JP4480851B2 - 改質触媒の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然ガスやメタノール等を熱分解して水素を取り出す改質装置に使用してCOの生成を抑え、水素の収集率を高めるための改質触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
古くから、天然ガスやメタノール等を水と共に改質して水素を製造することは行なわれている。
この反応については吸熱反応であること、又、反応速度をある程度以上に保持すること等が要求される。
例えば、天然ガスについて言えば、温度が750℃以上で、触媒上での熱分解による反応を起す。この反応は主にCH4+2H2O→CO2+4H2である。一般には副反応が多く見られ、中間分解物であるCOの生成がかなりの割合で起るためにこれらの再分解、再処理が必要であった。
又、メタノールの場合は、CH3OH+H2O→CO23H 2 で示され、天然ガスの場合に比較してかなりマイルドな条件で改質できるとしているが、それでも反応温度は400〜450℃程度である。又、このメタノールの場合もCOの生成が18%程度であり、この除去が大きな問題であった。つまり、これらのCOの除去には、通常更に加熱してCO+1/2O2→CO2としたり、水素を再循環して水素と反応させて還元するといった方法が採用されているが何れも、エネルギー、又は生成水素を使ってしまい、全体で見た時には変換効率、そしてエネルギー効率がかなり悪くなるといった問題があった。
【0003】
ところで、これらの反応は触媒上で行なわれ、その触媒として通常はクロム及び/又はニッケルが使われているが、反応速度が比較的に遅くなるために触媒部分の体積が大きくなり重量が大きくなる。又、保温、反応のためのエネルギー消費が大きくなるとった問題もあった。
【0004】
又、最近の高分子固体電解質型燃料電池の発達は極めて高いエネルギー効率から、小型で据置きタイプの発電装置、そして燃料電池型電気自動車へと進みつつある。これらはいずれもエネルギー効率が高く、又自動車の場合には燃料電池そのものからは水以外出てこないことから、理想的であるとされている。
つまり、水素ボンベを搭載する方法が提案されているが、能率が良くないこと、重量が大きくなりすぎること、水素充填の効率が悪いこと等が指摘れている。更に、保存中に漏れてしまうとう問題もあった。
【0005】
又、水素ボンベに代わり水素吸蔵金属が考えられているが、これは略理想的ではあるが、現在までのところは水素吸蔵量が十分ではない。そのために、重量的に不利になるとった問題と共に水素スタンドでの充填に問題が出る。
【0006】
上記のような改質器を自動車に搭載して天然ガス又はメタノールを燃料として積載し、水素を作りながら走行することが開発されているが、この様な場合には十分に高純度の水素が必要であること、又小型軽量の改質装置が必要である等から、重量的に大きな従来の改質触媒は使えず、しかも、副反応を最小とするようなものが望まれている。
【0007】
又、近年では特に小型の改質装置について開発が進められてきているが、現在では過去の触媒の面積を増加するように、担体を微細化する等の方法が検討されているが、それでは気体抵抗が大きくなること、寿命が短くなるとった問題が残され、実用性に程遠いものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、これらの問題を解決するために、白金等からなる種々の改質触媒の開発が進められてきているが、高価であること、還元性雰囲気において白金は消耗し易いこと、又担体の消耗が大きい等の問題点が多く指摘され、白金に変わって同じ白金族金属でも比較的に安く、選択性の高いルテニウムが注目され、ルテニウム製の改質触媒が使われるようになった。
【0009】
この改質触媒は、一般にはアルミナ粒子の表面にルテニウム塩を塗布した後、還元雰囲気中での熱分解法により作製されるものであるが、活性を増すためには触媒担体であるアルミナ粒子の嵩比重を2程度になるように多孔化するが、従来の製造方法ではむしろ多孔質の孔に多くのルテニウムが入ってしまうとった問題があった。
つまり、接触気体が触媒表面で反応するのであるが、多孔化した穴の中での反応より担体表面での反応の方が遥かに多くなり、穴の中の触媒は殆ど作用しないことが試験等から分かっている。
従って、この様な多孔体であってもむしろ多孔化した内部では無く、多孔体の表面及び実質的に機能する多孔部分でも比較的に大きな口径部分に集中的に触媒が担されていることが重要ではあるが、従来の製造方法では多孔部分を含み、担体全体に均一に被覆されているのが常であり、100%有効に触媒が使われているとは言えず、多くの触媒物質が無駄になっているのが実状である。
【0010】
本発明はこの様な従来事情に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、高価な触媒物質を有効且つ少量で必要な性能を発揮し得る改質触媒の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を達成するための手段】
課題を達成するために本発明は、セラミックス製触媒担体の表面を洗浄した後、ルテニウム塩の溶液に浸漬させて該溶液を塗布し、空気雰囲気中での熱分解により酸化ルテニウムとして触媒担体の表面に担持させることを所要回数繰り返すことで、所望量のルテニウムを酸化ルテニウムとして触媒担体の表面に担持させ、その後、還元性ガス雰囲気中で還元して多孔性のルテニウム金属としたことを特徴とする。
ここで、触媒担体の洗浄条件は特に限定されないが、例えば表面多孔部分全体に行き渡るようにするために、界面活性剤を含む水溶液、アルコールやアトン等を用いた超音波洗浄が望ましい。
又、空気雰囲気、空気流通雰囲気中での熱分解温度は400〜600℃程度が望ましい。
【0012】
又、本発明では上記ルテニウム塩の溶液粘度を、担持回数に応じて変化させ、分布をつけて担持するようにしたことを特徴とする。
【0013】
又、本発明では上記ルテニウム塩が、塩化ルテニウムであり、塩酸及び/又はアルコール溶液に増粘剤を加えて溶液の粘度を変化させることを特徴とする。
ここで、増粘剤としては特に限定されるものではないが、熱分解後に被覆中に残らないことが必要であり、しかも十分な増粘効果のあるものが必要である等から、代表的なものとして炭化水素のみからなるデキストリンやキサンタンガム等が挙げられる。そして、粘度は10〜100cp程度が望ましい。
【0014】
又、本発明では上記触媒担体が、多孔質アルミナ細粒からなることを特徴とする。
【0015】
又、本発明では上記還元性ガス雰囲気が、水素ガス雰囲気であることを特徴とする。
【0016】
又、本発明では上記還元を、水素ガス気流中300〜700℃で加熱することによって行なうことを特徴とする。
ここで、望ましい温度は550〜650℃である。尚、還元時間については温度によって異なるために特に限定されるものではないが、例えば550〜650℃の場合で30分〜1時間程度が望ましい。
【0017】
而して、上記した本発明によれば、セラミックス製触媒担体の表面を洗浄した後、ルテニウム塩の溶液に浸漬させて該溶液を塗布し、次いで、空気雰囲気中で熱分解を行ない酸化ルテニウムとして担持させることを所要回数繰り返して所望量(厚さ)のルテニウムを酸化ルテニウムとして触媒担体の表面に担持させる。その後、還元ガス雰囲気中で還元することで表面に多孔性のルテニウム金属を形成した改質触媒を得る。それにより、容易な操作で通常の熱分解法により所望量のルテニウムを酸化ルテニウムとして触媒担体の表面に担持させることが可能となり、それから酸素を除いて活性なルテニウム金属とすることで、多孔性表面を有する改質触媒を製作することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の具体例を説明する。
セラミックス製触媒担体は多孔質アルミナ細粒であり、嵩比重が2程度である。
そして、本発明ではこの様な多孔質物質は製造時にアルミナ粉末がしばしば多孔部に入っており、これが触媒の担持を妨げる原因となることから、これを取り除いて表面の清浄化を図る洗浄を行なうものである。
触媒担体の表面の洗浄条件は特に限定されるものではないが、例えば触媒担体の表面多孔部分まで洗浄が行き渡るように、界面活性剤を含む水溶液、アルコールやアセトン等を用いた超音波洗浄で行なうことが好ましい。
【0019】
この様にして洗浄した触媒担体を乾燥した後、塩化ルテニウム溶液に浸漬させて該水溶液を触媒担体の表面に塗布する。この時、最初の数回は触媒担体の表面多孔部分全体に塩化ルテニウム溶液を行き渡らせる必要があることから、塩化ルテニウム溶液に界面活性剤の役割を果たすイソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類を10%程度水溶液に加えたものを使用することも任意である。
【0020】
以上の様にして塩化ルテニウム溶液を触媒担体の表面多孔部分全体に行き渡らせて塗布した後、液から引き上げて十分に液切りをして乾燥する。この時の乾燥は30〜60℃で10〜30分間程度行なうと良い。次に、空気雰囲気、特に空気流通雰囲気中400〜600℃の温度で熱分解を行なって触媒担体の表面多孔部分を含む表面全体に酸化ルテニウムの被覆を形成する。この被覆の形成については通常2回程度繰り返して、5〜10g/程度の酸化ルテニウムの被覆を形成することが好ましい。
【0021】
尚、塩化ルテニウム溶液の濃度については、適宜調節すれば良いが、通常1回の浸漬塗布でアルミナ1当たり塩化ルテニウム溶液が100m程度吸収されるので、ルテニウムにして25〜50g/程度の液濃度にしておき、これに浸漬することが好ましい。
【0022】
而して、以上詳述した浸漬と焼成とを数回繰り返すことで、触媒担体の表面に酸化ルテニウムの被覆を担持させるものであるが、浸漬と焼成の回数については特に限定されるものではなく、必要に応じて回数を決めれば良い。
【0023】
そして、本発明ではガスの接触が多く行なわれる触媒担体の表面に酸化ルテニウムを担持させるものであるが、その方法として、塩化ルテニウム溶液の粘度を増して表面のみに選択的に付くようにする。
塩化ルテニウム溶液の粘度を上げるために増粘剤を加える。この増粘剤としては熱分解後に被覆中に残らないことが必須条件であり、しかも十分な増粘効果があるものが必要である。そこで、代表的なものとして炭化水素のみからなるデキストリンやキサンタンガム等が挙げられる。
この様に増粘剤を加えた塩化ルテニウム溶液に酸化ルテニウムを担持した触媒担体を浸漬した後、塩化ルテニウム溶液から取り出して液切りを十分に行なっても粘性が高い塩化ルテニウム溶液の担持量(塗布量)は100〜200mlとなり、この担持量は触媒担体の粒子程度となるので液濃度は殆ど変えなくて良い。
【0024】
この様にして、粘度を増した塩化ルテニウム溶液に酸化ルテニウムを担持した触媒担体を浸漬し、取り出して十分に液切りを行なった後に、乾燥し、次いで炉中で加熱して熱分解を行なうものである。
【0025】
塩化ルテニウム溶液から取り出した触媒担体を乾燥した後、炉中で処理する熱分解条件は特に限定されるものではないが、増粘剤の分解を十分に行なうために加熱時間を若干長くする必要があり、通常では5分程度の延長で十分である。この浸漬→乾燥→熱分解を2回程繰り返すことで、触媒担体の表面に選択的に多くの酸化ルテニウムを担持させた改質触媒を得ることができる。
この担持量は必要に応じて選択するものであるが、15〜30g/l程度が好ましく、増粘剤を加えない塩化ルテニウム溶液で2回繰り返し、その後、増粘剤を加えた塩化ルテニウム溶液で2回繰り返すことによって、所望厚さの酸化ルテニウムの被膜層を触媒担体の表面に担持させることが可能になる。
【0026】
そして、所望量のルテニウムを酸化ルテニウムとして担持させた触媒担体について酸化ルテニウムを還元性ガス雰囲気中で還元して活性化させた多孔性のルテニウム金属にするものである。
この還元には水素ガス雰囲気中での加熱が望ましく、特に水素ガス気流中300〜700℃での加熱による還元が望ましく、更に望ましくは水素ガス気流中550〜650℃である。
又、この場合の還元時間については加熱温度との関係によって異なるため特に限定されるものではないが、水素ガス気流中550〜650℃の場合で還元時間が30分〜1時間程度が望ましい。この様な条件で行なうことで、表面に担持された酸化ルテニウムから酸素が抜けて大表面積を有するルテニウム金属を形成担持した改質触媒を製造することができる。
尚、還元時間は温度を高くすれば短くなるが、得られる酸化ルテニウムの活性が若干落ちるとう問題が起る等の心配があることから、温度は水素ガス気流中300〜700℃、特に550〜650℃の温度範囲が望ましい。
【0027】
次に、実施例1〜2を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないことを始めに述べておく。
【0028】
実施例1
平均粒径が3mmの球形を呈し、嵩比重が1.3のγアルミナ粒子を触媒担体とし、この触媒担体を中性洗剤液中で超音波洗浄機によって洗浄して表面に付着しているアルミナ粉末並びに油分を除去して表面を清浄化する。次に、液中から取り出して十分に液切り、そして乾燥した後に、450℃の加熱炉中で加熱焼成を行ない完全に水分を除去すると共に、表面を安定化させた。
次に、塩化ルテニウムのブチルアルコール溶液を使用したルテニウムとして100g/lとなるように調整した塩化ルテニウム溶液に浸漬した。浸漬させた後5分間超音波洗浄機を使用して塩化ルテニウム溶液が触媒担体の表面全体に行き渡るようにした。これにより、約2/3の液が触媒担体の表面及びその表面多孔部分全体の穴部分に吸収された。
【0029】
次に、塩化ルテニウム溶液から取り出した触媒担体を1時間程度室温で保持して乾燥した後に、120℃のオーブン中で更に乾燥した。次いで、乾燥した触媒担体を約40℃の温度で冷却した後、再び塩化ルテニウム溶液に浸漬させたところ、触媒担体の表面並びに穴部分に液が付着し、当該液が略完全に触媒担体の表面並びに穴部分に吸収塗布された。
次に、この触媒担体を室温で1時間程度保持して乾燥し、更に120℃で1時間程度乾燥した後に、空気が流通するマッフル炉に入れた温度350℃の酸素雰囲気中で2時間焼成することにより、触媒担体の表面に黒色の酸化ルテニウムが担持された改質触媒を得た。
【0030】
この様にして得られた改質触媒をX線回折で観察したところ、結晶性の極めて悪い酸化ルテニウムの被覆層が触媒担体の表面に担持されていることが分かった。
そこで、本発明では更に水素ガス気流中550℃で1時間焼成還元を行なってみたところ、表面の色が濃い青色になった。これにより、アルミナ粒子が表面にできたことが分かった。そして、これをX線回析で観察したところ、表面物質は結晶性の悪いルテニウム金属からなることが分かった。
触媒活性を図る手段の一つとしてBET法で測定してみたところ、比表面積が100〜200m2/gであることが分かった。これにより、本発明プロセスによるルテニウムを担持しなかった場合の10〜50m2/g、又、還元操作を行なわなかった場合の30〜70m2/gに比較して大きく、活性が高くなっていることが分かった。因みに、ここで得られた改質触媒のルテニウム担持量は20g/lであった。
【0031】
比較例
実施例1と同じくγアルミナ粒子を触媒担体とし、この触媒担体の表面に直接ルテニウム金属を被覆した。ここで、ルテニウム金属の被覆は以下の方法で行なった。
アルミナ粒子は実施例1と同様に準備し、ルテニウムは塩化ルテニウムをラベンダー油とエチルアルコールを1:1の割合で混合した液を溶解して準備した。そして、この液にアルミナ粒子を十分に浸漬させ、液から取り出して十分に液切りを行なった後、120℃のオーブン中で30分間乾燥した。次に、350℃の窒素気流中に10%の水素を入れたガス中で2時間還元焼成を行なった。この操作を3回繰り返すことで、実施例1と同じ量のルテニウムを触媒担体の表面に担持させた。この様にして得た改質触媒について実施例1と同じくBET法で測定してみたところ、比表面積が60〜90m2/gであり、アルミナ製担体に対して僅かに増加していることが分かった。
【0032】
又、実施例1によって得られた本発明の改質触媒と比較例の改質触媒との改質能(触媒能)について試験を行なった。その結果を表1に示す。
試験は350℃のメタノール:水=1:1の蒸気を作製した触媒粒子を充填した反応筒を通すことによる投入メタノールと発生水素量の比を求めることによって行なった。本発明の改質触媒においては反応筒の触媒量に対する水素発生量を測定した。尚、表1中の数字はH2/CH3OHのモル比であり、完全に分解すると3.0となる。
【0033】
【表1】
Figure 0004480851
【0034】
表1に明らかなように、同じ触媒量であれば本発明の改質触媒の方が比較例の改質触媒に比べて分解率が高く、明らかに触媒としての性能(特性)に優れていることが分かる。換言すれば、比較例よりも少ない触媒量で当該比較例と同等の性能を発揮する改質触媒が得られることが分かる。
従って、本発明によれば、高価な触媒物質を有効且つ少量で必要な性能を発揮し得る改質触媒の製造が可能になる。
【0035】
実施例2
直径が3mm、長さが3mmのαアルミナからなる円筒状ペレットを触媒担体とし、この触媒担体の表面を実施例1の条件で洗浄した後に、その表面に以下の条件で酸化ルテニウムを触媒担持させた改質触媒を得た。
ルテニウム原料として塩化ルテニウム(RuCl3)粉末を5%塩酸水溶液中に溶解し、20gRu/400mlの液を作製した。
この液を400ml取り、これに1lのペレットを入れ、十分に浸漬した後にペレットのみを取り出し、室温で1時間乾燥し、更に60℃で1時間乾燥した後に、マッフル炉に入れて温度450℃で30分間焼成処理を行なった。次いで、室温まで放冷した後、再びルテニウム液に浸漬し、乾燥焼成を繰り返した。これを3回繰り返してルテニウム液をペレットに略完全に吸収塗布させ、酸化ルテニウムをペレットの表面に担持させた改質触媒を得た。
【0036】
この様にして得られた改質触媒を更に水素気流中600℃で2時間焼成還元を行なって、それをX線回折で観察したところ、ペレット材であるαアルミナの他にルテニウム金属のみが認められ、ルテニウムは金属として存在していることが分かった。これをBET法で測定してみたところ、比表面積が120m2/gであった。これにより、ルテニウム担持のないペレットの表面積30〜50m2/gに比較して見ると、大きく活性が高くなっていることが分かった。換言すれば、十分に触媒として有効に働くことが分かった。尚、この時のルテニウムの担持量は20gRu/l-ペレットであった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の改質触媒の製造方法は叙上の如く構成してなることから下記の作用効果をする。
セラミックス製触媒担体の表面を洗浄した後、ルテニウム塩の溶剤を塗布し、空気雰囲気中で熱分解を行ない酸化ルテニウムとして担持させることを所要回数繰り返して所要量のルテニウムを酸化ルテニウムとして担持させた後、還元ガス雰囲気中で還元して多孔性のルテニウム金属とする製造方法であることから、容易な操作で通常の熱分解法により酸化ルテニウムとして担持させることが可能となる。次に、酸素を除いて活性なルテニウム金属とすることで、多孔性表面を有する改質触媒を製造することができる。
【0038】
従って、本発明の改質触媒の製造方法によれば、高価な触媒物質を有効且つ少量で必要な性能を発揮し得る改質触媒の製造が可能になる。つまり、少量の触媒物質で従来のものと同じ働きを成す改質触媒の製造が可能となる。
よって、天然ガスやメタノール等を熱分解して水素を取り出す改質装置に使用してCOの生成を抑え、水素の収集率を高めるための改質触媒を従来に比べて安価に製造し得る製造方法を提供することができる。

Claims (5)

  1. セラミックス製触媒担体の表面を洗浄した後、塩化ルテニウムの塩酸及び/又はアルコール溶液に増粘剤を加えて溶液の粘度を変化させた塩化ルテニウム溶液を、前記触媒担体の表面に塗布し、空気雰囲気中での熱分解により酸化ルテニウムとして担持させることを所要回数繰り返すことで、所望量のルテニウムを酸化ルテニウムとして触媒担体の表面に担持させ、その後、還元性ガス雰囲気中で多孔性のルテニウム金属に還元することを特徴とする改質触媒の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法において、塩化ルテニウム溶液の粘度を、担持回数に応じて変化させて、分布をつけて触媒担体の表面に担持するようにしたことを特徴とする改質触媒の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の製造方法において、触媒担体が、多孔質アルミナ細粒であることを特徴とする改質触媒の製造方法。
  4. 請求項1乃至3いずれか1項記載の製造方法において、還元性ガス雰囲気が、水素ガス雰囲気であることを特徴とする改質触媒の製造方法。
  5. 請求項1乃至4いずれか1項記載の製造方法において、水素気流中300〜700℃で加熱することによって還元することを特徴とする改質触媒の製造方法。
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