JP4477254B2 - キャリアテープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の部品を収納して搬送し、組み立てラインに供給するのに用いられるキャリアテープに関するものであり、特には、携帯端末等の入力部品であるボタンスイッチ等、コイルブロック、モジュール部品等の各種異形部品を収納するのに適した部品搬送用のキャリアテープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のキャリアテープは、ICやLSI等の半導体パッケージ、コイル、スイッチ、アルミ電解コンデンサー等のコンデンサー部品、抵抗器等の各種電子部品を収納し、電子部品の工場間の搬送や工程内での保管、並びに表面実装機等が使用される組み立てラインに収納した電子部品を供給するのに使用されている。また、前記電子部品は、比較的小型で厚さが薄いため、従来のキャリアテープの収納部は、比較的深さが浅い。
【0003】
ところが近年、携帯電話等の入出力部品であるボタンスイッチ等、回路基板、コイルブロック等の前記電子部品に比べて大型な種々の異形部品を安全に搬送したり、自動組み立てラインに供給する際にも、キャリアテープが使用されるようになってきた。
【0004】
前記異形部品用のキャリアテープとしては、登録実用新案第3012490号公報に記載されているようなプレス成形、真空成形、ロータリー成形、圧空成形等の方法を用い、収納部の側壁が開口部側に向かって2段階に拡開され、1段階目の側壁に収納部の強度を補強する補強リブを設けたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図6に示すように、キャリアテープ60の収納部61に前記異形部品を収納する場合、収納部61の開口部が大きく且つ深さが深くなるので、収納部61の底面62の角部63近傍の肉厚が薄くなって白化したり、潰れたりたりして、前記公報のように補強リブを設けないと、収納部61の強度の低下を招くという問題があった。
【0006】
更に、キャリアテープの収納部に補強リブを設ける場合、金型構造を複雑にすると共に、前記補強リブを成形する金型の凸部品の耐久性が問題となり、生産効率が悪くなるという問題があった。
【0007】
また、開口部が広く、深さが深い収納部を形成するには、プレス成形法や真空成形法では限界絞り値があるため、圧空成形法を用いなければならず、この場合、従来の生産設備が使えない場合があるという問題があった。
【0008】
また、従来のキャリアテープでは、その収納部の底面に繋がる第一の側壁に連続して開口部側に一律に拡開する第二の側壁を設けていたので、第二の側壁の傾斜角度が小さいために、収納部の開口部の面積が大きくなり、キャリアテープが幅広になったり、収納部のピッチが大きくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたもので、異形部品を収納でき、収納部の開口部が広く絞り深さが深くても、補強リブを設けなくても収納部の強度が劣化することなく、また従来よりも幅を狭く及び/又は収納部のピッチを小さくでき、更に、製造のために従来の生産設備をそのまま使用できるキャリアテープを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、異形部品を収納する収納部を有するキャリアテープであって、前記収納部が、前記異形部品の位置決めをする前記収納部の底面に繋がる傾斜した第一の側壁と、前記第一の側壁の開口部側に連続して該開口部側に向かって拡開するように設けられる第二の側壁とからなり、前記第一の側壁の高さが部分的に異なるものである。また、前記異形部品を前記収納部に収納した際の該収納部と該異形部品とが相対向する位置において、前記第一の側壁の前記底面からの高さが、前記キャリアテープの上面から該底面までの深さから収納した前記異形部品の該底面からの高さを引いたクリアランスの値よりも大きく設定したものである
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるキャリアテープの一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施形態のキャリアテープの平面図である。図2は、図1のキャリアテープにトップテープを貼り合わせた図1におけるA−A線断面図である。図3は、本発明の第2実施形態のキャリアテープの平面図である。図4は、図3のB−B線断面図である。図5は、図3のキャリアテープに収納される異形部品の斜視図である。
【0013】
図1と図2に示すように、本発明の第1実施形態のキャリアテープ10は、収納部11が、異形部品12の位置決めをする収納部11の底面13に繋がる傾斜した第一の側壁14と、第一の側壁14の開口部側に連続して該開口部側に向かって拡開するように設けられる第二の側壁15とからなり、図2中で高さh1とh2で示すように、第一の側壁14の高さが部分的に異なるものである。また、第一の側壁14の高さが、収納部11の深さから異形部品12の厚さを引いた値よりも大きく設定されているものが好ましい。
【0014】
キャリアテープ10は、例えば、異形部品12として携帯電話や各種のリモコン機器等に使われる押しボタンスイッチなどを収納するものである。使用に当っては、図2に示すように、キャリアテープ10の上面16に、トップテープ17が熱溶着等により取り付けられ、収納部11の開口部が閉鎖される。
【0015】
異形部品12が図1中で上下方向あるいは左右方向で収納の方向性を有する場合、収納方向を規制する規制部18が設けられる。また、図で左側の異形部品12の高さが高いので、第一の側壁14の高さh1を低く設定し、図中で右側の異形部品12の高さが低いので、第一の側壁14の高さh2を高く設定している。また、異形部品12とトップテープ17との間のクリアランスc1、c2を、それぞれh1>c1、h2>c2となるように設定している。
【0016】
以上のように、第一の側壁14の高さを異形部品の形状に合わせて異なる高さとし、且つ前記のようにクリアランスc1、c2を設定することにより、異形部品12がキャリアテープ10に収納されて搬送される時に、異形部品12ががたついても、傾斜角度の緩い第二の側壁15の傾斜面に異形部品12が乗り上げてしまうことが防止される。
【0017】
第一の側壁14の傾斜角度は、収納する異形部品12の位置決めができるように、収納部11の底面13の垂直方向に対して1°〜15°の範囲の角度、好ましくは3°〜10°の範囲の角度で、開口部側に向けて傾斜するように設定される。
【0018】
また、第二の側壁15の傾斜角度は、開口部側に向けて第一の側壁14よりも傾斜角度が大きくなるように設定され、異形部品12が第二の側壁15の傾斜面に乗り上げても、自重で底面13に落ちること、即ちセルフアライメントができるように、10°〜60°の範囲の角度、好ましくは30°〜45°の範囲の角度で、開口部側に向けて傾斜するように設定される。
【0019】
更に、前記のような大きな開口部と深さが深い収納部を有するキャリアテープ10において、収納部11の側壁を前記2段階の構成とし、第一の側壁14の高さを部分的に異なる高さとしたので、全体として収納部11の強度を保つことができるようになり、収納部11に補強リブを設ける必要がない。
【0020】
図3と図4に示すように、本発明の第2実施形態のキャリアテープ30は、収納部31が、収納部31の底面32に繋がる傾斜した第一の側壁33と、第一の側壁33の開口部側端部に連続する第一の側壁33よりも傾斜角度が大きい第二の側壁34と、底面32に繋がり第一の側壁33よりも開口部側に拡開された第三の側壁35とを備え、第一の側壁33と第三の側壁35が交互に底面32に繋がり設けられているものである。図3中、36は送り穴。
【0021】
尚、第二の側壁34の傾斜角度は第一の側壁の傾斜角度よりも大きく、10°〜60°の範囲の角度、好ましくは30°〜45°の範囲の角度で、開口部側に向けて傾斜するように設定される。また、第三の側壁35の傾斜角度は、10°〜60°の範囲の角度で開口部側に向けて傾斜するように設定され、第二の側壁34と傾斜角度は同じであっても、異なっていても良い。
【0022】
前記のように収納部31の側壁の一部に第三の側壁35を設けることで、2段階の側壁だけで形成された側壁よりも、収納部31の側壁の一部であるが第三の側壁35における材料の延びが少ない、即ち側壁の一部の厚さを十分厚く保持でき、収納部31の側壁が全て薄くなることがない。従って、収納部31の強度を十分に保持することができるので、収納部31に補強リブを設ける必要がない。また、一律に第二の側壁を設けたものよりも、収納部の開口部を小さくできるので、キャリアテープの幅及び/又は収納部のピッチを小さくできる。
【0023】
キャリアテープ30は、例えば、図5に示す側面に凹部51を有するコイルブロック50などの異形部品を収納するのに適しており、この場合、第一の側壁33が凹部51の規制部となる。
【0024】
尚、キャリアテープ10、30の製造に用いられる合成樹脂材料としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリスチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂などのほか、これらの樹脂にカーボンを練り込んだり、樹脂シートの表面に導電コーティングを施したりしたものあるいは、前記した樹脂の一種または二種以上のブレンド又はアロイなどが挙げられる。
【0025】
また、キャリアテープ10、30の製造方法としては、既に知られているプレス成形、真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の手法を用いることができ、前記熱可塑性樹脂からなる予め所定の幅にスリット加工された厚さが0.2mm〜0.5mmの長尺シートに、異形部品12、50を収納する収納部11、31とキャリアテープ10、30の送り穴19、36とを、前記成形法による成形機を用いて一定ピッチで順次形成する方法、あるいは収納部11、31を前記成形法による成形機を用いて一定ピッチで順次形成した後、パンチング装置でキャリアテープ10、30の送り穴19、36を形成する方法がある。
【0026】
以上示したように、キャリアテープ10では、例えば、開口部側に大きな傾斜角度で拡開する第二の側壁15を形成し、引き続いて第一の側壁14と底部13を形成するので、材料となるシートの収納部形成領域を無理無く加工でき、底部13近傍の側壁においても、白化や強度低下が起こらない。
【0027】
また、キャリアテープ30では、成形が容易な大きな傾斜面を有する第二の側壁34と第三の側壁35によって収納部31を形成し、成形の絞りがきつく薄肉になりやすい第一の側壁33を部分的に設けているので、収納部31の強度を損なうことなく成形できる。
【発明の効果】
本発明のキャリアテープによれば、異形部品を収納でき、開口部が大きく深さの深い収納部であっても、補強リブを設けなくても収納部の強度を損なうことなく、また従来よりも幅を狭く及び/又は収納部のピッチを小さくでき、更に従来の生産設備を使って製造することが可能なキャリアテープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のキャリアテープの平面図である。
【図2】図1のキャリアテープにトップテープを貼り合わせた図1におけるA−A線断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態のキャリアテープの平面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図3のキャリアテープに収納される異形部品の斜視図である。
【図6】従来のキャリアテ−プの収納部近傍の断面図である。
【符号の説明】
10、30、60 キャリアテープ
11、31、61 収納部
12 異形部品
13、32、62 底面
14、33 第一の側壁
15、34 第二の側壁
16 上面
17 トップテープ
18 規制部
19、36 送り穴
35 第三の側壁
50 コイルブロック
51 凹部
63 角部

Claims (2)

  1. 異形部品を収納する収納部を有するキャリアテープであって、前記収納部が、前記異形部品の位置決めをする前記収納部の底面に繋がる傾斜した第一の側壁と、前記第一の側壁の開口部側に連続して該開口部側に向かって拡開するように設けられる第二の側壁とからなり、前記第一の側壁の高さが部分的に異なることを特徴とするキャリアテープ。
  2. 前記異形部品を前記収納部に収納した際の該収納部と該異形部品とが相対向する位置において、前記第一の側壁の前記底面からの高さが、前記キャリアテープの上面から該底面までの深さから収納した前記異形部品の該底面からの高さを引いたクリアランスの値よりも大きく設定したことを特徴とする請求項1記載のキャリアテープ。
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