JP4477267B2 - Dpf搭載ディーゼルエンジン用軽油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は硫黄分含有量の少ない軽油組成物に関するもので、より詳しくはディーゼル排ガス後処理装置の1つであるパティキュレートフィルター(以下、DPFと表す)の性能を大幅に向上させ、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質(以下、PMと表す)を低減させることが可能なDPF搭載ディーゼルエンジン用軽油組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ディ−ゼルエンジン、定置型ディ−ゼルエンジン、あるいは建設機械用ディ−ゼルエンジンなどのディ−ゼルエンジンからの排ガスに含まれる有害成分として、黒色煙状態で排出され目に留まりやすい粒子状物質(PM)が昨今特に問題視されている。PMは排出ガス中の微粒子であり、燃焼によるすす(煤)や燃料または潤滑油に含まれる高沸点、高分子の未燃焼成分が排出されたものであり、大気汚染や健康被害の原因の1つとされている。現在PMは、NOxとあわせて早急な低減が求められている。これらの問題に対する自動車技術からの対策としては、ディーゼル排ガス中のPMを捕集、除去する後処理装置であるDPFの装着が最も有効であると考えられている。DPFの装着によってPMは概ね80%以上低減するといわれており、新車への装着だけでなく、使用過程車(既販車)への後付装着によるPM低減効果にも期待がもたれている。
【0003】
DPFは排ガス中からPMをろ過のようにして物理的に捕集、除去する装置であるため、ある程度PMが溜まってくると目詰まりを起こしてしまい、エンジンからの排ガスが大気に排出しにくくなってしまう。その結果、エンジン背圧の上昇を引き起こし、ひいてはエンジン諸性能の悪化だけでなく、最悪の場合には失火しストールする危険性がある。従って、ある頻度で溜まったPMを除去し、エンジン背圧を低減させてDPFを再生させる必要がある。
DPF再生方法としては、一定の走行距離ごとに新品または再生済みのDPFと交換する方法(交互再生式)と、酸化反応を持つ触媒機能を付加させ、捕集したPMを強制燃焼させて除去する方法(連続再生式)とが挙げられる。前者はエンジンから排出されるPM量が多い場合は交換頻度が多くなりメンテナンス性能が悪くなる。また、複数のDPFを車両に搭載し、交互に使用・再生を繰り返す方式もあるものの、再生技術の問題もさることながら、車両に複数のDPFを搭載すること自体、スペース上の問題が大きく、実用には向いていない。後者は化学反応を利用するため、排ガス中の組成の影響や排気温度の影響が大きくなる。特に日本の都市部のような渋滞が多い環境では排気温度があまり高くならないため、再生機能を維持するのに十分な組成・温度条件を維持できず、DPFの連続再生機能が働かなくなる場合が多い。またディーゼル商用車は数十万kmの走行を前提としているため、長期間に渡る連続再生式DPFの耐久性能に関しても、交互再生式以上に未知な点が多い。
【0004】
また、燃料の硫黄分から派生する硫黄酸化物がPM構成要素の1つ(サルフェート)であり、触媒反応を有する装置における被毒並びに再生性能、耐久性能低下の原因であるため、DPF使用時にはより低硫黄含有量の軽油が求められている。さらに、最近は高圧かつ高精度な燃料噴射を可能とする電子制御式燃料噴射ポンプ(例えば、コモンレール型、高圧分配型、高圧列型、ユニットインジェクタ型、PLD型等)がディーゼルエンジンに採用されてきている。これはDPFとの組み合わせた装着を前提にしている場合も多い。この噴射ポンプにおいては高圧条件下で電磁弁による噴射制御が必要となるため、使用に際しては潤滑性能に優れ、電子制御化された燃料噴射率に誤差を及ぼしにくい特性を持ち、また夾雑物や低温条件下でのワックスを抑制した軽油が求められている。従って、今後一層厳しくなると予想される排ガス規制、特にPM低減要望に対応するためにはDPFの装着と燃料の更なる改善のための早急な検討が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
DPFを採用する場合には、上記のような問題の他にもいくつかの問題が考えられる。交互再生式DPFの場合は、例えば、DPF自体の熱溶損、またPM堆積によりDPFが使用不可になった際の、交換および再生頻度の多さ、交換および再生作業の繁雑さ、交換再生作業に関わる多額の費用の問題等が挙げられる。また連続再生式DPFの場合は、例えば、エンジンからのPM排出量が多すぎる場合には連続再生機能が上手く働かなくなること、その際に堆積したDPFが瞬時に燃焼することに起因する熱溶損の発生、DPF本体の耐久性と連続再生機能の耐久性が未知数であること、燃料中の硫黄分が多い場合には触媒機構に対する被毒および触媒反応性能の低下、これが転じて連続再生機能が働かなくなること、硫黄分以外の燃料性状による再生性能への影響等が挙げられる。また、燃料性状がDPFの性能を左右する電子制御式高圧燃料噴射ポンプの燃料噴射精度に及ぼす影響も重要な因子である。これらは現在においても検討段階であるが、燃料の品質改善を行うことでエンジン内の燃焼結果を変化させて、PM低減とDPF性能向上の両立がはかれる燃料の品質改善手法の確立は、早急でかつ低コストな対策として非常に有効である。
本発明は、かかる実状に鑑みて開発されたものであり、その目的は、DPFを搭載したエンジン、車両からの排ガス改善、特にPMを大幅に低減させることが可能であり、かつDPFをより効果的に稼動させることが可能な軽油組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、硫黄分含有量が50質量ppm以下の軽油組成物を1平方インチあたりのセル数が100〜1000のDPFを搭載するディーゼルエンジンに使用するにあたり、搭載するDPFのセル数に応じ、軽油組成物の90%留出温度(T90)が下記式を具備する蒸留性状を有し、灰分が検出限界以下、セタン指数が45以上、セタン価が45以上、そして体積弾性率が1300MPa以上1600MPa以下である軽油組成物を用いることを特徴とするDPF搭載ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質を低減させる方法にある。
240℃≦T 90 ≦−22×LN((A−90)/(7.9×10 7 ))℃
(Aは使用するDPFの1平方インチあたりのセル数を示し、LNは自然対数を示す。)
本発明においては、軽油組成物は、さらに2環以上の多環芳香族分含有量が5容量%以下であり、30℃における動粘度が1.7mm2/s以上、潤滑性能がHFRR摩擦痕径による測定で400μm以下、及び流動点が−5℃以下であることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のDPF搭載ディーゼルエンジン用軽油組成物(以下、単に軽油組成物と称する場合がある)は、その硫黄分含有量が50質量ppm以下の軽油組成物を対象とする。50質量ppmを超える場合は、排ガス後処理装置の耐久性の悪化やPM排出量の増加を招く恐れがある。硫黄分含有量は30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることがさらに好ましい。特に、後述する触媒燃焼反応、酸化触媒反応を連続再生方式に適用したDPFを用いる場合には、硫黄分含有量が10質量ppm以下であることが好ましく、5質量ppm以下であることがさらに好ましい。ここで硫黄分含有量とは、JIS K 2541「硫黄分試験方法」により測定される軽油組成物全量基準の硫黄分の含有量を意味する。
【0008】
本発明の軽油組成物をディーゼルエンジンに使用する場合、装着したDPFの種類、とりわけ1平方インチあたりのセル数(孔数)との関係において、PMの捕集、除去能力、及びDPFの再生性能に差が生じてくる。本発明者の検討では、用いた軽油組成物の蒸留性状における90%留出温度(T90)(T90は、軽油組成物の性状をより特徴付けることができる温度)とDPFの1平方インチあたりのセル数(孔数)とが特定の関係、即ち、T90増減によるDPFの背圧上昇抑制及び捕集、除去、再生効果がDPFセル数増減と自然対数的関係にある場合に、DPFへのPM堆積量並びにエンジン背圧上昇を抑制し、十分なPM捕集、除去性能を達成でき、かつDPFをより良好な状態で使用、再生できることを見出した。従って、本発明の軽油組成物では、その蒸留性状における90%留出温度(T90)は、DPFの種類(セル数)により下記関係式を満たすように調整される。
T90℃≦−22×LN((A−90)/(7.9×107))℃
上記Aは使用するDPFの1平方インチあたりのセル数を示し、LNは自然対数を示す。ここで90%留出温度(T90)は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」によって測定される値を意味する。
本発明の軽油組成物は、その蒸留性状における90%留出温度(T90)は、その上限が上記のような使用する特定のDPFのセル数との関係において調整されるが、その下限は、240℃以上であることが好ましく、更に好ましくは、270℃以上である。
【0009】
本発明の軽油組成物の飽和分、オレフィン分および芳香族分の各含有量について特に制限はないが、下記の含有量を満たすことが望ましい。
飽和分含有量 :60〜100容量%
オレフィン分含有量 :0〜5容量%
芳香族分含有量 :0〜40容量%
本発明の軽油組成物の飽和分含有量は、排出ガス中のNOxおよびPMの各濃度を低下させるうえで、60容量%以上であることが好ましく、より好ましくは65容量%以上、より好ましくは70容量%以上、最も好ましくは75容量%以上である。一方、JIS2号軽油に相当する蒸留性状を持つ本発明の軽油組成物の場合は、低温始動性および低温運転性を良好に維持するうえで、飽和分含有量は好ましくは95容量%以下、より好ましくは90容量%以下、より好ましくは85容量%以下である。
【0010】
本発明の軽油組成物のオレフィン分含有量は、当該組成物の安定性の観点から、0〜5容量%であることが好ましく、より好ましくは0〜1容量%である。
【0011】
本発明の軽油組成物の芳香族分含有量は、この芳香族分含有量が排ガスに含まれるNOxおよびPMの各濃度に関係することから、この含有量は40容量%以下であることが好ましく、より好ましくは35容量%以下、より好ましくは30容量%以下、最も好ましくは25容量%以下である。また、芳香族分含有量のうち2環以上の多環芳香族分含有量は5容量%以下であることが好ましい。2環以上の多環芳香族分含有量が増加すると、排ガス中のNOx、PM排出量の増加に影響を及ぼす場合があるため、より好ましくは3容量%以下、より好ましくは2容量%以下である。
【0012】
ここで飽和分含有量、オレフィン分含有量および芳香族分含有量は、JIS K 2536に規定する「石油製品−成分試験方法」の蛍光指示薬吸着法に準拠して測定される飽和分、オレフィン分および芳香族分の容量百分率(容量%)を意味する。
【0013】
本発明の軽油組成物において、灰分は検出限界以下である必要がある。具体的には、灰分は0.01質量%以下である。灰分が含まれていると、エンジンでの燃焼過程中にそれ自体がPMの核となりPM生成を増加させる可能性がある。また、灰分として排出された場合においても、それ自体がDPFに堆積してしまい、DPFの性能低下を招いてしまう場合がある。さらには、燃料噴射系に対する悪影響も考えられる。
ここで灰分は、全てJIS K 2272「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方法」によって測定される値を意味する。
【0014】
本発明の軽油組成物のセタン指数は、45以上であることが必要である。セタン指数が45に満たない場合には、排出ガス中のNOx、PM、アルデヒド等の濃度が高くなる恐れがある。本発明では、そのセタン指数は47以上であることが好ましく、48以上であることがより好ましく、50以上であることが最も好ましい。
ここでセタン指数とは、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」の「8.4変数方程式を用いたセタン指数の算出方法」によって算出した価を意味する。なお、上記JIS規格におけるセタン指数は、セタン価向上剤を添加したものに対しては適用されないが、本発明ではセタン価向上剤を添加したもののセタン指数も、上記「8.4変数方程式を用いたセタン指数の算出方法」によって算出した値を意味する。
【0015】
本発明の軽油組成物においては、排出ガス中のNOx、PM、アルデヒド等の各濃度をより低減させるために、そのセタン価は45以上であることが必要である。セタン価は48以上であることが好ましく、52以上であることがより好ましい。
ここでセタン価とは、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」の「7.セタン価試験方法」に準拠して測定されるセタン価を意味する。
【0016】
本発明の軽油組成物は、その体積弾性率は1300〜1600MPaである必要がある。
一般に軽油のような圧縮性のある流体に高い圧力を加えた場合、その時の温度、圧力に応じて流体自身が圧縮し、密度(質量流量あたりの体積)が変化する性質を有する。本発明では、このような流体の有する圧縮弾性率を体積弾性率(単位はMPa)と定義する。ディーゼル燃料噴射を想定した場合、燃料流体に対する体積弾性率は、燃料がおかれている雰囲気の温度、圧力と同時に燃料自身の物理特性、組成に応じた一定の割合で変化する。従って、電子制御式燃料噴射ポンプのように高圧で高精度な噴射特性を持つ噴射系において、設定通りの燃料噴射量や噴射率を維持するためには、体積弾性率が安定した数値を示す燃料が望ましい。本発明の軽油組成物は、その体積弾性率が1300〜1600MPaであり、1300〜1500MPaであることが好ましく、1350〜1450MPaであることがより好ましい。
【0017】
体積弾性率は一つの燃料物理特性、組成によって支配されるものではなく、複数の物理特性、組成の影響を複合的に受けた結果として定義されるものであるため、他の物理特性、組成と並行して捉えるべき燃料特性と考えることが技術的見地から妥当である。体積弾性率の測定方法については、現時点において決まった公定方法は存在しないが、本発明における体積弾性率は、図1に示す装置を用いて測定した値を意味する。以下にその概要を説明する。
【0018】
図1は、ディーゼル燃料噴射ノズル2を備えた場合の体積弾性率測定装置1を模式的に示す図である。図1において、3は定容容器、4は温度センサ、5は圧力センサ、6は供給弁、7は排出弁、及び8は定容積ピストンをそれぞれ示す。定容容器3は、温度、圧力変化に伴う容器自体の容積変化が、同じ環境の変化における軽油の容積変化に対して十分小さいことが実証できる材料および構造からなる。また定容積ピストン8も温度、圧力変化に伴うピストン自体の容積変化が、同じ環境の変化における軽油の容積変化に対して十分小さいことが実証できる材料および構造からなる。これらの材料としては、例えば、機械構造用炭素鋼鋼材(JIS G 4051)、ニッケルクロム鋼鋼材(JIS G 4102)、及び高炭素クロム軸受鋼鋼材(JIS G 4805)を挙げることができる。まず、定容容器3の中に測定対象となる軽油を封入する。このとき容器内は測定対象軽油だけで満たされている必要がある。この定容容器3に定容積のピストン8を挿入し、容器内容積を変化させる。測定対象の軽油はその圧縮弾性特性に従い圧縮されるため、結果として容器内の圧力が変化することになる。この圧力を測定することにより、体積弾性率を算出することができる。
【0019】
本発明の軽油組成物の30℃における動粘度は1.7mm2/s以上であることが好ましい。その動粘度が1.7mm2/sに満たない場合は、燃料噴射ポンプ側の燃料噴射時期制御が困難になる心配があり、またエンジンに搭載された燃料噴射ポンプの各部における潤滑性が損なわれる可能性がある。この動粘度は1.72mm2/s以上であることがより好ましく、1.73mm2/s以上であることがより好ましく、1.75mm2/s以上であることがより好ましく、1.78mm2/s以上であることがより好ましく、1.80mm2/s以上であることが最も好ましい。
一方、本発明の軽油組成物の30℃における動粘度の上限値については特に制限は無いが、排出ガス中のPM濃度をより一層低減させるために、3.5mm2/s以下であることが好ましく、3.0mm2/s以下であることがより好ましく、2.5mm2/s以下であることがより好ましく、2.4mm2/s以下であることがより好ましく、2.2mm2/s以下であることが最も好ましい。
ここで動粘度とはJIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」により測定される動粘度を指す。
【0020】
本発明の軽油組成物は、その潤滑性能がHFRR摩耗痕径(WS1.4)による測定値が400μm以下であることが好ましい。潤滑性能が低い場合は、特に分配型燃料噴射ポンプを搭載したディーゼルエンジンにおいて、運転中のポンプの駆動トルク増、ポンプ各部の摩耗増を引き起こし、排ガス性能の悪化のみならずエンジン自体が破壊される恐れがある。また、高圧噴射が可能な電子制御式燃料噴射ポンプにおいても、摺動面等の摩耗が懸念されている。本発明の軽油組成物は、その潤滑性能がHFRR摩耗痕径(WS1.4)による測定値が、380μm以下であることがより好ましい。
ここで潤滑性能およびHFRR摩耗痕径とは、社団法人石油学会から発行されている石油学会規格JPI−5S−50−98「軽油−潤滑性試験方法」により測定される値を意味し、潤滑性能を表す指標となる。
【0021】
本発明の軽油組成物は、その流動点が−5℃以下であることが好ましい。低温始動性ないしは低温運転性の観点、並びに電子制御式燃料噴射ポンプにおける噴射性能維持の観点から、その流動点は−10℃以下であることがより好ましく、−20℃以下であることがより好ましい。
ここで流動点とは、JIS K 2269「原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法」により測定される流動点を意味する。
【0022】
本発明の軽油組成物の15℃における密度については特に制限はない。しかし、燃料消費率および加速性の面を考慮すると、その値は780kg/m3以上であることが好ましい。一方、排出ガス中のPM濃度をより低下させるためには、15℃における密度は、840kg/m3以下であることが好ましく、835kg/m3以下であることがより好ましく、830kg/m3以下であることがより好ましく、820kg/m3以下であることがより好ましく、815kg/m3以下であることが最も好ましい。
ここで密度とはJIS K 2249「原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」により測定される密度を指す。
【0023】
本発明の軽油組成物は、その目詰まり点については特に制限はない。しかし、組成物の目詰まり点は−1℃以下であることが好ましく、−5℃以下であることがより好ましく、−12℃以下であることがより好ましく、−19℃以下であることが最も好ましい。
ここで目詰まり点とはJIS K 2288「軽油−目詰まり点試験方法」により測定される目詰まり点を意味する。
【0024】
本発明の軽油組成物には、45以上のセタン価を示す軽油を得るためにセタン価向上剤を添加することが好ましい。
セタン価向上剤は、当業界でセタン価向上剤として知られる各種の化合物を使用することができ、例えば、硝酸エステルや有機過酸化物等が使用可能である。本発明では、硝酸エステルを用いることが好ましい。硝酸エステルには、2−クロロエチルナイトレート、2−エトキシエチルナイトレート、イソプロピルナイトレート、ブチルナイトレート、第一アミルナイトレート、第二アミルナイトレート、イソアミルナイトレート、第一ヘキシルナイトレート、第二ヘキシルナイトレート、n−ヘプチルナイトレート、n−オクチルナイトレート、2−エチルヘキシルナイトレート、シクロヘキシルナイトレート、及びエチレングリコールジナイトレートなどの種々のナイトレート等が包含される。これらの中でも、炭素数6〜8のアルキルナイトレートが好ましい。セタン価向上剤は、1種の化合物を単独で用いても良く、2種以上の化合物を組み合わせて用いても良い。
【0025】
本発明の軽油組成物においては、45以上のセタン価を得るために、また排出ガス中のNOx濃度、PM濃度、アルデヒド濃度等を十分満足できる程度に低下させるために、セタン価向上剤は、組成物全量基準で500質量ppm以上含有されていることが好ましい。セタン価向上剤の含有量は、600質量ppm以上であることが好ましく、700質量ppm以上であることがより好ましく、800質量ppm以上であることがより好ましく、900質量ppm以上であることが最も好ましい。一方、セタン価向上剤の含有量は軽油組成物全量基準で1400質量ppm以下であることが好ましく、1250質量ppm以下であることがより好ましく、1100質量ppm以下であることがより好ましく、1000質量ppm以下であることが最も好ましい。
なお、セタン価向上剤と称して市販されている商品は、セタン価向上剤を適当な溶剤で希釈した状態で入手されるのが通例である。こうした市販品を使用して本発明の軽油組成物を調製する場合には、軽油組成物中の好ましいセタン価向上剤の含有量が、組成物全量基準で500質量ppm以上となるように用いることが好ましい。
【0026】
本発明の軽油組成物においては、上記セタン価向上剤以外の添加剤を必要に応じて配合することができる。特に、潤滑性向上剤および/または清浄剤を配合することが好ましい。
潤滑性向上剤としては、例えば、カルボン酸系、エステル系、アルコール系およびフェノール系の各潤滑性向上剤を挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を任意に使用可能である。これらの中でも、カルボン酸系、エステル系の潤滑性向上剤が好ましい。
カルボン酸系の潤滑性向上剤としては、例えば、リノ−ル酸、オレイン酸、サリチル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ヘキサデセン酸及びこれらのカルボン酸の2種以上の混合物を挙げることができる。
エステル系の潤滑性向上剤としては、例えば、グリセリンのカルボン酸エステルが挙げられる。カルボン酸エステルを構成するカルボン酸は、1種であっても2種以上であってもよく、その具体例としては、リノ−ル酸、オレイン酸、サリチル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、及びヘキサデセン酸等を挙げることができる。
【0027】
潤滑性向上剤の配合量には特別な制限はない。しかし、HFRR摩耗痕径による測定で400μm以下の潤滑性能を維持させるため、また、配合した潤滑性向上剤の効能を引き出すため、具体的には、分配型噴射ポンプを搭載したディーゼルエンジンにおいて、運転中のポンプの駆動トルク増を抑制し、ポンプの摩耗を低減させるためには、潤滑性向上剤の配合量は、組成物全量基準で35質量ppm以上であることが好ましく、50質量ppm以上であることがより好ましい。またそれ以上加えても添加量に見合う効果が得られないことから、配合量は、150質量ppm以下であることが好ましく、105質量ppm以下であることがより好ましい。
【0028】
清浄剤としては、例えば、イミド系化合物;ポリブテニルコハク酸無水物とエチレンポリアミン類とから合成されるポリブテニルコハク酸イミドなどのアルケニルコハク酸イミド;ペンタエリスリトールなどの多価アルコールとポリブテニルコハク酸無水物から合成されるポリブテニルコハク酸エステルなどのコハク酸エステル;ジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、及びビニルピロリドンなどとアルキルメタクリレートとのコポリマーなどの共重合系ポリマー;カルボン酸とアミンの反応生成物などの無灰清浄剤を挙げることができる。これらの中から選ばれる任意の1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、アルケニルコハク酸イミドおよびカルボン酸とアミンとの反応生成物の使用が好ましい。
【0029】
アルケニルコハク酸イミドを使用する場合の例としては、分子量1000〜3000程度のアルケニルコハク酸イミドを単独使用する場合と、分子量700〜2000程度のアルケニルコハク酸イミドと分子量10000〜20000程度のアルケニルコハク酸イミドを混合使用する場合を挙げることができる。
【0030】
カルボン酸とアミンとの反応生成物を構成するカルボン酸は1種であっても2種以上であってもよく、その具体例としては、炭素数12〜24の脂肪酸および炭素数7〜24の芳香族カルボン酸等を挙げることができる。炭素数12〜24の脂肪酸には、例えば、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、炭素数7〜24の芳香族カルボン酸には、例えば、安息香酸、サリチル酸等が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、カルボン酸とアミンとの反応生成物を構成するアミンは1種であっても2種以上であってもよい。アミンとしては、例えば、オレイルアミンが代表的であるが、これに限定される訳ではなく、各種アミンが使用可能である。
【0031】
清浄剤の配合量にも特別な制限はない。しかし、清浄剤を配合した効果、具体的には、燃料噴射ノズルの閉塞抑制効果を引き出すためには、清浄剤の配合量を組成物全量基準で30質量ppm以上とすることが好ましく、60質量ppm以上とすることがより好ましく、80質量ppm以上とすることがより好ましい。30質量ppmに満たない量を添加しても効果が現れない可能性がある。一方、配合量が多すぎても、それに見合う効果が期待できず、逆にディーゼルエンジン排出ガス中のNOx、PM、アルデヒド等を増加させる恐れがあることから、清浄剤の配合量は300質量ppm以下であることが好ましく、180質量ppm以下であることがより好ましい。
なお、先のセタン価向上剤の場合と同様、潤滑性向上剤または清浄剤と称して市販されている商品は、それぞれ潤滑性向上または清浄に寄与する有効成分が適当な溶剤で希釈された状態で入手されるのが通例である。こうした市販品を本発明の軽油組成物に配合した場合にあっては、潤滑性向上剤および清浄剤に関して上述した配合量は、有効成分としての配合量を意味している。
【0032】
本発明の軽油組成物には、その性能をさらに高める目的でその他の公知の燃料油添加剤を単独で、または数種類組み合わせて添加することもできる。これらの添加剤としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アルケニルコハク酸アミドなどの低温流動性向上剤;フェノール系、アミン系などの酸化防止剤;サリチリデン誘導体などの金属不活性化剤;ポリグリコールエーテルなどの氷結防止剤;脂肪族アミン、アルケニルコハク酸エステルなどの腐食防止剤;アニオン系、カチオン系、両性系界面活性剤などの帯電防止剤;アゾ染料などの着色剤;シリコン系などの消泡剤などを挙げることができる。
上記の添加剤の添加量は任意に決めることができるが、添加剤個々の添加量は、軽油組成物全量基準でそれぞれ0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以下であるのが通常である。
【0033】
本発明の軽油組成物は任意の方法で製造することができる。典型的には、ベース軽油に、必要に応じてセタン価向上剤と潤滑油向上剤、清浄剤、その他の添加剤を所定量配合して製造される。
ベース軽油としては、例えば、原油の常圧蒸留装置から得られる直留軽油;常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置にかけて得られる減圧軽油;減圧蒸留装置から得られる減圧軽油を水素化精製して得られる水素化精製軽油;減圧蒸留装置から得られる減圧軽油等を水素化分解して得られる水素化分解軽油;直留軽油を通常の水素化精製より苛酷な条件で一段階または多段階で水素化脱硫して得られる水素化脱硫軽油;脱硫または未脱硫の減圧軽油、減圧重質軽油あるいは脱硫重油を接触分解して得られる接触分解軽油;原油の常圧蒸留により得られる直留灯油;直留灯油を水素化精製して得られる水素化精製灯油;天然ガスや石炭ガスなどを原料としこれを化学合成させることで得られる合成軽油および合成灯油;直留原油の常圧蒸留によって得られる軽油留分を分解して得られる分解灯油などの1種もしくは2種以上が使用可能である。
ベース軽油の硫黄分含有量が50質量ppmを越えている場合には、添加剤等の配合に先立って、水素化精製などの適当な手段で硫黄分含有量を50質量ppm以下に低減させる脱硫処理がベース軽油には施される。
【0034】
次に、本発明の軽油組成物で規定されるDPFについて説明する。
本発明におけるDPFとは、ディーゼル排ガス後処理装置の一つであるパティキュレートフィルターのことであり、装着によって排出ガス中のPMを捕集、除去し、その排出量を低減させる装置を云う。DPFはディーゼルエンジンの排気マニホールドから大気放出部(テールバルブ)間の排ガスラインの中に装着される。DPFには様々な種類があるが、その種類によってはPM以外の成分、例えば、未燃炭化水素や一酸化炭素、有害大気汚染物質であるアルデヒド類、更には窒素酸化物等を削減できるものも存在する。また、DPFは単独で装着される場合だけでなく、他の排ガス後処理装置及びDPFの機能により効果的に作用させるための装置との組み合わせで装着される場合もある。その際、DPF本体と他の装置とが一体化しているもの、複数に分割しているもの等形態は複数存在する。また、DPFは、本来のPM低減目的以外に未燃炭化水素や一酸化炭素などの排ガス低減装置として、排気マフラー、サイレンサー、排気温度低下装置の代替品として使用される場合もある。従って、本発明の軽油組成物は、DPFの種類及び仕様、DPFの装着状況、DPFの使用方法等に拘わらずDPFを搭載したディーゼルエンジンを対象に用いることができる。
【0035】
本発明で用いるDPFの仕様に関して特に限定はない。従って、現在検討されているもの、あるいはまた現在研究開発が進められている新規のものを利用することができる。
具体的には、DPFとしては、下記の仕様のものを挙げることができる。フィルタ部の材料の例としては、コージェライト、炭化珪素、多孔体金属、金属繊維等が挙げられる。フィルタ形状の例としては、モノリスハニカム状、不織布蛇腹状、多重円筒状等が挙げられる。
DPFの1平方インチあたりのセル数(孔数)Aについては、例えば、市販品及び研究開発品も含めて100〜1200の種々のものが存在するが、一般にはセル数が著しく多いと背圧の上昇を招き、著しく少ないとPM捕集能力が低下する。
また、セル数に応じて、また技術的根拠を持ってセル間壁厚やセル自体の大きさ(セル径)は変化するが、これらの厚み、大きさについては特に制限はない。ただし、適用するDPF上のセル径が均一でない場合は、そのDPF上の最小のセル径に応じた本発明の軽油組成物を適用することが好ましい。
セルの形状の例としては、四角形、六角形等の多角形、円形、不均等形等が挙げられる。
DPFの捕集および再生機構の例としては、交換式、交互式、順送り式、連続式、手動式等が挙げられる。
DPFの再生方式の例としては、電気ヒータ式、バーナ式、触媒燃焼式、逆洗浄式、酸化触媒式、燃料添加剤式等が挙げられる。
DPFの制御方式の例としては、背圧式、時間式、排気温度式、エンジン回転速度式、エンジン負荷式、排ガス式、堆積量検出式等、及びこれらの方式を複数組み合わせた制御方式を挙げることができる。
【0036】
本発明の軽油組成物をDPF搭載ディーゼルエンジンに用いる場合、これと組み合わせて用いるエンジン用潤滑油についても特に制限なく用いることができる。しかし、潤滑油に含まれる硫酸灰分については、この成分が多く含まれると潤滑部分からシリンダ内に進入した灰分がエンジンでの燃焼過程中にその自体がPMの核となり、PM生成を増加させる可能性がある。又灰分として排出された場合でも其れ自体がDPFに堆積してしまい、DPFの性能低下を招いてしまう場合がある。従って、本発明の軽油組成物と組み合わせて使用するエンジン用潤滑油中の硫酸灰分は1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、0.7質量%以下であり、最も好ましくは、0.4質量%以下である。ここで硫酸灰分は、JIS K 2272「原油及び石油製品の灰分並びに硫酸灰分試験方法」によって測定される値を意味する。
【0037】
【実施例】
以下に実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0038】
表1に示す組成、性状を有する各軽油組成物(A〜J、及びa)を調製した。軽油組成物(A〜J)は、本発明で規定する軽油組成物の組成、性状をみたすものであり、軽油組成物aは、組成中の硫黄分の要件を除いて本発明で規定する軽油組成物の組成、性状をみたすものである。但し、90%留出温度(T90)については、用いるDPFのセル数によって特定されるためこの限りではない。
【0039】
【表1】
【0040】
下記のディーゼルエンジンに3種類の異なるDPF(DPF−1〜3:セル数も異なる)を搭載した。そして搭載したDPFの種類のセル数に対して各々上記各軽油組成物(A〜J、及びa)を用いて、下記の(1)DPF性能改善効果判定試験試験及び(2)PM濃度測定試験を行った。それらの試験結果を表2〜4に示す。
(DPFの種類)
DPF−1:コージェライトハニカム製交互再生式DPF
DPF−2:触媒反応を利用した連続再生式DPF
DPF−3:DPF−2とは異なる触媒反応を利用した連続再生式DPF
(エンジン諸元)
エンジン種類:自然吸気式直列4気筒ディ−ゼル
排気量 :5.1L
内径×行程:114mm×130mm
圧縮比 :19.2
最高出力 :107kW/2900rpm
最高トルク:373Nm/1700rpm
規制適合 :平成6年度排ガス規制適合
【0041】
(1)DPF性能改善効果判定試験
上記エンジンにDPFを装着し、ディーゼル13モード(以下、D13モードと表す)で規定される40%回転数、60%回転数において、負荷をそれぞれ0%から100%まで階段状に変化させた。その時のエンジン背圧並びにDPF前後の差圧を測定し、背圧および差圧の変化、並びにDPFに堆積したPM量と再生が必要になるまでの連続使用時間等を鑑みて、DPF性能改善効果の判定を行った。
【0042】
各判定の基準は以下の通りであるが、最終判定結果は、上記の測定結果ならびに従来までの知見を総合して判断した。また、供試したDPFのうち連続再生式DPFの場合は、実施例においては、その連続再生機能に問題は見られなかったことも判定の際加味した。
【0043】
(2)PM濃度測定試験
上記エンジンにDPFを装着し、D13モード試験を実施した。そして旧運輸省監修新型自動車審査関係基準集別添「ディーゼル自動車13モード排出ガス測定の技術規準」に準拠した部分希釈トンネル法を用いた排ガス希釈によりPMサンプルの濃度測定を行った。測定結果は、DPFを搭載していないエンジンに軽油組成物Gを用いた場合の試験結果を100とした場合の相対値で示した。なお、実施例においては、触媒反応機構を有するDPF使用時のPM中サルフェート分の著しい増加は認められなかった。
【0044】
【表2】
【0045】
表2に示す結果から、ディーゼルエンジンにDPF−1を搭載した場合、用いた軽油組成物の90%留出温度(T90)が、そのセル数との関係式:T90≦−22×LN((A−90)/(7.9×107))℃(Aは1平方インチあたりのセル数を示し、LNは自然対数を示す。)を満たす場合には、DPF性能改善効果が見られ、またPM濃度も低減できることがわかる。
具体的には、実施例1に見られるように、軽油組成物Aを用いた場合には、DPF−1のセル数が100〜1000の広い範囲でDPF性能改善効果が見られ、またPM濃度も低減できることがわかる。また軽油組成物B〜Jを用いた場合には、実施例2〜10及び比較例1〜9に見られるように、軽油組成物の90%留出温度がDPF−1のセル数をパラメータとする特定の関係式を満たす場合にのみDPF性能改善効果、及びPM濃度低減効果が得られることがわかる。一方、軽油組成物aを用いた場合には、比較例10に見られるように、DPF−1のセル数がいずれの範囲にあってもDPF性能改善効果が見られず、またPM濃度は、軽油組成物GをDPFを搭載しないで用いた場合(100)と比べるとPM低減効果は得られるもののその効果は、本発明の実施例に比べて低いことがわかる。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
表3及び表4に示す結果からも明らかな様に、DPF−2、3を用いた場合においても特定のセル数に合せて調整された90%留出温度を有する軽油組成物を用いることでDPF性能改善効果、及びPM濃度低減効果が得られることが示されている。
【0049】
【発明の効果】
本発明の軽油組成物は、その90%留出温度がディーゼルエンジンに搭載されたDPFの特にPM捕集除去性能、再生性能を最適な状態に維持させるように、そのDPFのセル数をパラメータとする特定の関係式を満たすように調整されており、かつDPFの性能を更に向上させるようにその性状、物性が調整されているため、PMを大幅に低減できると共にDPFを効率よく、かつ効果的に稼動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】体積弾性率を測定するための装置を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 体積弾性率測定装置
2 燃料噴射ノズル
3 定容容器
4 温度センサ
5 圧力センサ
6 供給弁
7 排出弁
8 ピストン
Claims (2)
- 硫黄分含有量が50質量ppm以下の軽油組成物を1平方インチあたりのセル数が100〜1000のDPFを搭載するディーゼルエンジンに使用するにあたり、搭載するDPFのセル数に応じ、軽油組成物の90%留出温度(T90)が下記式を具備する蒸留性状を有し、灰分が検出限界以下、セタン指数が45以上、セタン価が45以上、そして体積弾性率が1300MPa以上1600MPa以下である軽油組成物を用いることを特徴とするDPF搭載ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質を低減させる方法。
240℃≦T 90 ≦−22×LN((A−90)/(7.9×10 7 ))℃
(Aは使用するDPFの1平方インチあたりのセル数を示し、LNは自然対数を示す。) - 軽油組成物が、さらに2環以上の多環芳香族分含有量が5容量%以下であり、30℃における動粘度が1.7mm2/s以上、潤滑性能がHFRR摩擦痕径による測定で400μm以下、及び流動点が−5℃以下の性状を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
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