JP4478553B2 - ガラスの製造方法およびガラス熔融装置 - Google Patents
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Description
[請求項1]閉鎖された炉内に配置された熔融容器内に粉体状の光学ガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製することを含む光学ガラスの製造方法において、
前記炉は、
前記ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
炉内側開口と炉外側開口と有し、炉内のガスを炉外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記熔融容器は白金合金製であり、
前記炉内かつ前記熔融容器外に加熱源が配置されており、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うことを特徴とする光学ガラスの製造方法。
[請求項2]前記炉内側開口は、炉外側開口よりも高位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
[請求項3]閉鎖された炉内に配置された熔融容器内に粉体状のガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製することを含むガラスの製造方法において、
前記炉は、
前記ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
炉内側開口と炉外側開口と有し、炉内のガスを炉外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記炉内側開口は、炉外側開口よりも高位置に設けられ、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うことを特徴とするガラスの製造方法。
[請求項4]前記炉の内部に加熱手段が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
[請求項5]前記炉内にガスを導入しながら前記粉体状のガラス原料の供給を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項6]前記ガラス原料の熔融によって生成するガスの発生量に応じて、前記排気孔の開口面積および/または開口する排気孔の数を増減させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項7]前記炉は、耐火煉瓦製であり、かつ、前記排気孔は白金もしくは白金合金からなるか、または、
前記炉は、焼成煉瓦製であり、かつ、前記排気孔は電鋳煉瓦からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項8]閉鎖された熔融容器内に粉体状のガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製することを含むガラスの製造方法において、
前記熔融容器は、
前記ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
容器内側開口と容器外側開口と有し、前記容器内のガスを容器外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記容器内側開口は、容器外側開口よりも高位置に位置し、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うことを特徴とするガラスの製造方法。
[請求項9]前記容器内にガスを導入しながら前記粉体状のガラス原料の供給を行うことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
[請求項10]前記ガラスが、1400℃にて3dPa・s未満の粘度を示すか、または液相温度を有するとともに液相温度において35dPa・s以下の粘度を示すものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項11]前記ガラスが、必須成分としてB2O3を、任意成分としてSiO2を含み、かつSiO2の含有量が0〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
[請求項12]閉鎖された炉内に配置した熔融容器内に粉体状の光学ガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製する光学ガラス熔融装置において、
前記炉は、
光学ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
炉内側開口と炉外側開口と有し、炉内のガスを炉外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記熔融容器は白金合金製であり、
前記炉内かつ前記熔融容器外に加熱源が配置されており、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うために用いられることを特徴とする光学ガラス熔融装置。
[請求項13]前記炉内側開口は、炉外側開口よりも高位置に設けられることを特徴とする請求項12に記載の熔融装置。
[請求項14]閉鎖された炉内に配置した熔融容器内に粉体状のガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製するガラス熔融装置において、
前記炉は、
ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
炉内側開口と炉外側開口と有し、炉内のガスを炉外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記炉内側開口は、炉外側開口よりも高位置に設けられ、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うために用いられることを特徴とするガラス熔融装置。
[請求項15]
前記炉の内部に加熱手段が配置されていることを特徴とする請求項14に記載の熔融装置。
[請求項16]前記炉は、耐火煉瓦製であり、かつ、前記排気孔は白金もしくは白金合金からなるか、または、
前記炉は、焼成煉瓦製であり、かつ、前記排気孔は電鋳煉瓦からなることを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の熔融装置。
[請求項17]閉鎖された熔融容器内に粉体状のガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製するガラス熔融装置において、
前記熔融容器は、
前記ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
容器内側開口と容器外側開口と有し、前記容器内のガスを容器外に排気するための排気孔
を有し、
前記容器内側開口は、容器外側開口よりも高位置に位置し、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うために用いられることを特徴とするガラス熔融装置。
[ガラスの製造方法]
本発明の第一の態様のガラスの製造方法(以下、「製法I」ともいう)は、
閉鎖された炉内に配置された熔融容器内に粉体状のガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製することを含むガラスの製造方法において、
前記炉は、
前記ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
炉内側開口と炉外側開口と有し、炉内のガスを炉外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うことを特徴とするガラスの製造方法
である。
図1に示す装置では、炉3の上部に、ガラス原料を熔融容器1に導くためのパイプ6とパイプ6の内側に配置された内側パイプ5が取り付けられている。供給するガラス原料としては、複数種の粉体状の化合物を所定の割合で調合したものを使用することができる。この調合済み原料は原料供給口10に供給され、下方に位置する、モータ8で所定の回転スピードで回転するスクリュー9により、内側パイプ5の内側に押し出される。スクリュー9を一定スピードで回転させるので、内側パイプ内へのガラス原料の単位時間あたりの供給量も一定となる。スクリュー9はガラス原料とともに、原料供給口10と内側パイプ5の間を塞ぐ働きをする。この働きにより、後述する原料供給ガスが原料供給口10側に流れ込むことを防止することができる。このように、製法Iにおいて使用される炉に設けられる原料供給部は、原料供給口、スクリュー、内側パイプ、パイプ等によって構成され、上記のように、原料によって原料供給口と内側パイプの間を塞ぐことにより、炉の内部と外部は遮断される構成となっている。
図1に示す装置では、原料供給ガスをガラス原料とともにパイプ内を流して炉内に投入する。具体的には、図1に示す装置を用いる場合は、内側パイプ5の内部および内側パイプ5とパイプ6の間の隙間には、ガス管7から一定量のガスを下向きに流すことにより、炉内にガスを導入することができる。原料供給ガスとしては乾燥ガスを用いることが好ましい。水分を含んだガスを炉内に供給すると、ガスが急激に熱せられることによりガスの体積が急激に膨張し、安定したガラス原料の供給を妨げる恐れがある。また供給するガスは清浄なものが好ましい。ガスの種類としては、空気、窒素、窒素と酸素の混合ガスなどを使用することができる。空気や窒素と酸素の混合ガスを使用することにより、熔融ガラスの酸化度を調整し、ガラスが還元されて着色することを防止する効果を得ることもできる。但し、空気に酸素を加えたものや、上記混合ガスを使用する場合、酸素の分圧が高すぎると熔融容器を構成する金属、例えば白金合金が侵蝕されやすくなるので、酸素分圧が過剰に高くならないよう注意するべきである。
排気孔の侵蝕が著しくなると生産を止めて炉を修理しなければならず、生産性が低下してしまうが、少なくとも排気孔内壁を白金または白金合金により構成することにより、排気孔の侵蝕を大幅に低減することができるので、より安定した操業が可能になる。
更に、少なくとも排気孔内壁を白金または白金合金により構成することにより、排気孔が侵蝕されにくくなるので、炉内の圧力をより一定に保つことができ、ガラス原料の供給条件がより安定化され、また炉内からの排熱量もより一定に保つことができるので、結果として屈折率などのガラスの光学特性をより安定化することができる。
電鋳煉瓦は、ほとんど気孔が無く、緻密堅硬な煉瓦である。その好ましいものはアルミナ、ジルコニア、シリカを主成分とするものであり、市販のものを使用することができる。
また、排気孔の長さは、炉壁の厚さ以上であれば特に限定されない。但し、長すぎると、排気の際の抵抗が増し、排気効率が低下するおそれがある。他方、短すぎると、ガラス化反応した物質が、炉壁外面に流れて炉外壁を侵蝕するおそれがある。よって、製法Iでは、上記の点を勘案して、排気孔の長さを決定することが好ましい。
排気孔の数、排気孔の開口面積、炉内と炉外との差圧の調整により、排気能力を変化させることができる。炉内の圧力は単位時間あたりの反応生成ガスの発生量と排気能力により変化する。前記反応生成ガスの発生量が増加し、炉内圧力が上昇すると、ガラス原料の供給が困難になる場合がある。この際、原料供給ガスの圧力を高め、原料を強制的に炉内の熔融容器に押し込むと、炉内の圧力がさらに上昇するという悪循環に陥る。このような事態を回避するため、前記反応生成ガスの発生量の増減に応じて、排気孔の開口面積を増減したり、開口する排気孔の数を増減したり、排気孔の開口面積の増減と開口する排気孔の数の増減を組み合わせ、炉内圧力を調整することが望ましい。
以下に、B2O3を含有するガラスを例に反応生成ガスについて説明する。
ガラス成分としてB2O3を導入するには、通常H3BO3原料を使用する。H3BO3原料を加熱、分解してB2O3とH2Oが生成すると考えると、2モルのH3BO3原料に対し、1モルのB2O3がガラス成分として導入され、3モルの水蒸気が生成する。つまり、B2O3の導入量が増えると水蒸気の発生量が増えることになる。他の成分にもよるが、B2O3含有ガラスの熔融では、反応生成ガスの大部分は水蒸気である。したがって、ガラス組成を変えるためにB2O3の導入量を変えると、反応生成ガスの量も変化する。B2O3含有ガラスは光学ガラス用途を初めとして様々な用途において重要な役割を果たし、通常のB2O3含有ガラスでは、B2O3の含有量は概ね10〜45質量%の範囲となる。B2O3の含有量が10質量%のガラスの製造と、45質量%のガラスの製造を比較すると、B2O3の含有量に4.5倍の開きがあるので、原料分解のスピードが一定であれば、単位時間あたりの水蒸気発生量、さらには単位時間あたりの反応生成ガスの発生量にも約4.5倍の差が生じる。使用するガラス熔融装置の排気能力が一定で、その排気能力がB2O3を10質量%含むガラスの熔融に適したものとして設定されている場合、B2O3を45質量%含むガラスの熔融では、炉内の圧力が過剰に高くなり、先に説明した悪循環に陥るおそれが生じる。そこで、ガラス熔融装置に、排気孔の実効的な開口面積を変える機能を持たせ、B2O3を10質量%含むガラスの熔融に適した排気孔の実効的開口面積を4倍から5倍にして、B2O3を45質量%含むガラスの熔融を行えばよい。ここで排気孔の実効的開口面積とは、排気孔が1つの場合には排気孔の開口面積を意味し、排気孔が複数ある場合は各排気孔の開口面積の合計を意味する。排気孔の開口面積を変えるには、排気孔に絞り機能を設けたり、排気孔の一部を閉ざす機能を設けるなどすればよい。複数の排気孔を持つ装置の場合、実効的な開口面積を変える手段としては、排気孔にシャッターを設けてシャッターを閉ざす排気孔の数を設定できるようにすればよい。例えば、開口面積が等しい4つの排気孔を炉内側壁上部の四方に設け、そのうちの3つにシャッターを設ける。B2O3を10質量%含むガラスの熔融では、シャッターを備えた3つの排気孔を閉ざし、B2O3を45質量%含むガラスの熔融では、すべてのシャッターを開いて、4つの排気孔をすべて開口する。このような機能を設けることにより、ガラス組成が変化しても炉内圧力を一定またはほぼ一定に保つことができ、安定したガラス原料の供給が可能になる。このように、ガラス熔融装置において、排気孔の実効的な開口面積の可変手段を設け、前記可変手段において、実効的開口面積の可変範囲をガスの種類、ガラス生産量などをもとに設定することが好ましい。
以上、B2O3含有ガラスの熔融を例に説明したが、その他の組成のガラスについても発生するガスの種類、ガラス生産量などをもとに、同様に考えに基づいて炉の排気能力、排気孔の数を設定すればよい。
(1)1400℃において3dPa・s未満の粘度を示すガラス(ガラスAという)、
(2)液相温度が存在し、前記液相温度において35dPa・s以下の粘度を示すガラス(ガラスBという)、
(3)必須成分としてB2O3を含み、任意成分として0〜10質量%のSiO2を含むガラス(ガラスCという)、中でも0〜7質量%のSiO2を含むガラス、特に0〜5質量%のSiO2を含むガラス、
(4)ガラスAでありかつガラスCであるガラス(ガラスDという)、
(5)ガラスBでありかつガラスCであるガラス(ガラスEという)、
(6)アルカリ金属酸化物を含むガラスA、
(7)アルカリ金属酸化物を含むガラスB、
(8)アルカリ金属酸化物を含むガラスC、
(9)アルカリ金属酸化物を含むガラスD、
(10)アルカリ金属酸化物を含むガラスE。
なおガラスAの1400℃における粘度の下限は10-2dPa・s、ガラスBの液相温度における粘度の下限は10-1dPa・sを目安に考えればよい。
なお、上記ガラスA〜Fの熔融には、排気孔を電鋳煉瓦で構成した装置よりも白金または白金合金製の排気孔を備えた装置のほうが適している。
閉鎖された熔融容器内に粉体状のガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製することを含むガラスの製造方法において、
前記熔融容器は、
前記ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
容器内側開口と容器外側開口と有し、前記容器内のガスを容器外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記容器内側開口は、容器外側開口よりも高位置に位置し、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うことを特徴とするガラスの製造方法
である。
図4に、製法IIに使用し得るガラス熔融装置の一例(垂直断面図)を示す。以下、図面を参照しながら製法IIについて説明する。但し、製法IIは図面に示す態様に限定されるものではない。
製法IIにおいて使用される熔融容器には、容器内側開口と容器外側開口とを有し、容器内のガスを容器外に排気するための排気孔が設けられている。これにより、熔融容器内で発生する反応生成ガスを容器外に排出することができるので、容器内部の圧力が過剰に高まることを防止することができる。その結果、粉体状のガラス原料を熔融容器内に安定して供給することができる。なお、本発明において、「閉鎖された熔融容器」とは、先に製法Iにおける炉についての説明と同様に、原料ガラスの供給、加熱、熔融を行う際に開口している部分が事実上排気孔のみであることをいう。図4に示すように、熔融容器には上記以外にも開口部があるが、それら開口部にはドレインパイプ等が取り付けられるため、原料ガラスの供給、加熱、熔融を行う際には、それら開口部からのガスの流出は実質的にないとみなすことができるので、このような態様の熔融容器も、本発明における閉鎖された熔融容器に含まれる。
また、排気孔の長さは、炉壁(図4では図示せず)の厚さ以上であれば特に限定されない。但し、長すぎると、排気の際の抵抗が増し、排気効率が低下するおそれがある。他方、短すぎると、ガラス化反応した物質が、容器壁外面に流れて容器外壁を侵蝕するおそれがある。よって、製法IIでは、上記の点を勘案して、排気孔の長さを決定することが好ましい。
なお、その他の事項や、好ましい形態などについては製法Iと同様である。
また、製法I、IIのいずれにおいても、ガラス原料を連続して熔融容器内に供給することが好ましい。ガラス原料を連続して熔融容器内に供給して加熱、熔融して熔融ガラスを作製するとともに、得られた熔融ガラスを連続して排出口(ドレインパイプ)から排出することが更に好ましい。その理由は、ガラスの連続生産が可能になるとともに、稼動中に常時、反応生成ガスが発生するケースにおいて上記効果が一段と大きくなるからである。
光学ガラスを熔融する場合は、上記成形体を加工して、または再度、加熱してプレス成形することにより、または、再度、加熱してプレス成形した成形品を加工してレンズやプリズムなどの光学素子を作ることができる。
このようにして得られる光学ガラスの屈折率(nd)の変動量を±0.00050以内に収めることができる。
製法Iにおいて使用され得る本発明のガラス熔融装置(以下、「装置I」ともいう)は、
閉鎖された炉内に配置した熔融容器内に粉体状のガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製するガラス熔融装置において、
前記炉は、
ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
炉内側開口と炉外側開口と有し、炉内のガスを炉外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うために用いられることを特徴とするガラス熔融装置、
である。
閉鎖された熔融容器内に粉体状のガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製するガラス熔融装置において、
前記熔融容器は、
前記ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
容器内側開口と容器外側開口と有し、前記容器内のガスを容器外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記容器内側開口は、容器外側開口よりも高位置に位置し、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うために用いられることを特徴とするガラス熔融装置、
ある。
排気孔全体を白金合金で構成した、図1に示す構造を備えるガラス熔融装置を用いて、以下に示す光学ガラス1〜5の5種類のガラスを製造した。
熔融容器1およびドレインパイプ12は白金合金製であり、内側パイプ5およびパイプ6は耐熱性の合金製である。高温度焼成高アルミナ質煉瓦よりなる炉3の内部側壁上部には、白金合金製の排気孔が4箇所設けられている。排気孔の内径はいずれも100mmであり、図示しないシャッターを備えており、シャッターの開閉により排気孔の実効的な開口面積を変更できる構成になっている。
加熱源4はSiC製発熱体であり、これら発熱体に電流を流すことにより、炉内の熔融容器近傍の温度が1300〜1430℃になるように加熱した。
単位時間あたりのガラス原料の供給量、原料供給ガスの供給量は、1日あたりの熔融ガラスの生産量が1トンになるように設定した。
光学ガラス2の製造時には、1つの排気孔のシャッターを閉じ、3つの排気孔から炉内のガスを排気しつつ、熔融を行った。
光学ガラス3および4の製造時には、2つの排気孔のシャッターを閉じ、2つの排気孔から炉内のガスを排気しつつ、熔融を行った。
光学ガラス5の製造時には、3つの排気孔のシャッターを閉じ、1つの排気孔から炉内のガスを排気しつつ、熔融を行った。
このように定常状態と見なせる状態で光学ガラス1〜5の熔融状態の各ガラスを鋳型に鋳込み、平板状に成形し、アニールしてから縦横に切断し、カットピースと呼ばれる所定寸法の直方体上のガラス片を複数個作製した。
これらカットピースの屈折率(nd)を測定したところ、各光学ガラスともに屈折率(nd)の変動幅は±0.00050以内に収まっており、アッベ数(νd)の値も上記の値と一致するものであった。
これらカットピースを使用してレンズ、プリズムなどの光学素子を作るには、カットピースに研削、研磨加工を施してもよいし、カットピースに必要の応じてバレル研磨や表面を平滑化するための研磨を施し、再度、加熱、軟化してプレス成形してもよい。プレス成形品には必要に応じて研削、研磨加工を施してもよい。
このようにして屈折率などの光学特性が一定かつ高品質の光学素子を多数、作製した。
なお、本実施例では、排気孔を白金合金で構成した装置を使用してガラスの製造を行ったが、白金合金の代わりに白金を使用してもよい。
また白金や白金合金製の排気孔に比べて装置としての寿命は短くなるが、電鋳煉瓦製の排気孔を供えた装置でも上記光学ガラスの製造を行うことはできる。
なお、上記実施例において炉外を囲むように高周波発生コイルを配置し、このコイルを電源に接続して高周波を発生させ、白金合金製の熔融容器を高周波誘導加熱するようにしてもよい。
このようにして屈折率やアッベ数の変動幅を小さくなるように、フツリン酸ガラスを安定的に製造することができた。
Claims (17)
- 閉鎖された炉内に配置された熔融容器内に粉体状の光学ガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製することを含む光学ガラスの製造方法において、
前記炉は、
前記ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
炉内側開口と炉外側開口と有し、炉内のガスを炉外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記熔融容器は白金合金製であり、
前記炉内かつ前記熔融容器外に加熱源が配置されており、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うことを特徴とする光学ガラスの製造方法。 - 前記炉内側開口は、炉外側開口よりも高位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 閉鎖された炉内に配置された熔融容器内に粉体状のガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製することを含むガラスの製造方法において、
前記炉は、
前記ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
炉内側開口と炉外側開口と有し、炉内のガスを炉外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記炉内側開口は、炉外側開口よりも高位置に設けられ、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うことを特徴とするガラスの製造方法。 - 前記炉の内部に加熱手段が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
- 前記炉内にガスを導入しながら前記粉体状のガラス原料の供給を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記ガラス原料の熔融によって生成するガスの発生量に応じて、前記排気孔の開口面積および/または開口する排気孔の数を増減させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記炉は、耐火煉瓦製であり、かつ、前記排気孔は白金もしくは白金合金からなるか、または、
前記炉は、焼成煉瓦製であり、かつ、前記排気孔は電鋳煉瓦からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。 - 閉鎖された熔融容器内に粉体状のガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製することを含むガラスの製造方法において、
前記熔融容器は、
前記ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
容器内側開口と容器外側開口と有し、前記容器内のガスを容器外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記容器内側開口は、容器外側開口よりも高位置に位置し、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うことを特徴とするガラスの製造方法。 - 前記容器内にガスを導入しながら前記粉体状のガラス原料の供給を行うことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
- 前記ガラスが、1400℃にて3dPa・s未満の粘度を示すか、または液相温度を有するとともに液相温度において35dPa・s以下の粘度を示すものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記ガラスが、必須成分としてB2O3を、任意成分としてSiO2を含み、かつSiO2の含有量が0〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
- 閉鎖された炉内に配置した熔融容器内に粉体状の光学ガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製する光学ガラス熔融装置において、
前記炉は、
光学ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
炉内側開口と炉外側開口と有し、炉内のガスを炉外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記熔融容器は白金合金製であり、
前記炉内かつ前記熔融容器外に加熱源が配置されており、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うために用いられることを特徴とする光学ガラス熔融装置。 - 前記炉内側開口は、炉外側開口よりも高位置に設けられることを特徴とする請求項12に記載の熔融装置。
- 閉鎖された炉内に配置した熔融容器内に粉体状のガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製するガラス熔融装置において、
前記炉は、
ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
炉内側開口と炉外側開口と有し、炉内のガスを炉外に排気するための1つまたは2つ以上の排気孔
を有し、
前記炉内側開口は、炉外側開口よりも高位置に設けられ、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うために用いられることを特徴とするガラス熔融装置。 - 前記炉の内部に加熱手段が配置されていることを特徴とする請求項14に記載の熔融装置。
- 前記炉は、耐火煉瓦製であり、かつ、前記排気孔は白金もしくは白金合金からなるか、または、
前記炉は、焼成煉瓦製であり、かつ、前記排気孔は電鋳煉瓦からなることを特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載の熔融装置。 - 閉鎖された熔融容器内に粉体状のガラス原料を供給し、前記ガラス原料を加熱、熔融して熔融ガラスを作製するガラス熔融装置において、
前記熔融容器は、
前記ガラス原料を供給するための原料供給部、および、
容器内側開口と容器外側開口と有し、前記容器内のガスを容器外に排気するための排気孔
を有し、
前記容器内側開口は、容器外側開口よりも高位置に位置し、
前記ガラス原料の加熱、熔融によって発生するガスを前記排気孔から排気しながら前記熔融を行うために用いられることを特徴とするガラス熔融装置。
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