JP4476987B2 - 荷電粒子ビーム描画方法、プログラム及び荷電粒子ビーム描画装置 - Google Patents
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Description
可変成形型電子線描画装置(EB(Electron beam)描画装置)における第1のアパーチャ410には、電子線330を成形するための矩形例えば長方形の開口411が形成されている。また、第2のアパーチャ420には、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330を所望の矩形形状に成形するための可変成形開口421が形成されている。荷電粒子ソース430から照射され、第1のアパーチャ410の開口411を通過した電子線330は、偏向器により偏向され、第2のアパーチャ420の可変成形開口421の一部を通過して、所定の一方向(例えば、X方向とする)に連続的に移動するステージ上に搭載された試料340に照射される。すなわち、第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形開口421との両方を通過できる矩形形状が、X方向に連続的に移動するステージ上に搭載された試料340の描画領域に描画される。第1のアパーチャ410の開口411と第2のアパーチャ420の可変成形開口421との両方を通過させ、任意形状を作成する方式を可変成形方式という。
上述した特許文献1に記載の技術では、パターンカテゴリごとのドーズ誤差を生じるために高精度の補正を行うことはできないといった問題があった。また、補正露光量を決定するためのパターンと、露光装置本体に加えて、膜圧測定器や露光補助室等とが必要となってしまうといった問題があった。
描画領域を描画するためのパターンデータを入力する入力工程と、
パターンデータに基づいて、前記パターンデータを描画するための描画時間を予測する予測工程と、
描画開始時刻からの時間と予測された前記描画時間と基準照射量との相関関係を用いて、パターンデータを描画する場合における描画時間内の描画開始からの任意時間後での基準照射量を取得する基準照射量取得工程と、
描画開始時刻からの時間と予測された前記描画時間と近接効果補正係数との相関関係を用いて、パターンデータを描画する場合における描画時間内の描画開始からの任意時間後での近接効果補正係数を取得する近接効果補正係数取得工程と、
任意時間後での基準照射量と近接効果補正係数とを用いて、任意時間後での照射量を計算する照射量計算工程と、
照射量に合わせて、荷電粒子ビームを用いて描画領域の任意位置を描画する描画工程と、
を備え、
前記近接効果補正係数取得工程において、描画開始時刻からの時間と近接効果補正係数との前記相関関係は、描画後からの放置時間と放置により変化するパターン線幅との関係と、パターン線幅と近接効果補正係数との関係に基づいて求められることを特徴とする。
描画領域を描画するためのパターンデータを入力する入力工程と、
描画領域を所定の寸法でメッシュ状に仮想分割する仮想分割工程と、
パターンデータに基づいて、描画開始時刻から描画領域の各メッシュ領域の描画を開始するまでの予想時間マップを作成する予想時間マップ作成工程と、
描画開始時刻からの時間と基準照射量との相関関係から、パターンデータを描画する場合における各メッシュ領域での基準照射量マップを作成する基準照射量マップ作成工程と、
た描画開始時刻からの時間と近接効果補正係数との相関関係から、パターンデータを描画する場合における各メッシュ領域での近接効果補正係数マップを作成する近接効果補正係数マップ作成工程と、
基準照射量マップと近接効果補正係数マップとを用いて、各メッシュ領域での照射量を計算する照射量計算工程と、
照射量に合わせて、荷電粒子ビームを用いて描画領域の各メッシュ領域を描画する描画工程と、
を備え、
前記描画開始時刻からの時間と近接効果補正係数との前記相関関係は、描画後からの放置時間と放置により変化するパターン線幅との関係と、パターン線幅と近接効果補正係数との関係に基づいて求められることを特徴とする。
パターン線幅と基準照射量との第1の相関情報と、パターン線幅と近接効果補正係数との第2の相関情報とを記憶装置に記憶する記憶処理と、
描画領域を描画するためのパターンデータを入力する入力処理と、
パターンデータに基づいて、パターンデータを描画するための描画時間を計算する時間計算処理と、
記憶装置から第1の相関情報を読み出し、パターンデータを描画する場合における描画時間内の描画開始からの任意時間後でのパターン線幅に対応する基準照射量を取得する基準照射量取得処理と、
記憶装置から第2の相関情報を読み出し、パターンデータを描画する場合における描画時間内の描画開始からの任意時間後でのパターン線幅に対応する近接効果補正係数を取得する近接効果補正係数取得処理と、
任意時間後でのパターン線幅に対応する基準照射量と近接効果補正係数とを用いて、任意時間後での照射量を計算する照射量計算処理と、
を備え、
描画開始時刻からの時間と近接効果補正係数との相関関係は、描画後からの放置時間と放置により変化するパターン線幅との関係と、パターン線幅と近接効果補正係数との前記第2の相関情報に基づいて求められることを特徴とする。
描画領域を描画するためのパターンデータに基づいて、荷電粒子ビームを用いて前記パターンデータを描画するための描画時間を予測する描画時間予測部と、
描画開始時刻からの時間と予測された前記描画時間と基準照射量との相関関係を用いて、前記パターンデータを描画する場合における前記描画時間内の描画開始からの任意時間後での基準照射量を取得する基準照射量取得部と、
描画開始時刻からの時間と予測された前記描画時間と近接効果補正係数との相関関係を用いて、前記パターンデータを描画する場合における前記描画時間内の描画開始からの任意時間後での近接効果補正係数を取得する近接効果補正係数取得部と、
前記任意時間後での基準照射量と近接効果補正係数とを用いて、前記描画時間内の描画開始からの任意時間後での照射量を計算する照射量計算部と、
前記照射量に基づいて、前記描画領域の各位置における前記荷電粒子ビームの照射時間を計算する照射時間計算部と、
前記照射時間に合わせて、前記荷電粒子ビームを偏向する偏向器と、
前記偏向器により偏向された前記荷電粒子ビームを遮蔽するアパーチャと、
を備え、
前記描画開始時刻からの時間と近接効果補正係数との前記相関関係は、描画後からの放置時間と放置により変化するパターン線幅との関係と、パターン線幅と近接効果補正係数との関係に基づいて求められることを特徴とする。
図1は、実施の形態1における電子ビーム描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図1において、電子ビーム描画方法は、パターンデータ入力工程(S102)と、描画時間の予測工程(S104)と、基準照射量取得工程及び近接効果補正係数取得工程の一例となるパラメータテーブル作成工程(S106)と、基準照射量BaseDose(t)、近接効果補正係数η(t)設定工程(S108)と、照射量計算工程(S110)と、照射時間計算工程(S112)と、描画工程(S114)という一連の工程を実施する。
図2において、荷電粒子線描画装置の一例となるEB描画装置100は、描画部と制御部を備えている。描画部では、電子鏡筒102と描画室103を備えている。電子鏡筒102内には、電子銃201、ブランキング偏向器205、ブランキングアパーチャ206を有している。描画室103内には、XYステージ105を有している。制御部では、制御計算機110と、記憶装置の一例となるメモリ130、記憶装置の一例となる磁気ディスク装置146、偏向制御回路140を備えている。制御計算機110内では、基準照射量取得部112、近接効果補正係数取得部114、照射量計算部116、照射時間計算部118、描画データ処理部120、パラメータテーブル作成部122といった各機能を有している。制御計算機110には、パターンデータ150が入力される。また、磁気ディスク装置146には、基準照射量BaseDose(CD)とCDとの相関情報142と、近接効果補正係数η(CD)とCDとの相関情報144とが格納されている。図2では、本実施の形態1を説明する上で必要な構成部分以外については記載を省略している。EB描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれることは言うまでもない。また、図2では、コンピュータの一例となる制御計算機110で、基準照射量取得部112、近接効果補正係数取得部114、照射量計算部116、照射時間計算部118、描画データ処理部120、パラメータテーブル作成部122といった各機能の処理を実行するように記載しているがこれに限るものではなく、電気的な回路によるハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実施させても構わない。或いは、かかるハードウェアとファームウェアとの組合せでも構わない。
図3は、実施の形態1における事前実験用の基板の一例を示す図である。
図3において、基板300には、同じ大きさの複数のチップ10、例えば、ここでは、1辺が100μmの15個のチップ10を描画する。かかる基板300には、例えば石英等の透明ガラス基板に遮光層となるクロム(Cr)膜を形成し、Cr膜上に化学増幅型レジスト膜を形成したものを用意する。
図4は、実施の形態1における各チップのパターンの一例を示す図である。
図3に示す複数の各チップ10には、図4に示すようなパターン面積密度がほぼ0%となる線幅寸法が例えば400nmのラインパターンと、パターン面積密度が50%となる線幅寸法が例えば400nmのラインパターンと、パターン面積密度がほぼ100%となる線幅寸法が例えば400nmのラインパターン及びラインパターンの左右のパターン密度100%パターンとが描画される。
描画方法としては、15個のチップを順に前のチップを描画した後、1時間待ってから描画することを繰り返して全てのチップを順に描画する。言い換えれば、チップ1を描画して、1時間待ってからチップ2を描画する。そして、チップ2を描画して、1時間待ってからチップ3を描画する。これを繰り返してチップ15まで描画する。
図5に示すように、電子ビーム描画後の放置によってパターン面積密度が0%、50%、100%共に所定の傾きαをもってCDが変動していることがわかる。言い換えれば、パターン線幅寸法CDは、最初のチップの描画開始時刻から所望するチップの描画開始時刻までの時間t(以下、「描画開始からの時間t」という)を変数とした関数cd(t)で定義することができる。ここでは、一例として、パターン線幅寸法CDは、チップの描画開始時間tに1次比例しているグラフを示している。レジスト特性により最適な関係を選べばよい。ここで、以下、各チップを描画している時間は、十分短く無視できるものとして説明する。よって、あるチップの描画後の放置時間は、当該チップの描画開始時刻からの時間として説明する。
図6は、実施の形態1におけるパターン線幅寸法CDと基準照射量BaseDoseとの相関関係、およびパターン線幅寸法CDと近接効果補正係数ηとの相関関係を示すグラフの一例を示す図である。
図6に示すように基準照射量BaseDoseは、パターン線幅寸法CDを変数とした関数F(CD)で定義することができる。ここでは、一例として、基準照射量BaseDoseがパターン線幅寸法CDに比例しているグラフを示している。同様に、近接効果補正係数ηは、パターン線幅寸法CDを変数とした関数G(CD)で定義することができる。ここでは、一例として、近接効果補正係数ηがパターン線幅寸法CDに比例しているグラフを示している。
BaseDose(t)=F{cd(t)}で定義し、η(t)=G{cd(t)}で定義した場合、図7に示すような相関関係のグラフを得ることができる。
以上のように、描画開始時刻からの時間tと基準照射量BaseDoseとの相関関係は、描画後からの放置時間と放置により変化するパターン線幅CDとの関係と、パターン線幅CDと基準照射量BaseDoseとの関係に基づいて求めることができる。そして、描画開始時刻からの時間tと近接効果補正係数ηとの相関関係は、描画後からの放置時間と放置により変化するパターン線幅CDとの関係と、パターン線幅CDと近接効果補正係数ηとの関係に基づいて求めることができる。
補正後のcd(t)=CD0+α(tw−t)で定義した場合、基準照射量BaseDoseと描画開始からの時間との相関関係、および近接効果補正係数ηと描画開始からの時間との相関関係から、チップごとの基準照射量BaseDoseと近接効果補正係数ηとを求めて計算した照射量で描画した場合、図8に示すようにCD0の値付近で線幅均一性を向上させることができた。
補正後のcd(t)=CD(t=0)−α・tで定義した場合、基準照射量BaseDoseと描画開始からの時間との相関関係、および近接効果補正係数ηと描画開始からの時間との相関関係から、チップごとの基準照射量BaseDoseと近接効果補正係数ηとを求めて計算した照射量で描画した場合、図9に示すようにCD(t=0)の値付近で線幅均一性を向上させることができた。
図10に示すように、BaseDoseのみで補正した場合、パターン面積密度が0%と50%では線幅均一性が十分に向上せず、補正が十分に行なわれないことがわかる。よって、BaseDoseと近接効果補正係数とを用いて補正することが望ましい。
図11(a)には、試料101として、描画領域20において描画開始点Aから描画終了点Bでの描画時間が3時間のマスク1を示している。他方、図11(b)には、試料101として、描画領域30において描画開始点Cから描画終了点Dでの描画時間が10時間のマスク2を示している。ここで、描画後の放置によるCD劣化が原因とすれば、点Aでの放置後のCD値であるCDA、点Bでの放置後のCD値であるCDB、点Cでの放置後のCD値であるCDC、点Dでの放置後のCD値であるCDDの関係は、CDB=CDD<CDA<CDCとなる。
図12に示すように、補正前のA〜Dの各点におけるCD値は、放置時間が一番長くなる点CでのCD値が一番小さくなる。そして、放置時間が0となる点Bと点Dでは、同じ値を取ることになる。
各CD値を補正する補正後の値をcd(t)とし、図12に示したグラフの傾きをα、描画終了後の放置時間が「0」の点Bと点DでのCD値をCD0、描画時間をtwとすると、補正後のcd(t)=CD0+α(tw−t)でそれぞれ定義することができる。そして、かかる補正後のcd(t)を描画するための基準照射量BaseDose(t)は、図6で説明した関数F(CD)から、BaseDose(t)=F{cd(t)}で定義することができる。同様に、かかる補正後のcd(t)を描画するための近接効果補正係数η(t)は、図6で説明した関数G(CD)から、近接効果補正係数η(t)=G{cd(t)}で定義することができる。そして、描画時間の異なるマスク間では、描画開始からの時間tが同じでも放置時間がことなるため、時間tでの基準照射量と近接効果補正係数ηは異なる。したがって、マスク毎にそれぞれ基準照射量BaseDoseと近接効果補正係数ηとを求めて計算した照射量で描画した場合、図13に示すようにCD0の値付近で線幅均一性を向上させることができる。言い換えれば、描画時間の異なるマスクのCDも合わせることができる。
まず、制御計算機110は、基準照射量BaseDose(CD)とCDとの相関情報F(CD)(第1の相関情報の一例)と、近接効果補正係数η(CD)とCDとの相関情報G(CD)(第2の相関情報の一例)と、時間tとCDとの相関関係(CDが時間に対して比例する場合は傾きα)とを入力し、磁気ディスク装置146に格納する。
S106において、パラメータテーブル作成工程として、まず、基準照射量取得部112は、磁気ディスク装置146から基準照射量BaseDose(CD)とCDとの相関情報F(CD)を読み出し、上述したように補正後のcd(t)=CD0+α(tw−t)で定義した場合に、相関情報F(CD)とcd(t)=CD0+α(tw−t)で定義した式とで描画開始時刻からの時間tと予測された描画時間twと基準照射量との相関関係を得ることができ、かかる相関関係を用いて、パターンデータを描画する場合における描画開始時刻からの任意時間後でのCDに対応する基準照射量BaseDose(t)を求める。twはパターンデータ150の描画時間である。そして、近接効果補正係数取得部114も、同様に、磁気ディスク装置146から近接効果補正係数η(CD)とCDとの相関情報G(CD)を読み出し、相関情報G(CD)とcd(t)=CD0+α(tw−t)で定義した式とで描画開始時刻からの時間tと予測された描画時間twと近接効果補正係数との相関関係を得ることができ、かかる相関関係を用いて、パターンデータを描画する場合における描画開始時刻からの任意時間後でのCDに対応する近接効果補正係数η(t)を求める。そして、パラメータテーブル作成部122は、描画開始からの予測時間に合わせた基準照射量BaseDoseと近接効果補正係数ηのテーブルを作成する。
図14に示すように、描画開始からの予測時間ごとに、対応する基準照射量BaseDoseと近接効果補正係数ηのテーブルを作成する。ここで、パラメータテーブルは、描画前に作成し、入力してもよい。また、中途半端な時間の場合には内挿計算で基準照射量BaseDoseと近接効果補正係数ηを決めると好適である。さらに、パラメータテーブルを作成しないで、BaseDose(t)と近接効果補正係数η(t)とをtの関数としてフィッティングした、BaseDose(t)=F{cd(t)}、およびη(t)=G{cd(t)}の関数を後述の計算時にそのまま使っても構わない。
図15は、実施の形態1における近接効果補正後の照射量Dpを算出する式を示した図である。
図15に示すように、近接効果補正後の照射量Dpは、基準照射量BaseDose(t)、近接効果補正係数η(t)、0次近接効果補正データU(x,y)、(i>0の場合)i次近接効果補正データVi(x,y)を用いて求めることができる。また、(x’,y’)は、試料面内座標を示している。ここで、η(t)、0次近接効果補正データU(x,y)、i次近接効果補正データViで定義されたdiについて1次以降の項を加えることでより精度良く露光量を算出することができる。また何次まで計算を行うか、計算能力や時間の制約の範囲内で任意に設定することができる。実行的には、3次まで計算することで計算誤差約0.5%以内に収めることができ、より好適である。
図16を用いて、0次近接効果補正データU(x,y)、i次近接効果補正データVi(x,y)を計算する。
図17は、実施の形態2における電子ビーム描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図17において、電子ビーム描画方法は、パターンデータ入力工程(S102)と、基準照射量取得工程及び近接効果補正係数取得工程の一例となるパラメータテーブル作成工程(S106)と、基準照射量BaseDose(t)、近接効果補正係数η(t)設定工程(S108)と、照射量計算工程(S110)と、照射時間計算工程(S112)と、描画工程(S114)という一連の工程を実施する。図1とは、描画時間の予測工程(S104)が無くなった以外は同様である。また、EB描画装置100の構成は、図2と同様で構わないため説明を省略する。
図18(a)には、描画開始点Aから描画終了点Bでの描画時間が3時間のマスク1を示している。他方、図11(b)には、描画開始点Cから描画終了点Dでの描画時間が10時間のマスク2を示している。ここで、描画後の放置によるCD劣化が原因とすれば、点Aでの放置後のCD値であるCDA、点Bでの放置後のCD値であるCDB、点Cでの放置後のCD値であるCDC、点Dでの放置後のCD値であるCDDの関係は、CDB=CDD<CDA<CDCとなる。かかる内容は図11と同様である。
図19に示すように、補正前のA〜Dの各点におけるCD値は、放置時間が一番長くなる点CでのCD値が一番小さくなる。そして、放置時間が0となる点Bと点Dでは、同じ値を取ることになる。かかる内容は図12と同様である。
各CD値を補正する補正後の値をcd(t)とし、図19に示したグラフの傾きをα、描画開始からの時間tが「0」の点Aと点CでのCD値をそれぞれCD(t=0)とすると、補正後のcd(t)=CD(t=0)−α・tで定義することができる。そして、かかる補正後のcd(t)を描画するための基準照射量BaseDose(t)は、図6で説明した関数F(CD)から、BaseDose(t)=F{cd(t)}で定義することができる。同様に、かかる補正後のcd(t)を描画するための近接効果補正係数η(t)は、図6で説明した関数G(CD)から、近接効果補正係数η(t)=G{cd(t)}で定義することができる。そして、かかる基準照射量BaseDoseと近接効果補正係数ηとを求めて計算した照射量で描画した場合、図20に示すようにマスク1については点AでのCD(t=0)の値付近で、マスク2については点CでのCD(t=0)の値付近で線幅均一性を向上させることができる。ここでは、2つのマスク間にΔCDの差が生じることになるが、マスク間のCD差の要求値よりもΔCDの方が小さい場合には実施の形態2は特に有効である。また、マスク間の描画時間の差が小さい場合も有効である。
図21は、実施の形態3における電子ビーム描画方法の要部工程を示すフローチャート図である。
図21において、電子ビーム描画方法は、パターンデータ入力工程(S202)と、パラメータテーブル入力工程(S204)と、描画予想時間マップ作成工程(S206)と、BaseDoseマップ作成工程(S208)と、ηマップ作成工程(S210)と、照射量計算工程(S212)と、照射時間計算工程(S214)と、描画工程(S216)という一連の工程を実施する。
図22において、制御計算機110内では、描画予想時間マップ作成部111、BaseDoseマップ作成部113、ηマップ作成部115、照射量計算部116、照射時間計算部118、描画データ処理部120といった各機能を有している。その他の構成は、図2と同様であるため説明を省略する。図22では、本実施の形態3を説明する上で必要な構成部分以外については記載を省略している。EB描画装置100にとって、通常、必要なその他の構成が含まれることは言うまでもない。また、図22では、コンピュータの一例となる制御計算機110で、描画予想時間マップ作成部111、BaseDoseマップ作成部113、ηマップ作成部115、照射量計算部116、照射時間計算部118、描画データ処理部120といった各機能の処理を実行するように記載しているがこれに限るものではなく、電気的な回路によるハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実施させても構わない。或いは、かかるハードウェアとファームウェアとの組合せでも構わない。
図23に示すように、試料101の描画領域を所定の寸法でメッシュ状に仮想分割して、描画開始からの各メッシュ領域の時間tを予測して、メッシュ毎のマップ(描画予想時間マップ)を作成する。
図24は、内挿して値を求める場合を説明するための図である。
図24では、時間t1と時間t2との間の時間tにおけるBaseDose(t)を内挿により求める場合について記載している。かかる場合には、時間t1とその時のBaseDose(t1)となるD1、時間t2とその時のBaseDose(t2)となるD2を使って求めればよい。具体的には、求めるBaseDose(t)=(t−t1)/(t2−t1)・(D2−D1)+D1で求める。図24では、BaseDose(t)について記載したが、η(t)を求める場合も同様に行なうことができる。
20,30 描画領域
100 EB描画装置
101,340 試料
102 電子鏡筒
103 描画室
105 XYステージ
110 制御計算機
111 描画予想時間マップ作成部
112 基準照射量取得部
113 BaseDoseマップ作成部
114 近接効果補正係数取得部
115 ηマップ作成部
116 照射量計算部
118 照射時間計算部
120 描画データ処理部
122 パラメータテーブル作成部
130 メモリ
140 偏向制御回路
142,144 相関情報
146 磁気ディスク装置
150 パターンデータ
200 電子ビーム
201 電子銃
205 ブランキング偏向器
206 ブランキングアパーチャ
330 電子線
410 第1のアパーチャ
411 開口
420 第2のアパーチャ
421 可変成形開口
430 荷電粒子ソース
Claims (10)
- 描画領域を描画するためのパターンデータを入力する入力工程と、
前記パターンデータに基づいて、前記パターンデータを描画するための描画時間を予測する予測工程と、
描画開始時刻からの時間と予測された前記描画時間と基準照射量との相関関係を用いて、前記パターンデータを描画する場合における前記描画時間内の描画開始からの任意時間後での基準照射量を取得する基準照射量取得工程と、
描画開始時刻からの時間と予測された前記描画時間と近接効果補正係数との相関関係を用いて、前記パターンデータを描画する場合における前記描画時間内の描画開始からの任意時間後での近接効果補正係数を取得する近接効果補正係数取得工程と、
前記任意時間後での基準照射量と近接効果補正係数とを用いて、前記描画時間内の描画開始からの任意時間後での照射量を計算する照射量計算工程と、
前記照射量に合わせて、荷電粒子ビームを用いて前記描画領域の任意位置を描画する描画工程と、
を備え、
前記近接効果補正係数取得工程において、描画開始時刻からの時間と近接効果補正係数との前記相関関係は、描画後からの放置時間と放置により変化するパターン線幅との関係と、パターン線幅と近接効果補正係数との関係に基づいて求められることを特徴とする荷電粒子ビーム描画方法。 - 前記基準照射量取得工程において、描画開始時刻からの時間と基準照射量との前記相関関係は、描画後からの放置時間と放置により変化するパターン線幅との関係と、パターン線幅と基準照射量との関係に基づいて求められることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム描画方法。
- 前記描画時間内の描画開始からの任意時間後での基準照射量を取得する場合に、前記描画開始時刻からの時間と基準照射量との前記相関関係となる実験データの値から取得することを特徴とする請求項1記載の荷電粒子ビーム描画方法。
- 前記描画開始時刻からの時間と基準照射量との関係を示す前記実験データに前記任意時間後での基準照射量が存在しない場合に、前記実験データを用いて内挿により求めることを特徴とする請求項3記載の荷電粒子ビーム描画方法。
- 描画領域を描画するためのパターンデータを入力する入力工程と、
前記描画領域を所定の寸法でメッシュ状に仮想分割する仮想分割工程と、
前記パターンデータに基づいて、描画開始時刻から前記描画領域の各メッシュ領域の描画を開始するまでの予想時間マップを作成する予想時間マップ作成工程と、
描画開始時刻からの時間と基準照射量との相関関係から、前記パターンデータを描画する場合における前記各メッシュ領域での基準照射量マップを作成する基準照射量マップ作成工程と、
描画開始時刻からの時間と近接効果補正係数との相関関係から、前記パターンデータを描画する場合における前記各メッシュ領域での近接効果補正係数マップを作成する近接効果補正係数マップ作成工程と、
前記基準照射量マップと近接効果補正係数マップとを用いて、前記各メッシュ領域での照射量を計算する照射量計算工程と、
前記照射量に合わせて、荷電粒子ビームを用いて前記描画領域の各メッシュ領域を描画する描画工程と、
を備え、
前記描画開始時刻からの時間と近接効果補正係数との前記相関関係は、描画後からの放置時間と放置により変化するパターン線幅との関係と、パターン線幅と近接効果補正係数との関係に基づいて求められることを特徴とする荷電粒子ビーム描画方法。 - 前記描画時間内の描画開始からの任意時間後での近接効果補正係数を取得する場合に、前記描画開始時刻からの時間と近接効果補正係数との前記相関関係となる実験データの値から取得することを特徴とする請求項5記載の荷電粒子ビーム描画方法。
- パターン線幅と基準照射量との第1の相関情報と、パターン線幅と近接効果補正係数との第2の相関情報とを記憶装置に記憶する記憶処理と、
描画領域を描画するためのパターンデータを入力する入力処理と、
前記パターンデータに基づいて、前記パターンデータを描画するための描画時間を計算する時間計算処理と、
前記記憶装置から前記第1の相関情報を読み出し、前記パターンデータを描画する場合における前記描画時間内の描画開始からの任意時間後でのパターン線幅に対応する基準照射量を取得する基準照射量取得処理と、
前記記憶装置から前記第2の相関情報を読み出し、前記パターンデータを描画する場合における前記描画時間内の描画開始からの任意時間後でのパターン線幅に対応する近接効果補正係数を取得する近接効果補正係数取得処理と、
前記任意時間後でのパターン線幅に対応する基準照射量と近接効果補正係数とを用いて、前記任意時間後での照射量を計算する照射量計算処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
描画開始時刻からの時間と近接効果補正係数との相関関係は、描画後からの放置時間と放置により変化するパターン線幅との関係と、パターン線幅と近接効果補正係数との前記第2の相関情報に基づいて求められることを特徴とするプログラム。 - 描画領域を描画するためのパターンデータに基づいて、荷電粒子ビームを用いて前記パターンデータを描画するための描画時間を予測する描画時間予測部と、
描画開始時刻からの時間と予測された前記描画時間と基準照射量との相関関係を用いて、前記パターンデータを描画する場合における前記描画時間内の描画開始からの任意時間後での基準照射量を取得する基準照射量取得部と、
描画開始時刻からの時間と予測された前記描画時間と近接効果補正係数との相関関係を用いて、前記パターンデータを描画する場合における前記描画時間内の描画開始からの任意時間後での近接効果補正係数を取得する近接効果補正係数取得部と、
前記任意時間後での基準照射量と近接効果補正係数とを用いて、前記描画時間内の描画開始からの任意時間後での照射量を計算する照射量計算部と、
前記照射量に基づいて、前記描画領域の各位置における前記荷電粒子ビームの照射時間を計算する照射時間計算部と、
前記照射時間に合わせて、前記荷電粒子ビームを偏向する偏向器と、
前記偏向器により偏向された前記荷電粒子ビームを遮蔽するアパーチャと、
を備え、
前記描画開始時刻からの時間と近接効果補正係数との前記相関関係は、描画後からの放置時間と放置により変化するパターン線幅との関係と、パターン線幅と近接効果補正係数との関係に基づいて求められることを特徴とする荷電粒子ビーム描画装置。 - 前記描画開始時刻からの時間と基準照射量との前記相関関係は、描画後からの放置時間と放置により変化するパターン線幅との関係と、パターン線幅と基準照射量との関係に基づいて求められることを特徴とする請求項8記載の荷電粒子ビーム描画装置。
- 前記描画時間内の描画開始からの任意時間後での基準照射量を取得する場合に、前記描画開始時刻からの時間と基準照射量との前記相関関係となる実験データの値から取得することを特徴とする請求項8記載の荷電粒子ビーム描画装置。
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