JP4478898B2 - リニアモータの制御装置 - Google Patents
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Description
それで、先の特開平9−121589号公報では、予めリニアモータの機械的固有振動数に一致する周波数の帯域減衰フィルタ842を制御部826に設けて、機械の振動を除去し、ホスト・ホストコンピュータよりの位置指令信号(目標指令値)に対する追従性を向上させている[図11参照]。
ここにおいて本発明では、このような機械的固有振動数が変化する場合や、2つ以上の機械的固有振動数が存在する場合でも、これらの振動を抑制し、高速、かつ高精度な動作を可能とするリニアモータの制御方法およびその装置を提供することを目的とする。
リニアモータの機械的固有振動モード(ピッチング,ヨーイング,ローリング)では、可動部の重心点が振動の節となる。よって重心点における位置または速度の情報には、これらの振動成分が含まれない。この現象を利用して、重心点における位置や速度を制御器にフィードバックすれば、機械的固有振動の影響を受けない制御を行うことが可能である。
また、振動成分のみを制御器にフィードバックすると、振動の周波数,減衰を制御することが可能となる。従って、このようなリニアモータの機械的な固有の振動メカニズムに着目し、リニアモータの力学モデルを定式化した。この式をオブザーバとして制御系に組み込むことで、機械的固有振動成分を含まない重心点の位置,速度情報や機械的固有振動成分のみの分離を可能とした。
つまり、本発明の請求項1の発明によれば、先の従来の制御手段の問題点を解決するために、位置もしくは速度センサの情報と速度制御器から出力された推力指令の信号より、リニアモータ可動部の重心点における位置および速度の情報を推定し、この推定値を制御器にフィードバックするリニアモータの制御方法である。例えば可動部の質量が変化した場合でも、ノッチフィルタ[可変帯域フィルタ]を使用しなくても、その他制御系で予め予測設定した振動周波数が外乱でずれが生じた場合でも、機械的固有振動数の影響を全く受けることなく、被制御体(ワーク)の位置及び速度の制御が高精度送りを実現する上での制御パラメータのハイゲイン化の要求を完璧に充足できるという特段の効果を奏することが可能である。
すなわち、リニアモータの機械的固有振動モード(ピッチング,ヨーイング,ローリング)では、可動部の重心点が振動の節となる。よって重心点における位置または速度の情報には、これらの振動成分が含まれない。この現象を利用して、重心点における位置や速度を制御器にフィードバックすれば、機械的固有振動の影響を受けない制御を行うことが可能である。また、振動成分のみを制御器にフィードバックすると、振動の周波数,減衰を制御することが可能となる。従って、このようなリニアモータの機械的な固有の振動メカニズムに着目し、リニアモータの力学モデルを定式化した。この式をオブザーバとして制御系に組み込むことで、機械的固有振動成分を含まない重心点の位置,速度情報や機械的固有振動成分のみの分離を可能とした。
例えば可動部の質量が変化した場合でも、ノッチフィルタを使用しなくても、その他制御系で予め予測設定した振動周波数が外乱でずれが生じた場合でも、機械的固有振動数の影響を全く受けることなく、被制御体(ワーク)の位置及び速度の制御が高精度送りを実現する上での制御パラメータのハイゲイン化の要求を完璧に充足できるという顕著な効果を発揮できる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるリニアモータの制御を行う電気的回路の構成を示すブロック図である。図2は、その主としてリニアモータ及び可動部周辺の機構を表す斜視図である。可動部1は電機子コイル2と一体となっており、固定側となる機台3に取付けられたレール4に対して、軸受5を用いて一定方向にのみ可働する。推力を発生するマグネット6は機台3に固着されている。電機子コイル2は、マグネット6に対向している。スケール7は機台3に取付けられ、可動部1の動作位置を測定するものであり、位置検出センサ8は可動部1に取付けられていて、スケール7から可動部1の位置を検出するものである。まずこの制御手段は、目標指令値9と可動部1に取付けられたセンサ8で検出した位置および速度の情報10を比較し、偏差をとり、この偏差より制御演算を行い、推力指令11を算出する。ドライブ部105は推力指令11に相当する電流12をリニアモータへ出力する。制御器では多くの場合、比例・積分・微分制御という制御則が用いられている。
この実施の形態により、機械的固有振動の影響を受けずに制御が可能となり、高速かつ高精度な制御が実現できる。
F=Md2X/dt2+CdX/dt+KX+Fc…(1式)
ここで、Xは可動部1の重心点における状態量を表すベクトルであり、重心点における位置と重心点を中心とした可動部の回転角度の状態量を表す。M,C,Kはそれぞれリニアモータの質量、減衰、剛性を表す行列、Fはリニアモータの推力、Fcはリニアモータのクーロン摩擦を表すベクトルである。物体が弾性支持されている振動絶縁装置の運動方程式より、(1式)に示した行列成分とベクトル成分を求めた。
X=(x g y g z g θ x θ y θ z ) T …(2式)
(2式)より、リニアモータ駆動可動部の振動は重心点位置を基準とした回転振動(ヨーイング、ピッチング、ローリング)と並進振動(translative vibration本発明の制御手段には余り関連がない)であることが分かる。
次に、(2式)より得られたθy,θz,xgを用いて運動学計算し、センサ点の変位を算出する。ただし、ロール角θxは制御性能には影響しないため、省略する。
センサ点の変位x s は、
x s =(−Sysinθz+Sxcosθzcosθy+Szcosθzsinθy+xg)−S x …(3式)
と表すことができる。ここでSx,Sy,Szは重心点からセンサまでのx、y、z方向の距離(m)である。
オブザーバ107における演算式は次の(4a式)、(4b式)のように表せる。
図3は、オブザーバによる可動部重心点の位置情報の推定の代わりにリニアモータの機構で構成した第2の実施の形態の斜視図である。この場合、可動部1の重心点13上にレーザセンサ15の反射板14[図示する可動部表面上の開溝側面でレーザセンサに対向する表面を指す]を配置する。機台3にレーザセンサ15を設置し、可動部重心点13上の位置を検出する。検出した位置情報はピッチングやヨーイングの振動成分を含まない信号であり、この信号を制御器102,104にフィードバックすることで、図2に示すオブザーバ107による制振制御と同様に機械的固有振動数の影響をうけずに高速かつ高精度な動作が可能となる。
図4は、本発明の第3の実施の形態における回路の構成を示すブロック図である。
位置制御器102には、目標指令値9とセンサ8の位置情報10との偏差が取り込まれる。速度制御器104にはセンサ8の位置情報10を差分演算 [ここではディジタル演算であるが、アナログ演算の場合は微分演算である] した速度情報20と位置制御器との偏差が取り込まれる。速度制御器104では、推力指令値11を出力する。センサ8によって検出された位置情報10と推力指令値11よりオブザーバ107で可動部1の重心点の回転角情報18と回転角速度情報19を推定し、回転角フィードバックゲインK1,角速度フィードバックゲインK2を乗じて推力指令値11に加算する。ドライブ部105では推力指令値11に相当する電流12が出力され、その電流12により、リニアモータ106 が駆動される。可動部1の位置情報10はセンサ8によって検出され、オブザーバ107 と制御器に取り込まれる。
図5は、本発明の第4の実施の形態における回路の構成を示すブロック図である。位置制御器102には目標指令値9とオブザーバ107で推定した可動部重心点の位置情報16との偏差が取り込まれる。速度制御器104には、位置制御器102の出力とオブザーバ107で推定した可動部重心点の速度情報17との偏差が取り込まれる。速度制御器104では、推力指令値11を出力する。センサ8によって検出された位置情報10と推力指令値11によりオブザーバ107で可動部1の重心点における位置情報16,速度情報17と重心点の回転角情報18,回転角速度情報19を推定する。推定した回転角情報18と回転角速度情報19は、それぞれ回転角フィードバックゲインK1,角速度フィードバックゲインK2を乗じて推力指令値11に加算する。ドライブ部では推力指令値11に相当する電流12が出力され、その電流12により、リニアモータ106が駆動される。可動部1の位置情報10はセンサ8によって検出され、オブザーバ107と制御器102,104に取り込まれる。この第4の実施の態様により、機械的固有振動数の影響を受けずに制御が可能となり、高速かつ高精度な動作が実現できる。また、この第4の実施の態様では、1つの固有振動モードの回転角と回転角速度のみを推定し、フィードバックしたが、2つ以上の固有振動モードに対して、推定し、フィードバックすることも可能である、すなわち、制御は連続してセンサからの検出された位置または速度情報により演算されるから、円滑に高速かつ高精度の制振制御ができる。
さらに、本発明の全ての実施の態様において、図6,図7の結果が得られる。
2 電機子コイル
3 機台
4 レール
5 軸受
6 マグネット
7 スケール
8 センサ
9 目標指令値
10 センサ位置情報
11 推力指令値
12 電流
13 可動部の重心点
14 レーザセンサの反射板
15 レーザセンサ
16 可動部の重心点の位置情報
17 可動部の重心点の速度情報
18 可動部の重心点の回転角情報
19 可動部の重心点の回転角速度情報
20 センサ速度情報
101,103 減算器
102 位置制御器
104 速度制御器
105 ドライブ部
106 リニアモータおよび可動部
107 オブザーバ
108 差分演算器
109 加算器
Claims (4)
- リニアモータを駆動させて機台に対し軸受を介した可動部を移動させるリニアモータ制御装置であって、前記可動部と前記機台との相対位置を検出する前記可動部の外側端に取付けられたセンサと、目標指令値に基づいて前記可動部の位置または速度を制御するフィードバック制御器と、前記フィードバック制御器の出力である推力指令に基づいて前記リニアモータを駆動させるドライブ部と、を備えたリニアモータ制御装置において、
前記可動部および前記軸受を含む機械系のモデルと前記相対位置とに基づいて、前記可動部の重心点を中心とした3次元の回転振動によるセンサ点の変位を算出し、前記センサ点の変位と前記推力指令とに基づいて、前記重心点における前記可動部の移動位置および移動速度を推定するオブザーバを備え、
推定した前記移動位置または前記移動速度を前記フィードバック制御器にフィードバックすることを特徴とするリニアモータ制御装置。 - リニアモータを駆動させて機台に対し軸受を介した可動部を移動させるリニアモータ制御装置であって、前記可動部と前記機台との相対位置を検出する前記可動部の外側端に取付けられたセンサと、目標指令値に基づいて前記可動部の位置または速度を制御するフィードバック制御器と、前記フィードバック制御器の出力である推力指令に基づいて前記リニアモータを駆動させるドライブ部と、を備えたリニアモータ制御装置において、
前記推力指令と前記可動部および前記軸受を含む機械系のモデルと前記相対位置とに基づいて、前記可動部の重心点を中心とした3次元の回転角および回転角速度の状態量を算出するオブザーバを備え、
算出した前記回転角および前記回転角速度の状態量を前記推力指令に加算することを特徴とするリニアモータ制御装置。 - リニアモータを駆動させて機台に対し軸受を介した可動部を移動させるリニアモータ制御装置であって、前記可動部と前記機台との相対位置を検出する前記可動部の外側端に取付けられたセンサと、目標指令値に基づいて前記可動部の位置または速度を制御するフィードバック制御器と、前記フィードバック制御器の出力である推力指令に基づいて前記リニアモータを駆動させるドライブ部と、を備えたリニアモータ制御装置において、
前記可動部および前記軸受を含む機械系のモデルと前記相対位置とに基づいて、前記可動部の重心点を中心とした3次元の回転振動によるセンサ点の変位を算出し、前記センサ点の変位と前記推力指令とに基づいて、前記重心点における前記可動部の移動位置および移動速度を推定し、かつ、前記推力指令と前記可動部および前記軸受を含む機械系のモデルと前記相対位置とに基づいて、前記可動部の重心点を中心とした3次元の回転角および回転角速度の状態量を算出するオブザーバを備え、
推定した前記移動位置または前記移動速度を前記フィードバック制御器にフィードバックし、かつ、算出した前記回転角および前記回転角速度の状態量を前記推力指令に加算することを特徴とするリニアモータ制御装置。 - 前記機械系のモデルが、前記リニアモータの推力を表すベクトルと、前記重心点における前記可動部の3次元の変位および前記重心点を中心とした前記可動部の3次元の回転角度を表すベクトルと、前記可動部と前記軸受との摺動面のクーロン摩擦を表すベクトルと、前記可動部の質量を表す行列と、前記可動部の減衰を表す行列と、前記軸受の剛性を表す行列と、で構成されることを特徴とした請求項1乃至3のいずれか1つに記載のリニアモータ制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2008132983A JP4478898B2 (ja) | 2008-05-21 | 2008-05-21 | リニアモータの制御装置 |
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