JP4479249B2 - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水蒸気や有機ガス等から保護するためのパッシベーション膜を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(以下有機EL素子という)に関し、とくに膜中の酸素原子と窒素原子の割合を、深さ方向で傾斜的に変化させた特殊な窒化酸化珪素(SiOxNy)膜を利用したパッシベーション膜、および窒化酸化珪素(SiOxNy)膜と窒化珪素(SiNx)膜を積層した膜を利用した有機EL素子及びその製造に用いるカラーフィルターに関する。
有機EL素子は、電圧により発光する機能を有する有機材料を用いて、例えば透明基板の上に透明電極、有機発光層(正孔輸送層等含む)、金属電極等を積層するなどして構成される。
しかし、有機EL素子は水分や有機ガスなどの影響を受けて、非発光部(ダークスポット)が拡大するなどの劣化を引き起こしやすいく、有機発光層や金属電極部分を如何に水分などから保護するかが課題となる。よって、有機EL素子は、水蒸気などのバリア性が高いガラス基板の上に形成し、ガラス製の封止缶で素子全体を覆うように封止し、場合によっては封止缶のなかに水分吸収剤を同封するなどの工夫がなされている。
一方、有機EL素子をカラーディスプレイパネルに利用する場合、各発光色例えば赤、緑、青などの発光色の有機発光材料を微細にパターンニングして塗り分ける技術が必要であり、低分子材料を用いて蒸着で有機発光材料を塗り分ける場合にはマスク蒸着などの技術が用いられるが、高精細な大画面のディスプレイを作るのは困難である。また、高分子材料を用いて印刷技術を利用して塗り分ける方法も考えられるが、現段階ではまだ実現していない。
そこで、白色発光の有機発光材料とカラーフィルターを組合せることで、各発光色毎の塗り分けを回避してカラー化する方法が考案されている。この方法では、カラーフィルターおよびカラーフィルターを平坦化するためのオーバーコート樹脂から発生する水分および有機ガスなどを如何に遮断するかが課題となる。
そのための工夫として、カラーフィルターやオーバーコート層と透明電極の間に、水蒸気バリアー性の高い透明バリアー膜を形成することが考えられる。透明バリア膜としては、包装材料や包装容器等で酸化珪素(SiO)や酸化アルミ(Al)等がすでに実用化されているが、これらの水蒸気バリア値では、有機EL用のバリア性能を満たすことができない。そこで、酸化珪素(SiO)や酸化アルミ(Al)よりも水蒸気バリア性が高いといわれている窒化珪素膜(SiNx)や窒化酸化珪素膜(SiOxNy)を利用して、カラーフィルター等から発生する水分等を遮断する方法が考えられている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
特開2002−100469公報 特開2002−134268公報
しかし、筆者らが鋭意実験を重ねた結果、窒化珪素(SiNx)の単層膜や通常の窒化酸化珪素(SiOxNy)膜では、有機EL素子のパッシベーション膜としては不十分であることがわかった。なぜなら、これらの膜では高い水蒸気バリア性と透明性を両立させることが難しいからである。
窒化珪素(SiNx)膜は通常茶褐色に着色するが、膜厚200nmを超えると可視光の全光線透過率が90%以下に下がり、膜厚が厚くなるほど低下する。カラーフィルターと透明電極の間に形成するパッシベーション膜は、有機ELディスプレイの光取出し側にあるため、透明性が高いことが要求され、少なくとも90%以上、望ましくは95%以上の可視光線透過率を必要とする。一方、水蒸気等のバリア性を高めるためには、当然のことながら膜厚が厚いほど良く、筆者らの実験の結果CVD成膜した窒化珪素膜の場合、有機EL素子のパッシベーション膜としてのバリア性を維持するには200nm以上が望ましいという結果であった。
よって、有機EL素子のパッシベーション層としての要求を満たすには、窒化珪素(SiNx)の単層膜では不十分であることがわかった。
一方、窒化酸化珪素(SiOxNy)膜は、窒化珪素(SiNx)膜よりも透明性が高く、酸素原子(O)の割合が高くなるほど透明性が高くなるが、逆に水蒸気バリア性は窒化珪素(SiNx)膜よりも劣り、酸素原子(O)の割合が高くなるほどバリア性は低下する。よって、やはり通常の窒化酸化珪素(SiOxNy)膜では有機EL素子に必要な水蒸気バリア性と透明性を両立することは難しい。
そこで我々は、窒化酸化珪素(SiOxNy)膜中の深さ方向の酸素原子(O)と窒素原子(N)の割合を傾斜的に変化させることで、膜中の窒素原子(N)の割合が高い部分で水蒸気の透過を遮断し、残りの酸素原子(O)の割合の高い部分で水蒸気バリアを補いながら透明性を維持する膜組成を考案し、これによって、有機EL用のパッシベーション膜を提供することとした。
また、傾斜膜の代わりに、水蒸気バリア性の高い窒化珪素(SiNx)膜と透明性の高い窒化酸化珪素(SiOxNy)膜を積層して組合せることで、高いバリア性を維持しつつ、透明性も確保できることから、当該積層膜からなる有機EL用のパッシベーション膜も提供する。
上記目的を達成するため、請求項1に係わる発明は、窒化酸化珪素(SiOxNy)からなるパッシベーション膜中に膜の深さ方向で窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率が傾斜的に変化している層を有する有機EL素子の製造方法であって、 CVD法の原料ガスとしてシランガス、酸化窒素ガス、アンモニアを用いた成膜中に、アンモニアの流量を時間と共に上げ、同時に酸化窒素ガスの流量を時間と共に下げて前記膜の深さ方向で窒素原子と酸素原子の比率が傾斜的に変化している層を形成し、続けて酸化窒素ガスの流量を0にした状態で成膜することで窒素高濃度層を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法である。
また、請求項に係わる発明は、前記膜の深さ方向で窒素原子と酸素原子の比率が傾斜的に変化している層の深さ方向での窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率の変化が、N原子数/(O原子数+N原子数)の値で0.4から0.9の範囲で変化することを特徴とする請求項記載の有機EL素子の製造方法である。
また、請求項に係わる発明は、前記膜の深さ方向で窒素原子と酸素原子の比率が傾斜的に変化している層の深さ方向での窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率の変化が、N原子数/(O原子数+N原子数)の値で0.6から0.9の範囲で変化することを特徴とする請求項記載の有機EL素子の製造方法である。
また、請求項に係わる発明は、前記膜の深さ方向で窒素原子と酸素原子の比率が傾斜的に変化している層のN原子数/(O原子数+N原子数)の値は平均すると0.6以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の有機EL素子の製造方法である。
また、請求項に係わる発明は、前記窒素高濃度層の厚さが、50nmから100nmの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の有機EL素子の製造方法である。
また、請求項に係わる発明は、前記パッシベーション膜が、基板上のカラーフィルター層と透明電極間に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか記載の有機EL素子の製造方法である。
有機EL素子またはカラーフィルターにSiOxNyのパッシベーション膜を形成することで、水蒸気やガスバリアー性に起因するダークスポット(DS)の拡大が抑制される。また、前記パッシベーション膜は、透明性も非常に良好である。従って、良好な特性を有する有機EL素子の提供が可能となる。
また、有機EL素子内の水蒸気は、カラーフィルター層又は樹脂層に由来するものが多いため、パッシベーション膜が、基板上のカラーフィルター層と透明電極間に形成されていることが有効である。
本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明におけるパッシベーション膜すなわち有機EL素子を水蒸気や有機ガス等から保護するためのパッシベーション膜は、膜の深さ方向で窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率を傾斜的に変化させた窒化酸化珪素(SiOxNy)膜からなる。窒化酸化珪素(SiOxNy)膜はスパッタ法やCVD法等によって形成でき、本発明においても特に成膜方法は限定されないが、本発明の実施の形態においては、膜の表面平滑性や凹凸面への成膜性などの点で有利なCVD法での実施形態を示す。
CVD法で窒化酸化珪素(SiOxNy)膜を成膜する場合、シランガス(SiH)、酸化窒素ガス(NO)、窒素ガス(N)、アンモニア(NH)等を原料として成膜する方法が一般的であり、これらの各原料ガスの流量比を調整することで、膜中の窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率を調整することができる。
また、筆者らの実験により、成膜途中で各原料ガスの流量比を変化させることで、膜の深さ方向での窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率を変化させることができることが確認された。例えば、酸化窒素ガス(NO)の流量比を成膜中に徐々に上げていくと、膜中の酸素原子(O)の比率が基板側から深さ方向に傾斜的に高くなり、アンモニアガス(NH)の流量比を成膜中に徐々に上げていくと、膜中の窒素原子(N)の比率が基板側から深さ方向に傾斜的に高くなることが確認された。
これを利用して、本発明におけるパッシベーション膜すなわち窒化酸化珪素(SiOxNy)傾斜膜は、例えば基板側の窒素(N)比率が高く徐々に窒素(N)比率を下げて酸素(O)比率を上げていく傾斜膜にする場合には、はじめアンモニアガス(NH)の流量比が高く酸化窒素ガス(NO)の流量比が低いガス流量比で成膜を開始し、徐々にその比率を逆転させながら成膜した。また、傾斜膜の途中に極端に窒素原子比率の高い層を一定の厚さで含む傾斜膜にする場合は、はじめ徐々に窒素原子(N)比率が高くなる方向にガス流量比を変化させ、最も窒素原子(N)比率が高くなるガス流量比たとえば酸化窒素ガス(NO)を完全に遮断した状態で一定時間成膜し、その後また徐々に窒素原子(N)比率が下がる方向にガス流量比を変化させることで、傾斜膜の途中に極端に高濃度な窒素の層を一定の厚さで含む傾斜膜を形成した。この場合、一定時間酸化窒素ガス(NO)を遮断しても成膜室内に残存するO原子の影響で、この間に成膜される膜も完全な窒化珪素(SiNx)になるわけではなく、わずかな酸素原子(O)の存在もみられ、よって高濃度窒素の窒化酸化珪素(SiOxNy)膜となる。
本発明におけるパッシベーション膜を、窒化酸化珪素(SiOxNy)膜と窒化珪素(SiNx)膜の積層膜とする場合には、例えばはじめに窒化酸化珪素(SiOxNy)膜を形成し、後から窒化珪素(SiNx)膜を積層するとすれば、窒化酸化珪素(SiOxNy)膜の成膜が終わった時点で一旦成膜を中止し、一定時間成膜室内を真空排気し、完全に成膜室内のO成分を排除してからシランガス(SiH)、アンモニアガス(NH)、窒素ガス(N)のみで窒化珪素膜(SiNx)の成膜を行った。
本発明におけるパッシベーション膜を、カラーフィルター層またはカラーフィルタ層の上に平坦化のために任意に設けられるオーバーコート樹脂と透明電極(陽極)の間に形成する場合、あらかじめガラス基板上にカラーフィルターとオーバーコート樹脂を形成した基板を用いて、オーバーコート樹脂層の上にCVD法で窒化酸化珪素(SiOxNy)傾斜膜または窒化珪素(SiNx)と窒化酸化珪素(SiOxNy)の積層膜を形成し、その上に順次透明電極(陽極)、有機発光層(正孔輸送層、発光層)、金属電極(陰極)を形成し、最後に封止ガラスで封止して素子化した。
また、本発明におけるパッシベーション膜で、透明電極(陽極)から金属電極(陰極)までの有機EL層全体を包み込むように保護する場合には、上記のようにオーバーコート樹脂層の上にCVD法でパッシベーション膜を形成し、その上に順次透明電極(陽極)、有機発光層(正孔輸送層、発光層)、金属電極(陰極)を形成し、その上に再度CVD法で窒化酸化珪素(SiOxNy)傾斜膜または窒化珪素(SiNx)と窒化酸化珪素(SiOxNy)の積層膜を形成して、金属電極(陰極)の上からも有機EL素子全体を覆うようして、パッシベーション膜が封止膜を兼ねるようにした。
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれに限定される物ではない。
各実施例および比較例のパッシベーション膜ともに、それらのパッシベーション膜を含む有機EL素子にして、非発光部分(ダークスッポトの拡大を観察することで、そのパッシベーション性能を評価した。
有機EL素子は次のようにして作成した。
まず、ガラス基板1の上にフォトリソグラフ法を用いてカラーフィルター2およびオーバーコート樹脂層3を形成し、超音波洗浄後230℃で1時間加熱乾燥させた。これにCVD法で各実施例および比較例に基づくパッシベーション膜4の成膜を行い、その上にITO膜をスパッタリング法で成膜し、エッチングによりパターンニングして透明電極(陽極)5を形成した。この上に蒸着法により有機発光層6としての正孔輸送層と発光層、および陰極7を順次形成した。正孔輸送材料としてはα−ナフチルフェニルジアミン(α−NPD)を、発光層材料としてはトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)を、金属電極(陰極)材料としてカルシウムおよび銀を用いた。最後にガラス性封止缶9を陰極の上から被せて、UV硬化型の接着性樹脂を用いて密着封止した。封止缶と陰極との空間には乾燥剤8を封入した。
ただし、実施例7においては、封止缶のかわりにパッシベーション膜を陰極の上から成膜して素子全体を覆うよおうにして膜封止を行った。
オーバーコート樹脂層と透明電極(陽極)の間のパッシベーション膜をプラズマCVD装置を用いて下記条件で成膜した。下記条件において、NHのガス流量は成膜開始時300SCCMで、成膜時間の3分間をかけて0SCCMになるように徐々に下げてゆき、NOガス流量は成膜開始時に30SCCMで、成膜時間の3分間をかけて270SCCMになるように徐々に上げていったことを意味する。
これにより、窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率の傾斜は、N原子数/(O原子数+N原子数)の値で0.4から0.9の範囲で変化する。膜の総厚さは300nmである。
SiHガス流量 100SCCM
NHガス流量 300SCCM→0SCCM
Oガス流量 30SCCM→270SCCM
ガス流量 2000SCCM
成膜温度 230℃
圧力 120pa
RF電力 1000W
成膜時間 3分
オーバーコート樹脂層と透明電極(陽極)の間のパッシベーション膜をプラズマCVD装置を用いて下記条件で成膜した。下記条件において、NHのガス流量は成膜開始時300SCCMで、成膜時間の3分間をかけて100SCCMになるように徐々に下げてゆき、NOガス流量は成膜開始時に30SCCMで、成膜時間の3分間をかけて170SCCMになるように徐々に上げていったことを意味する。
これにより、窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率の傾斜は、N原子数/(O原子数+N原子数)の値で0.6から0.9の範囲で変化する。膜の総厚さは300nmである。
SiHガス流量 100SCCM
NHガス流量 300SCCM→100SCCM
Oガス流量 30SCCM→170SCCM
ガス流量 2000SCCM
成膜温度 230℃
圧力 120pa
RF電力 1000W
成膜時間 3分
オーバーコート樹脂層と透明電極(陽極)の間のパッシベーション膜をプラズマCVD装置を用いて下記条件で成膜した。下記条件において、NHのガス流量は成膜開始時に0SCCMで、2分30秒かけて300SCCMになるように徐々に上げてゆき最後の30秒を300SCCMで保持し、NOガス流量は成膜開始時に270SCCMで、2分30秒かけて0SCCMになるように徐々に下げていき、最後の30秒を0SCCMで保持したことを意味する。
これにより、膜中に高濃度窒素層が50μmの厚さで存在し、高濃度窒素層のN原子数/(O原子数+N原子数)の値は0.9から0.99の範囲にあり、残りの部分では窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率の傾斜は、N原子数/(O原子数+N原子数)の値で0.4から0.9の範囲で変化し、その平均値は0.65となる。膜の総厚さは300nmである。
SiHガス流量 100SCCM
NHガス流量 0SCCM→300SCCM(30秒保持)
Oガス流量 270SCCM→0SCCM(30秒保持)
ガス流量 2000SCCM
成膜温度 230℃
圧力 120pa
RF電力 1000W
成膜時間 3分
オーバーコート樹脂層と透明電極(陽極)の間のパッシベーション膜をプラズマCVD装置を用いて下記条件で成膜した。下記条件において、NHのガス流量は成膜開始時に0SCCMで、2分かけて300SCCMになるように徐々に上げてゆき最後の1分を300SCCMで保持し、NOガス流量は成膜開始時に270SCCMで、2分かけて0SCCMになるように徐々に下げていき、最後の1分を0SCCMで保持したことを意味する。
これにより、膜中に高濃度窒素層が100μmの厚さで存在し、高濃度窒素層のN原子数/(O原子数+N原子数)の値は0.9から0.99の範囲にあり、残りの部分では窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率の傾斜は、N原子数/(O原子数+N原子数)の値で0.4から0.9の範囲で変化し、その平均値は0.65となる。膜の総厚さは300nmである。
SiHガス流量 100SCCM
NHガス流量 0SCCM→300SCCM(1分保持)
Oガス流量 270SCCM→0SCCM(1分保持)
ガス流量 2000SCCM
成膜温度 230℃
圧力 120pa
RF電力 1000W
成膜時間 3分
オーバーコート樹脂層と透明電極(陽極)の間のパッシベーション膜をプラズマCVD装置を用いて下記条件で成膜した。下記条件において、NHのガス流量は成膜開始時に0SCCMで、2分かけて300SCCMになるように徐々に上げてゆき最後の1分を300SCCMで保持し、NOガス流量は成膜開始時に270SCCMで1分保持し、1分かけて0SCCMになるように徐々に下げていき、最後の1分を0SCCMで保持したことを意味する。
これにより、膜中に高濃度窒素層が100nmの厚さで存在し、高濃度窒素層のN原子数/(O原子数+N原子数)の値は0.9から0.99の範囲にあり、残りの部分では窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率の傾斜は、N原子数/(O原子数+N原子数)の値で0.4から0.9の範囲で変化し、その平均値は0.5となる。膜の総厚さは300nmである。
SiHガス流量 100SCCM
NHガス流量 0SCCM→300SCCM(1分保持)
Oガス流量 270SCCM(1分保持)→0SCCM(1分保持)
ガス流量 2000SCCM
成膜温度 230℃
圧力 120pa
RF電力 1000W
成膜時間 3分
オーバーコート樹脂層と透明電極(陽極)の間のパッシベーション膜をプラズマCVD装置を用いて下記条件で2回に分けて成膜した。
これにより、厚さ200nmの窒化酸化珪素(SiOxNy)膜と厚さ100nmの窒化珪素(SiNx)膜との積層膜が形成された。
(1回目)
SiHガス流量 100SCCM
NHガス流量 0SCCM
Oガス流量 270SCCM
ガス流量 2000SCCM
成膜温度 230℃
圧力 120pa
RF電力 1000W
成膜時間 2分
(2回目)
SiHガス流量 100SCCM
NHガス流量 300SCCM
Oガス流量 0SCCM
ガス流量 2000SCCM
成膜温度 230℃
圧力 120pa
RF電力 1000W
成膜時間 2分
オーバーコート樹脂層と透明電極(陽極)の間のパッシベーション膜をプラズマCVD装置を用いて実施例1と同じ条件で成膜し、さらに金属電極(陰極)の上にも同じ条件で成膜時間のみ30分にして成膜した。
これにより、パッシベーション膜で透明電極(陽極)から金属電極(陰極)までの素子全体を覆うよおうにして成膜でき、封止缶を使わずに膜封止することができた。金属電極上のパッシベーション膜の厚さは3μmであった。
<比較例1>
オーバーコート樹脂層と透明電極(陽極)の間のパッシベーション膜をプラズマCVD装置を用いて下記条件で成膜した。
これにより、厚さ300nmの窒化酸化珪素(SiOxNy)単層膜が形成された。
SiHガス流量 100SCCM
NHガス流量 0SCCM
Oガス流量 270SCCM
ガス流量 2000SCCM
成膜温度 230℃
圧力 120pa
RF電力 1000W
成膜時間 3分
<比較例2>
オーバーコート樹脂層と透明電極(陽極)の間のパッシベーション膜をプラズマCVD装置を用いて下記条件で成膜した。
これにより、厚さ300nmの窒化珪素(SiNx)単層膜が形成された。
SiHガス流量 100SCCM
NHガス流量 300SCCM
Oガス流量 0SCCM
ガス流量 2000SCCM
成膜温度 230℃
圧力 120pa
RF電力 1000W
成膜時間 3分
上記各実施例及び比較例のパッシベーション膜を有する有機EL素子を、60℃湿度90%の促進条件下で保存試験を行い、非発光部(ダークスポット)の拡大を観察して、ガラス基板上に直接形成した有機EL素子と比較して評価した。その結果を表1に示す。
また、各パッシベーション層の可視領域での光線透過率(400nm〜700nm)の測定結果も合わせて示した。
Figure 0004479249
DS:ダークスポット PV:パッシベーション層
CF:カラーフィルター OC:オーバーコート層
参考例2はオーバーコート(以下OCと表記する)層と透明電極(陽極)の間にパッシベーション層を形成せずに素子化したサンプルであるが、表1に示すように60℃、90%環境下でのダークスポット(以下DSと表記する)の状況を観察すると、当初発光していた素子も100時間経過後にはDSの拡大が進んで発光しなくなった。参考例3のように、カラーフィルター(以下CFと表記する)とOCがない場合には、パッシベーション層がなくてもDSの拡大がほとんどみられないことから、CFやOCからの水分や有機ガスがEL素子のDS拡大に強く影響することが示唆される。
そして、実施例1〜7、比較例1、2及び参考例1の結果から、OC層と透明電極の間に、SiOx、SiOxNy、SiNxなどのパッシベーション膜を形成することで、パッシベーション層がない場合に比べてDSの拡大が抑制されることもわかる。しかし、パッシベーション膜の種類によって、DS拡大の抑制効果に大きな差があり、SiNx>SiOxNy>SiOxの順でDS拡大抑制効果が高い。すなわち、パッシベーション膜の水蒸気やガスバリアー性に大きく起因している。
参考例2のように、SiOx膜では他の膜に比べてDS拡大の進行が速く、500時間後には非発光となった。比較例1のように、SiOxNy膜の場合には、SiOx膜よりはDS拡大は抑制されるが、500時間後で初期の約30倍とかなりDSの拡大がみられ、有機EL素子のパッシベーション膜としては不十分である。
一方、有機ELパネルディスプレイにおいては、パッシベーション膜を通して光を取出すことから、パッシベーション膜には透明性も要求され、望ましくは可視光域の光線透過率が95%以上、少なくとも90%以上は必要である。比較例2のように、SiNx膜はDS拡大抑制効果としては十分だが、光線透過率が89%と不足である。
しかし、実施例1から実施例7のように、SiOxNyのN/O比傾斜膜にすることで、DS拡大抑制の点からも透明性の点からも、有機EL素子のパッシベーション膜として、非常に良好な膜となる。その理由としては、膜の深さ方向でN/Oの比率を変化させることで、膜中にNの比率の高い層が存在することになり、その部分でバリア性を確保し、その他の部分では徐々にO比率が高くなるから透明性を確保できことが考えられる。
N/O比率を変化させる範囲は、なるべくN比率の高い範囲で変化させた方が、DS抑制の点で良好であり、N原子数/(O原子数+N原子数)の値で0.4〜0.9の範囲で変化させた実施例1よりも0.6〜0.9の範囲で変化させた実施例2の方が良好であった。
また、実施例3〜5の結果から、N原子数/(O原子数+N原子数)の値が0.90〜0.99の高窒素原子層を傾斜膜に含むようにすることで、この層で水蒸気等を高度に遮断し、残りの層はO原子の比率をなるべく高くして透明性も確保できる。高窒素原子層の厚みが厚くなるほど透明性は低下するが、DS抑制効果は高くなり、厚さとしては100nm程度が好ましかった。
実施例の説明図である。
符号の説明
1 ガラス基板
2 カラーフィルター層
3 オーバーコート樹脂層
4 パッシベーション膜
5 透明電極(陽極)
6 有機発光層
7 陰極
8 乾燥剤
9 封止缶

Claims (6)

  1. 窒化酸化珪素(SiOxNy)からなるパッシベーション膜中に膜の深さ方向で窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率が傾斜的に変化している層を有する有機EL素子の製造方法であって、
    CVD法の原料ガスとしてシランガス、酸化窒素ガス、アンモニアを用いた成膜中に、アンモニアの流量を時間と共に上げ、同時に酸化窒素ガスの流量を時間と共に下げて前記膜の深さ方向で窒素原子と酸素原子の比率が傾斜的に変化している層を形成し、続けて酸化窒素ガスの流量を0にした状態で成膜することで窒素高濃度層を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記膜の深さ方向で窒素原子と酸素原子の比率が傾斜的に変化している層の深さ方向での窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率の変化が、N原子数/(O原子数+N原子数)の値で0.4から0.9の範囲で変化することを特徴とする請求項記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記膜の深さ方向で窒素原子と酸素原子の比率が傾斜的に変化している層の深さ方向での窒素原子(N)と酸素原子(O)の比率の変化が、N原子数/(O原子数+N原子数)の値で0.6から0.9の範囲で変化することを特徴とする請求項記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記膜の深さ方向で窒素原子と酸素原子の比率が傾斜的に変化している層のN原子数/(O原子数+N原子数)の値は平均すると0.6以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 前記窒素高濃度層の厚さが、50nmから100nmの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の有機EL素子の製造方法。
  6. 前記パッシベーション膜が、基板上のカラーフィルター層と透明電極間に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか記載の有機EL素子の製造方法。
JP2004011471A 2004-01-20 2004-01-20 有機el素子の製造方法 Expired - Lifetime JP4479249B2 (ja)

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