JP4475297B2 - 光学異方性フィルム、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学異方性フィルム、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、液晶層を有する視野角補償フィルム等の光学異方性フィルムおよびこれらのフィルムを組み込んだ液晶表示装置に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターのマルチメディア化が進み、ラップトップ型パーソナルコンピューターに於いても、カラー表示が一般的になってきており、ラップトップ型コンピューターでは、STN液晶ディスプレイやTFT液晶ディスプレイが主に使用されている。
STN液晶ディスプレイは、複屈折モードを利用した表示素子であるため、液晶で生じる位相差により着色し、白黒表示が不可能であるという大きな問題があった。このような問題を解決するために、D−STN方式(補償用液晶セルを用いる方式)が試みられたが、この方式では、液晶ディスプレイの特徴である「薄くて、軽い」という点で、時代の要求と逆行しており、補償用液晶セルの製造にも、高い精度が要求され、歩留りが悪いという問題点があった。
これらの問題を解決する方法として、各種の提案がなされ、例えば、特開昭63−149624号公報には、延伸樹脂フィルムを用いるF−STN方式が提案され、又、特開平3−87720号公報、同4−333019号公報には、D−STN方式の補償性能を維持して、その質量と肉厚を軽減する目的で、液晶性高分子をねじれ配向させたフィルムを使って色補償を行う方法が提案されている。
この液晶ディスプレイの位相差補償板は、透光性基板とこの基板の上に形成された配向膜、及び、この配向膜の上にねじれ配向状態に固定した液晶高分子層とから構成されている。
さらに、最近では、TFT、TN液晶ディスプレイの視野角補償として、特開平7−191217号公報に開示されているように、ディスコティック液晶のフィルムを液晶セルの上面と下面に配置して、液晶セルの視野角特性を改善する試みがなされている。
該TN型液晶ディスプレイ用補償板は、上述の特開平3−87720号公報、同4−333019号公報に記載されている液晶ディスプレイの位相差補償板と同様に、透光性基板と、この基板の上に形成された配向膜、及び、この配向膜の上に形成された液晶配向層とから構成されている。
上述のように、近年、STN液晶ディスプレイやTFT、TN液晶ディスプレイに於いては、従来より高度な補償性能を有する光学フィルムが要望され、その解決手段として、液晶化合物を塗布した光学フィルムが検討されるようになってきてきた。
一方、液晶モードの改善によっても視野角が改善できる技術が開発されてきている。例えば、特開平2−176625号公報に、液晶性化合物を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させるバーティカルアラインメント(VA)液晶モードの液晶セルを用いた液晶表示装置が開示されている。
バーティカルアラインメント(VA)液晶モードは、従来の液晶モードと比較して、視野角が広く、応答が高速であるとの特徴がある。バーティカルアラインメント(VA)液晶モードの液晶表示装置は、既に試作品が出展されている(日経マイクロデバイスNo.136、p.147、1996)。
バーティカルアラインメント(VA)液晶モードの液晶表示装置は、従来の液晶表示装置よりも視野角が広いが、それでもCRTと比較すれば、さらに改善が必要であり、視野角の改善のため、従来の液晶モードと同様に光学補償シートを用いることが考えられる。
バーティカルアラインメント(VA)液晶モードの液晶表示装置において、VA液晶セルをノーマリーブラックモードで使用する場合、画像の正面コントラストに問題が生じる。VA液晶モードでは、白表示あるいは中間調を表示する際に、液晶セルに電圧を印加して、液晶性化合物を実質的に水平に配向させる。
電圧印加時の液晶セルを光学補償するため、光学補償シートに一定の光学異方性が要求される。その結果として、光学異方性層の面内レターデーションは、一定の値となる。
ところが、電圧無印加時に黒表示を行なうためには、光学補償シートの面内レターデーションを可能な限り小さな値にする必要がある。
面内レターデーションが大きいと、黒表示で光がもれるために、画像の正面コントラストが低下する。
このように、透明支持体上に液晶層を設置し、液晶分子の配向により光学特性を制御する技術が数多く開示されるようになってきた。
しかしながら、液晶化合物は高い屈折率を有する点で優れているが、その材料コストは、透明支持体を構成する樹脂のコストと比較して、著しく高価である。そこで、液晶化合物を少量化して光学フィルムの光学異方性を目的とする性能まで引きだそうとすると、一般の製法で作製できる透明支持体樹脂は屈折率が低いために、光学フィルムが著しく厚くなってしまう。
このことは、最近の液晶ディスプレイの小型化、軽量化に反してしまい、光学フィルム部品としての要求に一致しない。このような背景より、低コストかつ小型、軽量な部品として、厚み方向のリターデーションが高くかつ薄い、すなわち厚み方向の屈折率が面内屈折率の平均よりも高い透明支持体の開発が望まれていた。
又、この様な光学フィルムの透明支持体として用いられるセルロースエステルフィルムの製造において、セルロースエステルを溶媒に溶融して製膜する際、エステル化が不十分な部分があると、これが未溶解の異物として異物故障を発生しやすかった。
この溶液を用いて製膜して得られたフィルムは、異物部分の屈折率が異なるためにディスプレイの偏光状態を阻害し、輝点が発生することが多くこれらの改善が望まれていた。
特開平2−176625号公報 特開平3−87720号公報 特開平4−333019号公報 特開平7−191217号公報
従って、本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであって、透明フィルム支持体に対する研究を進めた結果、面内リターデーションの平均に対する厚さ方向のリターデーションが効率的に小さく制御できるフィルムの製造方法を見出し、又、このフィルム上に液晶層を塗布、配向することにより従来にない安価で高性能な光学異方性フィルム得ること、およびこれを用いた液晶表示装置を提供することにある。
本発明の上記の目的は以下の手段により達成される。
(1)偏光子の少なくとも片側に貼り合わせるための光学異方性フィルムであって、セルロースアセテートプロピオネートフィルム支持体上に少なくとも1層の液晶配向膜と少なくとも1層の液晶層を有し、該セルロースアセテートプロピオネートフィルムは、膜厚40〜150μmの範囲であり、かつ式(I)で表される関係を有し、式(II)で表されるリターデーション値(Rt値)が60〜250nmであり、下記式(III)で表される液晶層と透明支持体のRt比が1.2以下であることを特徴とする光学異方性フィルム。
(nx+ny)/2−nz>0(I)
Rt=((nx+ny)/2−nz)×d(II)
(nx、nyはセルロースアセテートプロピオネートフィルム支持体の面内でのx方向、y方向の屈折率であり、nzは厚み方向でのフィルムの屈折率、dはフィルムの厚み(nm)である。)
Rt比=(Rt′/Rt)(III)
ここに、Rt′=((nx′+ny′)/2−nz′)×d′
(nx′、ny′は液晶層の面内のx′方向、y′方向の屈折率、nz′は液晶層の厚み方向の屈折率、d′は液晶層の厚み(nm)である。)
(2)液晶表示モードがツイストネマチックモードであることを特徴とする前記(1)に記載の光学異方性フィルム。
(3)液晶表示モードがバーティカルアラインメントモードであることを特徴とする前記(1)に記載の光学異方性フィルム。
(4)偏光子の少なくとも片側に、セルロースアセテートプロピオネートフィルム支持体上に少なくとも1層の液晶配向膜と少なくとも1層の液晶層を有し、該セルロースアセテートプロピオネートフィルムは、膜厚40〜150μmの範囲であり、かつ式(I)で表される関係を有し、式(II)で表されるリターデーション値(Rt値)が60〜250nmであり、下記式(III)で表される液晶層と透明支持体のRt比が1.2以下である光学異方性フィルムを、貼り合わせたことを特徴とする偏光板。
(nx+ny)/2−nz>0(I)
Rt=((nx+ny)/2−nz)×d(II)
(nx、nyはセルロースアセテートプロピオネートフィルム支持体の面内でのx方向、y方向の屈折率であり、nzは厚み方向でのフィルムの屈折率、dはフィルムの厚み(nm)である。)
Rt比=(Rt′/Rt)(III)
ここに、Rt′=((nx′+ny′)/2−nz′)×d′
(nx′、ny′は液晶層の面内のx′方向、y′方向の屈折率、nz′は液晶層の厚み方向の屈折率、d′は液晶層の厚み(nm)である。)
(5)前記(4)記載の偏光板を液晶セルの両側に配置したことを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、厚み方向のリターデーションが高くかつ薄く、異物による輝点の発生の改善された光学異方性フィルムを得ることができ、又、これを用いることで視野角が広く高品位の液晶表示装置がえられた。
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、本発明の光学異方性フィルムに用いる透明支持体の製造方法について述べる。
本発明は、特定の置換基、すなわちアセチル基およびプロピオニル基を有する低級脂肪酸セルロースエステルをを用いるものである。
本発明の脂肪酸セルロースエステルは酢酸置換度(DSac)が1.5〜2.2、プロピオン酸置換度(DSpr)が0.6〜1.2である。
ここで置換度とは所謂結合脂肪酸量の百分率をいい、ASTM−D817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。アシル基の置換度の測定法はASTM−D817−96に従って測定することができる。
本発明の脂肪酸セルロースエステルの全置換度、すなわち酢酸置換度(DSac)とプロピオニル置換度(DSpr)との総和は2.5〜3.0の間において任意に選択できる。又、脂肪酸セルロースエステルの数平均分子量は70000〜300000、好ましくは90000〜200000である。
セルロースの混合脂肪酸エステルは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例、酢酸)や塩化メチレンが使用される。
触媒としては、硫酸のような酸性触媒が用いられる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物が用いられる。工業的に最も一般的な合成方法では、セルロースをアセチル基およびプロピオニル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸)またはそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。アセチル化剤とプロピオニル化剤の使用量は、合成するエステルが前述した置換度の範囲となるように調整する。
反応溶媒の使用量は、セルロース100質量部に対して、100乃至1000質量部であることが好ましく、200乃至600質量部であることがさらに好ましい。酸性触媒の試料量は、セルロース100質量部に対して、0.1乃至20質量部であることが好ましく、0.4乃至10質量部であることがさらに好ましい。
反応温度は、10乃至120℃であることが好ましく、20乃至80℃であることがさらに好ましい。なお、他のアシル化剤(例、ブチル化剤)やエステル化剤(例、硫酸エステル化剤)を併用してもよい。
また、アシル化反応が終了してから、必要に応じて加水分解(ケン化)して、置換度を調整してもよい。反応終了後、反応混合物を沈澱のような慣用の手段を用いて分離し、洗浄、乾燥することによりセルロースの混合脂肪酸エステル(セルロースアセテートプロピオネート)が得られる。
本発明のセルロースエステルは綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートと木材パルプから合成されたセルローストリアセテートのどちらかを単独あるいは混合して用いることができる。
ベルトやドラムからの剥離性が良い綿花リンターから合成されたセルロースエステルを多く使用した方が生産効率が高く好ましい。綿花リンターから合成されたセルロースエステルの比率が60質量%以上で、剥離性の効果が顕著になるため60質量%以上が好ましく、より好ましくは85質量%以上、更には、単独で使用することが最も好ましい。
本発明の脂肪酸セルロースエステルを溶解してドープを形成する溶媒としてはメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、シクロヘキサノン、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール等を挙げることができる。
尚、技術的にはメチレンクロライドのような塩素系溶媒は間違いなく使用できるが地球環境上は、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等が好ましい。特に酢酸メチルが全有機溶媒に対して50%以上含有していることが好ましく、全有機溶媒に対して5〜30質量%のアセトンを酢酸メチルと併用するとドープ液粘度を低減でき好ましい。
本発明で実質的に塩素系溶媒を含まないとは、全有機溶媒量に対して塩素系溶媒が質量で10%以下、好ましくは5%以下、特に全く含まないことが最も好ましい。
本発明の脂肪酸セルロースエステルドープには、上記有機溶媒の他に質量で1〜30%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。このことでドープを流延用支持体に流延後、溶剤が蒸発を始め、アルコールの比率が多くなるとウェブ(ドープ膜)がゲル化し、ウェブを丈夫にし流延用の支持体から剥離することが容易となり、更に前記有機溶媒に対する脂肪酸セルロースエステルの溶解を促進する効果が得られる。
炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうち、ドープの安定性がよく、沸点も比較的低く、乾燥性もよく、かつ、毒性がないこと等からエタノールが好ましい。
ドープの固形分濃度は通常、質量で10〜40%が好ましく、ドープ粘度は(10〜50Pa・sec)100〜500ポイズの範囲に調整されることが良好なフィルムの平面性を得る点から好ましい。
以上の様にして調整されたドープは、濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。
ドープ中には、可塑剤、マット剤、紫外線吸収防止剤、酸化防止剤、染料等を添加してもよい。
本発明に使用するアセチル基およびプロピオニル置換基を有する脂肪酸セルロースエステルはそれ自身が可塑剤としての効果を発現するので、可塑剤を添加しなくても或いはわずかの添加量で充分なフィルム特性が得られるが、その他の目的で可塑剤を添加してもよい。
例えば、フィルムの耐湿性を向上する目的では、アルキルフタリルアルキルグリコレート類、リン酸エステルやカルボン酸エステルなどが挙げられる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えば、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
リン酸エステル類としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等を挙げることができる。
カルボン酸エステルとしては、例えば、フタル酸エステル類、クエン酸エステル類等があり、フタル酸エステル類としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、クエン酸エステル類としては、例えば、クエン酸アセチルトリエチルおよびクエン酸アセチルトリエチルおよびクエン酸アセチルトリブチルを挙げることができる。
又、その他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン等を単独或いは併用するのが好ましい。
可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい。セルロースエステルに用いる場合、リン酸エステル系の可塑剤の使用比率は50%以下がセルロースエステルフィルムの加水分解を引き起こし難く、耐久性に優れるため好ましい。
リン酸エステル系の可塑剤比率は少ない方が更に好ましく、フタル酸エステル系やグリコール酸エステル系の可塑剤だけを使用することが特に好ましい。
中でも、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、特にエチルフタリルエチルグリコレートが好ましく用いられる。又、これらアルキルフタリルアルキルグリコレートを2種以上混合して使用してもよい。
この目的で用いる可塑剤の量はセルロースエステルに対して質量で1〜30%が好ましく、特に4〜13%が好ましい。
これらの化合物は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶剤と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
フィルムの黄味を改善する目的では染料が添加される。色味は、通常の写真用支持体にみられる様なグレーに着色できるものが好ましい。
但し、写真用支持体床となりライトパイピングの防止の必要はないので、含有量は少なくてもよく、セルロースエステルに対する質量割合で1〜100ppmが好ましく、2〜50ppmが更に好ましい。
セルロースエステルはやや黄味を呈しているので、青色や紫色の染料が好ましく用いられる。複数の染料を適宜組み合わせてグレーになる様にしてもよい。
フィルムが滑りにくいとフィルム同士がブロッキングを起こし、取り扱い性に劣る場合がある。その場合、本発明に係わるフィルムには、二酸化ケイ素、二酸化チタン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などのマット剤を含有させることが好ましい。
又、二酸化ケイ素のような微粒子は有機物によって表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下できるため好ましい。
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどがあげられる。微粒子の平均径が大きいほうがマット効果は大きく、平均径の小さいほうが透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子の平均径は5〜50nmでより好ましくは7〜14nmである。
これらの微粒子はフィルム中では、通常、凝集体として存在しフィルム表面に0.01〜1.0μmの凹凸を生成させることが好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子としてはアエロジル(株)製のAEROSIL200、300、R972、R974、R202、R812、OX50、TT600などがあげられ、好ましくはAEROSILR972、R974、R202、R812などがあげられる。
このマット剤の配合はフィルムのヘイズが0.6%以下、動摩擦係数が0.5以下となるように配合することが好ましい。
この目的で用いられるマット剤の含有量は、質量で脂肪酸セルロースエステルに対して0.005〜0.3%が好ましい。
液晶表示装置は、屋外で使用される機会も多くなっており、偏光板保護用フィルムに紫外線をカットする機能を付与することも重要なことである。
本発明のフィルムには、紫外線吸収剤を用いることが好ましく、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化の点から波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましく用いられる。
特に、波長370nmでの透過率が、10%以下である必要があり、紫外線吸収剤の添加量は脂肪酸セルロースエステルに対して質量で0.5〜5%が好ましく、より好ましくは0.6〜2.0%である。
この目的で用いられる紫外線吸収剤は、可視光領域に吸収がないことが好ましく、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物等が挙げられる。
これらの例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、サリチル酸フェニル、サリチル酸メチルなどである。
本発明においてはこれら紫外線吸収剤の1種以上を用いていることが好ましく、異なる2種以上の紫外線吸収剤を含有してもよい。
紫外線吸収剤の添加方法はアルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
本発明における紫外線吸収剤の使用量はセルロースエステルに対する質量で、0.1〜2.5%、好ましくは、0.5〜2.0%、より好ましくは0.8〜2.0%である。紫外線吸収剤の使用量が2.5%より多いと透明性が悪くなる傾向があり好ましくない。
又、フィルムの耐熱性を向上させる目的では、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
又、このほかに、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤を加えてもよい。
上記の他に、更に、帯電防止剤、難燃剤、滑り剤等も適宜添加してよい。セルロースエステルの製造方法としては、ドープ液を支持体上に流延、製膜し、得られたフィルムを支持体から剥ぎ取り、その後、張力をかけて乾燥ゾーン中を搬送させながら乾燥する、溶液流延製膜法が好ましい。下記に溶液流延製膜法について述べる。
1.溶解工程:セルロースエステルのフレークに対する良溶媒を主とする有機溶媒に溶解釜中で該フレークを攪拌しながら溶解し、セルロースエステル溶液(ドープ)を形成する工程である。
溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、J.M.G.Cowie等によるMakromol.chem.143巻、105頁(1971)に記載されたような、又特開平9−95544号及び同9−95557号公報に記載された様な低温で溶解する冷却溶解法、高圧で行う方法等種々の溶解方法がある。溶解後ドープを濾材で濾過し、脱泡してポンプで次工程に送る。
2.流延工程:ドープを加圧型定量ギヤポンプを通して加圧ダイに送液し、流延位置において、無限に移送する無端の金属ベルトあるいは回転する金属ドラムの流延用支持体(以降、単に支持体ということもある)上に加圧ダイからドープを流延する工程である。流延用支持体の表面は鏡面となっている。
その他の流延方法としては流延されたドープ膜をブレードで膜厚を調節するドクターブレード法、あるいは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、口金部分のスリット形状を調製出来、膜厚を均一にし易い加圧ダイが好ましい。
加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があるが、何れも好ましく用いられる。製膜速度を上げるために加圧ダイを流延用支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して 3.溶媒蒸発工程:ウェブ(流延用支持体上にドープを流延した以降のドープ膜の呼び方をウェブとする)を流延用支持体上で加熱し溶媒を蒸発させる工程である。溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法及び/または支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱の方法が乾燥効率がよく好ましい。またそれらを組み合わせる方法も好ましい。
4.剥離工程:支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。剥離する時点でのウェブの残留溶媒量(下記式)があまり大き過ぎると剥離し難かったり、逆に支持体上で充分に乾燥させてから剥離すると、途中でウェブの一部が剥がれたりする。
製膜速度を上げる方法(残留溶媒量ができるだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることができる)として、残留溶媒が多くとも剥離出来るゲル流延法(ゲルキャスティング)がある(残留溶媒量が出来るだけ多いうちに剥離するため製膜速度を上げることが出来る)。
それは、ドープ中にセルロースエステルに対する貧溶媒を加えて、ドープ流延後、ゲル化する方法、支持体の温度を低めてゲル化する方法等がある。また、ドープ中に金属塩を加える方法もある。
支持体上でゲル化させ膜を強くすることによって、剥離を早め製膜速度を上げることが出来るのである。残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生し易く、経済速度と品質との兼ね合いで剥離残留溶媒量を決められる。
5.乾燥工程:ウェブを千鳥状に配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置及び/またはクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター装置を用いてウェブを乾燥する工程である。乾燥の手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段もある。
あまり急激な乾燥は出来上がりのフィルムの平面性を損ね易い。高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。
全体を通して、通常乾燥温度は40〜250℃で、70〜180℃が好ましい。使用する溶媒によって、乾燥温度、乾燥風量及び乾燥時間が異なり、使用溶媒の種類、組合せに応じて乾燥条件を適宜選べばよい。
流延用支持体面から剥離した後の乾燥工程では、溶媒の蒸発によってウェブは巾方向に収縮しようとする。高温度で急激に乾燥するほど収縮が大きくなる。
この収縮を可能な限り抑制しながら乾燥することが、出来上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。この観点から、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程あるいは一部の工程を巾方向にクリップでウェブの巾両端を巾保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式)が好ましい。
6.巻き取り工程:ウェブを残留溶媒量が質量で2%以下となってからフィルムとして巻き取る工程である。残留溶媒量を0.4%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることが出来る。
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
残留溶媒量は下記の式で表せる。
残留溶媒量(%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量、NはMを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。
脂肪酸セルロースエステルフィルムの膜厚の調節には所望の厚さになるように、ドープ濃度、ポンプの送液量、ダイの口金のスリット間隙、ダイの押し出し圧力、流延用支持体の速度をコントロールするのがよい。又、膜厚を均一にする手段として、膜厚検出手段を用いて、プログラムされたフィードバック情報を上記各装置にフィードバックさせて調節するのが好ましい。
溶液流延製膜法を通しての流延直後からの乾燥までの工程において、乾燥装置内の雰囲気を、空気とするのもよいが、窒素ガスや炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気で行ってもよい。ただ、乾燥雰囲気中の蒸発溶媒の爆発限界の危険性は常に考慮されなければならないことは勿論のことである。
本発明におけるセルロースエステルフィルムにおいては、式(I)で定義される関係を有することが特徴である。
(nx+ny)/2−nz>0(I)
又、本発明においては、式(II)で定義されるリターデーション値(Rt値)が50〜300nmである事が好ましい。
((nx+ny)/2−nz)×d(II)
ここにおいて、nx、nyはセルロースエステルフィルムの面内でのx方向、y方向の屈折率であり、nzは厚み方向でのフィルムの屈折率、dはフィルムの厚み(nm)である。又、このリターデーション値(Rt値)は、更には、60〜250nmであることが好ましい。
リターデーション値の測定には、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて、3次元屈折率測定を行い、屈折率nx、ny、nzを求めることにより得られる。
本発明のリターデーション値(Rt値)のフィルムを得るには、以下のような方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(1)フィルムをベルト又はドラムから剥離する迄の工程においては、剥離時のの残留溶媒量を少なくするとリターデーション値(Rt値)は増加し、多くすると減少する。この場合、好ましい剥離時の残留溶媒量としては、5〜100%、より好ましくは、5〜80%更に好ましくは、10〜45%である。
(2)剥離する際の張力ならびに乾燥ゾーン内を搬送する際の張力は、大きくとるとリターデーション値(Rt値)は減少し、小さくすると増加する。好ましい剥離張力としては、50〜400Newton/m、より好ましくは、100〜300Newton/m、更に好ましくは100〜250Newton/mである。又、乾燥ゾーン内の搬送張力として、好ましくは、50〜200Newton/m、より好ましくは、80〜150Newton/m、更に好ましくは、80〜120Newton/mである。
(3)又は、フィルムをベルト又はドラムから剥離後の乾燥工程で、ピンテンター方式又は、クリップテンター方式でフィルムを延伸しながら乾燥する方式が挙げられる。この場合、延伸倍率が大きくなると、リターデーション値(Rt値)は増加し、小さくすると減少する。好ましい延伸倍率としては、2〜50%、より好ましくは、5〜40%、更に好ましくは10〜30%である。
又、本発明の透明支持体フィルムは、その厚さが40〜150μmのものが好ましい。
本発明の光学異方性フィルムを用いて作製する偏光子は、従来から公知のものを用いることができる。
例えば、ポリビニルアルコールの如き親水性ポリマーからなるフィルムを、ヨウ素の如き二色性染料で処理して延伸したものや、塩化ビニルの如きプラスチックフィルムを処理してポリエンを配向させたものを用いる。
そして、偏光板は、本発明の光学異方性フィルムを偏光子の少なくとも片側に積層したものとして構成され、片側のみの場合は、他面に液晶層を塗設しない本発明で用いる透明支持体もしくはTACフィルムを使用してもよい。
この様にして得られた偏光板が、液晶セルのセル側一面、又は両面側に設けられる。片側に設けられる場合、本発明の光学異方性フィルムは偏光子に対して液晶セルに近い方に貼りつける。これによって、本発明になる液晶表示装置が得られる。
本発明において、偏光クロスニコル状態で認識される輝点とは、2枚の偏光板を直交(クロスニコル)状態にし、その間にセルロースエステルフィルムをおいて観測されるものをいう。この様な輝点は、偏光クロスニコル状態では、暗視野中で、輝点の箇所のみ光って観察されるので、容易にその大きさと個数を識別することができる。
輝点の個数としては、面積250mm2あたり、偏光クロスニコル状態で認識される、大きさが5〜50μmの輝点が200個以下、50μm以上の輝点が0個であることが好ましい。更に好ましくは、5〜50μmの輝点が100個以下である。
輝点が多いと、液晶ディスプレイの画像に重大な悪影響を及ぼす。透明支持体に液晶化合物を塗設して光学異方性を得る場合、配向膜を透明支持体上に設置して、その上に液晶化合物を塗布して配向させることができる。
又、配向膜を使用せずに液晶化合物を配向させる方法として、液晶性化合物が液晶性を示す温度に加熱し、電場或いは磁場を印加する方法を挙げることができる。又、熱風を吹き付ける方法や、液晶温度範囲で基板を傾斜させ、液晶性化合物が流れることによって配向状態を得ることもできる。
これらの中で、生産のし易さから配向膜を設置してラビング処理を行い、その上に液晶化合物を塗布して配向させることが好ましい。
ここで配向膜について説明する。具体的には、以下の樹脂や基板が挙げられるがこれらに限定される訳ではない。例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
上記配向材料を本発明の透明支持体上に塗布、乾燥した後、ラビング処理することによって配向膜を得ることができる。
LCDの配向膜として広く用いられているポリイミド膜(好ましくは弗素原子含有ポリイミド)は配向膜として好ましい。これはポリアミック酸(例えば日立化成(株)製のLQ/LXシリーズ、日産化学(株)製のSEシリーズ等)を透明支持体に塗布し、熱処理後、ラビングすることにより得られる。
前記ラビング処理は、LCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができる。即ち、配向膜の表面を、紙やガーゼ、フェルト、ゴム或いはナイロン、ポリエステル繊維などを用いて一定方向に擦ることにより配向を得る方法を用いることができる。一般的には、長さ及び太さが均一な繊維を平均的に植毛した布などを用いて数回程度ラビングを行うことにより実施される。
(液晶性化合物)次に本発明に用いる液晶性化合物について説明する。
本発明に用いる液晶性化合物が液晶性高分子化合物である場合、その化合構造としては主鎖型の液晶性高分子化合物、例えばポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルイミド等が挙げられる。
又、側鎖型の液晶性高分子化合物、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシロキサン、ポリマロネート等があげられる。
液晶性化合物の塗布の方法としては、バルクまたは有機溶媒に液晶化合物を溶解した溶液を、カーテンコーティング、押し出しコーティング、ロールコーティング、ディップコーティング、スピンコーティング、印刷コーティング、スプレーコーティング及びスライドコーティングなどで実施することができるがこれらに限定される訳ではない。
溶液を塗布した場合、塗布後、溶媒を除去し、膜厚が均一な液晶層を得ることができる。
液晶層は、熱および/または光エネルギーの作用で化学反応によって、液晶の配向を固定化することができる。
特にモノメリックな液晶化合物は一般に粘度が低く、熱的な原因によって液晶の配向が変化しやすいため、光重合性開始剤を用いて、エチレン性不飽和結合基含有液晶性化合物を光ラジカル反応等で硬化反応させて固定化することもできる。
本発明において、配向を固定化する際に光重合開始剤を使用する場合には、ラジカルの発生のために、以下に述べる光源を用いることができる。
例えば、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの近紫外線を強く吸収できるものが好ましく、360nm〜450nmの光に対するモル吸光係数の最大値が100以上、更には500以上のものが好ましい。
光重合用の光線としては、電子線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)を必要に応じて用いることができるが、一般的には、紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)及びショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)を挙げることができる。
一方、ラジカル重合開始剤を用いる場合、例えばアゾビス化合物、パーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、レドックス触媒など、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、tert−ブチルパーオクトエート、ベンゾイルパーオキサイド、イソプロピルパーカーボネート、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーキサイド、ジクミルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド或いはベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンゾイン類、チオキサントン類等を挙げることができる。これらの詳細については「紫外線硬化システム」総合技術センター、63頁〜147頁、1989年等に記載されている。
又、エポキシ基を有する化合物の重合には、紫外線活性化カチオン触媒として、アリルジアゾニウム塩(ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート)、ジアリルヨードニウム塩、VIa族アリロニウム塩(PF6、AsF6、SbF6のようなアニオンをもつアリルスルホニウム塩)が一般的に用いられる。
液晶性化合物に硬化反応を起こしうる化学反応性基を有する官能基を導入したものを用いることも単量体の液晶性化合物を選択する際に重要な因子である。
これにより上記の光または熱による硬化反応を利用し、液晶性化合物を配向させた後に、配向を固定化する方法として有利な1つの方法である。
一方、液晶性化合物が高分子液晶である場合、上記化学反応による硬化反応を実施して液晶の配向を固定しなくてもよい。これは、光学異方性フィルムの使用上問題のない温度範囲、例えば90℃以上に高分子液晶性化合物が液晶転移温度を示す場合、配向膜上に高分子液晶を塗布して設置した後、液晶転移温度範囲内に加熱し配向させた後、室温放冷することによって液晶の配向が維持される。
また、支持体が高分子液晶の配向を実施する温度で変形してしまう場合も想定できる。そのような場合は、耐熱性フィルムに上述の配向処理を行った後に本発明の透明支持体に液晶層を接着層を介して転写してもよい。
本発明の光学異方性フィルムの液晶層の上には、配向性の保持や偏光板を作製する際の傷などの光学的変質をさけるために保護層を設けてもよい。保護層の材料としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリカーボネート等のポリマー及びこれらの誘導体を挙げる事ができる。これらの材料を上記塗布方法より、溶液を調製して塗布、乾燥によって設置することができる。
本発明における液晶性化合物がディスコチック構造単位を有する化合物である場合、例えば日本特許登録2587398号、同2640083号、同2641086号、同2692033号、同2692035号、同2767382号、同2747789号、同2866372号等に記載の化合物を用いることができる。
本発明における液晶性化合物が高分子液晶である場合、例えば日本特許登録2592694号、同2687035号、同2711585号、同2660601号等、特開平10−186356号、同10−206637号、同10−333134号記載の構造の化合物を用いることができる。
本発明における液晶性化合物がディスコチック液晶および高分子液晶以外の液晶性化合物としては、一般に棒状液晶が挙げられ、不飽和エチレン性基を有する液晶化合物が配向の固定化の観点から好ましく、例えば特開平9−281480号、同9−281481号記載の構造の化合物を用いることができる。
光学特性を制御するための補償用フィルムとしては、厚み方向のリターデーション値が大きいほどいいというものではなく、好ましい範囲が存在する。
トータルとして好ましいリターデーション値を得るには、上記液晶層のリターデーション値(Rt′値)と透明フィルム支持体のリターデーション値(Rt値)の比率が以下のような関係を有している場合に液晶層を有する透明フィルム支持体はLCDにおける光学特性制御のための補償用フィルムとして好適な特性を示す。
Rt比=(Rt′/Rt)≦1.2(III)
Rt′=液晶層の厚み方向のリターデーション値
Rt =透明支持体の厚み方向のリターデーション値
ここでRt′は以下の関係である。
Rt′=((nx′+ny′)/2−nz′)×d′
(nx′、ny′は液晶層の面内のx′方向、y′方向の主屈折率、但しnx′とny′は異なっても等しくてもよい。nz′は液晶層の厚み方向の屈折率、d′は液晶層の厚み(nm)である)
又、Rtは、以下の式で表される。
Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(nx、nyは透明支持体の面内でのx方向、y方向の屈折率であり、nzは厚み方向でのフィルムの屈折率、dはフィルムの厚み(nm)である。)
上記において、面内のx、x′方向とはフィルムの製膜方向に平行な方向をさし、y、y′方向とは製膜方向に垂直な方向を表す。
更に好ましい態様においては、これらの値は、Rt比=(Rt′/Rt)≦0.8である。
液晶層のリターデーション値を得るには、実際上は液晶層を透明支持体上に塗設した光学フィルムのリターデーション値を測定し、支持体フィルムのリターデーション値との差から、液晶層のリターデーション値を求める。
本発明のアセチル置換度(DSac)が1.5〜2.2であり、かつプロピオニル置換度(DSpr)が0.6〜1.2であるセルロースエステルフィルムを用いた場合もセルロースエステルフィルム支持体のリターデーション値(Rt値)と液晶層のリターデーション値(Rt′値)の関係が、Rt比=(Rt′/Rt)≦1.2であるとき良好な特性を示す。特に好ましいのは、Rt比=(Rt′/Rt)≦0.8の場合である。
本発明の光学異方性フィルムの厚みは、液晶表示装置の薄型化のためには余りに厚いものは好ましくなく、40〜150μmであることが好ましく、上記リターデーション値を有するフィルムをこの範囲の厚さで達成する必要があり、セルロースエステル単独では、リターデーション値を上記範囲にするには、どうしてもフィルム厚が厚くなってしまうが、本発明の液晶層を有するセルロースエステルフィルムの場合、この目的を達成するのに有利である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
実施例中の各測定および評価の方法は以下のようなものである。
〈脂肪酸セルロースエステルの置換度〉
置換度は、ケン化法によって測定するものとする。乾燥したセルロースエステルを精秤し、アセトンとジメチルスルホキシドとの混合溶媒(容量比4:1)に溶解した後、所定の1N水酸化ナトリウム水溶液を添加し、25℃で2時間ケン化する。
フェノールフタレインを指示薬として添加し、1N硫酸で過剰の水酸化ナトリウムを滴定する。又、上記と同様な方法によりブランクテストを行う。
更に滴定が終了した溶液の上澄み液を希釈し、イオンクロマトグラフを用いて、常法により有機酸の組成を測定する。そして下記に従って置換度(%)を算出した。
TA=(Q−P)×F/(1000×W)
DSac=(162.14×TA)/{1−42.14×TA+(1−56.06×TA)×(AL/AC)}
DSpr=DSac×(AL/AC)
式中、Pは試料の滴定に要する1N硫酸量(ml)、Qはブランクテストに要する1N硫酸量(ml)、Fは1N硫酸の力価、Wは試料質量、TAは全有機酸量(mol/g)、AL/ACはイオンクロマトグラフで測定した酢酸(AC)と他の有機酸(この場合プロピオン酸)(AL)とのモル比、DSacはアセチル基の置換度、DSprはプロピオニル基の置換度を示す。
〈セルロースエステルの数平均分子量〉
高速液体クロマトグラフィーにより下記条件で測定する。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:MPW×1(東ソー(株)製)
試料濃度:0.2w/v%
流量:1.0ml/min
試料注入量:300μl
標準試料:ポリスチレン
温度:23℃
《セルロースエステルフィルムの作製》
以下のように溶液を調製した。
溶液1
セルロースアセテートプロピオネート(CAP)
(置換度、数平均分子量は表1に記載) 120質量部
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)
ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤) 1質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部
微粒子シリカ(日本アエロジル社製アエロジル200:0.016μm) 1質量部
酢酸メチル 300質量部
エタノール 45質量部
溶液1におけるセルロースアセテートプロピオネート、エチルフタリルエチルグリコレートおよび溶媒である酢酸エチル、エタノールをそれぞれ表1のように量も含め変化させて溶液2〜9を調製した。
Figure 0004475297
上記溶液をそれぞれ加圧密閉容器に投入し、80℃に加温して容器内圧力を5気圧とし、保温・攪拌しながら完全に溶解させた。ドープ温度を40℃まで下げて常圧に戻し、一晩静置し、脱泡操作を施した後、溶液を安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過圧力16kg/cm2以下で濾過した。
次に得られたドープを冷却して35℃に保ち、2つのドラムに張られた回転する長さ6m(有効長5.5m)のエンドレスステンレスベルト上に均一に流延した。
ステンレスベルトの裏面から35℃の温度の温水を接触させて温度制御されたステンレスベルト上で2分間乾燥した後、更にステンレスベルトの裏面側に、15℃の冷水を接触保持した後、剥離残留溶媒量が表2の値になるまで溶媒を蒸発させた時点でステンレスバンド上から剥離張力150Newton/mで剥離した。
次いで剥ぎ取ったフィルムの両端を固定しながら130℃で乾燥後、更に多数のロールで搬送張力130Newton/mで搬送させながら乾燥させ、表2のような、膜厚80μmのセルロースエステルフィルム試料101〜109及び膜厚等を変化させたセルロースエステルフィルム試料110〜114を得た。
支持体フィルムの厚さはマイクロメータで測定した。それぞれのフィルムのリターデーション値(Rt値)は表2の如くであり、リターデーション値(Rt値)の測定は以下のようにして行った。
〈リターデーション値(Rt値)〉
自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて、3次元屈折率測定を行い、屈折率nx、ny、nzを求めた。下記(式II)に従って、リターデーション値(Rt値)を算出した。
Rt値=((nx+ny)/2−nz)×d (II)
(nxはフィルムの製膜方向に平行な方向でのフィルムの屈折率。nyは製膜方向に垂直な方向でのフィルムの屈折率。nzはフィルムの厚み方向での屈折率。dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。)
《液晶層の塗設》
表2に示した各々の透明支持体にゼラチン薄膜(0.1μm)を塗設し、直鎖アルキル変性ポリビニルアルコール(MP203;クラレ(株)製)を塗布した。これらを80℃温風にて乾燥させた後、ラビング処理を行い、配向膜を形成した。
この配向膜上に、液晶性ディスコティック化合物LC−1を1.6g、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(M101;東亜合成(株)製)0.4g、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1;イーストマンケミカル社製)0.05g、及び光重合開始剤(イルガキュア−907;チバ・ガイギー社製)0.01gを、3.65gのメチルエチルケトンに溶解して得られた塗布液を、ワイヤーバーで塗布した。
液晶層の膜厚は、表2の様に液晶層と透明支持体の厚み方向のリターデーション値の比率:Rt′/Rtの条件に満たすように調整した。
これらに金属の枠を貼りつけて固定して130℃の高温槽中で3分間加熱し、デイスコティック化合物を配向させた。次に試料を窒素雰囲気下として高圧水銀灯を用いて照度100mW/cm2で130℃下10秒間紫外線を照射し、架橋反応により配向を固定化した。
室温まで放冷して、ディスコティック化合物を含む液晶層を形成し、セルロースエステルフィルム試料101〜113からそれぞれ光学異方性フィルム試料をえた。セルロースエステルフィルム試料114については液晶層を塗設せずに透明支持体のみの試料とした。
支持体厚さおよび後述の液晶層を塗布したフィルムの厚さはマイクロメータで測定した。液晶層有無の厚さの差から液晶層の厚さを算出した。
Figure 0004475297
《偏光板の作製》
この光学異方性フィルムそれぞれを40℃の2.5N水酸化ナトリウム水溶液で60秒間アルカリ処理し、3分間水洗してケン化処理層を形成し、アルカリ処理フィルムを得た。
次に厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で4倍に延伸して偏光膜を作製した。この偏光膜の片面に前記アルカリ処理試料フィルムを完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として各々貼り合わせ、更に偏光膜の逆の面に80μmの厚さのセルローストリアセテートフィルムを同様にアルカリ処理し、貼り合わせ、偏光板試料を作製した。
〈視野角の評価〉
視野角1
NEC製LA−1529HM型のTFT−TN液晶パネルの偏光板を剥がし、偏光板と液晶パネルの間に設置されている光学補償フィルムを剥がした。上述の方法で表2に示した液晶層を塗設した各々の光学異方性フィルムを含む偏光板を、光学異方性フィルム側を偏光子と液晶パネルとの間になるように設置し添付した。
この偏光板の貼付は、液晶パネルに対してバックライト側と画像観察面側の両側に実施した。各々の試料についてパソコンでモニターを駆動し、白色/黒色表示時のコントラスト比をELDIM社のEz−Contrastを用いて測定し、上下左右について、コントラストが10以上を示す液晶パネルの放線方向からの角度をそれぞれ測定し視野角とした。以下の基準により3段階の評価をした。
評価 上 下 左 右
× 30度未満 35度未満 45度未満 45度未満
○ 30〜40度 35〜40度 45〜55度 45〜55度
◎ 41〜50度 41〜50度 56〜65度 56〜65度
視野角2
富士通製VL−1530SのVA液晶パネルの偏光板を剥がし、上述の方法で表2に示した液晶層を塗設した各々の光学異方性フィルムを含む偏光板を、光学異方性フィルム側を偏光子と液晶パネルとの間になるように設置し添付した。
この偏光板の貼付は、液晶パネルに対してバックライト側と画像観察面側の両側に実施した。また、前述の視野角測定法により、各々の試料について上下、左右についてて、実質的な視野角の評価を行った。
評価 上 下 左 右
× 45度未満 45度未満 50度未満 50度未満
○ 45〜55度 45〜55度 50〜60度 50〜60度
◎ 56度以上 56度以上 61度以上 61度以上
〈輝点個数〉
直交状態で配置した2枚の偏光板の間に、光学異方性フィルムに用いる透明支持体を置き、一方の偏光板の外側から光を当て、他方の偏光板の外側から顕微鏡で25mm2当たりの個数とし、この評価をN数で5回繰り返し、その平均値をもって、輝点異物の個数とした。
この時の顕微鏡の条件は、透過光源で倍率30倍である。
〈経済性〉光学異方性フィルムを作製する際の材料比の評価を◎、○、×で示した。液晶化合物が少ないほど経済性は良化することを意味する。
Figure 0004475297
表2の結果が示すとおり、本発明の光学異方性フィルムは、生産に関わる経済性に優れておりかつ優れた視野角の拡大効果を示すのは明白である。さらに輝点個数が少ないことから、液晶表示にも悪影響を与えない。
比較のTACは、厚み方向の屈折率が高いためにRt値を大きくしようとすると膜圧が大きくなる。それによって、輝点も多くなり液晶表示に悪影響を与えることになる。膜圧を大きくせずに液晶層を塗設して厚み方向のリターデーション値を増加させようとすると、液晶化合物が支持体を構成する樹脂よりも高価なため、経済性は劣ることになる。
実施例2
実施例1の透明支持体に、LC−1に代えてLC−2を以下の方法で塗設した以外は実施例1と同様に試料を作製して評価を行った。
LC−2(5g)を45gのクロロホルムに溶解させ10質量%の溶液を調製した。この溶液を30cm角のラビング処理をしたポリイミドフィルムに印刷法により塗布した。
次いで80℃のホットプレート上で乾燥し、オーブンで230℃で20分間熱処理した後、室温中に取り出して冷却して、まずポリイミドフィルム上にLC−2を配向固定化した。次いで紫外線硬化型の接着剤をこの液晶層の上に塗布した後、表2記載の各々の透明支持体でラミネートし、高圧水銀灯の光を照射して接着剤を硬化させた。
次にポリイミドフィルムを剥がして除去した。液晶層は接着剤を介して透明支持体上にある。接着層は光学的には等方性であった。
Figure 0004475297
これらの試料を実施例1と同様に評価を行ったところ、本発明の光学異方性フィルムは、比較例に対して実施例1と同様な効果を示した。
実施例3
実施例1の透明支持体に、LC−1に代えてLC−3を以下の方法で塗設した以外は実施例1と同様に試料を作製して評価を行った。
実施例1と同様な配向膜上に、LC−3を1.6g、フェノキシジエチレングリコールアクリレート(M101;東亜合成(株)製)0.4g、及び光重合開始剤(イルガキュア−907;チバ・ガイギー社製)0.01gを、3.65gのメチルエチルケトンに溶解して得られた塗布液を、ワイヤーバーで塗布した。
液晶層の膜厚は、実施例1の表2と同様に液晶層と透明支持体の厚み方向のリターデーション値の比率:Rt′/Rtの条件に満たすように調整した。これらに金属の枠を貼りつけて固定して120℃の高温槽中で3分間加熱し、液晶化合物を配向させた。
次に高圧水銀灯を用いて窒素雰囲気下、照度100mW(500mJ)/cm2で120℃下10秒間紫外線を照射し、架橋反応により配向を固定化した。室温まで放冷して、LC−3を含む光学異方性フィルムを形成した。
Figure 0004475297
これらの試料を実施例1と同様に評価を行ったところ、本発明の光学異方性フィルムは、比較例に対して実施例1と同様な効果を示した。

Claims (5)

  1. 偏光子の少なくとも片側に貼り合わせるための光学異方性フィルムであって、セルロースアセテートプロピオネートフィルム支持体上に少なくとも1層の液晶配向膜と少なくとも1層の液晶層を有し、該セルロースアセテートプロピオネートフィルムは、膜厚40〜150μmの範囲であり、かつ式(I)で表される関係を有し、式(II)で表されるリターデーション値(Rt値)が60〜250nmであり、下記式(III)で表される液晶層と透明支持体のRt比が1.2以下であることを特徴とする光学異方性フィルム。
    (nx+ny)/2−nz>0(I)
    Rt=((nx+ny)/2−nz)×d(II)
    (nx、nyはセルロースアセテートプロピオネートフィルム支持体の面内でのx方向、y方向の屈折率であり、nzは厚み方向でのフィルムの屈折率、dはフィルムの厚み(nm)である。)
    Rt比=(Rt′/Rt)(III)
    ここに、Rt′=((nx′+ny′)/2−nz′)×d′
    (nx′、ny′は液晶層の面内のx′方向、y′方向の屈折率、nz′は液晶層の厚み方向の屈折率、d′は液晶層の厚み(nm)である。)
  2. 液晶表示モードがツイストネマチックモードであることを特徴とする請求項1に記載の光学異方性フィルム。
  3. 液晶表示モードがバーティカルアラインメントモードであることを特徴とする請求項1に記載の光学異方性フィルム。
  4. 偏光子の少なくとも片側に、セルロースアセテートプロピオネートフィルム支持体上に少なくとも1層の液晶配向膜と少なくとも1層の液晶層を有し、該セルロースアセテートプロピオネートフィルムは、膜厚40〜150μmの範囲であり、かつ式(I)で表される関係を有し、式(II)で表されるリターデーション値(Rt値)が60〜250nmであり、下記式(III)で表される液晶層と透明支持体のRt比が1.2以下である光学異方性フィルムを、貼り合わせたことを特徴とする偏光板
    (nx+ny)/2−nz>0(I)
    Rt=((nx+ny)/2−nz)×d(II)
    (nx、nyはセルロースアセテートプロピオネートフィルム支持体の面内でのx方向、y方向の屈折率であり、nzは厚み方向でのフィルムの屈折率、dはフィルムの厚み(nm)である。)
    Rt比=(Rt′/Rt)(III)
    ここに、Rt′=((nx′+ny′)/2−nz′)×d′
    (nx′、ny′は液晶層の面内のx′方向、y′方向の屈折率、nz′は液晶層の厚み方向の屈折率、d′は液晶層の厚み(nm)である。)
  5. 請求項4記載の偏光板を液晶セルの両側に配置したことを特徴とする液晶表示装置。
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