JP4476087B2 - 発光ダイオード素子の製造方法 - Google Patents
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Description
この発光ダイオード素子の製造方法を説明すると、まずn−GaAs基板31上にAlAs/Al0.6Ga0.4Asのペア20対からなる光反射層(DBR層)32、n−Al0.5In0.5Pの Nクラッド層33、p−(Al0.7Ga0.3)0.5In0.5Pの40対からなるMQW活性層34、p−Al0.5In0.5Pの Pクラッド層35、p−Al0.01Ga0.98In0.01P電流拡散層36を順次、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Deposition)法により形成する(S81)。
次に、上面側(電流拡散層36上)にp側電極37を例えば蒸着法により形成し(S82)、その後、GaAs基板21を所望の厚みに加工し(S83)、n側電極38を例えば蒸着法により形成する(S84)。この後、スクライブ法によりケガキを施し(S85)、ブレイクローラーにてチップに分割する(S86)。
チップに分割後、所定の抜取り頻度でチップを抜取り、電気的特性を検査し(S87)、チップを出荷する(S88)。このようにして製造されたチップはランプなどへ組み立てる(S89)。
またプロービング法による素子検査はpn接合の分割がチップ分割後となるため、分割前に全数検査が出来ない。したがって、抜取りでの検査方法となり、組み立て後の歩留が低下する原因となり、製造ロスが大きくなる。
また、チップ分割法として、ハーフダイシング→プロービング→スクライブ又はフルダイシングの順序で行うことが知られている。しかし、ハーフダイシング時及びフルダイシング時にダイシング加工歪が入ってしまい、素子の信頼性が著しく低下してしまう。
このダイシング加工歪を除去する技術が、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1はGaAs基板上にAlGaInP系発光素子を形成後、ダイシング分離し、その後、塩酸(HCl)−過酸化水素水(H2O2)系エッチャントを使用してエッチング処理するものである。
本発明は上記問題を解決するものであって、DBR層を損傷することなく、且つダイシング加工歪を完全に除去するエッチャントを提供するものである。
また本発明の発光ダイオード素子の製造方法は、前記ダイシング分断がハーフダイシングであり、前記エッチング処理の後、フルダイシングによりチップ状態に分断し、再度(硫酸+過酸化水素水+水)の混合液を用いてエッチング処理を行うものである。
また本発明の発光ダイオード素子の製造方法は、前記エッチング液が濃硫酸と30%過酸化水素水として、硫酸:過酸化水素水:水=3:1:1の混合比とするのがよい。特にエッチャントの液温を25℃以下、詳しくは20℃〜25℃の範囲が望ましい。
また本発明の発光ダイオード素子の製造方法は、前記ハーフダイシング及びフルダイシングする際のダイシングスピードは、25mm/s未満であることが望ましい。詳しくは20mm/s〜24mm/sであり、20mm/sが望ましく、ダイシングブレードの回転数は30,000rpmである。
また本発明の発光ダイオード素子の製造方法は、前記チップ状態に分断する前に、プローピング検査を行うとよい。
また本発明の発光ダイオード素子の製造方法は、前記ダイシング分断がハーフダイシングであり、前記エッチング処理の後、フルダイシングによりチップ状態に分断し、再度(硫酸+過酸化水素水+水)の混合液を用いてエッチング処理を行うので、逆バイアス電圧印加時のリーク電流を極めて小さくすることができる。エッチング処理によりダイシング加工歪が除去され、リーク電流が極めて小さくなる。またフルダイシングするので、チップ形状をほぼ立方体形状に形成することができ、ランプ等への組み立て時にチップをフレームに接着するAgペースト等の導電性接着剤の這い上がりがない。
図1は、本発明の製造方法によって製造された発光ダイオード素子(チップ)の断面図を示す。図2は、本発明の発光ダイオード素子の製造方法の工程フロー図である。
その後、上面側(電流拡散層16上)にp側電極(ワイヤーボンド側電極)17をAuBe/Auの構造で、例えば蒸着法により形成し、パターン化する(S42)。次に、例えばフォトレジスト19をウェハ表面全面に塗布、ベーキングする(図2参照)。その後、例えばダイシング用粘着シートにウェハを貼付し、ダイヤモンドの粒径が4μm以下、詳しくは2〜4μmのダイヤモンド粒径のブレード20を用いて、ウェハ表面より40μmの深さ、詳しくは60〜20μmの深さに、ダイシングブレードの回転数30,000rpm、ダイシングスピード25mm/秒以下、詳しくは20mm/秒にてハーフダイシングを行い、溝21を形成する(S43)(図3参照)。
次に、GaAs基板11を例えばケミカルエッチング処理にて、ウェハ厚みが200μmになるまで加工し(S45)、更に図2に示すフォトレジスト19を除去し、AuBe/Mo/Auよりなるn側電極18を例えば蒸着法により形成する(S46)。続いて上記ウェハを、プロービング検査装置にて全個数電気的特性検査を実施する(S47)。その後、再び例えばダイシング用粘着シートにウェハを貼付する。次にダイヤモンドの粒径が4μm以下、詳しくは2〜4μmのダイヤモンド粒径のブレードにて、ダイシングブレードの回転数30,000rpm、ダイシングスピード25mm/秒未満、詳しくは20mm/秒〜24mm/秒にてフルカットダイシングを施しチップに分断する(S48)。チップに分断後、例えば、チップ間隔がチップサイズ×1.6倍になるよう拡張装置にて拡大する。このときのチップ形状は図1に示すように、ほぼ直方体である。
以上のようにして製造された、光反射層付きAlGaInP発光ダイオードは、図5に示すように順方向電圧(VF)0.75〔V〕のときの順方向電流(IF)は1×10-12〔A〕以下であった。また図6に示すように逆バイアス電圧(VR)12〔V〕を印加した際のリーク電流(IR)は、1.2×10-12〔A〕であった。
実施例1の製造方法において、ハーフダイシング後、1回目のエッチング処理を行い、次にフルダイシング後の2回目のエッチング処理を行わなかった場合は、実施例2よりも順方向電流及びリーク電流が若干大きくなる。
上記実施例で使用するダイシングブレードのダイヤモンド粒径を例えば2〜6μm、詳しくは6μmのものを使用して、ダイシングスピードを20mm/秒、ダイシング深さを40μmにハーフダイシングして、上記と同条件で1回目のエッチング処理し、次にフルダイシング後、2回目のエッチング処理した結果は、ダイシング加工歪が十分に除去されず、微電流域でリークが確認された。
また同条件でダイシングしたものについて、エッチング時間を30秒以上に長くした場合は、GaAs基板とAlGaInP混晶層のエッチングレートの差により、発光層が鍔状になってしまい、ランプへの組み立て不良が発生した。具体的には、樹脂応力によるダイボンドハガレ不良を起こし易くなった。
上記実施例で、ダイシングスピードを25mm/秒以上にてダイシングした場合は、チッピングと呼ばれるカケが多くなり且つ、ダイシング加工歪が多くなり、エッチング処理を施してもリーク電流が減少しなかった。
上記実施例で、pn接合を分断する(ハーフダイシング)深さを40μmより浅く設定した場合、最小のダイシング深さが20μmより浅くなる箇所があり、ダイシングが浅い箇所ではpn接合が完全に分断されず、プロービング検査がなされない素子が発生した。次にダイシング深さを40μmより深く設定した場合、最大の深さが60μmより深くなってしまう箇所が発生する。ダイシングが深い箇所では、2回目のダイシング(フルカット)時に1回目と同一カットライン上をダイシングする必要があるが、ダイシングラインが1回目とズレを発生すると、ダイシングブレードのライフが低下してしまい、コスト上昇の要因となる。
ダイシング加工歪を除去するエッチャントについて、例えば塩酸系エッチャントにて30秒エッチングを実施したところ、DBR層がサイドエッチングされ、損傷してしまい、光出力が低下した。またサイドエッチされた層より剥れる不具合も発生した。燐酸系エッチャントもDBR層をサイドエッチングして、損傷してしまい、光出力が低下した。
本発明によるエッチング処理は、ハーフダイシング後とフルダイシング後の2回実施するため、例えば、AuBe/Mo/Auのような多層構造電極では、フォトレジスト等での保護が無いと、エッチャントによりバリアメタルであるMoがエッチングされてしまい、層界面より剥れてしまう不具合が発生する。
上記実施例1及び2と、上記比較例1〜3で製造した発光ダイオード素子(チップ)のダイシング条件と出来栄えを以下の表1に示す。
12、32 光反射層
13、33 nクラッド層)
14、34 MQW活性層(発光層)
15、35 pクラッド層
16、36 電流拡散層
17、37 p側電極
18、38 n側電極
Claims (8)
- GaAs基板上にAlAs/AlGaAs混晶からなる光反射層を形成し、その上にAlGaInP混晶からなるpn接合を形成し、次に前記pn接合をダイシングにより分断した後、(硫酸+過酸化水素水+水)の混合液よりなるエッチング液を用いてエッチング処理することを特徴とする発光ダイオード素子の製造方法。
- 前記ダイシング分断がハーフダイシングであり、前記エッチング処理の後、フルダイシングによりチップ状態に分断し、再度(硫酸+過酸化水素水+水)の混合液を用いてエッチング処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記エッチング液は、濃硫酸と30%過酸化水素水として、硫酸:過酸化水素水:水=3:1:1の混合比であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記ハーフダイシング及びフルダイシングする際のダイシングスピードは、25mm/s未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記チップ状態に分断する前に、プローピング検査を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法。
- GaAs基板上にAlAs/AlGaAs混晶からなる光反射層を形成し、その上にAlGaInP混晶からなるpn接合を形成し、次に表面側に電極を形成した後、前記pn接合を分断するハーフダイシングを行い、次に(硫酸+過酸化水素水+水)の混合液よりなるエッチング液を用いてエッチング処理し、裏面側に電極を形成して、プローピング検査を行い、その後、チップ状態に分断するフルダイシングを行い、再度(硫酸+過酸化水素水+水)の混合液を用いてエッチング処理することを特徴とする光反射層付きAlGaInP発光素子の製造方法。
- 前記エッチング液は、濃硫酸と30%過酸化水素水として、硫酸:過酸化水素水:水=3:1:1の混合比であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
- 前記ハーフダイシング及びフルダイシングする際のダイシングスピードは、25mm/s未満であることを特徴とする請求項6または7に記載の製造方法。
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