だけ両者の測定データを補正すれば良い。照準位置のずれがある場合は、両者の前眼部画像における光源34の輝点像を基準にして補正することができる。これらの補正処理は、眼科測定装置1側の制御部50が行っても良いし、角膜手術装置200側のコンピュータ209で行っても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、測定時と手術時の体位の相違による眼球の回転ずれ等を補正し、より精度の良い手術が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る角膜手術装置システムの構成を示す図である。
【図2】眼科測定装置の測定部に収納される光学系を示す図である。
【図3】眼科測定装置の制御系のブロック構成図を示す。
【図4】眼屈折力測定光学系の受光部が備える受光素子の配置を示す図である。
【図5】角膜手術装置の外観図である。
【図6】アーム部の駆動機構を示す図である。
【図7】手術装置本体の光学系及び制御系の概略構成を示す図である。
【図8】分割アパーチャ板と分割シャッタの構成を説明する図である。
【図9】回転ずれ検出時のモニタの画面例である。
【符号の説明】
1 眼科測定装置
38 CCDカメラ
45 記憶部
50 制御部
52 眼屈折力演算部
53 角膜形状演算部
54 アブレーション量解析部
120 眼屈折力測定光学系
200 角膜手術装置
209 コンピュータ
210 レーザ光源
233 CCDカメラ
250 制御部
Claims (1)
- 術眼の角膜にレーザビームを照射して角膜を部分的に切除し、角膜の形状を変える角膜手術装置において、術眼の切除量を決定する要因となる術眼の測定データ及び測定時の状態で撮像された瞳孔を含む前眼部像の第1画像データを単数又は複数の測定手段から通信線又は記憶媒体を介して受け取るためのデータ受信手段と、前記測定手段の測定データに基づき角膜の切除データを決定する切除量決定手段と、手術を受ける状態に置かれた術眼の瞳孔を含む前眼部を撮像する撮像光学系と、該撮像光学系により撮像された前眼部像の第2画像データを異なる撮影倍率の前記第1画像データと対比し、撮影体位の違いによる眼の回転ずれを検出する検出手段であって、前記第1画像データ及び第2画像データから画像処理によりそれぞれの瞳孔中心を求めると共に、前記第1画像データ及び第2画像データから抽出された共通の前眼部像の特徴点と瞳孔中心とを結ぶ線分の方向をそれぞれ求め、求められた線分方向に基づいて瞳孔中心を基準とした眼の回転ずれを検出する検出手段と、を備えたことを特徴とする角膜手術装置。
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