JP4478526B2 - 非合金金属粉末及び合金金属粉末の製造方法 - Google Patents

非合金金属粉末及び合金金属粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、積層セラミックコンデンサ等のセラミックス電子部品における電極や電子回路基板用配線等を形成するための導電性ペースト、ペースト素材として適した合金金属粉末及びその製造方法、また合金金属粉末を目的物とする出発物質又は中間物質としての非合金金属粉末に関する。
通常、この種の導電性ペーストは、導電性を与える金属微粒子と、この金属微粒子を分散させる有機溶剤と、粘度調整用の樹脂から構成されている。導電性ペーストは、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極の形成に用いられている。
積層セラミックコンデンサの製造方法は例えば、下記特許文献1の特開平7−297073号公報に記載されているように、まず、セラミックス原料粉体、有機結合剤、有機溶剤を混練してセラミックススラリーを作成する。このセラミックススラリーをドクターブレード法やりバースロールコータ法により樹脂シート上にシート状に塗布し、これを乾燥させてグリーンシートを得る。ついで、グリーンシート上に導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布し、電極ペースト膜を塗膜形成し、これを複数枚重ねて加圧圧着してセラミックス積層体を作る。その後、所定サイズのセラミックス積層体を焼成することにより、グリーンシートは熱収縮しながら誘電体セラミックス基板へと変化し、電極ペースト膜も熱収縮しながら有機成分が除去されて内部電極膜へと変化する。最後に内部電極の露出している端面に銀等の外部電極を形成して積層セラミックコンデンサ素体を得ている。
上記のセラミックス積層体の焼成時においては、グリーンシートと電極ペースト膜の焼成収縮率に違いがあるため、電極膜がセラミックス基板から剥離したり、電極膜に途切れが生じるおそれがあった。この対策処置の一つとして、本出願人の出願にかかる下記特許文献2の特開平7−242845号公報に記載されているように、チタンアルコキシドやバリウムアルコキシドなどの金属アルコキシドにより電極用金属粒を表面処理した導電性ペースト用金属粉末の使用がある。チタンアルコキシドなどによる表面処理を施した金属粉末を用いることによって、表面処理膜による耐熱性により電極の熱収縮を抑制することができ、電極膜の剥離や途切れといった弱点を改善することができる。
ところで、導電性ペースト用金属粉末の金属材料には、銀(Ag)などの単一種金属よりも、一般的に、材料コスト面やペースト焼成温度の微妙な調整に都合がよい合金材料が使用されている。例えば、下記特許文献3の特開平9−95705号公報に開示されている、銀とパラジウム(Pd)の合金などの複数種金属からなるものが使用されている。単に複数種金属を使用するのであれば、異種金属の混合物でもよいが、例えばAgやPdなどの単体金属からなる個別の導電性ペーストを混合分散させたペーストを用いた場合、各金属成分が分散遊離してしまい、焼成による膜形成において異なる金属が不均一に分散する不良膜が形成される不具合があった。
銀とパラジウムの合金(Ag−Pd)などの合金の精製には、特許文献3に開示されているように、例えば、共沈還元法によるものがある。この共沈還元法によれば、AgイオンとPdイオンを含む金属イオン含有溶液と、還元剤溶液を混合することによって、液相還元によりAg−Pd共沈粉末が還元析出される。
特開平7−297073 特開平7−242845 特開平9−95705
一方、最近の積層セラミックコンデンサ等の電子部品や電子回路基板の製造においては、部品の集積度が向上し、電極パターンなどに1μm以下の微細化又は薄膜化が求められる状況になってきている。この微細化とは、焼結により生成された電極膜を構成する単位金属核が極めて小さいことを意味し、その結果電極膜の薄膜化と緻密化を実現できる性質を云う。しかし、上記共沈還元法によってAg−Pdなどを精製するとき、前処理過程において単分散されたAgやPdが還元析出される際の再結合により金属塊ができるため、微細粉末化するのが困難であった。また、このような合金材料を使用した導電性ペーストに対しても上述の耐熱性向上の課題は生じるため、上記の金属アルコキシドによる表面処理を合金材料に施した場合、合金化の際に生じる金属塊に表面処理膜を形成することになり熱収縮の抑制効果を十分に発揮できないといった問題があった。
従って、本発明は、焼成時の耐熱性に優れ、かつ薄膜化又は微細化に好適な導電性ペースト用素材となる微細な非合金金属粉末を提供することを第1の目的とする。本発明は、かかる非合金金属粉末から製造される、セラミックス電子部品等の多層化や高密度化に貢献できる導電性ペーストを構成可能な合金金属粉末及びその製法の提供を第2、第3の目的とする。本発明は、かかる合金金属粉末による導電性ペーストの提供を第4の目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の形態は、複数種の金属が混合状態で存在する非合金金属核の表面を金属アルコキシド層で被覆した非合金金属粉末である。
本発明の第2の形態は、複数種の金属が混合状態で存在する非合金金属核の表面を金属アルコキシド酸化物層で被覆した非合金金属粉末である。
本発明の第3の形態は、複数種の金属が合金状態で存在する合金金属核の表面を金属アルコキシド酸化物層で被覆した合金金属粉末である。
本発明の第4の形態は、前記第3の形態の合金金属粉末と、有機溶剤とを少なくとも混合した導電性ペーストである。
本発明の第5の形態は、前記第3の形態の合金金属粉末と、有機溶剤と、樹脂とを少なくとも混合した導電性ペーストである。
本発明の第6の形態は、複数種の金属が混合状態で存在する非合金金属核の表面に金属アルコキシド酸化物層を形成し、前記非合金金属核の金属を溶融させ合金化することにより合金金属粉末を製造する合金金属粉末の製造方法である。
本発明の第7の形態は、前記第6の形態において、前記非合金金属核を金属アルコキシドにより表面処理した後、酸化処理によってその金属アルコキシドを酸化して前記金属アルコキシド酸化物層を前記非合金金属核の表面に形成する合金金属粉末の製造方法である。
本発明の第8の形態は、前記第6又は7の形態において、前記金属アルコキシド酸化物層を表面に形成した前記非合金金属核を非酸化性雰囲気で加熱して前記非合金金属核の金属を溶融させ合金化することにより合金金属粉末を製造する合金金属粉末の製造方法である。
本発明の第1の形態にかかる非合金金属粉末によれば、複数種の金属が混合状態で存在する前記非合金金属核の表面を前記金属アルコキシド層で被覆したので、導電性ペースト用に合金化処理される前の段階の出発物質としての非合金金属粉末を提供することができる。
本発明の第2の形態にかかる非合金金属粉末によれば、複数種の金属が混合状態で存在する前記非合金金属核の表面を前記金属アルコキシド酸化物層で被覆したので、導電性ペースト用に合金化処理される前の段階の中間物質としての非合金金属粉末を提供することができる。
本発明の第1又は第2の形態においては、導電性ペースト用の出発物質又は中間物質として、複数種の金属が混合状態で存在する前記非合金金属核の表面を前記金属アルコキシド層又は前記金属アルコキシド酸化物層であらかじめ被覆しているため、ペースト焼成における良好な耐熱性を導電性ペーストに具備させ、形成電極膜等の熱収縮の抑制効果を有する。また、複数種の金属が混合状態で存在する前記非合金金属核の表面を前記金属アルコキシド層又は前記金属アルコキシド酸化物層であらかじめ被覆して表面処理しているため、後の工程で複数種の金属を溶融させ合金化しても、前記金属アルコキシド層の酸化により得られる前記金属アルコキシド酸化物の被覆作用により金属どうしが直接結合する割合を減少させることができ、形成膜の薄膜化又は微細化に好適な導電性ペースト用素材を提供することができる。
本発明の金属アルコキシドには、例えばチタンアルコキシドやバリウムアルコキシドなどを使用することができる。本発明の金属アルコキシド酸化物は、例えばチタンアルコキシドのチタン酸化物やバリウムアルコキシドのバリウム酸化物などである。
本発明の第3の形態にかかる合金金属粉末によれば、複数種の金属が合金状態で存在する前記合金金属核の表面を前記金属アルコキシド酸化物層で被覆したので、有機溶剤などを加えることによって、前記合金金属核を含む導電性ペーストを構成することができる、導電性ペースト用原料粉末となる合金金属粉末を提供することができる。したがって、第3の形態の合金金属粉末においては、前記金属アルコキシド酸化物層で前記合金金属核をあらかじめ被覆して表面処理を施しているため、ペースト焼成における良好な耐熱性と、形成電極膜等の熱収縮の抑制効果を導電性ペーストに具備させることができる。
しかも、例えば、本発明の第1又は第2の形態にかかる非合金金属粉末を出発物質又は中間物質として得られる金属アルコキシド酸化物層を合金化に先立って形成することにより、前記金属の表面を被覆した前記金属アルコキシド酸化物の介在により金属どうしが直接結合する割合を減少させることになり、合金化の際における金属塊の形成を抑制することができる。したがって、この金属塊発生抑制作用により、金属塊を含有が極めて少ない導電性ペーストを実現できるため、単分散による金属混合ペーストの場合に生じる金属の分散遊離もなく、電極や配線パターンなどの超微細化や薄膜化に寄与することができる。
本発明の第4の形態によれば、前記第3の形態の合金金属粉末と、有機溶剤とを少なくとも混合したので、前記合金金属核が溶解した導電性ペーストを提供することができる。
なお、本発明における前記有機溶剤として、例えば、アルコール、アセトン、プロパノール、エーテル、石油エーテル、ベンゼン、酢酸エチル、その他の石油系溶剤、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテート、ブチルカルビトール、セロソルブ類、芳香族類、ジエチルフタレートなどを使用する。
本発明の第5の形態にかかる導電性ペーストによれば、前記第3の形態の合金金属粉末と、有機溶剤と、樹脂とを少なくとも混合したので、本発明の第4の形態にかかる溶液状態の導電性ペーストに、製造現場において、バインダーとしての樹脂を適宜添加することによって、電極膜等の仕様に合致した粘性を有する導電性ペーストを自在に作製し、製造工程に使用することができる。したがって、この製造現場での利便性によって、予め多種類のペーストを購入し、用意しなくて済み、セラミックス電子部品などの製造コストの低減に寄与する。しかも、ペーストメーカ側においても、種々の導電性ペーストを在庫しておく必要もなくなり、在庫コスト削減による低価格化を実現できる。また、前記樹脂の適量添加によって、導電性ペーストの粘度を自在に調整できるため、粘度の高いペーストから低いペーストまで、市場ニーズに自在に対応できる。本発明における樹脂には、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、ブチラール、アクリル、アクリルコパイバルサム、ダンマーなどを使用する。
本発明の第6の形態にかかる合金金属粉末の製造方法によれば、本発明の第2の形態にかかる非合金金属粉末を中間物質として前記非合金金属核の金属の合金化処理するので、前記金属の表面を被覆した前記金属アルコキシド酸化物の介在により金属どうしが直接結合する割合が少なくなり、合金化の際における金属塊の形成を抑制し、金属塊が極めて少ない導電性ペースト用合金金属粉末を得ることができる。したがって、本形態にかかる合金金属粉末を用いた導電性ペーストによる膜形成により、電極や配線パターンなどの超微細化や薄膜化を実現することができる。しかも、前記金属アルコキシド酸化物による表面被覆処理がペースト焼成における良好な耐熱性を導電性ペーストに具備させ、形成電極膜等の熱収縮の抑制効果を奏する。
本発明の第7の形態にかかる合金金属粉末の製造方法によれば、本発明の第2の形態にかかる非合金金属粉末を出発物質として前記非合金金属核を金属アルコキシドにより表面処理した後、酸化処理によってその金属アルコキシドを酸化して前記金属アルコキシド酸化物層を前記非合金金属核の表面に形成するので、前記金属の表面を被覆した前記金属アルコキシド酸化物の介在により金属どうしが直接結合する割合が少なくなり、合金化の際における金属塊の形成を抑制し、金属塊が極めて少ない導電性ペースト用合金金属粉末を得ることができる。したがって、本発明の第6の形態と同様に、本形態にかかる合金金属粉末を用いたペースト膜形成により、電極や配線パターンなどの超微細化や薄膜化を実現することができる。しかも、前記金属アルコキシド酸化物による表面被覆処理がペースト焼成における良好な耐熱性を導電性ペーストに具備させ、形成電極膜等の熱収縮の抑制効果を奏する。
本発明の第8の形態にかかる合金金属粉末の製造方法によれば、本発明の第1の形態にかかる非合金金属粉末を出発物質として、あるいは本発明の第2の形態にかかる非合金金属粉末を中間物質として、前記非合金金属核の金属の合金化を行うとき、水素などの還元性ガス又は窒素ガスなどの非酸化性雰囲気において加熱、溶融処理して処理するため、良好な耐熱性と、形成電極膜等の熱収縮の抑制効果のために予め表面処理した前記金属アルコキシド酸化物層を前記合金化における加熱、溶融処理工程で毀損することなく、前記合金化により得られた前記合金金属核の表面においても前記金属アルコキシド酸化物層の被覆状態を維持させることができる。したがって、本形態においては、前記金属アルコキシド酸化物により被覆された合金金属核からなり、良好な耐熱性を備え、かつ薄膜化又は微細化を実現できる導電性ペースト用素材として好適な合金金属粉末を得ることができる。
以下に、本発明の実施形態にかかる合金金属粉末とその合金金属粉末の製法及びその合金金属粉末を目的物とする出発物質又は中間物質としての非合金金属粉末を詳細に説明する。
本発明に用いる導電性素材としての金属材料には、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)などの貴金属、銅(Cu)、ニッケル(Ni)等の卑金属であり、これらのうち複数種を合金素材として選択的に用いる。近年、半導体や電子材料のコストダウンの観点から金や銀などの貴金属材料から卑金属材料への転換が図られており、貴金属に替えてNiやCu等が電極の金属材料として使用されつつある。特に、Cu微粒子やNi微粒子といった卑金属微粒子を本発明の一金属種に使用することによって電極ペーストの大幅なコストダウンを図ることができる。なお、貴金属、卑金属以外のチタニウム(Ti)や亜鉛(Zn)などを使用してもよい。本発明において使用される金属の粒径は、μmオーダーの金属微粒子でもよいし、nmオーダーの金属超微粒子でもよい。より詳細には、1〜10μmのミクロンサイズの金属微粒子や0.1〜1μmのサブミクロンサイズの金属微粒子に限られず、1〜100nmのナノサイズの金属超微粒子も本発明では使用できる。
まず上記の金属のうちから2種類の金属、例えばAgとPd、AgとAu、AgとPt、AgとTi、AgとCu等のいずれかを用意する。これらの金属素材はあらかじめ共沈還元法などによって単体として精製されたものである。本実施形態ではこれらの2種類の金属の組み合わせからなる、後述の2元合金(例えば、Ag―Pd、Ag―Au、Ag―Pt、Ag―Ti、Ag―Cuなど)を得る場合であるが、例えばAg―Cu―Znなどのような3元合金などの多成分系合金にも本発明は適用できる。
上記の各種単体金属の金属粉末を所定の配合比でミキサー(図示せず)により攪拌しながら十分に混合し、異種単体金属が混合状態で存在する非合金金属核の非合金状態集合物を作る。各非合金金属核に対して、核表面を金属アルコキシド層で被覆し表面処理する。金属アルコキシド層には、テトラアルコキシチタンなどのチタンアルコキシド、ジエトキシバリウムなどのバリウムアルコキシド又はこれらの混合物を用いる。金属アルコキシド層の金属成分は主にグリーンシートを構成する誘電体を含むものが好ましい。グリーンシートの主成分はチタン酸バリウム(BaTiO、略称はBT)であることが多いが、この他に、チタン酸ストロンチウム(SrTiO、略称はST)、チタン酸バリウムストロンチウム((Ba/Sr)TiO)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Ti/Zr)O)、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、酸化亜鉛、アルミナ、ジルコニア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などがある。
非合金金属核の非合金状態集合物に対する金属アルコキシドの表面被覆処理は、例えば、非合金状態集合物100重量物に対して金属換算で0.1〜5重量部程度の金属アルコキシドを混合することによって行われる。これによって、出発物質として、非合金金属核の表面を金属アルコキシド層で被覆した非合金金属粉末が得られる。被覆処理の方法としては、金属粉末原料をミキサー中で予備混合した後、金属アルコキシドを必要量滴下して混合する乾式法によるもの、あるいは金属粉末原料を水や有機溶媒等に分散させ、十分に攪拌しながら金属有機化合物を必要量滴下し、その後濾過乾燥したり、又は金属有機化合物溶液に金属粉末原料を混合分散させた後濾過乾燥するなどの湿式法によるものがある。
この出発物質としての非合金金属粉末に対して、空気中もしくは酸素雰囲気中で100〜300℃にて加熱し、焼成する。この加熱・焼成により、混合状態にある各非合金金属核の表面を金属アルコキシド酸化物層で被覆した、中間物質としての非合金金属粉末が得られる。金属アルコキシド酸化物層は例えば、チタンアルコキシドの場合はTiO、TiOなどのチタン酸化物であり、バリウムアルコキシドの場合はBaO、BaOなどのバリウム酸化物である。
中間物質としての非合金金属粉末を水素ガス中の還元性雰囲気中や窒素ガスやアルゴンガス雰囲気の非酸化性雰囲気において、所定時間、加熱処理することにより、複数種の金属が混合状態で存在し、表面に金属アルコキシド酸化物層が形成された非合金金属核の金属を溶融させ合金化することによって導電性ペースト素材用合金金属粉末を得る。
非酸化性雰囲気における加熱処理の条件として、例えばAg−Pd合金の場合、図1に示すように、Ag/Pdの配合比率によって合金化加熱温度が異なる。図2はAg−Ptの合金化温度を配合比率別に示す。図3は3元合金Ag−Cu−Znの合金化温度を配合比率別に示す。
非酸化性雰囲気において合金化処理が行なわれるので、良好な耐熱性と、形成電極膜等の熱収縮の抑制効果のために予め表面処理した金属アルコキシド酸化物層は、核内の金属の加熱、溶融処理工程で毀損されず、合金化により得られた合金金属核の表面においても被覆状態を維持させることができる。したがって、金属アルコキシド酸化物により被覆された合金金属核からなり、良好な耐熱性を備え、かつ薄膜化又は微細化を実現できる導電性ペースト用素材として好適で微細な合金金属粉末を得ることができる。上記の合金化によって得られた合金金属粉末において、合金状態の金属粉末100重量部に対して金属換算で、残存する金属アルコキシド酸化物が0.1〜5重量部程度であればよい。
以上のようにして得られた合金金属粉末を用いて導電性ペーストを製造するには、合金金属粉末と有機溶剤と樹脂を混合する。溶剤には合金金属粉末を均一に分散できる全ての溶剤が使用できる。例えば、アルコール、アセトン、プロパノール、エーテル、石油エーテル、ベンゼン、酢酸エチル、その他の石油系溶剤、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ジヒドロターピネオールアセテート、ブチルカルビトール、セロソルブ類、芳香族類、ジエチルフタレートなどを使用する。また、バインダーとしての樹脂には、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、ブチラール、アクリル、アクリルコパイバルサム、ダンマーなどを使用する。樹脂配合割合はセラミックコンデンサなどの電子部品仕様の場合、ペースト全量に対して1〜50重量%である。
上記溶剤によりあらかじめ本発明にかかる合金金属粉末を溶液状態にした導電性ペースト原液は、製造現場において、上記樹脂を適宜添加することによって、電極膜等の仕様に合致した粘性を有する導電性ペーストを自在に作製し、製造工程に使用できる利便性を具備する。したがって、このような合金金属粉末の溶液状態である導電性ペースト原液を製造現場に供給することにより、予め多種類のペーストを購入し、用意しなくて済み、セラミックス電子部品などの製造コストの低減に寄与する。しかも、ペーストメーカ側においても、種々の導電性ペーストを在庫しておく必要もなくなり、在庫コスト削減による低価格化を実現できる。また、バインダー樹脂の適量添加によって、導電性ペーストの粘度を自在に調整できるため、粘度の高いペーストから低いペーストまで、市場ニーズに自在に対応できる。
本発明が対象とするセラミックス電子部品には、セラミックス回路基板、セラミックスコンデンサ、セラミックスインダクタ、セラミックス圧電素子又はセラミックスアクチュエータなどがある。これらのセラミックス電子部品の中でも、本発明は、多層セラミックス電子部品の小型化と高密度化を実現することができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含することは云うまでもない。
第1又は第2の形態の発明によれば、導電性ペースト用の出発物質又は中間物質として、複数種の金属が混合状態で存在する前記非合金金属核の表面を前記金属アルコキシド層又は前記金属アルコキシド酸化物層であらかじめ被覆しているため、ペースト焼成における良好な耐熱性を導電性ペーストに具備させ、形成電極膜等の熱収縮の抑制効果を有する、導電性ペースト用素材として用いることができる。また、複数種の金属が混合状態で存在する前記非合金金属核の表面を前記金属アルコキシド層又は前記金属アルコキシド酸化物層であらかじめ被覆して表面処理しているため、後の工程で複数種の金属を溶融させ合金化しても、前記金属アルコキシド層の酸化により得られる前記金属アルコキシド酸化物の被覆作用により金属どうしが直接結合する割合を減少させることができ、形成膜の薄膜化又は微細化に好適な導電性ペースト用素材を提供することができる。
第3の形態の発明によれば、複数種の金属が合金状態で存在する前記合金金属核の表面を前記金属アルコキシド酸化物層で被覆したので、有機溶剤などを加えることによって、前記合金金属核を含む導電性ペーストを構成することができる、導電性ペースト用原料粉末となる合金金属粉末を提供することができる。
第4の形態の発明によれば、前記第3の形態の合金金属粉末と、有機溶剤とを少なくとも混合して前記合金金属核が溶解した導電性ペースト、つまり前記合金金属粉末を前記有機溶剤均一に分散・溶解させた中間材料形態であって、製造現場での粘性等の調製が自在で利便性に富む導電性ペーストを提供することができる。
第5の形態の発明によれば、前記第3の形態の合金金属粉末と、有機溶剤と、樹脂とを少なくとも混合した導電性ペーストを提供することができる。したがって、この導電性ペーストを用いて例えば、電極膜を形成すると、電極膜の薄膜化と同時に熱収縮による断裂などを生じない良好な膜形成を実現でき、電極膜の薄層化及び微細化を通して多層セラミックス電子部品等の小型化、高密度化及び高多層化に寄与することができる。
第6の形態の発明によれば、本発明の第2の形態にかかる非合金金属粉末を中間物質として前記非合金金属核の金属の合金化処理するので、前記金属の表面を被覆した前記金属アルコキシド酸化物の介在により金属どうしが直接結合する割合が少なくなり、合金化の際における金属塊の形成を抑制し、金属塊が極めて少ない導電性ペースト用合金金属粉末を得ることができる。
第7の形態の発明によれば、本発明の第2の形態にかかる非合金金属粉末を出発物質として前記非合金金属核を金属アルコキシドにより表面処理した後、酸化処理によってその金属アルコキシドを酸化して前記金属アルコキシド酸化物層を前記非合金金属核の表面に形成するので、前記金属の表面を被覆した前記金属アルコキシド酸化物の介在により金属どうしが直接結合する割合が少なくなり、合金化の際における金属塊の形成を抑制し、金属塊が極めて少ない導電性ペースト用合金金属粉末を得ることができる。
第8の形態の発明によれば、本発明の第1の形態にかかる非合金金属粉末を出発物質として、あるいは本発明の第2の形態にかかる非合金金属粉末を中間物質として、前記非合金金属核の金属の合金化を行うとき、水素などの還元性ガス又は窒素ガスなどの非酸化性雰囲気において加熱、溶融処理して処理するため、良好な耐熱性と、形成電極膜等の熱収縮の抑制効果のために予め表面処理した前記金属アルコキシド酸化物層を前記合金化における加熱、溶融処理工程で毀損することなく、前記合金化により得られた前記合金金属核の表面においても前記金属アルコキシド酸化物層の被覆状態を維持させることができる。
本発明の実施形態の合金化温度の一例を示す図である。 本発明の実施形態の合金化温度の他の例を示す図である。 本発明の実施形態の合金化温度の別の例を示す図である。

Claims (4)

  1. Pd、Au、Pt、Ti、Cu及びZnから選択される1種以上の金属とAgが混合状態で存在する非合金金属核の表面を金属アルコキシド層で被覆した非合金金属粉末であり、酸化処理によって前記金属アルコキシド層を酸化して金属アルコキシド酸化物層を前記非合金金属核の表面に形成し、前記非合金金属核の金属を溶融させて合金金属核を形成し、前記合金金属核の表面を金属アルコキシド酸化物層で被覆した合金金属粉末を製造する出発物質又は中間物質であり、前記金属アルコキシド酸化物層が前記酸化処理において前記金属アルコキシド層を空気中又は酸素雰囲気中で加熱して焼成させた金属酸化物であることを特徴とする非合金金属粉末。
  2. Pd、Au、Pt、Ti、Cu及びZnから選択される1種以上の金属とAgが混合状態で存在する非合金金属核の表面を金属アルコキシドの酸化処理により形成された金属アルコキシド酸化物層で被覆した非合金金属粉末であり、前記非合金金属核の金属を溶融させて合金金属核を形成し、前記合金金属核の表面を前記金属アルコキシド酸化物層で被覆した合金金属粉末を製造する出発物質又は中間物質であり、前記金属アルコキシド酸化物層が前記酸化処理において前記金属アルコキシドを空気中又は酸素雰囲気中で加熱して焼成させた金属酸化物であることを特徴とする非合金金属粉末。
  3. Pd、Au、Pt、Ti、Cu及びZnから選択される1種以上の金属とAgが混合状態で存在する非合金金属核の表面に金属アルコキシド酸化物層を形成し、前記非合金金属核の金属を溶融させ合金化することにより前記金属アルコキシド酸化物層で被覆された合金金属核からなる合金金属粉末を製造する製造方法であり、前記非合金金属核を金属アルコキシドにより表面処理した後、酸化処理によって前記金属アルコキシドを空気中又は酸素雰囲気中で加熱して焼成し、金属酸化物からなる前記金属アルコキシド酸化物層を前記非合金金属核の表面に形成することを特徴とする合金金属粉末の製造方法。
  4. 前記金属アルコキシド酸化物層を表面に形成した前記非合金金属核を非酸化性雰囲気で加熱して前記非合金金属核の金属を溶融させ合金化することにより合金金属粉末を製造する請求項に記載の合金金属粉末の製造方法。
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